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法律第六号(昭三三・三・一〇)

  ◎銃砲刀劍類等所持取締法

目次

 第一章 総則(第一条―第三条)

 第二章 銃砲又は刀剣類の所持の許可(第四条―第十三条)

 第三章 火なわ式銃砲又は刀剣類の登録(第十四条―第二十一条)

 第四章 雑則(第二十二条―第三十条)

 第五章 罰則(第三十一条―第三十六条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、銃砲、刀剣類等の所持に関する危害予防上必要な規制について定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「銃砲」とは、金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮ガスを使用するものを含む。)をいう。

2 この法律において「刀剣類」とは、刃渡十五センチメートル以上の刀、剣、やり及びなぎなた並びにあいくち及び刃渡五・五センチメートルをこえる飛出しナイフ(四十五度以上に自動的に開刃する装置を有するナイフをいう。)をいう。

 (所持の禁止)

第三条 何人も、次の各号の一に該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。

 一 法令に基き職務のため所持する場合

 二 国又は地方公共団体の職員が試験若しくは研究のため、又は公衆の観覧に供するため所持する場合

 三 次条又は第六条の規定による許可を受けたもの(許可を受けた後変装銃砲刀剣類(つえその他の銃砲又は刀剣類以外の物と誤認させるような方法で変装された銃砲又は刀剣類をいう。以下同じ。)としたものを除く。)を所持する場合

 四 第十四条の規定による登録を受けたもの(変装銃砲刀剣類を除く。)を所持する場合

 五 武器等製造法(昭和二十八年法律第百四十五号)の武器製造事業者、猟銃等製造事業者又は同法第四条ただし書若しくは第十八条ただし書の許可を受けた者がその製造に係るもの(猟銃等製造事業者が修理をする場合にあつては、猟銃等販売事業者又は次条の規定による許可を受けて所持する者から修理を委託されたものに限る。)を業務のため所持する場合

 六 武器等製造法の猟銃等販売事業者が猟銃等製造事業者、猟銃等販売事業者若しくは次条の規定による許可を受けて所持する者から譲り受けたもの又は当該猟銃等販売事業者が輸入したものを業務のため所持する場合

 七 文化財保護委員会の承認を受けて刀剣類の製作をする者がその製作したものを製作の目的に従つて所持する場合

 八 事業場の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出て捕鯨用標識銃、救命索発射銃、救命用信号銃、建設用びよう打銃、建設用綱索発射銃又は運動競技用信号銃の製造を業とする者(以下「捕鯨用標識銃等製造事業者」という。)がその製造に係るもの(捕鯨用標識銃等製造事業者が修理をする場合にあつては、事業場の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出てこれらの銃砲の販売を業とする者(以下「捕鯨用標識銃等販売事業者」という。)又は次条の規定による許可を受けて所持する者から修理を委託されたものに限る。)を業務のため所持する場合

 九 捕鯨用標識銃等販売事業者が捕鯨用標識銃等製造事業者、捕鯨用標識銃等販売事業者若しくは次条の規定による許可を受けて所持する者から譲り受けたもの又は当該捕鯨用標識銃等販売事業者が輸入したものを業務のため所持する場合

 十 第七号に掲げる場合のほか、事業場の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出て輸出のための刀剣類の製作を業とする者がその製作に係るものを業務のため所持する場合又は当該刀剣類について輸出の取扱を委託された者がその委託を受けたものを輸出のため所持する場合

2 前項第五号から第十号までに掲げる者の使用人(当該各号に掲げる者があらかじめ事業場の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出たものに限る。)がそれぞれ当該各号に掲げる者の業務のため所持する場合は、それぞれ同項各号に定める場合に含まれるものとする。

3 第一項第八号及び第十号並びに前項に規定する都道府県公安委員会への届出に関し必要な細目は、総理府令で定める。

   第二章 銃砲又は刀剣類の所持の許可

 (許可)

第四条 狩猟、有害鳥獣駆除、と殺、人命救助、漁業、建設業又は政令で定める試験若しくは研究の用途に供するため必要な銃砲又は刀剣類を所持しようとする者及び国際的又は全国的な規模で開催される政令で定める運動競技会における運動競技の出発合図の用途に供するため必要な銃砲を所持しようとする審判に従事する者で政令で定めるものは、総理府令で定める手続により、当該銃砲又は刀剣類の所持について、住所地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。祭礼等の年中行事に用いる刀剣類その他の刀剣類で所持することが一般の風俗慣習上やむを得ないと認められるものを所持しようとする者についても、また同様とする。

2 法人が前項に掲げる業務のため代表者又は代理人、使用人その他の従業者に銃砲又は刀剣類を所持させようとする場合においては、総理府令で定める手続により、現に銃砲又は刀剣類を所持しようとする法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が、住所地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。

 (許可の基準)

第五条 都道府県公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号の一に該当する場合においては、許可をしてはならない。

 一 十四歳に満たない者

 二 精神病者、麻薬若しくは大麻の中毒者又は心神耗弱者

 三 住居の定まらない者

 四 第十一条の規定により許可を取り消された日から起算して三年を経過していない者

 五 第三条第一項の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していないもの

 六 人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者

2 都道府県公安委員会は、変装銃砲刀剣類については、許可をしてはならない。

 (国際競技に参加する外国人に対する許可の特例)

第六条 本邦において開催される銃砲又は刀剣類を使用する国際競技に参加するため入国する外国人は、総理府令で定める手続により、当該国際競技に用いる銃砲又は刀剣類の所持について、出入国港の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。

2 前項の規定による許可の申請があつた場合においては、都道府県公安委員会は、政令で定めるところにより期間を定めて、許可するものとする。

 (許可証)

第七条 都道府県公安委員会は、第四条又は前条の規定による許可をする場合においては、許可証を交付しなければならない。

2 前項の規定による許可証の交付を受けた者は、当該許可証の記載事項に変更を生じた場合、当該許可証を亡失し、若しくは盗み取られた場合又は当該許可証が滅失した場合においては、総理府令で定める手続により、すみやかにその旨を住所地(前条の外国人にあつては、現在地。以下同じ。)を管轄する都道府県公安委員会に届け出て許可証の書換又は再交付を受けなければならない。

3 許可証の様式は、総理府令で定める。

 (許可の失効及び許可証の返納)

第八条 第四条又は第六条の規定による許可は、次の各号の一に掲げる場合においては、その効力を失う。

 一 許可を受けた者が死亡した場合

 二 許可を受けた者が銃砲又は刀剣類を譲り渡し、その他自己の意思に基いて所持しないこととなつた場合

 三 銃砲若しくは刀剣類を亡失し、若しくは盗み取られ、又はこれらが滅失した場合

 四 第二十七条第一項の規定により銃砲若しくは刀剣類の提出を命ぜられ、又はこれらが没収された場合

 五 第四条第一項の規定により運動競技の出発合図の用途に供するため必要な銃砲の所持の許可を受けた者が同項に規定する政令で定める者でなくなつた場合

 六 許可の期間が満了した場合

2 許可証の交付を受けた者は、次の各号の一に該当するに至つた場合においては、すみやかに当該許可証(第三号の場合にあつては、回復した許可証)を住所地を管轄する都道府県公安委員会に返納しなければならない。

 一 許可が失効した場合

 二 許可が取り消された場合

 三 亡失し、又は盗み取られた許可証を回復した場合

3 許可を受けた者が死亡したことにより許可が失効した場合において、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第八十七条の規定によつて死亡の届出をする義務がある者又は外国人登録法(昭和二十七年法律第百二十五号)第十二条第三項の規定によつて死亡した外国人の登録証明書を返納する義務がある者があるときは、前項の規定にかかわらず、その者が、死亡の事実を知つた日から起算して十日以内に、許可証を返納しなければならない。

4 第六条の規定による許可を受けた外国人は、当該許可の期間が満了する日前に出国する場合においては、出入国港の所在地を管轄する都道府県公安委員会に許可証を返納しなければならない。

第九条 第四条の規定による許可を受けて銃砲を所持する者が当該許可に係る銃砲を武器等製造法の猟銃等販売事業者又は捕鯨用標識銃等販売事業者に譲り渡す場合においては、当該許可証とともにしなければならない。この場合においては、前条第二項第一号の規定は、適用しない。

2 前項の場合においては、武器等製造法の猟銃等販売事業者又は捕鯨用標識銃等販売事業者が、譲渡人の譲渡承諾書を添えて、すみやかに事業場の所在地を管轄する都道府県公安委員会に当該許可証を返納しなければならない。

 (所持の態様についての制限)

第十条 第四条又は第六条の規定による許可を受けた者は、それぞれ第四条又は第六条に掲げる用途に供するかその他正当な理由がある場合を除いては、当該許可を受けた銃砲又は刀剣類を携帯し、又は運搬してはならない。

2 第四条又は第六条の規定による許可を受けた者は、次の各号の一に該当する場合を除いては、当該許可を受けた銃砲を発射してはならない。

 一 狩猟法(大正七年法律第三十二号)の規定により銃猟をする場合

 二 前号に掲げる場合のほか、第四条又は第六条に掲げる用途に供するため使用する場合

 三 都道府県公安委員会の指定する射撃場において射撃をする場合

3 第四条又は第六条の規定による許可を受けた者は、当該許可を受けた銃砲を携帯し、又は運搬する場合においては、前項各号の一に該当する場合を除き、安全装置をする等直ちに発射できないようにして、おおいをかぶせ、又は容器に入れなければならない。

 (許可の取消及び仮領置)

第十一条 都道府県公安委員会は、許可を受けた銃砲又は刀剣類を所持する者が次の各号の一に該当する場合においては、その許可を取り消すことができる。

 一 この法律若しくはこれに基く政令の規定又はこれらに基く処分に違反した場合

 二 第五条第一項第二号、第三号、第五号又は第六号に該当するに至つた場合

2 都道府県公安委員会は、前項各号の一に掲げる理由が発生した場合において、人の生命又は財産に対する危険を防止するため必要があると認めるときは、第二十七条第一項の規定の適用がある場合を除き、取消前において、又は取消後において、当該銃砲又は刀剣類の提出を命じ、提出された銃砲又は刀剣類を仮領置することができる。

3 許可が取り消された場合においては、当該許可を受けていた者は、前項の規定により銃砲又は刀剣類が仮領置されている場合を除き、適法に当該許可に係る銃砲又は刀剣類を所持することができる第三者に譲り渡し、贈与し、若しくは所有者に返還し、又は自ら廃棄する等当該銃砲又は刀剣類を所持しないこととするための措置をとらなければならない。

4 許可が取り消され、かつ、第二項の規定により銃砲又は刀剣類が仮領置されている場合において、許可が取り消された者からの譲渡、贈与、返還等により新たに所持の許可を受けようとする者が総理府令で定める手続により返還の申請をしたときは、当該銃砲又は刀剣類をその者に返還することができる。

5 許可が取り消された日から起算して六月以内に前項の規定による返還の申請がない場合においては、当該仮領置した銃砲又は刀剣類は、政令で定めるところにより、都道府県公安委員会において、売却することができる。ただし、当該銃砲又は刀剣類で、売却することができないもの又は売却に付しても買受人がないと認められるものは、廃棄することができる。

6 前項の規定により売却した代金は、総理府令で定める手続により、当該銃砲又は刀剣類を提出した者に交付するものとする。ただし、保管及び売却に要した費用を控除することができる。

7 許可が取り消されなかつた場合においては、都道府県公安委員会は、第二項の規定により仮領置した銃砲又は刀剣類をすみやかに当該銃砲又は刀剣類を所持していた者に返還しなければならない。

 (聴聞)

第十二条 都道府県公安委員会は、前条第一項の規定による処分をしようとする場合においては、あらかじめ、当該銃砲又は刀剣類を所持する者又はその代理人の出頭を求めて、釈明及び証拠の提出の機会を与えるため、公開による聴聞を行わなければならない。

2 前項の場合においては、都道府県公安委員会は、処分しようとする理由並びに聴聞の期日及び場所を、期日の一週間前までに、当該銃砲又は刀剣類を所持する者に通告し、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。

3 都道府県公安委員会は、前項の規定による通告及び公示をした場合において、当該銃砲又は刀剣類を所持する者又はその代理人が正当な理由がなくて聴聞期日に出頭しないときは、第一項の規定にかかわらず、聴聞を経ないで前条第一項の規定による処分をすることができる。

4 都道府県公安委員会は、第一項の場合において、当該銃砲又は刀剣類を所持する者の所在が不明であるため第二項の通告をすることができず、かつ、同項の規定による公示をした日から起算して三十日を経過してもその者の所在が判明しないときは、第一項の規定にかかわらず、聴聞を経ないで前条第一項の規定による処分をすることができる。

 (検査)

第十三条 都道府県公安委員会は、許可を受けた銃砲又は刀剣類の所持が適正に行われているかどうかを調査する必要があると認めるときは、警察官に、あらかじめ日時及び場所を指定して、当該銃砲又は刀剣類を所持する者に対し、当該銃砲若しくは刀剣類及び許可証を提示させ、質問し、又は当該銃砲若しくは刀剣類及び許可証を検査させることができる。

   第三章 火なわ式銃砲又は刀剣類の登録

 (登録)

第十四条 文化財保護委員会は、美術品若しくは骨とう品として価値のある火なわ式銃砲又は美術品として価値のある刀剣類の登録をするものとする。

2 銃砲又は刀剣類の所有者(所有者が明らかでない場合にあつては、現に所持する者。以下同じ。)で前項の登録を受けようとするものは、文化財保護委員会規則(以下「委員会規則」という。)で定める手続により、登録の申請をしなければならない。

3 第一項の登録は、登録審査委員の鑑定に基いてしなければならない。

4 文化財保護委員会は、第一項の規定による登録をした場合においては、すみやかにその旨を登録を受けた銃砲又は刀剣類の所有者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に通知しなければならない。

5 第一項の登録の方法、第三項の登録審査委員の任命及び職務、同項の鑑定の基準及び手続その他登録に関し必要な細目は、委員会規則で定める。

 (登録証)

第十五条 文化財保護委員会は、前条第一項の登録をする場合においては、登録証を交付しなければならない。

2 登録を受けた銃砲又は刀剣類を所持する者は、登録証を亡失し、若しくは盗み取られ、又は登録証が滅失した場合においては、委員会規定で定める手続により、すみやかにその旨を文化財保護委員会に届け出てその再交付を受けなければならない。

3 登録証の様式及び再交付の手続は、委員会規則で定める。

 (登録証の返納)

第十六条 登録を受けた銃砲又は刀剣類を所持する者は、次の各号の一に該当するに至つた場合においては、すみやかに登録証(第三号の場合にあつては、回復した登録証)を文化財保護委員会に返納しなければならない。

 一 当該銃砲又は刀剣類を亡失し、若しくは盗み取られ、又はこれらが滅失した場合

 二 本邦から輸出したため当該銃砲又は刀剣類を所持しないこととなつた場合

 三 亡失し、又は盗み取られた登録証を回復した場合

 (登録を受けた銃砲又は刀剣類の譲受、相続、貸付又は保管の委託の届出等)

第十七条 登録を受けた銃砲又は刀剣類を譲り受け、若しくは相続し、又はこれらの貸付若しくは保管の委託をした者は、委員会規則で定める手続により、すみやかにその旨を文化財保護委員会に届け出なければならない。貸付又は保管の委託をしなくなつた場合においても、また同様とする。

2 登録を受けた銃砲又は刀剣類を試験、研究、研ま若しくは修理のため、又は公衆の観覧に供するため貸し付け、又は保管の委託をした場合においては、前項の規定にかかわらず、届出を要しない。

3 文化財保護委員会は、第一項の届出を受理した場合においては、すみやかにその旨を当該届出に係る銃砲又は刀剣類の所有者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に通知しなければならない。

第十八条 登録を受けた銃砲又は刀剣類を譲り渡し、貸し付け、若しくはこれらの保管を委託し、又はこれらを他人をして運送させる者は、当該銃砲又は刀剣類の登録証とともにしなければならない。

 (登録に関する事務の教育委員会への委任)

第十九条 この章に規定する文化財保護委員会の事務は、都道府県の教育委員会に行わせるものとする。

2 前項の規定により都道府県の教育委員会が行う事務に要する経費は、当該都道府県が負担するものとする。

3 文化財保護委員会は、第一項の規定により都道府県の教育委員会が行う事務について、当該教育委員会を指揮監督することができる。

第二十条 都道府県の教育委員会が前条第一項の規定により文化財保護委員会の事務を行う場合においては、第十四条第二項の申請は所有者の住所の所在する都道府県の教育委員会に、第十五条第二項の届出及び再交付の申請、第十六条の返納並びに第十七条第一項の届出は当該銃砲又は刀剣類について登録の事務を行つた都道府県の教育委員会にしなければならない。

 (所持の態様についての制限)

第二十一条 第十条の規定は、第十四条の規定による登録を受けた銃砲又は刀剣類を所持する者について準用する。この場合において、第十条第一項中「それぞれ第四条又は第六条に掲げる用途に供するかその他正当な理由」とあるのは「正当な理由」と、同条第二項中「第四条又は第六条に掲げる用途に供するため使用する」とあるのは「正当な理由に基いて使用する」と読み替えるものとする。

   第四章 雑則

 (あいくち類似の刃物の携帯の禁止)

第二十二条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、あいくちに類似する刃物を携帯してはならない。

 (発見及び拾得の届出)

第二十三条 銃砲又は刀剣類を発見し、又は拾得した者は、すみやかにその旨をもよりの警察署に届け出なければならない。

 (許可証及び登録証の携帯等)

第二十四条 銃砲又は刀剣類を携帯し、又は運搬する者は、当該銃砲又は刀剣類に係る許可証又は登録証を常に携帯していなければならない。

2 警察官は、前項の規定の履行を確保するため、銃砲又は刀剣類を携帯し、又は運搬する者に許可証又は登録証の提示を求めることができる。

3 警察官は、前項の規定により許可証又は登録証の提示を求める場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、これを提示しなければならない。

 (本邦に上陸しようとする者の所持する銃砲又は刀剣類の仮領置)

第二十五条 銃砲又は刀剣類を所持している者が本邦に上陸しようとする場合においては、上陸地を管轄する警察署長は、総理府令で定める手続により、当該銃砲又は刀剣類の提出を命じ、提出された銃砲又は刀剣類を仮領置するものとする。ただし、その者が第三条第一項各号の一に該当して当該銃砲又は刀剣類を所持することができる場合及び仮領置しないでも危険がないと認められる政令で定める場合は、この限りでない。

2 前項の規定により銃砲又は刀剣類を仮領置した警察署長は、当該銃砲又は刀剣類を所持していた者から次項第三号又は第四号に該当する旨の申出があつた場合において、その出入国港の所在地又は積出地が当該銃砲又は刀剣類を所持していた者の上陸地と異なるときは、その出入国港の所在地又は積出地を管轄する警察署長に仮領置した銃砲又は刀剣類を引き継がなければならない。

3 前二項の規定により仮領置した警察署長は、当該銃砲又は刀剣類を所持していた者から次の各号の一に該当する旨の申出があつた場合においては、当該仮領置した銃砲又は刀剣類を返還しなければならない。

 一 第四条又は第六条の規定による許可を受けようとする場合

 二 第十四条の規定による登録を受けようとする場合

 三 本邦から出国するため当該銃砲又は刀剣類を本邦外に持ち出そうとする場合

 四 前号に掲げる場合のほか、当該銃砲又は刀剣類を本邦外に積み出そうとする場合

4 銃砲又は刀剣類を所持していた者が第一項の規定による仮領置の日から起算して六月(船舶の出港の遅延その他のやむを得ない事情により当該期間内に前項各号の一に掲げる措置をとることができない場合において、総理府令で定める手続により当該銃砲又は刀剣類を保管する警察署長の承認を受けたときは、当該やむを得ない事情がなくなるまでの期間)以内に当該銃砲又は刀剣類の返還を受けない場合においては、その所有権は、国に帰属する。

5 前各項に規定するもののほか、第一項の規定により仮領置した銃砲又は刀剣類の取扱に関し必要な細目は、総理府令で定める。

 (授受、運搬及び携帯の禁止又は制限)

第二十六条 災害、騒乱その他の地方の静穏を害するおそれのある事態に際し、第四条若しくは第六条の規定による許可又は第十四条の規定による登録を受けた銃砲又は刀剣類の授受、運搬又は携帯が公共の秩序を維持する上に直接危害を及ぼすと明らかに認められる場合においては、都道府県公安委員会は、一定の公告式による告示をもつて、地域及び期間を定め、これらの行為を禁止し、又は制限することができる。

2 都道府県公安委員会は、前項の規定により告示をした場合においては、総理府令で定める手続により、同項の告示された地域内において所持する者の所持に係る同項に規定する銃砲又は刀剣類の提出を命じ、提出された銃砲又は刀剣類を仮領置することができる。

3 都道府県公安委員会が第一項の規定によりした告示については、その告示をした日から起算して七日以内に当該都道府県の議会の承認を得なければならない。ただし、議会が解散されている場合においては、その後最初に招集される議会においてすみやかにその承認を得なければならない。

4 前項の場合において、同項の規定による承認が得られなかつたとき、又は不承認の議決があつたときは、その告示は、将来に向つてその効力を失う。

5 第一項の規定により告示した期間が満了した場合又は告示が効力を失つた場合においては、都道府県公安委員会は、すみやかに仮領置した銃砲又は刀剣類を返還しなければならない。

 (提出を命じた銃砲又は刀剣類の売却等)

第二十七条 銃砲又は刀剣類で次の各号の一に該当するものについては、裁判により没収する場合を除くほか、都道府県公安委員会は、総理府令で定める手続により、その提出を命ずることができる。

 一 第三条第一項又は第十条第一項(第二十一条において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定に違反した者が所持する当該違反に係るもの

 二 偽りの方法により第四条又は第六条の規定による許可を受けた者が所持する当該許可に係るもの

 三 偽りの方法により第十四条の規定による登録を受けた銃砲若しくは刀剣類の所有者又は当該登録があつた後情を知つて所有者からこれを取得した者が所持する当該登録に係るもの

2 前項第一号及び第二号の規定は、当該各号に掲げる銃砲又は刀剣類が、当該各号に掲げる者以外の者の所有に係り、かつ、その者が次の各号の一に該当する場合においては、適用しない。

 一 第三条第一項若しくは第十条第一項の規定に違反すること又は偽りの方法により許可を受けることをあらかじめ知らないで、これらの事実の生じた時から引き続いて当該銃砲又は刀剣類を所有していると認められる場合

 二 第三条第一項若しくは第十条第一項の規定に違反する事実又は偽りの方法で許可を受けた事実が生じた後、その情を知らないで当該銃砲又は刀剣類を取得したと認められる場合

3 第十一条第五項及び第六項の規定は、第一項の規定により提出された銃砲又は刀剣類について準用する。この場合において、同条第五項中「許可が取り消された日から起算して六月以内に前項の規定による返還の申請がない場合においては、当該仮領置した銃砲又は刀剣類」とあるのは、「第一項の規定により提出された銃砲又は刀剣類」と読み替えるものとする。

 (記録票の作成等)

第二十八条 第三条第一項第一号又は第二号の規定により所持することができる銃砲(火なわ式銃砲を除く。)を管理する責任を有する者(以下この条において「銃砲の管理責任者」という。)は、総理府令で定める手続により、その管理する銃砲に関する記録票を作成し、かつ、保存しなければならない。

2 銃砲の管理責任者は、総理府令で定める手続により、その管理する銃砲の種別、名称、型及び番号を国家公安委員会に通知しなければならない。

 (手数料)

第二十九条 都道府県は、都道府県公安委員会が行う第七条の許可証の交付若しくは再交付又は第十九条第一項の規定により都道府県の教育委員会が行う登録証の交付若しくは再交付について手数料を徴収することができる。この場合において、その額は、二百円をこえない範囲内において都道府県規則で定める。

 (権限の委任)

第三十条 この法律又はこれに基く政令の規定により道公安委員会の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面公安委員会に行わせることができる。

   第五章 罰則

 (罰則)

第三十一条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

 一 第三条第一項の規定に違反した者

 二 偽りの方法により第四条若しくは第六条の規定による許可又は第十四条の規定による登録を受けた者

第三十二条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

 一 第十条第一項若しくは第二項(第二十一条において準用する場合を含む。)又は第二十二条の規定に違反した者

 二 第二十六条第一項の規定による禁止又は制限に違反した者

第三十三条 第十七条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。

第三十四条 第三十一条から前条までの罪を犯した者には、情状により、各本条の懲役及び罰金を併科することができる。

第三十五条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第七条第二項、第八条第二項から第四項まで、第九条第二項、第十条第三項(第二十一条において準用する場合を含む。)、第十五条第二項、第十六条、第十八条、第二十三条又は第二十四条第一項の規定に違反した者

 二 第十一条第二項、第二十六条第二項又は第二十七条第一項の規定による銃砲又は刀剣類の提出命令に応じなかつた者

 三 第十三条の規定により警察官が行う許可証及び銃砲若しくは刀剣類の提示の要求若しくは検査又は第二十四条第二項の規定により警察官が行う許可証若しくは登録証の提示の要求を拒み、妨げ、又は忌避した者

第三十六条 第三十三条に規定する犯罪に係る銃砲又は刀剣類で当該犯人が所有し、又は占有するものは、没収することができる。ただし、犯罪の後犯人以外の者が情を知らないで当該銃砲又は刀剣類を取得したと認められる場合においては、この限りでない。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和三十三年四月一日から施行する。

 (銃砲刀剣類等所持取締令の廃止)

2 銃砲刀剣類等所持取締令(昭和二十五年政令第三百三十四号)は、廃止する。

 (経過措置)

3 この法律の施行の際銃砲刀剣類等所持取締令(以下「旧令」という。)の規定により銃砲又は刀剣類の所持について許可を受けている者は、この法律の規定により許可を受けたものとみなす。

4 この法律の施行の際旧令の規定により登録されている銃砲又は刀剣類は、この法律の規定により登録されたものとみなす。

5 この法律の施行の際旧令の規定によりされている許可の申請、届出その他の手続及び都道府県公安委員会がした仮領置その他の処分は、それぞれこの法律の各相当規定に基いてした許可の申請、届出その他の手続及び仮領置その他の処分とみなす。

6 この法律の施行の際旧令の規定により任命されている刀剣審査委員は、この法律の規定により任命された登録審査委員とみなす。

7 この法律の施行の際関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第八十六条の規定により税関が留置している銃砲又は刀剣類については、当該税関は、この法律の施行の日から起算して七日以内に、これを当該税関の所在地を管轄する警察署長に引き継がなければならない。この場合においては、当該税関は、その旨をすみやかに当該銃砲又は刀剣類を留置された旅客又は乗組員に通知しなければならない。

8 前項の規定により警察署長が引き継いだ銃砲又は刀剣類については、第二十五条第二項から第五項までの規定を適用する。この場合において、同条第四項中「第一項の規定による仮領置の日」とあるのは、「附則第七項の規定により警察署長が税関から銃砲又は刀剣類の引継をした日」とする。

9 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (関係法令の一部改正)

10 出入国管理令(昭和二十六年政令第三百十九号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項第八号中「銃砲刀剣類等所持取締令(昭和二十五年政令第三百三十四号)」を「銃砲刀剣類等所持取締法(昭和三十三年法律第六号)」に改める。

11 関税法の一部を次のように改正する。

  第七十四条中「又は刑事訴訟法」を「、刑事訴訟法」に改め、「若しくは国庫に帰属したもの」の下に「又は銃砲刀剣類等所持取締法(昭和三十三年法律第六号)の規定により売却され、若しくは国庫に帰属したもの」を加える。

  第九十七条第二項中「遺失物法(明治三十二年法律第八十七号)」の下に「又は銃砲刀剣類等所持取締法」を加える。

12 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。

  第百十五条の見出し中「銃砲刀剣類等所持取締令」を「銃砲刀剣類等所持取締法」に改め、同条中「銃砲刀剣類等所持取締令(昭和二十五年政令第三百三十四号)第二十五条」を「銃砲刀剣類等所持取締法(昭和三十三年法律第六号)第二十八条」に改める。

(内閣総理・法務・大蔵・文部大臣署名) 

 

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