法律第百六十二号(昭三三・五・二一)
◎放射線障害防止の技術的基準に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、放射線障害の防止に関する技術的基準策定上の基本方針を明確にし、かつ、総理府に放射線審議会を設置することによつて、放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「放射線」とは、アルフア線、重陽子線、陽子線、ベータ線、電子線、中性子線、ガンマ線、エツクス線その他電磁波又は粒子線で直接又は間接に空気を電離する能力を有するものをいう。
(基本方針)
第三条 放射線障害の防止に関する技術的基準を策定するに当つては、放射線を発生する物を取り扱う従業者及び一般国民の受ける放射線の線量をこれらの者に障害を及ぼすおそれのない線量以下とすることをもつて、その基本方針としなければならない。
(放射線審議会の設置)
第四条 総理府に、附属機関として、放射線審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の所掌事務)
第五条 審議会は、次の事項を調査審議する。
一 放射線障害の防止に関する技術的基準に関すること。
二 自然に賦存する放射性物質から発生する放射線、核爆発に伴う放射性生成物から発生する放射線等の線量及びこれらを発生する物の放射性物質量の測定方法に関すること。
2 審議会は、前項の事項に関し、関係行政機関の長の諮問に答申し、かつ、必要に応じ、関係行政機関の長に意見を述べることができる。
(審議会への諮問)
第六条 関係行政機関の長は、放射線障害の防止に関する技術的基準を定めようとするときは、審議会に諮問しなければならない。
(審議会の組織)
第七条 審議会は、委員三十人以内で組織する。
2 委員は、関係行政機関の職員及び放射線障害の防止に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
3 委員は、非常勤とする。
4 委員(関係行政機関の職員のうちから任命された委員を除く。)の任期は、二年とする。
5 前項の委員は、再任されることができる。
(審議会の会長)
第八条 審議会に会長を置き、委員の互選によつてこれを定める。
2 会長は、会務を総理する。
3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理する。
(資料提出の要求等)
第九条 審議会は、その所掌事務を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
(審議会の庶務)
第十条 審議会の庶務は、科学技術庁原子力局において処理する。
(政令への委任)
第十一条 前四条に規定するもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(総理府設置法の一部改正)
2 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中原子力委員会の項の次に次のように加える。
放射線審議会 |
放射線障害防止の技術的基準に関する法律(昭和三十三年法律第百六十二号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。 |
(科学技術庁設置法の一部改正)
3 科学技術庁設置法(昭和三十一年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。
第二十条第一項の表中放射線審議会の項を削る。
(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部改正)
4 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五章 放射線審議会(第三十九条―第四十一条)」を「第五章 削除」に改める。
第五章を次のように改める。
第五章 削除
第三十九条から第四十一条まで 削除
(内閣総理大臣署名)