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法律第二百四号(昭三六・一一・一〇)

  ◎農業信用基金協会法

目次

 第一章 総則(第一条―第七条)

 第二章 業務(第八条―第十三条)

 第三章 会員(第十四条―第二十二条)

 第四章 設立(第二十三条―第二十八条)

 第五章 管理(第二十九条―第四十八条)

 第六章 解散及び清算(第四十九条―第五十四条)

 第七章 監督(第五十五条―第五十九条)

 第八章 罰則(第六十条―第六十二条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、農業経営に必要な資金の融通を円滑にするため、農業協同組合その他の融資を行なう機関の農業者等に対する貸付けについてその債務を保証することを主たる業務とする農業信用基金協会の制度を確立し、もつて農業の生産性の向上を図り、農業経営の改善に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「農業者等」とは、次に掲げる者をいう。

 一 農業(畜産業及び養蚕業を含む。以下同じ。)を営む者及び農業に従事する者

 二 農業協同組合

 三 農業協同組合連合会

 四 前三号に掲げる者のほか、これらの者が主たる構成員又は出資者となつている法人で政令で定めるもの

2 この法律において「融資機関」とは、次に掲げる者をいう。

 一 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第一号の事業を行なう農業協同組合

 二 農業協同組合法第十条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行なう農業協同組合連合会

 三 農業協同組合法第十条第一項第八号の事業を行なう農業協同組合連合会

 四 農林中央金庫

 五 銀行その他の金融機関で政令で定めるもの

 (法人格)

第三条 農業信用基金協会(以下「協会」という。)は、法人とする。

 (区域)

第四条 協会の区域は、都道府県の区域による。

 (住所)

第五条 協会の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

 (名称)

第六条 協会は、その名称中に農業信用基金協会という文字を用いなければならない。

2 協会でない者は、その名称中に農業信用基金協会であることを示すような文字を用いてはならない。

 (登記)

第七条 協会は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。

2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

   第二章 業務

 (協会の業務)

第八条 協会は、次の業務を行なう。

 一 会員(会員が農業協同組合である場合には、その組合員を含む。)たる農業者等が次に掲げる資金を借り入れることにより融資機関に対して負担する債務の保証

  イ 農業近代化資金助成法(昭和三十六年法律第二百二号)第二条第三項の農業近代化資金

  ロ イに掲げるもののほか、農業者等の事業又は生活に必要な資金

 二 前号に掲げる業務に附帯する業務

 (基金)

第九条 協会は、第十五条の規定による出資金、次条第二項の規定による繰入金及び協会の負担する保証債務の弁済に充てることを条件として都道府県その他の団体から交付された金銭を、その負担する保証債務の弁済に充てるための基金として、次の方法により管理しなければならない。協会が保証債務の弁済によつて得た求償権の行使により取得した金銭(その保証債務の弁済のため支払つた金額をこえる部分を除く。)についても、また同様とする。

 一 農業協同組合法第十条第一項第二号の事業を行なう農業協同組合連合会、農林中央金庫又は銀行への預金又は金銭信託

 二 国債証券、地方債証券又は主務大臣の定める有価証券の保有

 (剰余金の処分)

第十条 協会は、毎事業年度の剰余金の全部を、準備金として積み立てなければならない。

2 前項の準備金は、欠損のてん補に充て、又は前条の基金に繰り入れることができる。

3 第一項の準備金は、前項の場合を除き取りくずしてはならない。

 (経理の区分)

第十一条 第八条第一号イ及びロに掲げる資金に係る債務の保証の業務を行なう協会は、主務省令の定めるところにより、同号イに掲げる資金に係る債務の保証の業務と同号ロに掲げる資金に係る債務の保証の業務とを区分して経理しなければならない。

 (事業年度)

第十二条 協会の事業年度は、毎年四月一日から翌年三月三十一日までとする。ただし、設立当初の事業年度は、協会の成立の日から翌年三月三十一日までとする。

 (業務の委託)

第十三条 協会は、業務方法書で定めるところにより、その業務(債務の保証の決定を除く。)の一部を融資機関に委託することができる。

2 融資機関たる農業協同組合又は農業協同組合連合会は、農業協同組合法第十条の規定にかかわらず、前項の規定による業務の委託を受け、当該業務を行なうことができる。

3 農林中央金庫は、農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条の規定にかかわらず、第一項の規定による業務の委託を受け、当該業務を行なうことができる。

   第三章 会員

 (会員の資格)

第十四条 協会の会員たる資格を有する者は、協会の区域内に住所を有する農業者等及び協会の区域の全部又は一部をその区域とする地方公共団体とする。

2 地方公共団体は、協会の会員になろうとするときは、当該地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

 (出資)

第十五条 会員は、出資一口以上を有しなければならない。

2 出資一口の金額は、一万円とする。

3 出資は、現金をもつて、出資の各口につきその全額を払い込むものとする。

4 会員は、出資の払込みについて、相殺をもつて協会に対抗することができない。

5 会員の責任は、その出資額を限度とする。

 (持分の譲渡)

第十六条 会員は、協会の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。

2 会員でない者が持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。

3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。

4 会員は、持分を共有することができない。

5 死亡した会員の相続人で会員たる資格を有するものが協会に対し定款で定める期間内に加入の申出をし、協会がこれを承認したときは、第十八条第二項の規定にかかわらず、相続開始の時に会員になつたものとみなす。この場合には、相続人たる会員は、被相続人の持分についてその権利義務を承継する。

6 死亡した会員の相続人が数人あるときは、相続人の同意をもつて選定された一人に限り、前項の規定を適用する。

 (議決権)

第十七条 会員は、各一個及び出資一口につき一個の議決権を有する。

2 会員は、定款で定めるところにより、第四十条第三項の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて議決権を行なうことができる。

3 前項の規定により議決権を行なう者は、出席者とみなす。

4 代理人は、代理権を証する書面を協会に提出しなければならない。

 (加入)

第十八条 会員たる資格を有する者が協会に加入しようとするときは、協会は、正当な理由がないのに、その加入を拒んではならない。

2 協会に加入しようとする者は、定款で定めるところにより、加入につき協会の承認を得て、引受出資口数に応ずる金額を払い込み、又は会員の持分の全部若しくは一部を承継した時に会員となる。

 (脱退)

第十九条 会員は、次の事由によつて脱退する。

 一 会員たる資格の喪失

 二 死亡又は解散

 三 破産

 四 除名

2 除名は、定款で定める事由に該当する会員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合には、協会は、その総会の会日の十日前までにその会員に対してその旨を通知し、かつ、総会で弁明する機会を与えなければならない。

3 除名は、除名した会員にその旨を通知しなければ、これをもつてその会員に対抗することができない。

第二十条 協会の会員は、事業年度の終りにおいて脱退することができる。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。

 一 協会が当該会員(会員が農業協同組合である場合には、その組合員を含む。以下次号において同じ。)の債務を保証している場合

 二 協会が当該会員に代つてその債務を弁済したことにより取得した求償権を有する場合

 三 協会が当該会員に対してその脱退を承認しない旨を通知した場合

 四 協会が保証契約を結んでいる融資機関が協会に対し当該会員の脱退について異議を申し出た場合

2 会員は、前項の規定により脱退しようとするときは、六月前までに協会に予告しなければならない。

3 協会は、前項の規定による予告があつたときは、第一項第四号の融資機関に対し、当該会員の脱退について異議があれば協会の当該事業年度の終了の日までにこれを申し出るべき旨を、遅滞なく(前項の規定による予告があつた後に協会と新たに保証契約を結ぶに至つた融資機関に対しては、その契約の締結の際又は締結後遅滞なく)、催告しなければならない。ただし、第一項第三号の通知をするときは、この限りでない。

4 協会は、当該会員の脱退によりその業務の遂行に著しい支障を及ぼす場合でなければ、第一項第三号の通知をしてはならない。

5 融資機関は、当該会員の脱退により協会が現に当該融資機関と結んでいる保証契約に基づく債務の弁済に支障を及ぼす場合でなければ、第一項第四号の異議の申出をしてはならない。

 (脱退者に対する払戻し)

第二十一条 会員が脱退したときは、その者は、定款で定めるところにより、その出資額の全部又は一部の払戻しを請求することができる。

2 会員が脱退した場合において、協会が当該会員(会員が農業協同組合である場合には、その組合員を含む。以下この項において同じ。)の債務を保証しているとき、又は当該会員に代つてその債務を弁済したことによりその者に対して求償権を有しているときは、協会は、その債務につきその者に代つて弁済をしないことが明らかになるまで、又は当該求償権に係る債務が完済されるまでは、定款で定めるところにより、その脱退した者に対し前項の払戻しを停止することができる。

3 第一項の規定による請求権は、脱退の時(前項の規定により払戻しを停止されたときは、払戻しを請求することができるようになつた時)から二年間行なわないときは、時効によつて消滅する。

 (出資口数の減少)

第二十二条 会員は、定款で定めるところにより、その出資口数を減少することができる。

2 前二条の規定は、前項の場合について準用する。

   第四章 設立

 (発起人)

第二十三条 協会を設立するには、第十四条第一項に規定する者で協会の会員になろうとするもの十五人以上が発起人とならなければならない。

2 発起人は、定款及び業務方法書を作成しなければならない。

3 定款には、発起人が署名するものとする。

 (創立総会)

第二十四条 発起人は、定款及び業務方法書を作成したときは、会日の二週間前までにこれを会議の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。

2 発起人及び協会の設立に同意した会員たる資格を有する者は、創立総会の開会までに、書面によつて出資の引受けをしなければならない。

3 定款及び業務方法書の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。

4 創立総会では、定款及び業務方法書を修正することができる。

5 創立総会の議事は、会員たる資格を有する者であつてその開会までに出資の引受けをしたものの半数以上で、かつ、その引き受けた出資の合計額が引受出資総額の二分の一以上になるものが出席し、その議決権の三分の二以上で決する。

6 創立総会については、第十七条及び民法(明治二十九年法律第八十九号)第六十六条(表決権のない場合)の規定を準用する。

 (設立の認可の申請)

第二十五条 発起人は、創立総会の終了後遅滞なく、定款、業務方法書及び事業計画書を主務大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。

 (設立の認可)

第二十六条 主務大臣は、前条の認可の申請があつた場合において、次の各号の一に該当せず、かつ、その事業が健全に行なわれ、農業の生産性の向上と農業経営の改善に資すると認められるときは、設立の認可をしなければならない。

 一 設立の手続又は定款、業務方法書若しくは事業計画書の内容が法令又はこれに基づく行政庁の処分に違反するとき。

 二 定款、業務方法書又は事業計画書に虚偽の記載があり、又はその記載が欠けているとき。

 三 区域を同じくする他の協会が既に成立しているとき。

 (理事への事務の引継ぎ)

第二十七条 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なくその事務を理事に引き継がなければならない。

2 理事は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、第二十四条第二項の規定による出資の引受けをした者に対し、その出資の払込みをさせなければならない。

 (成立の時期)

第二十八条 協会は、主たる事務所の所在地で設立の登記をすることによつて成立する。

   第五章 管理

 (定款に記載すべき事項)

第二十九条 協会の定款には、次の事項を記載しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 区域

 四 事務所の所在地

 五 業務

 六 会員たる資格並びに会員の加入及び脱退に関する規定

 七 会員の出資の払込みの方法

 八 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定

 九 準備金に関する規定

 十 役員の定数、職務の分担並びに選任及び委嘱に関する規定

 十一 事業年度

 十二 公告の方法

 (業務方法書に記載すべき事項)

第三十条 協会の業務方法書には、次の事項を記載しなければならない。

 一 基金の管理方法

 二 保証の金額の合計額の最高限度

 三 一被保証者についての保証の金額の最高限度

 四 被保証者の資格

 五 保証に係る借入資金の種類及びその借入期間の最高限度

 六 保証の範囲

 七 保証契約の締結及び変更に関する事項

 八 保証料に関する事項その他被保証者の守るべき条件に関する事項

 九 保証債務の弁済に関する事項

 十 求償権の行使方法及び償却に関する事項

 十一 業務の委託に関する事項

 (規約)

第三十一条 次の事項は、定款及び業務方法書で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。

 一 総会に関する規定

 二 業務の執行及び会計に関する規定

 三 役員に関する規定

 四 会員に関する規定

 五 その他必要な事項

 (役員の定数)

第三十二条 協会に、役員として理事及び監事を置く。

2 理事の定数は、五人以上とし、監事の定数は、二人以上とする。

 (役員の選任等)

第三十三条 協会の役員は、定款で定めるところにより、次に掲げる者のうちから総会において選任する。

 一 会員(法人たる会員にあつては、当該法人の業務を執行する役員)

 二 会員たる地方公共団体の長又はその補助機関たる職員

2 前項の規定により選任される理事のほか、協会は、定款で定めるところにより、農業又は金融に関する学識経験を有する者を、総会の議決によつて理事に委嘱することができる。ただし、その数は、理事の定数の五分の二をこえてはならない。

3 設立当初の役員は、前二項の規定に準じ、創立総会において選任し、又は委嘱する。

 (役員の任期)

第三十四条 役員の任期は、二年とする。ただし、定款で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。

2 設立当初の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会で定める期間とする。ただし、その期間は一年をこえてはならない。

 (監事の兼職禁止)

第三十五条 監事は、理事又は協会の使用人と兼ねてはならない。

 (理事の自己契約等の禁止)

第三十六条 協会が理事と契約をするときは、監事が協会を代表する。協会と理事との訴訟についても、また同様とする。

 (総会の招集)

第三十七条 理事は、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。

2 理事は、必要があると認めるときは、何時でも臨時総会を招集することができる。

第三十八条 会員が、総会員の五分の一以上又はその出資の合計額が出資総額の五分の一以上となる会員の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に総会を招集しなければならない。

第三十九条 理事の職務を行なう者がないとき、又は前条の請求があつた場合において理事が正当な理由がないのに総会の招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。

 (会員に対する通知又は催告)

第四十条 協会が会員に対してする通知又は催告は、会員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を協会に通知したときは、その場所)にあててすれば足りる。

2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。

3 総会招集の通知は、その会日の十日前までに、その会議の目的たる事項を示してしなければならない。

 (定款その他の書類の備付け及び閲覧)

第四十一条 理事は、定款、業務方法書、規約、会員名簿、基金明細書及び総会の議事録を主たる事務所に備えて置かなければならない。

2 会員名簿には、各会員について次の事項を記載しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所

 二 加入の年月日

 三 出資口数及び出資各口の取得の年月日

3 基金明細書には、第九条の基金について、その金額及び取得又は繰入れの年月日を記載しなければならない。

4 会員及び協会の債権者(協会が保証契約を結んでいる融資機関を含む。以下次条において同じ。)は、第一項の書類の閲覧を求めることができる。

 (決算関係書類の提出、備付け及び閲覧)

第四十二条 理事は、通常総会の会日の一週間前までに、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、かつ、これらの書類を主たる事務所に備えて置かなければならない。

2 会員及び協会の債権者は、前項の書類の閲覧を求めることができる。

3 第一項の書類を通常総会に提出するときは、監事の意見書を添附しなければならない。

 (役員の協会及び第三者に対する責任)

第四十三条 役員がその任務を怠つたときは、その役員は、協会に対して連帯して損害賠償の責に任じなければならない。

2 役員がその職務を行なうに当つて悪意又は重大な過失があつたときは、その役員は、第三者に対して連帯して損害賠償の責に任じなければならない。

 (役員に関する民法の準用)

第四十四条 役員については、民法第四十四条第一項(法人の不法行為能力)、第五十二条第二項(理事の業務執行)、第五十三条から第五十六条まで(理事の代表権等)及び第五十九条(監事の職務)の規定を準用する。この場合において、同法第五十六条中「裁判所ハ利害関係人又ハ検察官ノ請求ニ因リ」とあるのは、「主務大臣ハ利害関係人ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ」と読み替えるものとする。

 (総会の議決事項)

第四十五条 次の事項は、総会の議決を経なければならない。

 一 定款の変更

 二 業務方法書の変更

 三 規約の設定、変更及び廃止

 四 毎事業年度の事業計画の設定及び変更

 五 事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案及び損失処理案

2 定款又は業務方法書の変更は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 第二十六条の規定は、前項の認可の申請があつた場合について準用する。

 (総会の議事)

第四十六条 総会の議事は、この法律、定款又は規約に特別の定めがある場合を除き、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

2 議長は、総会で選任する。

 (特別の議決)

第四十七条 次の事項は、総会員の半数以上で、かつ、その出資の合計額が出資総額の二分の一以上となる者が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

 一 定款の変更

 二 協会の解散

 三 会員の除名

 (総会に関する民法の準用)

第四十八条 総会については、民法第六十四条(総会の決議事項)及び第六十六条(表決権のない場合)の規定を準用する。この場合において、同法第六十四条中「第六十二条」とあるのは、「農業信用基金協会法第四十条第三項」と読み替えるものとする。

   第六章 解散及び清算

 (解散事由)

第四十九条 協会は、次の事由によつて解散する。

 一 総会の議決

 二 破産

 三 第五十七条第二項の規定による解散の命令

2 解散の決議は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 主務大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、第一項第一号の議決の手続が法令若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款に違反しないと認められるときは、同項の認可をしなければならない。

 (清算人)

第五十条 協会が解散したときは、破産による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、総会で他人を選任したときは、この限りでない。

 (清算事務)

第五十一条 清算人は、就職の後遅滞なく、協会の財産の状況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作り、財産処分の方法を定め、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。

第五十二条 清算人は、協会の債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを会員に対し、出資口数に応じて分配しなければならない。

2 前項の規定により会員に分配することができる額は、その出資額を限度とする。

3 第一項の規定による分配の結果なお残余財産がある場合におけるその財産の処分については、政令で定める。

第五十三条 清算事務が終つたときは、清算人は、遅滞なく、決算報告書を作り、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。

 (民法及び非訟事件手続法の準用)

第五十四条 協会の解散及び清算については、民法第七十三条(清算法人)、第七十五条(裁判所による清算人の選任)、第七十六条(清算人の解任)及び第七十八条から第八十三条まで(清算人の職務権限等)並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項(法人の解散及び清算の監督の管轄)、第三十六条(検査人の選任)、第三十七条ノ二(清算人等の報酬)、第百三十五条ノ二十五第二項及び第三項(意見の聴取等)、第百三十六条前段(清算に関する事件の管轄)、第百三十七条前段(清算人の選任又は解任の裁判)及び第百三十八条(清算人不適格者)の規定を準用する。この場合において、民法第七十五条中「前条」とあるのは、「農業信用基金協会法第五十条」と読み替えるものとする。

   第七章 監督

 (業務又は財産の状況の報告の徴収)

第五十五条 主務大臣は、協会の業務又は財産の状況に関して監督上必要があると認めるときは、協会又は協会から業務の委託を受けた者(以下「受託者」という。)からその業務又は財産の状況に関し報告を徴することができる。ただし、受託者に対しては、その委託された業務の範囲内に限る。

 (業務又は会計の検査)

第五十六条 会員が総会員の十分の一以上又はその出資の合計額が出資総額の十分の一以上となる会員の同意を得て、協会の業務又は会計が法令若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款、業務方法書若しくは規約に違反する疑いがあることを理由として検査を請求したときは、主務大臣は、その協会の業務又は会計の状況を検査しなければならない。

2 主務大臣は、協会又は受託者の業務又は会計が法令若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款、業務方法書若しくは規約に違反する疑いがあると認めるときは、何時でも、その協会又は受託者の業務又は会計の状況を検査することができる。この場合には、前条ただし書の規定を準用する。

3 主務大臣は、協会の業務又は会計の状況につき、毎年一回を常例として検査しなければならない。

 (法令等の違反に対する措置)

第五十七条 主務大臣は、第五十五条の規定により報告を徴した場合又は前条の規定により検査を行なつた場合において、協会の業務又は会計が法令若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款、業務方法書若しくは規約に違反すると認めるときは、その協会に対して、役員の解任、業務の停止その他必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

2 協会が前項の規定による命令に従わなかつたときは、主務大臣は、その役員を解任し、又はその協会の解散を命ずることができる。

 (決議の取消し)

第五十八条 会員が総会員の十分の一以上又はその出資の合計額が出資総額の十分の一以上となる会員の同意を得て、総会の招集手続又は議決の方法が法令若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款、業務方法書若しくは規約に違反することを理由として、その議決の日から三十日以内に、その決議の取消しを請求した場合において、主務大臣は、その違反の事実があると認めるときは、当該決議を取り消すことができる。

2 前項の規定は、創立総会の場合について準用する。

 (主務大臣)

第五十九条 この法律において「主務大臣」とあるのは、農林大臣及び大蔵大臣とする。ただし、第五十五条及び第五十六条に規定する主務大臣の権限は、農林大臣又は大蔵大臣がそれぞれ単独に行使することを妨げない。

2 この法律に規定する主務大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に行なわせることができる。

   第八条 罰則

第六十条 第五十五条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第五十六条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。

2 協会の役員若しくは受託者の代表者又は協会若しくは受託者の代理人、使用人その他の従業者がその協会の業務又は受託者の受託した業務に関して、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その協会又は受託者に対しても同項の刑を科する。

第六十一条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした協会の役員又は清算人は、三万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定により主務大臣の認可を受けなければならない場合にその認可を受けなかつたとき。

 二 第七条第一項の政令の規定に違反して登記することを怠り、又は不実の登記をしたとき。

 三 この法律の規定に基づき協会が行なうことができる業務以外の業務を行なつたとき。

 四 第九条の規定に違反して資金を管理し、又は第十条第一項若しくは第三項若しくは第十一条の規定に違反する経理をしたとき。

 五 第十八条第一項の規定に違反して協会への加入を拒み、又は第十九条第二項後段の規定に違反して弁明の機会を与えなかつたとき。

 六 第二十条第三項の規定に違反して催告を怠つたとき。

 七 第三十五条の規定に違反して兼職したとき。

 八 第三十七条第一項、第三十八条又は第三十九条の規定に違反して総会を招集しなかつたとき。

 九 第四十一条又は第四十二条の規定に違反して書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに、その書類の閲覧を拒んだとき。

 十 第五十一条又は第五十三条の規定に違反して書類を提出せず、又はその書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき。

 十一 第五十二条の規定に違反して残余財産を処分したとき。

 十二 第五十四条において準用する民法第七十九条第一項又は同法第八十一条第一項に規定する公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。

 十三 第五十四条において準用する民法第七十九条第一項の期間内に債権者に弁済をしたとき。

 十四 第五十四条において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求を怠つたとき。

第六十二条 第六条第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (財団法人からの引継ぎ)

第二条 この法律の施行の際現に存する民法第三十四条の規定により設立した財団法人で第八条に規定する業務を主たる業務として行なうもの(以下「財団法人」という。)は、その寄附行為で定めるところにより、その主たる事務所の所在地をその区域に含む都道府県の区域を区域とする協会の発起人に対して、当該協会において当該財団法人の権利及び義務を承継すべき旨を申し出ることができる。

2 前項の申出があつた場合において、協会の創立総会でその申出を承認する旨の議決があつたときは、財団法人の権利及び義務は、協会の成立の時において協会に承継されるものとし、財団法人は、その時において解散するものとする。この場合においては、他の法令中法人の解散及び清算に関する規定は、適用しない。

3 前項の規定により財団法人が解散した場合におけるその解散の登記については、政令で定める。

4 第二項の規定により協会が財団法人の権利及び義務を承継した場合には、当該財団法人の純財産のうちその寄附行為に基づいて定めた額は、当該協会の成立の時に、当該寄附行為により定めた者から当該協会に出資されたものとする。

 (名称制限に関する経過措置)

第三条 この法律の施行の際現にその名称中に農業信用基金協会であることを示すような文字を用いている者は、この法律の施行後一年以内にその名称を変更しなければならない。

2 第六条第二項の規定は、前項に規定する期間内は、同項に規定する者には、適用しない。

 (農業改良資金助成法の一部改正)

第四条 農業改良資金助成法(昭和三十一年法律第百二号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「農業技術を導入し、及び農業施設を改良し、造成し、又は取得する」を「農業技術を導入する」に改め、「又は農業者等が融資を受ける施設資金に係る債務の保証」を削る。

  第二条第二項を削る。

  第三条第一項中「次に掲げる事業」を「農業者又はその組織する団体(以下「農業者等」という。)に対する技術導入資金の貸付けの事業」に改め、第一号及び第二号を削り、同条第二項中「並びに同項第一号及び第二号の事業別」を削る。

  第四条及び第六条第一項中「第一号」を削る。

  第七条中「第一号」を削り、「同号」を「同項」に改める。

  第八条中「第一号」を削る。

  第十二条から第十七条までを次のように改める。

 第十二条から第十七条まで 削除

  第十八条第二項中「、保証債務の弁済により得た求償権の行使により取得する金額」を削り、「保証債務に係る弁済金、利子補給金、貸付及び債務の保証」を「貸付」に改める。

  第十九条を次のように改める。

 第十九条 削除

  第二十条第一項中「及び債務の保証」を削る。

  第二十一条中「と保証債務の弁済金の財源に充てるため一般会計から特別会計に繰り入れる金額に相当する金額との合計額」を削る。

  第二十二条中「次に掲げる金額」を「その廃止の際における貸付金の未貸付額及びその後において支払いを受けた貸付金の償還金の額の合計額」に改め、第一号及び第二号を削る。

 (都道府県の保証業務の引継ぎ等)

第五条 この法律の施行前に改正前の農業改良資金助成法(以下「旧法」という。)第三条第一項第二号の債務の保証の事業を行なつていた都道府県が、この法律の施行の日から一年を経過する日までに、当該都道府県の議会の議決を経て、当該都道府県の区域をその区域として設立される協会に当該事業に係る権利及び義務を移転する旨を公示したときは、当該協会は、その公示したところに従つて当該権利及び義務を承継するものとする。

2 前項の規定により協会が同項に規定する事業に係る都道府県の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、農業改良資金助成法第十八条第一項に規定する特別会計の旧法第三条第一項第二号の債務の保証に係る部門に属する現金及び預金の合計額(一万円未満の端数の額があるときは、これを切りすてた額)は、当該都道府県から当該協会に出資されたものとする。

3 第一項の規定により協会がその権利及び義務を承継した旧法第三条第一項第二号の事業に係る債務の保証は、第八条第一号に規定する農業近代化資金に係る債務の保証とみなす。

4 この法律の施行前に都道府県が締結した旧法第三条第一項第二号の債務の保証に関する契約に係る事業(第一項の規定によりその権利及び義務を協会に承継したものを除く。)については、なお従前の例による。

5 第一項の規定により都道府県から旧法第三条第一項第二号の事業に係る権利及び義務を承継した協会は、同号の債務の保証を受けて同号の条件で貸し付けられた資金につき、当該都道府県が農業協同組合との契約により、引き続き利子補給を行なうときは、その利子補給に要する財源に充てるため、農林大臣が定める金額を当該都道府県に納付しなければならない。

6 前項に規定する利子補給に関する都道府県の経理について必要な事項は、政令で定める。

 (その他の法律の一部改正)

第六条 農林中央金庫法の一部を次のように改正する。

  第五条第一項中「漁船保険組合」の下に「、農業信用基金協会」を加える。

第七条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第十二条第一項第九号中「信用保証協会」の下に「、農業信用基金協会」を加える。

第八条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第十条第一項第五号の三中「及び債務保証」を削る。

第九条 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。

  第一条第七号の次に次の一号を加える。

  七の二 農業信用基金協会法(昭和三十六年法律第二百四号)

第十条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第十九条第七号中「酪農振興基金」の下に「、農業信用基金協会」を、「酪農振興基金法」の下に「、農業信用基金協会法」を加える。

第十一条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。

  第五条第九号ノ八中「開拓融資保証協会」を「農業信用基金協会又ハ開拓融資保証協会」に改める。

第十二条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第十二号中「奄美群島復興信用基金」の下に「、農業信用基金協会」を加える。

第十三条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項第四号中「信用保証協会」の下に「、農業信用基金協会」を加える。

第十四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の五第一項第四号中「信用保証協会」の下に「、農業信用基金協会」を加える。

(法務・大蔵・農林・自治・内閣総理大臣署名) 

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