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法律第百二十一号(昭三八・七・八)

  ◎職業安定法及び緊急失業対策法の一部を改正する法律

 (職業安定法の一部改正)

第一条 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。

  目次中

第四節 学生若しくは生徒又は学校卒業者の職業紹介

第五節 削除

 を

 第四節 学生若しくは生徒又は学校卒業者の職業紹介

第二章の二 中高年齢失業者等に対する就職促進の措置

 に改める。

  第二章第五節を削り、同章の次に次の一章を加える。

    第二章の二 中高年齢失業者等に対する就職促進の措置

  (計画の作成)

 第二十六条 労働大臣は、中高年齢の失業者その他就職が特に困難な失業者の就職を容易にするため、次の各号に掲げる措置(以下「就職促進の措置」という。)が効果的に関連して実施されるための計画を作成するものとする。

  一 職業指導及び職業紹介

  二 公共職業訓練

  三 国又は地方公共団体が実施する公共職業訓練以外の訓練で、失業者に作業環境に適応することを容易にさせ、又は就職に必要な知識及び技能を習得させるために行なわれるもの(国又は地方公共団体の委託を受けたものが行なうものを含む。)

  四 前各号に掲げるもののほか、労働省令で定めるもの

   労働大臣は、前項の計画を作成しようとする場合には、中央職業安定審議会の意見を聞かなければならない。

  (公共職業安定所長の指示)

 第二十七条 公共職業安定所長は、労働省令で定める年齢以上の失業者その他就職が特に困難な労働省令で定める失業者で、就職の意欲、求職の内容、生活の状況等からみて前条第一項の計画に準拠した就職促進の措置を受ける必要があると認定したものに対して、その者の知識、技能、職業経験その他の事情に応じ、期間を定めて就職促進の措置の全部又は一部を受けることを指示するものとする。

   公共職業安定所長は、前項の認定を受けた者が正当な理由がなく同項の指示に従わないと認めたとき、その他誠実かつ熱心に就職活動を行なつていないと認めたとき、又は同項の規定により指示した就職促進の措置を受けさせる必要がなくなつたと認めたときは、当該認定を取り消すことができる。

   公共職業安定所長は、第一項の認定をしようとするとき、又は前項の規定により第一項の認定を取り消そうとするときは、労働大臣が中央職業安定審議会の意見を聞いて定める基準及び手続によらなければならない。

   公共職業安定所長は、第一項の指示を受けた者の就職促進の措置の効果を高めるために必要があると認めたときは、その者に対する指示を変更することができる。

  (関係機関等の責務)

 第二十八条 職業安定機関、地方公共団体及び雇用促進事業団は、前条第一項の指示を受けた者の就職促進の措置の円滑な実施を図るため、相互に密接に連絡し、及び協力するように努めなければならない。

   前条第一項の指示を受けた者は、その就職促進の措置の実施に当たる職員の指導又は指示に従うとともに、自ら進んで、すみやかに職業につくことに努めなければならない。

  (手当の支給)

 第二十九条 国及び都道府県は、第二十七条第一項の指示を受けて就職促進の措置を受ける失業者に対して、その就職活動を容易にし、かつ、生活の安定を図るため、手当を支給することができる。

  (就職促進指導官)

 第三十条 公共職業安定所に就職促進指導官を置く。

   就職促進指導官は、専門的知識に基づいて、主として、第二十七条第一項の指示を受けた者に対し、職業指導を行なうものとする。

   前二項に定めるもののほか、就職促進指導官に関し必要な事項は、労働大臣が定める。

  (施行規定)

 第三十一条 第二十七条第一項の指示の手続及び第二十九条の手当の支給の基準に関し必要な事項は、労働省令で定める。

  第四十八条に次の一項を加える。

   行政庁は、第二十七条第一項の指示を受けて就職促進の措置を受ける者に対し、その就職活動の状況又は第二十九条の手当の支給に関し必要な事項について報告を求めることができる。

  第四十八条の次に次の一条を加える。

  (譲渡等の禁止)

 第四十八条の二 第二十九条の手当を受けることとなつた者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。

  第五十五条の次に次の一条を加える。

  (国の負担)

 第五十五条の二 国は、政令で定めるところにより、地方公共団体が実施する第二十六条第一項第三号に掲げる訓練に要する費用及び都道府県が支給する第二十九条の手当に要する費用の一部を負担する。

 (緊急失業対策法の一部改正)

第二条 緊急失業対策法(昭和二十四年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  目次中「(第一条―第三条)」を「(第一条―第四条)」に、「(第四条―第十一条)」を「(第五条―第十一条の二)」に、「第三章 公共事業(第十二条―第十六条)」を

第三章 公共事業(第十二条―第十六条)

第三章の二 失業対策事業賃金審議会(第十六条の二)

 に、「(第十七条―第二十二条)」を「第十六条の三―第二十三条)」に改める。

  第二条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。

 2 失業対策事業は、失業者就労事業及び高齢失業者等就労事業とする。

  第三条第二項中「公共事業」を「その事業」に改める。

  第五条を削り、第四条第三号中「失業者の」の下に「技能、体力等の」を加え、同条を第五条とし、第一章中第三条の次に次の一条を加える。

  (失業状勢の調査等)

 第四条 政府は、定期的に、雇用及び失業の状勢について必要な調査及び分析を行なうとともに、その状勢の推移に応じ、この法律に規定する失業対策の制度を検討するものとする。

  第六条を次のように改める。

  (失業対策事業の計画)

 第六条 労働大臣は、地域別の失業情況を調査し、多数の失業者が発生し、又は発生するおそれがあると認める地域ごとに、その地域に必要な失業対策事業の計画を樹立しなければならない。

  第七条に後段として次のように加える。

   この場合においては、あらかじめ、関係地方公共団体等の長の意見を聞くものとする。

  第八条に後段として次のように加える。

   前条後段の規定は、この場合について準用する。

  第九条中「地方公共団体等が、」の下に「政令で定めるところにより」を加える。

  第十条の見出し中「失業対策事業に使用する」を「失業者就労事業に就労する」に改め、同条第一項中「失業対策事業の事業主体が使用する」を「失業者就労事業に就労する」に、「及び監督者」を「、監督者その他労働省令で定める労働者」に改め、同条第二項を次のように改める。

 2 公共職業安定所が失業者就労事業に紹介する失業者は、公共職業安定所長が職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第二十七条第一項の規定により指示した就職促進の措置を受け終わつた者で、引き続き誠実かつ熱心に求職活動をしているものでなければならない。

  第十条に次の一項を加える。

 3 前項の規定にかかわらず、公共職業安定所長は、当該公共職業安定所の管轄区域の全部又は一部が労働大臣によつて失業者が就職することが著しく困難である地域として指定されたときは、当該地域に居住し、かつ、職業安定法第二十七条第一項の認定を受けている失業者で前項の要件に該当しないものを、労働大臣が指示するところにより、失業者就労事業に紹介することができる。

  第十条の次に次の一条を加える。

  (失業者就労事業就労者の賃金)

 第十条の二 失業者就労事業に就労する失業者に支払われるべき賃金は、労働大臣が定めるところによる。

 2 前項の賃金の額は、夏季又は年末に臨時に支払われるものについて特別の定めをする場合を除き、同一地域における類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金を考慮して、地域別に、作業の内容に応じて定めるものとする。

 3 労働大臣は、賃金を定めようとするときは、失業対策事業賃金審議会の意見を聞かなければならない。

  第十一条を次のように改める。

  (運営管理規程)

 第十一条 失業者就労事業の事業主体は、事業の適正な運営を図るため、労働省令で定めるところにより、運営管理規程を定めなければならない。

  第二章中第十一条の次に次の一条を加える。

  (高齢失業者等就労事業)

 第十一条の二 国又は地方公共団体等は、高年齢の失業者又はこれに類する体力の失業者に対し、その身体的又は精神的特殊性を考慮して、高齢失業者等就労事業を実施する。

 2 第十条第一項及び前二条の規定は、高齢失業者等就労事業について準用する。この場合において、第十条の二第二項中「同一地域における類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金」とあるのは、「同一地域における類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金及び社会保障制度による給付の水準」と続み替えるものとする。

 3 公共職業安定所が高齢失業者等就労事業に紹介する失業者は、労働省令で定める年齢以上の高齢者又は労働省令で定めるところにより体力がこれに類すると認められる者でなければならない。

  第十五条を次のように改める。

 第十五条 削除

  第十六条第一項中「から第十五条まで」を「及び第十四条」に改め、「規定は、」の下に「公共事業の」を加える。

  第三章の次に次の一章を加える。

    第三章の二 失業対策事業賃金審議会

  (失業対策事業賃金審議会)

 第十六条の二 労働省に、失業対策事業賃金審議会(以下「審議会」という。)を置く。

 2 審議会は、失業者就労事業及び高齢失業者等就労事業の賃金に関する事項について労働大臣の諮問に応ずる。

 3 審議会は、五人以内の委員をもつて組織する。

 4 委員は、学識経験を有する者のうちから、労働大臣が任命する。

 5 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 6 委員は、非常勤とする。

 7 第一項から前項までに定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、労働省令で定める。

  第四章中第十七条の前に次の一条を加える。

 (指導調整)

 第十六条の三 労働大臣は、事業主体に対し、失業対策事業の実施に関し必要な指導又は調整を行なうことができる。

 2 前項に規定する労働大臣の職権で政令で定めるものは、都道府県知事が行なう。

  第四章中第二十二条の次に次の一条を加える。

 (省令への委任)

 第二十三条 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関する細目は、労働省令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律中職業安定法第二十六条の改正規定、この法律による改正後の緊急失業対策法第三章の二の規定及び附則第三条の規定は、公布の日から、この法律による改正後の緊急失業対策法第十一条の二の規定は、昭和三十九年四月一日から、その他の規定は、昭和三十八年十月一日から施行する。

 (経過措置)

第二条 緊急失業対策法第二条の改正規定の施行の際現に計画実施されているこの法律による改正前の同法の規定による失業対策事業は、この法律による改正後の同法の規定による失業者就労事業となり、同一性をもつて存続するものとする。

2 失業者就労事業に就労する失業者に支払われる賃金で昭和三十九年三月三十一日以前に係るものについては、この法律による改正前の緊急失業対策法第十条第二項の規定による賃金決定の例による。

3 緊急失業対策法第十条の改正規定の施行の際現に失業者であつて、同条の改正規定の施行前二月間に十日以上失業対策事業に使用されたもの及び労働省令で定めるこれに準ずる失業者は、この法律による改正後の同条第二項の規定の適用については、同条の改正規定の施行の日に、公共職業安定所長がこの法律による改正後の職業安定法第二十七条第一項の規定により指示した就職促進の措置を受け終わつた者とみなす。

 (労働省設置法の一部改正)

第三条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

  第十三条の表中

身体障害者雇用審議会

労働大臣の諮問に応じ、身体障害者の雇用の促進に関する重要事項を調査審議すること。

 を

身体障害者雇用審議会

労働大臣の諮問に応じ、身体障害者の雇用の促進に関する重要事項を調査審議すること。

失業対策事業賃金審議会

労働大臣の諮問に応じ、失業者就労事業及び高齢失業者等就労事業の賃金に関する事項を審議すること。

 に改める。

 (職業訓練法の一部改正)

第四条 職業訓練法(昭和三十三年法律第百三十三号)の一部を次のように改正する。

  第二条第三項中「事業主」を「事業主等」に改める。

  第九条中「又は第十五条第一項の規定による認定を受けた事業主」を「、第十五条第一項の規定による認定を受けた事業主又は当該職業訓練を適確に遂行するに足りる能力を有すると労働大臣が認めるもの」に改める。

 (炭鉱離職者臨時措置法の一部改正)

第五条 炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)の一部を次のように改正する。

  第十五条を次のように改める。

  (就職促進指導官)

 第十五条 第十三条第一項の規定による就職指導は、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十条第一項の就職促進指導官に行なわせるものとする。

(大蔵・労働・自治・内閣総理大臣署名) 

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