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法律第百五十八号(昭三九・七・八)

  ◎漁業災害補償法

目次

 第一章 総則(第一条−第三条)

 第二章 漁業共済団体の組織及び監督

   第一節 総則(第四条―第十一条)

   第二節 漁業共済組合

    第一款 組合員(第十二条―第二十一条)

    第二款 管理(第二十二条―第四十三条)

    第三款 設立(第四十四条―第四十九条)

    第四款 解散及び清算(第五十条―第六十一条)

   第三節 漁業共済組合連合会(第六十二条―第六十七条)

   第四節 監督(第六十八条―第七十六条)

  第三章 漁業共済組合の漁業共済事業

   第一節 通則(第七十七条―第百三条)

   第二節 漁獲共済(第百四条―第百十三条)

   第三節 養殖共済(第百十四条―第百二十五条)

   第四節 漁具共済(第百二十六条―第百三十七条)

 第四章 漁業共済組合連合会の漁業再共済事業(第百三十八条―第百四十七条)

 第五章 漁業共済基金

  第一節 総則(第百四十八条―第百六十二条)

  第二節 役員等(第百六十三条―第百七十五条)

  第三節 業務(第百七十六条―第百八十条)

  第四節 財務及び会計(第百八十一条―第百八十八条)

  第五節 監督(第百八十九条・第百九十条)

  第六節 雑則(第百九十一条―第百九十四条)

 第六章 国の助成(第百九十五条・第百九十六条)

 第七章 罰則(第百九十七条―第二百一条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、中小漁業者がその営む漁業につき異常の事象又は不慮の事故によつて受けることのある損失を補てんするため、その協同組織を基盤とする漁業共済団体の行なう漁業災害補償の制度及びその健全かつ円滑な運営を確保するための措置を定めて、中小漁業者の漁業再生産の阻害の防止及び漁業経営の安定に資することを目的とする。

 (漁業災害補償の制度)

第二条 漁業災害補償の制度は、漁業共済組合が行なう漁業共済事業及び漁業共済組合連合会が行なう漁業再共済事業により、中小漁業者の相互救済の精神を基調として、その漁獲金額の減少又は養殖水産動植物、養殖施設若しくは漁具に係る損害に関して必要な給付を行なう制度とする。

 (定義)

第三条 この法律において「中小漁業者」とは、次に掲げる者をいう。

 一 漁業を営む個人

 二 漁業を営む漁業協同組合

 三 漁業生産組合

 四 漁業を営む法人(前二号に掲げる者を除く。)であつて、その常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船(漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)第二条第一項に規定する漁船をいう。以下同じ。)の合計総トン数が千トン(水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十八条第四項の規定により組合員たる資格を有する者を特定の種類の漁業を営む者に限る漁業協同組合の組合員たる法人にあつては、二千トン)以下であるもの

   第二章 漁業共済団体の組織及び監督

    第一節 総則

 (漁業共済団体の目的)

第四条 漁業共済組合及び漁業共済組合連合会(以下「漁業共済団体」と総称する。)は、中小漁業者の協同組織を基盤とする系統団体として、その協同組織を構成する中小漁業者のために、漁業共済事業又は漁業再共済事業を行なうことを目的とする。

 (法人格)

第五条 漁業共済団体は、法人とする。

 (名称)

第六条 漁業共済団体は、その名称中に漁業共済組合又は漁業共済組合連合会という文字を用いなければならない。

2 漁業共済団体でない者は、その名称中に漁業共済組合又は漁業共済組合連合会という文字を用いてはならない。

 (地区)

第七条 漁業共済組合(以下「組合」という。)の地区は、一の都道府県の区域(特別の事由により農林大臣の承認を受けた場合には、その承認に係る二以上の都道府県の区域)による。

2 漁業共済組合連合会(以下「連合会」という。)の地区は、全国の区域による。

 (住所)

第八条 漁業共済団体の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

 (登記)

第九条 漁業共済団体は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。

2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (事業)

第十条 漁業共済団体は、第四条の目的を達成するため、漁業共済事業又は漁業再共済事業及びこれらに附帯する事業を行なう。

 (事業年度)

第十一条 漁業共済団体の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。ただし、設立当初の事業年度は、漁業共済団体の成立の日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

    第二節 漁業共済組合

     第一款 組合員

 (組合員たる資格)

第十二条 組合の組合員たる資格を有する者は、次に掲げる者であつて、組合の地区内に住所を有するものとする。

 一 漁業協同組合

 二 漁業協同組合連合会

 (出資)

第十三条 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。

2 出資一口の金額は、一万円とする。

3 出資は、現金をもつて、出資の各口につきその全額を払い込むものとする。

4 組合員は、出資の払込みについて、相殺をもつて組合に対抗することができない。

5 組合員の責任は、その出資額を限度とする。

 (持分の譲渡し)

第十四条 組合員は、組合の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。

2 組合員でない者が持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。

3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。

4 組合員は、持分を共有することができない。

 (組合の持分取得等の禁止)

第十五条 組合は、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。

 (議決権)

第十六条 組合員は、各一個の議決権を有する。

2 組合員は、定款で定めるところにより、第三十三条第三項の規定によりあらかじめ通知があつた事項につき、書面又は代理人をもつて議決権を行なうことができる。

3 前項の規定により議決権を行なう者は、出席者とみなす。

4 代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。

 (加入)

第十七条 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒んではならない。

2 組合に加入しようとする者は、定款で定めるところにより、加入につき組合の承認を得て、引受出資口数に応ずる金額を払い込み、又は組合員の持分の全部若しくは一部を承継した時に組合員となる。

 (脱退)

第十八条 組合員は、次に掲げる事由によつて脱退する。

 一 組合員たる資格の喪失

 二 解散

 三 除名

2 除名は、定款で定める事由に該当する組合員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合には、組合は、その総会の会日の十日前までにその組合員に対してその旨を通知し、かつ、総会で弁明する機会を与えなければならない。

3 除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。

第十九条 組合員は、九十日前までに予告して、事業年度の終りにおいて脱退することができる。

 (脱退者に対する払いもどし)

第二十条 組合員が脱退したときは、その者は、定款で定めるところにより、その出資額を限度として、その持分の全部又は一部の払いもどしを請求することができる。

2 組合員が脱退した場合において、組合と当該組合員であつた漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の組合員又は会員(当該漁業協同組合を含み、他の漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の組合員又は会員であるもので農林省令で定めるものを除く。)との間に漁業共済事業に係る共済契約が成立しているときは、当該組合は、農林省令で定める基準に従い、定款で定めるところにより、当該共済契約の全部が終了し又は失効する時まで、その脱退した者に対し、前項の払いもどしを停止することができる。

3 第一項の規定による請求権は、脱退の時(前項の規定により払いもどしを停止されたときは、払いもどしを請求することができるようになつた時)から二年間行なわないときは、時効によつて消滅する。

 (出資口数の減少)

第二十一条 組合員は、組合の承認を得て、事業年度の終りにおいて、その出資口数を減少することができる。

2 組合員は、前項の規定により出資口数を減少しようとするときは、九十日前までに組合に予告しなければならない。

3 第一項の承認の基準は、出資口数を減少しようとする組合員の組合員又は会員に係る漁業共済事業の利用の状況等に応じて、農林省令で定める基準に従い、組合が定款で定めるものとする。

4 第一項の規定による出資口数の減少については、前条第一項及び第三項の規定を準用する。

     第二款 管理

 (定款に記載すべき事項)

第二十二条 組合の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 地区

 四 事務所の所在地

 五 組合員たる資格並びに組合員の加入及び脱退に関する規定

 六 出資の払込みの方法

 七 漁業共済事業の種類

 八 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定

 九 準備金に関する規定

 十 役員の定数、職務の分担及び選任に関する規定

 十一 公告の方法

 (共済規程)

第二十三条 組合は、共済規程をもつて、次に掲げる事項を規定しなければならない。

 一 漁業共済事業の細目に関する事項

 二 共済掛金に関する事項

 三 共済金額に関する事項

 四 共済責任に関する事項

 五 損失又は損害の認定に関する事項その他漁業共済事業の実施の方法に関する事項

 六 前各号に掲げるもののほか、共済契約の締結に関する事項その他農林省令で定める事項

2 農林大臣は、模範共済規程例を定めることができる。

 (規約)

第二十四条 次に掲げる事項は、定款及び共済規程で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。

 一 総会に関する事項

 二 業務の執行及び会計に関する事項

 三 役員に関する事項

 四 組合員に関する事項

 五 その他必要な事項

 (役員の定数及び選任)

第二十五条 組合に、役員として理事及び監事を置く。

2 理事の定数は、五人以上とし、監事の定数は、二人以上とする。

3 役員は、定款で定めるところにより、総会において選任する。ただし、設立当時の役員は、創立総会において(合併による設立の場合には、設立委員が共同して)選任する。

4 理事の定数の少なくとも五分の三は、組合の組合員たる漁業協同組合若しくは漁業協同組合連合会の理事又は組合の組合員たる漁業協同組合の組合員(准組合員を除くものとし、法人にあつてはその代表者とする。以下この項において同じ。)でなければならない。ただし、設立当時の理事の定数の少なくとも五分の三は、創立総会の開会までに出資の引受けをした漁業協同組合若しくは漁業協同組合連合会の理事又はその時までに出資の引受けをした漁業協同組合の組合員(合併による設立の場合には、合併に係る組合の組合員たる漁業協同組合若しくは漁業協同組合連合会の理事又は合併に係る組合の組合員たる漁業協同組合の組合員)でなければならない。

 (役員の任期)

第二十六条 役員の任期は、三年とする。ただし、定款で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。

2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会において(合併による設立の場合には、設立委員が共同して)定める期間とする。ただし、その期間は、一年をこえてはならない。

3 理事又は監事の全員が欠けたときは、第三十六条又は第七十四条の規定による解任の場合を除き、退任した理事又は監事は、後任者のうち少なくとも一人が就任するまで、なおその職務を行なう。

 (役員の忠実義務)

第二十七条 役員は、法令、法令に基づいてする行政庁の処分、定款、共済規程、規約及び総会の決議を遵守し、組合のため忠実にその職務を遂行しなければならない。

2 役員がその任務を怠つたときは、その役員は、組合に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。

3 役員がその職務を行なうにつき悪意又は重大な過失があつたときは、その役員は、第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。重要な事項につき、第三十五条第一項に規定する書類に虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも、同様とする。

 (監事の兼職禁止)

第二十八条 監事は、理事又は組合の使用人と兼ねてはならない。

 (理事の自己契約等の禁止)

第二十九条 組合が理事と契約をするときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、同様とする。

 (総会の招集)

第三十条 理事は、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。

2 理事は、必要があると認めるときは、何時でも臨時総会を招集することができる。

第三十一条 組合員が総組合員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に総会を招集しなければならない。

第三十二条 理事の職務を行なう者がないとき、又は前条の請求があつた場合において理事が正当な理由がないのに総会の招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。

 (組合員に対する通知又は催告)

第三十三条 組合が組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を組合に通知したときは、その場所)にあててすれば足りる。

2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。

3 総会の招集の通知は、その会日の七日前までに、その会議の目的たる事項を示してしなければならない。

 (定款その他の書類の備付け及び閲覧)

第三十四条 理事は、定款、共済規程、規約及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。

2 組合員名簿には、各組合員について次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 名称及び住所

 二 加入の年月日

 三 出資口数及び出資各口の取得の年月日

3 組合員及び組合の債権者は、第一項に規定する書類の閲覧を求めることができる。

 (決算関係書類の提出、備付け及び閲覧)

第三十五条 理事は、通常総会の会日の七日前までに、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、かつ、これらの書類を主たる事務所に備えて置かなければならない。

2 組合員及び組合の債権者は、前項に規定する書類の閲覧を求めることができる。

3 第一項に規定する書類を通常総会に提出するときは、監事の意見書を添附しなければならない。

 (役員の解任の請求)

第三十六条 組合員は、総組合員の五分の一以上の連署をもつて、その代表者から役員の解任を請求することができる。

2 前項の規定による請求は、理事の全員又は監事の全員について、同時にしなければならない。ただし、法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款、共済規程若しくは規約の違反を理由として解任を請求する場合は、この限りでない。

3 第一項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を組合に提出してしなければならない。

4 第一項の規定による請求があつたときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に総会を招集し、これを総会の議に付さなければならない。この場合には、第三十二条の規定を準用する。

5 第三項の規定による書面の提出があつたときは、組合は、総会の会日の十日前までに当該請求に係る役員にその書面又はその写しを送付し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。

6 第一項の規定による請求につき、総会において出席者の過半数の同意があつたときは、その請求に係る役員は、その時にその職を失う。

 (役員に関する商法等の準用)

第三十七条 役員については、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百五十四条第三項(取締役と会社との関係)及び第二百五十六条第三項(取締役の任期の特例)の規定を、理事については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条第一項(法人の不法行為能力)、第五十二条第二項(理事の業務執行)及び第五十三条から第五十六条まで(理事の代表権等)の規定を、監事については、同法第五十九条(監事の職務)の規定を準用する。この場合において、同法第五十六条中「裁判所」とあるのは、「農林大臣」と読み替えるものとする。

 (参事及び会計主任)

第三十八条 組合は、参事及び会計主任を選任し、その主たる事務所又は従たる事務所において、その業務を行なわせることができる。

2 参事及び会計主任の選任及び解任は、理事の過半数によつて決する。

3 参事については、商法第三十八条第一項及び第三項(支配人の代理権)、第三十九条(共同支配人)、第四十一条(支配人の義務)並びに第四十二条(表見支配人)の規定を準用する。

第三十九条 組合員は、総組合員の十分の一以上の同意を得て、理事に対し、参事又は会計主任の解任を請求することができる。

2 前項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。

3 第一項の規定による請求があつたときは、理事は、当該参事又は会計主任の解任の可否を決しなければならない。

4 理事は、前項の可否を決する日の十日前までに当該参事又は会計主任に対して第二項の書面又はその写しを送付し、かつ、弁明する機会を与えなければならない。

 (総会の議決事項)

第四十条 次に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。

 一 定款の変更

 二 共済規程の変更

 三 規約の設定、変更及び廃止

 四 毎事業年度の事業計画の設定及び変更

 五 事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案

2 定款又は共済規程の変更は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 前項の認可の申請があつた場合には、第四十七条の規定を準用する。

 (総会の議事)

第四十一条 総会の議事は、この法律、定款又は規約に特別の定めがある場合を除き、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

2 議長は、総会において選任する。

3 議長は、組合員として総会の議決に加わる権利を有しない。

 (特別の議決)

第四十二条 次に掲げる事項は、総組合員の過半数が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

 一 定款の変更

 二 組合の解散又は合併

 三 組合員の除名

 (総会に関する民法等の準用)

第四十三条 総会については、民法第六十四条(総会の決議事項)及び第六十六条(表決権のない場合)並びに商法第二百四十三条(総会の延期又は続行の決議)及び第二百四十四条(総会の議事録)の規定を準用する。この場合において、民法第六十四条中「第六十二条」とあり、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは、「漁業災害補償法第三十三条第三項」と読み替えるものとする。

     第三款 設立

 (発起人)

第四十四条 組合を設立するには、その組合員になろうとする五以上の漁業協同組合又は漁業協同組合連合会が発起人となることを必要とする。

2 発起人は、定款及び共済規程を作成しなければならない。

3 定款には、発起人が署名しなければならない。

 (創立総会)

第四十五条 発起人は、定款及び共済規程を作成したときは、これらを会議の日時、場所及び議題とともに公告して、創立総会を開かなければならない。

2 前項の規定による公告は、組合員たる資格を有する者に周知させることができるような方法で、会日の十五日前までにしなければならない。

3 組合の設立に同意した組合員たる資格を有する者(発起人を含む。)は、創立総会の開会までに、書面によつて出資の引受けをしなければならない。

4 定款及び共済規程の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。

5 創立総会においては、定款及び共済規程を修正することができる。

6 創立総会の議事は、組合員たる資格を有する者であつてその開会までに出資の引受けをしたものの過半数が出席し、その議決権の三分の二以上で決する。

7 創立総会については、第十六条、第四十一条第二項及び第三項、民法第六十六条並びに商法第二百四十三条及び第二百四十四条の規定を準用する。この場合において、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「漁業災害補償法第四十五条第一項」と、同法第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「発起人」と読み替えるものとする。

 (設立の認可の申請)

第四十六条 発起人は、創立総会の終了の後遅滞なく、定款、共済規程及び事業計画を農林大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。

 (設立の認可)

第四十七条 農林大臣は、前条の認可の申請があつた場合において、次の各号の一に該当せず、かつ、その事業がその地区に係る中小漁業の実情に応じて総合的にその利益を増進するのに足るものであり、あわせてその事業経営が健全に行なわれると認められるときは、設立の認可をしなければならない。

 一 設立の手続又は定款、共済規程若しくは事業計画の内容が、法令又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反するとき。

 二 定款、共済規程又は事業計画に、虚偽の記載があり、又は記載すべき事項の記載が欠けているとき。

 三 組合員たる資格を有する者で出資の引受けをしたものの数が組合員たる資格を有する者の総数の三分の一(農林省令で定める都道府県の区域をその地区とする組合については、四分の一を下らない範囲内において農林省令で定める一定の割合)に達しないとき。

 四 地区の全部又は一部をその地区の全部又は一部とする他の組合が既に成立しているとき。

 (理事への事務の引継ぎ)

第四十八条 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なく、その事務を理事に引き継がなければならない。

2 理事は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、第四十五条第三項の規定による出資の引受けをした者に対し、その出資の払込みをさせなければならない。

 (成立の時期)

第四十九条 組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。

     第四款 解散及び清算

 (解散事由)

第五十条 組合は、次に掲げる事由によつて解散する。

 一 総会の議決

 二 組合の合併

 三 組合の破産

 四 第七十四条の規定による解散の命令

2 解散の決議は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 農林大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、第一項第一号の議決の手続が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反しないと認められるときは、前項の認可をしなければならない。

4 組合は、第一項に掲げる事由によるほか、組合員が五人未満になつたことによつて解散する。

5 組合は、前項の規定により解散したときは、解散の日から十五日以内にその旨を農林大臣に届け出なければならない。

 (合併の手続)

第五十一条 組合が合併しようとするときは、総会において合併を議決しなければならない。

2 合併は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 前項の認可の申請があつた場合には、第四十七条の規定を準用する。

第五十二条 組合は、合併の議決をしたときは、その議決の日から十五日以内に財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。

2 前項の組合は、同項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。

3 前項の一定の期間は、三十日を下つてはならない。

第五十三条 債権者が前条第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、組合の合併を承認したものとみなす。

2 債権者が前条第二項の一定の期間内に異議を述べたときは、組合は、弁済をし、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。

 (新設合併の手続)

第五十四条 合併によつて組合を設立するには、各組合の総会において組合員のうちから選任した設立委員が共同して定款及び共済規程を作成し、その他設立に必要な行為をしなければならない。

2 前項の規定による設立委員の選任については、第四十二条の規定を準用する。

 (合併の時期)

第五十五条 組合の合併は、合併後存続する組合又は合併によつて設立する組合が、その主たる事務所の所在地において、合併による変更又は設立の登記をすることによつてその効力を生ずる。

 (合併による権利義務の承継)

第五十六条 合併後存続する組合又は合併によつて設立した組合は、合併によつて消滅した組合の権利義務(当該組合がその行なう事業に関し、行政庁の許可、認可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

 (清算人)

第五十七条 組合が解散したときは、合併及び破産による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。ただし、総会において他人を選任したときは、この限りでない。

 (清算事務)

第五十八条 清算人は、就職の後遅滞なく、組合の財産の状況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作り、財産処分の方法を定め、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。

第五十九条 清算人は、組合の債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを組合員に対し、出資口数に応じて分配しなければならない。

2 前項の規定により組合員に分配することができる金額は、その出資額を限度とする。

3 第一項の規定による分配の結果なお残余財産がある場合におけるその財産の処分については、政令で定める。

第六十条 清算事務が終わつたときは、清算人は、遅滞なく、決算報告書を作り、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。

 (民法及び非訟事件手続法の準用)

第六十一条 組合の解散及び清算については、民法第七十三条(清算法人)、第七十五条(裁判所による清算人の選任)、第七十六条(清算人の解任)及び第七十八条から第八十三条まで(清算人の職務権限等)並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項(法人の解散及び清算の監督の管轄)、第三十六条(検査人の選任)、第三十七条ノ二(清算人等の報酬)、第百三十五条ノ二十五第二項及び第三項(意見の聴取等)、第百三十六条前段(管轄裁判所)、第百三十七条前段(清算人の選任又は解任の裁判)並びに第百三十八条(清算人不適格者)の規定を準用する。この場合において、民法第七十五条中「前条」とあるのは、「漁業災害補償法第五十七条」と読み替えるものとする。

    第三節 漁業共済組合連合会

 (会員たる資格)

 第六十二条 連合会の会員たる資格を有する者は、組合とする。

 (当然加入)

 第六十三条 連合会が成立したときは、組合は、その時にすべて連合会の会員となる。連合会が成立した後に組合が成立したときも、同様とする。

2 前項の場合における連合会に対する会員の出資の引受け及び払込みに関し必要な事項は、連合会の設立の発起人となつた会員及びその設立に同意した会員に係るものを除き、農林省令で定める。

 (脱退)

第六十四条 組合は、その解散により連合会から脱退する。

 (共済規程)

第六十五条 連合会は、共済規程をもつて、次に掲げる事項を規定しなければならない。

 一 漁業再共済事業の細目に関する事項

 二 再共済掛金に関する事項

 三 再共済金額に関する事項

 四 再共済責任に関する事項

 五 漁業再共済事業の実施の方法に関する事項

 六 前各号に掲げるもののほか、農林省令で定める事項

 (発起人)

第六十六条 連合会を設立するには、五以上の組合が発起人となることを必要とする。

 (準用規定)

第六十七条 連合会の会員に関する事項については、第六十二条から第六十四条までに規定するもののほか、第十三条、第十四条第一項、第三項及び第四項、第十五条、第十六条、第二十条第一項及び第三項並びに第二十一条の規定を準用する。この場合において、第十三条第二項中「一万円」とあるは「十万円」と読み替えるものとする。

2 連合会の管理に関する事項については、第六十五条に規定するもののほか、第二十二条及び第二十四条から第四十三条までの規定を準用する。この場合において、第二十五条第四項中「組合の組合員たる漁業協同組合若しくは漁業協同組合連合会の理事又は組合の組合員たる漁業協同組合の組合員(准組合員を除くものとし、法人にあつてはその代表者とする。以下この項において同じ。)」とあり、「漁業協同組合若しくは漁業協同組合連合会の理事又はその時までに出資の引受けをした漁業協同組合の組合員」とあるのは、「組合の理事」と読み替えるものとする。

3 連合会の設立に関する事項については、前条に規定するもののほか、第四十四条第二項及び第三項並びに第四十五条から第四十九条までの規定を準用する。この場合において、第四十七条第三号中「数が組合員たる資格を有する者の総数の三分の一(農林省令で定める都道府県の区域をその地区とする組合については、四分の一を下らない範囲内において農林省令で定める一定の割合)に達しない」とあるのは、「地区があわせて十五以上の都道府県の区域を包括することとならない」と読み替えるものとする。

4 連合会の解散及び清算に関する事項については、第五十条及び第五十七条から第六十一条までの規定を準用する。

    第四節 監督

 (報告の徴収)

第六十八条 農林大臣は、漁業共済団体の業務又は財産の状況に関して監督上必要があると認めるときは、漁業共済団体又は第百一条第一項の規定により組合から事務の委託を受けた者(以下この節及び第百九十七条第二項において「受託者」という。)から、その業務又は財産の状況に関し必要な報告を徴することができる。ただし、受託者については、その委託された事務の範囲内に限る。

 (請求検査)

第六十九条 組合員又は会員が、総組合員又は総会員の十分の一以上の同意を得て、農林大臣に対し、漁業共済団体又は受託者の業務又は会計(受託者については、その委託された事務の範囲内に限る。以下この条、第七十一条及び第七十二条において同じ。)が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款、共済規程若しくは規約に違反する疑いがあることを理由として当該漁業共済団体又は受託者の検査を行なうべき旨を請求したときは、農林大臣は、当該漁業共済団体又は受託者の業務又は会計の状況を検査しなければならない。

 (常例検査)

第七十条 農林大臣は、漁業共済団体の業務又は会計の状況につき、毎年一回を常例として検査しなければならない。

 (随時検査)

第七十一条 農林大臣は、漁業共済団体又は受託者の業務又は会計が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款、共済規程若しくは規約に違反する疑いがあると認めるときは、何時でも、その漁業共済団体又は受託者の業務又は会計の状況を検査することができる。

 (必要措置命令)

第七十二条 農林大臣は、第六十八条の規定により報告を徴した場合又は第六十九条から前条までの規定により検査を行なつた場合において、漁業共済団体又は受託者の業務又は会計が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款、共済規程若しくは規約に違反すると認めるときは、当該漁業共済団体又は当該受託者に事務を委託した漁業共済団体に対し、必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

 (監督命令)

第七十三条 農林大臣は、前条の規定によるほか、漁業共済事業又は漁業再共済事業を適正円滑に行なわせるため特に必要があるときは、漁業共済団体に対し、業務の執行方法の変更その他監督上必要な命令をすることができる。

 (役員の解任等の命令)

第七十四条 漁業共済団体が前二条の規定による命令に違反したときは、農林大臣は、当該漁業共済団体の役員を解任し、又は当該漁業共済団体の解散を命ずることができる。

 (議決の取消し)

第七十五条 組合員又は会員が、総組合員又は総会員の十分の一以上の同意を得て、総会の招集手続又は議決の方法が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反することを理由として、その議決の日から三十日以内に、その決議の取消しを請求した場合において、農林大臣は、その違反の事実があると認めるときは、当該決議を取り消すことができる。

2 創立総会については、前項の規定を準用する。

 (権限の委任)

第七十六条 この節に規定する農林大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に行なわせることができる。

   第三章 漁業共済組合の漁業共済事業

    第一節 通則

 (漁業共済事業の種類)

第七十七条 組合が行なう漁業共済事業の種類は、次に掲げるとおりとする。

 一 漁獲共済

 二 養殖共済

 三 漁具共済

 (漁業共済事業の内容)

第七十八条 漁獲共済は、被共済者又はその構成員が営む漁業の共済責任期間中の操業に係る漁獲金額又は構成員を通ずる漁獲金額の合計額が共済限度額に達しない場合の被共済者又はその構成員の損失について、被共済者に対し共済金を交付する事業とする。

2 養殖共済は、被共済者が営む養殖業に係る養殖水産動植物(養殖中の水産動植物をいう。以下同じ。)又は当該養殖水産動植物に係る養殖施設(水産動植物の養殖の用に供する施設で当該養殖業を営む者が所有するものをいう。以下同じ。)がその養殖中又は供用中に流失し、損壊した等の場合の被共済者の損害について、被共済者に対し共済金を交付する事業とする。

3 漁具共済は、被共済者の所有する漁具が当該漁具をその用に供する漁業の操業中に損壊した等の場合の被共済者の損害について、被共済者に対し共済金を交付する事業とする。

 (漁業共済事業の実施)

第七十九条 組合は、政令で定めるところにより、少なくとも、漁獲共済及び養殖共済又はそのいずれか一の種類の漁業共済事業を行なわなければならない。

 (共済契約の成立)

第八十条 共済契約は、漁獲共済にあつては第百四条に規定する種目ごと、養殖共済にあつては第百十四条に規定する養殖業の種類ごと、漁具共済にあつては共済目的の種類たる漁具ごとに、農林省令で定めるところにより、共済契約を組合との間に締結することができる者が共済規程で定める申込期間内に共済規程で定める様式の申込書を組合に提出して申し込み、組合がこれを承諾することによつて成立する。

2 組合は、第百四条第二号に掲げる漁業に係る共済契約、同条第三号に掲げる漁業若しくは第百十四条第一号に掲げる養殖業に係る共済契約(農林省令で定めるものに限る。)又は同条第二号に掲げる養殖業に係る共済契約については、共済規程で定めるところにより、前項の申込みに際し、その申込みをする者に、当該共済契約に係る共済掛金に充てるものとして共済規程で定める金額の申込証拠金を提供させることができる。

3 前項の申込証拠金の返還、共済掛金への充当の方法その他精算に関し必要な事項は、農林省令で定める。

 (共済契約の締結に関する制限)

第八十一条 組合は、共済契約の締結の申込みがあつた場合において、当該共済契約について、これを締結するとすればその共済契約に係る漁業、養殖水産動植物、養殖施設又は漁具につき共済事故の発生する見込みが確実であること、その他当該共済契約の締結によつて漁業共済事業の適正円滑な運営を阻害することとなるおそれがある事由として農林省令で定める事由があるときは、当該共済契約を締結してはならない。

2 組合は、正当な事由がなければ、共済契約の締結を拒んではならない。

 (共済掛金の支払)

第八十二条 組合と共済契約を締結した者(以下「共済契約者」という。)は、当該共済契約に係る共済責任期間の開始日の前日までに、組合に共済掛金の全額(次項の規定により分割支払をする場合にあつては、その第一回の支払金額)を支払わなければならない。この場合において、当該支払期限の五日前までに共済掛金の金額を確定することができないときは、農林省令で定める基準に従い共済規程で定めるところにより組合が定めるその概算金額(次項の規定により分割支払をする場合にあつては、その第一回の支払金額)により、これを支払わなければならない。

2 漁獲共済に係る共済掛金は、農林省令で定める事由がある場合には、分割して支払うことができる。

3 第一項の規定による共済掛金の支払は、当該共済掛金が第百九十五条第一項の規定による補助に係るものであるときは、その補助に係る部分を差し引いて得た金額によつてすれば足りる。

4 第一項後段の規定により概算金額をもつて支払つた場合の精算及び第二項の規定による分割支払に関し必要な事項は、農林省令で定める。

5 第一項の規定による共済掛金の支払をその支払期限までにしないときは、当該共済契約は、その効力を失う。

 (共済掛金の相殺の制限)

第八十三条 共済契約者は、組合に支払うべき共済掛金につき、相殺をもつて組合に対抗することができない。

 (共済証書)

第八十四条 組合は、共済契約者から請求があつたときは、その者に共済証書を交付しなければならない。

2 前項の共済証書に記載すべき事項は、農林省令で定める。

 (通常行なうべき管理等の義務)

第八十五条 被共済者(第百五条第一項第一号ロに掲げる団体にあつては、その構成員を含む。次条、第八十七条、第九十三条第一項第三号から第五号まで及び第百三条において同じ。)は、漁獲共済にあつては当該共済契約に係る漁業の漁獲物、養殖共済にあつては当該共済契約に係る共済目的たる養殖水産動植物及び養殖施設、漁具共済にあつては当該共済契約に係る共済目的たる漁具につき、通常行なうべき管理その他損害の防止又は軽減を怠つてはならない。

2 漁獲共済にあつては、被共済者(第百五条第一項第一号ロに掲げる団体にあつては、その構成員。第九十三条第一項第八号において同じ。)は、前項の規定による義務を遂行するほか、当該共済契約に係る漁業につき、通常の操業を行なえる場合において、通常の中小漁業者の行なう漁獲努力を怠つてはならない。

 (損害防止等の処置の指示)

第八十六条 組合は、被共済者に対し、前条第一項に規定する物について、損害の防止又は軽減のため特に必要な処置をすべきことを指示することができる。この場合には、被共済者の負担した費用の全部又は一部は、農林省令で定めるところにより組合の負担とする。

 (被共済者の遵守すべき事項)

第八十七条 組合は、被共済者が、帳簿を備えて、当該共済契約に係る漁業についての操業の状況若しくは漁獲物若しくは養殖水産動植物の販売、保管等の状況又は当該共済契約に係る養殖施設若しくは漁具についての供用の状況を記入すべきこと、これらの事項に関し定期に又は必要のつど組合に通知すべきことその他被共済者の遵守すべき事項として農林省令で定める事項を共済規程において定めることができる。

2 前項の農林省令で定める被共済者の遵守すべき事項は、共済契約に係る漁業、養殖水産動植物、養殖施設又は漁具についての共済事故による損失又は損害を適正に認定するため必要最少限度のものでなければならない。

 (申込書記載事項の変更の通知)

第八十八条 被共済者は、第八十条第一項の申込書に記載した事項に変更があつたときは、第九十一条第二項の規定により通知すべき事項を除き、共済規程で定めるところにより、これを組合に通知しなければならない。

 (死亡、解散等の場合の権利義務の承継)

第八十九条 被共済者が死亡し、又は合併により解散した場合には、その包括承継人は、農林省令で定める相当の期間内に組合に申出をし、その承諾を得て、被共済者の有していた当該共済契約に基づく権利義務を承継することができる。被共済者が、農林省令で定める方法により、当該共済契約に係る漁業の経営の全部を一体として譲り渡し、又は当該共済契約に係る共済目的たる漁具を譲り渡した場合におけるその譲受人についても、同様とする。

2 組合は、正当な事由がなければ、前項の承諾を拒んではならない。

 (死亡、解散等の場合の共済契約の失効)

第九十条 前条第一項に規定する場合において、同項に規定する包括承継人若しくは譲受人が同項に規定する期間内に同項の申出をしないとき、若しくはその申出をしたが同項の承諾を得られなかつたとき、又は同項に規定する場合以外の場合であつて被共済者から当該共済契約に係る漁業の経営の全部若しくは一部若しくは当該共済契約に係る共済目的たる漁具の譲渡しがあつたときは、当該共済契約は、当該承継の時にその効力を失う。

2 前項の規定により共済契約がその効力を失つたときは、当該共済契約に係る共済契約者又はその承継人は、農林省令で定めるところにより、組合に対し、当該共済契約に係る共済掛金のうち純共済掛金に相当する部分の全部又は一部の払いもどしを請求することができる。

 (共済契約の解除)

第九十一条 組合は、共済契約に係る漁業、養殖水産動植物、養殖施設又は漁具につき、基本的な操業、管理又は供用の条件又は方法の変更で共済規程で定めるものがあつたことにより危険が著しく変更し又は増加したときは、当該共済契約を解除することができる。この場合には、その解除は、将来に向つてのみその効力を生ずる。

2 被共済者は、当該共済契約に係る漁業、養殖水産動植物、養殖施設又は漁具につき、前項に規定する操業、管理又は供用の条件又は方法の変更があつたときは、遅滞なく、これを組合に通知しなければならない。

3 第一項の規定による共済契約の解除は、組合が前項の規定による通知を受け又は第一項に規定する操業、管理又は供用の条件又は方法の変更があつたことを知つた日から三十日を経過したときは、することができない。

4 被共済者は、第一項の規定による共済契約の解除があつた場合において、当該操業、管理又は供用の条件又は方法の変更が当該被共済者(第百五条第一項第一号ロに掲げる団体にあつては、その構成員を含む。)の責めに帰することができない事由によるときは、農林省令で定めるところにより、組合に対し、当該共済契約に係る共済掛金のうち純共済掛金に相当する部分の全部又は一部の払いもどしを請求することができる。

 (解散による共済契約の失効)

第九十二条 組合が解散したときは、合併の場合を除いては、共済契約は、その効力を失う。

2 前項の場合には、組合は、農林省令で定めるところにより、共済契約に係る共済掛金のうち純共済掛金に相当する部分の全部又は一部を払いもどさなければならない。

 (免責事由)

第九十三条 次に掲げる場合には、組合は、共済金の全部又は一部につき、支払の責めを免れることができる。

 一 共済契約者が、悪意又は重大な過失によつて第八十条第一項の申込書に不実の記載をしたとき。

 二 共済契約者が、正当な理由がないのに、第八十二条第一項後段の規定により共済掛金を同項後段の概算金額により支払つた場合におけるその精算金の支払又は同条第二項の規定により共済掛金の分割支払をする場合におけるその第二回以降の支払金額の支払を遅滞したとき。

 三 被共済者が、第八十五条の規定による義務を有する場合においてその義務を怠つたとき。

 四 被共済者が、第八十六条前段の規定による指示に従わなかつたとき。

 五 被共済者が、第八十七条第一項の規定により共済規程で定められる被共済者の遵守すべき事項を遵守しなかつたとき。

 六 被共済者が、第八十八条の規定による通知をすべき事項のうち共済規程で定める重要事項に係る部分につき、通知をすべき場合において、その通知を怠り、又は悪意若しくは重大な過失によつて不実の通知をしたとき。

 七 被共済者が、第九十一条第二項の規定又は第百二条において準用する商法第六百五十八条の規定により通知をすべき場合において、その通知を怠り、又は悪意若しくは重大な過失によつて不実の通知をしたとき。

 八 漁獲共済において、共済契約に係る漁業につき第九十一条第一項の規定する操業の条件又は方法の変更による危険の著しい変更又は増加があつた場合以外の場合であつて、被共済者が漁船の損傷その他共済規程で定める事由により通じて共済規程で定める日数以上操業することができなかつたとき。

 九 その他政令で定める特別の事由があるとき。

2 農林大臣は、必要があるときは、組合が前項の規定により支払を免れることができる共済金の金額並びに同項第八号の規定により共済規程で定める事由及び日数に関し必要な準則を定めることができる。

第九十四条 組合は、農林省令で定めるところにより、共済金の金額が少額であつて農林省令で定める金額に達しないときは、その支払の責めを負わない。

 (共済金の金額の削減)

第九十五条 組合は、共済金の支払に不足を生ずるときは、農林省令で定めるところにより共済金の金額を削減することができる。

2 組合が前項の規定により共済金の金額を削減する場合においても、その支払う共済金の金額は、連合会から支払を受ける再共済金の金額を下るものであつてはならない。

 (共済掛金等に関する権利の消滅時効)

第九十六条 共済掛金の支払を受け、又はその返還若しくは払いもどしを受ける権利及び共済金の支払を受け、又はその返還を受ける権利は、三年間これを行なわないときは、時効によつて消滅する。

 (区分経理)

第九十七条 組合は、その会計を農林省令で定める勘定区分ごとに経理しなければならない。

 (責任準備金の積立て)

第九十八条 組合は、毎事業年度の終りにおいて存する共済責任につき、農林省令で定めるところにより、責任準備金を積み立てなければならない。

 (準備金の積立て)

第九十九条 組合は、毎事業年度の剰余金の全部を準備金として積み立てなければならない。

2 前項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いては、これを取りくずしてはならない。

 (財務についての農林省令への委任)

第百条 前三条に規定するもののほか、組合がその財務を適正に処理するために従わなければならない準則は、農林省令で定める。

 (事務の委託)

第百一条 組合は、共済規程で定めるところにより、その行なう漁業共済事業に係る事務のうち、共済契約の申込書の受理、漁獲物の販売金額の調査その他農林省令で定める事項に係るものを漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に委託することができる。

2 漁業協同組合及び漁業協同組合連合会は、水産業協同組合法第十一条及び第八十七条の規定にかかわらず、前項の規定による委託を受け、同項に規定する事務を行なうことができる。

 (商法の準用)

第百二条 組合の漁業共済事業については、商法第六百四十二条(事故発生等の確定による契約の無効)、第六百四十三条(契約の無効の効果)、第六百五十八条(保険契約者等の通知義務)及び第六百六十二条(第三者に対する権利の取得)の規定を準用する。

 (特別の場合の措置)

第百三条 この章に規定するもののほか、組合の行なう漁業共済事業の適正円滑な運営を確保し、及び被共済者の当該漁業共済事業による利益を増進するため特に必要がある事項については、その必要の範囲内において、政令で、組合又は被共済者(被共済者となる者を含む。)が遵守すべき準則を定めることができる。

    第二節 漁獲共済

 (漁獲共済の対象とする漁業及び種目)

第百四条 漁獲共済は、次に掲げる漁業につき行なうものとし、その種目は、その対象とする漁業の種別により第一号に掲げる漁業の各種類、第二号に掲げる漁業及び第三号に掲げる漁業の各種類ごとに区分する。

 一 漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第六条第四項第一号の第一種区画漁業(そだを敷設する等簡易な方法により営むものに限る。)、同項第三号の第三種区画漁業及び共同漁業権に基づく同条第五項第一号の第一種共同漁業(以下この条において「区画漁業等」と総称する。)であつて、政令で定めるもの

 二 総トン数十トン未満の漁船により行なう漁業(区画漁業等及び政令で定めるものを除く。)

 三 区画漁業等、前号に掲げる漁業及び第百十四条に掲げる漁業以外の漁業であつて、政令で定めるもの

 (被共済者の資格)

第百五条 漁獲共済の被共済者たる資格を有する者(以下この節において「被共済資格者」という。)は、漁獲共済の種目ごとに、次に掲げるとおりとする。

 一 前条第一号に掲げる漁業に属する漁業に係る種目の漁獲共済にあつては、次に掲げるもの

  イ 当該種目に係る漁業を営む組合員

  ロ 組合員の直接の構成員で政令で定めるところにより都道府県知事が水面を分けて定める一定の水域内において当該種目に係る漁業を営む中小漁業者の全員をその構成員の全部とし、共済掛金の分担及び共済金の配分の方法、代表者、代表権の範囲等農林省令で定める事項について農林省令で定める基準に従つた規約を有する団体

 二 前条第二号又は第三号に掲げる漁業に属する漁業に係る種目の漁獲共済にあつては、当該種目に係る漁業を営む組合員又は組合員の直接の構成員たる中小漁業者

2 漁獲共済に係る共済契約の成立によつて被共済者となつた者は、被共済資格者でなくなつた場合においても、当該共済契約については、被共済資格者とみなす。

 (共済契約者に関する制限)

第百六条 漁獲共済に係る共済契約を組合との間に締結することができる者は、漁獲共済の種目ごとに、当該種目に係る被共済資格者で当該共済契約の成立によつて被共済者となるものに限るものとする。

 (共済契約の締結の制限)

第百七条 一の漁業単位につき漁獲共済に係る共済契約を締結している者は、その漁業単位については、当該共済契約に係る共済責任期間の全部又は一部をその共済責任期間の全部又は一部とする他の共済契約を締結することができない。

第百八条 第百四条第二号に掲げる漁業に係る種目の漁獲共済については、政令で定めるところにより都道府県知事がその区域を分けて定める区域ごとに、農林省令で定めるところにより、総トン数一トン以上の動力漁船により当該漁業を営む被共済資格者のうち当該区域内に住所を有するものの二分の一以上の者からの当該漁獲共済に係る共済契約の締結の申込みがある場合でなければ、組合は、当該区域内に住所又は漁業根拠地を有する同号に掲げる漁業を営む被共済資格者と、当該漁獲共済に係る共済契約を締結することができない。

2 前項に規定する漁獲共済については、同項の規定によるほか、一の共済契約により、被共済者となる者の営む第百四条第二号に掲げる漁業のすべてが一体として当該共済に付されることとなる場合でなければ、組合は、その者と当該漁獲共済に係る共済契約を締結することができない。

 (共済責任期間)

第百九条 漁獲共済の共済責任期間は、漁獲共済の種目ごとに、農林省令で定めるところにより、当該種目に係る漁業の漁業時期(周年操業をするものについては一年間とし、第百四条第一号に掲げる漁業についてはその漁業の目的である水産動植物の成育期間を含むものとする。)を基準として、共済規程で定める期間とする。

2 第百四条第二号に掲げる漁業に係る種目の漁獲共済についての共済責任期間は、前条第一項の都道府県知事の定める区域ごとに単一となるように定めなければならない。

 (共済金額)

第百十条 漁獲共済の共済金額は、共済限度額をこえない範囲内において、共済規程で定めるところにより、共済契約で定める金額とする。

2 前項の規定により共済金額を定める場合において、漁獲共済の種目のうち必要があると認めるものについて農林大臣があらかじめ共済金額の最高限度を定めているときは、その限度をこえて定めることができない。

3 第百四条第二号に掲げる漁業に係る種目の漁獲共済についての共済金額は、前二項の規定によるほか、政令で定める金額を下つて定めることができない。

 (共済限度額)

第百十一条 前条第一項の共済限度額は、共済契約ごとに、政令で定めるところにより、当該被共済資格者の営む当該漁業の過去一定年間の操業に係る漁獲金額(第百四条第一号に掲げる漁業に係る種目の漁獲共済については、被共済資格者が第百五条第一項第一号ロに掲げる団体であるときは、その構成員のすべてを通ずる当該漁業の過去一定年間の操業に係る漁獲金額の合計額。以下この項において同じ。)を基準とし、当該被共済資格者の当該漁業に係る経営事情、当該被共済資格者と当該漁業に関し近似する事情の存する当該種目の漁獲共済の他の被共済資格者(以下この項において「近似被共済資格者」という。)の営む当該漁業の過去一定年間の操業に係る漁獲金額その他当該地域における漁業事情を勘案して組合が定める金額(以下「基準漁獲金額」という。)に、百分の九十をこえない範囲内において当該被共済資格者又は近似被共済資格者の営む当該漁業の過去一定年間の操業に係る漁獲金額の年ごとの変動の態様に応じて農林省令で定める割合(以下「限度額率」という。)を乗じて得た金額とする。

2 前項の規定により共済限度額を定める場合における同項の漁獲金額は、当該漁業の操業に係る漁獲物による収入金額(農林省令で定めるところにより収入とみなされるものの金額を含む。)として、農林省令で定める基準に従い組合が認定する金額によるものとする。

 (純共済掛金率)

第百十二条 漁獲共済の純共済掛金率は、被共済資格者に係る基準漁獲金額、限度額率その他危険の程度を区分する要因となる事項で農林大臣の定めるものに応ずる次項の危険階級に係る同項の基準共済掛金率を下らない範囲内において、組合が共済規程で定める割合とする。

2 農林大臣は、漁獲共済につき、基準漁獲金額、限度額率その他前項の農林大臣の定める事項に応じて危険階級を区分し、その区分ごとに基準共済掛金率を定めなければならない。

 (共済金)

第百十三条 漁獲共済の共済金は、共済契約ごとに、当該被共済者が営む当該漁業の共済責任期間中の操業に係る漁獲金額(第百四条第一号に掲げる漁業に係る種目の漁獲共済については、被共済者が第百五条第一項第一号ロに掲げる団体であるときは、その構成員のすべてを通ずる当該漁業の共済責任期間中の操業に係る漁獲金額の合計額。以下この項において同じ。)がその共済限度額に達しない場合に支払うものとし、共済金の金額は、その共済限度額から当該被共済者が営む当該漁業の共済責任期間中の操業に係る漁獲金額を差し引いて得た金額に、その金額の共済限度額に対する割合に応じて農林省令で定める割合を乗じ、これにさらに共済金額の共済限度額に対する割合を乗じて得た金額とする。

2 前項の漁獲金額については、第百十一条第二項の規定を準用する。

    第三節 養殖共済

 (養殖共済の対象とする養殖業及び区分)

第百十四条 養殖共済は、次に掲げる養殖業につき行なうものとし、その対象とする養殖業の種類により区分する。

 一 土、石、竹、木等によつて囲まれた一定の区域内において営む養殖業であつて、政令で定めるもの

 二 前号に掲げる養殖業以外の養殖業であつて、政令で定めるもの

 (共済目的及び共済事故)

第百十五条 養殖共済の共済目的は、養殖水産動植物及び養殖施設であつて、政令で定めるものとする。

2 養殖共済の共済事故は、養殖水産動植物にあつてはその養殖中における死亡、発芽不良、滅失、流失及び逃亡並びにこれらに準ずるものとして政令で定める事故、養殖施設にあつてはその供用中における損壊(農林省令で定める程度のものに限る。)、滅失及び流失並びにこれらに準ずるものとして政令で定める事故とする。

 (被共済者の資格)

第百十六条 養殖共済の被共済者たる資格を有する者(以下この節において「被共済資格者」という。)は、養殖共済の対象とする養殖業の種類に応じ、第百十四条第一号に掲げる養殖業に属するものにあつては当該養殖業を営む中小漁業者であつて組合員又は組合員の直接の構成員であるもの、同条第二号に掲げる養殖業に属するものにあつては組合の地区に係る地先水面において当該養殖業を営む者とする。

2 養殖共済に係る共済契約の成立によつて被共済者となつた者については、第百五条第二項の規定を準用する。

 (共済契約者に関する制限)

第百十七条 養殖共済に係る共済契約を組合との間に締結することができる者は、対象とする養殖業の種類ごとに、当該種類の養殖業に係る養殖共済の被共済資格者で当該共済契約の成立によつて被共済者となるものに限るものとする。

 (共済契約の締結の制限)

第百十八条 第百十四条第一号に掲げる養殖業に属する養殖業に係る養殖共済については、農林省令で定める養殖業の種類ごとに、被共済者となる者が、一の事業場において営む当該養殖業に係る養殖水産動植物で当該養殖共済において共済目的とすることができるもののすべてを共済目的とし、その養殖業において当該共済責任期間中に追加する養殖水産動植物(当該養殖水産動植物と同種のものに限る。)がある場合にはそのすべてを共済目的とすることを約する場合でなければ、組合は、その者と共済契約を締結することができない。

2 前項に規定する養殖共済については、養殖施設は、養殖水産動植物につき同項の要件をみたして共済契約を締結する場合であつて、その者が当該養殖共済において共済目的とすることができる養殖施設(以下この項において「共済目的施設」という。)で当該養殖水産動植物の養殖の用に供するもののすべてを共済目的とし、当該養殖業において当該共済責任期間中に附加する共済目的施設で当該養殖水産動植物(当該共済責任期間中に追加される前項の養殖水産動植物を含む。)の養殖の用に供するものがある場合にはそのすべてを共済目的とすることを約するときに限り、これにつき組合とその者との間に共済契約を締結することができる。

3 第百十四条第二号に掲げる養殖業に属する養殖業に係る養殖共済については、農林省令で定める養殖業の種類ごと及び政令で定めるところにより都道府県知事が地先水面を分けて定める一定の水域(以下「単位漁場区域」という。)ごとに、次の各号のすべてに該当する場合でなければ、組合は、当該単位漁場区域内において当該種類の養殖業を営む被共済資格者と共済契約を締結することができない。

 一 当該単位漁場区域内において当該種類の養殖業を営む者の二分の一以上の者が、組合員又は組合員の直接の構成員たる中小漁業者であるとき。

 二 農林省令で定めるところにより、当該単位漁場区域内において当該種類の養殖業を営む被共済資格者の全員から当該種類の養殖業に係る養殖共済の共済契約の締結の申込みがあつたとき。

 三 前号の申込みのすべてが、当該単位漁場区域内においてその者の営む当該種類の養殖業に係る養殖水産動植物及び養殖施設で共済目的とすることができるもののすベてを共済目的とし、当該養殖業において当該共済責任期間中に追加する養殖水産動植物(当該養殖水産動植物と同種のものに限る。)及び附加する養殖施設がある場合にはそのすべてを共済目的とすることを約する申込みであるとき。

4 一の養殖共済に係る共済契約において共済目的としている養殖水産動植物又は養殖施設(農林省令で定める養殖水産動植物又は養殖施設を除く。)は、重ねて、他の養殖共済に係る共済契約において共済目的とすることができない。

 (共済責任期間)

第百十九条 養殖共済の共済責任期間は、対象とする養殖業の種類ごとに、農林省令で定めるところにより、当該種類の養殖業の養殖時期(周年操業をするものについては、一年間)を基準として、共済規程で定める期間とする。

2 第百十四条第二号に掲げる養殖業に属する養殖業に係る養殖共済についての共済責任期間は、単位漁場区域ごとに単一となるように定めなければならない。

 (共済金額)

第百二十条 養殖水産動植物及び養殖施設の共済金額は、それぞれ、その共済価額をこえない範囲内において、共済価額に共済契約で定める割合を乗じて得た金額とする。

2 前項の規定により同項の割合を定める場合において、養殖業の種類のうち必要があると認めるものについて農林大臣があらかじめその最高限度を定めているときは、その限度をこえて定めることができない。

3 第百十四条第二号に掲げる養殖業に属する養殖業に係る第一項の割合は、単位漁場区域ごとに単一となるように定めなければならない。

 (共済価額)

第百二十一条 前条第一項の共済価額は、共済目的の種類たる養殖水産動植物ごと及び養殖施設ごとに、農林省令で定めるところにより、その単位当たり共済価額に、共済目的たる当該養殖水産動植物(当該共済責任期間中に追加されるものを含む。)又は養殖施設(当該共済責任期間中に附加されるものを含む。)の数量を乗じて得た金額とする。

2 養殖水産動植物についての前項の単位当たり共済価額は、農林省令で定めるところにより、当該養殖水産動植物と同種の水産動植物を当該養殖業に係る標準的な経営において養殖したとした場合において必要とする当該水産動植物の養殖の標準的な終了時までの当該養殖に係る経費の金額の合計額を基礎とし、当該標準的な経営における当該養殖の開始時からの経過期間に応じて算出される経過期間ごとの当該経費の金額として組合が共済規程で定める金額により、共済契約ごとに、当該共済目的の共済責任期間の終了時における経過期間に対応する金額とする。

3 養殖施設についての第一項の単位当たり共済価額は、共済契約ごとに、農林省令で定めるところにより、当該共済目的の共済責任期間の開始時における価額として、組合が共済規程で定めるところにより定める金額とする。

 (純共済掛金率)

第百二十二条 養殖共済の純共済掛金率は、共済目的となる養殖水産動植物又は養殖施設、当該養殖業の種類その他危険の程度を区分する要因となる事項で農林大臣の定めるものに応ずる次項の基準共済掛金率を下らない範囲内において、組合が共済規程で定める割合とする。

2 農林大臣は、養殖共済につき、養殖水産動植物又は養殖施設の種類、養殖業の種類その他前項の農林大臣の定める事項に応じて基準共済掛金率を定めなければならない。

 (てん補の責めを負わない損害)

第百二十三条 共済目的の種類たる養殖水産動植物で農林省令で定めるものについては、当該養殖水産動植物の農林大臣の定める一定の単位ごとに、当該単位に係る共済目的の全部について共済事故による損害が生じた場合でなければ、組合は、当該単位に係る共済目的につき、損害をてん補する責めを負わない。

2 前項の規定によるほか、戦争その他の変乱による損害、盗難による損害その他政令で定める損害については、組合は、てん補する責めを負わない。

 (共済金)

第百二十四条 養殖共済の養殖水産動植物に係る共済金は、次に掲げる場合に支払うものとし、その金額は、共済契約ごとに、当該共済目的についての共済事故による損害額に、当該共済契約に係る第百二十条第一項の割合を乗じて得た金額(共済目的の種類たる養殖水産動植物で農林省令で定めるものにあつては、その金額にさらに農林省令で定める割合を乗じて得た金額)とする。

 一 第百十四条第一号に掲げる養殖業に属する養殖業又は農林省令で定める種類の同条第二号に掲げる養殖業に係る養殖共済については、共済契約ごとに、同一の原因による共済事故によつて受けた損害に係る共済目的の数量(前条の規定によつて組合がてん補する責めを負わない損害に係る共済目的の数量を除く。以下「損害数量」という。)が農林省令で定めるところにより算定する当該共済事故の発生の直前の当該共済目的の数量に政令で定める割合を乗じて得た数量以上であるとき。

 二 第百十四条第二号に掲げる養殖業に属する養殖業(前号の農林省令で定める種類のものを除く。)に係る養殖共済については、共済契約ごとに、同一の原因による共済事故に係る損害数量が農林省令で定めるところにより算定する当該共済事故の発生の直前の当該共済目的の数量に政令で定める割合を乗じて得た数量以上であり、かつ、当該共済契約に係る養殖業と同一の種類の養殖業(第百十八条第三項の農林省令で定める養殖業の種類の区分に応じて同一の種類とされるものに限る。)を当該単位漁場区域内において営むすべての被共済者の同一の原因による共済事故に係る損害数量の合計数量がこれらの被共済者のすべてについての農林省令で定めるところにより算定する当該共済事故の発生の直前の当該共済目的の数量の合計数量に政令で定める割合を乗じて得た数量以上であるとき。

2 養殖共済の養殖施設に係る共済金の金額は、共済契約ごとに、共済目的についての共済事故による損害額に当該共済契約に係る第百二十条第一項の割合を乗じて得た金額とする。

3 前二項の損害額は、当該共済事故に係る損害数量(養殖施設については、農林省令で定める基準に従い共済規程で定めるところにより調整をほどこした数量)に当該共済目的の第百二十一条第一項の単位当たり共済価額を乗じ、これにさらに当該共済責任期間の開始日から当該共済事故の発生日までの期間に応じ農林省令で定めるところにより共済規程で定める割合を乗じて得た金額とする。

 (商法の準用)

第百二十五条 養殖共済については、商法第六百三十一条(超過保険)及び第六百六十一条(保険の目的に関する権利の取得)の規定を準用する。

    第四節 漁具共済

 (共済目的及び共済事故)

第百二十六条 漁具共済の共済目的は、漁網その他の漁具であつて、政令で定めるものとする。

2 漁具共済の共済事故は、共済目的たる漁具をその用に供する漁業の操業中における損壊(農林省令で定める程度のものに限る。)、滅失及び流失並びにこれらに準ずるものとして政令で定める事故とする。

 (被共済者の資格)

第百二十七条 漁具共済の被共済者たる資格を有する者(以下この節において「被共済資格者」という。)は、組合員又は組合員の直接の構成員たる中小漁業者とする。

2 漁具共済に係る共済契約の成立によつて被共済者となつた者については、第百五条第二項の規定を準用する。

 (共済契約者に関する制限)

第百二十八条 漁具共済に係る共済契約を組合との間に締結することができる者は、被共済資格者で当該共済契約の成立によつて被共済者となるものに限るものとする。

 (共済契約の締結の制限)

第百二十九条 一の漁具共済に係る共済契約において共済目的としている漁具は、重ねて、他の漁具共済に係る共済契約において共済目的とすることができない。

2 組合は、共済目的の種類たる漁具につき、農林省令で定めるところにより共済規程をもつて、漁具共済に係る共済契約において共済目的とすることができないものの範囲を定めるものとする。

 (共済責任期間)

第百三十条 漁具共済の共済責任期間は、共済目的の種類ごとに、農林省令で定めるところにより、当該種類の漁具をその用に供する漁業の漁業時期(周年操業をする漁業に係るものについては、一年間)を基準として、共済規程で定める期間とする。

 (共済金額)

第百三十一条 漁具共済の共済金額は、共済価額をこえない範囲内において、共済価額に共済契約で定める割合を乗じて得た金額とする。

2 前項の規定により同項の割合を定める場合において、共済目的の種類のうち必要があると認めるものについて農林大臣があらかじめその最高限度を定めているときは、その限度をこえて定めることができない。

 (共済価額)

第百三十二条 前条第一項の共済価額は、共済契約ごとに、農林省令で定めるところにより、当該共済目的の共済責任期間の開始時における価額として、組合が共済規程で定めるところにより定める金額とする。

 (純共済掛金率)

第百三十三条 漁具共済の純共済掛金率は、共済目的の種類、共済責任期間の日数その他危険の程度を区分する要因となる事項に応じて、組合が共済規程で定めるところにより定める割合とする。

2 前項の規定により純共済掛金率を定める場合において、共済目的の種類のうち必要があると認めるものについて農林大臣があらかじめその基準となる率を定めているときは、その基準となる率を下つて定めることができない。

 (てん補の責めを負わない損害)

第百三十四条 戦争その他の変乱による損害、盗難による損害その他政令で定める損害については、組合は、てん補する責めを負わない。

 (共済金)

第百三十五条 漁具共済の共済金の金額は、共済金額に、共済責任期間の開始日から共済事故の発生日までの期間に応じ農林省令で定めるところにより共済規程で定める割合を乗じて得た金額とする。

 (可分漁具に係る特例)

第百三十六条 共済目的の種類たる漁具のうち、多数の代替性のある同種の構成部分(その予備品を含む。)からなる一の漁具で、これを使用する場合以外の場合にはおおむね部分として保管され、かつ、その組立て及び分解を単純な操作で行なうことができるもの(農林省令で定めるものに限る。)を共済目的とする漁具共済に係る共済事故、共済金額、共済価額及び共済金に関しては、第百二十六条第二項、第百三十一条、第百三十二条及び前条の規定にかかわらず、その漁具共済を適正円滑に行なうため必要のある範囲内において、政令で定めるところにより、農林省令で、特例を定めることができる。

 (商法の準用)

第百三十七条 漁具共済については、商法第六百三十一条及び第六百六十一条の規定を準用する。

   第四章 漁業共済組合連合会の漁業再共済事業

 (漁業再共済事業)

第百三十八条 連合会が行なう漁業再共済事業は、会員が第七十六条に掲げる漁業共済事業によつて被共済者に対して負う共済責任を再共済する事業とする。

 (再共済契約の当然成立)

第百三十九条 会員と被共済者との間に漁業共済事業に係る共済契約が成立したときは、これによつて、連合会と当該会員との間に当該共済契約についての漁業再共済事業に係る再共済契約が成立するものとする。

 (再共済金額)

第百四十条 連合会の再共済金額は、共済契約に係る共済金額に百分の九十をこえない範囲内にておいて政令で定める割合を乗じて得た金額とする。

 (純再共済掛金率)

第百四十一条 連合会の純再共済掛金率は、次に掲げるとおりとする。

 一 漁獲共済及び養殖共済に係るものにあつては、共済契約に係る純共済掛金率の限度となつた基準共済掛金率と同率

 二 漁具共済に係るものにあつては、共済契約に係る純共済掛金率(農林大臣が第百三十三条第二項の規定により基準率を定めているものについては、純共済掛金率の限度となつたその基準率)と同率

 (再共済掛金の払いもどし)

第百四十二条 会員は、第九十条第二項、第九十一条第四項若しくは第九十二条第二項の規定又は第百二条において準用する商法第六百四十三条の規定により共済掛金の払いもどしをしなければならないときは、農林省令で定めるところにより、連合会に対し、再共済掛金の全部又は一部の払いもどしを請求することができる。

 (再共済金)

第百四十三条 連合会の再共済金の金額は、会員が支払うべき共済金の金額に第百四十条の政令で定める割合を乗じて得た金額とする。

 (通知義務)

第百四十四条 会員は、共済契約を締結したときは、連合会の共済規程で定めるところにより、連合会に対し、当該共済契約に関し必要な事項を通知しなければならない。

2 会員は、前項の規定により通知した事項に変更があつたとき、又は共済契約がその効力を失つたときは、連合会の共済規程で定めるところにより、遅滞なく、これを連合会に通知しなければならない。

第百四十五条 会員は、漁業再共済事業の適正円滑な運営を確保するため必要と認められる農林省令で定める事項を連合会の共済規程で定めるところにより、連合会に通知しなければならない。

 (免責事由)

第百四十六条 次に掲げる場合には、連合会は、再共済金の全部又は一部につき、その支払の責めを免れることができる。

 一 会員が、法令又は会員の共済規程に違反して共済金を支払つたとき。

 二 会員が、損失又は損害の額を不当に認定して共済金を支払つたとき。

 三 会員が、正当な理由がないのに、再共済掛金の支払を遅滞したとき。

 四 会員が、第百四十四条又は前条の規定により通知をすべき場合において、その通知を怠り、又は悪意若しくは重大な過失によつて不実の通知をしたとき。

 (準用規定)

第百四十七条 連合会の漁業再共済事業については、第八十三条、第九十二条、第九十六条から第百条まで及び第百三条並びに商法第六百六十一条及び第六百六十二条の規定を準用する。

   第五章 漁業共済基金

    第一節 総則

 (目的)

第百四十八条 漁業共済基金は、漁業共済団体が行なう漁業共済事業及び漁業再共済事業の健全な運営に資するため、これらの事業に係る共済金又は再共済金の支払に必要な資金の供給を円滑にすることを目的とする。

 (法人格)

第百四十九条 漁業共済基金(以下「基金」という。)は、法人とする。

 (事務所)

第百五十条 基金は、主たる事務所を東京都に置く。

2 基金は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。

 (定款)

第百五十一条 基金は、定款をもつて次に掲げる事項を規定しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 事務所の所在地

 四 資本金、出資及び資産に関する事項

 五 役員及び評議員会に関する事項

 六 業務及びその執行に関する事項

 七 財務及び会計に関する事項

 八 公告の方法

2 定款の変更は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 基金は、定款を変更したときは、遅滞なく、その変更に係る部分を第百五十七条に規定する出資者に通知しなければならない。

 (資本金)

第百五十二条 基金の資本金は、次条第一項及び第二項の規定により政府が出資する金額、同条第三項の規定により都道府県が出資する金額並びに同条第四項の規定により漁業共済団体が出資する金額の合計額とする。

 (出資)

第百五十三条 政府は、基金の設立に際し、基金に二億五千万円を出資する。

2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、基金に追加して出資することができる。

3 都道府県は、自治大臣の承認を受けて、基金に出資することができる。

4 漁業共済団体は、基金に出資することができる。

第百五十四条 都道府県及び漁業共済団体についての出資一口の金額は、十万円とする。

第百五十五条 基金に出資する者は、出資の払込みについて、相殺をもって基金に対抗することができない。

 (持分の払いもどし等の禁止)

第百五十六条 基金は、出資者に対し、その持分を払いもどすことができない。

2 基金は、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。

 (出資者たる地位の喪失)

第百五十七条 政府以外の出資者(第百九十二条第二項並びに第百九十三条第一項及び第二項の規定を除き、以下単に「出資者」という。)は、その持分の全部の譲渡しによつてのみ出資者たる地位を失うことができる。

 (持分の譲渡し)

第百五十八条 出資者は、基金の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。

2 都道府県又は漁業共済団体でなければ、出資者の持分の譲渡しを受けることができない。

3 出資者の持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。

 (持分の共有の禁止)

第百五十九条 出資者は、持分を共有することができない。

 (登記)

第百六十条 基金は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。

2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (名称の使用制限)

第百六十一条 基金でない者は、漁業共済基金という名称を用いてはならない。

 (民法の準用)

第百六十二条 基金については、民法第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定を準用する。

    第二節 役員等

 (役員)

第百六十三条 基金に、役員として、理事長一人及び監事一人を置く。

2 基金に、役員として、非常勤の理事二人以内を置くことができる。

 (役員の職務及び権限)

第百六十四条 理事長は、基金を代表し、その業務を総理する。

2 監事は、基金の業務を監査する。

3 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して基金の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠けたときはその職務を行なう。

 (役員の任命)

第百六十五条 理事長及び監事は、農林大臣が任命する。

2 理事は、理事長が農林大臣の認可を受けて任命する。

 (役員の任期)

第百六十六条 理事長及び理事の任期は、三年とし、監事の任期は、二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 役員は、再任されることができる。

 (役員の欠格条項)

第百六十七条 国会議員、国家公務員(審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者で、非常勤のものを除く。)、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員は、役員となることができない。

 (役員の解任)

第百六十八条 農林大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることのできない者に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。

2 農林大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

 二 職務上の義務違反があるとき。

3 理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。

 (役員の兼職禁止)

第百六十九条 役員(非常勤の者を除く。)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。

 (代表権の制限)

第百七十条 基金と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が基金を代表する。

 (代理人の選任)

第百七十一条 理事長は、理事又は基金の職員のうちから、基金の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。

 (職員の任命)

第百七十二条 基金の職員は、理事長が任命する。

 (評議員会)

第百七十三条 基金に評議員会を置く。

2 評議員会は、理事長の諮問に応じ、第四項に掲げる事項その他基金の業務の運営に関する重要事項を調査審議する。

3 評議員会は、前項に規定する事項に関し、理事長に意見を述べることができる。

4 次に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ評議員会に諮問しなければならない。

 一 定款の変更

 二 業務方法書の変更

 三 予算、事業計画及び資金計画の作成及び重要な変更

 四 財産目録、貸借対照表及び損益計算書の作成

第百七十四条 評議員会は、評議員二十人以内で組織する。

2 評議員は、出資者たる都道府県の長又はその推薦する者、出資者たる漁業共済団体の代表者及び基金の業務に関し学識経験を有する者のうちから農林大臣が任命する。

3 評議員の任期は、二年とする。

4 評議員については、第百六十六条第一項ただし書及び第二項並びに第百六十八条第二項の規定を準用する。

 (役員及び職員の公務員たる性質)

第百七十五条 基金の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

    第三節 業務

 (業務)

第百七十六条 基金は、第百四十八条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行なう。

 一 出資者たる漁業共済団体が共済金又は再共済金の支払に関して必要とする資金の貸付け

 二 出資者たる漁業共済団体が共済金又は再共済金の支払に関して金融機関に対し負担する債務の保証

 三 第一号に掲げる業務に必要な資金に充てるための出資者たる漁業共済団体からの金銭の寄託の引受け

 四 前三号の業務に附帯する業務

 (業務方法書)

第百七十七条 基金は、業務の開始の際、業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 基金は、前項の規定により農林大臣の認可を受けたときは、遅滞なく、その認可に係る業務方法書(変更の認可を受けた場合にあつては、その変更に係る部分)を出資者に送付しなければならない。

第百七十八条 前条第一項の業務方法書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 貸付金の金額の合計額及び債務保証の金額の合計額の最高限度

 二 一漁業共済団体当たりの貸付金の金額及び債務保証の金額の最高限度

 三 貸付金の利率、償還期間その他の貸付条件並びに債務保証をする資金の借入期間の最高限度及び被保証人の遵守すべき条件

 四 貸付契約及び保証契約の締結及び変更に関する事項

 五 保証債務の弁済並びに求償権の行使方法及び償却に関する事項

 六 金銭の寄託の引受けの条件

 七 余裕金の運用の方法

 八 その他農林省令で定める事項

 (業務の委託)

第百七十九条 基金は、農林中央金庫、水産業協同組合法第八十七条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行なう漁業協同組合連合会その他農林大臣の指定する金融機関に対し、業務方法書で定めるところにより、その業務(貸付けの決定及び債務保証の決定を除く。)の一部を委託することができる。

2 前項の規定により業務の委託を受けた金融機関(第百九十条及び第百九十八条において「受託者」という。)の役員又は職員であつて当該委託業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

3 農林中央金庫は、農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条の規定にかかわらず、第一項の規定による委託を受け、当該業務を行なうことができる。

4 第一項に規定する漁業協同組合連合会は、水産業協同組合法第八十七条第四項の規定にかかわらず、第一項の規定による委託を受け、当該業務を行なうことができる。

 (貸付金等の使用)

第百八十条 漁業共済団体は、基金からの貸付金又は基金の保証に係る借入金を共済金又は再共済金の支払以外の目的に使用してはならない。

2 漁業共済団体が前項の規定に違反して貸付金又は借入金を他の目的に使用したときは、基金は、業務方法書で定めるところにより、当該漁業共済団体に対し、貸付金の弁済期前の償還、違約金の納付その他必要な措置を請求することができる。

    第四節 財務及び会計

 (事業年度)

第百八十一条 基金の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

 (予算等の認可)

第百八十二条 基金は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の規定による認可を受けた場合には、第百七十七条第二項の規定を準用する。

 (財務諸表)

第百八十三条 基金は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に、これを、出資者に送付するとともに、農林大臣に提出して、その承認を受けなければならない。

2 基金は、前項の規定により財務諸表を出資者に送付し又は農林大臣に提出するときは、これに、予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添え、かつ、財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。

 (利益及び損失の処理)

第百八十四条 基金は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。

2 基金は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。

 (借入金)

第百八十五条 基金は、農林大臣の認可を受けて、長期借入金又は短期借入金をすることができる。

2 前の項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金不足のため償還することができない金額に限り、農林大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。

3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。

 (余裕金の運用)

第百八十六条 基金は、次に掲げる方法によるほか、その業務上の余裕金を運用してはならない。

 一 農林中央金庫その他農林大臣の指定する金融機関への預金

 二 国債、地方債その他農林大臣の指定する有価証券の取得

三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託

 (給与及び退職手当の支給の基準)

第百八十七条 基金は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め又はこれを変更しようとするときは、農林大臣の承認を受けなければならない。

 (農林省令への委任)

第百八十八条 この章に規定するもののほか、基金の財務及び会計に関し必要な事項は、農林省令で定める。

    第五節 監督

 (監督)

第百八十九条 基金は、農林大臣が監督する。

2 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。

 (報告及び検査)

第百九十条 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金若しくは受託者に対して報告をさせ、又はその職員に、基金若しくは受託者の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。ただし、受託者に対しては、その委託された業務の範囲内に限る。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

    第六節 雑則

 (出資者に対する通知又は催告)

第百九十一条 基金が出資者に対してする通知又は催告は、出資者名簿に記載したその出資者の住所(出資者が別に通知又は催告を受ける場所を基金に通知したときは、その場所)にあててすれば足りる。

2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に、到達したものとみなす。

 (書類の備付け及び閲覧)

第百九十二条 基金は、定款、業務方法書、出資者名簿及び財務諸表を各事務所に備えて置かなければならない。

2 出資者名簿には、各出資者について次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 名称及び住所

 二 出資の引受け及び払込みの年月日

 三 出資口数及び出資各口の取得の年月日

3 出資者及び基金の債権者(基金が保証契約を締結している金融機関を含む。)は、第一項の書類の閲覧を求めることができる。

 (解散)

第百九十三条 基金は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額に応じて分配しなければならない。

2 前項の規定により各出資者に分配することができる金額は、その出資額を限度とする。

3 前二項に規定するもののほか、基金の解散については、別に法律で定める。

 (大蔵大臣との協議)

第百九十四条 農林大臣は、次に掲げる場合には、大蔵大臣と協議しなければならない。

 一 第百五十一条第二項、第百七十七条第一項、第百八十二条第一項又は第百八十五条第一項若しくは第二項ただし書の認可をしようとするとき。

 二 第百七十八条第八号又は第百八十八条の農林省令を定めようとするとき。

 三 第百七十九条第一項又は第百八十六条第一号若しくは第二号の規定による指定をしようとするとき。

 四 第百八十三条第一項又は第百八十七条の承認をしようとするとき。

   第六章 国の助成

 (共済掛金及び事務費の補助等)

第百九十五条 国は、毎会計年度予算の範囲内において、政令で定めるところにより、次に掲げる共済契約者に対し、当該共済契約に基づき支払うべき共済掛金のうち純共済掛金に相当する部分の一部及び当該共済契約者が当該共済契約に係る漁業の用に供する漁具を共済目的として漁具共済に係る共済契約を締結している場合には当該漁具共済に係る共済契約に基づき支払うべき共済掛金のうち純共済掛金に相当する部分の一部を補助するものとする。

 一 第百四条第一号に掲げる漁業に属する漁業又は同条第二号に掲げる漁業に係る種目の漁獲共済の共済契約者

 二 第百四条節第三号に掲げる漁業に属する漁業に係る種目の漁獲共済又は第百十四条第二号に掲げる養殖業に属する養殖業に係る養殖共済の共済契約者のうち、その営む漁業の規模が政令で定める一定の規模以下であり、かつ、当該漁獲共済又は養殖共済への加入の円滑化等を図るため必要と認められる政令で定める一定の要件に適合するもの

2 国は、毎会計年度予算の範囲内において、政令で定めるところにより、漁業共済団体の事務費の一部を補助することができる。

3 国は、前二項の規定による補助のほか、漁業共済団体が行なう事業の円滑な運営に支障を生じないよう適切な措置を講ずることに努めなければならない。

 (共済掛金に係る補助金の交付の方法)

第百九十六条 前条第一項の規定による共済契約者に対する補助金は、当該共済契約者が組合に支払うべき共済掛金の一部に充てるため、当該組合に交付する。

2 前項の規定により組合に交付すべき金額は、当該組合に交付するのに代えて、当該組合が連合会に支払うべき再共済掛金の一部に充てるため、連合会に交付することができる。

   第七章 罰則

第百九十七条 第六十八条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第六十九条から第七十一条までの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。

2 漁業共済団体の役員若しくは受託者の代表者又は漁業共済団体若しくは受託者の代理人、使用人その他の従業者がその漁業共済団体の業務又は受託者の受託した事務に関して、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その漁業共済団体又は受託者に対しても同項の刑を科する。

第百九十八条 第百九十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした基金又は受託者の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。

第百九十九条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした基金の役員は、三万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定により農林大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。

 二 この法律の規定により出資者に通知又は書類の送付をしなければならない場合において、その通知又は書類の送付をしなかつたとき。

 三 第百五十六条第一項の規定に違反して、出資者の持分を払いもどしたとき。

 四 第百五十六条第二項の規定に違反して、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。

 五 第百六十条第一項の政令の規定に違反して、登記をすることを怠つたとき。

 六 第百七十六条に規定する業務以外の業務を行なつたとき。

 七 第百八十六条の規定に違反して、業務上の余裕金を運用したとき。

 八 第百八十九条第二項の規定による農林大臣の命令に違反したとき。

 九 第百九十二条第一項の規定に違反して書類を備えて置かず、同条第二項の規定に違反して出資者名簿に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第一項の書類の閲覧を拒んだとき。

第二百条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした漁業共済団体の役員又は清算人は、一万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定により農林大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかつたとき。

 二 漁業共済団体がこの法律の規定により行なうことができる事業以外の事業を行なつたとき。

 三 第九条第一項の政令の規定に違反して登記をすることを怠り、又は不実の登記をしたとき。

 四 第十五条(第六十七条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。

 五 第十七条第一項の規定に違反して組合への加入を拒み、又は第十八条第二項後段の規定に違反して弁明の機会を与えなかつたとき。

 六 第二十八条(第六十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して兼職したとき。

 七 第三十条第一項、第三十一条又は第三十二条(これらの規定を第六十七条第二項において準用する場合及び第三十二条の規定を第三十六条第四項後段(第六十七条第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定に違反して総会を招集しなかつたとき。

 八 第三十四条又は第三十五条(これらの規定を第六十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに第三十四条第三項若しくは第三十五条第二項(これらの規定を第六十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による閲覧を拒んだとき。

 九 第三十六条第四項前段若しくは第五項又は第三十九条第四項(これらの規定を第六十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。

 十 第五十条第五項(第六十七条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反して解散の届出をしなかつたとき。

 十一 第五十二条又は第五十三条第二項の規定に違反して組合の合併をしたとき。

 十二 第五十八条又は第六十条(これらの規定を第六十七条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、書類を提出せず、又はその書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき。

 十三 第五十九条(第六十七条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反して残余財産を処分したとき。

 十四 第六十一条(第六十七条第四項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)において準用する民法第七十九条第一項又は同法第八十一条第一項に規定する公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。

 十五 第六十一条において準用する民法第七十九条第一項の期間内に債権者に弁済をしたとき。

 十六 第六十一条において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求を怠つたとき。

 十七 第七十二条の規定による命令に従わなかつたとき。

 十八 第九十七条から第九十九条まで(これらの規定を第百四十七条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。

第二百一条 第六条第二項又は第百六十一条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、中小漁業者の漁業事情の推移並びに漁業共済団体が行なう漁業共済事業及び漁業再共済事業の実施の状況に応じ、この法律に基づく漁業災害補償の制度における共済掛金率、共済責任の負担区分、共済限度額等に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

2 前項の検討は、漁業共済団体の共済責任を保険する事業を政府の事業としてすみやかに実施することを目途として行なわなければならない。

 (連合会の行なう漁業共済事業)

第三条 連合会は、漁業再共済事業及びこれに附帯する事業のほか、政令で定めるところにより、漁業共済事業及びこれに附帯する事業を行なうことができる。ただし、その漁業共済事業においては、その共済責任期間の開始日を昭和四十一年四月一日以後の日とする共済契約は、締結することができない。

2 前項の規定により連合会が行なう漁業共済事業については、第二十三条、第三章(第七十九条及び第九十五条第二項を除く。)、第百九十五条及び第百九十六条第一項の規定を準用する。この場合において、第百五条第一項、第百十六条第一項、第百十八条第三項第一号及び第百二十七条第一項中「組合員」とあるのは「漁業協同組合又は漁業協同組合連合会であつて、その住所のある地の属する都道府県の区域をその地区の全部又は一部とする組合の存しないもの」と、第百十六条第一項中「組合の地区」とあるのは「どの組合の地区にも含まれていない地域」と読み替えるものとする。

3 前項後段に規定するもののほか、同項前段の場合において、当該準用に係る規定について必要な技術的読替えは、政令で定める。

4 第二項において準用する第百一条第一項の規定により連合会から事務の委託を受けた者については、第六十八条、第六十九条、第七十一条、第七十二条及び第七十六条の規定を準用する。

5 前項において準用する第六十八条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項において準用する第六十九条若しくは第七十一条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、第百九十七条の規定を準用する。

6 連合会が第二項において準用する第九十七条から第九十九条までの規定に違反した場合には、第二百条の規定を準用する。

 (共済会からの承継に係る事業)

第四条 連合会は、農林大臣の認可を受けて、全国水産業協同組合共済会(以下この条において「共済会」という。)と、共済会が水産業協同組合法第百条の四第一項の規定によつて行なう共済事業のうち農林大臣の認可を受けた漁獲共済規程及び漁具共済規程に基づいて行なう漁獲共済及び漁具共済の事業において昭和三十九年四月一日から連合会の成立の日の前日までの間に締結した共済契約(以下この条において「特定共済契約」という。)に基づく権利義務を一体として承継する旨の契約を締結し、当該承継に係る事業を行なうことができる。

2 前項の規定による契約の締結は、連合会が成立した日から三十日以内にしなければならない。

3 第一項の規定による契約の締結があつた場合において、共済会が特定共済契約に基づき同項の規定による契約の締結時までに支払を受けた共済掛金の合計額(その時までに返還した当該共済掛金に係る返還金の金額を除く。)が特定共済契約に基づき同項の規定による契約の締結時までに支払つた共済金の合計額(その時までに返還を受けた当該共済金に係る返還金の金額を除く。)をこえるときは、共済会は、そのこえる部分の金額(農林省令で定めるところにより算出する一定の金額を除く。)に相当する金額を農林省令で定める期日までに連合会に交付しなければならない。

4 前三項に規定するもののほか、第一項の規定による契約の締結及び当該承継に係る事業の実施並びに前項の規定による金額の交付に関し必要な事項は、政令で定める。

 (基金の設立)

第五条 農林大臣は、基金の理事長又は監事となるべき者を指名する。

2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるベき者は、基金の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。

第六条 農林大臣は、設立委員を命じて、基金の設立に関する事務を処理させる。

第七条 設立委員は、定款を作成して、農林大臣の認可を受けなければならない。

2 設立委員は、前項の認可を受けたときは、都道府県及び漁業共済団体に対し、基金に対する出資を募集しなければならない。

3 設立委員は、前項の規定による募集が終わつたときは、農林大臣に対し、設立の認可を申請しなければならない。

4 設立委員は、前項の認可を受けたときは、政府並びに出資の募集に応じた都道府県及び漁業共済団体に対し、出資金の払込みを求めなければならない。

5 前項の規定により払込みを求められたときは、政府は第百五十三条第一項の出資金の全額を、出資の募集に応じた都道府県及び漁業共済団体はその引き受けた出資金の全額を払い込まなければならない。

6 設立委員は、出資金の払込みがあつた日において、その事務を附則第五条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。

7 第百九十四条の規定は、第一項又は第三項の認可をしようとする場合に準用する。

第八条 附則第五条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条第六項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。

第九条 基金は、前条の規定による設立の登記をすることによつて成立する。

 (成立当初の資本金)

第十条 基金の成立当初における資本金は、四億円を下るものであつてはならない。

 (増資)

第十一条 基金は、その成立の時における資本金の金額のうち、政府以外の者の出資する部分の金額が二億五千万円にみたないときは、その成立の日から一年を経過する日までに、資本金の金額のうち政府以外の者の出資する部分の金額が二億五千万円以上の金額となるようにその資本金を増加するものとする。

 (経過規定)

第十二条 基金の最初の事業年度は、第百八十一条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和四十年三月三十一日に終わるものとする。

第十三条 基金の最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、第百八十二条第一項中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「基金の成立後遅滞なく」とする。

第十四条 この法律の施行の際現に、その名称中に漁業共済組合若しくは漁業共済組合連合会という文字を使用している者又は漁業共済基金という名称を使用している者は、この法律の施行後六月以内にその名称を変更しなければならない。

2 第六条第二項又は第百六十一条の規定は、前項に規定する期間内は、同項に規定する者には、適用しない。

 (登録税法の一部改正)

第十五条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第十九条第七号中「魚価安定基金」の下に「、漁業共済組合、漁業共済組合連合会、漁業共済基金」を、「魚価安定基金法」の下に「、漁業災害補償法」を加える。

 (印紙税法の一部改正)

第十六条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。

  第五条第五号ノ五中「農業共済基金」の下に「又ハ漁業共済基金」を加え、同条第六号中「若ハ農事組合法人」を「、農事組合法人、漁業共済組合若ハ漁業共済組合連合会」に改める。

 (農林中央金庫法の一部改正)

第十七条 農林中央金庫法の一部を次のように改正する。

  第五条第一項中「漁業信用基金協会」の下に「、漁業共済組合、漁業共済組合連合会」を加える。

 (所得税法の一部改正)

第十八条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第十二号中「海外経済協力基金」の下に「、漁業共済組合及び同連合会」を、「農業共済組合及び同連合会」の下に「、漁業共済基金」を加える。

 (法人税法の一部改正)

第十九条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項第四号中「農業信用基金協会」の下に「、漁業共済組合及び同連合会」を、「農業共済組合及び同連合会」の下に「、漁業共済基金」を加える。

 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律の一部改正)

第二十条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律(昭和二十二年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。

  第二条第二号に次のように加える。

   ラ 漁業災害補償法(昭和三十九年法律第百五十八号)

 (農林省設置法の一部改正)

第二十一条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第七十七条第三号中「漁業信用基金協会」の下に「、漁業共済組合及び漁業共済組合連合会、漁業共済基金」を加える。

 (地方税法の一部改正)

第二十二条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の五第一項第四号中「農業信用基金協会」の下に「、漁業共済組合及び漁業共済組合連合会」を、「農業共済組合連合会」の下に「、漁業共済基金」を加える。

 (農林漁業団体職員共済組合法の一部改正)

第二十三条 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「次に掲げる法律」の下に「又は法律の規定」を加え、同条に次の一号を加える。

  十二 漁業災害補償法(昭和三十九年法律第百五十八号)第二章

(内閣総理・法務・大蔵・農林・自治大臣署名) 

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