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法律第八号(昭四五・三・二八)

  ◎国税通則法の一部を改正する法律

 国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。

 目次中

  第一款 通則(第七十五条)

  第二款 異議申立て(第七十六条―第七十八条)

  第三款 審査請求(第七十九条―第八十一条)

  第四款 雑則(第八十二条―第八十五条)

 第二節 訴訟(第八十六条―第八十八条)

第九章 雑則(第八十九条―第九十六条)

  第一款 総則(第七十五条―第八十条)

  第二款 異議申立て(第八十一条―第八十六条)

  第三款 審査請求(第八十七条―第百三条)

  第四款 雑則(第百四条―第百十三条)

 第二節 訴訟(第百十四条―第百十六条)

第九章 雑則(第百十七条―第百二十五条)

第十章 罰則(第百二十六条・第百二十七条)

に改める。

 第十一条中「国税庁長官」の下に「、国税不服審判所長」を加える。

 第十三条第一項中「又は税関長が」を「その他の行政機関の長(国税審判官を含む。)が」に、「又は税関長に」を「その他の行政機関の長(国税審判官の発する書類については、国税不服審判所長)に」に改め、同条第二項中「同項の」を「同項後段の」に、「又は税関長」を「その他の行政機関の長」に改める。

 「第十九条第一項中「第二十三条第一項」の下に「及び第二項」を加え、同条第二項中「者を含む。」の下に「第二十三条第二項において同じ。」を加える。

 第二十三条第一項中「一月以内(当該国税が所得税又は法人税である場合には、二月以内)」を「一年以内」に、「税額等につき次条の規定による」を「税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき」に改め、「納付すベき税額」及び「記載した還付金の額に相当する税額」の下に「(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)」を加え、「金額が過少」を「金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少」に改め、「又は当該申告書」の下に「(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)」を加え、「を記載しなかつた」を「の記載がなかつた」に改め、同条第六項を同条第七項とし、同条第五項中「、その消費税の課税物件に係る関税法第六十七条(輸出又は輸入の許可)の規定による輸入の許可があるまでの間に限り」を削り、「することができる」を「するものとする」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項中「納税申告書の提出により」を削り、同項を同条第五項とし、同条第三項中「次条の規定による」を削り、「その更正」を「更正」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項の規定による」及び「(以下「更正の請求」という。)」を削り、「同項の申告に係る」を「その請求に係る更正前の」に、「更正後」を「当該更正後」に改め、同項を同条第三項とし、同項の前に次の一項を加える。

2 納税申告書を提出した者又は第二十五条(決定)の規定による決定(以下この項において「決定」という。)を受けた者は、次の各号の一に該当する場合(納税申告書を提出した者については、当該各号に掲げる期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、同項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる期間において、その該当することを理由として同項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をすることができる。

 一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき。 その確定した日の翌日から起算して二月以内

 二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき。 当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して二月以内

 三 その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき。 当該理由が生じた日の翌日から起算して二月以内

 第五十八条第一項中「その還付金等に係る国税の納付があつた日」を「次の各号に掲げる還付金等の区分に従い当該各号に掲げる日」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 還付金及び次に掲げる過納金 当該還付金又は過納金に係る国税の納付があつた日(その日が当該国税の法定納期限前である場合には、当該法定納期限)

  イ 更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定又は賦課決定(以下「更正決定等」という。)により納付すベき税額が確定した国税(当該国税に係る延滞税及び利子税を含む。)に係る過納金(次号に掲げるものを除く。)

  ロ 納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すベき税額が確定する国税で納税の告知があつたもの(当該国税に係る延滞税を含む。)に係る過納金

  ハ イ又はロに掲げる過納金に類する国税に係る過納金として政令で定めるもの

 二 更正の請求に基づく更正(当該請求に対する処分に係る不服申立てについての決定若しくは裁決又は判決を含む。)により納付すべき税額が減少した国税(当該国税に係る延滞税及び利子税を含む。)に係る過納金 その更正の請求があつた日の翌日から起算して三月を経過する日と当該更正があつた日の翌日から起算して一月を経過する日とのいずれか早い日

 三 前二号に掲げる過納金以外の国税に係る過誤納金 その過誤納となつた日として政令で定める日の翌日から起算して一月を経過する日

 第五十八条第二項第三号を削り、同条第三項中「場合には」の下に「、その過誤納金については」を加え、「がそれぞれの納付の日に生じた」を「からなる」に改め、同条第四項中「過納の金額に相当する国税は」を「過納金については、これを第一項第三号に掲げる過誤納金と」に、「に納付があつたものとみなして、第一項」を「を同号に掲げる日とそれぞれみなして、同項」に改め、同条第五項中「国税について更正」の下に「(更正の請求に基づく更正を除く。)」を加え、「は、その更正があつた日(当該理由に基づき国税に関する法律の規定により更正の請求があつた場合には、当該請求があつた日)に納付されたものとみなして、第一項」を「については、その更正があつた日の翌日から起算して一月を経過する日を第一項各号に掲げる日とみなして、同項」に改める。

 第六十条第二項中「及び第六十三条第一項」を「並びに第六十三条第一項及び第四項」に改める。

 第六十三条第一項中「この条」を「この項」に改め、同条第三項中「事業の廃止等による」を削り、「第一項の規定による免除」を「前二項の規定による免除」に改め、「猶予をした期間」の下に「(当該国税を当該期間内に納付しなかつたことについてやむを得ない理由があると国税局長、税務署長又は税関長が認める場合には、猶予の期限の翌日から当該やむを得ない理由がやんだ日までの期間を含む。)」を加え、同条第四項中「前三項」を「前各項」に改め、同項を同条第五項とし、同項の前に次の一項を加える。

4 国税局長、税務署長又は税関長は、滞納に係る国税の全額を徴収するために必要な財産につき差押えをし、又は納付すべき税額に相当する担保の提供を受けた場合には、その差押え又は担保の提供に係る国税を計算の基礎とする延滞税につき、その差押え又は担保の提供がされている期間のうち、当該国税の納期限の翌日から一月を経過する日後の期間(前三項の規定により延滞税の免除がされた場合には、当該免除に係る期間に該当する期間を除く。)に対応する部分の金額の二分の一に相当する金額を限度として、免除することができる。

 第六十四条第三項中「及び第四項」を「及び第五項」に改める。

 第七十一条中「更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定又は賦課決定(以下「更正決定等」という。)」を「更正決定等」に改める。

 第九十六条を第百二十五条とし、第九十五条を第百二十三条とし、同条の次に次の一条を加える。

 (書類提出者の氏名及び住所の記載等)

第百二十四条 国税に関する法律に基づき税務署長その他の行政機関の長又はその職員に申告書、申請書、届出書その他の書類を提出する者は、当該書類にその氏名(法人については、名称。以下この項において同じ。)及び住所又は居所を記載しなければならない。この場合において、その者が法人であるとき、納税管理人若しくは代理人(代理の権限を有することを書面で証明した者に限る。以下この条において同じ。)によつて当該書類を提出するとき、又は不服申立人が総代を通じて当該書類を提出するときは、その代表者(人格のない社団等の管理人を含む。次項において同じ。)、納税管理人若しくは代理人又は総代の氏名及び住所又は居所をあわせて記載しなければならない。

2 前項に規定する書類には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる者が押印しなければならない。

 一 当該書類を提出する者が法人である場合 当該法人の代表者

 二 納税管理人又は代理人によつて当該書類を提出する場合 当該納税管理人又は代理人

 三 不服申立人が総代を通じて当該書類を提出する場合 当該総代

 四 前三号に掲げる場合以外の場合 当該書類を提出する者

 第九十四条を第百二十二条とし、第八十九条から第九十三条までを二十八条ずつ繰り下げる。

 第八章第二節中第八十八条を第百十六条とし、第八十七条第一項中「第八十五条(不服申立てに関する規定の適用除外)」を「第八十条第二項(行政不服審査法との関係)」に、「税務署長に対してされたものを除く」を「国税庁長官に対してされたものに限る」に改め、第二号を削り、第三号を第二号とし、第四号を第三号とし、同条第二項中「決定書」を「異議決定書」に改め、同条を第百十五条とし、第八十六条を第百十四条とする。

 第八章第一節を次のように改める。

    第一節 不服審査

     第一款 総則

 (国税に関する処分についての不服申立て)

第七十五条 国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに不服がある者は、当該各号に掲げる不服申立てをすることができる。

 一 税務署長がした処分(次項に規定する処分を除く。) その処分をした税務署長に対する異議申立て

 二 国税局長がした処分 次に掲げる不服申立てのうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立て

  イ その処分をした国税局長に対する異議申立て

  ロ 国税不服審判所長に対する審査請求

 三 国税庁長官がした処分 国税庁長官に対する異議申立て

 四 税関長がした処分 その処分をした税関長に対する異議申立て

 五 国税庁、国税局、税務署及び税関以外の行政機関の長又はその職員がした処分 国税不服審判所長に対する審査請求

2 国税に関する法律に基づき税務署長がした処分で、その処分に係る事項に関する調査が次の各号に掲げる職員によつてされた旨の記載がある書面により通知されたものに不服がある者は、当該各号に掲げる行政機関の長がその処分をしたものとみなして、当該行政機関の長に対して異議申立てをすることができる。

 一 国税局の当該職員 その処分をした税務署長の管轄区域を所轄する国税局長

 二 国税庁の当該職員 国税庁長官

3 第一項第一号、第二号イ若しくは第四号又は前項第一号の規定による異議申立て(法定の異議申立期間経過後にされたものその他その申立てが適法にされていないものを除く。第五項において同じ。)についての決定があつた場合において、当該異議申立てをした者が当該決定を経た後の処分になお不服があるときは、その者は、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。

4 第一項第一号若しくは第四号又は第二項第一号の規定により異議申立てをすることができる者は、次の各号の一に該当するときは、その選択により、異議申立てをしないで、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。

 一 所得税法又は法人税法に規定する青色申告書に係る更正(その更正に係る国税を基礎として課される加算税の賦課決定を含む。)に不服があるとき。

 二 その処分をした者が、その処分につき異議申立てをすることができる旨の行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)の規定による教示をしなかつたとき。

 三 その他異議申立てをしないで審査請求をすることにつき正当な理由があるとき。

5 第一項第一号、第二号イ若しくは第四号又は第二項第一号の規定による異議申立てをしている者は、異議申立てをした日の翌日から起算して三月を経過しても異議申立てについての決定がないときは、当該異議申立てに係る処分について、決定を経ないで、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。

6 国税に関する法律に基づく処分で国税庁、国税局、税務署又は税関の職員がしたものに不服がある場合には、それぞれその職員の所属する国税庁、国税局、税務署又は税関の長がその処分をしたものとみなして、第一項の規定を適用する。

 (不服申立てができない処分)

第七十六条 次に掲げる処分は、前条の国税に関する法律に基づく処分に含まれないものとする。

 一 この節又は行政不服審査法の規定による処分その他前条の規定による不服申立て(第八十条第二項(行政不服審査法との関係)を除き、以下「不服申立て」という。)についてした処分

 二 行政不服審査法第四条第一項第七号(国税犯則取締法等に基づく処分)に掲げる処分

 (不服申立期間)

第七十七条 不服申立て(第七十五条第三項及び第五項(異議申立て後にする審査請求)の規定による審査請求を除く。第四項において同じ。)は、処分があつたことを知つた日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算した二月以内にしなければならない。

2 第七十五条第三項の規定による審査請求は、第八十四条第三項(異議決定の手続)の規定による異議決定書の謄本の送達があつた日の翌日から起算して一月以内にしなければならない。

3 天災その他前二項の期間内に不服申立てをしなかつたことについてやむを得ない理由があるときは、不服申立ては、これらの規定にかかわらず、その理由がやんだ日の翌日から起算して七日以内にすることができる。

4 不服申立ては、処分があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

5 第二十二条(郵送に係る納税申告書の提出時期)の規定は、第八十二条第一項(税務署長経由による異議申立て)又は第八十七条第二項(審査請求書の記載事項)に規定する異議申立書又は審査請求書について準用する。

6 国税に関する法律に基づく処分をした者が誤つて法定の期間より長い期間を不服申立期間として教示した場合において、その教示された期間内に不服申立てがされたときは、当該不服申立ては、法定の期間内にされたものとみなす。

 (国税不服審判所)

第七十八条 国税不服審判所は、国税に関する法律に基づく処分についての審査請求に対する裁決を行なう機関とする。

2 国税不服審判所の長は、国税不服審判所長とし、国税庁長官が大蔵大臣の承認を受けて、任命する。

3 国税不服審判所の事務の一部を取り扱わせるため、所要の地に支部を置く。

4 前項の各支部に勤務する国税審判官のうち一人を首席国税審判官とする。首席国税審判官は、当該支部の事務を総括する。

5 国税不服審判所の組織及び運営に関し必要な事項は政令で、支部の名称及び位置は大蔵省令で定める。

 (国税審判官等)

第七十九条 国税不服審判所に国税審判官及び国税副審判官を置く。

2 国税審判官は、国税不服審判所長に対してされた審査請求に係る事件の調査及び審理を行ない、国税副審判官は、国税審判官の命を受け、その事務を整理する。

3 国税副審判官のうち国税不服審判所長の指名する者は、国税審判官の職務を行なうことができる。ただし、この法律において担当審判官の職務とされているものについては、この限りでない。

4 国税審判官の資格は、政令で定める。

 (行政不服審査法との関係)

第八十条 国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立てについては、この節その他国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、行政不服審査法(第二章第一節から第三節まで(不服申立てに係る手続)を除く。)の定めるところによる。

2 酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章(酒類の製造免許及び酒類の販売業免許等)の規定による処分に対する不服申立てについては、行政不服審査法の定めるところによるものとし、この節の規定は、適用しない。

     第二款 異議申立て

 (異議申立書の記載事項等)

第八十一条 異議申立ては、次に掲げる事項を記載した書面を提出してしなければならない。

 一 異議申立てに係る処分

 二 異議申立てに係る処分があつたことを知つた年月日(当該処分に係る通知を受けた場合には、その受けた年月日)

 三 異議申立ての趣旨及び理由

 四 異議申立ての年月日

2 異議申立てがされている税務署長その他の行政機関の長(以下「異議審理庁」という。)は、異議申立てが国税に関する法律の規定に従つていないもので補正することができるものであると認めるときは、相当の期間を定めて、その補正を求めなければならない。この場合において、不備が軽微なものであるときは、異議審理庁は、職権で補正することができる。

3 異議申立人は、前項の補正を求められた場合には、その異議申立てに係る税務署その他の行政機関に出頭して補正すべき事項について陳述し、その陳述の内容を当該行政機関の職員が録取した書面に押印することによつても、これをすることができる。

 (税務署長経由による異議申立て)

第八十二条 第七十五条第二項(国税局又は国税庁の職員の調査に係る処分についての異議申立て)の規定による異議申立ては、当該異議申立てに係る処分をした税務署長を経由してすることもできる。この場合においては、当該税務署長に前条第一項の書面(以下「異議申立書」という。)を提出してするものとする。

2 前項の場合には、同項の税務署長は、直ちに、異議申立書を当該税務署長の管轄区域を所轄する国税局長又は国税庁長官に送付しなければならない。

3 第一項の場合における異議申立期間の計算については、同項の税務署長に異議申立書が提出された時に異議申立てがされたものとみなす。

 (決定)

第八十三条 異議申立てが法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、異議審理庁は、決定で、当該異議申立てを却下する。

2 異議申立てが理由がないときは、異議審理庁は、決定で、当該異議申立てを棄却する。

3 異議申立てが理由があるときは、異議審理庁は、決定で、当該異議申立てに係る処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、異議申立人の不利益に当該処分を変更することはできない。

 (決定の手続等)

第八十四条 異議審理庁は、異議申立人から申立てがあつたときは、異議申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。この場合において、異議申立人は、異議審理庁の許可を得て補佐人とともに出頭することができる。

2 異議審理庁は、必要があると認めるときは、その行政機関の職員に前項の規定による異議申立人の意見の陳述をきかせることができる。

3 異議申立てについての決定は、異議審理庁が異議申立人(当該異議申立てが処分の相手方以外の者のしたものである場合における前条第三項の規定による決定にあつては、異議申立人及び処分の相手方)に異議決定書の謄本を送達して行なう。

4 異議決定書には、決定の理由を附記し、異議審理庁が記名押印をしなければならない。

5 異議申立てについての決定で当該異議申立てに係る処分の全部又は一部を維持する場合における前項に規定する理由においては、その維持される処分を正当とする理由が明らかにされていなければならない。

6 異議審理庁は、審査請求をすることができる処分に係る異議申立てについて決定をする場合には、異議決定書に、当該処分につき国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる旨及び審査請求期間を記載して、これを教示しなければならない。

 (納税地異動の場合における異議申立先等)

第八十五条 所得税、法人税、相続税又は贈与税に係る税務署長又は国税局長(以下この条及び次条において「税務署長等」という。)の処分(国税の徴収に関する処分及び滞納処分(その例による処分を含む。)を除く。以下この条及び次条第一項において同じ。)があつた時以後にその納税地に異動があつた場合において、その処分の際における納税地を所轄する税務署長等と当該処分について第七十五条第一項第一号若しくは第二号イ又は第二項第一号(税務署長等の処分についての異議申立て)の規定による異議申立てをする際における納税地(以下この条において「現在の納税地」という。)を所轄する税務署長等とが異なることとなるときは、その異議申立ては、これらの規定にかかわらず、現在の納税地を所轄する税務署長等に対してしなければならない。この場合においては、その処分は、現在の納税地を所轄する税務署長等がしたものとみなす。

2 前項の規定による異議申立てをする者は、異議申立書にその処分に係る税務署又は国税局の名称を附記しなければならない。

3 第一項の場合において、異議申立書がその処分に係る税務署長等に提出されたときは、当該税務署長等は、その異議申立書を受理することができる。この場合においては、その異議申立書は、現在の納税地を所轄する税務署長等に提出されたものとみなす。

4 前項の異議申立書を受理した税務署長等は、その異議申立書を現在の納税地を所轄する税務署長等に送付し、かつ、その旨を異議申立人に通知しなければならない。

 (異議申立事件の決定機関の特例)

第八十六条 所得税、法人税、相続税又は贈与税に係る税務署長等の処分について異議申立てがされている場合において、その処分に係る国税の納税地に異動があり、その異議申立てがされている税務署長等と異動後の納税地を所轄する税務署長等が異なることとなるときは、当該異議申立てがされている税務署長等は、異議申立人の申立てにより、又は職権で、当該異議申立てに係る事件を異動後の納税地を所轄する税務署長等に移送することができる。

2 前項の規定により異議申立てに係る事件の移送があつたときは、その移送を受けた税務署長等にはじめから異議申立てがされたものとみなし、当該税務署長等がその異議申立てについての決定を行なう。

3 第一項の規定により異議申立てに係る事件を移送したときは、その移送をした税務署長等は、その異議申立てに係る異議申立書及び関係書類その他の物件(以下「異議申立書等」という。)をその移送を受けた税務署長等に送付し、かつ、その旨を異議申立人に通知しなければならない。

     第三款 審査請求

 (審査請求書の記載事項等)

第八十七条 審査請求は、次に掲げる事項を記載した書面を提出してしなければならない。

 一 審査請求に係る処分

 二 審査請求に係る処分があつたことを知つた年月日(当該処分に係る通知を受けた場合にはその通知を受けた年月日とし、異議申立てについての決定を経た後の処分について審査請求をする場合には異議決定書の謄本の送達を受けた年月日とする。)

 三 審査請求の趣旨及び理由

 四 審査請求の年月日

2 前項の書面(以下「審査請求書」という。)には、同項に規定する事項のほか、第七十五条第四項第三号(特別な場合の審査請求)の規定により異議申立てをしないで審査請求をする場合には同号に規定する正当な理由を、同条第五項の規定により異議申立てについての決定を経ないで審査請求をする場合には異議申立てをした年月日を記載しなければならない。

3 第一項第三号に規定する趣旨は、処分の取消し又は変更を求める範囲を明らかにするように記載するものとし、同号に規定する理由においては、処分に係る通知書その他の書面により通知されている処分の理由に対する審査請求人の主張が明らかにされていなければならないものとする。

4 審査請求書は、正副二通を提出しなければならない。

 (処分庁経由による審査請求)

第八十八条 審査請求は、審査請求に係る処分(当該処分に係る異議申立てについての決定を含む。)をした行政機関の長を経由してすることもできる。この場合においては、当該行政機関の長に審査請求書を提出してするものとする。

2 前項の場合には、同項の行政機関の長は、直ちに、審査請求書の正本を国税不服審判所長に送付しなければならない。

3 第一項の場合における審査請求期間の計算については、同項の行政機関の長に審査請求書が提出された時に審査請求がされたものとみなす。

 (合意によるみなす審査請求)

第八十九条 税務署長、国税局長又は税関長に対して異議申立てがされた場合において、当該税務署長、国税局長又は税関長がその異議申立てを審査請求として取り扱うことを適当と認めてその旨を異議申立人に通知し、かつ、当該異議申立人がこれに同意したときは、その同意があつた日に、国税不服審判所長に対し、審査請求がされたものとみなす。

2 前項の通知に係る書面には、異議申立てに係る処分の理由が当該処分に係る通知書その他の書面により処分の相手方に通知されている場合を除き、その処分の理由を附記しなければならない。

3 第一項の規定に該当するときは、同項に規定する異議申立てがされている税務署長、国税局長又は税関長は、その異議申立書等を国税不服審判所長に送付し、かつ、その旨を異議申立人に通知しなければならない。この場合においては、その送付された異議申立書は、審査請求書とみなす。

 (他の審査請求に伴うみなす審査請求)

第九十条 更正決定等(源泉徴収等による国税に係る納税の告知を含む。以下この条、第百四条(併合審理等)及び第百十五条第一項第二号(不服申立ての前置等)において同じ。)について審査請求がされている場合において、当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等(その国税に係る附帯税の額を含む。以下この条、第百四条及び第百十五条第一項第二号において同じ。)についてされた他の更正決定等について税務署長、国税局長又は税関長に対し異議申立てがされたときは、当該異議申立てがされた税務署長、国税局長又は税関長は、その異議申立書等を国税不服審判所長に送付し、かつ、その旨を異議申立人に通知しなければならない。

2 更正決定等について税務署長、国税局長又は税関長に対し異議申立てがされている場合において、当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等について審査請求がされたときは、当該異議申立てがされている税務署長、国税局長又は税関長は、その異議申立書等を国税不服審判所長に送付し、かつ、その旨を異議申立人に通知しなければならない。

3 前二項の規定により異議申立書等が国税不服審判所長に送付された場合には、その送付がされた日に、国税不服審判所長に対し、当該異議申立てに係る処分についての審査請求がされたものとみなす。

4 前条第二項の規定は第一項又は第二項の通知に係る書面について、同条第三項後段の規定は前項の場合について準用する。

 (補正)

第九十一条 国税不服審判所長は、審査請求が国税に関する法律の規定に従つていないもので補正することができるものであると認めるときは、相当の期間を定めて、その補正を求めなければならない。この場合において、不備が軽微なものであるときは、国税不服審判所長は、職権で補正することができる。

2 審査請求人は、前項の補正を求められた場合には、国税不服審判所に出頭して補正すべき事項について陳述し、その陳述の内容を国税不服審判所の職員が録取した書面に押印することによつても、これをすることができる。

 (却下)

第九十二条 審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、国税不服審判所長は、裁決で、当該審査請求を却下する。

 (答弁書の提出等)

第九十三条 国税不服審判所長は、審査請求書を受理したときは、その審査請求が前条の規定により却下すべきものであるときを除き、相当の期間を定めて、審査請求の目的となつた処分に係る行政機関の長(第七十五条第二項第一号(国税局の職員の調査に係る処分についての異議申立て)に規定する処分にあつては、当該国税局長。以下「原処分庁」という。)から、答弁書を提出させるものとする。この場合において、国税不服審判所長は、その受理した審査請求書の副本を原処分庁に送付するものとする。

2 答弁書には、審査請求の趣旨及び理由に対応して、原処分庁の主張を記載しなければならない。

3 答弁書は、正副二通を提出しなければならない。

4 原処分庁から答弁書が提出されたときは、国税不服審判所長は、その副本を審査請求人に送付しなければならない。

 (担当審判官等の指定)

第九十四条 国税不服審判所長は、答弁書が提出されたときは、審査請求に係る事件の調査及び審理を行なわせるため、担当審判官一名及び参加審判官二名以上を指定する。

 (証拠書類等の提出)

第九十五条 審査請求人は、第九十三条第四項(答弁書の送付)の規定により送付された答弁書に対する反論書又は証拠書類若しくは証拠物を提出することができる。この場合において、担当審判官がその提出をすべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

 (原処分庁からの物件の提出及び閲覧)

第九十六条 原処分庁は、処分の理由となつた事実を証する書類その他の物件を担当審判官に提出することができる。

2 審査請求人は、担当審判官に対し、原処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。この場合において、担当審判官は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。

3 担当審判官は、前項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。

 (審理のための質問、検査等)

第九十七条 担当審判官は、審理を行なうため必要があるときは、審査請求人の申立てにより、又は職権で、次に掲げる行為をすることができる。

 一 審査請求人若しくは原処分庁(以下「審査請求人等」という。)又は関係人その他の参考人に質問すること。

 二 前号に規定する者の帳簿書類その他の物件につき、その所有者、所持者若しくは保管者に対し、当該物件の提出を求め、又はこれらの者が提出した物件を留め置くこと。

 三 第一号に規定する者の帳簿書類その他の物件を検査すること。

 四 鑑定人に鑑定させること。

2 国税審判官、国税副審判官その他の国税不服審判所の職員は、担当審判官の嘱託により、又はその命を受け、前項第一号又は第三号に掲げる行為をすることができる。

3 国税審判官、国税副審判官その他の国税不服審判所の職員は、第一項第一号及び第三号に掲げる行為をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

4 国税不服審判所長は、審査請求人等(審査請求人と特殊な関係がある者で政令で定めるものを含む。)が、正当な理由がなく、第一項第一号から第三号まで又は第二項の規定による質問、提出要求又は検査に応じないため審査請求人等の主張の全部又は一部についてその基礎を明らかにすることが著しく困難になつた場合には、その部分に係る審査請求人等の主張を採用しないことができる。

5 第一項又は第二項に規定する当該職員の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (裁決)

第九十八条 審査請求が理由がないときは、国税不服審判所長は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

2 審査請求が理由があるときは、国税不服審判所長は、裁決で、当該審査請求に係る処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできない。

3 国税不服審判所長は、前二項の裁決をする場合には、担当審判官及び参加審判官の議決に基づいてこれをしなければならない。

 (国税庁長官の指示等)

第九十九条 国税不服審判所長は、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするとき、又は他の国税に係る処分を行なう際における法令の解釈の重要な先例となると認められる裁決をするときは、あらかじめその意見を国税庁長官に申し出なければならない。

2 国税庁長官は、前項の申出があつた場合において、国税不服審判所長に対し指示をするときは、国税不服審判所長の意見が審査請求人の主張を認容するものであり、かつ、国税庁長官が当該意見を相当と認める場合を除き、国税審査会の議決に基づいてこれをしなければならない。

 (国税審査会)

第百条 前条第二項の規定に基づき国税庁長官から意見を求められた事項について調査審議するため、国税庁に国税審査会を置く。

2 国税審査会は、委員十人以内で組織する。

3 委員は、学識経験がある者のうちから、大蔵大臣が任命する。

4 委員の任期は、三年とする。ただし、欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、再任することができる。

6 委員の互選により国税審査会の会長として定められた者は、会務を総理する。

7 委員は、非常勤とする。

8 委員は、自己の利害に関係する議事に参与することができない。

9 国税審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

 (異議申立てに関する規定の準用等)

第百一条 第八十四条第一項から第五項まで(決定の手続等)の規定は、審査請求の審理及び裁決について準用する。この場合において、同条第一項及び第二項中「異議審理庁」とあるのは「担当審判官」と、「異議申立人」とあるのは「審査請求人」と、同条第三項及び第四項中「異議審理庁」とあるのは「国税不服審判所長」と、「異議申立人」とあるのは「審査請求人」と、「前条第三項の規定による決定」とあるのは「第

 九十八条第二項(裁決)の規定による裁決」と、「異議決定書」とあるのは「裁決書」と、それぞれ読み替えるものとする。

2 国税不服審判所長は、前項において準用する第八十四条第三項の規定により裁決書の謄本を審査請求人に送達するときは、原処分庁(第七十五条第二項第一号(国税局の職員の調査に係る処分についての異議申立て)に規定する処分に係る審査請求にあつては、当該処分に係る税務署長を含む。)にもこれを送付しなければならない。

 (裁決の拘束力)

第百二条 裁決は、関係行政庁を拘束する。

2 申請若しくは請求に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請若しくは請求を却下し若しくは棄却した処分が裁決で取り消されたときは、当該処分に係る行政機関の長は、裁決の趣旨に従い、あらためて申請又は請求に対する処分をしなければならない。

3 国税に関する法律に基づいて公示された処分が裁決で取り消され、又は変更されたときは、当該処分に係る行政機関の長は、当該処分が取り消され、又は変更された旨を公示しなければならない。

4 国税に関する法律に基づいて処分の相手方以外の利害関係人に通知された処分が裁決で取り消され、又は変更されたときは、当該処分に係る行政機関の長は、その通知を受けた者(審査請求人及び参加人を除く。)に、当該処分が取り消され、又は変更された旨を通知しなければならない。

 (証拠書類等の返還)

第百三条 国税不服審判所長は、裁決をしたときは、すみやかに、第九十五条(証拠書類等の提出)(第百九条第五項(参加人についての準用)において準用する場合を含む。)の規定により提出された証拠書類又は証拠物及び第九十七条第一項第二号(審理のための質問、検査等)の規定による提出要求に応じて提出された帳簿書類その他の物件をその提出人に返還しなければならない。

     第四款 雑則

 (併合審理等)

第百四条 異議審理庁又は国税不服審判所長(以下「国税不服審判所長等」という。)は、必要があると認めるときは、数個の不服申立てを併合し、又は併合された数個の不服申立てを分離することができる。

2 更正決定等について不服申立てがされている場合において、当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等があるときは、国税不服審判所長等は、前項の規定によるもののほか、当該他の更正決定等についてあわせて審理することができる。ただし、当該他の更正決定等について不服申立ての決定又は裁決がされているときは、この限りでない。

3 前項の規定の適用がある場合には、国税不服審判所長等は、当該不服申立てについての決定又は裁決において当該他の更正決定等の全部又は一部を取り消すことができる。

4 前二項の規定は、更正の請求に対する処分について不服申立てがされている場合において、当該更正の請求に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正又は決定があるときについて準用する。

 (不服申立てと国税の徴収との関係)

第百五条 国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立ては、その目的となつた処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。ただし、その国税の徴収のため差し押えた財産の滞納処分(その例による処分を含む。以下この条において同じ。)による換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき、又は不服申立人(不服申立人が処分の相手方でないときは、不服申立人及び処分の相手方)から別段の申出があるときを除き、その不服申立てについての決定又は裁決があるまで、することができない。

2 異議審理庁は、必要があると認めるときは、異議申立人の申立てにより、又は職権で、異議申立ての目的となつた処分に係る国税の全部若しくは一部の徴収を猶予し、若しくは滞納処分の続行を停止し、又はこれらを命ずることができる。

3 異議審理庁は、異議申立人が、担保を提供して、異議申立ての目的となつた処分に係る国税につき、滞納処分による差押えをしないこと又は既にされている滞納処分による差押えを解除することを求めた場合において、相当と認めるときは、その差押えをせず、若しくはその差押えを解除し、又はこれらを命ずることができる。

4 国税不服審判所長は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより、又は職権で、審査請求の目的となつた処分に係る国税につき、第四十三条及び第四十四条(徴収の所轄庁)の規定により徴収の権限を有する国税局長、税務署長又は税関長(以下この条において「徴収の所轄庁」という。)の意見をきいたうえ、当該国税の全部若しくは一部の徴収を猶予し、又は滞納処分の続行を停止することを徴収の所轄庁に求めることができる。

5 国税不服審判所長は、審査請求人が、徴収の所轄庁に担保を提供して、審査請求の目的となつた処分に係る国税につき、滞納処分による差押えをしないこと又は既にされている滞納処分による差押えを解除することを求めた場合において、相当と認めるときは、徴収の所轄庁に対し、その差押えをしないこと又はその差押えを解除することを求めることができる。

6 徴収の所轄庁は、国税不服審判所長から前二項の規定により徴収の猶予等又は差押えの解除等を求められたときは、審査請求の目的となつた処分に係る国税の全部若しくは一部の徴収を猶予し、若しくは滞納処分の続行を停止し、又はその差押えをせず、若しくはその差押えを解除しなければならない。

7 第四十九条第一項第一号及び第三号、第二項並びに第三項(納税の猶予の取消し)の規定は、第二項、第三項又は前項の規定に基づく処分の取消しについて準用する。この場合において、同項の規定による処分の取消しについて同条第一項の規定を準用するときは、同項中「税務署長等は」とあるのは、「徴収の所轄庁は、国税不服審判所長の同意を得て」と読み替えるものとする。

 (不服申立人の地位の承継)

第百六条 不服申立人が死亡したときは、相続人(民法第九百五十一条(相続財産法人)の規定の適用がある場合には、同条の法人)は、不服申立人の地位を承継する。

2 不服申立人について合併があつたときは、合併後存続する法人又は合併により設立した法人は、不服申立人の地位を承継する。不服申立人である人格のない社団等の財産に属する権利義務を包括して承継した法人についても、また同様とする。

3 前二項の場合において、不服申立人の地位を承継した者は、書面でその旨を国税不服審判所長等に届け出なければならない。この場合においては、届出書には、当該権利の承継又は合併の事実を証する書面を添附しなければならない。

4 不服申立ての目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、国税不服審判所長等の許可を得て、不服申立人の地位を承継することができる。

 (代理人)

第百七条 不服申立人は、弁護士、税理士その他適当と認める者を代理人に選任することができる。

2 代理人は、各自、不服申立人のために、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。ただし、不服申立ての取下げ及び代理人の選任は、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。

3 代理人の権限は、書面で証明しなければならない。前項ただし書に規定する特別の委任についても、同様とする。

4 代理人がその権限を失つたときは、不服申立人は、書面でその旨を国税不服審判所長等に届け出なければならない。

 (総代)

第百八条 多数人が共同して不服申立てをするときは、三人をこえない総代を互選することができる。

2 共同不服申立人が総代を互選しない場合において、必要があると認めるときは、国税不服審判所長等は総代の互選を命ずることができる。

3 総代は、各自、他の共同不服申立人のために、不服申立ての取下げを除き、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。

4 総代が選任されたときは、共同不服申立人は、総代を通じてのみ前項の行為をすることができる。

5 共同不服申立人に対する国税不服審判所長等(担当審判官を含む。)の通知その他の行為は、二人以上の総代が選任されている場合においても、一人の総代に対してすれば足りる。

6 共同不服申立人は、必要があると認めるときは、総代を解任することができる。

7 前条第三項前段及び第四項の規定は、総代について準用する。

 (参加人)

第百九条 利害関係人は、国税不服審判所長等の許可を得て、参加人として不服申立てに参加することができる。

2 国税不服審判所長等は、必要があると認めるときは、利害関係人に対し、参加人として不服申立てに参加することを求めることができる。

3 国税不服審判所長等は、不服申立てについての決定又は裁決をした場合には、異議決定書又は裁決書の謄本を参加人に送付しなければならない。

4 担当審判官は、審理を行なうため必要があるときは、参加人の申立てにより第九十七条第一項(審理のための質問、検査等)の行為をすることができる。

5 第八十四条第一項及び第二項(口頭による陳述)(第百一条第一項(異議申立てに関する規定の準用)において準用する場合を含む。)並びに第九十六条第二項及び第三項(原処分庁から提出された物件の閲覧)の規定は参加人について、第九十五条(証拠書類等の提出)の規定は参加人による証拠書類又は証拠物の提出について準用する。

 (不服申立ての取下げ)

第百十条 不服申立人は、不服申立てについての決定又は裁決があるまでは、いつでも、書面により当該不服申立てを取り下げることができる。

2 第七十五条第五項(異議決定を経ない審査請求)の規定による審査請求がされたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる不服申立ては、取り下げられたものとみなす。

 一 異議審理庁において当該審査請求がされた日以前に異議申立てに係る処分の全部を取り消す旨の異議決定書の謄本を発している場合 当該審査請求

 二 異議審理庁において当該審査請求がされた日以前に異議申立てに係る処分の一部を取り消す旨の異議決定書の謄本を発している場合 その部分についての審査請求

 三 その他の場合 その決定を経ないで当該審査請求がされた異議申立て

 (教示)

第百十一条 異議審理庁は、異議申立てがされた日の翌日から起算して三月を経過しても当該異議申立てが係属しているときは、当該異議申立てに係る処分が審査請求をすることができないものである場合を除き、遅滞なく、当該処分について直ちに審査請求をすることができる旨を書面でその異議申立人に教示しなければならない。

2 第八十九条第二項(処分の理由の附記)の規定は、前項の教示に係る書面について準用する。

 (誤つた教示をした場合の救済)

第百十二条 国税に関する法律に基づく処分をした行政機関が、不服申立てをすべき行政機関を教示する際に、誤つて当該行政機関でない行政機関を教示した場合において、その教示された行政機関に対し教示された不服申立てがされたときは、第七十五条第四項第二号(教示をしなかつた場合の審査請求)の規定により審査請求がされた場合を除き、当該行政機関は、すみやかに異議申立書又は審査請求書を異議申立てをすべき行政機関又は国税不服審判所長に送付し、かつ、その旨を不服申立人に通知しなければならない。

2 前項の規定により異議申立書又は審査請求書が異議申立てをすべき行政機関又は国税不服審判所長に送付されたときは、はじめから異議申立てをすべき行政機関に異議申立てがされ、又は国税不服審判所長に審査請求がされたものとみなす。

 (首席審判官への権限の委任)

第百十三条 この法律に基づく国税不服審判所長の権限は、政令で定めるところにより、その一部を首席国税審判官に委任することができる。

 本則に次の一章を加える。

   第十章 罰則

第百二十六条 第九十七条第一項第一号若しくは第二項(審理のための質問、検査等)の規定による質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又は同条第一項第三号若しくは第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは当該検査に関し偽りの記載をした帳簿書類を提示した者は、三万円以下の罰金に処する。ただし、同条第四項に規定する審査請求人等は、この限りでない。

第百二十七条 法人の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。

2 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、昭和四十五年五月一日から施行する。

 (更正の請求に関する経過措置)

第二条 改正後の国税通則法(以下「新法」という。)第二十三条第一項の規定は、改正前の国税通則法(以下「旧法」という。)第二十三条第一項の規定による期限がこの法律の施行後に到来する更正の請求について適用する。

 (還付加算金に関する経過措置)

第三条 新法第五十八条の規定は、この法律の施行後に支払決定又は充当をする国税(その滞納処分費を含む。)に係る還付金又は過誤納金に加算すべき金額について適用する。ただし、当該加算すべき金額の全額又は一部でこの法律の施行前の期間に対応するものの計算については、なお従前の例による。

 (延滞税に関する経過措置)

第四条 新法第六十三条第四項の規定は、この法律の施行後における差押え又は担保の提供がされている期間に係る延滞税の額の計算について適用する。

 (不服申立期限に関する経過措置)

第五条 新法第七十七条第一項の規定は、旧法第七十六条第一項又は第七十九条第一項若しくは第二項の規定による期限がこの法律の施行後に到来する異議申立て又は審査請求について適用する。

 (従前の手続の効力)

第六条 国税に関する法律に基づく処分(酒税法第二章の規定による処分を除く。)に対する異議申立て若しくは審査請求又はこれらについての決定若しくは裁決その他の処分若しくは手続で、この法律の施行前に旧法又は行政不服審査法の規定によつてされたものは、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に掲げる処分又は手続とみなして、新法第八章第一節の規定を適用する。

 一 異議申立て又はこれについての決定その他の処分若しくは手続 新法の相当規定によつてされた異議申立て又はこれについての決定その他の処分若しくは手続

 二 国税局長に対してされた審査請求又はこれについての裁決その他の処分若しくは手続 新法の相当規定により国税不服審判所長に対してされた審査請求又はこれについての裁決その他の処分若しくは手続

 三 国税庁長官に対してされた審査請求又はこれについての裁決その他の処分若しくは手続 新法第七十五条第二項第二号の規定によつてされた異議申立て又はこれについての決定その他の処分若しくは手続

2 前項第二号の規定により新法の相当規定によつてされた審査請求とみなされたものに係る旧法第八十三条第一項の協議団の議決は、新法第九十八条第三項の議決とみなす。

 (答弁書の特例)

第七条 前条第一項第二号の規定により新法の相当規定によつてされた審査請求とみなされたものについては、国税不服審判所長は、新法第九十三条第一項及び第九十四条の規定にかかわらず、答弁書を提出させないで担当審判官を指定することができる。

 (不服申立ての前置の特例)

第八条 この法律の施行前に、旧法の規定により国税局長又は税関長に対してされた異議申立てがある場合における新法第百十五条第一項の規定の適用については、当該異議申立てに係る処分は異議申立てについての決定を経た後審査請求をすることができる処分に含まれないものとし、当該異議申立ては国税庁長官に対してされたものとする。

 (政令への委任)

第九条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (所得税法の一部改正)

第十条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項第四十二号中「第八十九条第二項」を「第百十七条第二項」に改める。

  第十条第一項中「同項第四号」を「同項第三号」に改め、同条第三項中第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号から第五号までを一号ずつ繰り上げ、同条第四項中「前項第四号」を「前項第三号」に改め、同条第六項中「第三項第四号及び第五号」を「第三項第三号及び第四号」に改める。

  第十九条中「国税通則法第七十六条第一項(異議申立て)の規定による」を削り、「決定」の下に「若しくは審査請求についての裁決」を加える。

  第百十九条中「及び第六十三条第一項」を「並びに第六十三条第一項及び第四項」に改める。

  第百五十二条及び第百五十三条中「同条第二項」を「同条第三項」に改める。

 (法人税法の一部改正)

第十一条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  第十九条中「国税通則法第七十六条第一項(異議申立て)の規定による」を削り、「決定」の下に「若しくは審査請求についての裁決」を加える。

  第八十二条中「同条第二項」を「同条第三項」に改める。

  第百四十五条第二項の表第七十一条第一項(中間申告)の項中「第八十九条第二項」を「第百十七条第二項」に改める。

  第百四十八条第一号中「名称、本店又は主たる事務所の所在地、」及び「及び代表者の氏名」を削る。

  第百四十九条第一号中「名称、本店又は主たる事務所の所在地、」を削る。

  第百五十条第一項第一号を次のように改める。

  一 その納税地

 (入場税法の一部改正)

第十二条 入場税法(昭和二十九年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。

  第八条第三項中「氏名又は名称、」を削る。

 (とん税法の一部改正)

第十三条 とん税法(昭和三十二年法律第三十七号)の一部を次のように改正する。

  第十条第二項中「第九十一条第一項」を「第百十九条第一項」に、「同法第九十二条第一項」を「同法第百二十条第一項」に改める。

 (関税法の一部改正)

第十四条 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。

  第十三条の四中「第九十条第一項」を「第百十八条第一項」に、「同法第九十一条第一項」を「同法第百十九条第一項」に、「同法第九十二条第一項」を「同法第百二十条第一項」に改める。

 (登録免許税法の一部改正)

第十五条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  第三十一条第一項第三号中「第七十九条第一項(審査請求)」を「第七十五条第一項第五号(他の行政機関の処分についての審査請求)」に改め、同条第二項中「一月」を「一年」に改める。

 (資産再評価法の一部改正)

第十六条 資産再評価法(昭和二十五年法律第百十号)の一部を次のように改正する。

  第四十六条第六項中「第八十九条第二項」を「第百十七条第二項」に改める。

  第八十二条の二第二項及び第八十九条中「第九十条」を「第百十八条」に、「第九十一条」を「第百十九条」に改める。

 (租税特別措置法の一部改正)

第十七条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第二号中「同項第四号」を「同項第三号」に改める。

 (国税徴収法の一部改正)

第十八条 国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。

  第十一条中「第八条第一項第一号又は第四号」を「第八条第一項第二号若しくは第六号」に改める。

  第百十四条中「第八十四条第一項ただし書」を「第百五条第一項ただし書」に改める。

  第百七十一条第一項中「第七十六条第一項、第三項又は第四項」を「第十一条(災害等による期限の延長)又は第七十七条」に、「一月」を「二月」に改め、同条第二項中「第七十九条第一項又は第二項」を「第七十五条第一項第二号ロ若しくは第四項」に、「同法第八十七条第一項第四号」を「同法第百十五条第一項第三号」に、「第七十六条第一項、第三項又は第四項」を「第十一条(災害等による期限の延長)又は第七十七条」に改める。

  第百七十三条第一項中「又は税関長」を「若しくは税関長又は国税不服審判所長」に改める。

 (税理士法の一部改正)

第十九条 税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)の一部を次のように改正する。

  第三十五条第二項中「国税庁協議団又は国税局協議団の協議官」を「国税不服審判所の担当審判官」に改める。

 (失業保険法の一部改正)

第二十条 失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)の一部を次のように改正する。

  第三十四条の三第二項中「第九十二条」を「第百二十条」に改める。

 (土地改良法の一部改正)

第二十一条 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。

  第九十条の二第八項中「第九十条第三項」を「第百十八条第三項」に、「第九十一条第四項」を「第百十九条第四項」に改める。

 (農地法の一部改正)

第二十二条 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。

  第四十三条第七項中「第九十条第三項」を「第百十八条第三項」に、「第九十一条第四項」を「第百十九条第四項」に改める。

 (地方自治法の一部改正)

第二十三条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

  第百五十六条第七項中「鉄道現業官署」を「国税不服審判所の支部、鉄道現業官署」に改める。

 (大蔵省設置法の一部改正)

第二十四条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第四条第二十二号中「協議団」を「国税不服審判所」に改める。

  第三十九条を次のように改める。

  (国税不服審判所)

 第三十九条 国税庁に国税不服審判所を置く。

 2 国税不服審判所の組織、所掌事務及び権限は、国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)の定めるところによる。

  第四十一条第一項中

税理士試験委員

税理士試験を行うこと。

 を

国税審査会

国税通則法第九十九条第二項の規定に基づき国税庁長官から意見を求められた事項について調査審議すること。

税理士試験委員

税理士試験を行なうこと。

 に改める。

  第四十五条を次のように改める。

 第四十五条 削除

  第四十六条の見出し中「その他の」を削る。

(大蔵・農林・労働・自治・内閣総理大臣署名) 

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