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法律第百十七号(昭四五・一二・一七)

  ◎国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律

 (趣旨)

第一条 この法律は、国際協力等の目的で、国際機関、外国政府の機関等に派遣される職員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する職員をいう。以下同じ。)の処遇等について定めるものとする。

 (職員の派遣)

第二条 任命権者(国家公務員法第五十五条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者をいう。以下同じ。)は、条約その他の国際約束若しくはこれに準ずるものに基づき又は次に掲げる機関の要請に応じ、これらの機関の業務に従事させるため、部内の職員(人事院規則で定める職員を除く。)を派遣することができる。

 一 わが国が加盟している国際機関

 二 外国政府の機関

 三 前二号に準ずる機関で、人事院規則で定めるもの

2 任命権者は、前項の規定により職員を派遣する場合には、当該職員の同意を得なければならない。

 (派遣職員の身分)

第三条 前条第一項の規定により派遣された職員(以下「派遣職員」という。)は、その派遣の期間中、職員としての身分を保有するが、職務に従事しない。

第四条 任命権者は、派遣職員についてその派遣の必要がなくなつたときは、すみやかに当該職員を職務に復帰させなければならない。

2 派遣職員は、その派遣の期間が満了したときは、職務に復帰するものとする。

 (派遣職員の給与)

第五条 派遣職員には、その派遣の期間中、俸給、扶養手当、調整手当及び期末手当のそれぞれ百分の百以内を支給することができる。

2 前項の規定による給与の支給に関し必要な事項は、人事院規則(派遣職員が検察官の俸給等に関する法律(昭和二十三年法律第七十六号)の適用を受ける職員である場合にあつては、同法第三条第一項に規定する準則)で定める。

 (派遣職員の業務上の災害に対する補償等)

第六条 派遣職員に関する国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)の規定の適用については、派遣先の機関の業務を公務とみなす。国家公務員災害補償法の一部を改正する法律(昭和四十一年法律第六十七号)附則第六条第一項の規定の適用についても、同様とする。

2 派遣職員の派遣先の業務上の災害に対する補償に係る国家公務員災害補償法の規定による平均給与額については、同法第四条の規定にかかわらず、人事院規則で定める。

3 派遣職員の派遣先の業務上の災害に対し国家公務員災害補償法の規定による補償を行なう場合において、補償を受けるべき者が派遣先の機関等から同一の事由について当該災害に対する補償を受けたときは、国は、その価額の限度において、同法の規定による補償を行なわない。

第七条 派遣職員に関する国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)又は地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の規定の適用については、それぞれ派遣先の機関の業務を公務とみなす。国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法(昭和三十三年法律第百二十九号)又は地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法(昭和三十七年法律第百五十三号)の規定の適用についても、同様とする。

2 派遣職員に関する国家公務員共済組合法第八十一条第二項、第八十六条若しくは第九十二条又は地方公務員等共済組合法第八十六条第二項、第九十一条若しくは第九十七条の規定の適用については、派遣職員の派遣先の業務上の災害に対して派遣先の機関等から補償が行なわれることとなつたため、前条第三項の規定により、当該災害に対する国家公務員災害補償法の規定による療養補償又は障害補償年金若しくは遺族補償年金の支給が行なわれないこととなつた場合における当該派遣先の機関等からの補償を当該療養補償、障害補償年金又は遺族補償年金に相当する補償とみなす。

第八条 派遣職員に関する一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第二十三条第一項の規定の適用については、派遣先の機関の業務を公務とみなす。

 (派遣職員に関する国家公務員等退職手当法の特例)

第九条 派遣職員に関する国家公務員等退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第五条第一項の規定の適用については、派遣先の機関の業務を公務とみなす。

2 国家公務員等退職手当法第七条第四項の規定は、派遣職員の派遣の期間については、適用しない。

 (派遣職員に対する旅費の支給)

第十条 派遣職員には、特に必要があると認められるときは、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)に定める赴任の例に準じ旅費を支給することができる。

 (派遣職員の復帰時における処遇)

第十一条 派遣職員が職務に復帰した場合における任用、給与等に関する処遇については、部内職員との均衡を失することのないよう適切な配慮が加えられなければならない。

 (人事院規則への委任)

第十二条 第二条から第四条まで及び第六条の規定の実施に関し必要な事項は、人事院規則で定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行する。

 (経過措置)

2 この法律の施行の際現に国家公務員法第七十九条の規定に基づく人事院規則の定めるところにより休職にされ、第二条第一項各号に掲げる機関(次項及び附則第四項において「国際機関等」という。)の業務に従事している職員のうち、人事院規則で定めるものは、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)に派遣職員となるものとする。

3 施行日前に国家公務員法第七十九条の規定に基づく人事院規則の定めるところにより休職にされ、国際機関等の業務に従事していた期間を有する者のうち、引き続き施行日において職員として在職しているもの及びこれに準ずる者で政令で定めるもの並びに次項に規定する者に該当するものの当該休職の期間(政令で定める期間に限る。)については、国家公務員等退職手当法第七条第四項の規定は、適用しない。

4 施行日前に国際機関等の業務に従事するため職員を退職し、かつ、引き続き当該国際機関等の業務に従事した後、引き続いて再び職員となつた者で、政令で定めるものの国家公務員等退職手当法第七条第一項の規定による在職期間の計算については、先の職員としての在職期間は、後の職員としての在職期間に引き続いたものとみなす。この場合において、施行日以後の退職による退職手当の額の計算について必要な事項は、政令で定める。

 (国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法の一部改正)

5 国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法(昭和二十九年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。

  第七条に次の一項を加える

 3 職員に関する国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律(昭和四十五年法律第百十七号)第五条の規定の適用については、同条第一項中「俸給、扶養手当、調整手当及び期末手当のそれぞれ百分の百以内」とあるのは「給与」とし、同条第二項中「人事院規則(派遣職員が検察官の俸給等に関する法律(昭和二十三年法律第七十六号)の適用を受ける職員である場合にあつては、同法第三条第一項に規定する準則)」とあるのは「国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法(昭和二十九年法律第百四十一号)第四条に規定する給与準則」とする。

 (国会職員法の一部改正)

6 国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。

  第九章中第四十一条を第四十五条とし、同章を第十章とし、第八章の次に次の一章を加える。

    第九章 国際機関等への派遣

 第四十一条 各本属長は、条約その他の国際約束若しくはこれに準ずるものに基づき又は次に掲げる機関の要請に応じ、これらの機関の業務に従事させるため、その所属国会職員(両議院の議長が協議して定める国会職員を除く。)を派遣することができる。

  一 わが国が加盟している国際機関

  二 外国政府の機関

  三 前二号に準ずる機関で、両議院の議長が協議して定めるもの

   各本属長は、前項の規定によりその所属国会職員を派遣する場合には、当該国会職員の同意を得なければならない。

 第四十二条 前条第一項の規定により派遣された国会職員(以下「派遣国会職員」という。)は、その派遣の期間中、国会職員としての身分を保有するが、職務に従事しない。

 第四十三条 派遣国会職員に関する給与、旅費、災害補償、退職又は死亡の場合における年金及び一時金、退職手当等並びに派遣国会職員の職務への復帰及び復帰時における処遇については、国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律(昭和四十五年法律第百十七号)第三条に規定する派遣職員の例による。

 第四十四条 前三条の規定の実施に関し必要な事項は、両議院の議長が協議して定める。

 (国会職員法の一部改正に伴う経過措置)

7 この法律の施行の際現に国会職員法第十三条の規定により休職にされ、前項の規定による改正後の同法第四十一条第一項各号に掲げる機関(以下「国際機関等」という。)の業務に従事している国会職員及び施行日前に国会職員法第十三条の規定により休職にされ、国際機関等の業務に従事していた期間を有する国会職員のうち、引き続き施行日において国会職員として在職しているものの処遇等については、附則第二項及び附則第三項の規定の例による。

(内閣総理・法務・外務・大蔵・文部・厚生・農林・通産産業・運輸・郵政・労働・建設・自治大臣署名) 

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