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法律第七十三号(昭四七・六・一六)

  ◎工業再配置促進法

 (目的)

第一条 この法律は、過度に工業が集積している地域から工業の集積の程度が低い地域への工場の移転及び当該地域における工場の新増設を環境の整備その他環境の保全及び雇用の安定に配意しつつ推進する措置を講ずることにより、工業の再配置を促進し、もつて国民経済の健全な発展を図り、あわせて国土の均衡ある発展と国民の福祉の向上に資することを目的とする。

 (移転促進地域及び誘導地域)

第二条 この法律において「移転促進地域」とは、大都市及びその周辺の地域のうち、工業の集積の程度が著しく高く、当該地域内にある工場の移転を図ることが必要な地域で政令で定めるものをいう。

2 この法律において「誘導地域」とは、次に掲げる地域をいう。

 一 工業の集積の程度が低く、かつ、人口の増加の割合が低い道県で政令で定めるものの区域(政令で定める要件に該当する市町村の区域を除く。)

 二 前号の区域とその区域が連接し、かつ、工業の集積の程度及び人口の増加の割合が同号の区域における工業の集積の程度及び人口の増加の割合に類する市町村で政令で定めるものの区域

 (工業再配置計画)

第三条 通商産業大臣は、関係行政機関の長に協議し、かつ、工場立地及び工業用水審議会の意見をきいて、工業再配置計画を定めなければならない。

2 工業再配置計画は、目標年度における工業の業種別及び地域別の配置の目標、移転促進地域から誘導地域への工場の移転に関する事項、誘導地域における工場の新増設に関する事項、工業の再配置に関連する環境の整備その他環境の保全及び労働力の需給に関する事項その他工業の再配置に関する重要事項について定めるものとする。

3 工業再配置計画は、全国総合開発計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、沖縄振興開発計画、産炭地域振興基本計画、農村地域工業導入基本方針その他法律の規定による地域の振興又は整備に関する国の計画との調和が保たれたものでなければならない。

4 関係都道府県知事は、工業再配置計画に関し、通商産業大臣に対し、意見を申し出ることができる。

5 通商産業大臣は、工業再配置計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 (指導及び助言)

第四条 通商産業大臣及び当該製造の事業を所管する大臣は、工業再配置計画に定める目標を達成するため必要があると認めるときは、製造の事業を営む者に対し、移転促進地域から誘導地域への工場の移転又は誘導地域における工場の新増設に係る立地に関する事項について指導及び助言を行なうものとする。

2 関係行政機関の長は、その所掌する事項について必要があると認めるときは、前項の指導及び助言に関し通商産業大臣及び当該製造の事業を所管する大臣に意見を述べることができる。

 (認定)

第五条 製造の事業を営む者で移転促進地域内にある工場を誘導地域に移転しようとするものは、当該移転に関する計画を通商産業大臣及び当該製造の事業を所管する大臣に提出して、その計画が、産炭地域振興臨時措置法(昭和三十六年法律第二百十九号)、農村地域工業導入促進法(昭和四十六年法律第百十二号)その他の法律の規定に基づく特定の地域への工業の誘導に関する計画に適合することが確認されていること、環境の整備その他環境の保全に配意されていることその他の政令で定める要件に該当するものである旨の認定を受けることができる。

2 製造の事業を営む者が前項の規定により移転に関する計画を提出する場合には、当該誘導地域の都道府県知事の意見書を添附しなければならない。

3 前二項に規定するもののほか、第一項の認定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。

 (法人税又は所得税の課税の特例)

第六条 製造の事業を営む者で移転促進地域内にある工場を誘導地域に移転しようとするものが当該工場において当該事業の用に供している減価償却資産を前条第一項の認定を受けた計画(以下「認定計画」という。)に従つて廃棄又は譲渡をするときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、当該製造の事業を営む者に対する法人税又は所得税の課税について特別の措置を講ずる。

 (固定資産税の課税免除又は不均一課税に伴う措置)

第七条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条の規定により、地方公共団体が、認定計画に従つて移転促進地域内にある工場を誘導地域に移転した者について、当該移転により誘導地域において営むこととなつた事業に係る機械及び装置若しくは当該事業に係る工場用の建物若しくはその敷地である土地に対する固定資産税を課さなかつた場合又はこれらに対する固定資産税に係る不均一の課税をした場合において、これらの措置が政令で定める場合に該当するものと認められるときは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、自治省令で定める方法によつて算定した当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(これらの措置がされた最初の年度以降三箇年度におけるものに限る。)について同条の規定により当該地方公共団体の当該各年度における基準財政収入額に算入される額に相当する額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(これらの措置が自治省令で定める日以後において行なわれたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。

 (財政上の措置等)

第八条 国は、移転促進地域から誘導地域への工場の移転及び誘導地域における工場の新増設を円滑に推進するため、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるとともに、必要な資金を確保するよう努めなければならない。

2 国は、前項の財政上の措置等を講ずるに当たつては、産炭地域振興臨時措置法第二条第一項に規定する産炭地域、農村地域工業導入促進法第五条第二項に規定する工業導入地区等法律の規定に基づく特定の地域への工場の移転及び当該地域における工場の新増設の促進について特に配慮するよう努めなければならない。

 (地方債についての配慮)

第九条 地方公共団体が誘導地域における工場の新増設(移転促進地域からの移転に係るものを含む。)を円滑に推進するために行なう工場用地の造成その他の事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、適切な配慮をするものとする。

 (施設の整備)

第十条 国及び地方公共団体は、誘導地域において道路、通信運輸施設、厚生施設、教育施設、職業訓練施設その他の施設の整備の促進に努めなければならない。

 (工場用地の造成)

第十一条 誘導地域において工場用地を造成しようとする者は、環境の整備その他環境の保全に配意して行なうよう努めなければならない。

 (工場跡地の利用)

第十二条 国及び地方公共団体は、移転促進地域における工場の移転に係る工場跡地が公共の用途その他住民の福祉の増進に資する用途に利用されるよう努めなければならない。

 (報告の徴収)

第十三条 通商産業大臣及び当該製造の事業を所管する大臣は、製造の事業を営む者に対し、認定計画の実施状況について報告を求めることができる。

 (罰則)

第十四条 前条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

(法務・大蔵・厚生・農林・通商産業・運輸・自治・内閣総理大臣署名) 

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