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法律第八十四号(昭四七・六・二二)

  ◎大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律

 (大気汚染防止法の一部改正)

第一条 大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第四章 大気の汚染の状況の監視等(第二十二条―第二十五条)」を

第四章 大気の汚染の状況の監視等(第二十二条―第二十四条)

 

 

第四章の二 損害賠償(第二十五条―第二十五条の六)

 に改める。

  第一条中「、生活環境を保全する」を「生活環境を保全し、並びに大気の汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図る」に改める。

  第二条第二項中「以下同じ」を「第四章の二を除き、以下同じ」に改める。

  第二十五条を削り、第二十四条の次に次の一章を加える。

    第四章の二 損害賠償

  (無過失責任)

 第二十五条 工場又は事業場における事業活動に伴う健康被害物質(ばい煙、特定物質又は粉じんで、生活環境のみに係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの以外のものをいう。以下この章において同じ。)の大気中への排出(飛散を含む。以下この章において同じ。)により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出に係る事業者は、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。

 2 一の物質が新たに健康被害物質となつた場合には、前項の規定は、その物質が健康被害物質となつた日以後の当該物質の排出による損害について適用する。

 第二十五条の二 前条第一項に規定する損害が二以上の事業者の健康被害物質の大気中への排出により生じ、当該損害賠償の責任について民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条第一項の規定の適用がある場合において、当該損害の発生に関しその原因となつた程度が著しく小さいと認められる事業者があるときは、裁判所は、その者の損害賠償の額を定めるについて、その事情をしんしやくすることができる。

  (賠償についてのしんしやく)

第二十五条の三 第二十五条第一項に規定する損害の発生に関して、天災その他の不可抗力が競合したときは、裁判所は、損害賠償の責任及び額を定めるについて、これをしんしやくすることができる。

  (消滅時効)

第二十五条の四 第二十五条第一項に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知つた時から三年間行なわないときは、時効によつて消滅する。損害の発生の時から二十年を経過したときも、同様とする。

  (鉱業法の適用)

 第二十五条の五 第二十五条第一項に規定する損害賠償の責任について鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)の適用があるときは、同法の定めるところによる。

  (適用除外)

 第二十五条の六 この章の規定は、事業者が行なう事業に従事する者の業務上の負傷、疾病及び死亡に関しては、適用しない。

 (水質汚濁防止法の一部改正)

第二条 水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第四章 削除」を「第四章 損害賠償(第十九条―第二十条の五)」に改める。

  第一条中「、生活環境を保全する」を「生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図る」に改める。

  第四章を次のように改める。

    第四章 損害賠債

  (無過失責任)

 第十九条 工場又は事業場における事業活動に伴う有害物質の汚水又は廃液に含まれた状態での排出(地下へのしみ込みを含む。以下この章において同じ。)により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出に係る事業者は、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。

 2 一の物質が新たに有害物質となつた場合には、前項の規定は、その物質が有害物質となつた日以後の当該物質の排出による損害について適用する。

 第二十条 前条第一項に規定する損害が二以上の事業者の有害物質の汚水又は廃液に含まれた状態での排出により生じ、当該損害賠償の責任について民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条第一項の規定の適用がある場合において、当該損害の発生に関しその原因となつた程度が著しく小さいと認められる事業者があるときは、裁判所は、その者の損害賠償の額を定めるについて、その事情をしんしやくすることができる。

  (賠償についてのしんしやく)

 第二十条の二 第十九条第一項に規定する損害の発生に関して、天災その他の不可抗力が競合したときは、裁判所は、損害賠償の責任及び額を定めるについて、これをしんしやくすることができる。

  (消滅時効)

 第二十条の三 第十九条第一項に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知つた時から三年間行なわないときは、時効によつて消滅する。損害の発生の時から二十年を経過したときも、同様とする。

  (他の法律の適用)

 第二十条の四 第十九条第一項に規定する損害賠償の責任について鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)又は水洗炭業に関する法律(昭和三十三年法律第百三十四号)の適用があるときは、当該各法律の定めるところによる。

  (適用除外)

 第二十条の五 この章の規定は、事業者が行なう事業に従事する者の業務上の負傷、疾病及び死亡に関しては、適用しない。

  第二十三条第一項中「公共用水域の」を削る。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和四十七年十月一日から施行する。

 (経過措置)

2 第一条の規定による改正後の大気汚染防止法第四章の二の規定及び第二条の規定による改正後の水質汚濁防止法第四章の規定は、この法律の施行後に生ずる損害について適用する。ただし、当該損害が第一条の規定による改正後の大気汚染防止法第二十五条第一項に規定する健康被害物質のこの法律の施行前の排出(飛散を含む。)又は水質汚濁防止法第三条第二項に規定する有害物質のこの法律の施行前の排出(地下へのしみ込みを含む。)によるものであることを当該排出(飛散又は地下へのしみ込みを含む。)に係る事業者において証明したときは、当該損害については、なお従前の例による。

 (検討)

3 政府は、公害に係る被害者の救済に関し、その損害賠償を保障する制度について検討を加え、その結果に基づき、すみやかに、必要な措置を講ずるものとする。

(内閣総理・法務・通商産業・労働大臣臨時代理署名) 

 

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