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法律第六十一号(昭五〇・七・一一)

  ◎私立学校振興助成法

 (目的)

第一条 この法律は、学校教育における私立学校の果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体が行う私立学校に対する助成の措置について規定することにより、私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する児童、生徒、学生又は幼児に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高め、もつて私立学校の健全な発達に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいう。

2 この法律において「学校法人」とは、私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人をいう。

3 この法律において「私立学校」とは、私立学校法第二条第三項に規定する学校をいう。

4 この法律において「所轄庁」とは、私立学校法第四条に規定する所轄庁をいう。

 (学校法人の責務)

第三条 学校法人は、この法律の目的にかんがみ、自主的にその財政基盤の強化を図り、その設置する学校に在学する児童、生徒、学生又は幼児に係る修学上の経済的負担の適正化を図るとともに、当該学校の教育水準の向上に努めなければならない。

 (私立大学及び私立高等専門学校の経常的経費についての補助)

第四条 国は、大学又は高等専門学校を設置する学校法人に対し、当該学校における教育又は研究に係る経常的経費について、その二分の一以内を補助することができる。

2 前項の規定により補助することができる経常的経費の範囲、算定方法その他必要な事項は、政令で定める。

 (補助金の減額等)

第五条 国は、学校法人又は学校法人の設置する大学若しくは高等専門学校が次の各号の一に該当する場合には、その状況に応じ、前条第一項の規定により当該学校法人に交付する補助金を減額して交付することができる。

 一 法令の規定、法令の規定に基づく所轄庁の処分又は寄附行為に違反している場合

 二 学則に定めた収容定員を超える数の学生を在学させている場合

 三 在学している学生の数が学則に定めた収容定員に満たない場合

 四 借入金の償還が適正に行われていない等財政状況が健全でない場合

 五 その他教育条件又は管理運営が適正を欠く場合

第六条 国は、学校法人又は学校法人の設置する大学若しくは高等専門学校が前条各号の一に該当する場合において、その状況が著しく、補助の目的を有効に達成することができないと認めるときは、第四条第一項の規定による補助金を交付しないことができる。学校法人の設置する大学又は高等専門学校に、設置後学校教育法に定める修業年限に相当する年数を経過していない学部又は学科(短期大学及び高等専門学校の学科に限る。)がある場合においては、当該学部又は学科に係る当該補助金についても、同様とする。

 (補助金の増額)

第七条 国は、私立大学における学術の振興及び私立大学又は私立高等専門学校における特定の分野、課程等に係る教育の振興のため特に必要があると認めるときは、学校法人に対し、第四条第一項の規定により当該学校法人に交付する補助金を増額して交付することができる。

 (学校法人が行う学資の貸与の事業についての助成)

第八条 国又は地方公共団体は、学校法人に対し、当該学校法人がその設置する学校の学生又は生徒を対象として行う学資の貸与の事業について、資金の貸付けその他必要な援助をすることができる。

 (学校法人に対する都道府県の補助に対する国の補助)

第九条 都道府県が、その区域内にある小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校又は幼稚園を設置する学校法人に対し、当該学校における教育に係る経常的経費について補助する場合には、国は、都道府県に対し、政令で定めるところにより、その一部を補助することができる。

 (その他の助成)

第十条 国又は地方公共団体は、学校法人に対し、第四条、第八条及び前条に規定するもののほか、補助金を支出し、又は通常の条件よりも有利な条件で、貸付金をし、その他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる。ただし、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)並びに地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第九十六条及び第二百三十七条から第二百三十八条の五までの規定の適用を妨げない。

 (間接補助)

第十一条 国は、日本私学振興財団法(昭和四十五年法律第六十九号)の定めるところにより、この法律の規定による助成で補助金の支出又は貸付金に係るものを日本私学振興財団を通じて行うことができる。

 (所轄庁の権限)

第十二条 所轄庁は、この法律の規定により助成を受ける学校法人に対して、次の各号に掲げる権限を有する。

 一 助成に関し必要があると認める場合において、当該学校法人からその業務若しくは会計の状況に関し報告を徴し、又は当該職員に当該学校法人の関係者に対し質問させ、若しくはその帳簿、書類その他の物件を検査させること。

 二 当該学校法人が、学則に定めた収容定員を著しく超えて入学又は入園させた場合において、その是正を命ずること。

 三 当該学校法人の予算が助成の目的に照らして不適当であると認める場合において、その予算について必要な変更をすべき旨を勧告すること。

 四 当該学校法人の役員が法令の規定、法令の規定に基づく所轄庁の処分又は寄附行為に違反した場合において、当該役員の解職をすべき旨を勧告すること。

 (意見の聴取等)

第十三条 所轄庁は、前条第二号から第四号までの規定による措置をしようとする場合においては、あらかじめ、当該学校法人の理事又は解職しようとする役員に対して弁明の機会を与えるために通知するとともに、私立学校審議会、私立大学審議会又は高等専門学校審議会の意見を聴かなければならない。この場合において、当該学校法人の理事若しくは当該役員又はその代理人は、所轄庁に対し、又は私立学校審議会、私立大学審議会若しくは高等専門学校審議会に出席して弁明することができる。

2 前条第二号の規定による処分については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。

 (書類の作成等)

第十四条 第四条第一項又は第九条に規定する補助金の交付を受ける学校法人は、文部大臣の定める基準に従い、会計処理を行い、貸借対照表、収支計算書その他の財務計算に関する書類を作成しなければならない。

2 前項に規定する学校法人は、同項の書類のほか、収支予算書を所轄庁に届け出なければならない。

3 前項の場合においては、第一項の書類については、所轄庁の指定する事項に関する公認会計士又は監査法人の監査報告書を添付しなければならない。ただし、補助金の額が寡少であつて、所轄庁の許可を受けたときは、この限りでない。

 (税制上の優遇措置)

第十五条 国又は地方公共団体は、私立学校教育の振興に資するため、学校法人が一般からの寄附金を募集することを容易にするための措置等必要な税制上の措置を講ずるよう努めるものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、昭和五十一年四月一日から施行する。

 (学校法人以外の私立の学校の設置者に対する措置)

第二条 第三条、第九条、第十条及び第十二条から第十五条までの規定中学校法人には、当分の間、学校教育法第百二条第一項の規定により私立の盲学校、聾学校、養護学校又は幼稚園を設置する者(以下「学校法人以外の私立の学校の設置者」という。)を含むものとする。

2 学校法人以外の私立の学校の設置者に係る第十二条から第十四条までの規定の適用については、これらの規定のうち次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第十二条各号列記以外の部分

所轄庁

都道府県知事

第十二条第一号

その業務

当該学校の経営に関する業務

学校法人の関係者

学校の経営に関係のある者

質問させ

当該学校の経営に関し質問させ

その帳簿

当該学校の経営に関する帳簿

第十二条第三号

予算が

当該学校の経営に関する予算が

第十二条第四号

当該学校法人の役員

当該学校の経営を担当する者(当該学校を設置する者が法人である場合にあつては当該学校の経営を担当する当該法人の役員をいい、当該学校を設置する者が法人以外の者である場合にあつては当該学校を設置する者をいう。)

、法令

又は法令

所轄庁

都道府県知事

処分又は寄附行為

当該学校についての処分

当該役員の解職をすべき旨

当該学校の経営を担当する者の担当を解くべき旨(当該学校を設置する者が法人以外の者である場合にあつては、当該学校の経営に関する人事の是正のため必要な措置をとるべき旨)

第十三条第一項

所轄庁

都道府県知事

当該学校法人の理事

当該学校を設置する者(当該学校を設置する者が法人である場合にあつては、当該法人の代表者)

解職しようとする役員

担当を解こうとする者

当該役員

当該担当を解こうとする者

第十四条第一項

文部大臣

附則第二条第三項の規定による特別の会計について、文部大臣

第十四条第二項及び第三項

所轄庁

都道府県知事

3 学校法人以外の私立の学校の設置者で第一項の規定に基づき第九条又は第十条の規定により助成を受けるものは、当該助成に係る学校の経営に関する会計を他の会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。この場合において、その会計年度については、私立学校法第四十八条の規定を準用する。

4 前項の規定による特別の会計の経理に当たつては、当該会計に係る収入を他の会計に係る支出に充ててはならない。

5 学校法人以外の私立の学校の設置者で第一項の規定に基づき第九条又は第十条の規定により補助金の交付を受けるものは、当該交付を受けることとなつた年度の翌年度の四月一日から起算して五年以内に当該補助金に係る学校法人によつて設置されるように措置しなければならない。

 (私立学校法の一部改正)

第三条 私立学校法の一部を次のように改正する。

  第五条第一項第一号中「高等学校の全日制の課程」を「高等学校の学科、全日制の課程」に、「大学の学部」を「大学の学部、学部の学科」に、「並びに私立高等学校」を「並びに収容定員及び私立高等学校」に改める。

  第三十条第一項第三号中「(短期大学及び高等専門学校の学科に限る。)」を削る。

  第五十一条第三項中「第五十九条第一項の規定による」を削る。

  第五十一条第五項を同条第六項とし、同条第四項中「前項」を「第三項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。

 4 前項の助成については、私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十一条から第十三条までの規定の適用があるものとする。

  第五十九条を次のように改める。

  (助成)

 第五十九条 国又は地方公共団体は、教育の振興上必要があると認める場合には、別に法律で定めるところにより、学校法人に対し、私立学校教育に関し必要な助成をすることができる。

  第六十三条第一項を次のように改める。

   所轄庁は、前二条の規定による処分をしようとする場合においては、あらかじめ、当該学校法人の理事に対して弁明の機会を与えるために通知するとともに、私立学校審議会、私立大学審議会又は高等専門学校審議会の意見を聴かなければならない。この場合において、当該学校法人の理事又はその代理人は、所轄庁に対し、又は私立学校審議会、私立大学審議会若しくは高等専門学校審議会に出席して弁明することができる。

 第六十三条第二項中「第五十九条第十項第三号又は」を削る。

  附則第十八項から附則第二十一項までを削り、附則第二十二項を附則第十九項とし、附則第二十三項から附則第二十五項までを三項ずつ繰り上げ、附則第十七項を附則第十八項とし、附則第十三項から附則第十六項までを一項ずつ繰り下げ、附則第十二項の次に次の一項を加える。

 13 文部大臣は、昭和五十六年三月三十一日までの間は、大学設置審議会及び私立大学審議会の意見を聴いて特に必要があると認める場合を除き、私立大学の設置、私立大学の学部又は学科の設置及び私立大学の収容定員の増加に係る学則の変更についての認可は、しないものとする。

 (私立学校法の一部改正に伴う経過措置)

第四条 この法律の施行の際学校法人の設置する高等学校に現に置かれている学科及び学校法人の設置する大学に現に置かれている学部の学科の名称又は種類については、当該学校法人は、できる限り速やかに、寄附行為をもつて定めなければならない。この場合においては、寄附行為の変更につき、所轄庁の認可を受けることを要しない。

第五条 この法律の施行前に附則第三条の規定による改正前の私立学校法(以下この条及び次条において「旧法」という。)附則第十七項の規定に基づき旧法第五十九条第一項の規定により補助金の交付を受けた者については、附則第二条第五項中「第一項の規定に基づき第九条又は第十条の規定」とあるのは「附則第三条の規定による改正前の私立学校法附則第十七項の規定に基づきその改正前の同法第五十九条第一項の規定」と読み替えて、同項の規定を適用する。

第六条 この法律の施行前に旧法第五十九条の規定(旧法附則第十七項の規定に基づく旧法第五十九条の規定を含む。)によりした助成に関しては、前条に規定するものを除き、なお従前の例による。

 (産業教育振興法の一部改正)

第七条 産業教育振興法(昭和二十六年法律第二百二十八号)の一部を次のように改正する。

  第十九条第二項中「私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第五十九条第二項から第七項まで並びにこれらの規定に係る同法附則第十七項及び第十八項」を「私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十一条から第十三条まで並びにこれらの規定に係る同法附則第二条第一項及び第二項」に改める。

 (理科教育振興法の一部改正)

第八条 理科教育振興法(昭和二十八年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。

  第九条第三項中「私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第五十九条第二項から第七項まで並びにこれらの規定に係る同法附則第十七項及び第十八項」を「私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十一条から第十三条まで並びにこれらの規定に係る同法附則第二条第一項及び第二項」に改める。

 (高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部改正)

第九条 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法(昭和二十八年法律第二百三十八号)の一部を次のように改正する。

  第九条第二項中「私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第五十九条第二項から第七項まで(助成)」を「私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十一条から第十三条まで(所轄庁の権限等)」に改める。

 (私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律の一部改正)

第十条 私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律(昭和三十二年法律第十八号)の一部を次のように改正する。

  第四条の見出し中「私立学校法」を「私立学校振興助成法」に改め、同条中「私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第五十九条第二項、第四項、第五項及び第七項」を「私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十二条及び第十三条」に改める。

 (スポーツ振興法の一部改正)

第十一条 スポーツ振興法(昭和三十六年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。

  第二十条第三項中「私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第五十九条第二項から第七項まで」を「私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十一条から第十三条まで」に改める。

 (激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部改正)

第十二条 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。

  第十七条第三項中「私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第五十九条第四項から第七項まで並びにこれらの規定に係る同法附則第十七項及び第十八項」を「私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十二条及び第十三条並びにこれらの規定に係る同法附則第二条第一項及び第二項」に改める。

 (産業教育振興法等の一部改正に伴う経過措置)

第十三条 この法律の施行前に、附則第七条の規定による改正前の産業教育振興法第十九条の規定、附則第八条の規定による改正前の理科教育振興法第九条の規定、附則第九条の規定による改正前の高等学校の定時制教育及び通信教育振興法第九条の規定、附則第十条の規定による改正前の私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律第二条の規定、附則第十一条の規定による改正前のスポーツ振興法第二十条の規定又は前条の規定による改正前の激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第十七条の規定により、学校法人又は学校法人以外の私立の学校の設置者に対してした補助に関しては、なお従前の例による。

 (日本私学振興財団法の一部改正)

第十四条 日本私学振興財団法の一部を次のように改正する。

  附則第十四条第四項を削る。

(内閣総理・大蔵・文部・自治大臣署名) 

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