法律第二十七号(昭五一・五・二五)
◎地方公務員災害補償法の一部を改正する法律
地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)の一部を次のように改正する。
第二条第六項第一号中「公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、若しくは」を「負傷し、又は」に改め、同項第四号中「もつぱら」を「専ら」に改め、同条第七項中「著しく公正を欠く」を「公正を欠くと認められる」に改める。
第二十四条第一項中「生じた場合に」の下に「、この法律に定めるところにより」を加え、「行なう」を「行う」に改め、「その請求に基づいて」を削る。
第二十五条の見出しを「(補償の種類等)」に改め、同条中「行なう」を「行う」に改め、第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 傷病補償年金
第二十五条に次の一項を加える。
2 前項各号(第三号を除く。)に掲げる補償は、当該補償を受けるべき職員若しくは遺族又は葬祭を行う者の請求に基づいて行う。
第二十八条の次に次の二条を加える。
(傷病補償年金)
第二十八条の二 職員が公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、若しくは疾病にかかり、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後一年六箇月を経過した日において次の各号のいずれにも該当する場合又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなつた場合には、その状態が継続している期間、傷病補償年金を支給する。
一 当該負傷又は疾病が治つていないこと。
二 当該負傷又は疾病による廃疾の程度が、別表に定める第一級から第三級までの各等級に相当するものとして自治省令で定める第一級、第二級又は第三級の廃疾等級に該当すること。
2 傷病補償年金の額は、当該負傷又は疾病による廃疾の程度が次の各号に掲げる廃疾等級(前項第二号の廃疾等級をいう。第四項において同じ。)のいずれに該当するかに応じ、一年につき当該各号に定める額とする。
一 第一級 平均給与額に三百十三を乗じて得た額
二 第二級 平均給与額に二百七十七を乗じて得た額
三 第三級 平均給与額に二百四十五を乗じて得た額
3 傷病補償年金を受ける者には、休業補償は、行わない。
4 傷病補償年金を受ける者の当該廃疾の程度に変更があつたため、新たに第二項各号に掲げる他の廃疾等級に該当するに至つた場合には、新たに該当するに至つた廃疾等級に応ずる傷病補償年金を支給するものとし、その後は、従前の傷病補償年金は、支給しない。
(労働基準法第十九条第一項の適用の特例)
第二十八条の三 公務上負傷し、又は疾病にかかつた職員が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後三年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合又は同日後において傷病補償年金を受けることとなつた場合には、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十九条第一項の規定の適用については、当該三年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなつた日において、同項に規定する休業する期間及びその後三十日の期間は、経過したものとみなす。
第二十九条第六項中「行なう」を「行う」に、「行なわない」を「行わない」に改め、同項を同条第七項とし、同条第五項中「行なう」を「行う」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項中「こえない」を「超えない」に改め、同項の次に次の一項を加える。
5 別表に定める各等級の身体障害に該当しない身体の障害であつて、同表に定める各等級の身体障害に相当するものは、同表に定める当該等級の身体障害とする。
第三十条の見出し中「休業補償及び障害補償」を「休業補償等」に改め、同条中「又は障害補償は」を「、傷病補償年金又は障害補償については」に、「一部を行なわない」を「一部の支給を行わない」に改める。
第四十条第一項中「障害補償年金」を「傷病補償年金、障害補償年金」に改める。
第四十一条の見出し中「年金たる補償の」を削り、同条に次の二項を加える。
2 同一の公務上の負傷若しくは疾病又は通勤による負傷若しくは疾病(次項において「同一の傷病」という。)に関し、傷病補償年金を受ける権利を有する者が休業補償又は障害補償を受ける権利を有することとなり、かつ、当該傷病補償年金を受ける権利が消滅した場合において、その消滅した月の翌月以後の分として傷病補償年金が支払われたときは、その支払われた傷病補償年金は、当該休業補償又は障害補償の内払とみなす。
3 同一の傷病に関し、休業補償を受けている者が傷病補償年金又は障害補償を受ける権利を有することとなり、かつ、当該休業補償を行わないこととなつた場合において、その後も休業補償が支払われたときは、その支払われた休業補償は、当該傷病補償年金又は障害補償の内払とみなす。
第四十五条第一項中「この章の規定による補償」の下に「(傷病補償年金を除く。以下この項において同じ。)」を加え、「すみやかに」を「速やかに」に改め、同条に次の一項を加える。
3 基金は、傷病補償年金を支給する旨の決定をしたときは、その旨を傷病補償年金を受けるべき者及び当該傷病補償年金に係る職員の任命権者に通知しなければならない。
第四十六条中「当該災害に係る」の下に「傷病補償年金、」を、「については」の下に「、第二十八条の二第二項の規定による額」を加える。
第六十七条第一項中「(昭和二十二年法律第四十九号)」を削る。
附則第八条中「事由となつた」の下に「廃疾、」を加え、「年額から当該給付の年額に百分の五十の範囲内で政令で定める率を乗じて得た額を減じた額」を「年金たる補償の年額に、当該年金たる補償の種類及び当該法令による年金たる給付の種類に応じ、労働者災害補償保険法別表第一第一号又は第二号の政令で定める率を考慮して政令で定める率を乗じて得た額(その額が政令で定める額を下回る場合には、当該政令で定める額)」に改め、同条に次の一項を加える。
2 休業補償の額は、同一の事由について政令で定める法令による年金たる給付が支給される場合には、当分の間、この法律の規定にかかわらず、この法律の規定による額に、当該法令による年金たる給付の種類に応じ、労働者災害補償保険法別表第一第二号の政令で定める率のうち傷病補償年金について定める率を考慮しで政令で定める率を乗じて得た額(その額が政令で定める額を下回る場合には、当該政令で定める額)とする。
別表中「別表」を「別表(第二十八条の二、第二十九条関係)」に改め、同表第一級の項第三号中「精神」を「神経系統の機能又は精神」に改め、同項第五号を削り、同項中第六号を第五号とし、第七号から第九号までを一号ずつ繰り上げ、同表第三級の項第三号中「精神」を「神経系統の機能又は精神」に改め、同表第四級の項第三号中「鼓膜の全部の欠損その他により」を削り、同表第五級の項中第六号を第八号とし、第二号から第五号までを二号ずつ繰り下げ、第一号の次に次の二号を加える。
二 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
三 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
別表第六級の項第三号を次のように改める。
三 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
別表第六級の項中第七号を第八号とし、第四号から第六号までを一号ずつ繰り下げ、第三号の次に次の一号を加える。
四 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
別表第七級の項第二号及び第三号を次のように改める。
二 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
三 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
別表第七級の項第四号中「に著しい」を「又は精神に」に改める。
別表第九級の項中第一三号及び第一四号を削り、第一二号を第一六号とし、第八号から第一一号までを四号ずつ繰り下げ、同項第七号中「鼓膜の全部の欠損その他により」を削り、同号を同項第九号とし、同号の次に次の二号を加える。
一〇 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
一一 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
別表第九級の項第六号の次に次の二号を加える。
七 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
八 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
別表第一〇級の項第四号を次のように改める。
四 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
別表第一〇級の項中第一〇号を第一一号とし、第五号から第九号までを一号ずつ繰り下げ、第四号の次に次の一号を加える。
五 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
別表第一一級の項第四号を次のように改める。
四 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
別表第一一級の項中第九号を第一一号とし、第五号から第八号までを二号ずつ繰り下げ、第四号の次に次の二号を加える。
五 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
六 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
別表第一三級の項中第一〇号を第一一号とし、第四号から第九号までを一号ずつ繰り下げ、第三号の次に次の一号を加える。
四 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
別表第一四級の項中第一〇号を第一一号とし、第三号から第九号までを一号ずつ繰り下げ、第二号の次に次の一号を加える。
三 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
別表備考を削る。
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、昭和五十二年四月一日から施行する。ただし、第二十九条及び別表の改正規定は、公布の日から施行する。
2 この法律による改正後の地方公務員災害補償法(以下「新法」という。)第二十九条及び別表の規定は、昭和五十年九月一日から適用する。
(経過措置)
第二条 新法第二条第六項の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に発生した事故に起因する公務上の災害又は通勤による災害に係る補償について適用する。
第三条 新法附則第八条第一項の規定は施行日以後の期間に係る同項に規定する年金たる補償について、同条第二項の規定は施行日以後に支給すべき事由の生じた休業補償について適用し、施行日前の期間に係る障害補償年金及び遺族補償年金並びに施行日前に支給すべき事由の生じた休業補償については、なお従前の例による。
第四条 施行日の前日において同一の事由につきこの法律による改正前の地方公務員災害補償法(以下「旧法」という。)の規定による年金たる補償と旧法附則第八条の政令で定める法令による年金たる給付とを支給されていた者で、施行日以後も引き続きこれらの年金たる給付の支給を受けるものに対し、同一の事由につき支給する新法の規定による年金たる補償(傷病補償年金を除く。)で施行日の属する月分に係るものについて、新法の規定により算定した額が、旧法の規定により算定した年金たる補償で施行日の属する月の前月分に係るものの額(以下この項において「旧支給額」という。)に満たないときは、新法の規定により算定した額が旧支給額以上の額となる月の前月までの月分の当該年金たる補償の額は、新法の規定にかかわらず、当該旧支給額に相当する額とする。
2 前項の規定の適用を受ける者が、同項に規定する旧支給額以上の額となる月前において、新法第二十九条第七項の規定により新たに該当するに至つた等級に応ずる障害補償年金を支給されることとなるとき、新法第三十三条第三項又は第四項の規定により遺族補償年金の額を改定して支給されることとなるとき、その他自治省令で定める事由に該当することとなつたときは、これらの事由に該当することとなつた日の属する月の翌月から当該旧支給額以上の額になる月の前月までの月分の当該年金たる補償の額は、前項の規定にかかわらず、自治省令で定めるところによつて算定する額とする。
第五条 施行日前に同一の事由につき旧法の規定による休業補償と旧法附則第八条の政令で定める法令による年金たる給付とを支給されていた者で、施行日以後も引き続き当該年金たる給付の支給を受けるものに対し、同一の事由について支給する新法の規定による休業補償の額は、新法の規定により算定した額が施行日の前日に支給すべき事由の生じた旧法の規定による休業補償の額(同日に休業補償を支給すべき事由の生じなかつたときは、同日前に最後に休業補償を支給すべき事由が生じた日の休業補償の額)に満たないときは、新法の規定にかかわらず、当該旧法の規定による休業補償の額に相当する額とする。
(消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部改正)
第六条 消防団員等公務災害補償等共済基金法(昭和三十一年法律第百七号)の一部を次のように改正する。
第十条中「行なう」を「行う」に、「基き」を「基づき」に改め、「休業補償」の下に「、傷病補償年金」を加える。
(地方公務員等共済組合法の一部改正)
第七条 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の一部を次のように改正する。
第八十六条第二項中「退職の際に受けている者」の下に「(同法の規定による傷病補償年金又はこれに相当する補償を退職の際に受けている者を除く。)」を、「公務傷病が治つた時」の下に「若しくは地方公務員災害補償法の規定による傷病補償年金若しくはこれに相当する補償が支給されることとなつた時」を加える。
第九十一条の前の見出し中「障害補償年金」を「傷病補償年金等」に改め、同条第一項中「障害補償年金又はこれに相当する補償」を「傷病補償年金、障害補償年金又はこれらに相当する補償」に改める。
第九十一条の二第一項中「こえる」を「超える」に、「障害補償年金又はこれに相当する給付」を「傷病補償年金、障害補償年金又はこれらに相当する給付」に改め、同条第二項中「障害補償年金又はこれに相当する給付」を「傷病補償年金、障害補償年金又はこれらに相当する給付」に改める。
第百六十二条の二の見出し中「障害補償年金」を「傷病補償年金等」に改め、同条中「障害補償年金に相当する補償(以下この条において「障害補償年金」という。)」を「傷病補償年金又は障害補償年金に相当する補償(以下この条において「傷病補償年金等」という。)」に、「行なわれる」を「行われる」に、「障害補償年金の額」を「傷病補償年金等の額」に、「こえる」を「超える」に改める。
第二百二条の表第八十六条第二項の項の中欄中「退職の際に受けている者」の下に「(同法の規定による傷病補償年金又はこれに相当する補償を退職の際に受けている者を除く。)」を、「公務傷病が治つた時」の下に「若しくは地方公務員災害補償法の規定による傷病補償年金若しくはこれに相当する補償が支給されることとなつた時」を加え、同項の下欄中「退職の際に受けている者」の下に「(同法の規定による傷病補償年金を受けている者を除く。)」を、「業務傷病が治つた時」の下に「、労働者災害補償保険法の規定による傷病補償年金が支給されることとなつた時」を加え、同表第九十一条第一項の項の中欄中「障害補償年金又はこれに相当する補償」を「傷病補償年金、障害補償年金又はこれらに相当する補償」に改める。
(自治・内閣総理大臣署名)