法律第五十五号(昭五四・一〇・一)
◎医薬品副作用被害救済基金法
目次
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 設立(第八条―第十三条)
第三章 管理(第十四条―第二十六条)
第四章 業務(第二十七条―第三十五条)
第五章 財務及び会計(第三十六条―第四十五条)
第六章 監督(第四十六条・第四十七条)
第七章 雑則(第四十八条―第五十三条)
第八章 罰則(第五十四条―第五十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 医薬品副作用被害救済基金は、医薬品の副作用による疾病、廃疾又は死亡に関して、医療費、障害年金、遺族年金等の給付を行うこと等により、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「医薬品」とは、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品であつて、同法第十二条第一項に規定する医薬品の製造業の許可若しくは同法第十八条第一項(同法第二十三条において準用する場合を含む。)に規定する医薬品の製造品目の変更等の許可又は同法第二十二条第一項に規定する医薬品の輸入販売業の許可を受けて製造され、又は輸入されたものをいう。ただし、次に掲げる医薬品を除く。
一 がんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であつて、厚生大臣の指定するもの
二 専ら動物のために使用されることが目的とされている医薬品その他厚生省令で定める医薬品
2 この法律で「医薬品の副作用」とは、医薬品が適正な使用目的に従い適正に使用された場合においてもその医薬品により人に発現する有害な反応をいう。
(法人格)
第三条 医薬品副作用被害救済基金(以下「基金」という。)は、法人とする。
(数)
第四条 基金は、一を限り、設立されるものとする。
(名称)
第五条 基金は、その名称中に医薬品副作用被害救済基金という文字を用いなければならない。
2 基金でない者は、その名称中に医薬品副作用被害救済基金という文字を用いてはならない。
(登記)
第六条 基金は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(民法の準用)
第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、基金について準用する。
第二章 設立
(発起人)
第八条 基金を設立するには、医薬品の副作用による健康被害の救済について学識経験を有する者七人以上が発起人となることを必要とする。
(設立の認可等)
第九条 発起人は、定款及び事業計画書を厚生大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
2 前項の事業計画書に記載すべき事項は、厚生省令で定める。
第十条 厚生大臣は、設立の認可をしようとするときは、前条第一項の規定による認可の申請が次の各号に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
一 設立の手続並びに定款及び事業計画書の内容が法令の規定に適合するものであること。
二 定款又は事業計画書に虚偽の記載がないこと。
三 事業の運営が健全に行われ、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済に寄与することが確実であると認められること。
第十一条 厚生大臣は、前条の規定により認可をしたときは、遅滞なく、発起人が推薦した者のうちから、基金の理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、基金の成立の時において、それぞれ第十七条第一項の規定により理事長又は監事に任命されたものとする。
(事務の引継ぎ)
第十二条 前条第一項の規定により理事長となるべき者が指名されたときは、発起人は、遅滞なく、その事務を理事長となるべき者に引き継がなければならない。
(設立の登記)
第十三条 理事長となるべき者は、前条の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 基金は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三章 管理
(定款記載事項)
第十四条 基金の定款には、次の事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 資産に関する事項
五 役員に関する事項
六 評議員会に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 財務及び会計に関する事項
九 定款の変更に関する事項
十 公告の方法
2 基金の定款の変更は、厚生大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない
(役員)
第十五条 基金に、役員として、理事長一人、理事四人以内及び監事一人を置く。
(役員の職務及び権限)
第十六条 理事長は、基金を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、定款で定めるところにより、理事長を補佐して基金の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 監事は、基金の業務を監査する。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は厚生大臣に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第十七条 理事長及び監事は、厚生大臣が任命する。
2 理事は、厚生大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(役員の任期)
第十八条 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十九条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。
(役員の解任)
第二十条 厚生大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 厚生大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、厚生大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第二十一条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、厚生大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第二十二条 基金と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が基金を代表する。
(評議員会)
第二十三条 基金に、財政計画その他基金の運営に関する重要事項を審議する機関として、評議員会を置く。
2 評議員会は、評議員十人以内で組織する。
3 評議員は、第三十一条第一項に規定する製造業者等が加入している団体又はその連合団体の役員及び基金の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、厚生大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(職員の任命)
第二十四条 基金の職員は、理事長が任命する。
(役員等の秘密保持義務)
第二十五条 基金の役員、評議員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、その職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(役員等の公務員たる性質)
第二十六条 基金の役員、評議員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第四章 業務
(業務)
第二十七条 基金は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 医薬品の副作用による疾病、廃疾又は死亡につき、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料の給付(以下「救済給付」という。)を行うこと。
二 救済給付の支給に係る者について保健福祉事業を行うこと。
三 拠出金を徴収すること。
四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
2 基金は、前項第二号に掲げる業務を行おうとするときは、厚生大臣の承認を受けなければならない。
(救済給付)
第二十八条 救済給付は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者に対して行うものとし、救済給付を受けようとする者の請求に基づき、基金が支給を決定する。
一 医療費及び医療手当 医薬品の副作用による疾病について政令で定める程度の医療を受ける者
二 障害年金 医薬品の副作用により政令で定める程度の廃疾の状態にある十八歳以上の者
三 障害児養育年金 医薬品の副作用により政令で定める程度の廃疾の状態にある十八歳未満の者を養育する者
四 遺族年金又は遺族一時金 医薬品の副作用により死亡した者の政令で定める遺族
五 葬祭料 医薬品の副作用により死亡した者の葬祭を行う者
2 救済給付は、前項の規定にかかわらず、次の各号の一に該当する場合は、行わない。
一 その者の医薬品の副作用による疾病、廃疾又は死亡が予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)又は結核予防法(昭和二十六年法律第九十六号)の規定による予防接種を受けたことによるものである場合
二 その者の医薬品の副作用による疾病、廃疾又は死亡の原因となつた医薬品について賠償の責任を有する者があることが明らかな場合
三 その他厚生省令で定める場合
3 救済給付の額、請求の期限、支給方法その他救済給付に関して必要な事項は、政令で定める。
(判定の申出)
第二十九条 基金は、前条第一項の規定による支給の決定につき、救済給付の請求のあつた者に係る疾病、廃疾又は死亡が、医薬品の副作用によるものであるかどうかその他医学的薬学的判定を要する事項に関し、厚生大臣に判定を申し出るものとする。
2 厚生大臣は、前項の規定による判定の申出があつたときは、中央薬事審議会の意見を聴いて判定を行い、基金に対し、その結果を通知するものとする。
(救済給付の中止等)
第三十条 基金は、救済給付を受けている者に係る疾病、廃疾又は死亡の原因となつた医薬品について賠償の責任を有する者があることが明らかとなつた場合には、以後救済給付は行わない。
2 基金は、救済給付に係る疾病、廃疾又は死亡の原因となつた医薬品について賠償の責任を有する者がある場合には、その行つた救済給付の価額の限度において、救済給付を受けた者がその者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
(拠出金)
第三十一条 各年四月一日において薬事法第十二条第一項又は同法第二十二条第一項の規定による医薬品の製造業の許可又は輸入販売業の許可を受けている者(第二条第一項各号に掲げる医薬品のみを製造し、又は輸入している者を除く。以下「製造業者等」という。)は、基金の業務に必要な費用に充てるため、各年度(毎年四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)、基金に対し、拠出金を納付しなければならない。
2 前項の拠出金の額は、製造業者等が製造し、又は輸入した医薬品の前年度における総出荷数量を基礎として厚生省令で定めるところにより算定される算定基礎取引額に拠出金率を乗じて得た額(その額が政令で定める額に満たないときは、当該政令で定める額)とする。
3 前項の拠出金率は、基金が定める。
4 基金は、第二項の拠出金率を定め、又はこれを変更しようとするときは、厚生大臣の認可を受けなければならない。
5 第二項の拠出金率は、救済給付に要する費用の予想額並びに予定運用収入の額及び政府の補助金があるときはその額に照らし、将来にわたつて基金の財政の均衡を保つことができるものでなければならず、かつ、少なくとも五年ごとに、この基準に従つて再計算されるべきものとし、当分の間、千分の二を超えない範囲内の率とする。
6 基金が前年度において救済給付の支給を決定した者に係る疾病、廃疾又は死亡の原因となつた医薬品(以下この項において「原因医薬品」という。)を製造し、又は輸入した製造業者等の第一項の拠出金の額は、第二項の規定による額に、基金が前年度に支給を決定した救済給付のうち、当該製造業者等が製造し、又は輸入した原因医薬品によるものの現価に相当する額を基礎として厚生省令で定める算定方法により算定した額を加えた額とする。
7 拠出金の納期限、延納その他拠出金の納付に関して必要な事項は、政令で定める。
(資料の提出の請求)
第三十二条 基金は、第二十七条第一項第三号に掲げる業務を行うため必要があるときは、製造業者等に対し、資料の提出を求めることができる。
2 前項の規定により資料の提出を求められた者は、遅滞なく、これを提出しなければならない。
(督促及び滞納処分)
第三十三条 基金は、第三十一条第一項の拠出金の納付義務者が納期限までに同項の拠出金を納付しないときは、期限を指定して、これを督促しなければならない。
2 基金は、前項の規定により督促をするときは、納付義務者に対し、督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して十日以上経過した日でなければならない。
3 基金は、第一項の規定による督促を受けた納付義務者がその指定の期限までにその督促に係る拠出金及び第五項の規定による延滞金を納付しないときは、国税の滞納処分の例により、厚生大臣の認可を受けて、滞納処分をすることができる。
4 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとし、その時効については、国税の例による。
5 基金は、第一項の規定により督促をしたときは、その督促に係る拠出金の額につき年十四・五パーセントの割合で、納期限の翌日からその拠出金の完納の日又は財産の差押えの日の前日までの日数により計算した額の延滞金を徴収することができる。ただし、厚生省令で定める場合は、この限りでない。
(業務の委託)
第三十四条 基金は、厚生大臣の認可を受けて、第二十七条第一項第三号に掲げる業務(督促及び滞納処分を除く。)の一部を製造業者等が加入している団体又はその連合団体で厚生大臣の指定するものに委託することができる。
(業務方法書)
第三十五条 基金は、業務の開始前に、業務方法書を作成し、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、厚生省令で定める。
第五章 財務及び会計
(事業年度)
第三十六条 基金の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(予算等の認可)
第三十七条 基金は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第三十八条 基金は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に厚生大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
2 基金は、前項の規定により財務諸表を厚生大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
(責任準備金の積立て)
第三十九条 基金は、厚生省令で定めるところにより、毎事業年度末において、責任準備金を計算し、これを積み立てなければならない。
(利益及び損失の処理)
第四十条 基金は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 基金は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金)
第四十一条 基金は、厚生大臣の認可を受けて、長期借入金又は短期借入金をすることができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、厚生大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(余裕金の運用)
第四十二条 基金は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他厚生大臣の指定する有価証券の保有
二 厚生大臣の指定する金融機関への預金
三 その他厚生省令で定める方法
(補助金)
第四十三条 政府は、政令で定めるところにより、特定の医薬品の副作用による健康被害の救済を円滑に行うため特に必要があると認めた場合には、基金に対し、救済給付に要する費用の一部を補助することができる。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第四十四条 基金は、役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、厚生大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(厚生省令への委任)
第四十五条 この法律に規定するもののほか、基金の財務及び会計に関し必要な事項は、厚生省令で定める。
第六章 監督
(監督命令)
第四十六条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十七条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金に対しその業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、基金の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、第三十四条の規定により業務の委託を受けた団体又はその連合団体(以下「受託者」という。)に対し、その委託を受けた業務に関し報告をさせ、又はその職員に受託者の事務所に立ち入り、その委託を受けた業務に関し業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者にこれを提示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第七章 雑則
(解散)
第四十八条 基金の解散については、別に法律で定める。
(審査の申立て等)
第四十九条 救済給付の支給の決定又は拠出金の算定について不服がある者は、厚生省令で定めるところにより、厚生大臣に対し、審査を申し立てることができる。
2 拠出金の督促及び滞納処分に不服がある者は、厚生大臣に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
(受給権の保護及び公課の禁止)
第五十条 救済給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
2 租税その他の公課は、救済給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
(協議)
第五十一条 厚生大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第三十一条第四項、第三十五条第一項又は第三十七条の認可をしようとするとき。
二 第三十八条第一項の承認をしようとするとき。
三 第四十五条の厚生省令を定めようとするとき。
(他の法令の準用)
第五十二条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、基金を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
(経過措置)
第五十三条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第八章 罰則
第五十四条 第二十五条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第五十五条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした基金又は受託者の役員又は職員は、十万円以下の罰金に処する。
一 第四十七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
二 第四十七条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第五十六条 第三十二条第一項の規定による資料を提出せず、又は虚偽の資料を提出した者は、十万円以下の罰金に処する。
第五十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の刑を科する。
第五十八条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした基金の役員は、十万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により厚生大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第六条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第二十七条第一項に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第三十九条の規定に違反して責任準備金を計算せず、又はこれを積み立てなかつたとき。
五 第四十二条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
六 第四十六条の規定による厚生大臣の命令に違反したとき。
第五十九条 第五条第二項の規定に違反した者は、五万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
2 第二十八条第一項の規定は、附則第三条の規定により読み替えられた第三十一条第一項の厚生大臣が告示で定める日から起算して六月を経過した日以後に使用された医薬品が原因となつて同日以後に医薬品の副作用による疾病にかかり、廃疾となり、又は死亡した者について適用する。
(基金の設立に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行の際現にその名称中に医薬品副作用被害救済基金という文字を用いている者については、第五条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第三条 この法律の施行後最初に納付すべき拠出金については、第三十一条第一項中「各年四月一日」とあるのは、「基金の成立の日以後において厚生大臣が告示で定める日」とする。
第四条 基金の最初の事業年度は、第三十六条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
第五条 基金の最初の予算、事業計画及び資金計画については、第三十七条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「基金の成立後遅滞なく」とする。
(業務の特例等)
第六条 基金は、第二十七条第一項に規定する業務のほか、当分の間、附則第三条の規定により読み替えられた第三十一条第一項の厚生大臣が告示で定める日から起算して六月を経過した日前に使用された特定の医薬品の副作用による健康被害(この条において「健康被害」という。)の救済を円滑に行うことが特に必要であると認めた場合には、厚生大臣の認可を受けて、次の業務を行うことができる。
一 健康被害の救済のために必要な事業を行う者の委託を受けて、その事業を行うこと。
二 健康被害の救済のための給付を行う者に対し、当該給付に必要な限度で資金を貸し付けること。
2 前項第二号の貸付けを受けた者は、同号に掲げる業務の事務の執行に要する費用に充てるため、厚生省令で定めるところにより、基金に対し、納付金を納付しなければならない。
3 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、第一項第二号の貸付け(国と連帯して行う健康被害の救済のための給付に必要な資金の貸付けに限る。)のための資金に充てるため基金がする借入金に係る債務(借換えに係る債務を含む。)について保証することができる。
4 基金は、第一項に規定する業務については、特別の勘定を設けて経理しなければならない。
5 厚生大臣は、第一項第二号に掲げる業務及び同号の貸付けに係る借入金の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
6 第一項に規定する業務は、第五十八条第三号の規定の適用については、第二十七条第一項に規定する業務とみなす。
(給付額の繰延べ等)
第七条 前条第一項第二号の規定による基金からの貸付け(国と連帯して行う健康被害の救済のための給付に必要な資金の貸付けに限る。)を受けて同号の給付を行う者は、当該給付のうち基金から当該貸付けを受けた額に相当する金額を、当該給付を行つた後最初に到来する決算期において、貸借対照表の資産の部に計上することができる。この場合においては、当該決算期から十五年以内に、毎決算期に均等額以上の償却をしなければならない。
2 前項の規定により貸借対照表の資産の部に計上した金額は、医薬品副作用被害救済費用繰延という名称を用いなければならない。
3 第一項の規定により貸借対照表の資産の部に計上した者は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十条第一項の規定により利益の配当をすることができる限度とされた金額から第一項の規定により計上された金額を控除した額に相当する金額を限度として利益の配当をすることができる。
4 商法第二百六十六条第一項第一号及び第二百九十条第二項の規定は、前項の規定に違反して配当した場合に準用する。
(地方税法の一部改正)
第八条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第四号中「国民年金基金」の下に「、医薬品副作用被害救済基金」を加える。
(所得税法の一部改正)
第九条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表奄美群島振興開発基金の項の次に次のように加える。
医薬品副作用被害救済基金 |
医薬品副作用被害救済基金法(昭和五十四年法律第五十五号) |
(法人税法の一部改正)
第十条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号の表アジア経済研究所の項の次に次のように加える。
医薬品副作用被害救済基金 |
医薬品副作用被害救済基金法(昭和五十四年法律第五十五号) |
(厚生省設置法の一部改正)
第十一条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第五十一号の三の次に次の一号を加える。
五十一の四 医薬品副作用被害救済基金の設立又は定款の変更を認可し、これに対しその業務の状況に関する報告をさせ、その状況を検査し、その他監督上必要な命令又は処分をすること。
第十一条に次の一号を加える。
十六 医薬品副作用被害救済基金を指導監督すること。
(法務・大蔵・厚生・自治・内閣総理大臣署名)