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法律第五十七号(昭六一・五・二〇)

  ◎研究交流促進法

 (目的)

第一条 この法律は、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する国の試験研究に関し、国と国以外の者との間の交流を促進するために必要な措置を講じ、もつて科学技術に関する試験研究の効率的推進を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「試験研究機関等」とは、次に掲げる機関のうち科学技術に関する試験研究(以下「研究」という。)を行うもので政令で定めるものをいう。

 一 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の二の規定に基づき同法第三条の行政機関に置かれる試験研究機関その他の施設等機関

 二 国家行政組織法第八条の三の規定に基づき同法第三条の行政機関に置かれる特別の機関又は当該機関に置かれる試験所、研究所その他これらに類する機関

 三 国家行政組織法第九条の規定に基づき同法第三条の行政機関に置かれる地方支分部局に置かれる試験所、研究所その他これらに類する機関

2 この法律において「研究公務員」とは、試験研究機関等に勤務する次に掲げる国家公務員をいう。

一 一般職の職員の給与等に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条第一項の規定に基づき、同法別表第七研究職俸給表(次号において「別表第七」という。)の適用を受ける職員(その属する職務の級が一級である者を除く。)並びに同法別表第六教育職俸給表(一)(次号において「別表第六」という。)の適用を受ける職員(教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)の規定の適用又は準用を受ける職員を除く。)及び一般職の職員の給与等に関する法律別表第八医療職俸給表(一)(次号において「別表第八」という。)の適用を受ける職員のうち研究を行う者として政令で定める者

二 防衛庁職員給与法(昭和二十七年法律第二百六十六号)第四条第二項の規定に基づき別表第七に定める額の俸給が支給される職員(その属する職務の級が一級である者を除く。)並びに同項の規定に基づき別表第六又は別表第八に定める額の俸給が支給される職員及び防衛庁設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第五十九条に規定する自衛官のうち研究を行う者として政令で定める者

 (外国人の研究公務員への任用)

第三条 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第五十五条第一項の規定その他の法律の規定により任命権を有する者(同条第二項の規定によりその任命権が委任されている場合には、その委任を受けた者。次項及び次条において「任命権者」という。)は、外国人(日本の国籍を有しない者をいう。次項において同じ。)を研究公務員(前条第二項第二号に規定する者を除く。)に任用することができる。ただし、次に掲げる職員については、この限りでない。

 一 試験研究機関等の長である職員

 二 試験研究機関等の長を助け、当該試験研究機関等の業務を整理する職の職員その他これに準ずる職員として政令で定めるもの

 三 試験研究機関等に置かれる支所その他の政令で定める機関の長である職員

2 任命権者は、前項の規定により外国人を研究公務員に任用する場合において、当該外国人を任用するために特に必要であるときには、任期を定めることができる。

 (研究集会への参加)

第四条 研究公務員が、科学技術に関する研究集会への参加を申し出たときは、任命権者は、その参加が、研究に関する国と国以外の者との間の交流の促進に特に資するものであり、かつ、当該研究公務員の職務に密接な関連があると認められる場合には、当該研究公務員の所属する試験研究機関等の研究業務の運営に支障がない限り、その参加を承認することができる。

 (研究公務員に関する国家公務員等退職手当法の特例)

第五条 研究公務員が、国以外の者が国と共同して行う研究又は国の委託を受けて行う研究(以下この項において「共同研究等」という。)に従事するため国家公務員法第七十九条又は自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第四十三条の規定により休職にされた場合において、当該共同研究等への従事が当該共同研究等の効率的実施に特に資するものとして政令で定める要件に該当するときは、当該休職に係る期間については、国家公務員等退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第七条第四項の規定は、適用しない。

2 前項の規定は、研究公務員が国以外の者から国家公務員等退職手当法の規定による退職手当に相当する給付として政令で定めるものの支払を受けた場合には、適用しない。

3 前項に定めるもののほか、第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (国の受託研究の成果に係る特許権等の譲与)

第六条 国は、国以外の者から委託を受けて行つた研究の成果に係る国有の特許権又は実用新案権の一部を、政令で定めるところにより、当該国以外の者に譲与することができる。

 (国際共同研究に係る特許発明等の実施)

第七条 国は、外国若しくは外国の公共的団体又は国際機関と共同して行つた研究(基盤技術研究円滑化法(昭和六十年法律第六十五号)第四条に規定する基盤技術に関する試験研究を除く。)の成果に係る国有の特許権及び実用新案権のうち政令で定めるものについて、これらの者その他の政令で定める者に対し通常実施権の許諾を行うときは、その許諾を無償とし、又はその許諾の対価を時価よりも低く定めることができる。

 (国際共同研究に係る損害賠償の請求権の放棄)

第八条 国は、外国若しくは外国の公共的団体又は国際機関と共同して行う研究のうち政令で定めるものについて、これらの者その他の政令で定める者(以下この条において「外国等」という。)に対し、次に掲げる国の損害賠償の請求権を放棄することができる。

 一 当該研究が行われる期間において当該研究の活動により生じた国有の施設、設備、機械器具及び資材の滅失又は損傷に関する外国等に対する国の損害賠償の請求権

 二 当該研究が行われる期間において当該研究の活動により国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第一条第一項又は防衛庁職員給与法第一条に規定する職員につき生じた公務上の災害に関し、国が国家公務員災害補償法第十条、第十二条から第十三条まで、第十五条及び第十八条の規定(防衛庁職員給与法第二十七条第一項において準用する場合を含む。)に基づき補償を行つたことにより国家公務員災害補償法第六条第一項の規定(防衛庁職員給与法第二十七条第一項において準用する場合を含む。)に基づき取得した外国等に対する損害賠償の請求権

 (国有施設の使用)

第九条 国は、国の研究に関し交流の促進を図るため、政令で定めるところにより、国有の試験研究施設を管理する機関が現に行つている研究と密接に関連し、かつ、当該研究の効率的推進に特に有益である研究を行う者に対し、その者が当該試験研究施設を使用して得た記録、資料その他の研究の結果を当該機関に政令で定める条件で提供することを約するときは、当該試験研究施設の使用の対価を時価よりも低く定めることができる。

 (配慮事項)

第十条 国は、国の研究に関し国際的な交流を促進するに当たつては、条約その他の国際約束を誠実に履行すべき義務並びに国際的な平和及び安全の維持について特別の配慮を払うものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(内閣総理・外務・大蔵・文部・厚生・農林水産・通商産業・運輸・郵政・ 

     労働・建設・自治大臣署名) 

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