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法律第二十四号(昭六二・四・一)

  ◎産業構造転換円滑化臨時措置法

目次

 第一章 総則(第一条―第四条)

 第二章 特定事業者の事業適応計画等(第五条―第十二条)

 第三章 特定地域対策(第十三条―第十五条)

 第四章 産業基盤整備基金の産業構造転換円滑化業務(第十六条―第二十一条)

 第五章 雑則(第二十二条―第二十七条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、国民経済が中長期的に発展し、国際経済の進展に寄与していくためには、我が国の産業構造が国際経済環境と調和のとれた活力あるものに転換していくことが重要であることにかんがみ、特定事業者の新たな経済的環境への適応を円滑にするための措置を講ずるとともに、特定地域の経済の安定及び発展のための措置を講ずること等により、我が国の産業構造の転換の円滑化を図ることを目的とする。

 (国及び地方公共団体の責務)

第二条 国は、前条の目的の達成に資するため、研究開発の推進等による国際経済環境と調和のある新たな産業分野の開拓、雇用機会の確保、中小企業者の新たな経済的環境への適応の円滑化その他の関連施策を積極的に推進するとともに、国民経済の持続的成長が確保されるよう努めなければならない。

2 地方公共団体は、前項の国の施策に協力するよう努めなければならない。

 (情報の提供)

第三条 国は、産業構造の転換の円滑化に資するため、内外の産業、我が国の事業者の海外事業活動等の動向を調査し、事業者の新たな経済的環境への適応に必要な情報を提供するよう努めるものとする。

 (定義)

第四条 この法律において「特定事業者」とは、鉱業又は製造業に属する事業者であつて、特定設備をその事業の用に供するものをいう。

2 この法律において「特定設備」とは、物品を生産する設備であつて、内外の経済的事情の著しい変化により、その設備を用いて生産される当該物品に対する需要が著しく減少しているため、その設備の生産能力が著しく過剰となり、かつ、その状態が長期にわたり継続することが見込まれるものとして主務省令で定めるものをいう。

3 この法律において「特定地域」とは、その地域において、特定事業者の事業所その他の事業所について内外の経済的事情の著しい変化により事業の廃止又は事業規模若しくは事業活動の縮小が相当の規模で生じており、かつ、これらの事業所の事業活動がその地域に所在する事業所の事業活動に相当程度の割合を占めているため、その地域における経済及び雇用に関する状況が著しく悪化していると認められる地域として政令で定める地域をいう。

   第二章 特定事業者の事業適応計画等

 (事業適応計画の承認)

第五条 特定事業者であつて、新たな経済的環境への適応のため、特定設備の処理(廃棄若しくは長期の格納若しくは休止(廃棄に代わるべき設備の生産能力の縮小の態様として妥当なものに限る。)又は譲渡(譲渡された設備が廃棄されることが明らかな場合に限る。)により特定設備が生産の用に供されないようにすることをいう。以下同じ。)を行おうとするものは、当該特定設備の処理(当該特定設備の処理と併せて事業の転換その他の新たな経済的環境への適応のための措置(以下「事業転換等」という。)を実施しようとする場合にあつては、当該事業転換等を含む。)に関する計画(以下「事業適応計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出して、その事業適応計画が適当である旨の承認を受けることができる。

2 事業適応計画には、当該特定事業者がその事業者に対しその経営を実質的に支配していると認められるものとして政令で定める関係を持つている事業者(以下「関係事業者」という。)が当該特定事業者の新たな経済的環境への適応のために行う措置に関する計画を含めることができる。

3 事業適応計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 特定設備の処理の目標

 二 特定設備の処理の内容及び実施時期

 三 特定設備の処理を行うのに必要な資金の額及びその調達方法

 四 事業転換等(関係事業者が行う前項に規定する措置を含む。以下同じ。)について承認を受けようとする場合にあつては、次に掲げる事項

  イ 事業転換等の内容及び実施時期

  ロ 事業転換等を行うのに必要な資金の額及びその調達方法

 五 特定設備の処理又は事業転換等に伴う労務に関する事項その他の主務省令で定める事項

4 主務大臣は、第一項の承認の申請があつた場合において、その事業適応計画が次の各号に適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする。

 一 前項第一号及び第二号(事業転換等を含む場合にあつては、前項第一号、第二号及び第四号イ)に掲げる事項が、当該事業適応計画に係る特定事業者が内外の経済的事情の変化に対応して新たな経済的環境に円滑に適応するために有効かつ適切なものであること。

 二 当該事業適応計画に係る特定事業者の従業員の地位を不当に害するものでないこと。

 三 当該事業適応計画に事業転換等を含む場合にあつては、前項第四号イに掲げる事項が国民経済の国際経済環境と調和のある健全な発展を阻害すると認められるものでないこと。

 四 その他政令で定める基準に適合するものであると認められること。

5 主務大臣は、事業転換等を含む事業適応計画について第一項の承認をしようとするときは、当該事業転換等に関する事項に関し、当該特定事業者(当該特定事業者に係る関係事業者を含む。)が当該事業適応計画に従つて行おうとする事業転換等に係る事業を所管する大臣に協議しなければならない。

 (事業適応計画の変更等)

第六条 前条第一項の承認を受けた特定事業者(以下「承認特定事業者」という。)は、当該承認に係る事業適応計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。

2 主務大臣は、承認特定事業者(当該承認特定事業者に係る関係事業者を含む。第十一条第二項及び第二十三条において同じ。)が当該承認に係る事業適応計画(前項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下「承認事業適応計画」という。)に従つて特定設備の処理又は事業転換等を行つていないと認めるときは、その承認を取り消すことができる。

3 前条第四項及び第五項の規定は、第一項の承認に準用する。

 (事業提携計画の承認)

第七条 同一の業種に属する二以上の特定事業者であつて、特定設備の処理その他の新たな経済的環境への適応のための措置の実施の円滑化を図るため、生産若しくは販売の共同化、生産品種の専門化又は合併若しくは営業の全部若しくは重要部分の譲渡若しくは譲受けその他これらに準ずる行為(以下「事業提携」と総称する。)を実施しようとするもの(以下「提携事業者」という。)は、共同して、実施しようとする事業提携に関する計画(以下「事業提携計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出して、その事業提携計画が適当である旨の承認を受けることができる。

2 事業提携計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 事業提携の目標

 二 事業提携の方式及び実施方法並びに実施時期

 三 事業提携に伴い必要となる設備投資に関する事項

 四 事業提携に伴う労務に関する事項その他の主務省令で定める事項

3 主務大臣は、第一項の承認の申請があつた場合において、その事業提携計画が次の各号に適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする。

 一 当該事業提携計画に係る提携事業者の特定設備の処理の促進に資すると認められるものであること。

 二 当該事業提携計画に係る提携事業者が内外の経済的事情の変化に対応して新たな経済的環境に円滑に適応するために有効かつ適切なものであること。

 三 国民経済の国際経済環境と調和のある健全な発展を阻害すると認められるものでないこと。

 四 当該事業提携計画に係る提携事業者と他の事業者との間の適正な競争が確保されること。

 五 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがあるものでないこと。

 六 当該事業提携計画に係る提携事業者の従業員の地位を不当に害するものでないこと。

 (事業提携計画の変更等)

第八条 前条第一項の承認を受けた者(以下「承認提携事業者」という。)は、当該承認に係る事業提携計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。

2 主務大臣は、前条第一項の承認をした事業提携計画(前項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下「承認事業提携計画」という。)が同条第三項の基準に適合するものでなくなつたと認めるときは、承認提携事業者に対して、当該事業提携計画の変更を指示し、又はその承認を取り消さなければならない。

3 前条第三項の規定は、第一項の承認に準用する。

 (公正取引委員会との関係)

第九条 主務大臣は、第七条第一項の承認(前条第一項の規定による変更の承認を含む。以下この章において同じ。)の申請を受理した場合において、必要があると認めるときは、その申請書の写しを公正取引委員会に送付するものとする。

2 主務大臣は、前項の規定により申請書の写しを公正取引委員会に送付した場合において、当該申請に係る事業提携計画について第七条第一項の承認をしようとするときは、公正取引委員会に対し、その旨を通知し、並びに当該事業提携計画に係る提携事業者の経営の状況その他の事業活動の状況、当該事業提携計画に定める事業提携に係る競争の状況及び当該事業提携の実施が当該競争に及ぼす影響に関する事項について意見を述べるものとする。

3 公正取引委員会は、前項の規定による通知に係る事業提携計画について、主務大臣に対し、必要な意見を述べるものとする。

4 公正取引委員会は、前項の規定による意見を述べた事業提携計画であつて主務大臣が第七条第一項の承認をしたものに定めるところに従つてする行為につき当該承認後私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定に違反する事実があると思料するときは、その旨を主務大臣に通知するものとする。

5 主務大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、公正取引委員会に対し、当該承認後の経済的事情の変化に即して第二項に規定する事項について意見を述べることができる。

6 主務大臣は、第四項の規定による通知を受けた場合において、当該通知に係る事業提携計画が前条第二項に規定する場合に該当することとなるときは、当該事業提携計画につき、同項に規定する措置をとるものとする。

 (資金の確保)

第十条 国は、承認特定事業者が承認事業適応計画に従つて特定設備の処理又は事業転換等を行うのに必要な資金の確保に努めるものとする。

 (課税の特例)

第十一条 承認特定事業者が承認事業適応計画に従つて特定設備の処理(廃棄によるものに限る。以下この項において同じ。)を行つた場合において、当該特定設備の処理を行つた承認特定事業者について当該特定設備の処理により欠損金を生じたときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、法人税に係る欠損金の繰越しについて特別の措置を講ずる。

2 承認特定事業者又は承認提携事業者(第七条第一項の承認に係る合併により設立した法人又は当該承認に係る出資に基づいて設立された法人を含む。)が、それぞれ承認事業適応計画又は承認事業提携計画に従つて新たに取得し、又は製作した機械及び装置については、租税特別措置法で定めるところにより、特別償却をすることができる。

 (雇用の安定等)

第十二条 承認特定事業者又は承認提携事業者は、それぞれ承認事業適応計画又は承認事業提携計画に従つて特定設備の処理若しくは事業転換等又は事業提携を行うに当たつては、当該措置に係る事業所における労働組合(当該事業所において、労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者)と協議して、その雇用する労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 国は、承認特定事業者又は承認提携事業者であつてそれぞれ承認事業適応計画又は承認事業提携計画に従つて特定設備の処理若しくは事業転換等又は事業提携を行うものの雇用する労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

3 国及び都道府県は、前項に規定する事業者に雇用されていた労働者について、職業訓練の実施、就職のあつせんその他その者の職業及び生活の安定に資するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

4 国及び都道府県は、第二項に規定する事業者の関連中小企業者について、その新たな経済的環境への適応の円滑化に資するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

   第三章 特定地域対策

 (資金の確保等)

第十三条 国は、特定地域において地方公共団体その他これに準ずる法人として政令で定める法人の出資に係る法人が行う事業であつて当該特定地域に対して適切な経済的効果を及ぼすと認められるもの(以下「特定出資法人事業」という。)、特定地域における工場又は事業場の新設若しくは増設又はこれらの施設の用に供する土地の取得若しくは造成(以下「工場等の新増設等」という。)及び特定地域において事業者が行う新商品若しくは新技術の開発又はこれらの成果の企業化その他の事業の新分野の開拓のための事業(以下「新分野開拓事業」という。)に必要な資金の確保に努めなければならない。

2 国及び地方公共団体は、特定地域における工場等の新増設等又は新分野開拓事業の実施の円滑化に必要な事業その他の特定地域の経済の安定及び発展に必要な事業を行う者に対し、必要な助言その他の援助を行うよう努めるものとする。

 (施設の整備)

第十四条 国及び地方公共団体は、特定地域の経済の安定及び発展を図るため、特定地域における工場等の新増設等又は新分野開拓事業の円滑な実施を図るために必要な工場用地、工業用水道その他の施設の整備の促進に努めなければならない。

 (財政上の措置等)

第十五条 国は、特定地域の経済の安定及び発展に資するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

   第四章 産業基盤整備基金の産業構造転換円滑化業務

 (産業基盤整備基金の業務)

第十六条 産業基盤整備基金(以下「基金」という。)は、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号。以下「特定施設整備法」という。)第四十条第一項に規定する業務のほか、産業構造の転換を円滑化するため、次に掲げる業務を行う。

 一 承認特定事業者が承認事業適応計画に従つて行う特定設備の処理のために必要な資金及び当該特定設備の処理に伴つて必要となる資金並びに当該特定設備の処理を行う承認特定事業者に対し支払う補償金の支払に必要な資金の借入れに係る債務の保証を行うこと。

 二 特定出資法人事業に必要な資金の出資を行うこと。

 三 日本開発銀行その他大蔵大臣及び通商産業大臣が指定する機関(以下この号において「日本開発銀行等」という。)が行う特定出資法人事業に必要な資金又は特定地域における工場等の新増設等に必要な資金の貸付けについて、日本開発銀行等に対し、利子補給金を支給すること。

 四 新分野開拓事業に必要な資金の借入れに係る債務の保証を行うこと。

 五 特定地域及びその周辺地域における産業立地に関する調査を行い、並びにその成果を普及すること。

 六 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。

 (政府の出資)

第十七条 政府は、基金が前条第二号に掲げる業務に必要な資金に充てるためその資本金を増加するときは、予算の範囲内において、基金に出資することができる。

 (特別勘定)

第十八条 基金は、第十六条第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定(以下「特別勘定」という。)を設けて整理しなければならない。

2 基金は、特別勘定において、毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、特定施設整備法第四十七条第一項の規定にかかわらず、その残余の額のうち、政令で定める基準により計算した額を積立金として積み立てなければならない。

3 基金は、特別勘定において、毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。

4 基金は、第二項に規定する残余の額から同項の規定により積立金として整理した額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。

5 前項の規定による納付金に関し、納付の手続その他必要な事項は、政令で定める。

 (産業構造転換円滑化出資資金)

第十九条 基金は、第十六条第二号に掲げる業務に関して、産業構造転換円滑化出資資金を設け、第十七条の規定により政府が出資した額に相当する金額をもつてこれに充てなければならない。

2 産業構造転換円滑化出資資金は、特別勘定における毎事業年度の損益計算上利益又は損失を生じたときは、その利益の額(基金が前条第四項の規定による納付金を納付した場合にあつては、当該納付金の額を当該利益の額から控除した額)又は損失の額により増加し又は減少するものとする。

 (産業構造転換円滑化推進資金)

第二十条 基金は、第十六条第三号及び第五号に掲げる業務並びにこれらの業務に附帯する業務に関して、産業構造転換円滑化推進資金を設けるものとする。

2 基金は、産業構造転換円滑化推進資金に係る経理については、特別勘定以外の一般の勘定における他の経理と区分して整理しなければならない。

3 基金は、特定施設整備法第四十条第二項の規定にかかわらず、特定施設整備法第四十七条第一項に規定する積立金の額に相当する金額の一部をあらかじめ大蔵大臣及び通商産業大臣の承認を受けた金額の範囲内において産業構造転換円滑化推進資金に充てるものとする。

4 産業構造転換円滑化推進資金の運用によつて生じた利子その他当該資金の運用又は使用に伴い生ずる収入は、産業構造転換円滑化推進資金に充てるものとする。

 (特定施設整備法の特例)

第二十一条 第十六条の規定により基金の業務が行われる場合には、特定施設整備法第十九条中「日本開発銀行」とあるのは「政府及び日本開発銀行」と、同法第四十条第二項中「同条第二項の認可を受けた場合において出資された金額」とあるのは「同条第二項の認可を受けた場合において出資された金額(産業構造転換円滑化臨時措置法(以下「構造転換法」という。)第十七条の規定により政府が出資した金額を除く。)」と、「前項第一号の業務」とあるのは「前項第一号の業務並びに構造転換法第十六条第一号及び第四号の業務」と、同法第四十一条第一項中「債務の保証の決定」とあるのは「債務の保証の決定、出資の決定及び利子補給金の支給の決定」と、「日本開発銀行その他の金融機関」とあるのは「日本開発銀行その他の金融機関(構造転換法第十六条第三号に掲げる業務にあつては、同号の規定により大蔵大臣及び通商産業大臣が指定する機関であつて金融機関以外のものを含む。次項において同じ。)」と、同条第三項中「金融機関」とあるのは「金融機関(構造転換法第十六条第三号の規定により大蔵大臣及び通商産業大臣が指定する機関であつて金融機関以外のものを含む。)」と、同法第四十六条中「出資者」とあるのは「政府以外の出資者」と、同法第五十一条中「この法律」とあるのは「この法律及び構造転換法」と、同法第五十二条第二項並びに第五十三条第一項及び第二項中「この法律」とあるのは「この法律又は構造転換法」と、同法第五十四条第三項中「出資者」とあるのは「政府以外の出資者」と、同法第五十五条第一項中「これを各出資者に対し」とあるのは「当該残余財産のうち、構造転換法第十八条第一項に規定する特別勘定に属する額に相当する額を政府に対し、当該特別勘定以外の一般の勘定に属する額に相当する額を当該勘定に係る各出資者に対し」と、同条第二項中「各出資者」とあるのは「構造転換法第十八条第一項に規定する特別勘定以外の一般の勘定に係る各出資者」と、同法第六十三条第三号中「第四十条第一項」とあるのは「第四十条第一項及び構造転換法第十六条」とする。

2 大蔵大臣及び通商産業大臣は、特定施設整備法第四十二条第一項又は第四十四条の認可をしようとするときは、第十六条第一号に掲げる業務に係る事項に関し、主務大臣(大蔵大臣及び通商産業大臣を除く。)に協議しなければならない。

3 大蔵大臣及び通商産業大臣は、特定施設整備法第四十二条第一項又は第四十四条の認可をしようとするときは、第十六条第二号から第四号までに掲げる業務に係る事項に関し、関係行政機関の長に協議しなければならない。

   第五章 雑則

 (国際経済環境等の考慮)

第二十二条 国は、この法律に基づく措置を実施するに当たつては、国際経済環境その他の経済環境を考慮し、特定事業者及び特定地域における事業者が新たな経済的環境に適応した事業を適切に実施することができるように努めるものとする。

 (報告の徴収)

第二十三条 主務大臣は、承認特定事業者又は承認提携事業者に対し、承認事業適応計画又は承認事業提携計画の実施状況について報告を求めることができる。

 (都道府県の意見の申出)

第二十四条 都道府県は、第二章の規定に基づいて行われる特定設備の処理、事業提携その他の措置が当該都道府県における地域経済に著しい悪影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認められるときは、主務大臣に対し、意見を申し出ることができる。

 (連絡及び協力)

第二十五条 主務大臣及び労働大臣は、第二章の規定の施行に当たつては、承認特定事業者又は承認提携事業者に係る労働者の雇用に関する事項について、相互に緊密に連絡し、及び協力しなければならない。

 (主務大臣等)

第二十六条 この法律における主務大臣は、当該特定事業者の事業を所管する大臣とする。

2 この法律における主務省令は、主務大臣の発令する命令とする。ただし、第四条第二項の主務省令は、当該設備に係る物品の生産を所管する大臣の発する命令とする。

 (罰則)

第二十七条 第二十三条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、十万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第四章の規定、附則第三条及び第四条の規定、附則第六条から第九条までの規定、附則第十条中地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第七十二条の五第一項第四号の改正規定、附則第十一条から第十三条までの規定並びに附則第十五条及び第十六条の規定は公布の日から起算して一月を超え四月を超えない範囲内において政令で定める日から、附則第十四条の規定は売上税法(昭和六十二年法律   号)の施行の日から施行する。

 (この法律の廃止)

第二条 この法律は、昭和七十一年五月二十九日までに廃止するものとする。

 (基金の持分の払戻しの禁止の特例)

第三条 政府及び日本開発銀行以外の出資者は、基金に対し、附則第一条ただし書の政令で定める日から起算して一月を経過した日までの間に限り、その持分の払戻しを請求することができる。

2 基金は、前項の規定による請求があつたときは、特定施設整備法第十八条第一項の規定にかかわらず、当該持分に係る出資額に相当する金額により払戻しをしなければならない。この場合において、基金は、その払戻しをした金額により資本金を減少するものとする。

 (民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部改正)

第四条 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を次のように改正する。

  目次中「第三章 産業基盤信用基金」を「第三章 産業基盤整備基金」に改める。

  「第三章 産業基盤信用基金」を「第三章 産業基盤整備基金」に改める。

  第十四条、第十五条及び第二十条中「産業基盤信用基金」を「産業基盤整備基金」に改める。

  第二十五条第二項及び第三項、第二十六条並びに第二十七条第一項中「理事長」を「会長」に改める。

  第二十九条中「として」の下に「、会長一人」を加える。

  第三十条第一項中「理事長」を「会長」に改め、同条第四項中「理事長」を「会長」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「理事長」を「会長及び理事長」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 理事長は、基金を代表し、定款で定めるところにより、会長を補佐して基金の業務を掌理し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行う。

  第三十一条第一項中「理事長」を「会長、理事長」に改め、同条第二項中「理事長」を「会長」に改める。

  第三十四条中「理事長」を「会長」に改める。

  第三十六条中「基金と」の下に「会長又は」を加え、「、理事長」を「、会長及び理事長」に改める。

  第三十七条第三項及び第三十八条中「理事長」を「会長」に改める。

  附則第九条を次のように改める。

  (産業構造転換円滑化業務)

 第九条 基金は、第四十条第一項に規定する業務のほか、産業構造転換円滑化臨時措置法(昭和六十二年法律第二十四号)第十六条に規定する業務を行うものとする。

  附則第十条から第十七条までを削る。

 (経過措置)

第五条 産業基盤信用基金は、この法律の公布の日から起算して一月以内に、必要な定款の変更をし、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けるものとする。

2 前項の認可があつたときは、同項に規定する定款の変更は、附則第一条ただし書の政令で定める日にその効力を生ずる。

第六条 附則第四条の規定の施行の際現に産業基盤信用基金の理事、評議員又は職員である者は、それぞれ産業基盤整備基金の理事、評議員又は職員として、この法律による改正後の特定施設整備法第三十一条第二項、第三十七条第三項又は第三十八条の規定により会長が任命したものとみなす。この場合において、当該理事の任期は、この法律による改正前の特定施設整備法第三十二条第一項の規定により任期が終了すべき日に終了するものとする。

第七条 附則第四条の規定の施行の際現にその名称中に産業基盤整備基金という文字を用いている者については、この法律による改正後の特定施設整備法第二十条第二項の規定は、附則第四条の規定の施行後六月間は、適用しない。

第八条 第四章又は附則第四条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (特定外航船舶解撤促進臨時措置法の一部改正)

第九条 特定外航船舶解撤促進臨時措置法(昭和六十一年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。

  第七条(見出しを含む。)中「産業基盤信用基金」を「産業基盤整備基金」に改める。

 (地方税法の一部改正)

第十条 地方税法の一部を次のように改正する。

  第七十二条の五第一項第四号中「産業基盤信用基金」を「産業基盤整備基金」に改める。

  附則第十一条の四第十一項中「単に」を「本項において単に」に改め、同条に次の二項を加える。

 15 道府県は、産業構造転換円滑化臨時措置法(昭和六十二年法律第二十四号)第八条第一項に規定する承認提携事業者のうち自治省令で定める事業を営むものが同法第八条第二項に規定する承認事業提携計画に従つて営業の譲渡(当該譲渡に係る同法第七条第一項の承認(同法第八条第一項の規定による変更の承認を含む。以下本項において単に「承認」という。)が同法第七条第一項の規定の施行の日から昭和六十四年三月三十一日までの間にされたものに限る。)をした場合において、当該譲渡を受けた者が当該譲渡に係る不動産(政令で定めるものに限る。)を取得し、かつ、当該不動産の取得の日から引き続き三年以上当該不動産を政令で定めるところにより当該承認事業提携計画に係る事業の用に供したときは、当該不動産の取得に対して課する不動産取得税については、当該取得が承認の日から一年以内に行われたときに限り、当該税額から価格の十分の一に相当する額に税率を乗じて得た額を減額するものとする。

 16 第七十三条の二十五から第七十三条の二十七までの規定は、前項に規定する不動産の取得に対して課する不動産取得税の税額の徴収猶予及びその取消し並びに当該不動産取得税に係る地方団体の徴収金の還付について準用する。この場合において、第七十三条の二十五第一項中「、土地の取得」とあるのは「、附則第十一条の四第十五項に規定する不動産(以下第七十三条の二十七までにおいて「不動産」という。)の取得」と、「当該土地」とあるのは「当該不動産」と、「前条第一項第一号又は第二項第一号」とあるのは「同項」と、「同条第一項第一号の規定の適用を受ける土地の取得にあつては当該取得の日から二年以内、同条第二項第一号の規定の適用を受ける土地の取得にあつては当該取得の日から一年以内」とあるのは「当該取得の日から三年以内」と、「これら」とあるのは「同項」と、同条第二項中「土地」とあるのは「不動産」と、第七十三条の二十六第一項中「第七十三条の二十四第一項第一号又は第二項第一号」とあるのは「附則第十一条の四第十五項」と、第七十三条の二十七第一項中「土地」とあるのは「不動産」と、「第七十三条の二十四第一項第一号又は第二項第一号」とあるのは「附則第十一条の四第十五項」と、「これら」とあるのは「同項」と読み替えるものとする。

  附則第三十一条の二第五項中「又は第二項」を「、第二項又は第三項」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項中「又は第二項」を「、第二項又は第三項」に、「附則第三十一条の二第一項若しくは第二項」を「附則第三十一条の二第一項、第二項若しくは第三項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。

 3 市町村は、産業構造転換円滑化臨時措置法第四条第三項に規定する特定地域において同法第六条第一項に規定する承認特定事業者のうち同法第四条第二項に規定する特定設備(以下本項において「特定設備」という。)を緊急に処理する必要がある業種として自治省令で定める業種に属する事業を行うものが同法第六条第二項に規定する承認事業適応計画(以下本項において「承認事業適応計画」という。)に従つて特定設備の廃棄(当該廃棄に係る同法第五条第一項の承認(同法第六条第一項の規定による変更の承認を含む。以下本項において単に「承認」という。)が同法第五条第一項の規定の施行の日から昭和六十四年三月三十一日までの間にされたものに限る。)をし、その後当該承認特定事業者(同法第五条第二項に規定する関係事業者を含む。)が当該特定設備を事業の用に供していた市町村の区域内において当該承認事業適応計画に従つて特定地域の経済の安定及び発展に資する業種として自治省令で定める業種に属する事業を新たに行う場合における当該事業の用に供する工場用の建物の敷地の用に供する土地(これと一体的に使用される土地で政令で定めるものを含み、承認の日の翌日から起算して一年以内に、取得され、かつ、当該土地を敷地とする当該建物の建設に着手したものに限る。)又はその取得に対しては、第五百八十五条第一項の規定にかかわらず、特別土地保有税を課することができない。

  附則第三十二条の三の二第七項を同条第八項とし、同条第六項の次に次の一項を加える。

 7 産業構造転換円滑化臨時措置法第四条第三項に規定する特定地域において同法第六条第一項に規定する承認特定事業者のうち同法第四条第二項に規定する特定設備(以下本項において「特定設備」という。)を緊急に処理する必要がある業種として自治省令で定める業種に属する事業を行うものが同法第六条第二項に規定する承認事業適応計画(以下本項において「承認事業適応計画」という。)に従つて特定設備の廃棄(当該廃棄に係る同法第五条第一項の承認(同法第六条第一項の規定による変更の承認を含む。以下本項において単に「承認」という。)が同法第五条第一項の規定の施行の日から昭和六十四年三月三十一日までの間にされたものに限る。)をし、その後当該承認特定事業者(同法第五条第二項に規定する関係事業者を含む。)が当該特定設備を事業の用に供していた指定都市等の区域内において当該承認事業適応計画に従つて特定地域の経済の安定及び発展に資する業種として自治省令で定める業種に属する事業を新たに行う場合における当該事業の用に供する施設(政令で定めるものに限る。)に係る事業所用家屋の新築又は増築(当該事業を行う者が建築主であるものに限る。)に対して課する新増設に係る事業所税の課税標準となるべき新増設事業所床面積の算定については、当該新築又は増築が承認の日の翌日から起算して二年以内に行われたときに限り、当該新築又は増築に係る新増設事業所床面積(第七百一条の三十四(新増設に係る事業所税に関する部分に限る。)又は前条第三項、第四項若しくは第七項の規定の適用を受けるものを除く。)から当該面積の四分の三に相当する面積を控除するものとする。この場合においては、第七百一条の四十一第八項の規定を準用する。

 (所得税法の一部改正)

第十一条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第一号の表中「産業基盤信用基金」を「産業基盤整備基金」に改める。

 (法人税法の一部改正)

第十二条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  別表第二第一号の表中「産業基盤信用基金」を「産業基盤整備基金」に改める。

 (印紙税法の一部改正)

第十三条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第三の文書名の欄中「並びに特定外航船舶解撤促進臨時措置法(昭和六十一年法律第八十三号)第七条第一号(産業基盤信用基金の行う解撤促進業務)」を「、特定外航船舶解撤促進臨時措置法(昭和六十一年法律第八十三号)第七条第一号(産業基盤整備基金の行う解撤促進業務)の業務並びに産業構造転換円滑化臨時措置法(昭和六十二年法律第二十四号)第十六条第一号及び第四号(産業基盤整備基金の業務)」に改め、同表の作成者の欄中「産業基盤信用基金」を「産業基盤整備基金」に改める。

 (売上税法の一部改正)

第十四条 売上税法の一部を次のように改正する。

  別表第二第一号の表中「産業基盤信用基金」を「産業基盤整備基金」に改める。

 (大蔵省設置法の一部改正)

第十五条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第四条第九十六号中「産業基盤信用基金」を「産業基盤整備基金」に改める。

 (通商産業省設置法の一部改正)

第十六条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。

  第四条第二十八号中「産業基盤信用基金」を「産業基盤整備基金」に改める。

 (内閣総理・大蔵・厚生・農林水産・通商産業・運輸・労働・自治大臣署名)

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