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法律第七十七号(平三・五・一五)

  ◎暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条―第八条)

 第二章 暴力的要求行為の規制等

  第一節 暴力的要求行為の禁止等(第九条―第十二条)

  第二節 不当な要求による被害の回復等のための援助(第十三条・第十四条)

 第三章 対立抗争時の事務所の使用制限その他の規制(第十五条―第十九条)

 第四章 暴力追放運動推進センター(第二十条・第二十一条)

 第五章 雑則(第二十二条―第三十三条)

 第六章 罰則(第三十四条―第三十八条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、暴力団員の行う暴力的要求行為等について必要な規制を行い、及び暴力団の対立抗争等による市民生活に対する危険を防止するために必要な措置を講ずるとともに、暴力団員の活動による被害の予防等に資するための民間の公益的団体の活動を促進する措置等を講ずることにより、市民生活の安全と平穏の確保を図り、もって国民の自由と権利を保護することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 暴力的不法行為等 別表に掲げる罪のうち国家公安委員会規制で定めるものに当たる違法な行為をいう。

 二 暴力団 その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。

 三 指定暴力団 次条の規定により指定された暴力団をいう。

 四 指定暴力団連合 第四条の規定により指定された暴力団をいう。

 五 指定暴力団等 指定暴力団又は指定暴力団連合をいう。

 六 暴力団員 暴力団の構成員をいう。

 七 暴力的要求行為 第九条の規定に違反する行為をいう。

 (指定)

第三条 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、暴力団が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、当該暴力団を、その暴力団員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団として指定するものとする。

 一 名目上の目的のいかんを問わず、当該暴力団の暴力団員が当該暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成又は事業の遂行のための資金を得ることができるようにするため、当該暴力団の威力をその暴力団員に利用させ、又は当該暴力団の威力をその暴力団員が利用することを容認することを実質上の目的とするものと認められること。

 二 国家公安委員会規則で定めるところにより算定した当該暴力団の幹部(主要な暴力団員として国家公安委員会規則で定める要件に該当する者をいう。)である暴力団員の人数のうちに占める犯罪経歴保有者(次のいずれかに該当する者をいう。以下この条において同じ。)の人数の比率又は当該暴力団の全暴力団員の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率が、暴力団以外の集団一般におけるその集団の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率を超えることが確実であるものとして政令で定める集団の人数の区分ごとに政令で定める比率(当該区分ごとに国民の中から任意に抽出したそれぞれの人数の集団において、その集団の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率が当該政令で定める比率以上となる確率が十万分の一以下となるものに限る。)を超えるものであること。

  イ 暴力的不法行為等又は第六章(第三十六条を除く。以下この条において同じ。)に規定する罪に当たる違法な行為を行い禁 錮以上の刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して十年を経過しないもの

  ロ 暴力的不法行為等又は第六章に規定する罪に当たる違法な行為を行い罰金以下の刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しないもの

  ハ 暴力的不法行為等又は第六章に規定する罪に当たる違法な行為を行い禁錮以上の刑の言渡し及びその刑の執行猶予の言渡しを受け、当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過した者であって、当該刑に係る裁判が確定した日から起算して十年を経過しないもの

  ニ 暴力的不法行為等又は第六章に規定する罪に当たる違法な行為を行い罰金の刑の言渡し及びその刑の執行猶予の言渡しを受け、当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過した者であって、当該刑に係る裁判が確定した日から起算して五年を経過しないもの

  ホ 暴力的不法行為等又は第六章に規定する罪に当たる違法な行為を行い禁錮以上の刑に係る有罪の言渡しを受け、当該言渡しに係る罪について恩赦法(昭和二十二年法律第二十号)第二条の大赦又は同法第四条の特赦を受けた者であって、当該大赦又は特赦のあった日(当該日において当該言渡しに係る刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなっている場合にあっては、当該執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日)から起算して十年を経過しないもの

  へ 暴力的不法行為等又は第六章に規定する罪に当たる違法な行為を行い罰金以下の刑に係る有罪の言渡しを受け、当該言渡しに係る罪について恩赦法第二条の大赦又は同法第四条の特赦を受けた者であって、当該大赦又は特赦であった日(当該日において当該言渡しに係る刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなっている場合にあっては、当該執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日)から起算して五年を経過しないもの

 三 当該暴力団を代表する者又はその運営を支配する地位にある者(次条及び第九条において「代表者等」という。)の統制の下に階層的に構成されている団体であること。

第四条 公安委員会は、暴力団(指定暴力団を除く。)が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、当該暴力団を指定暴力団の連合体として指定するものとする。

 一 次のいずれかに該当する暴力団であること。

  イ 当該暴力団を構成する暴力団の全部又は大部分が指定暴力団であること。

  ロ 当該暴力団の暴力団員の全部又は大部分が指定暴力団の代表者等であること。

  ハ 当該暴力団を構成する暴力団の全部若しくは大部分が指定暴力団若しくはイ若しくはロのいずれかに該当する暴力団であり、又は当該暴力団の暴力団員の全部若しくは大部分が指定暴力団若しくはイ若しくはロのいずれかに該当する暴力団の代表者等であること。

 二 各目上の目的のいかんを問わず、当該暴力団を構成する暴力団若しくは当該暴力団の暴力団員が代表者等となっている暴力団の相互扶助を図り、又はこれらの暴力団の暴力団員の活動を支援することを実質上の目的とするものと認められること。

 (聴聞)

第五条 公安委員会は、前二条の規定による指定(以下この章において「指定」という。)をしようとするときは、公開による聴聞を行わなければならない。ただし、個人の秘密の保護のためやむを得ないと認めるときは、これを公開しないことができる。

2 前項の聴聞を行う場合において、公安委員会は、指定に係る暴力団を代表する者又はこれに代わるべき者に対し、指定をしようとする理由並びに聴聞の期日及び場所を相当の期間をおいて通知し、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。

3 聴聞に際しては、当該指定に係る暴力団を代表する者若しくはこれに代わるべき者又はこれらの代理人は、当該指定について意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。

4 公安委員会は、当該指定に係る暴力団を代表する者若しくはこれに代わるべき者若しくはこれらの代理人が正当な理由がなくて出頭しないとき、又は当該指定に係る暴力団を代表する者若しくはこれに代わるべき者の所在が不明であるため第二項の規定による通知をすることができず、かつ、同項の規定による公示をした日から起算して三十日を経過してもこれらの者の所在が判明しないときは、第一項の規定にかかわらず、聴聞を行わないで指定をすることができる。

5 前各項に定めるもののほか、第一項の聴聞の実施について必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

 (確認)

第六条 公安委員会は、指定をしようとするときは、あらかじめ、当該暴力団が指定の要件に該当すると認める旨を証する書類及び指定に係る前条第一項の聴聞に係る聴聞調書又はその写しを添えて、当該暴力団が第三条又は第四条の要件に該当するかどうかについての国家公安委員会の確認を求めなければならない。

2 国家公安委員会は、当該暴力団が第三条又は第四条の要件に該当する旨の確認をしようとするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該暴力団が第三条第一号又は第四条第二号の要件に該当することについて、審査専門委員の意見を聴かなければならない。

3 国家公安委員会のする当該暴力団が第三条又は第四条の要件に該当する旨の確認は、前項の規定による審査専門委員の意見に基づいたものでなければならない。

4 国家公安委員会は、第一項の規定による確認をしたときは、確認の結果を速やかに当該公安委員会に通知するものとする。

5 当該公安委員会は、前項の規定により、当該暴力団が第三条又は第四条の要件に該当しない旨の確認の通知を受けたときは、当該暴力団について指定をすることができない。

 (指定の公示)

第七条 公安委員会は、指定をするときは、指定に係る暴力団の名称その他の国家公安委員会規則で定める事項を官報により公示しなければならない。

2 指定は、前項の規定による公示によつてその効力を生ずる。

3 公安委員会は、指定をしたときは、当該指定に係る指定暴力団等を代表する者又はこれに代わるべき者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、指定をした旨その他の国家公安委員会規則で定める事項を通知しなければならない。

4 第一項の規定により公示された事項に変更があったときは、公安委員会は、その旨を官報により公示しなければならない。

 (指定の有効期間及び取消し)

第八条 指定は、三年間その効力を有する。

2 公安委員会は、前項の規定にかかわらず、指定暴力団等が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該指定暴力団等に係る指定を取り消さなければならない。

 一 解散その他の事由により消滅したとき。

 二 第三条各号又は第四条各号のいずれかに該当しなくなったと明らかに認められるとき。

3 公安委員会は、第一項の規定にかかわらず、指定暴力団連合が第三条の規定により指定暴力団として指定されたときは、当該指定暴力団連合に係る第四条の規定による指定を取り消さなければならない。

4 公安委員会は、指定暴力団等が第二項各号のいずれかに該当することとなったことを理由として同項の規定による指定の取消しをしようとするときは、あらかじめ、当該指定暴力団等が同項第一号又は第二号に掲げる場合に該当すると認める旨を証する書類を添えて、当該指定暴力団等が同項第一号又は第二号に掲げる場合に該当するかどうかについての国家公安委員会の確認を求めなければならない。

5 国家公安委員会は、前項の規定による確認をしたときは、確認の結果を速やかに当該公安委員会に通知するものとする。

6 当該公安委員会は、前項の規定により、当該指定暴力団等が第二項各号に掲げる場合に該当しない旨の確認の通知を受けたときは、当該指定暴力団等に係る指定を取り消すことができない。

7 前条第一項から第三項までの規定は、第二項又は第三項の規定による指定の取消しについて準用する。この場合において、同条第三項中「代表する者又はこれに代わるべき者」とあるのは、「代表する者又はこれに代わるべき者(次条第二項第一号に該当することとなったときの取消しの場合にあっては、当該消滅した指定暴力団等を代表する者又はこれに代わるべき者であった者)」と読み替えるものとする。

   第二章 暴力的要求行為の規制等

    第一節 暴力的要求行為の禁止等

 (暴力的要求行為の禁止)

第九条 指定暴力団等の暴力団員(以下「指定暴力団員」という。)は、その者の所属する指定暴力団等又はその系列上位指定暴力団等(当該指定暴力団等と上方連結(指定暴力団等が他の指定暴力団等の構成団体となり、又は指定暴力団等の代表者等が他の指定暴力団等の暴力団員となっている関係をいう。)をすることにより順次関連している各指定暴力団等をいう。)の威力を示して次に掲げる行為をしてはならない。

 一 人に対し、その人に関する事実を宣伝しないこと又はその人に関する公知でない事実を公表しないことの対償として、金品その他財産上の利益(以下「金品等」という。)の供与を要求すること。

 二 人に対し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、みだりに金品等の贈与を要求すること。

 三 請負、委任又は委託の契約に係る役務の提供の業務の発注者又は受注者に対し、その者が拒絶しているにもかかわらず、当該業務の全部若しくは一部の受注又は当該業務に関連する資材その他の物品の納入若しくは役務の提供の受入れを要求すること。

 四 縄張(正当な権原がないにもかかわらず自己の権益の対象範囲として設定していると認められる区域をいう。次号において同じ。)内で営業を営む者に対し、名目のいかんを問わず、その営業を営むことを容認する対償として金品等の供与を要求すること。

 五 縄張内で営業を営む者に対し、その営業所における日常業務に用いる物品を購入すること又はその営業所における用心棒の役務(営業を営む者の営業に係る業務を円滑に行うことができるようにするため顧客との紛争の解決又は鎮圧を行う役務をいう。)その他の日常業務に関する役務の有償の提供を受けることを要求すること。

 六 金銭を目的とする消費貸借上の債務であって利息制限法(昭和二十九年法律第百号)第一条第一項に定める利息の制限額を超える利息(同法第三条の規定によって利息とみなされる金銭を含む。)の支払を伴い、又はその不履行による賠償額の予定が同法第四条に定める制限額を超えるものについて、債務者に対し、その履行を要求すること。

 七 人に対し、債務の全部又は一部の免除又は履行の猶予をみだりに要求すること。

 八 金銭貸付業務(金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又はこれらの方法によってする金銭の授受の媒介を含む。)をいう。)を営む者(以下「金銭貸付業者」という。)以外の者に対してみだりに金銭の貸付けを要求し、金銭貸付業者に対してその者が拒絶しているにもかかわらず金銭の貸付けを要求し、又は金銭貸付業者に対して当該金銭貸付業者が貸付けの利率その他の貸付けの条件として示している事項に反して著しく有利な条件による金銭の貸付けを要求すること。

 九 正当な権原に基づいて建物又はその敷地を居住の用又は事業の用に供している者に対し、その意思に反して、これらの明渡しを要求すること。

 十 人(行為者と密接な関係を有する者として国家公安委員会規則で定める者を除く。)から依頼を受け、報酬を得て又は報酬を得る約束をして、交通事故その他の事故の原因者に対し、当該事故によって生じた損害に係る示談の交渉を行い、損害賠償として金品等の供与を要求すること。

 十一 購入した商品若しくは提供を受けた役務に 瑕疵がないにもかかわらず瑕疵があるとし、若しくは交通事故その他の事故による損害がないにもかかわらず損害があるとして、又はこれらの瑕疵若しくは損害の程度を誇張して、人に対し、損害賠償その他これに類する名目で金品等の供与を要求すること。

 (暴力的要求行為の要求等の禁止)

第十条 何人も、指定暴力団員に対し、暴力的要求行為をすることを要求し、依頼し、又は唆してはならない。

 (暴力的要求行為等に対する措置)

第十一条 公安委員会は、指定暴力団員が暴力的要求行為をしており、その相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該暴力的要求行為を中止することを命じ、又は当該暴力的要求行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。

2 公安委員会は、指定暴力団員が暴力的要求行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して当該暴力的要求行為と類似の暴力的要求行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、暴力的要求行為が行われることを防止するために必要な事項を命ずることができる。

第十二条 公安委員会は、第十条の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、当該行為に係る指定暴力団員に対して暴力的要求行為をすることを要求し、依頼し、又は唆すことを防止するために必要な事項を命ずることができる。

    第二節 不当な要求による被害の回復等のための援助

 (暴力的要求行為の相手方に対する援助)

第十三条 公安委員会は、第十一条の規定による命令をした場合(当該命令に係る暴力的要求行為をした指定暴力団員が当該暴力的要求行為により次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなったと認められる場合に限る。)において、当該命令に係る暴力的要求行為の相手方から、その者が当該指定暴力団員に対しそれぞれ当該各号に定める措置を執ることを求めるに当たって援助を受けたい旨の申出があり、その申出を相当と認めるときは、当該相手方に対し、当該指定暴力団員に対する連絡その他必要な援助を行うものとする。

 一 金品等の供与を受けた場合 供与を受けた金品等を返還し、又は当該金品等の価額に相当する価額の金品等を供与すること。

 二 債務の全部又は一部の免除又は履行の猶予を受けた場合 免除又は履行の猶予を受ける前の当該債務を履行すること。

 三 正当な権原に基づいて建物又はその敷地を居住の用又は事業の用に供していた者に当該建物又はその敷地の明渡しをさせた場合 当該建物又はその敷地を引き渡すことその他当該暴力的要求行為が行われる前の原状の回復をすること。

 (事業者に対する援助)

第十四条 公安委員会は、事業者(事業を行う者で、使用人その他の従業者(以下この項において「使用人等」という。)を使用するものをいう。以下この条及び第二十条第二項において同じ。)に対し、不当要求(暴力団員によりその事業に関し行われる暴力的要求行為その他の不当な要求をいう。以下この項及び第二十条第二項において同じ。)による被害を防止するために必要な、責任者(当該事業に係る業務の実施を統括管理する者であって、不当要求による事業者及び使用人等の被害を防止するために必要な業務を行う者をいう。)の選任、不当要求に応対する使用人等の対応方法についての指導その他の措置が有効に行われるようにするため、資料の提供、助言その他必要な援助を行うものとする。

2 公安委員会は、前項の選任に係る責任者の業務を適正に実施させるため必要があると認めるときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該責任者に対する講習を行うことができる。

3 事業者は、公安委員会から第一項の選任にする責任者について前項の講習を行う旨の通知を受けたときは、当該責任者に講習を受けさせるよう努めなければならない。

    第三章 対立抗争時の事務所の使用制限その他の規制

 (事務所の使用制限)

第十五条 指定暴力団等の相互間に対立が生じ、当該対立に係る指定暴力団等の指定暴力団員により敢行される一連の凶器を使用しての暴力行為(以下この項において「対立抗争」という。)が発生した場合において、当該対立に係る指定暴力団等の事務所(暴力団の活動の拠点となっている施設又は施設の区画された部分をいう。以下同じ。)が、当該対立抗争に関し、当該対立抗争に係る指定暴力団等の指定暴力団員により次の各号に掲げる用に供されており、又は供されるおそれがあり、これにより付近の住民の生活の平穏が害されており、又は害されるおそれがあると認めるときは、公安委員会は、当該事務所を現に管理している指定暴力団員(以下この条において「管理者」という。)に対し、三月以内の期間を定めて、当該事務所を当該各号の用に供すること又は当該指定暴力団等の活動の用に供することを禁止することを命ずることができる。この場合において、その命令の有効期間が経過した後において更に命令の必要があると認めるときは、一回に限り、三月以内の期間を定めてその命令の期限を延長することができる。

 一 多数の指定暴力団員の集合の用

 二 当該対立抗争のための謀議、指揮命令又は連絡の用

 三 当該対立抗争に供用されるおそれがあると認められる凶器その他の物件の製造又は保管の用

2 公安委員会は、前項の規定による命令をしたときは、当該事務所の出入口の見やすい場所に、当該管理者が当該事務所について同項の命令を受けている旨を告知する国家公安委員会規則で定める標章をはり付けるものとする。

3 公安委員会は、前項の規定により標章をはり付けた場合において、第一項の規定に基づき定められた期限が経過したとき、又は当該期限内において当該標章をはり付けた事務所が同項各号の用に供されるおそれがなくなったと認めるときは、当該標章を取り除かなければならない。

4 何人も、第二項の規定によりはり付けられた標章を損壊し、又は汚損してはならず、また、当該標章をはり付けた事務所に係る第一項の規定に基づき定められた期限が経過した後でなければ、これを取り除いてはならない。

 (加入の強要等の禁止)

第十六条 指定暴力団員は、少年(二十歳未満の者をいう。以下同じ。)に対し指定暴力団等に加入することを強要し、若しくは勧誘し、又は少年が指定暴力団等から脱退することを妨害してはならない。

2 前項に規定するもののほか、指定暴力団員は、人を威迫して、その者を指定暴力団等に加入することを強要し、若しくは勧誘し、又はその者が指定暴力団等から脱退することを妨害してはならない。

 (加入の強要等に対する措置)

第十七条 公安委員会は、指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をしており、その相手方が因惑していると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命ずることができる。

2 公安委員会は、指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、当該行為の相手方を指定暴力団等に加入することを強要し、若しくは勧誘し、又はその者が当該指定暴力団等から脱退することを妨害することを防止するために必要な事項を命ずることができる。

3 公安委員会は、指定暴力団員が前条第一項の規定に違反する行為をし、かつ、当該行為に係る少年が当該指定暴力団等に加入し、又は当該指定暴力団等から脱退しなかった場合において、加入し、若しくは脱退しなかったことが当該少年の意思に反していると認められ、又は当該少年の保護者が当該少年の脱退を求めているときは、当該指定暴力団員に対し、当該少年を当該指定暴力団等から脱退させるために必要な事項を命ずることができる。

 (事務所等における禁止行為)

第十八条 指定暴力団員は、次に掲げる行為をしてはならない。

 一 指定暴力団等の事務所(以下この条及び第二十二条第一項において単に「事務所」という。)の外周に、又は外部から見通すことができる状態にしてその内部に、付近の住民又は通行人に不安を覚えさせるおそれがある表示又は物品として国家公安委員会規則で定めるものを掲示し、又は設置すること。

 二 事務所又はその周辺において、著しく粗野若しくは乱暴な言動を行い、又は威勢を示すことにより、付近の住民又は通行人に不安を覚えさせること。

 三 人に対し、債務の履行その他の国家公安委員会規則で定める用務を行う場所として、事務所を用いることを強要すること。

 (事務所等における禁止行為に対する措置)

第十九条 公安委員会は、指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をしており、付近の住民若しくは通行人又は当該行為の相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。

   第四章 暴力追放運動推進センター

 (都道府県暴力追放運動推進センター)

第二十条 公安委員会は、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当すると認められる者を、その申出により、都道府県に一を限って、都道府県暴力追放運動推進センター(以下「都道府県センター」という。)として指定することができる。

 一 暴力団員による不当な行為の防止及びこれによる被害の救済に寄与することを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人であること。

 二 次項第三号から第五号までの事業(以下「相談事業」という。)に係る相談の申出人、暴力団の影響を受けている少年又は暴力団から離脱する意志を有する者(第三項において「相談の申出人等」という。)に対する助言について、専門的知識経験を有する者として国家公安委員会規則で定める者(以下「暴力追放相談委員」という。)が置かれていること。

 三 その他次項に規定する事業を適正かつ確実に行うために必要なものとして国家公安委員会規則で定める基準に適合すること。

2 都道府県センターは、当該都道府県の区域において、次に掲げる事業を行うものとする。

 一 暴力団員による不当な行為の予防に関する知識の普及及び思想の高揚を図るための広報活動を行うこと。

 二 暴力団員による不当な行為の予防に関する民間の自主的な組織活動を助けること。

 三 暴力団員による不当な行為に関する相談に応ずること。

 四 少年に対する暴力団の影響を排除するための活動を行うこと。

 五 暴力団から離脱する意志を有する者を助けるための活動を行うこと。

 六 公安委員会の委託を受けて第十四条第二項の講習を行うこと。

 七 不当要求情報管理機関(不当要求に関する情報の収集及び事業者に対する当該情報の提供を業とする者をいう。)の業務を助けること。

 八 暴力団員による不当な行為の被害者に対して見舞金の支給、民事訴訟の支援その他の救援を行うこと。

 九 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第三十八条に規定する少年指導委員に対し第四号の事業の目的を達成するために必要な研修を行うこと。

 十 前各号の事業に附帯する事業

3 都道府県センターは、相談事業を行うに当たっては、相談の申出人等に対する助言については、暴力追放相談委員に行わせなければならない。

4 都道府県センターは、住民から暴力団員による不当な行為に関する相談の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、その相談に係る事項の迅速かつ適切な解決に努めなければならない。

5 公安委員会は、都道府県センターの財産の状況又はその事業の運営に関し改善が必要であると認めるときは、都道府県センターに対し、その改善に必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

6 公安委員会は、都道府県センターが前項の規定による命令に違反したときは、第一項の指定を取り消すことができる。

7 都道府県センターの役員若しくは職員(暴力追放相談委員を含む。)又はこれらの職にあった者は、相談事業に係る業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

8 都道府県センターは、その業務の運営について都道府県警察と密接に連絡するものとし、都道府県警察は、都道府県センターに対し、その業務の円滑な運営が図られるように必要な配慮を加えるものとする。

9 第一項の指定の手続その他都道府県センターに関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

 (全国暴力追放運動推進センター)

第二十一条 国家公安委員会は、暴力団員による不当な行為の防止及びこれによる被害の救済に寄与することを目的として設立された民法第三十四条の法人であって、次項に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申出により、全国に一を限って、全国暴力追放運動推進センター(以下「全国センター」という。)として指定することができる。

2 全国センターは、次に掲げる事業を行うものとする。

 一 暴力団員による不当な行為の予防に関する知識の普及及び思想の高揚を図るための二以上の都道府県の区域における広報活動を行うこと。

 二 暴力追放相談委員その他都道府県センターの業務を行う者に対する研修を行うこと。

 三 少年の健全な育成に及ぼす暴力団の影響その他の暴力団の市民生活に与える影響に関する調査研究を行うこと。

 四 都道府県センターの事業について、連絡調整を行うこと。

 五 前各号の事業に附帯する事業

3 前条第五項、第六項、第八項及び第九項の規定は、全国センターについて準用する。この場合において、同条第五項及び第六項中「公安委員会」とあるのは「国家公安委員会」と、同条第八項中「都道府県警察」とあるのは「国家公安委員会及び警察庁」と読み替えるものとする。

   第五章 雑則

 (報告及び立入り)

第二十二条 公安委員会は、この法律の施行に必要があると認めるときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、この法律の施行に必要な限度において、指定暴力団員その他の関係者に対し報告若しくは資料の提出を求め、又は警察職員に事務所に立ち入り、物件を検査させ若しくは指定暴力団員その他の関係者に質問させることができる。

2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (聴聞)

第二十三条 公安委員会は、第十一条第二項、第十二条、第十五条第一項又は第十七条第二項若しくは第三項の規定による命令をしようとするときは、公開による聴聞を行わなければならない。ただし、命令に係る者がした暴力的要求行為又は第十六条の規定に違反する行為の相手方に係る個人の秘密又は事業上の秘密の保護のためやむを得ないと認めるときは、聴聞を公開しないことができる。

2 前項の聴聞を行う場合において、公安委員会は、当該命令に係る者に対し、命令をしようとする理由並びに聴聞の期日及び場所を相当の期間をおいて通知し、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。

3 聴聞に際しては、当該命令に係る者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。

4 公安委員会は、当該命令に係る者又はその代理人が正当な理由がなくて出頭しないとき、又は当該命令に係る者の所在が不明であるため第二項の規定による通知をすることができず、かつ、同項の規定による公示をした日から起算して三十日を経過してもその者の所在が判明しないときは、第一項の規定にかかわらず、聴聞を行わないで同項に規定する命令をすることができる。

5 前各項に定めるもののほか、第一項の聴聞の実施について必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

 (仮の命令)

第二十四条 公安委員会は、緊急の必要がある場合においては、前条第一項の規定にかかわらず、同項の聴聞を行わないで、仮に、第十一条第二項又は第十五条第一項の規定による命令をすることができる。

2 前項の規定による命令(以下「仮の命令」という。)の効力は、仮の命令をした日から起算して十五日とする。

3 公安委員会は、仮の命令をしたときは、当該仮の命令をした日から起算して十五日以内に、公開による聴聞を行わなければならない。

4 公安委員会がした仮の命令が第十一条第二項に係るものである場合において、当該仮の命令を受けた者の当該仮の命令に係る違反行為をした時における住所(その者の住所が明らかでない場合にあっては、その者の所属する指定暴力団等の主たる事務所。以下この項において「住所等」という。)が当該仮の命令をした公安委員会以外の公安委員会の管轄区域内に在るときは、当該仮の命令をした公安委員会は、前項の規定にかかわらず同項の聴聞を行うことなく、速やかに、当該仮の命令をした旨をその者の住所等の所在地を管轄する公安委員会に通知しなければならない。この場合において、通知を受けた公安委員会は、当該仮の命令があった日から起算して十五日以内に、公開による聴聞を行わなければならない。

5 前条第一項ただし書、第二項、第三項及び第五項の規定は、前二項の聴聞について準用する。この場合において、同条第二項中「命令をしようとする理由」とあるのは「仮の命令をした理由」と、「相当の期間をおいて」とあるのは「速やかに」と読み替えるものとする。

6 公安委員会は、第三項又は第四項の聴聞の結果、仮の命令が不当でないと認めたときは、前条第一項の規定にかかわらず、同項の聴聞を行わないで第十一条第二項又は第十五条第一項の規定による命令をすることができる。

7 第十一条第二項又は第十五条第一項の規定による命令をしたときは、仮の命令は、その効力を失う。

8 公安委員会は、第三項又は第四項の聴聞の結果、仮の命令が不当であると認めた場合は、直ちに、その命令の効力を失わせなければならない。

9 仮の命令に係る者の所在が不明であるため第五項において準用する前条第二項の規定による通知をすることができないことにより又は仮の命令に係る者若しくはその代理人が出頭しないことにより、第三項又は第四項の聴聞を行うことができず、かつ、当該仮の命令に係る違反行為に関して第十一条第二項の規定による命令をするため又は当該仮の命令に係る指定暴力団等の事務所に関して第十五条第一項の規定による命令をするため、当該仮の命令があった日から起算して十五日以内に前条第一項の聴聞に係る同条第二項の規定による公示がされているときは、第二項の規定にかかわらず、当該仮の命令の効力は、当該聴聞の期日(同条第四項の規定に該当する場合にあっては、当該聴聞に係る公示をした日から起算して三十日を経過する日)までとする。

 (公安委員会の報告等)

第二十五条 公安委員会は、暴力団の活動の状況、暴力団の事務所の所在地その他暴力団の実態を把握して、これらに関する事項を国家公安委員会に報告しなければならない。

2 国家公安委員会は、前項の規定による報告に基づき、報告に係る暴力団の主たる事務所と認められる事務所を決定し、その旨を各公安委員会に通報するものとする。

3 公安委員会は、指定暴力団員に対しこの法律の規定による命令をした場合における当該命令の内容、命令の日時その他指定暴力団等又は指定暴力団員に係る事項で国家公安委員会が定めるものを国家公安委員会に報告しなければならない。この場合において、国家公安委員会は、当該報告に係る事項を各公安委員会に通報するものとする。

4 公安委員会は、第三条及び第四条の規定による指定並びにこの法律の規定による命令をするについて必要があるときは、官公署に、これらの指定又は命令をするため参考となるべき資料の閲覧又は提供その他の協力を求めることができる。

 (不服申立て等)

第二十六条 第三条又は第四条の規定による指定に不服がある者は、国家公安委員会に審査請求をすることができる。

2 国家公安委員会は、指定暴力団等の指定についての審査請求に対する裁決に当たっては、国家公安委員会規則で定めるところにより、審査専門委員の意見を聴かなければならない。

3 指定暴力団等の指定の取消しを求める訴えは、当該指定についての審査請求に対する国家公安委員会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。

 (審査専門委員)

第二十七条 国家公安委員会に、第三条又は第四条の規定による指定暴力団等の指定に係る確認及び不服申立てについて、第三条第一号又は第四条第二号の要件に関する専門の事項を調査審議し、意見を提出させるため、審査専門委員若干人を置く。

2 審査専門委員は、人格が高潔であって、指定暴力団等の指定に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は社会に関する学識経験を有する者のうちから、国家公安委員会が任命する。

3 審査専門委員の任期その他審査専門委員に関し必要な事項は、政令で定める。

 (命令等を行う公安委員会)

第二十八条 この法律における公安委員会は、次の各号に掲げる事項に関しては、当該各号に定める公安委員会とする。

 一 第五条第二項の規定による通知及び公示 同条第一項の聴聞に係る指定をしようとする暴力団の主たる事務所の所在地を管轄する公安委員会

 二 第五条第一項の聴聞 同条第二項の規定による公示をした公安委員会

 三 第三条又は第四条の規定による指定 第五条第一項の聴聞に係る公安委員会

 四 第八条第二項又は第三項の規定による指定の取消し 指定の取消しをしようとする指定暴力団等の主たる事務所の所在地を管轄する公安委員会

 五 第十一条第二項の規定による命令(同項の規定に係る仮の命令を除く。)、第十二条若しくは第十七条第二項若しくは第三項の規定による命令又はこれらの命令に係る第二十三条第一項の聴聞 当該命令又は聴聞に係る違反行為が行われた時における当該違反行為を行った者の住所地(当該違反行為を行った者が指定暴力団員である場合で当該指定暴力団員の住所が明らかでないときにあっては、当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の主たる事務所の所在地)を管轄する公安委員会

 六 第十一条第一項、第十七条第一項若しくは第十九条の規定による命令又は第十一条第二項の規定に係る仮の命令 当該命令に係る違反行為が行われた場所を管轄する公安委員会

 七 第十三条の規定による援助 第十一条の規定による命令をした公安委員会

 八 第十四条第一項の規定による援助又は同条第二項の規定による講習 当該援助又は講習に係る事業者の主たる事業所の所在地を管轄する公安委員会

 九 第十五条第一項の規定による命令(同項の規定に係る仮の命令を含む。)又は当該命令に係る第二十三条第一項の聴聞 当該命令又は聴聞に係る事務所の所在地を管轄する公安委員会

 十 第二十条第一項の規定による指定、同条第五項の規定による命令又は同条第六項の規定による取消し 同条第一項の規定による申出を受け、又は指定をした公安委員会

 (警察庁長官への権限の委任)

第二十九条 この法律又はこの法律に基づく命令の規定により国家公安委員会の権限に属する事務(第六条第一項の規定による確認及び同条第二項の規定による意見聴取、第八条第四項の規定による確認、第二十六条第一項の規定による審査請求及び同条第二項の規定による意見聴取並びに第二十七条第二項の規定による任命に係るものを除く。)は、政令で定めるところにより、警察庁長官に委任することができる。

 (方面公安委員会への権限の委任)

第三十条 この法律又はこの法律に基づく命令の規定により道公安委員会の権限に属する事務は、次に掲げる事務を除き、政令で定めるところにより、方面公安委員会に委任することができる。

 一 第三条及び第四条の規定による指定

 二 第五条第一項の聴聞

 三 第六条第一項及び第八条第四項の規定による確認の請求

 四 第六条第四項及び第八条第五項の規定による通知の受理

 五 第七条第一項(第八条第七項において準用する場合を含む。)及び第七条第四項の規定による公示

 六 第七条第三項(第八条第七項において準用する場合を含む。)の規定による通知

 七 第八条第二項及び第三項の規定による指定の取消し

 (公安委員会の事務の委任)

第三十一条 公安委員会は、仮の命令に関する事務並びに第十五条第一項の規定に係る仮の命令に係る同条第二項及び第三項に規定する事務を警視総監又は道府県警察本部長に行わせることができる。

2 方面公安委員会は、前条の規定により道公安委員会から委任された事務のうち、前項の事務を方面本部長に行わせることができる。

3 公安委員会は、第十一条第一項、第十七条第一項又は第十九条の規定による命令を警察署長に行わせることができる。

 (経過措置)

第三十二条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 (国家公安委員会規則への委任)

第三十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

   第六章 罰則

第三十四条 第十一条の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第三十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 一 第十二条の規定による命令に違反した者

 二 第十五条第一項の規定による命令に違反した者

 三 第十七条の規定による命令に違反した者

 四 第十九条の規定による命令に違反した者

第三十六条 第二十条第七項の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第三十七条 第十五条第四項の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

第三十八条 第二十二条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは資料を提出せず、若しくは同項の報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、二十万円以下の罰金に処する。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

別表(第二条関係)

 一 爆発物取締罰則(明治十七年太政官布告第三十二号)に規定する罪

 二 商法(明治三十二年法律第四十八号)第二編第七章に規定する罪)

 三 刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第五章、第七章、第二十二章、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十二章、第三十五章から第三十七章まで及び第四十章に規定する罪

 四 暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)に規定する罪

 五 盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)に規定する罪

 六 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十三章に規定する罪

 七 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第五章に規定する罪

 八 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第五章に規定する罪

 九 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第七章に規定する罪

 十 大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)第六章に規定する罪

 十一 競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号)第五章に規定する罪

 十二 自転車競技法(昭和二十三年法律第二百九号)に規定する罪

 十三 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第十一章に規定する罪

 十四 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第五章に規定する罪

 十五 小型自動車競走法(昭和二十五年法律第二百八号)に規定する罪

 十六 毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)に規定する罪

 十七 モーターボート競走法(昭和二十六年法律第二百四十二号)第六章に規定する罪

 十八 覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第八章に規定する罪

 十九 旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)に規定する罪

 二十 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第七章に規定する罪

 二十一 武器等製造法(昭和二十八年法律第百四十五号)第五章に規定する罪

 二十二 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)に規定する罪

 二十三 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二章に規定する罪

 二十四 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)第五章に規定する罪

 二十五 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第五章に規定する罪

 二十六 火炎びんの使用等の処罰に関する法律(昭和四十七年法律第十七号)に規定する罪

 二十七 貸金業の規制等に関する法律(昭和五十八年法律第三十二号)第七章に規定する罪

 二十八 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第五章に規定する罪

(内閣総理大臣署名) 

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