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法律第九十六号(平三・一〇・五)

  ◎証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律

 (証券取引法の一部改正)

第一条 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)の一部を次のように改正する。

  第五十条第一項に次のただし書を加える。

   ただし、第三号及び第四号に掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は証券業の信用を失墜させるおそれのないものとして大蔵省令で定めるものを除く。

  第五十条第一項第三号及び第四号を次のように改める。

  三 有価証券の売買取引若しくはその受託又は有価証券指数等先物取引若しくは有価証券オプション取引の受託につき、顧客の個別の取引ごとの同意を得ないで、売買の別(有価証券指数等先物取引にあつては現実指数又は現実数値が約定指数又は約定数値を上回つた場合に金銭を支払う立場の当事者となるか又は当該金銭を受領する立場の当事者となるかの別とし、有価証券オプション取引にあつてはオプションを付与する立場の当事者となるか又は取得する立場の当事者となるかの別とする。次号において同じ。)、銘柄、数又は価格(有価証券指数等先物取引にあつては約定指数又は約定数値とし、有価証券オプション取引にあつては対価の額とする。次号において同じ。)について定めることができることを内容とする契約を締結する行為

  四 有価証券の売買、有価証券指数等先物取引又は有価証券オプション取引につき、信託契約に基づいて信託をする者の計算においてこれらの取引を行う信託会社又は普通銀行の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた銀行(以下この号及び次条第一項第一号において「信託会社等」という。)を顧客とする場合で、かつ、当該信託契約により当該信託会社等がこれらの取引に関する注文を当該信託をする者の指図に従つてすることとされている場合において、当該信託をする者との間で、売買の別、銘柄、数又は価格について当該信託をする者の個別の取引ごとの指示を受けないで、当該信託をする者を代理して当該信託会社等に対し指図をすることができることを内容とする契約を締結する行為

  第五十条第二項中「前項(第五号を除く。)」を「前項第一号、第二号及び第四号」に、「同項(第一号から第四号までを除く。)」を「同項第三号及び第五号」に改める。

  第五十条の次に次の一条を加える。

 第五十条の二 証券会社は、次に掲げる行為をしてはならない。

  一 有価証券の売買その他の取引(買戻価格があらかじめ定められている買戻条件付売買その他の政令で定める取引を除く。)又は有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引若しくは外国市場証券先物取引(以下この条において「有価証券の売買その他の取引等」という。)につき、当該有価証券又は有価証券指数等先物取引、オプション若しくは外国市場証券先物取引(以下この条において「有価証券等」という。)について顧客(信託会社等が、信託契約に基づいて信託をする者の計算において、有価証券の売買、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引又は外国市場証券先物取引を行う場合にあつては、当該信託をする者を含む。以下この条及び第六十五条の二第四項において同じ。)に損失が生ずることとなり、又はあらかじめ定めた額の利益が生じないこととなつた場合には自己又は第三者がその全部又は一部を補てんし、又は補足するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者をして申し込ませ、若しくは約束させる行為

  二 有価証券の売買その他の取引等につき、自己又は第三者が当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補てんし、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者をして申し込ませ、若しくは約束させる行為

  三 有価証券の売買その他の取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補てんし、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者をして提供させる行為

   証券会社の顧客は、次に掲げる行為をしてはならない。

  一 有価証券の売買その他の取引等につき、証券会社又は第三者との間で、前項第一号の約束をし、又は第三者をして当該約束をさせる行為(当該約束が自己がした、又は第三者をしてさせた要求による場合に限る。)

  二 有価証券の売買その他の取引等につき、証券会社又は第三者との間で、前項第二号の約束をし、又は第三者をして当該約束をさせる行為(当該約束が自己がした、又は第三者をしてさせた要求による場合に限る。)

  三 有価証券の売買その他の取引等につき、証券会社又は第三者から、前項第三号の提供に係る財産上の利益を受け、又は第三者をして当該財産上の利益を受けさせる行為(前二号の約束による場合であつて当該約束が自己がした、又は第三者をしてさせた要求によるとき及び当該財産上の利益の提供が自己がした、又は第三者をしてさせた要求による場合に限る。)

   第一項の規定は、同項各号の申込み、約束又は提供が事故(証券会社又はその役員若しくは使用人の違法又は不当な行為であつて当該証券会社とその顧客との間において争いの原因となるものとして大蔵省令で定めるものをいう。以下この条及び第五十七条の二第二項において同じ。)による損失の全部又は一部を補てんするために行うものである場合については、適用しない。ただし、第一項第二号の申込み又は約束及び同項第三号の提供にあつては、その補てんに係る損失が事故に起因するものであることにつき、当該証券会社があらかじめ大蔵大臣の確認を受けている場合その他大蔵省令で定める場合に限る。

   第二項の規定は、同項第一号又は第二号の約束が事故による損失の全部又は一部を補てんする旨のものである場合及び同項第三号の財産上の利益が事故による損失の全部又は一部を補てんするため提供されたものである場合については、適用しない。

   第三項ただし書の確認を受けようとする者は、大蔵省令で定めるところにより、その確認を受けようとする事実その他の大蔵省令で定める事項を記載した申請書に当該事実を証するために必要な書類として大蔵省令で定めるものを添えて大蔵大臣に提出しなければならない。

  第六十五条の二第五項中「前三項」を「第二項から前項まで」に改め、同条第三項の次に次の一項を加える。

  第五十条の二第一項、第三項及び第五項の規定は認可を受けた金融機関について、同条第二項及び第四項の規定は認可を受けた金融機関の顧客について準用する。

  第百二十七条第一項中「若しくは顧客から有価証券の売買取引について売買の別、銘柄、数及び価格の決定を一任されてその者の計算において行う」を「行う有価証券の」に、「なす」を「行う」に、「且つ」を「かつ」に改め、同条第二項後段を削る。

  第百八十五条第一項中「第六十五条の二第六項(同条第七項」を「第六十五条の二第七項(同条第八項」に改める。

  第百九十九条第一号の六を同条第一号の七とし、同条第一号の五中「行なわせた」を「行わせた」に改め、同号を同条第一号の六とし、同条第一号の四の次に次の一号を加える。

  一の五 第五十条の二第一項(第六十五条の二第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき

  第二百条第三号の二の次に次の二号を加える。

  三の三 第五十条の二第二項(第六十五条の二第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

  三の四 第五十条の二第五項(第六十五条の二第四項において準用する場合を含む。)の規定による申請書又は書類に虚偽の記載をして提出した者

  第二百条の次に次の一条を加える。

 第二百条の二 前条第三号の三の場合において、犯人又は情を知つた第三者が受けた財産上の利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

  第二百二条中「前五条」を「第百九十七条から第二百条まで及び前条」に改める。

  第二百五条第三号及び第十五号中「第六十五条の二第六項(同条第七項」を「第六十五条の二第七項(同条第八項」に改める。

  第二百八条第三号及び第三号の二中「第六十五条の二第四項」を「第六十五条の二第五項」に改める。

 (外国証券業者に関する法律の一部改正)

第二条 外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第三十九条」を「第四十条」に改める。

  第十七条第一項中「第五十一条まで」を「第五十条まで」に、「、不公正取引の禁止及び」を「及び不公正取引の禁止)、第五十条の二第一項、第三項及び第五項(損失補てんの禁止等)、第五十一条(」に、「及び第六十一条」を「並びに第六十一条」に改め、同条に次の一項を加える。

 3 証券取引法第五十条の二第二項及び第四項の規定は、外国証券会社の支店の顧客(同条第一項第一号に規定する顧客をいう。)について準用する。

  第十八条第一項中「国内において行なう」を「国内において行う」に改め、「若しくは国内にある者から有価証券の売買について売買の別、銘柄、数量及び価格の決定を一任されてその者の計算において行なう売買」を削り、同条第二項後段を削る。

  第三十四条中第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。

  六 第十七条第一項において準用する証券取引法第五十条の二第一項の規定に違反した者

  第三十五条中第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。

  六 第十七条第一項において準用する証券取引法第五十条の二第五項の規定による申請書又は書類に虚偽の記載をして提出した者

  第三十五条に次の一号を加える。

  八 第十七条第三項において準用する証券取引法第五十条の二第二項の規定に違反した者

  第三十九条を第四十条とし、第三十八条を第三十九条とし、第三十七条第一項中「前三条」を「第三十四条、第三十五条又は第三十七条」に改め、同条を第三十八条とし、第三十六条を第三十七条とし、第三十五条の次に次の一条を加える。

 第三十六条 前条第八号の場合において、犯人又は情を知つた第三者が受けた財産上の利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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