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法律第百十一号(平三・一二・二四)

  ◎裁判官の育児休業に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、育児休業に関する制度を設けて子を養育する裁判官の継続的な勤務を促進し、もって裁判官の福祉を増進するとともに、裁判事務等の円滑な運営に資することを目的とする。

 (育児休業の承認)

第二条 裁判官は、最高裁判所の承認を受けて、育児休業(裁判官が、この法律の定めるところにより、その一歳に満たない子を養育するため、その子が一歳に達するまでの期間内において、職務に従事しないことをいう。以下同じ。)をすることができる。ただし、育児休業の承認の請求に係る子について既に育児休業をしたことがある場合(最高裁判所規則で定める特別の事情がある場合を除く。)、配偶者がこの法律により育児休業をしている場合その他最高裁判所規則で定める場合は、この限りでない。

2 育児休業の承認を受けようとする裁判官は、育児休業をしようとする期間の初日及び末日を明らかにして、最高裁判所に対し、その承認を請求するものとする。

3 最高裁判所は、前項の規定による請求があったときは、当該請求に係る期間について当該請求をした裁判官の事務を処理するための措置を講ずることが著しく困難である場合を除き、これを承認しなければならない。

 (育児休業の期間の延長)

第三条 育児休業をしている裁判官は、最高裁判所に対し、当該育児休業の期間の延長を請求することができる。

2 育児休業の期間の延長は、最高裁判所規則で定める特別の事情がある場合を除き、一回に限るものとする。

3 前条第二項及び第三項の規定は、育児休業の期間の延長について準用する。

 (育児休業の効果)

第四条 育児休業をしている裁判官は、裁判官としての身分を保有するが、その育児休業の期間中報酬その他の給与を受けない。

 (育児休業の承認の失効等)

第五条 育児休業の承認は、次に掲げる場合には、その効力を失う。

 一 当該育児休業をしている裁判官が産前の休業を始め、又は出産した場合

 二 当該育児休業をしている裁判官が裁判官弾劾法(昭和二十二年法律第百三十七号)第三十九条の規定により職務を停止された場合

 三 当該育児休業に係る子が死亡し、又は当該育児休業をしている裁判官の子でなくなった場合

2 最高裁判所は、次に掲げる場合には、育児休業の承認を取り消すものとする。

 一 当該育児休業をしている裁判官から育児休業の承認の取消しの申出があった場合

 二 当該育児休業をしている裁判官が当該育児休業を係る子を養育しなくなった場合

 三 その他最高裁判所規則で定める場合

 (不利益取扱い禁止)

第六条 裁判官は、育児休業を理由として、不利益な取扱いを受けない。

 (退職手当に関する育児休業の期間の取扱い)

第七条 国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第七条第四項(最高裁判所裁判官退職手当特例法(昭和四十一年法律第五十二号)第三条第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用については、育児休業をした期間は、国家公務員退職手当法第七条第四項に規定する現実に職務を執ることを要しない期間に該当するものとする。

 (最高裁判所規則)

第八条 この法律の実施に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

   附 則

 この法律は、平成四年四月一日から施行する。

(法務・内閣総理大臣署名) 

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