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法律第七十七号(平七・四・二一)

  ◎受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法

 (目的)

第一条 この法律は、放送の分野におけるデジタル信号の伝送技術の確立その他の急速な技術革新にかんがみ、視聴者が個々の関心に応じて多様な方法で視聴することを可能とする放送番組の制作を促進する措置を講ずることにより、当該放送番組の普及を通じて国民が情報を選択する機会を拡大し、もって高度情報通信社会の構築に寄与することを目的とする。

 (用語の意義)

第二条 この法律において「放送」とは、公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信又は有線電気通信の送信をいう。

2 この法律において「受信設備制御型放送番組」とは、デジタル信号により送信され、送信と同時に視聴される放送の放送番組(当該放送番組に係る影像及び音声その他の音響が専ら放送されることを目的として制作されるものに限る。)であって、当該デジタル信号が受信設備にいったん蓄積された後に、視聴者の選択に応じ、当該受信設備による復元、変換その他の制御を経て影像又は音声その他の音響として視聴されることができるものをいう。

3 この法律において「受信設備制御型放送番組制作施設整備事業」とは、受信設備制御型放送番組の制作に必要な設備を備える相当の規模の施設を整備して、受信設備制御型放送番組の制作の用に供する事業をいう。

 (基本指針)

第三条 郵政大臣は、受信設備制御型放送番組の制作を促進するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。

2 基本指針には、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する基本的な方向

 二 特に制作を促進すべき受信設備制御型放送番組の視聴の方法に係る機能に関する事項

 三 受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の実施に関する事項

  イ 受信設備制御型放送番組制作施設整備事業を実施する者の要件に関する事項

  ロ 受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の内容(整備に係る施設を含む。)に関する事項

  ハ 受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の実施方法に関する事項

 四 その他受信設備制御型放送番組の制作の促進に関し配慮すべき重要事項

3 郵政大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

4 郵政大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 (実施計画の認定)

第四条 受信設備制御型放送番組制作施設整備事業を実施しようとする者(当該事業を実施する法人を設立しようとする者を含む。)は、当該事業の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を作成し、これを郵政大臣に提出して、その実施計画が適当である旨の認定を受けることができる。

2 実施計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 受信設備制御型放送番組制作施設整備事業を実施する者に関する事項

 二 受信設備制御型放送番組制作施設整備事業(整備しようとする施設を含む。)の内容

 三 受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の実施方法

 四 受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の実施時期

 五 受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の実施に必要な資金の額及びその調達方法

3 郵政大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、その実施計画が基本指針に照らし適切なものであり、かつ、当該実施計画が確実に実施される見込みがあると認めるときは、同項の認定をするものとする。

4 郵政大臣は、第一項の認定をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

 (実施計画の変更等)

第五条 前条第一項の認定を受けた者(その者の設立に係る同項の法人を含む。)は、当該認定に係る実施計画を変更しようとするときは、郵政大臣の認定を受けなければならない。

2 前条第三項及び第四項の規定は、前項の認定に準用する。

3 郵政大臣は、前条第一項の認定を受けた実施計画(第一項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定計画」という。)に係る受信設備制御型放送番組制作施設整備事業を実施する者(以下「認定事業者」という。)が当該認定計画に従って受信設備制御型放送番組制作施設整備事業を実施していないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。

 (通信・放送機構の業務の特例)

第六条 通信・放送機構(以下「機構」という。)は、通信・放送機構法(昭和五十四年法律第四十六号。以下「機構法」という。)第二十八条第一項に規定する業務のほか、この法律の目的を達成するため、次の業務を行う。

 一 受信設備制御型放送番組の制作を行う者がその制作に必要な資金を調達するために発行する社債及び当該資金の借入れに係る債務の保証を行うこと。

 二 認定計画に係る受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の実施に必要な資金の出資を行うこと。

 三 受信設備制御型放送番組に関し、情報の収集、調査及び研究を行い、その成果を提供し、並びに照会及び相談に応ずること。

 四 前三号の業務に附帯する業務を行うこと。

 (業務の委託等)

第七条 機構は、郵政大臣及び大蔵大臣の認可を受けて、前条第一号及び第二号に掲げる業務(債務の保証の決定及び出資の決定を除く。)の一部を金融機関に委託することができる。

2 金融機関は、他の法律の規定にかかわらず、前項の規定による委託を受け、当該業務を行うことができる。

3 第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関の役員又は職員で、当該委託業務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

4 機構法第四十条の規定は、第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関について準用する。この場合において、同条第一項中「郵政大臣(研究開発出資業務については、郵政大臣又は大蔵大臣)」とあるのは「郵政大臣又は大蔵大臣」と、「その業務」とあるのは「その委託を受けた業務」と、「事務所その他の事業所」とあるのは「事務所」と、「業務の状況」とあるのは「その委託を受けた業務に関し業務の状況」と読み替えるものとする。

 (機構法の適用)

第八条 第六条の規定により機構の業務が行われる場合には、機構法第十七条第二項中「研究開発出資業務」とあるのは「研究開発出資業務又は受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法(以下「受信設備制御型放送番組促進法」という。)第六条第一号及び第二号に掲げる業務(これらに附滞する業務を含む。以下「受信設備制御型放送番組促進金融関連業務」という。)」と、機構法第十九条第四項、第二十九条、第三十九条及び第四十条第一項中「研究開発出資業務」とあるのは「研究開発出資業務又は受信設備制御型放送番組促進金融関連業務」と、機構法第三十九条、第四十条第一項及び第四十五条第一号中「この法律」とあるのは「この法律又は受信設備制御型放送番組促進法」と、機構法第四十三条第一項中「次の場合」とあるのは「次の場合(受信設備制御型放送番組促進金融関連業務に係る第二十九条第一項の規定による認可をしようとするときを除く。)」と、同条第二項中「次の場合」とあるのは「次の場合(受信設備制御型放送番組促進法第六条に規定する業務に係る第二十九条第一項の規定による認可をしようとするときを除く。)」と、機構法第四十五条第三号中「第二十八条第一項」とあるのは「第二十八条第一項及び受信設備制御型放送番組促進法第六条」とする。

2 第六条の規定により機構の業務が行われる場合における当該業務に係る財務及び会計に関する事項については、機構法及び前項に規定するもののほか、特定通信・放送開発事業実施円滑化法(平成二年法律第三十五号)附則第四条に定めるところによるものとする。

 (資金の確保等)

第九条 政府は、受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の実施その他受信設備制御型放送番組の制作の促進に必要な資金の確保又はその融通のあっせんに努めるものとする。

2 郵政大臣(第六条第一号及び第二号に掲げる業務については、郵政大臣及び大蔵大臣)は、同条に規定する機構の業務の円滑な運営が図られるように、情報の提供その他の必要な配慮をするものとする。

 (報告の徴収)

第十条 郵政大臣は、認定事業者に対し、認定計画に係る受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の実施状況について報告を求めることができる。

 (罰則)

第十一条 第七条第四項において準用する機構法第四十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした金融機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。

第十二条 第十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (この法律の廃止)

第二条 この法律は、この法律の施行の日から十年以内に廃止するものとする。

 (信用基金の持分の払戻しの禁止の特例)

第三条 日本開発銀行以外の出資者は、機構に対し、この法律の施行の日から起算して一月を経過した日までの間に限り、特定通信・放送開発事業実施円滑化法第九条第一項に規定する信用基金に係るその持分の払戻しを請求することができる。

2 機構は、前項の規定による請求があったときは、機構法第六条第一項の規定にかかわらず、当該持分に係る出資額に相当する金額により払戻しをしなければならない。この場合において、機構は、その払戻しをした金額により資本金を減少するものとする。

 (罰則に関する経過措置)

第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部改正)

第五条 特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を次のように改正する。

  附則第四条中「電気通信基盤充実臨時措置法」を「機構が電気通信基盤充実臨時措置法」に改め、「の規定により機構の同条」を削り、「が行われる」を「及び受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法(平成七年法律第七十七号)第六条各号に掲げる業務を行う」に改め、同条の表下欄中「若しくは電気通信基盤充実臨時措置法(以下「電気通信基盤法」という。)」を「、電気通信基盤充実臨時措置法(以下「電気通信基盤法」という。)第六条第二号に掲げる業務若しくは受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法(以下「受信設備制御型放送番組促進法」という。)」に、「両出資業務」を「出資三業務」に、「及び電気通信基盤法第六条第一号」を「、電気通信基盤法第六条第一号に掲げる業務及び受信設備制御型放送番組促進法第六条第一号」に、「並びに電気通信基盤法第六条第一号に掲げる業務」を「、電気通信基盤法第六条第一号に掲げる業務並びに受信設備制御型放送番組促進法第六条第一号及び第三号に掲げる業務」に、「及び電気通信基盤法第六条(同条第一号」を「、電気通信基盤法第六条(同条第一号」に、「の規定により」を「及び受信設備制御型放送番組促進法第六条の規定により」に、「両金融関連業務」を「金融関連三業務」に、「並びに電気通信基盤充実臨時措置法(以下「電気通信基盤法」という。)」を「、電気通信基盤充実臨時措置法(以下「電気通信基盤法」という。)第六条第一号及び第二号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)並びに受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法(以下「受信設備制御型放送番組促進法」という。)」に、「及び電気通信基盤法第六条第二号」を「、電気通信基盤法第六条第二号に掲げる業務及び受信設備制御型放送番組促進法第六条第二号」に、「通信・放送開発法及び電気通信基盤法」を「通信・放送開発法、電気通信基盤法及び受信設備制御型放送番組促進法」に、「両債務保証等業務」を「債務保証等三業務」に、「並びに電気通信基盤法第六条第一号及び第二号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)」を「、電気通信基盤法第六条第一号及び第二号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)並びに受信設備制御型放送番組促進法第六条に規定する業務」に、「を除く。」を「並びに受信設備制御型放送番組促進法第六条に規定する業務を除く。」に改める。

 (郵政省設置法の改正)

第六条 郵政省設置法(昭和二十三年法律第二百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第四条中第七十四号を第七十五号とし、第七十号から第七十三号までを一号ずつ繰り下げ、第六十九号の次に次の一号を加える。

  七十 受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法(平成七年法律第七十七号)の施行に関すること。

  第五条中第二十二号の二十五を第二十二号の二十六とし、第二十二号の二十二から第二十二号の二十四までを一号ずつ繰り下げ、第二十二号の二十一の次に次の一号を加える。

  二十二の二十二 受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法の定めるところに従い、基本指針を定め、及び実施計画の認定をすること。

  第六条第五項中「第七十三号」を「第七十四号」に改め、同条第六項中「第七十号」を「第七十一号」に、「第七十二号及び第七十三号」を「第七十三号及び第七十四号」に改め、同条第八項中「第七十四号」を「第七十五号」に改める。

(大蔵・郵政・内閣総理大臣署名) 

 

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