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法律第四十四号(平一五・五・一六)

  ◎日本環境安全事業株式会社法

目次

 第一章 総則(第一条―第三条)

 第二章 経営の健全性及び安定性の確保(第四条―第十二条)

 第三章 雑則(第十三条―第十五条)

 第四章 罰則(第十六条―第二十一条)

 附則

   第一章 総則

 (会社の目的及び事業)

第一条 日本環境安全事業株式会社(以下「会社」という。)は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係る事業及び環境の保全に関する情報又は技術的知識を提供する事業並びにこれらに附帯する事業を経営することを目的とする株式会社とする。

2 会社は、前項の事業を営むほか、同項の事業の遂行に支障のない範囲内において、環境大臣の認可を受けて、同項の事業以外の事業を営むことができる。

 (商号の使用制限)

第二条 会社でない者は、その商号中に日本環境安全事業株式会社という文字を使用してはならない。

 (一般担保)

第三条 会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

   第二章 経営の健全性及び安定性の確保

 (株式)

第四条 政府は、会社がポリ塩化ビフェニル廃棄物(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号)第二条第一項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物をいう。以下同じ。)の処理に係る事業(以下「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業」という。)を経営する間、会社の総株主の議決権の過半数を保有していなければならない。

2 会社は、新株、新株予約権又は新株予約権付社債を発行しようとするときは、環境大臣の認可を受けなければならない。ただし、新株予約権が行使されたことにより新株を発行しようとするときは、この限りでない。

3 会社は、前項ただし書の場合においては、当該新株を発行した後、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。

 (長期借入金)

第五条 会社は、弁済期限が一年を超える資金を借り入れようとするときは、環境大臣の認可を受けなければならない。

 (代表取締役等の選定等の決議)

第六条 会社の代表取締役又は代表執行役の選定及び解職並びに監査役の選任及び解任又は株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号)第二十一条の八第七項に規定する監査委員の選定及び解職の決議は、環境大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (事業基本計画)

第七条 会社は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業について、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法第六条第一項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画に従い、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理施設の設置の場所、当該処理施設における処理量の見込み及び処理の方法その他環境省令で定める事業の基本となる事項に関する計画(以下「事業基本計画」という。)を定め、環境大臣の認可を受けなければならない。事業基本計画の変更(環境省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときも、同様とする。

 (事業計画)

第八条 会社は、毎営業年度の開始前に、その営業年度の事業計画を定め、環境大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (重要な財産の譲渡等)

第九条 会社は、環境省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、環境大臣の認可を受けなければならない。

 (定款の変更等)

第十条 会社の定款の変更、利益の処分、合併、分割及び解散の決議は、環境大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (財務諸表)

第十一条 会社は、毎営業年度終了後三月以内に、その営業年度の貸借対照表、損益計算書及び営業報告書を環境大臣に提出しなければならない。

 (債務保証)

第十二条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業に要する費用に充てるための会社の長期借入金に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。

   第三章 雑則

 (監督)

第十三条 会社は、環境大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。

2 環境大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

 (報告及び検査)

第十四条 環境大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (財務大臣との協議)

第十五条 環境大臣は、第一条第二項、第四条第二項、第五条、第七条から第九条まで又は第十条(会社の定款の変更の決議に係るものについては、会社が発行する株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

   第四章 罰則

第十六条 会社の取締役、執行役、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。

2 前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

第十七条 前条第一項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第十八条 第十六条第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の例に従う。

第十九条 第十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。

第二十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役又は監査役は、百万円以下の過料に処する。

 一 第一条第二項の規定に違反して、事業を営んだとき。

 二 第四条第二項の規定に違反して、新株、新株予約権又は新株予約権付社債を発行したとき。

 三 第四条第三項の規定に違反して、新株を発行した旨の届出を行わなかったとき。

 四 第五条の規定に違反して、資金を借り入れたとき。

 五 第七条の規定に違反して、事業基本計画の認可を受けなかったとき。

 六 第八条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。

 七 第九条の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。

 八 第十一条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書若しくは営業報告書を提出せず、又は不実の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。

 九 第十三条第二項の規定による命令に違反したとき。

第二十一条 第二条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (会社の事業)

第二条 会社は、当分の間、独立行政法人環境再生保全機構法(平成十五年法律第四十三号。以下「機構法」という。)附則第二十条の規定による廃止前の環境事業団法(昭和四十年法律第九十五号。以下「旧事業団法」という。)第十八条第一項第九号の業務に係る機材で機構法附則第四条第一項の規定により会社が承継したものの貸付けの事業を経営することができる。

2 前項に規定する事業については、会社の成立の日に、第一条第二項の環境大臣の認可を受けたものとみなす。

3 政府は、会社の成立後五年を目途に、第一項の事業を終了させるため、必要な措置を講ずるものとする。

 (会社の在り方の検討)

第三条 政府は、特殊法人等改革基本法(平成十三年法律第五十八号)第五条第一項に規定する特殊法人等整理合理化計画(環境事業団に係る部分に限る。)に基づき、平成二十八年三月三十一日までの間に、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理の状況等を勘案しつつ、会社の在り方について、この法律の廃止及び会社の民営化を含めた見直しを行うものとする。

 (設立委員)

第四条 環境大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。

 (定款)

第五条 設立委員は、定款を作成して、環境大臣の認可を受けなければならない。

2 環境大臣は、前項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

 (会社の設立に際して発行する株式)

第六条 会社の設立に際して発行する株式に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)第百六十八条ノ二各号に掲げる事項は、定款で定めなければならない。

2 会社の設立に際して発行する株式については、商法第二百八十四条ノ二第二項の規定にかかわらず、その発行価額の二分の一を超える額を資本に組み入れないことができる。この場合において、同条第一項中「本法」とあるのは、「本法又ハ日本環境安全事業株式会社法」とする。

 (株式の引受け)

第七条 会社の設立に際して発行する株式の総数は、環境事業団(以下「事業団」という。)が引き受けるものとし、設立委員は、これを事業団に割り当てるものとする。

2 前項の規定により割り当てられた株式による会社の設立に関する株式引受人としての権利は、政府が行使する。

 (出資)

第八条 事業団は、会社の設立に際し、会社に対し、機構法附則第四条第五項の認可を受けた同条第一項の承継計画書において定めるところにより、その財産を出資するものとする。

 (創立総会)

第九条 会社の設立に係る商法第百八十条第一項の規定の適用については、同項中「第百七十七条ノ規定ニ依ル払込及現物出資ノ給付」とあるのは、「日本環境安全事業株式会社法附則第七条第一項ノ規定ニ依ル株式ノ割当」とする。

 (会社の成立)

第十条 附則第八条の規定により事業団が行う出資に係る給付は、機構法附則第二十条の規定の施行の時に行われるものとし、会社は、商法第五十七条の規定にかかわらず、その時に成立する。

 (設立の登記)

第十一条 会社は、商法第百八十八条第一項の規定にかかわらず、会社の成立後遅滞なく、その設立の登記をしなければならない。

 (政府への無償譲渡)

第十二条 事業団が出資によって取得する会社の株式は、会社の成立の時に、政府に無償譲渡されるものとする。

 (商法の適用除外)

第十三条 商法第百六十七条、第百六十八条第二項、第百六十九条、第百八十一条及び第百八十四条の規定は、会社の設立については、適用しない。

 (権利及び義務の承継に伴う経過措置)

第十四条 機構法附則第四条第一項の規定により会社に承継される事業団の長期借入金に係る債務について旧事業団法第二十八条の規定により政府がした保証契約は、その承継後においても、当該長期借入金に係る債務について従前の条件により存続するものとする。

 (商号についての経過措置)

第十五条 第二条の規定は、この法律の施行の際現にその商号中に日本環境安全事業株式会社という文字を使用している者については、この法律の施行後六月間は、適用しない。

 (事業計画についての経過措置)

第十六条 会社の成立の日の属する営業年度の事業計画については、第八条中「毎営業年度の開始前に」とあるのは、「会社の成立後遅滞なく」とする。

 (政令への委任)

第十七条 附則第四条から前条までに規定するもののほか、会社の設立に関し必要な事項は、政令で定める。

(財務臨時代理・環境・内閣総理大臣署名) 

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