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法律第七十号(平一六・六・二)

  ◎消費者保護基本法の一部を改正する法律

 消費者保護基本法(昭和四十三年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。

 題名を次のように改める。

   消費者基本法

 目次中「第六条」を「第十条」に、「消費者の保護に関する施策等(第七条―第十五条)」を「基本的施策(第十一条―第二十三条)」に、「(第十六条・第十七条)」を「(第二十四条―第二十六条)」に、「消費者保護会議等(第十八条―第二十条)」を「消費者政策会議等(第二十七条―第二十九条)」に改める。

 第一条中「この法律は」の下に「、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ」を、「関し」の下に「、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定め」を加え、「果たすべき責務並びに消費者の果たすべき役割を明らかにするとともに」を「責務等を明らかにするとともに、」に、「対策の総合的推進」を「総合的な施策の推進」に改める。

 第二十条中「消費者の保護」を「消費者政策の推進」に改め、同条を第二十九条とする。

 第十九条を第二十八条とする。

 第十八条の前の見出しを「(消費者政策会議)」に改め、同条第一項中「消費者保護会議」を「消費者政策会議」に改め、同条第二項中「消費者の保護に関する基本的な施策の企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進する」を「次に掲げる」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 消費者基本計画の案を作成すること。

 二 前号に掲げるもののほか、消費者政策の推進に関する基本的事項の企画に関して審議するとともに、消費者政策の実施を推進し、並びにその実施の状況を検証し、評価し、及び監視すること。

 第十八条に次の一項を加える。

3 会議は、消費者基本計画の案を作成しようとするときは、国民生活審議会の意見を聴かなければならない。

 第十八条を第二十七条とする。

 「第四章 消費者保護会議等」を「第四章 消費者政策会議等」に改める。

 第十七条の見出しを「(消費者団体の自主的な活動の促進)」に改め、同条中「消費者がその」を「国民の」に、「の健全かつ自主的な組織活動」を「、消費者団体の健全かつ自主的な活動」に改め、第三章中同条を第二十六条とする。

 第十六条中「消費者の保護に関する施策を講ずる」を「消費者政策の推進」に改め、同条を第二十四条とし、同条の次に次の一条を加える。

 (国民生活センターの役割)

第二十五条 独立行政法人国民生活センターは、国及び地方公共団体の関係機関、消費者団体等と連携し、国民の消費生活に関する情報の収集及び提供、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理のあつせん及び当該苦情に係る相談、消費者からの苦情等に関する商品についての試験、検査等及び役務についての調査研究等、消費者に対する啓発及び教育等における中核的な機関として積極的な役割を果たすものとする。

 第十五条を削る。

 第十四条中「消費者の保護に関する施策」を「消費者政策」に、「行なう施設を整備する」を「行う施設を整備し、役務についての調査研究等を行う」に改め、「応じて試験、検査」の下に「、調査研究」を加え、第二章中同条を第二十三条とする。

 第十三条の見出し中「反映」の下に「及び透明性の確保」を加え、同条中「消費者の保護に関する適正な施策の策定及び実施」を「適正な消費者政策の推進」に、「消費者の意見を国の施策に反映させる」を「消費生活に関する消費者等の意見を施策に反映し、当該施策の策定の過程の透明性を確保する」に改め、同条を第十八条とし、同条の次に次の四条を加える。

 (苦情処理及び紛争解決の促進)

第十九条 地方公共団体は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情の処理のあつせん等に努めなければならない。この場合において、都道府県は、市町村(特別区を含む。)との連携を図りつつ、主として高度の専門性又は広域の見地への配慮を必要とする苦情の処理のあつせん等を行うものとするとともに、多様な苦情に柔軟かつ弾力的に対応するよう努めなければならない。

2 国及び都道府県は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、人材の確保及び資質の向上その他の必要な施策(都道府県にあつては、前項に規定するものを除く。)を講ずるよう努めなければならない。

3 国及び都道府県は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた紛争が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に解決されるようにするために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

 (高度情報通信社会の進展への的確な対応)

第二十条 国は、消費者の年齢その他の特性に配慮しつつ、消費者と事業者との間の適正な取引の確保、消費者に対する啓発活動及び教育の推進、苦情処理及び紛争解決の促進等に当たつて高度情報通信社会の進展に的確に対応するために必要な施策を講ずるものとする。

 (国際的な連携の確保)

第二十一条 国は、消費生活における国際化の進展に的確に対応するため、国民の消費生活における安全及び消費者と事業者との間の適正な取引の確保、苦情処理及び紛争解決の促進等に当たつて国際的な連携を確保する等必要な施策を講ずるものとする。

 (環境の保全への配慮)

第二十二条 国は、商品又は役務の品質等に関する広告その他の表示の適正化等、消費者に対する啓発活動及び教育の推進等に当たつて環境の保全に配慮するために必要な施策を講ずるものとする。

 第十二条中「消費者が自主性をもつて健全な消費生活を営むことができるようにするため、商品及び役務」を「消費者の自立を支援するため、消費生活」に改め、「、生活設計に関する知識の普及」を削り、「ともに、」の下に「消費者が生涯にわたつて消費生活について学習する機会があまねく求められている状況にかんがみ、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて」を加え、同条に次の一項を加える。

2 地方公共団体は、前項の国の施策に準じて、当該地域の社会的、経済的状況に応じた施策を講ずるよう努めなければならない。

 第十二条を第十七条とする。

 第十一条の見出し中「確保」を「促進」に改め、同条中「、商品及び役務の価格等について公正かつ自由な競争を不当に制限する行為を規制するために必要な施策を講ずるとともに」を削り、「あたり」を「当たり」に改め、同条を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

  国は、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の拡大を図るため、公正かつ自由な競争を促進するために必要な施策を講ずるものとする。

 第十一条を第十六条とする。

 第十条の見出し中「表示」を「広告その他の表示」に改め、同条中「品質その他の内容に関する表示制度」を「品質等に関する広告その他の表示に関する制度」に、「表示を」を「広告その他の表示を」に改め、同条を第十五条とする。

 第九条を第十四条とし、第八条を第十三条とする。

 第七条の見出しを「(安全の確保)」に改め、同条中「おいて商品及び役務が国民の生命、身体及び財産に対して及ぼす危害を防止する」を「おける安全を確保する」に、「、必要な危害防止の基準を整備し、その確保を図る」を「の必要な基準の整備及び確保、安全を害するおそれがある商品の事業者による回収の促進、安全を害するおそれがある商品及び役務に関する情報の収集及び提供」に改め、同条を第十一条とし、同条の次に次の一条を加える。

 (消費者契約の適正化等)

第十二条 国は、消費者と事業者との間の適正な取引を確保するため、消費者との間の契約の締結に際しての事業者による情報提供及び勧誘の適正化、公正な契約条項の確保等必要な施策を講ずるものとする。

 「第二章 消費者の保護に関する施策等」を「第二章 基本的施策」に改める。

 第一章中第六条を第十条とする。

 第五条を削る。

 第四条の見出しを「(事業者の責務等)」に改め、同条第一項中「事業者は」の下に「、第二条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にかんがみ」を加え、「危害の防止、適正な計量及び表示の実施等必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する消費者の保護に関する施策に協力する」を「次に掲げる」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 消費者の安全及び消費者との取引における公正を確保すること。

 二 消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること。

 三 消費者との取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮すること。

 四 消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等に努め、当該苦情を適切に処理すること。

 五 国又は地方公共団体が実施する消費者政策に協力すること。

 第四条第二項中「、常に」を削り、「ついて、品質その他の内容の向上及び消費者からの苦情の適切な処理に」を「関し環境の保全に配慮するとともに、当該商品及び役務について品質等を向上させ、その事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう」に改め、同条を第五条とし、同条の次に次の四条を加える。

第六条 事業者団体は、事業者の自主的な取組を尊重しつつ、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理の体制の整備、事業者自らがその事業活動に関し遵守すべき基準の作成の支援その他の消費者の信頼を確保するための自主的な活動に努めるものとする。

第七条 消費者は、自ら進んで、その消費生活に関して、必要な知識を修得し、及び必要な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならない。

2 消費者は、消費生活に関し、環境の保全及び知的財産権等の適正な保護に配慮するよう努めなければならない。

第八条 消費者団体は、消費生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明、消費者に対する啓発及び教育、消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の消費者の消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動に努めるものとする。

 (消費者基本計画)

第九条 政府は、消費者政策の計画的な推進を図るため、消費者政策の推進に関する基本的な計画(以下「消費者基本計画」という。)を定めなければならない。

2 消費者基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 長期的に講ずべき消費者政策の大綱

 二 前号に掲げるもののほか、消費者政策の計画的な推進を図るために必要な事項

3 内閣総理大臣は、消費者基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。

4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、消費者基本計画を公表しなければならない。

5 前二項の規定は、消費者基本計画の変更について準用する。

 第三条中「地方公共団体は」の下に「、第二条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのつとり」を加え、「消費者の保護に関する施策を策定し、及びこれを実施する」を「消費者政策を推進する」に改め、同条を第四条とする。

 第二条中「消費者の保護に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する」を「前条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのつとり、消費者政策を推進する」に改め、同条を第三条とする。

 第一条の次に次の一条を加える。

 (基本理念)

第二条 消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策(以下「消費者政策」という。)の推進は、国民の消費生活における基本的な需要が満たされ、その健全な生活環境が確保される中で、消費者の安全が確保され、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、消費者に対し必要な情報及び教育の機会が提供され、消費者の意見が消費者政策に反映され、並びに消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されることが消費者の権利であることを尊重するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として行われなければならない。

2 消費者の自立の支援に当たつては、消費者の安全の確保等に関して事業者による適正な事業活動の確保が図られるとともに、消費者の年齢その他の特性に配慮されなければならない。

3 消費者政策の推進は、高度情報通信社会の進展に的確に対応することに配慮して行われなければならない。

4 消費者政策の推進は、消費生活における国際化の進展にかんがみ、国際的な連携を確保しつつ行われなければならない。

5 消費者政策の推進は、環境の保全に配慮して行われなければならない。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (検討)

2 消費者政策の在り方については、この法律の施行後五年を目途として検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

 (内閣府設置法の一部改正)

3 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第三十八条第一項第三号中「国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)」の下に「、消費者基本法(昭和四十三年法律第七十八号)」を加える。

  第四十条第三項の表消費者保護会議の項を次のように改める。

消費者政策会議

消費者基本法

(内閣総理大臣署名) 

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