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法律第五十六号(平一七・六・一五)

  ◎商標法の一部を改正する法律

 商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。

 第七条の次に次の一条を加える。

 (地域団体商標)

第七条の二 事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き、当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)又はこれに相当する外国の法人(以下「組合等」という。)は、その構成員に使用をさせる商標であつて、次の各号のいずれかに該当するものについて、その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、第三条の規定(同条第一項第一号又は第二号に係る場合を除く。)にかかわらず、地域団体商標の商標登録を受けることができる。

 一 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標

 二 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標

 三 地域の名称及び自己若しくはその構成員の業務に係る商品若しくは役務の普通名称又はこれらを表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字並びに商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字であつて、普通に用いられる方法で表示するもののみからなる商標

2 前項において「地域の名称」とは、自己若しくはその構成員が商標登録出願前から当該出願に係る商標の使用をしている商品の産地若しくは役務の提供の場所その他これらに準ずる程度に当該商品若しくは当該役務と密接な関連性を有すると認められる地域の名称又はその略称をいう。

3 第一項の場合における第三条第一項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)の規定の適用については、同項中「自己の」とあるのは、「自己又はその構成員の」とする。

4 第一項の規定により地域団体商標の商標登録を受けようとする者は、第五条第一項の商標登録出願において、商標登録出願人が組合等であることを証明する書面及びその商標登録出願に係る商標が第二項に規定する地域の名称を含むものであることを証明するため必要な書類を特許庁長官に提出しなければならない。

 第十一条第一項中「(団体商標の商標登録出願」の下に「及び地域団体商標の商標登録出願」を、「以下同じ。)」の下に「又は地域団体商標の商標登録出願」を加え、同条第五項中「又は第二項」を「から第三項まで」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項中「又は第二項」を「から第三項まで」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「団体商標の商標登録出願」の下に「又は地域団体商標の商標登録出願」を加え、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 商標登録出願人は、地域団体商標の商標登録出願を通常の商標登録出願又は団体商標の商標登録出願に変更することができる。

 第十二条第三項中「前条第四項」を「前条第五項」に改める。

 第十五条中「一に」を「いずれかに」に改め、同条第一号中「第四条第一項」の下に「、第七条の二第一項」を加える。

 第二十四条の二に次の一項を加える。

4 地域団体商標に係る商標権は、譲渡することができない。

 第三十条第一項ただし書中「商標権」の下に「及び地域団体商標に係る商標権」を加える。

 第三十一条の二の見出し中「団体構成員」を「団体構成員等」に改め、同条第一項中「という。)」の下に「又は地域団体商標に係る商標権を有する組合等の構成員(以下「地域団体構成員」という。)」を、「当該法人」の下に「又は当該組合等」を、「について団体商標」の下に「又は地域団体商標」を、「その商標権」の下に「(団体商標に係る商標権に限る。)」を加え、同条第三項中「団体構成員」の下に「又は地域団体構成員」を加え、同条第四項中「団体商標」の下に「又は地域団体商標」を加え、「商標権」を「その商標権」に改め、「団体構成員」の下に「若しくは地域団体構成員」を加える。

 第三十二条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(先使用による商標の使用をする権利)」を付し、同条の次に次の一条を加える。

第三十二条の二 他人の地域団体商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。

2 当該商標権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し、その者の業務に係る商品又は役務と自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。

 第三十三条第三項中「前条第二項」を「第三十二条第二項」に改める。

 第四十三条の二中「一に」を「いずれかに」に改め、同条第一号中「第四条第一項」の下に「、第七条の二第一項」を加える。

 第四十六条第一項中「一に」を「いずれかに」に改め、同項第一号中「第四条第一項」の下に「、第七条の二第一項」を加え、同項に次の一号を加える。

 六 地域団体商標の商標登録がされた後において、その商標権者が組合等に該当しなくなつたとき、又はその登録商標が商標権者若しくはその構成員の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているもの若しくは第七条の二第一項各号に該当するものでなくなつているとき。

 第四十六条の二中「又は第五号」を「から第六号まで」に改める。

 第四十七条に次の一項を加える。

2 商標登録が第七条の二第一項の規定に違反してされた場合(商標が使用をされた結果商標登録出願人又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものでなかつた場合に限る。)であつて、商標権の設定の登録の日から五年を経過し、かつ、その登録商標が商標権者又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その商標登録についての第四十六条第一項の審判は、請求することができない。

 第六十四条に次の一項を加える。

3 地域団体商標に係る商標権に係る防護標章登録についての前二項の規定の適用については、これらの規定中「自己の」とあるのは、「自己又はその構成員の」とする。

 第六十五条第三項中「第十一条第四項」を「第十一条第五項」に改める。

 第六十八条第二項中「第七条第一項若しくは第三項」を「第七条の二第一項」に改め、同条第四項中「第四十六条の二まで」を「第四十五条まで、第四十六条(第一項第六号を除く。)、第四十六条の二」に改め、「、第四条第一項」の下に「、第七条の二第一項」を加える。

 第六十八条の三十四第一項及び第六十八条の三十八中「一に」を「いずれかに」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十八年四月一日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に特許庁に係属している商標登録出願に係る商標登録出願人は、この法律による改正後の商標法第十一条第一項又は第三項の規定にかかわらず、その商標登録出願を地域団体商標に係る商標登録出願に変更することができない。

2 この法律の施行の際現に特許庁に係属している防護標章登録出願に係る防護標章登録出願人は、商標法第十二条第一項の規定にかかわらず、その防護標章登録出願を地域団体商標に係る商標登録出願に変更することができない。

3 地域団体商標の商標登録を受けようとする者が、商標法第九条第一項の規定の適用を受けようとする場合において、同項に規定する出品又は出展の日(以下この項において「出品等の日」という。)が、平成十八年四月一日前であるときは、出品等の日は平成十八年四月一日とみなす。

4 地域団体商標の商標登録を受けようとする者が、商標法第十三条第一項又は同項において準用する特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第四十三条の二第三項において準用する同法第四十三条第一項の規定により優先権を主張しようとする場合(商標法第九条の二又は第九条の三の規定により優先権を主張することができることとされている場合を含む。)において、最初の出願若しくは千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日(以下この項において「出願日」という。)が、平成十八年四月一日前であるときは、出願日は平成十八年四月一日とみなす。

5 前項の規定は、防護標章登録出願に準用する。

 (政令への委任)

第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(経済産業・内閣総理大臣署名) 

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