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法律第七十一号(平二〇・六・一八)

  ◎少年法の一部を改正する法律

 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第三十六条」を「第三十九条」に改め、「第三章 成人の刑事事件(第三十七条−第三十九条)」を削り、「第四章」を「第三章」に、「第五章」を「第四章」に改める。

 第一条中「及び少年の福祉を害する成人」を削る。

 第五条の二第一項中「第三条第一項第一号」の下に「又は第二号」を加え、「この項及び第三十一条の二において」を削り、「当該保護事件の非行事実(犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。以下同じ。)に係る部分に限る」を「家庭裁判所が専ら当該少年の保護の必要性を判断するために収集したもの及び家庭裁判所調査官が家庭裁判所による当該少年の保護の必要性の判断に資するよう作成し又は収集したものを除く」に、「当該被害者等の損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合その他正当な理由がある場合であつて、」を「閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び」に、「相当と認めるときは」を「閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き」に、「ことができる」を「ものとする」に改め、同項後段を削る。

 第九条の二中「被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹」を「被害者等」に改める。

 第十七条第四項ただし書中「非行事実」の下に「(犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。以下同じ。)」を加える。

 第二十二条の三第四項中「前項」の下に「(第二十二条の五第四項において準用する場合を含む。)」を加え、同条の次に次の三条を加える。

 (被害者等による少年審判の傍聴)

第二十二条の四 家庭裁判所は、最高裁判所規則の定めるところにより第三条第一項第一号に掲げる少年に係る事件であつて次に掲げる罪のもの又は同項第二号に掲げる少年(十二歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年を除く。次項において同じ。)に係る事件であつて次に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるもの(いずれも被害者を傷害した場合にあつては、これにより生命に重大な危険を生じさせたときに限る。)の被害者等から、審判期日における審判の傍聴の申出がある場合において、少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは、その申出をした者に対し、これを傍聴することを許すことができる。

 一 故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪

 二 刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百十一条(業務上過失致死傷等)の罪

2 家庭裁判所は、前項の規定により第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件の被害者等に審判の傍聴を許すか否かを判断するに当たつては、同号に掲げる少年が、一般に、精神的に特に未成熟であることを十分考慮しなければならない。

3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の傍聴を許す場合において、傍聴する者の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、その者が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、審判を妨げ、又はこれに不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、傍聴する者に付き添わせることができる。

4 裁判長は、第一項の規定により審判を傍聴する者及び前項の規定によりこの者に付き添う者の座席の位置、審判を行う場所における裁判所職員の配置等を定めるに当たつては、少年の心身に及ぼす影響に配慮しなければならない。

5 第五条の二第三項の規定は、第一項の規定により審判を傍聴した者又は第三項の規定によりこの者に付き添つた者について、準用する。

 (弁護士である付添人からの意見の聴取等)

第二十二条の五 家庭裁判所は、前条第一項の規定により審判の傍聴を許すには、あらかじめ、弁護士である付添人の意見を聴かなければならない。

2 家庭裁判所は、前項の場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならない。

3 少年に弁護士である付添人がない場合であつて、最高裁判所規則の定めるところにより少年及び保護者がこれを必要としない旨の意思を明示したときは、前二項の規定は適用しない。

4 第二十二条の三第三項の規定は、第二項の規定により家庭裁判所が付すべき付添人について、準用する。

 (被害者等に対する説明)

第二十二条の六 家庭裁判所は、最高裁判所規則の定めるところにより第三条第一項第一号又は第二号に掲げる少年に係る事件の被害者等から申出がある場合において、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは、最高裁判所規則の定めるところにより、その申出をした者に対し、審判期日における審判の状況を説明するものとする。

2 前項の申出は、その申出に係る事件を終局させる決定が確定した後三年を経過したときは、することができない。

3 第五条の二第三項の規定は、第一項の規定により説明を受けた者について、準用する。

 第三十一条第一項中「第二十二条の三第三項」の下に「(第二十二条の五第四項において準用する場合を含む。)」を加える。

 第三章の章名を削る。

 第三十七条から第三十九条までを次のように改める。

第三十七条から第三十九条まで 削除

 第四章を第三章とし、第五章を第四章とする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第五条の二第一項の改正規定(「この項及び第三十一条の二において」を削る部分に限る。)及び第九条の二の改正規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

 (経過措置)

2 この法律の施行の日前にこの法律による改正前の少年法第三十七条第一項の規定により公訴の提起があった成人の刑事事件については、この法律による改正後の少年法、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定にかかわらず、なお従前の例による。沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第百二十九号)第二十六条第四項の規定により家庭裁判所が権限を有する成人の刑事事件についても、同様とする。

 (検討)

3 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、被害者等による少年審判の傍聴に関する規定その他この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (裁判所法の一部改正)

4 裁判所法の一部を次のように改正する。

  第三十一条の三第一項第四号を削る。

  第三十三条第一項第二号中「(第三十一条の三第一項第四号の訴訟を除く。)」を削る。

 (刑事訴訟法の一部改正)

5 刑事訴訟法の一部を次のように改正する。

  第二十三条第一項中「その裁判所」を「、その裁判所」に改め、「又は家庭裁判所」を削り、同条第二項中「地方裁判所又は家庭裁判所の一人」を「地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所」に改める。

  第二十四条第二項中「地方裁判所若しくは家庭裁判所の一人の裁判官又は」を「地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所若しくは」に改める。

  第三十一条第二項中「、家庭裁判所」を削り、同項ただし書中「但し」を「ただし」に改める。

  第三百十六条中「又は家庭裁判所」を削る。

  第三百七十二条中「、家庭裁判所」を削る。

(法務・内閣総理大臣署名) 

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