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法律第三十三号(平成二四・六・二二)

  ◎死因究明等の推進に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条−第五条)

 第二章 死因究明等の推進に関する基本方針(第六条)

 第三章 死因究明等推進計画(第七条)

 第四章 死因究明等推進会議(第八条−第十五条)

 第五章 医療の提供に関連して死亡した者の死因究明のための制度についての検討(第十六条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、我が国において死因究明(死体(妊娠四月以上の死胎を含む。以下同じ。)について、検案、検視、解剖その他の方法によりその死亡の原因、推定年月日時及び場所等を明らかにすることをいう。以下同じ。)及び身元確認(死体の身元を明らかにすることをいう。以下同じ。)(以下「死因究明等」という。)の実施に係る体制の充実強化が喫緊の課題となっていることに鑑み、死因究明等の推進に関する施策についてその在り方を横断的かつ包括的に検討し及びその実施を推進するため、死因究明等の推進について、基本理念、国及び地方公共団体の責務並びに施策の基本となる事項を定めるとともに、必要な体制を整備することにより、死因究明等を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

 (死因究明等の推進に関する基本理念)

第二条 死因究明の推進は、死因究明が死者の生存していた最後の時点における状況を明らかにするものであることに鑑み、死者及びその遺族等の権利利益を踏まえてこれを適切に行うことが生命の尊重と個人の尊厳の保持につながるものであるとの基本的認識の下で行われるものとする。

2 死因究明の推進は、高齢化の進展等の社会情勢の変化を踏まえつつ、人の死亡が犯罪行為に起因するものであるか否かの判別の適正の確保、公衆衛生の向上その他の死因究明に関連する制度の目的の適切な実現に資するよう、行われるものとする。

3 身元確認の推進は、身元確認が、遺族等に死亡の事実を知らせること等を通じて生命の尊重と個人の尊厳の保持につながるものであるとともに、国民生活の安定及び公共の秩序の維持に資するものであるとの基本的認識の下で行われるものとする。

 (国の責務)

第三条 国は、前条に定める死因究明等の推進に関する基本理念(次条において単に「基本理念」という。)にのっとり、死因究明等の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

 (地方公共団体の責務)

第四条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、死因究明等の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

 (連携協力)

第五条 国、地方公共団体、大学、医療機関、関係団体、医師、歯科医師その他の死因究明等に関係する者は、死因究明等の推進に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

   第二章 死因究明等の推進に関する基本方針

第六条 死因究明等の推進に関して、重点的に検討され、及び実施されるべき施策は、次に掲げるとおりとする。

 一 法医学に関する知見を活用して死因究明を行う専門的な機関の全国的な整備

 二 法医学に係る教育及び研究の拠点の整備

 三 死因究明等に係る業務に従事する警察等(警察その他その職員が司法警察職員として死体の取扱いに関する業務を行う機関をいう。次号において同じ。)の職員、医師、歯科医師等の人材の育成及び資質の向上

 四 警察等における死因究明等の実施体制の充実

 五 死体の検案及び解剖の実施体制の充実

 六 薬物及び毒物に係る検査、死亡時画像診断(磁気共鳴画像診断装置その他の画像による診断を行うための装置を用いて、死体の内部を撮影して死亡の原因を診断することをいう。)その他死因究明のための科学的な調査の活用

 七 遺伝子構造の検査、歯牙の調査その他身元確認のための科学的な調査の充実及び身元確認に係るデータベースの整備

 八 死因究明により得られた情報の活用及び遺族等に対する説明の促進

2 死因究明等の推進に関する施策は、死因究明等に係る人材の育成、施設等の整備及び制度の整備のそれぞれについて、前項の施策の総合性を確保しつつ、段階的かつ速やかに講ぜられるものとする。

   第三章 死因究明等推進計画

第七条 政府は、死因究明等の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、前条に定める死因究明等の推進に関する基本方針に即し、講ずべき必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を定めた死因究明等推進計画を定めなければならない。

2 内閣総理大臣は、死因究明等推進計画につき閣議の決定を求めなければならない。

3 政府は、死因究明等推進計画を作成したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。

   第四章 死因究明等推進会議

 (設置及び所掌事務)

第八条 内閣府に、特別の機関として、死因究明等推進会議(以下「会議」という。)を置く。

2 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 死因究明等推進計画の案を作成すること。

 二 前号に掲げるもののほか、死因究明等の推進に関する施策に関する重要事項について審議するとともに、死因究明等の推進に関する施策の実施を推進し、並びにその実施の状況を検証し、評価し、及び監視すること。

 (組織)

第九条 会議は、会長及び委員二十人以内をもって組織する。

 (会長)

第十条 会長は、内閣官房長官をもって充てる。

2 会長は、会務を総理する。

3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理する。

 (委員)

第十一条 委員は、次に掲げる者をもって充てる。

 一 内閣官房長官以外の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者

 二 死因究明等に関し優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者

2 前項第二号の委員は、非常勤とする。

 (資料提出の要求等)

第十二条 会議は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

2 会議は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

 (会議の運営の在り方)

第十三条 会議の運営については、第十一条第一項第二号の委員の有する知見が積極的に活用され、委員の間で充実した意見交換が集中的に行われることとなるよう、配慮されなければならない。

 (事務局)

第十四条 会議の事務を処理させるため、会議に事務局を置く。

2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。

3 事務局長は、関係のある他の職を占める者をもって充てられるものとする。

4 事務局長は、会長の命を受けて、局務を掌理する。

 (政令への委任)

第十五条 この章に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

   第五章 医療の提供に関連して死亡した者の死因究明のための制度についての検討

第十六条 医療の提供に関連して死亡した者の死因究明のための制度については、その特殊性に鑑み、政府において別途検討するものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (この法律の失効)

第二条 この法律は、施行の日から起算して二年を経過した日に、その効力を失う。

 (内閣府設置法の一部改正)

第三条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  附則第二条第三項の表に次のように加える。

死因究明等の推進に関する法律(平成二十四年法律第三十三号)がその効力を有する間

一 死因究明等推進計画(同法第七条第一項に規定する死因究明等推進計画をいう。)の作成に関すること。

二 死因究明等の推進に関する施策の実施の推進に関すること。

  附則第四条の二に次の一項を加える。

 2 死因究明等の推進に関する法律がその効力を有する間、同法の定めるところにより内閣府に置かれる死因究明等推進会議は、本府に置く。

(内閣総理大臣署名) 

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