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法律第八十六号(平二五・一一・二七)

   ◎自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 (定義)

第一条 この法律において「自動車」とは、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号に規定する自動車及び同項第十号に規定する原動機付自転車をいう。

2 この法律において「無免許運転」とは、法令の規定による運転の免許を受けている者又は道路交通法第百七条の二の規定により国際運転免許証若しくは外国運転免許証で運転することができるとされている者でなければ運転することができないこととされている自動車を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は当該国際運転免許証若しくは外国運転免許証を所持しないで(同法第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当する場合又は本邦に上陸(住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)に基づき住民基本台帳に記録されている者が出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六十条第一項の規定による出国の確認、同法第二十六条第一項の規定による再入国の許可(同法第二十六条の二第一項(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)第二十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定により出入国管理及び難民認定法第二十六条第一項の規定による再入国の許可を受けたものとみなされる場合を含む。)又は出入国管理及び難民認定法第六十一条の二の十二第一項の規定による難民旅行証明書の交付を受けて出国し、当該出国の日から三月に満たない期間内に再び本邦に上陸した場合における当該上陸を除く。)をした日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)、道路(道路交通法第二条第一項第一号に規定する道路をいう。)において、運転することをいう。

 (危険運転致死傷)

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

 一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

 二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

 三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

 四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。

2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

 (過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)

第四条 アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の懲役に処する。

 (過失運転致死傷)

第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

 (無免許運転による加重)

第六条 第二条(第三号を除く。)の罪を犯した者(人を負傷させた者に限る。)が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、六月以上の有期懲役に処する。

2 第三条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は六月以上の有期懲役に処する。

3 第四条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十五年以下の懲役に処する。

4 前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (刑法の一部改正)

第二条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第二百八条の三」を「第二百八条の二」に改める。

  第二百八条の二を削り、第二百八条の三を第二百八条の二とする。

  第二百十一条第二項を削る。

 (刑事訴訟法の一部改正)

第三条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第三百十六条の三十三第一項第四号中「前三号」を「第一号から第三号まで」に改め、同号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。

  四 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)第四条、第五条又は第六条第三項若しくは第四項の罪

 (少年法の一部改正)

第四条 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。

  第二十二条の四第一項に次の一号を加える。

  三 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)第四条、第五条又は第六条第三項若しくは第四項の罪

 (出入国管理及び難民認定法の一部改正)

第五条 出入国管理及び難民認定法の一部を次のように改正する。

  第五条第一項第四号中「禁錮(こ)」を「禁錮」に改め、同項第五号中「覚せい剤」を「覚醒剤」に改め、同項第九号の二中「又は特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」を「、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」に改め、「第十六条の罪」の下に「又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)第二条若しくは第六条第一項の罪」を加え、「禁錮(こ)」を「禁錮」に改める。

  第二十四条第四号の二中「又は特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」を「、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」に改め、「第十六条の罪」の下に「又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪」を加える。

  第二十四条の三第三号、第六十一条の二の二第一項第四号及び第六十一条の二の四第一項第七号中「又は特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」を「、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」に改め、「第十六条の罪」の下に「又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪」を加え、「禁錮(こ)」を「禁錮」に改める。

 (道路交通法の一部改正)

第六条 道路交通法の一部を次のように改正する。

  第九十条第二項第二号中「刑法第二百八条の二」を「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)第二条から第四条まで」に改め、同項第五号中「刑法第二百八条の二」を「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条から第四条まで」に改める。

  第九十九条の二第四項第二号ニ中「刑法第二百八条の二若しくは第二百十一条第二項」を「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条から第六条まで」に改める。

  第百三条第二項第二号及び第五号並びに第百七条の五第二項第二号中「刑法第二百八条の二」を「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条から第四条まで」に改める。

  第百八条の四第三項第三号中「刑法第二百八条の二若しくは第二百十一条第二項」を「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条から第六条まで」に、「禁錮(こ)」を「禁錮」に改める。

 (刑法の一部を改正する法律の一部改正)

第七条 刑法の一部を改正する法律(平成十九年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。

  附則第五条中「前条」を「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)附則第六条」に、「第二百十一条第二項」」を「第六条まで」」に、「第二百十一条第二項の」を「第六条までの罪、同法附則第二条の規定による改正前の刑法第二百八条の二若しくは第二百十一条第二項(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律附則第十四条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこれらの規定を含む。)の」に改める。

 (職業安定法等の一部改正)

第八条 次に掲げる法律の規定中「第二百八条の三」を「第二百八条の二」に改める。

 一 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十二条第一号

 二 船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第五十六条第一号

 三 建設業法(昭和二十四年法律第百号)第八条第八号

 四 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第九十八条第五号

 五 酒税法(昭和二十八年法律第六号)第十条第七号の二

 六 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第七十四条の三第三項第三号

 七 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第七条第五項第四号ハ

 八 建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和五十一年法律第三十三号)第十三条第四号イ及び第三十二条第一号

 九 成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五十三年法律第四十二号)第二条第一項第一号

 十 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第六条第一号

 十一 港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)第十三条第一号

 十二 不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第六条第六号ニ

 十三 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二十条第四号及び第四十七条第一号ハ

 十四 資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第七十条第一項第五号

 十五 著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)第六条第一項第五号ホ

 十六 社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第三条第一項第四号ヘ

 十七 使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成十四年法律第八十七号)第六十二条第一項第二号ハ

 十八 信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第五条第二項第八号チ

 十九 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第八十七号)第二百三十三条第三十九項第一号ロ(5)

 二十 電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第五十一条第一項第四号ヘ

 (宅地建物取引業法の一部改正)

第九条 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項第三号の二中「第二百八条の三」を「第二百八条の二」に改める。

  第十八条第一項第五号中「禁錮(こ)」を「禁錮」に改め、同項第五号の二中「第二百八条の三」を「第二百八条の二」に改める。

  第五十二条第七号ロ中「禁錮(こ)」を「禁錮」に改め、同号ハ中「第二百八条の三」を「第二百八条の二」に改める。

 (関税法の一部改正)

第十条 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。

  第七条の五第一号ハ中「第二百八条の三第一項」を「第二百八条の二第一項」に改める。

  第四十三条第三号中「禁錮(こ)」を「禁錮」に改め、同条第四号中「第二百八条の三第一項」を「第二百八条の二第一項」に改める。

  第六十三条の四第一号ハ中「禁錮(こ)」を「禁錮」に改め、同号ニ中「第二百八条の三第一項」を「第二百八条の二第一項」に改める。

  第六十七条の六第一号ニ、第六十七条の十三第三項第一号ニ及び第七十九条第三項第一号ホ中「第二百八条の三第一項」を「第二百八条の二第一項」に改める。

 (積立式宅地建物販売業法の一部改正)

第十一条 積立式宅地建物販売業法(昭和四十六年法律第百十一号)の一部を次のように改正する。

  第六条第六号イ中「禁錮(こ)」を「禁錮」に改め、同号ロ中「第二百八条の三」を「第二百八条の二」に改める。

 (商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部改正)

第十二条 商品投資に係る事業の規制に関する法律(平成三年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。

  第六条第二項第四号ハ中「禁錮(こ)」を「禁錮」に改め、同号ニ中「第二百八条の三」を「第二百八条の二」に改める。

 (公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部改正)

第十三条 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。

  第六条第一号ロ中「第二百八条の三第一項」を「第二百八条の二第一項」に改める。

 (罰則の適用等に関する経過措置)

第十四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

第十五条 前条の規定によりなお従前の例によることとされる附則第二条の規定による改正前の刑法第二百十一条第二項の罪は、附則第三条の規定による改正後の刑事訴訟法第三百十六条の三十三第一項の規定の適用については同項第四号に掲げる罪と、附則第四条の規定による改正後の少年法第二十二条の四第一項の規定の適用については同項第三号に掲げる罪とみなす。

第十六条 この法律の施行前に附則第二条の規定による改正前の刑法第二百八条の二(附則第十四条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における当該規定を含む。)の罪を犯した者に対する附則第五条の規定による改正後の出入国管理及び難民認定法第五条第一項第九号の二、第二十四条第四号の二、第二十四条の三第三号、第六十一条の二の二第一項第四号及び第六十一条の二の四第一項第七号の規定の適用については、これらの規定中「第十六条の罪又は」とあるのは「第十六条の罪、」と、「第六条第一項」とあるのは「第六条第一項の罪又は同法附則第二条の規定による改正前の刑法第二百八条の二(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律附則第十四条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における当該規定を含む。)」とする。

第十七条 この法律の施行前にした行為を理由とする附則第六条の規定による改正後の道路交通法第九十条第一項ただし書、第二項、第五項若しくは第六項若しくは第百三条第一項、第二項若しくは第四項又は第百七条の五第一項若しくは第二項若しくは同条第九項において準用する同法第百三条第四項の規定による運転免許の拒否、保留、取消し若しくは効力の停止又は自動車等の運転の禁止については、なお従前の例による。

2 この法律の施行前に道路交通法第八十四条第一項に規定する自動車等の運転に関し附則第二条の規定による改正前の刑法第二百八条の二又は第二百十一条第二項(附則第十四条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこれらの規定を含む。)の罪を犯した者(附則第七条の規定による改正後の刑法の一部を改正する法律附則第五条に規定する者を除く。)に対する附則第六条の規定による改正後の道路交通法第九十九条の二第四項第二号ニ及び第百八条の四第三項第三号の規定の適用については、これらの規定中「第六条まで」とあるのは、「第六条までの罪、同法附則第二条の規定による改正前の刑法第二百八条の二若しくは第二百十一条第二項(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律附則第十四条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこれらの規定を含む。)」とする。

(内閣総理・法務・財務・文部科学・厚生労働・経済産業・国土交通・環境大臣署名)

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