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法律第三十七号(平二七・六・一二)

  ◎裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律

 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。

 第二条第一項中「次条」の下に「又は第三条の二」を加え、同項第一号中「禁錮(こ)」を「禁錮」に改める。

 第三条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(対象事件からの除外)」を付し、同条第一項中「畏(い)怖し」を「畏怖し」に改め、同条の次に次の一条を加える。

第三条の二 地方裁判所は、第二条第一項各号に掲げる事件について、次のいずれかに該当するときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、これを裁判官の合議体で取り扱う決定をしなければならない。

 一 公判前整理手続による当該事件の争点及び証拠の整理を経た場合であって、審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたること又は裁判員が出頭しなければならないと見込まれる公判期日若しくは公判準備が著しく多数に上ることを回避することができないときにおいて、他の事件における裁判員の選任又は解任の状況、第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の経過その他の事情を考慮し、裁判員の選任が困難であり又は審判に要すると見込まれる期間の終了に至るまで裁判員の職務の遂行を確保することが困難であると認めるとき。

 二 第二条第一項の合議体を構成する裁判員の員数に不足が生じ、かつ、裁判員に選任すべき補充裁判員がない場合であって、その後の審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたること又はその期間中に裁判員が出頭しなければならないと見込まれる公判期日若しくは公判準備が著しく多数に上ることを回避することができないときにおいて、他の事件における裁判員の選任又は解任の状況、第四十六条第二項及び同項において準用する第三十八条第一項後段の規定による裁判員及び補充裁判員の選任のための手続の経過その他の事情を考慮し、裁判員の選任が困難であり又は審判に要すると見込まれる期間の終了に至るまで裁判員の職務の遂行を確保することが困難であると認めるとき。

2 前条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、前項の決定及び同項の請求を却下する決定について準用する。

3 第一項の決定又は同項の請求を却下する決定をするには、あらかじめ、当該第二条第一項各号に掲げる事件の係属する裁判所の裁判長の意見を聴かなければならない。

 第十六条第八号に次のように加える。

  ホ 重大な災害により生活基盤に著しい被害を受け、その生活の再建のための用務を行う必要があること。

 第二十七条の次に次の一条を加える。

 (非常災害時における呼出しをしない措置)

第二十七条の二 裁判所は、前条第一項本文の規定にかかわらず、第二十六条第三項の規定により選定された裁判員候補者のうち、著しく異常かつ激甚な非常災害により、郵便物の配達若しくは取集が極めて困難である地域又は交通が途絶し若しくは遮断された地域に住所を有する者については、前条第一項の規定による呼出しをしないことができる。

 第二十八条第二項中「並びに前条第一項ただし書」を「、第二十七条第一項ただし書」に改め、「第六項まで」の下に「並びに前条」を加える。

 第三十三条第三項中「次条第四項」を「第三十四条第四項」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 (被害者特定事項の取扱い)

第三十三条の二 裁判官、検察官、被告人及び弁護人は、刑事訴訟法第二百九十条の二第一項又は第三項の決定があった事件の裁判員等選任手続においては、裁判員候補者に対し、正当な理由がなく、被害者特定事項(同条第一項に規定する被害者特定事項をいう。以下この条において同じ。)を明らかにしてはならない。

2 裁判長は、前項に規定する裁判員等選任手続において裁判員候補者に対して被害者特定事項が明らかにされた場合には、当該裁判員候補者に対し、当該被害者特定事項を公にしてはならない旨を告知するものとする。

3 前項の規定による告知を受けた裁判員候補者又は当該裁判員候補者であった者は、裁判員等選任手続において知った被害者特定事項を公にしてはならない。

 第四十八条第二号中「第三条第一項」の下に「、第三条の二第一項」を、「事件」の下に「又は同項の合議体で取り扱うべき事件」を加え、「すべて」を「全て」に改める。

 第九十七条第五項中「おける」の下に「第二十七条の二、」を、「ついては、」の下に「第二十七条の二中「前条第一項本文」とあるのは「第九十七条第二項」と、「第二十六条第三項の規定により選定された裁判員候補者」とあるのは「同条第一項に規定する選任予定裁判員」と、「前条第一項の」とあるのは「同条第二項の」と、」を加える。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。

 (経過措置)

2 この法律による改正後の裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「新法」という。)第三十三条の二(新法第三十八条第二項(新法第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行の日以後に開始された裁判員及び補充裁判員の選任のための手続並びに選任予定裁判員の選定のための手続について適用する。

 (検討)

3 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、新法の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、裁判員の参加する裁判の制度が我が国の司法制度の基盤としてより重要な役割を果たすものとなるよう、所要の措置を講ずるものとする。

(法務・内閣総理大臣署名) 

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