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法律第六十一号(平二八・六・三)

  ◎消費者契約法の一部を改正する法律

 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。

 第一条中「かんがみ」を「鑑み」に、「場合」を「場合等」に改める。

 第四条第五項中「第三項」を「第四項」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項中「であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの」を「(同項の場合にあっては、第三号に掲げるものを除く。)」に改め、同項第一号中「内容」の下に「であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの」を加え、同項第二号中「取引条件」の下に「であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの」を加え、同項に次の一号を加える。

 三 前二号に掲げるもののほか、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情

 第四条中第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。

4 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量、回数又は期間(以下この項において「分量等」という。)が当該消費者にとっての通常の分量等(消費者契約の目的となるものの内容及び取引条件並びに事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況及びこれについての当該消費者の認識に照らして当該消費者契約の目的となるものの分量等として通常想定される分量等をいう。以下この項において同じ。)を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、消費者が既に当該消費者契約の目的となるものと同種のものを目的とする消費者契約(以下この項において「同種契約」という。)を締結し、当該同種契約の目的となるものの分量等と当該消費者契約の目的となるものの分量等とを合算した分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときも、同様とする。

 第五条第一項中「第三項」を「第四項」に改め、同条第二項中「第三項」を「第四項」に、「及び第七条」を「から第七条まで」に改める。

 第六条中「第三項」を「第四項」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 (取消権を行使した消費者の返還義務)

第六条の二 民法第百二十一条の二第一項の規定にかかわらず、消費者契約に基づく債務の履行として給付を受けた消費者は、第四条第一項から第四項までの規定により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消した場合において、給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、当該消費者契約によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

 第七条第一項中「第三項」を「第四項」に、「六箇月」を「一年」に改め、同条第二項中「第三項」を「第四項」に改め、「(第五条第一項において準用する場合を含む。)」を削る。

 第八条第一項第三号及び第四号中「民法の規定による」を削り、同条の次に次の一条を加える。

 (消費者の解除権を放棄させる条項の無効)

第八条の二 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。

 一 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項

 二 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させる条項

 第十条中「民法、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律」を「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中」に、「比し、」を「比して」に、「、又は」を「又は」に改める。

 第十一条第一項中「商法」の下に「(明治三十二年法律第四十八号)」を加える。

 第十二条第一項及び第二項中「第三項」を「第四項」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 附則第四条の規定 公布の日

 二 第五条第二項の改正規定(「及び第七条」を「から第七条まで」に改める部分に限る。)、第六条の次に一条を加える改正規定及び附則第三条の規定 民法の一部を改正する法律(平成二十八年法律第▼▼▼号)の施行の日

 三 附則第六条の規定 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十八年法律第▼▼▼号)の公布の日又はこの法律の公布の日のいずれか遅い日

 (経過措置)

第二条 この法律による改正後の消費者契約法(以下「新法」という。)第四条第四項及び第五項(第三号に係る部分に限る。)(これらの規定を新法第五条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前にされた消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示については、適用しない。

2 この法律の施行前にされた消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示に係る取消権については、新法第七条第一項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

3 この法律の施行前に締結された消費者契約の条項については、新法第八条第一項第三号及び第四号の規定にかかわらず、なお従前の例による。

4 新法第八条の二の規定は、この法律の施行前に締結された消費者契約の条項については、適用しない。

第三条 附則第一条第二号に掲げる規定による改正後の消費者契約法第六条の二の規定は、同号に掲げる規定の施行前に消費者契約に基づく債務の履行として給付がされた場合におけるその給付を受けた消費者の返還の義務については、適用しない。

 (政令への委任)

第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第五条 政府は、消費者の被害の状況、消費者の利益の擁護を図るための諸施策の実施の状況その他社会経済情勢の変化を勘案しつつ、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)

第六条 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部を次のように改正する。

  第九十八条のうち、消費者契約法第四条第五項の改正規定中「第四条第五項」を「第四条第六項」に改め、同法第八条の改正規定の次に次のように加える。

   第八条の二を次のように改める。

   (消費者の解除権を放棄させる条項の無効)

  第八条の二 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる消費者契約の条項は、無効とする。

  第九十九条第一項中「第四条第五項」を「第四条第六項」に改め、同条第二項中「第八条」の下に「、第八条の二」を加える。

(内閣総理・法務大臣署名)

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