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法律第百号(平三〇・一二・一四)

  ◎ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条−第六条)

 第二章 ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の実施状況の公表(第七条)

 第三章 ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の策定等に当たっての留意等(第八条−第十二条)

 第四章 ユニバーサル社会推進会議(第十三条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、全ての国民が、障害の有無、年齢等にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、障害者、高齢者等の自立した日常生活及び社会生活が確保されることの重要性に鑑み、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の推進に関し、国等の責務を明らかにするとともに、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の実施状況の公表及びユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の策定等に当たっての留意事項その他必要な事項を定めることにより、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を総合的かつ一体的に推進することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 ユニバーサル社会 障害の有無、年齢等にかかわらず、国民一人一人が、社会の対等な構成員として、その尊厳が重んぜられるとともに、社会のあらゆる分野における活動に参画する機会の確保を通じてその能力を十分に発揮し、もって国民一人一人が相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する社会をいう。

 二 障害者、高齢者等 障害者、高齢者その他その身体の状態に応じて日常生活又は社会生活上配慮を要する者をいう。

 三 ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策 全ての障害者、高齢者等が、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、障害者、高齢者等の自立した日常生活及び社会生活が確保されるようにするために、ユニバーサル社会の実現に関する国際的動向を踏まえ、次に掲げる事項を達成することを目指して行われる諸施策をいう。

  イ 障害者、高齢者等にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの(ホ及び第十条において「社会的障壁」という。)を除去すること。

  ロ 障害者、高齢者等が、その個性と能力を十分に発揮し、政治、経済、教育、文化芸術、スポーツその他のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されること。

  ハ 障害者、高齢者等が、安全にかつ安心して生活を営むことができること。

  ニ 障害者、高齢者等が、円滑に必要な情報を取得し、及び利用することができること。

  ホ 施設、製品等を障害者、高齢者等にとって利用しやすいものとすることにより、社会的障壁を生じさせないこと。

 (国の責務)

第三条 国は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を総合的かつ一体的に推進する責務を有する。

2 国の関係行政機関は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の効率的かつ効果的な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

 (地方公共団体の責務)

第四条 地方公共団体は、ユニバーサル社会の実現に関し、国との連携を図りつつ、その地域の特性に応じたユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を総合的かつ一体的に推進する責務を有する。

 (事業者及び国民の努力)

第五条 事業者及び国民は、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、ユニバーサル社会の実現に寄与するように努めなければならない。

 (法制上の措置等)

第六条 国は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

2 地方公共団体は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

   第二章 ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の実施状況の公表

第七条 政府は、毎年一回、政府が講じたユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の実施状況を取りまとめ、公表しなければならない。

   第三章 ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の策定等に当たっての留意等

 (ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の策定等に当たっての留意)

第八条 国及び地方公共団体は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる事項に特に留意しなければならない。

 一 障害者その他その身体の状態に応じて日常生活又は社会生活上特に配慮を要する者がその年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするための教育の内容及び方法の改善及び充実を図ること。

 二 障害者、高齢者等の多様な就業の機会を確保すること。

 三 障害者、高齢者等の自立及び社会における活動への参画を支援するために、まちづくりその他の観点を踏まえながら、その移動上又は施設の利用上の利便性及び安全性を確保すること。

 四 障害者、高齢者等の言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段並びに情報の取得及び利用のための手段を確保すること。

 五 障害者、高齢者等が安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするために必要な防災上の措置を講ずること。

 六 法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票に関し、障害者、高齢者等が円滑に投票を行うことができるようにすること。

 (障害者、高齢者等の意見の反映)

第九条 国及び地方公共団体は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を策定し、及び実施するに当たっては、障害者、高齢者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 (ユニバーサル社会の実現に関する教育及び学習の振興等)

第十条 国及び地方公共団体は、ユニバーサル社会の実現を図るためには国民の理解と協力を得ることが欠くことのできないものであることに鑑み、社会的障壁に関する体験学習等ユニバーサル社会の実現に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実のために必要な措置を講ずるものとする。

 (障害者、高齢者等にとって利用しやすい施設及び製品の普及等)

第十一条 国及び地方公共団体は、ユニバーサル社会の実現に向けて、障害者、高齢者等にとって利用しやすい施設及び製品の普及並びにそのための調査研究、技術開発等の推進及びその成果の普及その他の必要な措置を講ずるものとする。

 (連携協力体制の整備)

第十二条 国は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を総合的かつ一体的に推進するため、国、地方公共団体、事業者、国民等の相互間の緊密な連携協力体制の整備に努めなければならない。

   第四章 ユニバーサル社会推進会議

第十三条 政府は、内閣府、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省その他の関係行政機関相互の調整を行うことにより、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進を図るため、ユニバーサル社会推進会議を設けるものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (検討)

2 国は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(内閣総理大臣署名)

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