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法律第三十四号(令三・五・一九)

  ◎畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 畜舎建築利用計画の認定等(第三条−第十二条)

 第三章 認定計画実施者の監督等(第十三条−第十六条)

 第四章 雑則(第十七条−第二十五条)

 第五章 罰則(第二十六条−第三十二条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、畜産業を取り巻く国際経済環境の変化等に鑑み、その国際競争力の強化を図るため、畜舎等の建築等及び利用に関する計画の認定制度を創設し、当該認定を受けた計画に基づき建築等がされ、及び利用される畜舎等に関する建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)の特例を定め、もって畜産業の振興を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「畜舎等」とは、畜舎(家畜の飼養の用に供する施設及びこれに関連する施設として農林水産省令で定める施設をいう。)及び堆肥舎(家畜排せつ物の処理又は保管の用に供する施設として農林水産省令で定める施設をいう。)をいう。

2 この法律において「建築等」とは、畜舎等の新築、増築、改築及びその構造に変更を及ぼす行為として主務省令で定める行為をいう。

3 この法律において「技術基準」とは、畜舎等の敷地、構造及び建築設備(畜舎等に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙又は汚物処理の設備その他の農林水産省令で定める設備をいう。以下同じ。)について、次に掲げる要件を満たすために必要なものとして主務省令で定める基準をいう。

 一 継続的に畜産経営を行う上で、利用基準に適合する畜舎等の利用の方法と相まって、安全上、防火上及び衛生上支障がないこと(次号及び第三号に掲げる要件を除く。)。

 二 敷地内の雨水及び汚水の排出又は処理並びに便所から排出する汚物の処理について、衛生上支障がないこと。

 三 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第二項に規定する都市計画区域及び準都市計画区域、景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区並びに建築基準法第六条第一項第四号の規定に基づき都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内に建築等がされる畜舎等にあっては、その建蔽率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。)及び高さその他の構造について、適正かつ合理的な土地利用及び良好な景観の保全を図る観点から、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないこと。

4 この法律において「利用基準」とは、畜舎等の利用の方法について、継続的に畜産経営を行う上で、安全上、防火上及び衛生上支障がないことを確保するために必要なものとして主務省令で定める基準であって、次に掲げる事項について定めるものをいう。

 一 畜舎等における一日当たりの滞在者数及び滞在時間の制限に関すること。

 二 災害時の避難経路の確保に関すること。

 三 避難訓練の実施その他の災害による被害の防止又は軽減に資する取組に関すること。

   第二章 畜舎建築利用計画の認定等

 (畜舎建築利用計画の認定)

第三条 畜舎等について、その敷地、構造及び建築設備が技術基準に適合するように建築等をし、及び利用基準に従って利用しようとする者(次項及び第四項において「申請者」という。)は、当該畜舎等の建築等及び利用に関する計画(以下「畜舎建築利用計画」という。)を作成し、主務省令で定めるところにより、これを当該畜舎等の工事施工地又は所在地を管轄する都道府県知事(以下単に「都道府県知事」という。)に提出して、その認定を受けることができる。

2 畜舎建築利用計画には、次に掲げる事項(その床面積が、建築士(建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第二条第一項に規定する建築士をいう。次項第三号において同じ。)の技術水準その他の事情を勘案して、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる規模として主務省令で定める規模以下である畜舎等(以下「特例畜舎等」という。)の建築等及び利用をしようとする場合にあっては、第四号に掲げる事項を除く。)を記載しなければならない。

 一 申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 畜舎等の種類、工事施工地又は所在地並びに規模及び間取り

 三 畜舎等の設計者(その者の責任において、設計図書(畜舎等又はその敷地に関する工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう。以下同じ。)を作成した者をいう。以下同じ。)

 四 畜舎等の敷地、構造及び建築設備

 五 畜舎等の利用の方法

 六 申請者が畜舎等で行う畜産業の内容

 七 建築等の工事の着手及び完了の予定年月日

 八 その他主務省令で定める事項

3 都道府県知事は、第一項の認定の申請があった場合において、主務省令で定めるところにより、当該申請に係る畜舎建築利用計画が次の各号(特例畜舎等の建築等及び利用をしようとする場合にあっては、第四号を除く。)のいずれにも適合すると認めるときは、その認定をするものとする。

 一 都市計画法第七条第一項に規定する市街化区域及び同法第八条第一項第一号に規定する用途地域外の敷地において畜舎等の建築等及び利用をしようとするものであること。

 二 畜舎等の高さが主務省令で定める高さ以下であって、その階数が一であり、かつ、畜舎等内に居住のための居室を有しないものであること。

 三 畜舎等が建築士の設計に係るものであること。

 四 畜舎等の敷地、構造及び建築設備が技術基準並びに畜舎等の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で主務省令で定めるものに適合するものであること。

 五 畜舎等の利用の方法が利用基準に適合するものであること。

 六 その他畜舎等の建築等及び利用が適正に行われるものとして主務省令で定める基準に適合するものであること。

4 都道府県知事は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するときは、第一項の認定をしてはならない。

 一 第一項の認定の申請に係る畜舎等が建築士法第三条第一項(同条第二項の規定により適用される場合を含む。第五条第二項において同じ。)、第三条の二第一項(同条第二項において準用する同法第三条第二項の規定により適用される場合を含む。第五条第二項において同じ。)若しくは第三条の三第一項(同条第二項において準用する同法第三条第二項の規定により適用される場合を含む。第五条第二項において同じ。)の規定又は同法第三条の二第三項(同法第三条の三第二項において読み替えて準用する場合を含む。第五条第二項において同じ。)の規定に基づく条例の規定に違反して設計されたものであるとき。

 二 申請者が、第一項の認定の申請に係る畜舎等(堆肥舎を除く。)における家畜の飼養管理又はその排せつ物の管理を適正に行うことができない者として農林水産省令で定める者に該当するとき。

 三 申請者が、法人であって、その役員のうちに前号の農林水産省令で定める者に該当する者があるとき。

5 都道府県知事が第一項の認定をする場合(特例畜舎等に係る畜舎建築利用計画について当該認定をする場合を除く。)における消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第七条第一項の規定の適用については、同項中「許可、認可若しくは確認」とあるのは、「認定」とする。

6 都道府県知事は、第一項の認定をしたときは、速やかに、その旨を当該認定を受けた者(以下「認定計画実施者」という。)に通知するとともに、その旨を公表しなければならない。

 (認定を受けた畜舎建築利用計画の変更)

第四条 認定計画実施者は、前条第一項の認定を受けた畜舎建築利用計画の変更をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、都道府県知事の認定を受けなければならない。ただし、主務省令で定める軽微な変更については、この限りでない。

2 認定計画実施者は、前項ただし書の主務省令で定める軽微な変更をしようとするときは、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

3 前条第三項から第六項までの規定は、第一項の変更の認定について準用する。この場合において、同条第五項中「第一項の認定」とあるのは、「次条第一項の変更の認定(第三条第二項第四号に掲げる事項の変更に係る認定に限る。)」と読み替えるものとする。

4 第一項の変更の認定の申請に係る畜舎等の敷地が前条第三項第一号に規定する区域又は地域に存する場合であって、当該畜舎等について、同号に規定する区域又は地域における適正かつ合理的な土地利用を図る観点から、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして主務省令で定める場合に該当するときは、前項において準用する同号の規定は、適用しない。

 (畜舎等の設計及び工事監理)

第五条 認定畜舎等(認定畜舎建築利用計画(第三条第一項の認定を受けた畜舎建築利用計画(変更があったときは、その変更後のもの)をいう。以下この項及び第十六条第二項において同じ。)に係る畜舎等をいう。以下同じ。)の工事は、当該認定畜舎建築利用計画に記載された設計者の設計によらなければ、することができない。

2 認定計画実施者は、建築士法第三条第一項、第三条の二第一項若しくは第三条の三第一項に規定する建築物又は同法第三条の二第三項の規定に基づく条例に規定する建築物に該当する認定畜舎等の工事をする場合においては、それぞれ当該各条に規定する建築士である工事監理者(同法第二条第八項に規定する工事監理をする者をいう。第十四条において同じ。)を定めなければならない。

3 前項の規定に違反した工事は、することができない。

 (工事完了の届出)

第六条 認定計画実施者は、認定畜舎等の建築等の工事が完了したときは、主務省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

2 認定畜舎等(特例畜舎等を除く。以下この項及び第十八条第一項において同じ。)を新築する場合においては、認定計画実施者は、前項の規定による届出をした後でなければ、当該認定畜舎等を使用し、又は使用させてはならない。ただし、都道府県知事が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、当該届出をする前においても、仮に、当該認定畜舎等又はその部分を使用し、又は使用させることができる。

3 前項ただし書の規定による認定の申請の手続に関し必要な事項は、主務省令で定める。

 (基準適合義務等)

第七条 認定畜舎等の敷地、構造及び建築設備は、技術基準に適合するものでなければならない。

2 認定計画実施者は、利用基準に従って認定畜舎等を利用しなければならない。

3 認定計画実施者は、認定畜舎等の用途を変更して畜舎等以外のものとしてはならない。

 (既存認定畜舎等への技術基準の適用除外)

第八条 第二条第三項の主務省令(次項において「技術基準省令」という。)の規定(以下この条において「技術基準規定」という。)の施行又は適用の際現に存する認定畜舎等若しくはその敷地又は現に建築等の工事中の認定畜舎等若しくはその敷地が当該技術基準規定に適合せず、又は適合しない部分を有する場合においては、当該認定畜舎等、認定畜舎等の敷地又は認定畜舎等若しくはその敷地の部分については、前条第一項(技術基準のうち当該技術基準規定に係る部分(第三項において「不適合部分の基準」という。)に限る。)の規定は、適用しない。

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する認定畜舎等、認定畜舎等の敷地又は認定畜舎等若しくはその敷地の部分については、適用しない。

 一 技術基準省令を改正する主務省令による改正(技術基準省令を廃止すると同時に新たにこれに相当する技術基準省令を制定することを含む。)後の技術基準規定の適用の際当該技術基準規定に相当する従前の規定に違反している認定畜舎等、認定畜舎等の敷地又は認定畜舎等若しくはその敷地の部分

 二 建築等の工事の着手が技術基準規定の施行又は適用の後である増築、改築その他畜舎等の構造に変更を及ぼす行為として主務省令で定める行為(主務省令で定める範囲内の行為を除く。)に係る認定畜舎等又はその敷地

 三 前号に該当する認定畜舎等又はその敷地の部分

 四 技術基準規定に適合するに至った認定畜舎等、認定畜舎等の敷地又は認定畜舎等若しくはその敷地の部分

3 第一項の規定の適用を受けている認定畜舎等について前項第二号の主務省令で定める範囲内の行為をしようとする場合における第四条第三項の規定の適用については、同項中「同条第五項中」とあるのは「同条第三項第四号中「技術基準」とあるのは「技術基準(不適合部分の基準を除く。)」と、同条第五項中」と、「とあるのは、」とあるのは「とあるのは」とする。

 (地位の承継等)

第九条 認定計画実施者について相続があったときは、相続人は、認定計画実施者の地位を承継する。

2 前項の規定により認定計画実施者の地位を承継した相続人は、相続の日から三十日以内に、主務省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

第十条 認定計画実施者が認定畜舎等の譲渡を行う場合において、譲渡人及び譲受人があらかじめ当該譲渡及び譲受けについて主務省令で定めるところにより都道府県知事の認可を受けたときは、譲受人は、認定計画実施者の地位を承継する。

2 認定計画実施者である法人が合併により消滅することとなる場合において、あらかじめ当該合併について主務省令で定めるところにより都道府県知事の認可を受けたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、認定計画実施者の地位を承継する。

3 認定計画実施者である法人が分割により認定畜舎等を承継させる場合において、あらかじめ当該分割について主務省令で定めるところにより都道府県知事の認可を受けたときは、分割により当該認定畜舎等を承継した法人は、認定計画実施者の地位を承継する。

4 第三条第三項(第五号に係る部分に限る。)及び第四項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、前三項の認可について準用する。

5 認定計画実施者が認定畜舎等の譲渡を行い、又は認定計画実施者である法人が合併により消滅することとなり、若しくは分割により認定畜舎等を承継させる場合において、第一項から第三項までの認可をしない旨の処分があったとき(これらの認可の申請がない場合にあっては、当該認定畜舎等の譲渡又は当該法人の合併若しくは分割があったとき)は、第三条第一項の認定は、その効力を失うものとし、当該認定畜舎等であった畜舎等(以下「失効畜舎等」という。)について新たな畜舎建築利用計画(当該失効畜舎等について、建築等をせず、引き続き利用基準に従って利用する場合に作成する計画を含む。以下この項及び第十六条第四項において同じ。)を作成し第三条第一項の認定を受けた場合又は当該失効畜舎等及びその敷地が現に建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)に適合していることについて都道府県知事の確認を受けた場合を除き、その譲受人、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人若しくは分割により当該失効畜舎等を承継した法人又はこれらの承継人(以下「譲受人等」という。)は、当該処分があった日(これらの認可の申請がない場合にあっては、当該認定畜舎等の譲渡又は当該法人の合併若しくは分割の日)から百二十日以内に、当該失効畜舎等の使用を停止し、当該失効畜舎等内への立入りの禁止、当該失効畜舎等の除却その他の保安上必要な措置(以下「保安上の措置」という。)を講じなければならない。この場合において、当該失効畜舎等について新たな畜舎建築利用計画を作成し同項の認定を受けるまでの間、当該失効畜舎等及びその敷地が現に建築基準法令の規定に適合していることについて都道府県知事の確認を受けるまでの間又は当該失効畜舎等の全部が除却その他の事由により滅失するまでの間は、当該譲受人等を認定計画実施者と、当該失効畜舎等を認定畜舎等とそれぞれみなして、第七条、第八条、第十二条から第十四条まで、第十五条(第四項を除く。)、第十七条及び第十八条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。

 (解散の届出等)

第十一条 認定計画実施者である法人が合併以外の事由により解散したときは、その清算人又は破産管財人は、その解散の日から三十日以内に、主務省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

2 認定計画実施者である法人が合併以外の事由により解散したときは、第三条第一項の認定は、その効力を失うものとし、その清算法人(清算中若しくは特別清算中の法人又は破産手続開始後の法人をいう。)又はその承継人(以下「清算法人等」という。)は、失効畜舎等の譲渡について前条第一項の認可を受けた場合又は失効畜舎等及びその敷地が現に建築基準法令の規定に適合していることについて都道府県知事の確認を受けた場合を除き、その解散の日から百二十日以内に、当該失効畜舎等の使用を停止し、保安上の措置を講じなければならない。この場合において、当該失効畜舎等の譲渡について同項の認可を受けるまでの間、当該失効畜舎等及びその敷地が現に建築基準法令の規定に適合していることについて都道府県知事の確認を受けるまでの間又は当該失効畜舎等の全部が除却その他の事由により滅失するまでの間は、当該清算法人等を認定計画実施者と、当該失効畜舎等を認定畜舎等とそれぞれみなして、第七条、第八条、前条第一項及び第四項、次条から第十四条まで、第十五条(第四項を除く。)、第十七条並びに第十八条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。

 (建築基準法令の適用除外)

第十二条 認定畜舎等については、建築基準法令の規定は、適用しない。

   第三章 認定計画実施者の監督等

 (利用の状況の報告等)

第十三条 認定計画実施者は、認定畜舎等の利用の状況について、主務省令で定めるところにより、定期的に、都道府県知事に報告しなければならない。

2 認定計画実施者は、認定畜舎等の全部が除却その他の事由により滅失したときは、その滅失の日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

 (報告徴収及び立入検査)

第十四条 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、認定計画実施者、認定畜舎等に立ち入る者、認定畜舎等の敷地の所有者、認定畜舎等若しくは認定畜舎等の敷地の管理者若しくは占有者、設計者、建築材料若しくは建築設備その他の畜舎等の部分(以下この条において「建築材料等」という。)を製造した者、工事監理者又は工事施工者(畜舎等に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。以下同じ。)に対し、認定畜舎等の利用の状況、認定畜舎等の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料等の受取若しくは引渡しの状況又は認定畜舎等に関する工事の計画若しくは施工の状況について報告を求めることができる。

2 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、認定計画実施者、認定畜舎等に立ち入る者、認定畜舎等の敷地の所有者、認定畜舎等若しくは認定畜舎等の敷地の管理者若しくは占有者、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者又は工事施工者に対し、帳簿、書類その他の物件の提出を求めることができる。

3 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、認定畜舎等、認定畜舎等の敷地、建築材料等を製造した者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場又は建築工事場に立ち入り、認定畜舎等、認定畜舎等の敷地、建築設備、建築材料、建築材料等の製造に関係がある物件若しくは設計図書その他認定畜舎等に関する工事に関係がある物件を検査させ、若しくは試験させ、又は認定計画実施者、認定畜舎等に立ち入る者、認定畜舎等の敷地の所有者、認定畜舎等若しくは認定畜舎等の敷地の管理者若しくは占有者、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者若しくは工事施工者に対し必要な事項について質問させることができる。

4 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

5 第三項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (措置命令等)

第十五条 都道府県知事は、第七条第一項の規定に違反した認定畜舎等又は認定畜舎等の敷地があるときは、当該認定畜舎等に係る認定計画実施者、当該認定畜舎等に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者、当該認定畜舎等の敷地の所有者又は当該認定畜舎等若しくは当該認定畜舎等の敷地の管理者若しくは占有者に対し、当該工事の施工の停止を命じ、又は相当の猶予期限を付けて、当該認定畜舎等の除却、改築、増築、使用の禁止、使用の制限その他当該違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

2 都道府県知事は、第七条第二項の規定に違反して認定畜舎等が利用されているときは、当該認定畜舎等に係る認定計画実施者に対し、相当の猶予期限を付けて、当該認定畜舎等の利用の方法の改善、使用の禁止、使用の制限その他当該違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

3 都道府県知事は、第七条第三項の規定に違反して認定畜舎等の用途が変更され畜舎等以外のものとされているときは、当該認定畜舎等に係る認定計画実施者に対し、相当の猶予期限を付けて、当該認定畜舎等の用途の変更、使用の禁止、使用の制限その他当該違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

4 都道府県知事は、譲受人等、清算法人等又は次条第四項に規定する認定計画実施者であった者若しくはその承継人がそれぞれ第十条第五項、第十一条第二項又は次条第四項の規定に違反して失効畜舎等の使用を停止せず、又は保安上の措置を講じていないと認めるときは、その者に対し、当該失効畜舎等の使用を停止し、又は当該保安上の措置を講ずべきことを命ずることができる。

5 第一項又は前項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、都道府県知事は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合において、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。

 (認定の失効等)

第十六条 第十条第五項及び第十一条第二項に規定する場合のほか、認定畜舎等の全部が除却その他の事由により滅失したときは、第三条第一項の認定は、その効力を失う。

2 都道府県知事は、次に掲げる場合には、第三条第一項の認定を取り消すことができる。

 一 認定計画実施者が、偽りその他不正の手段により、第三条第一項の認定、第四条第一項の変更の認定又は第十条第一項から第三項までの認可を受けたとき。

 二 認定計画実施者が第三条第四項第二号又は第三号に該当するに至ったとき。

 三 認定計画実施者が、第四条第一項の変更の認定を受けなければならない事項を当該認定を受けないで変更したとき。

 四 認定計画実施者が、正当な理由がなくて、認定畜舎建築利用計画に記載した建築等の工事の着手の予定年月日の経過後一年以内に工事に着手せず、又は建築等の工事の完了の予定年月日の経過後一年以内に工事を完了しないとき。

 五 認定計画実施者が前条第一項から第三項までの規定による命令に違反したとき。

 六 認定計画実施者から認定畜舎建築利用計画に基づく畜舎等の建築等又は利用を取りやめる旨の申出があったとき。

3 都道府県知事は、第十条第五項、第十一条第二項若しくは第一項の規定により第三条第一項の認定(以下この項及び次項において単に「認定」という。)がその効力を失ったことを知ったとき、又は前項の規定により認定を取り消したときは、速やかに、その旨を認定計画実施者であった者又はその承継人(第十条第五項の規定により認定がその効力を失った場合にあっては譲受人等、第十一条第二項の規定により認定がその効力を失った場合にあっては清算法人等をそれぞれ含む。)に通知するとともに、その旨を公表しなければならない。

4 認定計画実施者であった者又はその承継人は、第二項(第四号に係る部分を除く。)の規定により認定が取り消されたときは、失効畜舎等について新たな畜舎建築利用計画を作成し認定を受けた場合、失効畜舎等の譲渡について第十条第一項の認可を受けた場合又は失効畜舎等及びその敷地が現に建築基準法令の規定に適合していることについて都道府県知事の確認を受けた場合を除き、前項の通知を受けた日から百二十日以内に、当該失効畜舎等の使用を停止し、保安上の措置を講じなければならない。この場合において、当該失効畜舎等について新たな畜舎建築利用計画を作成し認定を受けるまでの間、当該失効畜舎等の譲渡について同条第一項の認可を受けるまでの間、当該失効畜舎等及びその敷地が現に建築基準法令の規定に適合していることについて都道府県知事の確認を受けるまでの間又は当該失効畜舎等の全部が除却その他の事由により滅失するまでの間は、当該認定計画実施者であった者又はその承継人を認定計画実施者と、当該失効畜舎等を認定畜舎等とそれぞれみなして、第七条、第八条、第十条第一項及び第四項、第十二条から第十四条まで、前条(第四項を除く。)、次条並びに第十八条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。

   第四章 雑則

 (工事現場における認定の表示等)

第十七条 認定畜舎等の建築等の工事の施工者は、当該工事現場の見やすい場所に、主務省令で定める様式によって、認定計画実施者、設計者、工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る第三条第一項の認定又は第四条第一項の変更の認定があった旨の表示をしなければならない。

2 認定畜舎等の建築等の工事の施工者は、当該工事に係る設計図書を当該工事現場に備えておかなければならない。

 (工事中の認定畜舎等に対する措置)

第十八条 都道府県知事は、第十五条第一項から第三項までの規定による場合のほか、建築等又は除却の工事の施工中に使用されている認定畜舎等が、安全上、防火上又は避難上著しく支障があると認める場合においては、当該認定畜舎等に係る認定計画実施者又は当該認定畜舎等の管理者若しくは占有者に対し、相当の猶予期限を付けて、当該認定畜舎等の使用の禁止、使用の制限その他安全上、防火上又は避難上必要な措置をとることを命ずることができる。

2 第十五条第五項の規定は、前項の場合に準用する。

 (面積、高さ等の算定)

第十九条 畜舎等の敷地面積、建築面積、床面積、高さその他の畜舎等の規模に係る事項の算定方法は、主務省令で定める。

 (助言又は援助等)

第二十条 都道府県知事は、主務大臣に、この法律の施行に関し必要な助言又は援助を求めることができる。

2 主務大臣は、都道府県知事に対し、この法律の施行に関し必要な勧告、助言若しくは援助をし、又は必要な参考資料を提供することができる。

 (主務大臣への報告等)

第二十一条 主務大臣は、都道府県知事に対し、この法律の施行に関し必要な報告又は資料の提出を求めることができる。

 (木材を利用した畜舎等の普及の促進)

第二十二条 農林水産大臣及び都道府県知事は、畜舎等の建築等に関する施策を行うに当たっては、国内で生産された木材の適切な利用が我が国における森林の適正な整備及び保全並びに地球温暖化の防止及び循環型社会の形成に資することに鑑み、国内で生産された木材その他の木材を利用した畜舎等の普及が図られるよう配慮するものとする。

 (主務大臣)

第二十三条 この法律における主務大臣は、農林水産大臣及び国土交通大臣とする。

2 この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。

 (主務省令への委任)

第二十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、主務省令で定める。

 (経過措置)

第二十五条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

   第五章 罰則

第二十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 一 偽りその他不正の手段により第三条第一項の認定、第四条第一項の変更の認定又は第十条第一項から第三項までの認可を受けたとき。

 二 第六条第二項の規定に違反したとき。

 三 第十五条第一項から第四項まで又は第十八条第一項の規定による命令に違反したとき。

第二十七条 第七条第一項の規定に違反した場合(技術基準のうち第二条第三項第一号に掲げる要件に係る部分に違反した場合に限る。)には、当該違反行為をした認定畜舎等又はその建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該認定畜舎等又はその建築設備の工事施工者(当該工事施工者が法人である場合にあっては、その代表者)又はその代理人、使用人その他の従業者(以下「工事施工者等」という。))は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

2 前項に規定する違反があった場合において、その違反が認定計画実施者(当該認定計画実施者が法人である場合にあっては、その代表者)又はその代理人、使用人、その他の従業者(以下この項及び第二十九条第二項において「認定計画実施者等」という。)の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者等を罰するほか、当該認定計画実施者等に対して前項の刑を科する。

第二十八条 第五条第一項又は第三項の規定に違反した場合には、当該違反行為をした工事施工者等は、百万円以下の罰金に処する。

第二十九条 第七条第一項の規定に違反した場合(技術基準のうち第二条第三項第一号に掲げる要件に係る部分に違反した場合を除く。)には、当該違反行為をした認定畜舎等又はその建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該認定畜舎等又はその建築設備の工事施工者等)は、百万円以下の罰金に処する。

2 前項に規定する違反があった場合において、その違反が認定計画実施者等の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者等を罰するほか、当該認定計画実施者等に対して同項の刑を科する。

第三十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

 一 第六条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 二 第十四条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 三 第十四条第二項の規定による物件の提出をせず、又は虚偽の物件の提出をしたとき。

 四 第十四条第三項の規定による検査若しくは試験を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

 五 第十七条第一項又は第二項の規定に違反したとき。

第三十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第二十六条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

第三十二条 第九条第二項又は第十一条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(農林水産・国土交通・内閣総理大臣署名)

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