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法律第三十五号(令三・五・一九)

  ◎デジタル社会形成基本法

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 基本理念(第三条−第十二条)

 第三章 国、地方公共団体及び事業者の責務等(第十三条−第十九条)

 第四章 施策の策定に係る基本方針(第二十条−第三十五条)

 第五章 デジタル庁(第三十六条)

 第六章 デジタル社会の形成に関する重点計画(第三十七条・第三十八条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、デジタル社会の形成が、我が国の国際競争力の強化及び国民の利便性の向上に資するとともに、急速な少子高齢化の進展への対応その他の我が国が直面する課題を解決する上で極めて重要であることに鑑み、デジタル社会の形成に関し、基本理念及び施策の策定に係る基本方針を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務を明らかにし、並びにデジタル庁の設置及びデジタル社会の形成に関する重点計画の作成について定めることにより、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進し、もって我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「デジタル社会」とは、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信するとともに、官民データ活用推進基本法(平成二十八年法律第百三号)第二条第二項に規定する人工知能関連技術、同条第三項に規定するインターネット・オブ・シングス活用関連技術、同条第四項に規定するクラウド・コンピューティング・サービス関連技術その他の従来の処理量に比して大量の情報の処理を可能とする先端的な技術をはじめとする情報通信技術(以下「情報通信技術」という。)を用いて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。第三十条において同じ。)として記録された多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用すること(以下「情報通信技術を用いた情報の活用」という。)により、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会をいう。

   第二章 基本理念

 (全ての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現)

第三条 デジタル社会の形成は、全ての国民が、高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用するとともに、情報通信技術を用いた情報の活用を行うことにより、デジタル社会におけるあらゆる活動に参画し、個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することが可能となり、もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会が実現されることを旨として、行われなければならない。

 (経済構造改革の推進及び産業国際競争力の強化)

第四条 デジタル社会の形成は、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用により、経済活動の促進、中小企業者その他の事業者の経営の効率化、事業の高度化及び生産性の向上、多様な事業の創出並びに多様な就業の機会その他労働者がその有する能力を有効に発揮する機会の増大をもたらし、もって経済構造改革の推進及び産業の国際競争力の強化に寄与するものでなければならない。

 (ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現)

第五条 デジタル社会の形成は、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用により、国民の立場に立って、国民生活の全般にわたる多様なサービスの価値を高め、及びその新たな価値を生み出すことにより、生活の利便性の向上、生活様式の多様化の促進及び消費者の主体的かつ合理的選択の機会の拡大が図られ、もってゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現に寄与するものでなければならない。

 (活力ある地域社会の実現等)

第六条 デジタル社会の形成は、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用による、地域経済の活性化、地域における魅力ある多様な就業の機会の創出並びに地域内及び地域間の多様な交流の機会の増大による住民生活の充実及び利便性の向上を通じて、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現、地域社会の持続可能性の確保及び地域住民の福祉の向上に寄与するものでなければならない。

 (国民が安全で安心して暮らせる社会の実現)

第七条 デジタル社会の形成は、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用により、大規模な災害の発生、感染症のまん延その他の国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生ずるおそれがある事態に迅速かつ適確に対応することにより、被害の発生の防止又は軽減が図られ、もって国民が安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与するものでなければならない。

 (利用の機会等の格差の是正)

第八条 デジタル社会の形成に当たっては、地理的な制約、年齢、障害の有無等の心身の状態、経済的な状況その他の要因に基づく高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用に係る機会又は必要な能力における格差が、デジタル社会の円滑かつ一体的な形成を著しく阻害するおそれがあることに鑑み、その是正が着実に図られなければならない。

 (国及び地方公共団体と民間との役割分担)

第九条 デジタル社会の形成に当たっては、民間が主導的役割を担うことを原則とし、国及び地方公共団体は、民間の知見を積極的に活用しながら、公正な競争の促進、規制の見直し等デジタル社会の形成を阻害する要因の解消その他の民間の活力が十分に発揮されるための環境整備並びに公共サービス(公共サービス基本法(平成二十一年法律第四十号)第二条に規定する公共サービスをいう。第二十九条において同じ。)における国民の利便性の向上並びに行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上並びに公正な給付と負担の確保のための環境整備を中心とした施策を行うものとする。

 (個人及び法人の権利利益の保護等)

第十条 デジタル社会の形成に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用により個人及び法人の権利利益、国の安全等が害されることのないようにされるとともに、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用による信頼性のある情報の自由かつ安全な流通の確保が図られなければならない。

 (情報通信技術の進展への対応)

第十一条 デジタル社会の形成に当たっては、情報通信技術の進展について、適確かつ積極的に対応しなければならない。

 (社会経済構造の変化に伴う新たな課題への対応)

第十二条 デジタル社会の形成に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用により生ずる社会経済構造の変化に伴う雇用その他の分野における各般の新たな課題について、適確かつ積極的に対応しなければならない。

   第三章 国、地方公共団体及び事業者の責務等

 (国及び地方公共団体の責務)

第十三条 国は、前章に定めるデジタル社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、デジタル社会の形成に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

第十四条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、デジタル社会の形成に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

第十五条 国及び地方公共団体は、デジタル社会の形成に関する施策が迅速かつ重点的に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。

 (事業者の責務)

第十六条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、自ら積極的にデジタル社会の形成の推進に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するデジタル社会の形成に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 (法制上の措置等)

第十七条 政府は、デジタル社会の形成に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

 (統計等の作成及び公表)

第十八条 政府は、デジタル社会に関する統計その他のデジタル社会の形成に資する資料を作成し、インターネットの利用その他適切な方法により随時公表しなければならない。

 (国民の理解を深めるための措置等)

第十九条 政府は、広報活動等を通じてデジタル社会の形成に関する国民の理解を深めるとともに、デジタル社会の形成に関する施策の策定及び実施に当たって広く国民の意見が反映されるよう、必要な措置を講じなければならない。

   第四章 施策の策定に係る基本方針

 (施策の一体的な推進)

第二十条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークの一層の拡充、多様な主体による情報の円滑な流通の確保、多様な主体が利用し得る情報の充実並びに高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用に係る機会の確保及び必要な能力の習得が不可欠であり、かつ、相互に密接な関連を有することに鑑み、これらが一体的に推進されなければならない。

 (世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成)

第二十一条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、広く国民が低廉な料金で多様なサービスを利用することができるよう、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成を促進するため、事業者間の公正な競争の促進その他の必要な措置が講じられなければならない。

 (多様な主体による情報の円滑な流通の確保)

第二十二条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、情報交換システム(多様な主体が設置する情報システムの相互の連携により迅速かつ安全に情報の授受を行い、情報を共有することができるようにするための情報システムをいう。)の整備、データの標準化(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第四条第二項第五号イに規定するデータの標準化をいう。)、外部連携機能(同号ロに規定する外部連携機能をいう。)の整備及び当該外部連携機能に係る仕様に関する情報の提供その他の多様な主体による情報の円滑な流通の確保を図るために必要な措置が講じられなければならない。

 (高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用の機会の確保)

第二十三条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用の機会における格差が生じないよう、情報の取得及び利用の機会を確保するための情報通信機器の研究開発の推進及びその導入の促進その他の全ての国民に当該機会の確保が図られるようにするために必要な措置が講じられなければならない。

 (教育及び学習の振興)

第二十四条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用に必要な能力における格差が生じないよう、全ての国民が当該能力を向上させることができるようにするための教育及び学習を振興するために必要な措置が講じられなければならない。

 (人材の育成)

第二十五条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用に必要な国民の能力の向上のための教育を担う人材、多様な主体が設置する情報システムの連携を担う人材、情報通信技術を用いた情報の活用に必要な情報の収集及び分析を担う人材その他デジタル社会の発展を担う専門的な知識又は技術を有する創造的な人材を育成するために必要な措置が講じられなければならない。

 (経済活動の促進)

第二十六条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、情報通信技術の進展の状況並びに個人情報の有用性及び保護の必要性を踏まえた規制の見直し、あらゆる分野における情報通信技術を用いた情報の活用に関する取引の円滑化に必要な環境の整備、知的財産権の適正な保護及び利用その他の高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用による経済活動の促進を図るために必要な措置が講じられなければならない。

 (事業者の経営の効率化、事業の高度化及び生産性の向上)

第二十七条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、多様な主体が設置する情報システムの連携を通じた情報の共有の促進、情報システムの運用及び管理に関する指針の策定その他の高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用による事業者の経営の効率化、事業の高度化及び生産性の向上を図るために必要な措置が講じられなければならない。

 (生活の利便性の向上等)

第二十八条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用による国民生活の全般にわたる多様なサービスの開発及び提供の促進、情報通信技術を利用して行う事業場外における勤務に関する援助、消費者の利益の擁護及び増進を図る上で必要な環境の整備その他の生活の利便性の向上、生活様式の多様化の促進及び消費者の主体的かつ合理的選択の機会の拡大を図るために必要な措置が講じられなければならない。

 (国及び地方公共団体の情報システムの共同化等)

第二十九条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、公共サービスにおける国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資するため、行政の内外の知見を集約し、及び活用しつつ、国及び地方公共団体の情報システムの共同化又は集約の推進(全ての地方公共団体が官民データ活用推進基本法第二条第四項に規定するクラウド・コンピューティング・サービス関連技術に係るサービスを利用することができるようにするための国による環境の整備を含む。)、個人番号の利用の範囲の拡大その他の国及び地方公共団体における高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用を積極的に推進するために必要な措置が講じられなければならない。

 (国民による国及び地方公共団体が保有する情報の活用)

第三十条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、国及び地方公共団体が保有する情報のうち国民生活に有用なものについて、書面等に記載された情報の電磁的記録としての記録、電磁的記録として記録された情報であって一般の利用に供しているものの公表その他の国及び地方公共団体が保有する情報を国民が容易に活用することができるようにするために必要な措置が講じられなければならない。

 (公的基礎情報データベースの整備等)

第三十一条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、公的基礎情報データベース(国、地方公共団体その他の公共機関及び公共分野の事業者が保有する情報のうち社会生活又は事業活動に伴い必要とされる多数の手続の処理の基礎となるものの集合物であって、多様な主体が当該情報を電子計算機を用いて適切な制御の下で検索することができるように体系的に構成したものをいう。第三十七条第二項第十二号において同じ。)を整備するとともに、その利用を促進するために必要な措置が講じられなければならない。

 (公共分野におけるサービスの多様化及び質の向上)

第三十二条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、国民の利便性の向上を図るため、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用による公共分野におけるサービスの多様化及び質の向上のために必要な措置が講じられなければならない。

 (サイバーセキュリティの確保等)

第三十三条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、サイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)第二条に規定するサイバーセキュリティをいう。第三十七条第二項第十四号において同じ。)の確保、情報通信技術を用いた犯罪の防止、情報通信技術を用いた本人確認の信頼性の確保、情報の改変の防止、高度情報通信ネットワークの災害対策、個人情報の保護その他の国民が安心して高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用を行うことができるようにするために必要な措置が講じられなければならない。

 (国際的な協調及び貢献)

第三十四条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークを通じた信頼性のある情報の自由かつ安全な流通を確保することの重要性に鑑み、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用による社会経済活動に関する、国際的な規格、規範等の整備に向けた主体的な参画、調査及び研究開発の推進のための国際的な連携及び開発途上地域に対する技術協力その他の国際協力を積極的に行うために必要な措置が講じられなければならない。

 (研究開発及び実証の推進)

第三十五条 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、情報通信技術の水準の向上が、我が国におけるデジタル社会の持続的な発展の基盤であるとともに、我が国産業の国際競争力の強化をもたらす源泉であることに鑑み、情報通信技術について、国、地方公共団体、国立研究開発法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第三項に規定する国立研究開発法人をいう。)、大学、事業者等の相互の密接な連携の下に、創造性のある研究開発及び当該情報通信技術の有効性の実証が推進されるよう必要な措置が講じられなければならない。

   第五章 デジタル庁

第三十六条 基本理念にのっとり、デジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房と共に助けるとともに、デジタル社会の形成に関する行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図るため、別に法律で定めるところにより、内閣に、デジタル庁を置く。

   第六章 デジタル社会の形成に関する重点計画

 (デジタル社会の形成に関する重点計画の作成等)

第三十七条 政府は、この章の定めるところにより、デジタル社会の形成に関する重点計画(以下この章において「重点計画」という。)を作成しなければならない。

2 重点計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 デジタル社会の形成のために政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策に関する基本的な方針

 二 世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成の促進に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 三 多様な主体による情報の円滑な流通の確保に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 四 高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用の機会の確保に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 五 教育及び学習の振興に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 六 人材の育成に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 七 経済活動の促進に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 八 事業者の経営の効率化、事業の高度化及び生産性の向上に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 九 生活の利便性の向上等に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 十 国及び地方公共団体の情報システムの共同化等に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 十一 国民による国及び地方公共団体が保有する情報の活用に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 十二 公的基礎情報データベースの整備等に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 十三 特定公共分野(サービスの多様化及び質の向上を図るために特に重点的に取り組むべき公共分野をいう。)におけるサービスの多様化及び質の向上に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 十四 サイバーセキュリティの確保等に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

 十五 前各号に定めるもののほか、デジタル社会の形成に関する施策を政府が迅速かつ重点的に推進するために必要な事項

3 重点計画に定める施策については、原則として、当該施策の具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとする。

4 内閣総理大臣は、サイバーセキュリティ戦略本部及び個人情報保護委員会の意見を聴いて、重点計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

5 内閣総理大臣は、重点計画の案において、地方自治に重要な影響を及ぼすと考えられる施策について定めようとするときは、当該施策について、都道府県知事、都道府県議会の議長、市長、市議会の議長、町村長又は町村議会の議長の全国的連合組織(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百六十三条の三第一項に規定する全国的連合組織で同項の規定による届出をしたものをいう。)の意見を聴かなければならない。

6 政府は、第一項の規定により重点計画を作成したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

7 政府は、適時に、第三項の規定により定める目標の達成状況を調査し、その結果をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

8 第四項から第六項までの規定は、重点計画の変更について準用する。

 (重点計画と国の他の計画との関係)

第三十八条 重点計画以外の国の計画は、デジタル社会の形成に関しては、重点計画を基本とするものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、令和三年九月一日から施行する。

 (高度情報通信ネットワーク社会形成基本法の廃止)

第二条 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成十二年法律第百四十四号)は、廃止する。

 (高度情報通信ネットワーク社会形成基本法の廃止に伴う経過措置)

第三条 前条の規定による廃止前の高度情報通信ネットワーク社会形成基本法第三十六条第一項の規定に基づく重点計画は、第三十七条第一項の規定に基づく重点計画が作成されるまでの間、同項の規定に基づく重点計画とみなす。

 (通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律等の一部改正)

第四条 次に掲げる法律の規定中「高度情報通信ネットワーク社会」を「デジタル社会」に改める。

 一 通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律(平成十三年法律第四十四号)第一条

 二 特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)第一条

 三 学校教育の情報化の推進に関する法律(令和元年法律第四十七号)第一条

 (情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部改正)

第五条 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を次のように改正する。

  第一条中「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成十二年法律第百四十四号)第十三条」を「デジタル社会形成基本法(令和三年法律第▼▼▼号)第十七条」に、「情報通信技術の便益」を「情報通信技術(デジタル社会形成基本法第二条に規定する情報通信技術をいう。以下同じ。)の便益」に改める。

  第二条中「高度情報通信ネットワーク社会(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法第二条」を「デジタル社会(デジタル社会形成基本法第二条」に、「高度情報通信ネットワーク社会を」を「デジタル社会を」に改める。

  第十二条第一項中「身体的な条件」を「障害の有無等の心身の状態」に改め、「制約」の下に「、経済的な状況」を加える。

 (コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律の一部改正)

第六条 コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(平成十六年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

  第三条第三項中「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成十二年法律第百四十四号)」を「デジタル社会形成基本法(令和三年法律第▼▼▼号)」に改める。

 (サイバーセキュリティ基本法の一部改正)

第七条 サイバーセキュリティ基本法の一部を次のように改正する。

  第一条中「情報通信技術」を「デジタル社会形成基本法(令和三年法律第▼▼▼号)第二条に規定する情報通信技術(以下「情報通信技術」という。)」に、「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成十二年法律第百四十四号)」を「同法」に改める。

  第三条第五項中「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」を「デジタル社会形成基本法」に改める。

  第二十六条第二項中「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部及び」を削り、同条中第三項を削り、第四項を第三項とする。

 (官民データ活用推進基本法の一部改正)

第八条 官民データ活用推進基本法の一部を次のように改正する。

  目次中

第四章 官民データ活用推進戦略会議(第二十条−第二十八条)

 

 

附則

 を「附則」に改める。

  第一条中「とともに、官民データ活用推進戦略会議を設置する」を削る。

  第二条第一項中「。第二十六条第一項において同じ」を削る。

  第三条第一項中「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成十二年法律第百四十四号)」を「デジタル社会形成基本法(令和三年法律第▼▼▼号)」に改め、同条第四項中「情報通信の技術」を「情報通信技術(デジタル社会形成基本法第二条に規定する情報通信技術をいう。以下同じ。)」に改め、同条第五項中「情報通信の技術」を「情報通信技術」に改める。

  第八条の見出しを「(官民データ活用推進基本計画等)」に改め、同条第四項を削り、同条第五項中「内閣総理大臣は」の下に「、サイバーセキュリティ戦略本部及び個人情報保護委員会の意見を聴いて」を加え、「につき」を「を作成し、」に改め、同項を同条第四項とし、同条中第六項を第五項とし、第七項を第六項とし、同条第八項中「第五項及び第六項」を「第四項及び第五項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第九項を同条第八項とし、同条に次の一項を加える。

 9 内閣総理大臣は、個人に関する情報をその内容に含む官民データ活用の推進に関する重要事項について、個人情報保護委員会との緊密な連携を図るものとする。

  第十条の見出し及び同条第一項中「情報通信の技術」を「情報通信技術」に改め、同条第二項中「情報通信の技術を」を「情報通信技術を」に改める。

  第十四条中「身体的な条件」を「障害の有無等の心身の状態、経済的な状況」に改める。

  第四章を削る。

(内閣総理・総務・文部科学大臣署名)

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