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法律第五十二号(令三・六・二)

  ◎著作権法の一部を改正する法律

第一条 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項第九号の五の次に次の三号を加える。

  九の六 特定入力型自動公衆送信 放送を受信して同時に、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することにより行う自動公衆送信(当該自動公衆送信のために行う送信可能化を含む。)をいう。

  九の七 放送同時配信等 放送番組又は有線放送番組の自動公衆送信(当該自動公衆送信のために行う送信可能化を含む。以下この号において同じ。)のうち、次のイからハまでに掲げる要件を備えるもの(著作権者、出版権者若しくは著作隣接権者(以下「著作権者等」という。)の利益を不当に害するおそれがあるもの又は広く国民が容易に視聴することが困難なものとして文化庁長官が総務大臣と協議して定めるもの及び特定入力型自動公衆送信を除く。)をいう。

   イ 放送番組の放送又は有線放送番組の有線放送が行われた日から一週間以内(当該放送番組又は有線放送番組が同一の名称の下に一定の間隔で連続して放送され、又は有線放送されるものであつてその間隔が一週間を超えるものである場合には、一月以内でその間隔に応じて文化庁長官が定める期間内)に行われるもの(当該放送又は有線放送が行われるより前に行われるものを除く。)であること。

   ロ 放送番組又は有線放送番組の内容を変更しないで行われるもの(著作権者等から当該自動公衆送信に係る許諾が得られていない部分を表示しないことその他のやむを得ない事情により変更されたものを除く。)であること。

   ハ 当該自動公衆送信を受信して行う放送番組又は有線放送番組のデジタル方式の複製を防止し、又は抑止するための措置として文部科学省令で定めるものが講じられているものであること。

  九の八 放送同時配信等事業者 人的関係又は資本関係において文化庁長官が定める密接な関係(以下単に「密接な関係」という。)を有する放送事業者又は有線放送事業者から放送番組又は有線放送番組の供給を受けて放送同時配信等を業として行う事業者をいう。

  第二条第一項第二十一号中「著作権者、出版権者又は著作隣接権者(以下「著作権者等」という。)」を「著作権者等」に改め、同項第二十四号を同項第二十五号とし、同項第二十三号を同項第二十四号とし、同項第二十二号の次に次の一号を加える。

  二十三 著作権等管理事業者 著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)第二条第三項に規定する著作権等管理事業者をいう。

  第二条第九項中「第九号の五」の下に「、第九号の七」を加える。

  第三条第一項中「者又は」を「者若しくは」に、「得た者若しくは」を「得た者又は」に、「第三十七条第三項ただし書及び第三十七条の二ただし書において」を「以下」に改める。

  第四条第一項中「次項、第三十七条第三項ただし書及び第三十七条の二ただし書において」を「以下」に改める。

  第二十九条第二項中「が放送」の下に「又は放送同時配信等」を加え、同項第一号中「自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)」を「特定入力型自動公衆送信」に改め、同項第二号を同項第三号とし、同項第一号の次に次の一号を加える。

  二 その著作物を放送同時配信等する権利及び放送同時配信等されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利

  第二十九条第三項中「が有線放送」の下に「又は放送同時配信等」を加え、同項第二号を同項第三号とし、同項第一号の次に次の一号を加える。

  二 その著作物を放送同時配信等する権利及び放送同時配信等されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利

  第三十一条第一項中「の資料(以下この条」を「の資料(次項」に改め、同項第一号中「。第三項において同じ。」を削り、同条第二項中「次項」を「次項若しくは第四項」に、「同項」を「以下この条」に改め、同条第三項中「当該図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、自動公衆送信される当該著作物の一部分の複製物を作成し、当該複製物を一人につき一部提供する」を「次に掲げる行為を行う」に改め、同項に次の各号を加える。

  一 当該図書館等の利用者の求めに応じ、当該利用者が自ら利用するために必要と認められる限度において、自動公衆送信された当該著作物の複製物を作成し、当該複製物を提供すること。

  二 自動公衆送信された当該著作物を受信装置を用いて公に伝達すること(当該著作物の伝達を受ける者から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。第五項第二号及び第三十八条において同じ。)を受けない場合に限る。)。

  第三十一条に次の四項を加える。

 4 国立国会図書館は、次に掲げる要件を満たすときは、特定絶版等資料に係る著作物について、第二項の規定により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて、自動公衆送信(当該自動公衆送信を受信して行う当該著作物のデジタル方式の複製を防止し、又は抑止するための措置として文部科学省令で定める措置を講じて行うものに限る。以下この項及び次項において同じ。)を行うことができる。

  一 当該自動公衆送信が、当該著作物をあらかじめ国立国会図書館にその氏名及び連絡先その他文部科学省令で定める情報を登録している者(次号において「事前登録者」という。)の用に供することを目的とするものであること。

  二 当該自動公衆送信を受信しようとする者が当該自動公衆送信を受信する際に事前登録者であることを識別するための措置を講じていること。

 5 前項の規定による自動公衆送信を受信した者は、次に掲げる行為を行うことができる。

  一 自動公衆送信された当該著作物を自ら利用するために必要と認められる限度において複製すること。

  二 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める要件に従つて、自動公衆送信された当該著作物を受信装置を用いて公に伝達すること。

   イ 個人的に又は家庭内において当該著作物が閲覧される場合の表示の大きさと同等のものとして政令で定める大きさ以下の大きさで表示する場合 営利を目的とせず、かつ、当該著作物の伝達を受ける者から料金を受けずに行うこと。

   ロ イに掲げる場合以外の場合 公共の用に供される施設であつて、国、地方公共団体又は一般社団法人若しくは一般財団法人その他の営利を目的としない法人が設置するもののうち、自動公衆送信された著作物の公の伝達を適正に行うために必要な法に関する知識を有する職員が置かれているものにおいて、営利を目的とせず、かつ、当該著作物の伝達を受ける者から料金を受けずに行うこと。

 6 第四項の特定絶版等資料とは、第二項の規定により記録媒体に記録された著作物に係る絶版等資料のうち、著作権者若しくはその許諾を得た者又は第七十九条の出版権の設定を受けた者若しくはその複製許諾若しくは公衆送信許諾を得た者の申出を受けて、国立国会図書館の館長が当該申出のあつた日から起算して三月以内に絶版等資料に該当しなくなる蓋然性が高いと認めた資料を除いたものをいう。

 7 前項の申出は、国立国会図書館の館長に対し、当該申出に係る絶版等資料が当該申出のあつた日から起算して三月以内に絶版等資料に該当しなくなる蓋然性が高いことを疎明する資料を添えて行うものとする。

  第三十四条第一項中「若しくは」を削り、「又は当該放送を受信して同時に」を「地域限定特定入力型自動公衆送信(特定入力型自動公衆送信のうち、」に改め、「。以下同じ」を削り、「自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む」を「行われるものをいう。以下同じ」に改め、「行い」の下に「、又は放送同時配信等(放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者が行うものに限る。第三十八条第三項、第三十九条並びに第四十条第二項及び第三項において同じ。)を行い」を加える。

  第三十八条第一項中「(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)」を削り、同条第二項中「専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)」を「地域限定特定入力型自動公衆送信」に改め、同条第三項中「又は有線放送される著作物(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。)」を「有線放送され、特定入力型自動公衆送信が行われ、又は放送同時配信等(放送又は有線放送が終了した後に開始されるものを除く。)が行われる著作物」に改める。

  第三十九条第一項中「若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)」を「有線放送し、地域限定特定入力型自動公衆送信を行い、若しくは放送同時配信等」に改め、同条第二項中「若しくは」を削り、「又は自動公衆送信される」を「地域限定特定入力型自動公衆送信が行われ、又は放送同時配信等が行われる」に改める。

  第四十条第二項中「若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)」を「有線放送し、地域限定特定入力型自動公衆送信を行い、若しくは放送同時配信等」に改め、同条第三項中「若しくは」を削り、「又は自動公衆送信される」を「地域限定特定入力型自動公衆送信が行われ、又は放送同時配信等が行われる」に改める。

  第四十四条第一項中「ことなく放送する」を「ことなく放送し、又は放送同時配信等する」に改め、「自己の放送」の下に「又は放送同時配信等(当該放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が放送番組の供給を受けて行うものを含む。)」を加え、「同じく放送する」を「同じく放送し、若しくは放送同時配信等する」に改め、同条第二項中「有線放送する」を「有線放送し、又は放送同時配信等する」に改め、「除く。)」の下に「又は放送同時配信等(当該有線放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が有線放送番組の供給を受けて行うものを含む。)」を加え、同条第三項中「前二項」を「前三項」に、「又は有線放送」を「、有線放送又は放送同時配信等」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。

 3 放送同時配信等事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなく放送同時配信等することができる著作物を、自己の放送同時配信等のために、自己の手段又は自己と密接な関係を有する放送事業者若しくは有線放送事業者の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。

  第四十七条の六第一項第二号中「第三十一条第一項第一号若しくは第三項後段」を「第三十一条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第三項(第一号に係る部分に限る。)若しくは第五項(第一号に係る部分に限る。)」に改める。

  第四十七条の七中「第三項後段、第三十二条」を「第三項(第一号に係る部分に限る。以下この条において同じ。)、第三十二条」に、「第三十一条第一項若しくは第三項後段」を「第三十一条第一項若しくは第三項」に改める。

  第四十九条第一項第一号中「若しくは第三項後段」を「、第三項第一号若しくは第五項第一号」に、「若しくは第二項」を「から第三項まで」に改め、同項第三号中「第四十四条第三項」を「第四十四条第四項」に、「又は有線放送事業者」を「、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者」に改め、同条第二項第一号中「若しくは第三項後段」を「、第三項第一号若しくは第五項第一号」に改める。

  第六十三条第五項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。

 5 著作物の放送又は有線放送及び放送同時配信等について許諾(第一項の許諾をいう。以下この項において同じ。)を行うことができる者が、特定放送事業者等(放送事業者又は有線放送事業者のうち、放送同時配信等を業として行い、又はその者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が業として行う放送同時配信等のために放送番組若しくは有線放送番組を供給しており、かつ、その事実を周知するための措置として、文化庁長官が定める方法により、放送同時配信等が行われている放送番組又は有線放送番組の名称、その放送又は有線放送の時間帯その他の放送同時配信等の実施状況に関する情報として文化庁長官が定める情報を公表しているものをいう。以下この項において同じ。)に対し、当該特定放送事業者等の放送番組又は有線放送番組における著作物の利用の許諾を行つた場合には、当該許諾に際して別段の意思表示をした場合を除き、当該許諾には当該著作物の放送同時配信等(当該特定放送事業者等と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が当該放送番組又は有線放送番組の供給を受けて行うものを含む。)の許諾を含むものと推定する。

  第六十八条の見出しを「(著作物の放送等)」に改め、同条第一項中「放送しよう」を「放送し、又は放送同時配信等しよう」に改め、「放送事業者」の下に「又は放送同時配信等事業者」を加え、「の許諾」を「若しくは放送同時配信等の許諾」に、「放送する」を「放送し、又は放送同時配信等する」に改め、同条第二項中「放送される」を「放送され、又は放送同時配信等される」に、「専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)」を「地域限定特定入力型自動公衆送信」に、「、自動公衆送信」を「、地域限定特定入力型自動公衆送信」に改める。

  第七十条第四項第二号中「放送」の下に「又は放送同時配信等」を加える。

  第八十条第四項中「及び第五項」を「及び第六項」に、「同条第五項」を「同条第六項」に改める。

  第八十六条第一項中「第三項後段」を「第三項(第一号に係る部分に限る。)」に改め、同条第二項第一号中「私的使用の目的」の下に「又は第三十一条第五項第一号に定める目的」を加え、「同項」を「これら」に改め、同項第二号中「第三項後段」を「第三項第一号」に改め、同条第三項中「第三十一条第三項前段」の下に「及び第四項」を加える。

  第九十三条の見出しを「(放送等のための固定)」に改め、同条第一項中「放送の」を「放送及び放送同時配信等の」に改め、同条第二項中「行なつた」を「行つた」に改め、同項第一号中「放送」の下に「若しくは放送同時配信等」を加え、同項第二号中「放送事業者」の下に「又は放送同時配信等事業者」を加え、「さらに」を「更に」に、「放送の」を「放送又は放送同時配信等の」に改める。

  第九十四条を第九十三条の二とし、同条の次に次の二条を加える。

  (放送等のための固定物等による放送同時配信等)

 第九十三条の三 第九十二条の二第一項に規定する権利(放送同時配信等に係るものに限る。以下この項及び第九十四条の三第一項において同じ。)を有する者(以下「特定実演家」という。)が放送事業者に対し、その実演の放送同時配信等(当該放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が放送番組の供給を受けて行うものを含む。)の許諾を行つたときは、契約に別段の定めがない限り、当該許諾を得た実演(当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利について著作権等管理事業者による管理が行われているもの又は文化庁長官が定める方法により当該実演に係る特定実演家の氏名若しくは名称、放送同時配信等の許諾の申込みを受け付けるための連絡先その他の円滑な許諾のために必要な情報であつて文化庁長官が定めるものの公表がされているものを除く。)について、当該許諾に係る放送同時配信等のほか、次に掲げる放送同時配信等を行うことができる。

  一 当該許諾を得た放送事業者が当該実演について第九十三条第一項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送同時配信等

  二 当該許諾を得た放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が当該放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送同時配信等

 2 前項の場合において、同項各号に掲げる放送同時配信等が行われたときは、当該放送事業者又は放送同時配信等事業者は、通常の使用料の額に相当する額の報酬を当該実演に係る特定実演家に支払わなければならない。

 3 前項の報酬を受ける権利は、著作権等管理事業者であつて全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該指定を受けた著作権等管理事業者(以下この条において「指定報酬管理事業者」という。)によつてのみ行使することができる。

 4 文化庁長官は、次に掲げる要件を備える著作権等管理事業者でなければ、前項の規定による指定をしてはならない。

  一 営利を目的としないこと。

  二 その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。

  三 その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。

  四 第二項の報酬を受ける権利を有する者(次項及び第七項において「権利者」という。)のためにその権利を行使する業務を自ら的確に遂行するに足りる能力を有すること。

 5 指定報酬管理事業者は、権利者のために自己の名をもつてその権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。

 6 文化庁長官は、指定報酬管理事業者に対し、政令で定めるところにより、第二項の報酬に係る業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求め、又はその業務の執行方法の改善のため必要な勧告をすることができる。

 7 指定報酬管理事業者が第三項の規定により権利者のために請求することができる報酬の額は、毎年、指定報酬管理事業者と放送事業者若しくは放送同時配信等事業者又はその団体との間において協議して定めるものとする。

 8 前項の協議が成立しないときは、その当事者は、政令で定めるところにより、同項の報酬の額について文化庁長官の裁定を求めることができる。

 9 第七十条第三項、第六項及び第八項、第七十一条(第二号に係る部分に限る。)、第七十二条第一項、第七十三条本文並びに第七十四条第一項(第四号及び第五号に係る部分に限る。第十一項において同じ。)及び第二項の規定は、第二項の報酬及び前項の裁定について準用する。この場合において、第七十条第三項中「著作権者」とあり、及び同条第六項中「申請者に通知し、第六十八条第一項又は前条の裁定をしたときは、その旨を当事者」とあるのは「当事者」と、第七十四条第二項中「著作権者」とあるのは「第九十三条の三第三項に規定する指定報酬管理事業者」と読み替えるものとする。

 10 前項において準用する第七十二条第一項の訴えにおいては、訴えを提起する者が放送事業者若しくは放送同時配信等事業者又はその団体であるときは指定報酬管理事業者を、指定報酬管理事業者であるときは放送事業者若しくは放送同時配信等事業者又はその団体を、それぞれ被告としなければならない。

 11 第九項において準用する第七十四条第一項及び第二項の規定による報酬の供託は、指定報酬管理事業者の所在地の最寄りの供託所にするものとする。この場合において、供託をした者は、速やかにその旨を指定報酬管理事業者に通知しなければならない。

 12 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、第七項の協議による定め及びこれに基づいてする行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いる場合及び関連事業者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

 13 第二項から前項までに定めるもののほか、第二項の報酬の支払及び指定報酬管理事業者に関し必要な事項は、政令で定める。

  (特定実演家と連絡することができない場合の放送同時配信等)

 第九十四条 第九十三条の二第一項の規定により同項第一号に掲げる放送において実演が放送される場合において、当該放送を行う放送事業者又は当該放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者は、次に掲げる措置の全てを講じてもなお当該実演に係る特定実演家と連絡することができないときは、契約に別段の定めがない限り、その事情につき、著作権等管理事業者であつて全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定したもの(以下この条において「指定補償金管理事業者」という。)の確認を受け、かつ、通常の使用料の額に相当する額の補償金であつて特定実演家に支払うべきものを指定補償金管理事業者に支払うことにより、放送事業者にあつては当該放送に用いる録音物又は録画物を用いて、放送同時配信等事業者にあつては当該放送に係る放送番組の供給を受けて、当該実演の放送同時配信等を行うことができる。

  一 当該特定実演家の連絡先を保有している場合には、当該連絡先に宛てて連絡を行うこと。

  二 著作権等管理事業者であつて実演について管理を行つているものに対し照会すること。

  三 前条第一項に規定する公表がされているかどうかを確認すること。

  四 放送同時配信等することを予定している放送番組の名称、当該特定実演家の氏名その他の文化庁長官が定める情報を文化庁長官が定める方法により公表すること。

 2 前項の確認を受けようとする放送事業者又は放送同時配信等事業者は、同項各号に掲げる措置の全てを適切に講じてもなお放送同時配信等しようとする実演に係る特定実演家と連絡することができないことを疎明する資料を指定補償金管理事業者に提出しなければならない。

 3 第一項の規定により補償金を受領した指定補償金管理事業者は、同項の規定により放送同時配信等された実演に係る特定実演家から請求があつた場合には、当該特定実演家に当該補償金を支払わなければならない。

 4 前条第四項の規定は第一項の規定による指定について、同条第五項から第十三項までの規定は第一項の補償金及び指定補償金管理事業者について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項第四号中「第二項の報酬を受ける権利を有する者(次項及び第七項において「権利者」という。)のためにその権利を行使する」とあるのは「次条第一項の確認及び同項の補償金に係る」と、同条第五項中「権利者」とあるのは「特定実演家」と、同条第六項中「第二項の報酬」とあるのは「次条第一項の確認及び同項の補償金」と、同条第七項中「第三項の規定により権利者のために請求することができる報酬」とあるのは「次条第一項の規定により受領する補償金」と読み替えるものとする。

  第九十四条の二中「次条第一項」を「第九十五条第一項」に改め、同条の次に次の一条を加える。

  (商業用レコードに録音されている実演の放送同時配信等)

 第九十四条の三 放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て商業用レコード(送信可能化されたレコードを含む。次項、次条第一項、第九十六条の三第一項及び第二項並びに第九十七条第一項及び第三項において同じ。)に録音されている実演(当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利について著作権等管理事業者による管理が行われているもの又は文化庁長官が定める方法により当該実演に係る特定実演家の氏名若しくは名称、放送同時配信等の許諾の申込みを受け付けるための連絡先その他の円滑な許諾のために必要な情報であつて文化庁長官が定めるものの公表がされているものを除く。)について放送同時配信等を行うことができる。

 2 前項の場合において、商業用レコードを用いて同項の実演の放送同時配信等を行つたときは、放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を当該実演に係る特定実演家に支払わなければならない。

 3 前項の補償金を受ける権利は、著作権等管理事業者であつて全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該著作権等管理事業者によつてのみ行使することができる。

 4 第九十三条の三第四項の規定は前項の規定による指定について、同条第五項から第十三項までの規定は第二項の補償金及び前項の規定による指定を受けた著作権等管理事業者について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項第四号中「第二項の報酬」とあるのは「第九十四条の三第二項の補償金」と、同条第七項及び第十項中「放送事業者」とあるのは「放送事業者、有線放送事業者」と読み替えるものとする。

  第九十五条第一項中「(送信可能化されたレコードを含む。第九十七条第一項及び第三項において同じ。)」を削り、同条第十三項中「(昭和二十二年法律第五十四号)」を削る。

  第九十六条の二の次に次の一条を加える。

  (商業用レコードの放送同時配信等)

 第九十六条の三 放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者は、商業用レコード(当該商業用レコードに係る前条に規定する権利(放送同時配信等に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)について著作権等管理事業者による管理が行われているもの又は文化庁長官が定める方法により当該商業用レコードに係る同条に規定する権利を有する者の氏名若しくは名称、放送同時配信等の許諾の申込みを受け付けるための連絡先その他の円滑な許諾のために必要な情報であつて文化庁長官が定めるものの公表がされているものを除く。次項において同じ。)を用いて放送同時配信等を行うことができる。

 2 前項の場合において、商業用レコードを用いて放送同時配信等を行つたときは、放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を当該商業用レコードに係る前条に規定する権利を有する者に支払わなければならない。

 3 前項の補償金を受ける権利は、著作権等管理事業者であつて全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該著作権等管理事業者によつてのみ行使することができる。

 4 第九十三条の三第四項の規定は前項の規定による指定について、同条第五項から第十三項までの規定は第二項の補償金及び前項の規定による指定を受けた著作権等管理事業者について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項第四号中「第二項の報酬」とあるのは「第九十六条の三第二項の補償金」と、同条第七項及び第十項中「放送事業者」とあるのは「放送事業者、有線放送事業者」と読み替えるものとする。

  第百二条第一項中「第九十二条第一項」の下に「、第九十二条の二第一項、第九十六条の二」を、「第九十二条第一項又は第百条の三」と」の下に「、同条第三項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条の二第一項又は第九十六条の二」と」を加え、同条第五項中「専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として送信可能化(公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものに限る。)」を「地域限定特定入力型自動公衆送信」に改め、同条第八項中「これを受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として送信可能化(公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものに限る。)」を「地域限定特定入力型自動公衆送信」に改め、同条第九項第一号中「若しくは第三項後段」を「、第三項第一号若しくは第五項第一号」に、「若しくは第二項」を「から第三項まで」に改め、同項第三号中「第四十四条第三項」を「第四十四条第四項」に、「又は有線放送事業者」を「、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者」に改める。

  第百三条中「及び第四項を」を「から第五項までを」に改め、「、放送又は有線放送の利用について」の下に「、第六十八条、第七十条(第四項第一号及び第七項を除く。)、第七十一条(第二号に係る部分に限る。)、第七十二条、第七十三条本文及び第七十四条の規定は著作隣接権者に協議を求めたがその協議が成立せず、又はその協議をすることができない場合における実演、レコード、放送又は有線放送の利用について」を加え、「第六十三条第五項」を「第六十三条第六項」に、「第七十条第五項中「前項」とあるのは「第百三条において準用する第六十七条第一項」と」を「第六十八条第二項中「第三十八条第二項及び第三項」とあるのは「第百二条第一項において準用する第三十八条第二項」と」に改める。

  第百十四条第四項中「(平成十二年法律第百三十一号)」及び「同条第三項に規定する」を削る。

第二条 著作権法の一部を次のように改正する。

  目次中「第二節 授業目的公衆送信補償金(第百四条の十一−第百四条の十七)」を

第二節 図書館等公衆送信補償金(第百四条の十の二−第百四条の十の八)

 

 

第三節 授業目的公衆送信補償金(第百四条の十一−第百四条の十七)

 に改める。

  第三十一条第一項中「この項及び第三項」を「この条及び第百四条の十の四第三項」に改め、「次項」の下に「及び第六項」を加え、同項第一号中「発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物」を「国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物(次項及び次条第二項において「国等の周知目的資料」という。)その他の著作物の全部の複製物の提供が著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情があるものとして政令で定めるもの」に改め、同条第七項を同条第十一項とし、同条第六項中「第四項」を「第八項」に、「第二項」を「第六項」に改め、同項を同条第十項とし、同条第五項を同条第九項とし、同条第四項中「第二項」を「第六項」に改め、同項第一号中「その氏名及び連絡先その他文部科学省令で定める情報」を「利用者情報」に改め、同項を同条第八項とし、同条第三項第二号中「第五項第二号」を「第九項第二号」に改め、同項を同条第七項とし、同条第二項中「前項各号」を「第一項各号」に、「第四項」を「第八項」に改め、「(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)」を削り、同項を同条第六項とし、同条第一項の次に次の四項を加える。

 2 特定図書館等においては、その営利を目的としない事業として、当該特定図書館等の利用者(あらかじめ当該特定図書館等にその氏名及び連絡先その他文部科学省令で定める情報(次項第三号及び第八項第一号において「利用者情報」という。)を登録している者に限る。第四項及び第百四条の十の四第四項において同じ。)の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(国等の周知目的資料その他の著作物の全部の公衆送信が著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情があるものとして政令で定めるものにあつては、その全部)について、次に掲げる行為を行うことができる。ただし、当該著作物の種類(著作権者若しくはその許諾を得た者又は第七十九条の出版権の設定を受けた者若しくはその公衆送信許諾を得た者による当該著作物の公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。以下この条において同じ。)の実施状況を含む。第百四条の十の四第四項において同じ。)及び用途並びに当該特定図書館等が行う公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

  一 図書館資料を用いて次号の公衆送信のために必要な複製を行うこと。

  二 図書館資料の原本又は複製物を用いて公衆送信を行うこと(当該公衆送信を受信して作成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)による著作物の提供又は提示を防止し、又は抑止するための措置として文部科学省令で定める措置を講じて行うものに限る。)。

 3 前項に規定する特定図書館等とは、図書館等であつて次に掲げる要件を備えるものをいう。

  一 前項の規定による公衆送信に関する業務を適正に実施するための責任者が置かれていること。

  二 前項の規定による公衆送信に関する業務に従事する職員に対し、当該業務を適正に実施するための研修を行つていること。

  三 利用者情報を適切に管理するために必要な措置を講じていること。

  四 前項の規定による公衆送信のために作成された電磁的記録に係る情報が同項に定める目的以外の目的のために利用されることを防止し、又は抑止するために必要な措置として文部科学省令で定める措置を講じていること。

  五 前各号に掲げるもののほか、前項の規定による公衆送信に関する業務を適正に実施するために必要な措置として文部科学省令で定める措置を講じていること。

 4 第二項の規定により公衆送信された著作物を受信した特定図書館等の利用者は、その調査研究の用に供するために必要と認められる限度において、当該著作物を複製することができる。

 5 第二項の規定により著作物の公衆送信を行う場合には、第三項に規定する特定図書館等を設置する者は、相当な額の補償金を当該著作物の著作権者に支払わなければならない。

  第三十二条第二項中「国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物」を「国等の周知目的資料」に改める。

  第四十七条の六第一項第二号中「第三項」を「第二項、第四項、第七項」に、「第五項」を「第九項」に改める。

  第四十七条の七中「第三項(」を「第七項(」に、「第三十一条第一項若しくは第三項」を「第三十一条第一項若しくは第七項」に改める。

  第四十九条第一項第一号及び第二項第一号中「第三項第一号若しくは第五項第一号」を「第二項第一号、第四項、第七項第一号若しくは第九項第一号」に改める。

  第八十一条第二号中「次条第一項第二号」の下に「及び第百四条の十の三第二号ロ」を加える。

  第八十六条第一項中「第三項(」を「第七項(」に改め、「第三十条の四ただし書」の下に「、第三十一条第一項第一号」を加え、同条第二項第一号中「第三十一条第五項第一号」を「第三十一条第四項若しくは第九項第一号」に改め、同項第二号中「第三項第一号」を「第七項第一号」に改め、同条第三項中「第三十一条第三項前段及び第四項」を「第三十一条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第五項、第七項前段及び第八項」に改め、「第三十条の四ただし書」の下に「、第三十一条第五項」を加え、「同条第一項ただし書」を「第三十一条第二項中「著作権者の」とあるのは「出版権者の」と、「著作権者若しくはその許諾を得た者又は第七十九条の出版権の設定を受けた者若しくは」とあるのは「第七十九条の出版権の設定を受けた者又は」と、第四十七条の五第一項ただし書」に改める。

  第百二条第九項第一号中「第三項第一号若しくは第五項第一号」を「第二項第一号、第四項、第七項第一号若しくは第九項第一号」に改める。

  第百四条の二第一項中「(以下この節において「指定管理団体」という。)」を削り、「当該指定管理団体」を「当該指定を受けた団体(以下この節において「指定管理団体」という。)」に改め、同条第二項中「前項の規定による指定がされた場合には、」を削る。

  第百四条の十一第一項中「(以下この節において「指定管理団体」という。)」を削り、「当該指定管理団体」を「当該指定を受けた団体(以下この節において「指定管理団体」という。)」に改め、同条第二項中「前項の規定による指定がされた場合には、」を削る。

  第五章第二節を同章第三節とし、同章第一節の次に次の一節を加える。

     第二節 図書館等公衆送信補償金

  (図書館等公衆送信補償金を受ける権利の行使)

 第百四条の十の二 第三十一条第五項(第八十六条第三項及び第百二条第一項において準用する場合を含む。第百四条の十の四第二項及び第百四条の十の五第二項において同じ。)の補償金(以下この節において「図書館等公衆送信補償金」という。)を受ける権利は、図書館等公衆送信補償金を受ける権利を有する者(次項及び次条第四号において「権利者」という。)のためにその権利を行使することを目的とする団体であつて、全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該指定を受けた団体(以下この節において「指定管理団体」という。)によつてのみ行使することができる。

 2 指定管理団体は、権利者のために自己の名をもつて図書館等公衆送信補償金を受ける権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。

  (指定の基準)

 第百四条の十の三 文化庁長官は、次に掲げる要件を備える団体でなければ前条第一項の規定による指定をしてはならない。

  一 一般社団法人であること。

  二 次に掲げる団体を構成員とすること。

   イ 第三十一条第二項(第八十六条第三項及び第百二条第一項において準用する場合を含む。次条第四項において同じ。)の規定による公衆送信(以下この節において「図書館等公衆送信」という。)に係る著作物に関し第二十三条第一項に規定する権利を有する者を構成員とする団体(その連合体を含む。)であつて、国内において図書館等公衆送信に係る著作物に関し同項に規定する権利を有する者の利益を代表すると認められるもの

   ロ 図書館等公衆送信に係る著作物に関する第二号出版権者を構成員とする団体(その連合体を含む。)であつて、国内において図書館等公衆送信に係る著作物に関する第二号出版権者の利益を代表すると認められるもの

  三 前号イ及びロに掲げる団体がそれぞれ次に掲げる要件を備えるものであること。

   イ 営利を目的としないこと。

   ロ その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。

   ハ その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。

  四 権利者のために図書館等公衆送信補償金を受ける権利を行使する業務(第百四条の十の六第一項の事業に係る業務を含む。以下この節において「補償金関係業務」という。)を的確に遂行するに足りる能力を有すること。

  (図書館等公衆送信補償金の額)

 第百四条の十の四 第百四条の十の二第二項の規定により指定管理団体が図書館等公衆送信補償金を受ける権利を行使する場合には、指定管理団体は、図書館等公衆送信補償金の額を定め、文化庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 2 前項の認可があつたときは、図書館等公衆送信補償金の額は、第三十一条第五項の規定にかかわらず、その認可を受けた額とする。

 3 指定管理団体は、第一項の認可の申請に際し、あらかじめ、図書館等を設置する者の団体で図書館等を設置する者の意見を代表すると認められるものの意見を聴かなければならない。

 4 文化庁長官は、第一項の認可の申請に係る図書館等公衆送信補償金の額が、第三十一条第二項の規定の趣旨、図書館等公衆送信に係る著作物の種類及び用途並びに図書館等公衆送信の態様に照らした著作権者等の利益に与える影響、図書館等公衆送信により電磁的記録を容易に取得することができることにより特定図書館等の利用者が受ける便益その他の事情を考慮した適正な額であると認めるときでなければ、その認可をしてはならない。

 5 文化庁長官は、第一項の認可をするときは、文化審議会に諮問しなければならない。

  (補償金関係業務の執行に関する規程)

 第百四条の十の五 指定管理団体は、補償金関係業務を開始しようとするときは、補償金関係業務の執行に関する規程を定め、文化庁長官に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 2 前項の規程には、図書館等公衆送信補償金の分配に関する事項を含むものとし、指定管理団体は、第三十一条第五項の規定の趣旨を考慮して当該分配に関する事項を定めなければならない。

  (著作権等の保護に関する事業等のための支出)

 第百四条の十の六 指定管理団体は、図書館等公衆送信補償金の総額のうち、図書館等公衆送信による著作物の利用状況、図書館等公衆送信補償金の分配に係る事務に要する費用その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算出した額に相当する額を、著作権、出版権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業のために支出しなければならない。

 2 文化庁長官は、前項の政令の制定又は改正の立案をするときは、文化審議会に諮問しなければならない。

 3 文化庁長官は、第一項の事業に係る業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、指定管理団体に対し、当該業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

  (報告の徴収等)

 第百四条の十の七 文化庁長官は、指定管理団体の補償金関係業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、指定管理団体に対し、補償金関係業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求め、又は補償金関係業務の執行方法の改善のため必要な勧告をすることができる。

  (政令への委任)

 第百四条の十の八 この節に規定するもののほか、指定管理団体及び補償金関係業務に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、令和四年一月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 附則第七条の規定 公布の日

 二 附則第三条及び第四条の規定 令和三年十月一日

 三 第一条中著作権法第三条第一項の改正規定、同法第四条第一項の改正規定、同法第三十一条の改正規定、同法第三十八条第一項の改正規定、同法第四十七条の六第一項第二号の改正規定、同法第四十七条の七の改正規定、同法第四十九条第一項第一号の改正規定(「若しくは第三項後段」を「、第三項第一号若しくは第五項第一号」に改める部分に限る。)、同条第二項第一号の改正規定、同法第八十六条の改正規定及び同法第百二条第九項第一号の改正規定(「若しくは第三項後段」を「、第三項第一号若しくは第五項第一号」に改める部分に限る。)並びに附則第五条の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日

 四 第二条の規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日

 (経過措置)

第二条 第一条の規定(前条第三号に掲げる改正規定を除く。)による改正後の著作権法(以下「第一条改正後著作権法」という。)第二十九条第二項及び第三項の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に創作される映画の著作物の著作権の帰属について適用し、施行日前に創作された映画の著作物の著作権の帰属については、なお従前の例による。

 (放送同時配信等の対象としない自動公衆送信を定めるための準備行為)

第三条 文化庁長官は、第一条改正後著作権法第二条第一項第九号の七に規定する著作権者、出版権者若しくは著作隣接権者の利益を不当に害するおそれがある自動公衆送信又は広く国民が容易に視聴することが困難な自動公衆送信を定めるために、施行日前においても、総務大臣に協議することができる。

 (著作権等管理事業者の指定等に関する準備行為)

第四条 文化庁長官は、施行日前においても、第一条改正後著作権法第九十三条の三第三項、第九十四条第一項、第九十四条の三第三項又は第九十六条の三第三項の規定及び第一条改正後著作権法第九十三条の三第四項(第一条改正後著作権法第九十四条第四項、第九十四条の三第四項及び第九十六条の三第四項において準用する場合を含む。)の規定の例により、著作権等管理事業者(第一条改正後著作権法第二条第一項第二十三号に規定する著作権等管理事業者をいう。以下この条において同じ。)の指定をすることができる。この場合において、それらの指定は、施行日以後は、それぞれ第一条改正後著作権法第九十三条の三第三項、第九十四条第一項、第九十四条の三第三項又は第九十六条の三第三項の規定による指定とみなす。

2 前項の規定による指定を受けた著作権等管理事業者は、施行日前においても、第一条改正後著作権法第九十三条の三第七項及び第十二項(これらの規定を第一条改正後著作権法第九十四条第四項、第九十四条の三第四項及び第九十六条の三第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の例により、令和四年の第一条改正後著作権法第九十三条の三第七項に規定する報酬又は補償金の額について、放送事業者、有線放送事業者若しくは放送同時配信等事業者(第一条改正後著作権法第二条第一項第九号の八に規定する放送同時配信等事業者をいう。附則第八条第一項において同じ。)又はその団体と協議して定めることができる。

 (団体の指定等に関する準備行為)

第五条 文化庁長官は、附則第一条第四号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第四号施行日」という。)前においても、第二条の規定による改正後の著作権法(以下この条及び附則第八条第二項において「第二条改正後著作権法」という。)第百四条の十の二第一項及び第百四条の十の三の規定の例により、団体の指定をすることができる。この場合において、当該指定は、第四号施行日以後は、第二条改正後著作権法第百四条の十の二第一項の規定による指定とみなす。

2 前項の規定による指定を受けた団体は、第四号施行日前においても、第二条改正後著作権法第百四条の十の四第一項及び第三項の規定の例により、同項の意見を聴き、及び同条第一項の認可の申請をすることができる。

3 文化庁長官は、前項の規定による認可の申請があった場合には、第四号施行日前においても、第二条改正後著作権法第百四条の十の四第四項及び第五項の規定の例により、文化審議会に諮問し、及びその認可をすることができる。この場合において、当該認可は、第四号施行日以後は、同条第一項の規定による認可とみなす。

4 第一項の規定による指定を受けた団体は、第四号施行日前においても、第二条改正後著作権法第百四条の十の五の規定の例により、同条第一項の補償金関係業務の執行に関する規程を定め、文化庁長官に届け出ることができる。この場合において、当該届出は、第四号施行日以後は、同項の規定による届出とみなす。

5 文化庁長官は、第二条改正後著作権法第百四条の十の六第一項の政令の制定の立案のために、第四号施行日前においても、文化審議会に諮問することができる。

 (罰則についての経過措置)

第六条 この法律(附則第一条第三号及び第四号に掲げる規定にあっては、当該各規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第七条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に係る経過措置を含む。)は、政令で定める。

 (検討等)

第八条 政府は、この法律の施行後三年を目途として、放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者が業として行う放送同時配信等(第一条改正後著作権法第二条第一項第九号の七に規定する放送同時配信等をいう。以下この項において同じ。)の実施状況、これらの者による著作隣接権者への報酬及び補償金の支払の状況その他の第一条改正後著作権法の施行の状況を勘案し、放送同時配信等における著作物、実演及びレコードの公正な利用並びに著作権者及び著作隣接権者の適正な利益の確保に資する施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

2 政府は、第二条改正後著作権法第三十一条第三項に規定する特定図書館等の設置者による図書館等公衆送信補償金(第二条改正後著作権法第百四条の十の二第一項に規定する図書館等公衆送信補償金をいう。以下この項において同じ。)の支払に要する費用を第二条改正後著作権法第三十一条第二項に規定する特定図書館等の利用者の負担に適切に反映させることが重要であることに鑑み、その費用の円滑かつ適正な転嫁に寄与するため、図書館等公衆送信補償金の趣旨及び制度の内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解と協力を得るよう努めなければならない。

(文部科学・内閣総理大臣署名)

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