法律第七十一号(令四・六・一七)
◎労働者協同組合法等の一部を改正する法律
(労働者協同組合法の一部改正)
第一条 労働者協同組合法(令和二年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三章 労働者協同組合連合会(第九十五条−第百二十三条)」を
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第二章の二 特定労働者協同組合(第九十四条の二−第九十四条の十九) |
」 |
第三章 労働者協同組合連合会(第九十五条−第百二十三条) |
に、「第百三十三条」を「第百三十二条の二」に改める。
第三条第六項第一号中「次号」の下に「及び第九十四条の四第四号」を加え、同項第二号中「第三十五条第五号」の下に「及び第九十四条の四」を加える。
第三十五条第三号中「除く」の下に「。第九十四条の四第一号ロにおいて同じ」を加える。
第四十二条第一項中「この条及び第四十五条第五項」を「この章及び次章」に改める。
第二章の次に次の一章を加える。
第二章の二 特定労働者協同組合
(認定)
第九十四条の二 組合は、次条各号に掲げる基準に適合する組合であることについての行政庁の認定を受けることができる。
(認定の基準)
第九十四条の三 行政庁は、前条の認定の申請をした組合が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、当該組合について同条の認定をするものとする。
一 その定款に剰余金の配当を行わない旨の定めがあること。
二 その定款に解散した場合において組合員に対しその出資額を限度として分配した後の残余財産が国若しくは地方公共団体又は他の特定労働者協同組合(前条の認定を受けた組合をいう。以下同じ。)に帰属する旨の定めがあること。
三 前二号の定款の定めに反する行為(前二号及び次号に掲げる基準の全てに該当していた期間において、剰余金の配当又は残余財産の分配若しくは引渡し以外の方法(合併による資産の移転を含む。)により特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含む。)を行うことを決定し、又は行ったことがないこと。
四 各理事(清算人を含む。以下この号において同じ。)について、当該理事及び当該理事の配偶者又は三親等以内の親族その他の当該理事と厚生労働省令で定める特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が、三分の一以下であること。
(欠格事由)
第九十四条の四 前条の規定にかかわらず、次のいずれかに該当する組合は、第九十四条の二の認定を受けることができない。
一 その役員のうちに、次のいずれかに該当する者があるもの
イ 特定労働者協同組合が第九十四条の十九第一項又は第二項の規定により第九十四条の二の認定を取り消された場合において、その取消しの原因となった事実があった日以前一年内に当該特定労働者協同組合の業務を行う理事であった者でその取消しの日から二年を経過しないもの
ロ この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は刑法第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
ハ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
ニ 暴力団の構成員等
二 第九十四条の十九第一項又は第二項の規定により第九十四条の二の認定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しないもの
三 その定款の内容が法令又は法令に基づく行政庁の処分に違反しているもの
四 次のいずれかに該当するもの
イ 暴力団
ロ 暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にあるもの
(認定の申請)
第九十四条の五 第九十四条の二の認定の申請は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を行政庁に提出してしなければならない。
一 名称及び代表理事の氏名
二 事業を行う都道府県の区域及び事務所の所在場所
2 前項の申請書には、定款その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。
(認定に関する意見聴取)
第九十四条の六 行政庁は、第九十四条の二の認定をしようとするときは、第九十四条の四第一号ニ及び第四号に規定する事由の有無について、警視総監又は道府県警察本部長の意見を聴くことができる。
(名称の使用制限)
第九十四条の七 特定労働者協同組合でない者は、その名称中に、特定労働者協同組合であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
(認定の公示)
第九十四条の八 行政庁は、第九十四条の二の認定をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
(変更の認定)
第九十四条の九 特定労働者協同組合は、主たる事務所の所在場所の変更をしようとするときは、行政庁の認定を受けなければならない。ただし、厚生労働省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
2 前項の変更の認定を受けようとする特定労働者協同組合は、厚生労働省令で定めるところにより、変更に係る事項を記載した申請書を行政庁に提出しなければならない。
3 前項の申請書には、厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。
4 第九十四条の三及び第九十四条の四(第二号を除く。)の規定は第一項の変更の認定について、前条の規定は同項の変更の認定をしたときについて、それぞれ準用する。
5 第二項の申請書は、変更前の行政庁を経由して変更後の行政庁に提出しなければならない。
6 第一項の変更の認定をしたときは、変更後の行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、変更前の行政庁から事務の引継ぎを受けなければならない。
(変更の届出)
第九十四条の十 特定労働者協同組合は、名称又は代表理事の氏名の変更(合併に伴うものを除く。)があったときは、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を行政庁に届け出なければならない。
2 行政庁は、前項の規定による届出があったときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
(監事の選任等の特例)
第九十四条の十一 特定労働者協同組合は、監事のうち一人以上は、第三十二条第五項各号に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならない。
2 前章第五節第四款の規定は、特定労働者協同組合については、適用しない。
(報酬規程等の作成、備置き及び閲覧等)
第九十四条の十二 特定労働者協同組合は、毎事業年度初めの三月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる書類を作成しなければならない。
一 前事業年度の特定労働者協同組合の事業に従事する者に対する報酬及び給与の支給に関する規程
二 前事業年度の役員名簿(役員の氏名及び住所を記載した名簿をいう。第六項及び第九十四条の十四において同じ。)
三 前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める書類
2 前項各号に掲げる書類(以下「報酬規程等」という。)は、電磁的記録をもって作成することができる。
3 特定労働者協同組合は、報酬規程等を作成した時から五年間、当該報酬規程等をその主たる事務所に備え置かなければならない。
4 特定労働者協同組合は、報酬規程等を作成した時から三年間、当該報酬規程等の写しをその従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、当該報酬規程等が電磁的記録をもって作成されている場合であって、従たる事務所における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として厚生労働省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
5 何人も、特定労働者協同組合に対して、その業務取扱時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、特定労働者協同組合は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
一 報酬規程等、定款、貸借対照表又は損益計算書が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求
二 報酬規程等、定款、貸借対照表又は損益計算書が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
6 前項の規定にかかわらず、特定労働者協同組合は、役員名簿について同項の請求があった場合には、これに記載され、又は記録された事項中、個人の住所に係る記載又は記録の部分を除外して、同項の閲覧をさせることができる。
(報酬規程等の提出)
第九十四条の十三 特定労働者協同組合は、厚生労働省令で定めるところにより、毎事業年度一回、報酬規程等を行政庁に提出しなければならない。ただし、前条第一項第一号に掲げる書類については、既に行政庁に提出されている当該書類の内容に変更がない場合は、この限りでない。
(報酬規程等、貸借対照表等の公開)
第九十四条の十四 行政庁は、特定労働者協同組合から提出を受けた報酬規程等、貸借対照表若しくは損益計算書(過去五年間に提出を受けたものに限る。)又は定款について閲覧又は謄写の請求があったときは、厚生労働省令で定めるところにより、これらの書類(役員名簿については、これに記載された事項中、個人の住所に係る記載の部分を除いたもの)を閲覧させ、又は謄写させなければならない。
(剰余金の配当の禁止等)
第九十四条の十五 特定労働者協同組合は、剰余金の配当をしてはならない。
2 第三条第二項(第五号に係る部分に限る。)、第七十七条及び第七十八条の規定は、特定労働者協同組合については、適用しない。
(合併の公示)
第九十四条の十六 行政庁は、特定労働者協同組合を全部又は一部の当事者とする合併について第九十一条の規定による届出があったときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
(残余財産の分配等)
第九十四条の十七 特定労働者協同組合の清算人は、特定労働者協同組合の債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを組合員に対し、出資口数に応じて分配しなければならない。
2 前項の規定により組合員に分配することができる金額は、その出資額を限度とする。
3 第一項の規定による分配の結果なお残余財産がある場合は、その財産は、次条第一項の規定による行政庁に対する清算結了の届出の時において、定款で定めるところにより、国若しくは地方公共団体又は他の特定労働者協同組合に帰属する。
4 第一項及び前項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
(清算結了の届出等)
第九十四条の十八 特定労働者協同組合の清算人は、清算が結了したときは、遅滞なく、その旨を行政庁に届け出なければならない。
2 行政庁は、特定労働者協同組合から第八十条第三項又は前項の規定による届出があったときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
(認定の取消し)
第九十四条の十九 行政庁は、特定労働者協同組合が次のいずれかに該当するときは、第九十四条の二の認定を取り消さなければならない。
一 第九十四条の四各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
二 偽りその他不正の手段により第九十四条の二の認定又は第九十四条の九第一項の変更の認定を受けたとき。
三 第九十四条の十五第一項又は第九十四条の十七の規定を遵守していないとき。
四 正当な理由がなく、第百二十七条第一項の規定による命令に従わないとき。
五 特定労働者協同組合から第九十四条の二の認定の取消しの申請があったとき。
2 行政庁は、特定労働者協同組合が次のいずれかに該当するときは、第九十四条の二の認定を取り消すことができる。
一 第九十四条の三各号に掲げる基準のいずれかに適合しなくなったとき。
二 第九十四条の十一第一項、第九十四条の十二第一項若しくは第三項から第五項まで又は第九十四条の十三の規定を遵守していないとき。
三 前二号に掲げるもののほか、法令又は法令に基づく行政庁の処分に違反したとき。
3 行政庁は、前二項の規定により第九十四条の二の認定を取り消したときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
第百二十八条中「第三条第六項各号に該当する疑い」の下に「若しくは特定労働者協同組合について第九十四条の四第四号に該当する疑い」を、「)に該当する疑い」の下に「若しくは特定労働者協同組合の役員について第九十四条の四第一号ニに該当する疑い」を加える。
第百二十九条中「第三条第六項各号に該当すると疑うに足りる相当な理由」の下に「若しくは特定労働者協同組合について第九十四条の四第四号に該当すると疑うに足りる相当な理由」を、「第三十五条第五号に該当すると疑うに足りる相当な理由」の下に「若しくは特定労働者協同組合の役員について第九十四条の四第一号ニに該当すると疑うに足りる相当な理由」を、「当該組合」の下に「若しくは特定労働者協同組合」を加える。
第百三十三条中「該当する」の下に「場合には、その違反行為をした」を加え、同条各号中「者」を「とき。」に改め、第五章中同条の前に次の一条を加える。
第百三十二条の二 偽りその他不正の手段により第九十四条の二の認定又は第九十四条の九第一項の変更の認定を受けた場合には、その違反行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第百三十四条中「前条」を「前二条」に、「同条」を「各本条」に改める。
第百三十六条第一項第三号中「又は第八十六条第一項」を「、第八十六条第一項」に、「)の規定に」を「)の規定又は第九十四条の十二第一項若しくは第三項から第五項までの規定に」に改め、同項第六号中「規定又は」の下に「第九十四条の十第一項若しくは」を加え、同項第八号中「の規定」の下に「又は第九十四条の十一第一項の規定」を、「、第三十二条第五項」の下に「又は第九十四条の十一第一項」を加え、同項第二十七号を同項第三十号とし、同項第二十六号を同項第二十九号とし、同項第二十五号の次に次の三号を加える。
二十六 第九十四条の十三の規定に違反して、報酬規程等を提出せず、又はこれに虚偽の記載をして提出したとき。
二十七 第九十四条の十五第一項の規定に違反して剰余金の配当をしたとき。
二十八 第九十四条の十七の規定に違反して残余財産を処分したとき。
第百三十七条第三号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。
三 第九十四条の七の規定に違反して、特定労働者協同組合であると誤認されるおそれのある文字をその名称中に用いた者
附則第二十六条の次に次の一条を加える。
(組織変更後組合が第九十四条の二の認定を受ける場合等の特例)
第二十六条の二 組織変更後組合に係る第九十四条の三の規定の適用については、同条第二号中「おいて」とあるのは、「おいて残余財産(附則第十八条第一項第二号の特定残余財産を除く。)を」とする。
2 特定労働者協同組合である組織変更後組合に係る第九十四条の九第四項、第九十四条の十七第一項、第九十四条の十九第一項及び第二項並びに第百三十六条第一項並びに附則第十八条第二項及び第二十五条の規定の適用については、第九十四条の九第四項中「第九十四条の三」とあるのは「附則第二十六条の二第一項の規定により読み替えて適用する第九十四条の三」と、第九十四条の十七第一項中「残余財産」とあるのは「残余財産(附則第十八条第一項第二号の特定残余財産を除く。第三項において同じ。)」と、第九十四条の十九第一項第三号中「第九十四条の十七」とあるのは「附則第二十六条の二第二項の規定により読み替えて適用する第九十四条の十七」と、同条第二項第一号中「第九十四条の三各号」とあるのは「附則第二十六条の二第一項の規定により読み替えて適用する第九十四条の三各号」と、第百三十六条第一項第二十八号中「第九十四条の十七」とあるのは「附則第二十六条の二第二項の規定により読み替えて適用する第九十四条の十七」と、附則第十八条第二項中「特定非営利活動法人その他特定非営利活動促進法第十一条第三項各号」とあるのは「特定非営利活動促進法第十一条第三項第一号」と、附則第二十五条中「第三十二条」とあるのは「第三十二条、第三十二条の三」とする。
(地方税法の一部改正)
第二条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第二号中「職業訓練法人並びに」を「職業訓練法人、」に改め、「都道府県職業能力開発協会」の下に「並びに労働者協同組合(労働者協同組合法(令和二年法律第七十八号)第九十四条の三第二号に規定する特定労働者協同組合に限る。)」を加える。
(租税特別措置法の一部改正)
第三条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第四十一条の十二の二第一項中「除く。)」の下に「、労働者協同組合」を加える。
第四十二条の三の二第一項の表の第二号の第一欄中「及び一般財団法人」を「、一般財団法人及び労働者協同組合」に改める。
(所得税法の一部改正)
第四条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
第百七十七条第一項及び第二百二十五条第一項第十一号中「除く。)」の下に「、労働者協同組合」を加える。
(法人税法の一部改正)
第五条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
第三十七条第四項中「及び一般財団法人」を「、一般財団法人及び労働者協同組合」に改める。
第六十六条第一項中「及び一般財団法人」を「、一般財団法人及び労働者協同組合」に改め、同条第二項中「)のうち」を「)若しくは一般社団法人等のうち、」に改め、「、一般社団法人等」を削る。
別表第二に次のように加える。
労働者協同組合(労働者協同組合法(令和二年法律第七十八号)第九十四条の三第二号(認定の基準)に規定する特定労働者協同組合に限る。) |
労働者協同組合法 |
別表第三労働者協同組合連合会の項中「(令和二年法律第七十八号)」を削る。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、労働者協同組合法の施行の日から施行する。ただし、第四条中所得税法第百七十七条第一項及び第二百二十五条第一項第十一号の改正規定(第百七十七条第一項に係る部分に限る。)は、令和五年十月一日から施行する。
(名称の使用制限に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際現にその名称中に特定労働者協同組合であると誤認されるおそれのある文字を用いている者については、第一条の規定による改正後の労働者協同組合法第九十四条の七の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律の一部改正)
第三条 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和四年法律第六十八号)の一部を次のように改正する。
第二百七十三条のうち労働者協同組合法第三十五条第四号の改正規定中「第三十五条第四号」の下に「及び第九十四条の四第一号ハ」を加える。
第二百七十三条に次のように加える。
第百三十二条の二中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
(総務・財務・厚生労働・内閣総理大臣署名)