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法律第二十三号(令五・五・一二)

  ◎気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律

 (気候変動適応法の一部改正)

第一条 気候変動適応法(平成三十年法律第五十号)の一部を次のように改正する。

  目次中

第三章 気候変動適応の推進(第十一条−第十五条)

第四章 補則(第十六条−第二十条)

 を

第三章 気候変動適応の推進

 第一節 気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の提供等(第十一条−第十五条)

 第二節 熱中症対策の推進(第十六条−第二十四条)

第四章 補則(第二十五条−第二十九条)

第五章 罰則(第三十条)

 に改める。

  第一条中「提供」の下に「、熱中症対策の推進」を加える。

  第二条に次の一項を加える。

 3 この法律において「熱中症対策」とは、気候変動適応のうち、熱中症による人の健康に係る被害の発生を防止するために国若しくは地方公共団体が講ずる施策又は事業者若しくは国民が行う取組をいう。

  第七条第二項中第十号を第十一号とし、第九号の次に次の一号を加える。

  十 第十六条第一項に規定する熱中症対策実行計画に関する基本的事項

  第三章中第十一条の前に次の節名を付する。

     第一節 気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の提供等

  第十一条第一項第一号中「提供」の下に「(第二十条第一項の規定による調査に係るものを除く。)」を加え、同項第二号中「市町村」の下に「(特別区を含む。以下同じ。)」を加える。

  第二十条を第二十九条とし、第十九条を第二十八条とし、第十八条を第二十七条とする。

  第十七条中「国は」の下に「、第二十四条に定めるもののほか」を加え、同条を第二十六条とし、第十六条を第二十五条とする。

  第三章に次の一節を加える。

     第二節 熱中症対策の推進

  (熱中症対策実行計画の策定)

 第十六条 政府は、気候変動適応計画に即して、熱中症対策の集中的かつ計画的な推進を図るため、熱中症対策の実行に関する計画(以下この条及び次条において「熱中症対策実行計画」という。)を定めなければならない。

 2 熱中症対策実行計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

  一 計画期間

  二 熱中症対策の推進に関する目標

  三 前号の目標を達成するために必要な国及び地方公共団体の施策に関する事項

  四 事業者及び国民による熱中症対策に係る取組の内容に関する事項

  五 熱中症対策に関して独立行政法人環境再生保全機構が果たすべき役割に関する事項

  六 その他熱中症対策実行計画の実施に関し必要な事項

 3 第七条第三項から第五項までの規定は、熱中症対策実行計画の策定について準用する。

  (熱中症対策実行計画の変更)

 第十七条 政府は、熱中症による人の健康に係る被害の状況その他の事情を勘案して、熱中症対策実行計画について検討を加え、必要があると認めるときは、速やかに、これを変更しなければならない。

 2 第七条第三項から第五項までの規定は、熱中症対策実行計画の変更について準用する。

  (熱中症警戒情報)

 第十八条 環境大臣は、気温が著しく高くなることにより熱中症による人の健康に係る被害が生ずるおそれがある場合として環境省令で定める場合に該当すると認めるときは、期間及び地域を明らかにして、当該被害の発生を警戒すべき旨の情報(第二十条において「熱中症警戒情報」という。)を発表し、必要に応じ放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(次条第一項において「報道機関」という。)の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。

  (熱中症特別警戒情報)

 第十九条 環境大臣は、気温が特に著しく高くなることにより熱中症による人の健康に係る重大な被害が生ずるおそれがある場合として環境省令で定める場合に該当すると認めるときは、期間、地域その他環境省令で定める事項を明らかにして、当該被害の発生を特に警戒すべき旨の情報(以下この節において「熱中症特別警戒情報」という。)を発表し、関係都道府県知事に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。

 2 都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、関係市町村長(特別区の区長を含む。)にその旨を通知しなければならない。

 3 市町村長(特別区の区長を含む。以下この節において同じ。)は、前項の規定による通知を受けたときは、当該通知に係る事項を住民及び関係のある公私の団体に伝達しなければならない。

  (調査及び協力)

 第二十条 環境大臣は、気象に関する情報、熱中症による人の健康に係る被害に関する情報その他の情報を活用しつつ、熱中症警戒情報又は熱中症特別警戒情報を的確かつ迅速に発表するための調査を行うものとする。

 2 気象庁長官は、熱中症警戒情報又は熱中症特別警戒情報の的確かつ迅速な発表に資するよう、環境大臣に対し、気象に関する情報の提供その他の必要な協力を行うものとする。

  (指定暑熱避難施設)

 第二十一条 市町村長は、熱中症による人の健康に係る被害の発生を防止するため、当該市町村の区域内に存する施設であって次に掲げる基準に適合するものを指定暑熱避難施設として指定することができる。

  一 当該施設が、適当な冷房設備を有すること。

  二 当該施設の存する区域に係る熱中症特別警戒情報が発表されたときは、当該施設を住民その他の者に開放することができることその他当該施設の管理方法が環境省令で定める基準に適合するものであること。

 2 市町村長は、前項の規定により当該市町村以外の者が管理する施設を指定暑熱避難施設として指定しようとするときは、当該施設の管理者の同意を得なければならない。

 3 市町村長は、第一項の規定により当該市町村以外の者が管理する施設を指定暑熱避難施設として指定したときは、当該指定暑熱避難施設の管理者との間において、次に掲げる事項を定めた協定を締結するものとする。

  一 協定の目的となる指定暑熱避難施設(次号、第三号及び次条第一項第三号において「協定指定暑熱避難施設」という。)

  二 協定指定暑熱避難施設を開放することができる日及び時間帯(次項及び第五項において「開放可能日等」という。)

  三 協定指定暑熱避難施設の開放により受け入れることが可能であると見込まれる人数

  四 その他環境省令で定める事項

 4 市町村長は、第一項の規定により当該市町村が管理する施設を指定暑熱避難施設として指定したとき、及び前項の規定により協定を締結したときは、指定暑熱避難施設の名称、所在地、開放可能日等及び開放により受け入れることが可能であると見込まれる人数を公表しなければならない。

 5 指定暑熱避難施設の管理者は、当該指定暑熱避難施設の存する区域に係る熱中症特別警戒情報が発表されたときは、当該熱中症特別警戒情報に係る第十九条第一項の期間のうち前項の規定により公表された開放可能日等において、当該指定暑熱避難施設を開放しなければならない。

 6 第四項の規定は、同項の規定により公表した事項の変更について準用する。

 第二十二条 市町村長は、次の各号のいずれかに該当するときは、前条第一項の規定による指定を取り消すものとする。

  一 指定暑熱避難施設が廃止されたとき。

  二 指定暑熱避難施設が前条第一項各号に掲げる基準に適合しなくなったと認めるとき。

  三 協定指定暑熱避難施設について前条第三項の協定が廃止されたとき。

 2 市町村長は、前項に規定する場合のほか、指定暑熱避難施設として指定する必要がないと認めるに至ったときは、前条第一項の規定による指定を取り消すことができる。

 3 市町村長は、前二項の規定による指定の取消しをしたときは、その旨を公表しなければならない。

  (熱中症対策普及団体)

 第二十三条 市町村長は、一般社団法人又は一般財団法人、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他環境省令で定める法人であって、第三項各号に掲げる事業(以下この条において「熱中症対策普及事業」という。)に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、熱中症対策普及団体(以下この条及び次条において「普及団体」という。)として指定することができる。

  一 職員、業務の方法その他の事項についての熱中症対策普及事業の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すると認められること。

  二 個人に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置その他熱中症対策普及事業を適正かつ確実に実施するために必要な措置として環境省令で定める措置が講じられていること。

  三 熱中症対策普及事業以外の事業を行っている場合には、その事業を行うことによって熱中症対策普及事業の適正かつ確実な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。

  四 前三号に定めるもののほか、熱中症対策普及事業を適正かつ確実に実施することができると認められること。

 2 市町村長は、前項の申請をした者が、次の各号のいずれかに該当するときは、同項の規定による指定をしてはならない。

  一 第六項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者であること。

  二 その役員のうちに、この法律に規定する罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けなくなった日から二年を経過しない者があること。

 3 普及団体は、次に掲げる事業を行うものとする。

  一 熱中症対策について、当該市町村の区域に所在する事業者及び当該市町村の住民に対する啓発活動及び広報活動を行うこと。

  二 熱中症対策について、当該市町村の住民からの相談に応じ、及び必要な助言を行うこと。

  三 前二号に掲げるもののほか、当該市町村の区域における熱中症対策の推進を図るために必要な業務を行うこと。

 4 市町村長は、熱中症対策普及事業の適正かつ確実な実施を確保するために必要があると認めるときは、普及団体に対し、その熱中症対策普及事業に関し報告をさせることができる。

 5 市町村長は、普及団体の熱中症対策普及事業の運営に関し改善が必要であると認めるときは、当該普及団体に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 6 市町村長は、普及団体が次の各号のいずれかに該当するときは、第一項の規定による指定を取り消すことができる。

  一 熱中症対策普及事業を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。

  二 前項の規定による命令に違反したとき。

 7 普及団体の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、第三項第二号に掲げる事業に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

 8 第一項の規定による指定の手続その他普及団体に関し必要な事項は、環境省令で定める。

 第二十四条 環境大臣及び関係地方公共団体は、普及団体に対し、その事業の実施に必要な情報の提供又は指導若しくは助言をするものとする。

  本則に次の一章を加える。

    第五章 罰則

 第三十条 第二十三条第七項の規定に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

 (独立行政法人環境再生保全機構法の一部改正)

第二条 独立行政法人環境再生保全機構法(平成十五年法律第四十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条中「技術開発等」を「技術開発、熱中症対策に関する情報の整理等」に改める。

  第十条第一項中第十一号を第十三号とし、第十号の次に次の二号を加える。

  十一 気候変動適応法(平成三十年法律第五十号)第二十条第一項の規定による調査に係る情報の整理、分析及び提供を行うこと。

  十二 地域における熱中症対策(気候変動適応法第二条第三項に規定する熱中症対策をいう。)の推進に必要な情報の収集、整理、分析及び提供並びに研修を行うこと。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 次条及び附則第四条の規定 公布の日

 二 第一条中気候変動適応法目次の改正規定、同法第一条の改正規定、同法第二条に一項を加える改正規定、同法第七条第二項の改正規定、同法第二十条を同法第二十九条とし、同法第十九条を同法第二十八条とし、同法第十八条を同法第二十七条とする改正規定、同法第十七条を改め、同条を同法第二十六条とし、同法第十六条を同法第二十五条とする改正規定(同法第十七条を改める部分を除く。)及び同法第三章に一節を加える改正規定(第十六条及び第十七条に係る部分に限る。) 公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日

 (準備行為)

第二条 政府は、前条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第二号施行日」という。)前においても、第一条の規定(同号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の気候変動適応法(以下この条において「新気候変動適応法」という。)第七条第二項及び第八条の規定の例により、気候変動適応計画を変更することができる。この場合において、環境大臣は、第二号施行日前においても、同条第二項において準用する新気候変動適応法第七条第五項の規定の例により、これを公表することができる。

2 政府は、第二号施行日前においても、新気候変動適応法第十六条の規定の例により、熱中症対策実行計画を定めることができる。この場合において、環境大臣は、第二号施行日前においても、同条第三項において準用する新気候変動適応法第七条第五項の規定の例により、これを公表することができる。

3 第一項の規定により変更された気候変動適応計画及び前項の規定により定められた熱中症対策実行計画は、第二号施行日においてそれぞれ新気候変動適応法第八条及び第十六条の規定により変更され、及び定められたものとみなす。

 (罰則に関する経過措置)

第三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第五条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

(国土交通・環境・内閣総理大臣署名)

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