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法律第五十二号(令五・六・一四)

  ◎生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律

 (旅館業法の一部改正)

第一条 旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。

  第二条に次の一項を加える。

 6 この法律で「特定感染症」とは、次に掲げる感染症をいう。

  一 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)第六条第二項に規定する一類感染症(第四条の二第一項第二号及び第二項第一号において単に「一類感染症」という。)

  二 感染症法第六条第三項に規定する二類感染症(第四条の二第一項第二号及び第二項第一号において単に「二類感染症」という。)

  三 感染症法第六条第七項に規定する新型インフルエンザ等感染症(第四条の二第一項第二号及び第二項第二号において単に「新型インフルエンザ等感染症」という。)

  四 感染症法第六条第八項に規定する指定感染症であつて、感染症法第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によつて感染症法第十九条若しくは第二十条又は第四十四条の三第二項の規定を準用するもの(第四条の二第一項第二号及び第二項第三号において単に「指定感染症」という。)

  五 感染症法第六条第九項に規定する新感染症(第四条の二第一項第二号及び第二項第二号において単に「新感染症」という。)

  第三条の四に次の一項を加える。

 2 営業者は、旅館業の施設において特定感染症のまん延の防止に必要な対策を適切に講じ、及び高齢者、障害者その他の特に配慮を要する宿泊者に対してその特性に応じた適切な宿泊に関するサービスを提供するため、その従業者に対して必要な研修の機会を与えるよう努めなければならない。

  第三条の四を第三条の五とし、第三条の三を第三条の四とする。

  第三条の二第一項中「前条第一項の許可を受けて旅館業を営む者(以下「営業者」という。)」を「営業者」に改め、同条第二項中「前条第二項」を「第三条第二項」に改め、同条を第三条の三とし、第三条の次に次の一条を加える。

 第三条の二 前条第一項の許可を受けて旅館業を営む者(以下「営業者」という。)が当該旅館業を譲渡する場合において、譲渡人及び譲受人がその譲渡及び譲受けについて都道府県知事の承認を受けたときは、譲受人は、営業者の地位を承継する。

 2 前条第二項(申請者に係る部分に限る。)及び第三項から第六項までの規定は、前項の承認について準用する。この場合において、同条第二項中「申請者」とあるのは、「譲受人」と読み替えるものとする。

  第四条の次に次の一条を加える。

 第四条の二 営業者は、宿泊しようとする者に対し、旅館業の施設における特定感染症のまん延の防止に必要な限度において、特定感染症国内発生期間に限り、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める協力を求めることができる。

  一 特定感染症の症状を呈している者その他の政令で定める者 次に掲げる協力

   イ 当該者が次条第一項第一号に該当するかどうかが明らかでない場合において、医師の診断の結果その他の当該者が同号に該当するかどうかを確認するために必要な事項として厚生労働省令で定めるものを厚生労働省令で定めるところにより営業者に報告すること。

   ロ 当該旅館業の施設においてみだりに客室その他の当該営業者の指定する場所から出ないことその他の旅館業の施設における当該特定感染症の感染の防止に必要な協力として政令で定めるもの

  二 特定感染症の患者等(特定感染症(新感染症を除く。)の患者、感染症法第八条(感染症法第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によつて準用する場合を含む。)の規定により一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症の患者とみなされる者及び新感染症の所見がある者をいい、宿泊することにより旅館業の施設において特定感染症をまん延させるおそれがほとんどないものとして厚生労働省令で定める者を除く。次条第一項第一号において同じ。) 前号ロに掲げる協力

  三 前二号に掲げる者以外の者 当該者の体温その他の健康状態その他厚生労働省令で定める事項の確認の求めに応じることその他の旅館業の施設における当該特定感染症の感染の防止に必要な協力として政令で定めるもの

 2 前項の特定感染症国内発生期間は、次の各号に掲げる特定感染症の区分に応じ、当該各号に定める期間(特定感染症のうち国内に常在すると認められる感染症として政令で定めるものにあつては、政令で定める期間)とする。

  一 一類感染症及び二類感染症 感染症法第十六条第一項の規定により当該感染症が国内で発生した旨の公表が行われたときから、同項の規定により国内での発生がなくなつた旨の公表が行われるまでの間

  二 新型インフルエンザ等感染症及び新感染症 感染症法第四十四条の二第一項又は第四十四条の十第一項の規定により当該感染症が国内で発生した旨の公表が行われたときから、感染症法第四十四条の二第三項の規定による公表又は感染症法第五十三条第一項の政令の廃止が行われるまでの間

  三 指定感染症 感染症法第四十四条の七第一項の規定により当該感染症が国内で発生した旨の公表が行われ、かつ、当該感染症について感染症法第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によつて感染症法第十九条若しくは第二十条又は第四十四条の三第二項の規定が準用されたときから、感染症法第四十四条の七第三項の規定による公表が行われ、又は当該感染症について感染症法第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によつて感染症法第十九条及び第二十条並びに第四十四条の三第二項の規定が準用されなくなるときまでの間

 3 厚生労働大臣は、第一項第一号ロ及び第三号の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者並びに旅館業の業務に関し専門的な知識及び経験を有する者の意見を聴かなければならない。

 4 宿泊しようとする者は、営業者から第一項の規定による協力の求めがあつたときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。

  第五条中「左の各号の一」を「次の各号のいずれか」に改め、同条第一号中「伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められる」を「特定感染症の患者等である」に改め、同条第二号中「とばく、」を「賭博」に、「虞」を「おそれ」に改め、同条第三号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。

  三 宿泊しようとする者が、営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であつて他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき。

  第五条に次の一項を加える。

 2 営業者は、旅館業の公共性を踏まえ、かつ、宿泊しようとする者の状況等に配慮して、みだりに宿泊を拒むことがないようにするとともに、宿泊を拒む場合には、前項各号のいずれかに該当するかどうかを客観的な事実に基づいて判断し、及び宿泊しようとする者からの求めに応じてその理由を丁寧に説明することができるようにするものとする。

  第五条の次に次の一条を加える。

 第五条の二 厚生労働大臣は、前二条に定める事項に関し、営業者が適切に対処するために必要な指針(以下この条において単に「指針」という。)を定めるものとする。

 2 厚生労働大臣は、指針を定める場合には、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者、旅館業の業務に関し専門的な知識及び経験を有する者並びに旅館業の施設の利用者の意見を聴かなければならない。

 3 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 4 前二項の規定は、指針の変更について準用する。

  第六条第一項中「職業」を「連絡先」に改める。

  第十一条第一号中「第五条」を「第五条第一項」に改める。

 (食品衛生法の一部改正)

第二条 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)の一部を次のように改正する。

  第五十六条第一項中「について」を「が当該営業を譲渡し、又は許可営業者について」に、「又は」を「若しくは」に、「、相続人」を「、当該営業を譲り受けた者又は相続人」に改める。

 (理容師法の一部改正)

第三条 理容師法(昭和二十二年法律第二百三十四号)の一部を次のように改正する。

  第十一条の三第一項中「について」を「が当該営業を譲渡し、又は当該届出をした理容所の開設者について」に、「又は」を「若しくは」に、「、相続人」を「、当該営業を譲り受けた者又は相続人」に改める。

 (興行場法の一部改正)

第四条 興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)の一部を次のように改正する。

  第二条の二第一項中「について」を「が当該興行場営業を譲渡し、又は営業者について」に、「又は」を「若しくは」に、「、相続人」を「、当該興行場営業を譲り受けた者又は相続人」に改める。

 (公衆浴場法の一部改正)

第五条 公衆浴場法(昭和二十三年法律第百三十九号)の一部を次のように改正する。

  第二条の二第一項中「について」を「が当該浴場業を譲渡し、又は営業者について」に、「又は」を「若しくは」に、「、相続人」を「、当該浴場業を譲り受けた者又は相続人」に改める。

 (クリーニング業法の一部改正)

第六条 クリーニング業法(昭和二十五年法律第二百七号)の一部を次のように改正する。

  第五条の三第一項中「について」を「が当該営業を譲渡し、又は当該届出をした営業者について」に、「又は分割」を「若しくは分割」に、「、相続人」を「、当該営業を譲り受けた者又は相続人」に改める。

 (美容師法の一部改正)

第七条 美容師法(昭和三十二年法律第百六十三号)の一部を次のように改正する。

  第十二条の二第一項中「について」を「が当該営業を譲渡し、又は当該届出をした美容所の開設者について」に、「又は」を「若しくは」に、「、相続人」を「、当該営業を譲り受けた者又は相続人」に改める。

 (食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律の一部改正)

第八条 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成二年法律第七十号)の一部を次のように改正する。

  第七条第一項中「について」を「が当該食鳥処理の事業を譲渡し、又は食鳥処理業者について」に、「又は」を「若しくは」に、「、相続人」を「、当該事業を譲り受けた者又は相続人」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第十二条の規定は、公布の日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、第一条の規定による改正後の旅館業法(以下この条及び次条において「新旅館業法」という。)第四条の二第一項の規定による協力の求め(同項第三号に掲げる者にあっては、当該者の体温その他の健康状態その他同号の厚生労働省令で定める事項の確認に係るものに限る。)を受けた者が正当な理由なくこれに応じないときの対応の在り方について、旅館業(旅館業法第二条第一項に規定する旅館業をいう。次項及び次条第三項において同じ。)の施設における特定感染症(新旅館業法第二条第六項に規定する特定感染症をいう。)のまん延防止を図る観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

2 政府は、過去に旅館業の施設において第一条の規定による改正前の旅館業法第五条の規定の運用に関しハンセン病の患者であった者等に対して不当な差別的取扱いがされたことを踏まえつつ、新旅館業法第五条第一項の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

3 前二項に定めるもののほか、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、当該規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (旅館業法の一部改正に伴う経過措置)

第三条 都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下同じ。)は、当分の間、新旅館業法第三条の二第一項の規定により営業者の地位を承継した者の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して六月を経過するまでの間において、少なくとも一回調査しなければならない。

2 営業者(新旅館業法第三条の二第一項に規定する営業者をいう。)は、当分の間、新旅館業法第五条第一項第一号又は第三号のいずれかに該当することを理由に宿泊(旅館業法第二条第五項に規定する宿泊をいう。次項において同じ。)を拒んだときは、厚生労働省令で定める方法により、その理由等を記録しておくものとする。

3 新旅館業法第六条の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に旅館業の施設に宿泊を開始した者について適用し、施行日前に旅館業の施設に宿泊した者(施行日以後も引き続き同一の旅館業の施設に宿泊している者を含む。)については、なお従前の例による。

 (食品衛生法の一部改正に伴う経過措置)

第四条 第二条の規定による改正後の食品衛生法(以下この条において「新食品衛生法」という。)第五十六条(新食品衛生法第五十七条第二項(新食品衛生法第六十八条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)及び第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日前に食品衛生法第四条第七項に規定する営業(新食品衛生法第六十八条第三項に規定する場合を含む。次項において単に「営業」という。)の譲渡があった場合における当該営業を譲り受けた者については、適用しない。

2 都道府県知事は、当分の間、新食品衛生法第五十六条第一項(新食品衛生法第五十七条第二項(新食品衛生法第六十八条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)及び第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により許可営業者又は届出営業者の地位を承継した者(営業の譲渡により当該地位を承継した者に限る。)の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して六月を経過するまでの間において、少なくとも一回調査しなければならない。

 (理容師法の一部改正に伴う経過措置)

第五条 第三条の規定による改正後の理容師法(次項において「新理容師法」という。)第十一条の三の規定は、施行日前に営業の譲渡があった場合における当該営業を譲り受けた者については、適用しない。

2 都道府県知事は、当分の間、新理容師法第十一条の三第一項の規定により理容所の開設者の地位を承継した者(営業の譲渡により当該地位を承継した者に限る。)の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して六月を経過するまでの間において、少なくとも一回調査しなければならない。

 (興行場法の一部改正に伴う経過措置)

第六条 第四条の規定による改正後の興行場法(次項において「新興行場法」という。)第二条の二の規定は、施行日前に興行場法第一条第二項に規定する興行場営業(次項において単に「興行場営業」という。)の譲渡があった場合における当該興行場営業を譲り受けた者については、適用しない。

2 都道府県知事は、当分の間、新興行場法第二条の二第一項の規定により営業者の地位を承継した者(興行場営業の譲渡により当該地位を承継した者に限る。)の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して六月を経過するまでの間において、少なくとも一回調査しなければならない。

 (公衆浴場法の一部改正に伴う経過措置)

第七条 第五条の規定による改正後の公衆浴場法(次項において「新公衆浴場法」という。)第二条の二の規定は、施行日前に公衆浴場法第一条第二項に規定する浴場業(次項において単に「浴場業」という。)の譲渡があった場合における当該浴場業を譲り受けた者については、適用しない。

2 都道府県知事は、当分の間、新公衆浴場法第二条の二第一項の規定により営業者の地位を承継した者(浴場業の譲渡により当該地位を承継した者に限る。)の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して六月を経過するまでの間において、少なくとも一回調査しなければならない。

 (クリーニング業法の一部改正に伴う経過措置)

第八条 第六条の規定による改正後のクリーニング業法(次項において「新クリーニング業法」という。)第五条の三の規定は、施行日前に営業の譲渡があった場合における当該営業を譲り受けた者については、適用しない。

2 都道府県知事は、当分の間、新クリーニング業法第五条の三第一項の規定により営業者の地位を承継した者(営業の譲渡により当該地位を承継した者に限る。)の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して六月を経過するまでの間において、少なくとも一回調査しなければならない。

 (美容師法の一部改正に伴う経過措置)

第九条 第七条の規定による改正後の美容師法(次項において「新美容師法」という。)第十二条の二の規定は、施行日前に営業の譲渡があった場合における当該営業を譲り受けた者については、適用しない。

2 都道府県知事は、当分の間、新美容師法第十二条の二第一項の規定により美容所の開設者の地位を承継した者(営業の譲渡により当該地位を承継した者に限る。)の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して六月を経過するまでの間において、少なくとも一回調査しなければならない。

 (食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第十条 第八条の規定による改正後の食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(次項において「新食鳥処理法」という。)第七条の規定は、施行日前に食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第二条第五号に規定する食鳥処理の事業(次項において単に「食鳥処理の事業」という。)の譲渡があった場合における当該事業を譲り受けた者については、適用しない。

2 都道府県知事は、当分の間、新食鳥処理法第七条第一項の規定により食鳥処理業者の地位を承継した者(食鳥処理の事業の譲渡により当該地位を承継した者に限る。)の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して六月を経過するまでの間において、少なくとも一回調査しなければならない。

 (罰則に関する経過措置)

第十一条 この法律の施行前にした行為及び附則第三条第三項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第十二条 附則第三条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

(厚生労働・内閣総理大臣署名)

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