衆議院

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第7号 平成28年10月28日(金曜日)

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平成二十八年十月二十八日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第五号

  平成二十八年十月二十八日

    午後一時開議

 第一 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案(第百九十回国会、内閣提出)

 第二 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案(第百九十回国会、内閣提出) 

 第三 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案(第百九十回国会、内閣提出)

 日程第二 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案(第百九十回国会、内閣提出)

 日程第三 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 パリ協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。

 第四百三十八番、福岡県第六区選出議員、鳩山二郎君。

    〔鳩山二郎君起立、拍手〕

     ――――◇―――――

 日程第一 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案(第百九十回国会、内閣提出)

 日程第二 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案(第百九十回国会、内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案、日程第二、衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長秋元司君。

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 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案及び同報告書

 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔秋元司君登壇〕

秋元司君 ただいま議題となりました両案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案の概要について申し上げます。

 本案は、宇宙基本法の基本理念にのっとり、人工衛星等の打ち上げ及び人工衛星の管理に係る許可に関する制度並びに人工衛星等の落下等により生ずる損害の賠償に関する制度を設けることにより、宇宙諸条約の実施、公共の安全確保、当該損害の被害者の保護を図り、もって国民生活の向上及び経済社会の発展に寄与するものであります。

 次に、衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案の概要について申し上げます。

 本案は、宇宙基本法の基本理念にのっとり、衛星リモートセンシング記録の適正な取り扱いを確保するため、国の責務を定めるとともに、衛星リモートセンシング装置に係る許可制度、衛星リモートセンシング記録保有者の義務、同記録を取り扱う者の認定等について、必要な事項を定めるものであります。

 両案は、第百九十回国会に提出され、四月二十六日に本委員会に付託されました。

 本委員会においては、翌二十七日に提案理由の説明を聴取しましたが、以後、今国会まで継続審査に付されていたものです。

 今国会におきましては、十月二十六日、質疑を行い、質疑終局後、討論、採決の結果、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第三、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長西銘恒三郎君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔西銘恒三郎君登壇〕

西銘恒三郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、リニア中央新幹線の速やかな建設を図るため、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構について、当分の間、当該建設に要する資金の一部を貸し付ける業務を追加するものであります。

 本案は、去る十月二十五日本委員会に付託され、同日石井国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、二十六日参考人から意見聴取を行い、質疑を終了いたしました。質疑終了後、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 パリ協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、参議院送付、パリ協定の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を求めます。外務大臣岸田文雄君。

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) ただいま議題となりましたパリ協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 この協定は、平成二十七年十二月にフランスのパリで開催された気候変動に関する国際連合枠組条約の第二十一回締約国会議において採択されたものであります。

 この協定は、気候変動の脅威に対する世界全体での対応を強化することを目的として、温室効果ガスの削減に係る取り組み、その実効性を確保するための措置等について定めるものであります。

 具体的には、この協定は、工業化前からの世界全体の平均気温の上昇を二度未満に抑えること等を目標として、各締約国が削減目標を策定し国内措置を実施すること、五年ごとにその目標を提出すること、各締約国の取り組み状況を定期的に報告し、レビューすること、また、世界全体の実施状況の検討を五年ごとに行うこと等を定めています。

 我が国がこの協定を締結することは、気候変動に対処するための我が国の取り組みを一層推進するとともに、この分野での国際的な取り組みに積極的に貢献するとの見地から極めて有意義であると認められます。

 以上が、この協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 パリ協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。神山洋介君。

    〔神山洋介君登壇〕

神山洋介君 民進党・無所属クラブの神山洋介です。

 ただいま議題となりましたパリ協定について、民進党・無所属クラブを代表して質問いたします。(拍手)

 質問に先立ち、三笠宮崇仁親王殿下薨去の一報に接し、謹んでお悔やみを申し上げます。生前をしのび、心からの御冥福をお祈り申し上げる次第です。

 さて、協定内容の質問に先立ち、本日の審議に至る政府対応の失態について強い不満を表明し、政府に猛省を促したいと思います。

 このパリ協定は、去る今月四日に、五十五カ国以上、総排出量五五%以上という発効条件が満たされ、来月四日に発効の見込みとなりました。三日後の十一月七日からは、国連気候変動枠組み条約第二十二回締約国会議、COP22がモロッコで開催され、パリ協定締約国による初会合、CMA1の場で、協定の具体的ルールづくりの議論が始まります。

 我が国は既に、その場に議決権を持たないオブザーバーとしてしか参加することができません。今回の初会合、CMA1で議決権を得るための批准期限は今月十九日。十日前に過ぎてしまいました。

 我が党は、一九九四年に発効した国連気候変動枠組み条約に連なる地球温暖化への国際的取り組みを重視する中、今国会冒頭、九月三十日の予算委員会の場で細野議員より対応を急ぐべき旨を指摘するなど、政府に対し、衆参あらゆる場で再三の早期対応を促してまいりました。結局、閣議決定は今月の十日。どう考えても十九日の批准期限に間に合うはずがありません。

 外務大臣、環境大臣にお尋ねいたします。

 そもそも、政府は十月十九日までに国会の審議を終えることを目標として設定していたのでしょうか。そうでないとすれば、政府はパリ協定の批准をいつまでに行う方針だったのでしょうか。その理由も添えてお答えください。

 加えて、閣議決定が十月の十一日となった理由及び今回の一件についての反省はありますでしょうか。お聞かせをいただきたい。

 いずれにしても、残念ながら、来月十一月七日から十八日まで開催されるパリ協定、通称CMA1の場では、日本は議決権を持つ批准国として参加できないことが確定をしています。

 この事実について、十月十三日、我が党の会議の場で外務省からは、あたかも今回の会合は具体的なルールの詳細が決まるとは思われないので影響はないというような、極めて残念な説明がありました。

 外務大臣にお伺いいたします。

 影響はない、大臣も同じ認識でしょうか。なぜそう言い切れるのでしょうか。

 国際社会におけるルールメーキングの意味を我々は強く重要視しています。現在行われているTPPに関する議論についても、内容についての評価は政府と全く見解を異にしますが、同様の趣旨から極めて重要視をしています。

 パリ協定第六条には、二国間クレジット制度、途上国へのすぐれた低炭素技術等の普及を通じた地球温暖化対策への貢献とその評価が我が国の削減目標の達成に寄与する制度が、日本の長年の主張の結果、位置づけられました。この点は率直に評価を申し上げる次第です。

 しかし、まさにこれからその具体的ルールメーキングが始まる場にオブザーバーとして参加せざるを得ないことへの責任をどうお考えでしょうか。我が国の損失を最小限にするための具体的な方策とあわせ、外務大臣にお伺いをいたします。

 パリ協定は、地球の気温上昇を産業革命前から平均で二度以下に保持、また、一・五度に抑える努力を追求することに途上国を含む全ての国が合意をした点で、歴史的意義のある協定と考えます。京都議定書からは格段に進化し、先進主要排出国のみならず、全ての国が温室効果ガス削減目標を示して国内対策をとることを求めており、京都議定書の対象外だった世界第一位の温室効果ガス排出国中国と、京都議定書未批准であった第二位の排出国アメリカも批准国となりました。

 恐らく共有いただいているものと思いますが、念のため、パリ協定についての歴史的評価について環境大臣にお伺いをいたします。

 歴史的意義を評価する一方で、我が国としても大きな責任と課題を負うことになりました。

 IPCCの第五次評価報告書では、二度シナリオを実現する緩和シナリオについて、温室効果ガス排出量は、二〇一〇年と比べて、二〇五〇年に四〇から七〇%減らし、二一〇〇年にはほぼゼロまたはマイナスに至るシナリオであると報告をしています。

 つまり、二度シナリオを実現するためには、先進国として、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を八〇%削減し、二一〇〇年までにはゼロにすることを目標に掲げ、世界全体で達成しなければならないということです。この目標を達成するために、我が国も環境立国として技術と政策を総動員し、世界をリードしていかなければならない立場にあり、国としても相当な覚悟と努力が必要です。

 しかし、安倍政権が示した二〇三〇年の温室効果ガス削減目標は余りにも低水準、世界の失笑を買っている状態です。そもそも、IEAによれば、COP21に向けて各国が提出した削減目標を完全に達成したとしても、二一〇〇年までに地球の温度は二・七度上昇すると予測しています。つまり、パリ協定の目標は、今の義務量でさえ達成できないのです。早晩、各国のさらなる削減の上積みが必要となり、日本も今から十分な備えをしておく必要があります。

 二度目標達成のために各国の義務量を追加しなければならない、上積みをしなければならないという認識をお持ちかどうか、そして、その上で、日本として削減量の上積みを積極的に検討するつもりがあるか、環境大臣にお伺いをいたします。

 我が国のみならず各国の議論と具体的な取り組みを見ても、本来であれば、温室効果ガス削減目標の議論とエネルギーのあり方の議論はパッケージです。しかし、安倍政権はエネルギーミックスを先に決め、続いて温室効果ガス削減目標をそれに沿って決めるという主客転倒した策定を行いました。これでは、温室効果ガス削減目標を理念、哲学を持ってつくることは論理的に不可能です。

 環境大臣にお伺いいたします。

 問題意識を共有いただけますでしょうか。また、その主客転倒に修正を加えるつもりがおありでしょうか。

 温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電所の取り扱いは、世界各国の取り組みにおいても主要要素をなします。その観点において、石炭火力を推進する安倍政権の姿勢に大いに疑問を持ちます。

 世界は石炭火力発電への規制を強め、事実上、新設が困難になってきています。カナダは石炭火力発電所の排出規制を導入、英国は二〇二五年石炭火力発電所全廃を決定、ドイツでは脱石炭火力へとかじが切られています。

 世界的にダイベストメントの流れが進む中、COP21、パリ会議期間中には、各国の財団、大学機関、公的年金基金など五百以上の機関が化石燃料関連の投資からの引き揚げを決定し、総額三・四兆ドル、日本円にして約四百二十兆円に上ると報告されました。

 この化石燃料産業からの投資撤退、ダイベストメントの流れについて、政府はどのように評価をしているのかお伺いをいたします。あわせて、日本も明確に脱石炭火力を宣言し、石炭火力発電の全廃時期を定めるべきと考えますが、いかがでしょうか。経済産業大臣の答弁を求めます。

 民進党は、昨年五月、二〇三〇年に一九九〇年比温室効果ガス三〇%の削減、二〇三〇年再生可能エネルギー三〇%以上の導入を目指すとするエネルギーミックスの中間報告を取りまとめ、その工程、具体策の策定を進めています。

 また、これらの目標を実現するために、分散型エネルギー利用促進法案、熱利用促進法案、公共施設省エネ再エネ義務化法案、エネルギー協同組合法案という分散型エネルギー社会推進四法案を、私もその提出者の一人として、国会に提出済みです。地域の資源を生かした省エネルギーや再生可能エネルギーの導入をさらに進め、地域の暮らしと経済を活性化すると同時に、温室効果ガスの大幅削減を実現できるものであり、パリ協定における日本の取り組み前進にも大きく寄与します。

 経済産業大臣、この分散型エネルギー社会推進四法案の成立に政府にもぜひ御協力をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。御答弁を求めます。

 我が党は、今国会冒頭から、TPPよりもパリ協定の議論を優先するべきであるとし、臨時国会冒頭でも、その旨、数度指摘をしてまいりました。しかし、政府・与党は、発効見込みの立たないTPPを優先し、発効が確定をしたパリ協定の審議はおくれ、国会運営にも混乱を来してきました。その国会運営を反省し、改めるよう、改めて強く要請をいたします。

 遅きに失したとはいえ、またCMA1の場では議決権を有しないとはいえ、パリ協定の審議を円滑に進め、日本国がCOP22に批准国として参加することは、我が国のプレゼンス、コミットメントを示す上でも重要です。

 地球温暖化を防ぐことができるのか、世界は今大きな転換点に立っています。環境保護のみの視点でなく、ましてや経済効率第一主義でもなく、日本のすぐれた技術を最大限生かし、新たな地平を切り開きながら、地域と日本と世界の未来に貢献することを改めて宣言し、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 我が国によるパリ協定の締結作業についてのお尋ねがありました。

 我が国はパリ協定を重視しており、速やかな締結が不可欠であるとの認識のもと、可能な限り迅速な作業、調整を行ってきました。

 まず、政府としましては、パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に署名を行いました。

 また、本年五月のG7伊勢志摩サミットにおいては、本年中のパリ協定の発効という目標を掲げるG7首脳宣言を議長国として取りまとめ、パリ協定の早期発効を目指す立場を積極的に示してきました。そして、この本年中の発効、本年中の締結を目標に、パリ協定の臨時国会での提出を目指し、同協定の国内実施の担保に係る検討を進めるなど、可能な限り迅速に作業、調整を行ってまいりました。

 この間、政府としては、パリ協定の発効をめぐる各国の動向についても注視してきましたが、例えば、当初、全加盟国で一括して締結することにより来年以降の締結を目指していたEUが、EU及び一部加盟国のみ先行して締結したこと等により、我が国を含む国際社会の当初の見通しよりも早期の発効に至ったこと、これは事実であります。

 こうした各国の動向はありましたが、政府としましては、臨時国会の審議日程の見込み等も踏まえ、十月十一日に閣議決定を行ったところです。

 政府としては、一日も早く国会の御承認をいただけるよう、引き続き全力を尽くしてまいります。

 次に、パリ協定第一回締約国会合への我が国の参加についてお尋ねがありました。

 国連気候変動枠組み条約の第二十二回締約国会議、COP22の会期中に開催されるパリ協定第一回締約国会議に同協定の締約国として参加できるのは、本年十月十九日までに締結手続を終えた国とされています。もっとも、パリ協定の実施指針策定に係る交渉等は、我が国を含む国連気候変動枠組み条約の全締約国の参加を得て本年五月に開始されたばかりであり、パリ協定第一回締約国会合では同実施指針の採択は行われない見込みであります。

 この点、先般開かれましたCOP22のための事前準備会合、プレCOPにおいても、パリ協定発効後も、本件交渉を引き続き、協定未締結の国も含め、開かれた形で交渉を進める必要がある、このことが確認されました。

 したがって、パリ協定第一回締約国会合に締約国として参加しないことが、我が国の交渉における立場に実質的な影響を及ぼすとは認識をしておりません。

 しかしながら、COP22を初めとする種々の議論で我が国の意向をよりよく反映させるため、我が国がパリ協定の締約手続を一日も早く終え、説得力を持って交渉に参加することは重要です。政府としては、今国会において一日も早く御承認をいただくべく、引き続き全力を尽くします。

 そして、パリ協定の今後のルールづくりについてお尋ねがありました。

 先ほど申し上げたとおり、パリ協定のもとでの市場メカニズムを初めとするパリ協定の実施指針策定に係る交渉は、引き続き、我が国を含む国連気候変動枠組み条約の全締約国が関与する形で行われることが、先般開かれたCOP22のための事前準備会合、プレCOPでも確認されたところです。

 したがって、パリ協定第一回締約国会合に締約国として参加しないことが、我が国の交渉における立場に実質的な影響を及ぼすとは認識していません。

 我が国としましては、パリ協定のもとでの市場メカニズムを初めとするさまざまな制度構築に貢献するべく、十一月のCOP22における交渉の機会を含め、実施指針の策定交渉に積極的に臨む考えです。(拍手)

    〔国務大臣山本公一君登壇〕

国務大臣(山本公一君) 四問御質問をいただきました。

 我が国によるパリ協定の締約手続についてのお尋ねがありました。

 外務大臣の答弁にありましたとおり、政府としては、パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に署名を行いました。

 また、本年五月のG7伊勢志摩サミットにおける首脳宣言を踏まえ、本年中の発効、本年中の締結を目標に、パリ協定の臨時国会での提出を目指し、同協定の国内実施の担保に係る検討を進める等、外務省等の関係省庁とともに、可能な限り迅速に作業、調整を行ってまいりました。

 政府としては、臨時国会の審議日程の見込み等を踏まえ、十月十一日に閣議決定を行ったところです。

 政府としては、一日も早く国会の御承認をいただけるよう、全力を尽くしてまいります。

 次に、パリ協定の歴史的評価についてのお尋ねがございました。

 パリ協定は、先進国と途上国の立場の違いを乗り越えて、歴史上初めて全ての国が参加する公平な合意であり、高く評価をいたしております。

 特に、世界共通の長期目標として二度目標を設定し、加えて一・五度に抑える努力を追求することにも言及したことは、世界が脱炭素社会の構築に向けて動き出したことを明確に示すものとして歓迎をいたしております。

 次に、二度目標達成に向けた各国の削減量及び我が国の目標の見直しについてのお尋ねがございました。

 各国がこれまでに提出している削減目標を足し合わせても、二度目標を確実に達成するには追加の削減努力が必要になると指摘をされています。

 パリ協定においては、各国の取り組み状況のレビューと世界全体での長期目標の達成に向けた進捗点検を実施し、各国が削減目標を定期的に提出し更新する仕組みが盛り込まれました。これにより、各国の目標は適切に見直されると考えております。

 また、我が国においては、二〇三〇年度目標及びその達成に向けた対策、施策等を盛り込んだ地球温暖化対策計画を本年五月に閣議決定いたしました。我が国としては、まず、この二〇三〇年度目標の着実な達成に向けて全力で取り組んでまいります。

 本計画における対策、施策の実施状況については、毎年厳格に点検を行うとともに、少なくとも三年ごとに必要に応じて見直すとしており、こうしたプロセスを通じて、実効性ある取り組みを進めてまいりたいと思います。

 最後に、温室効果ガス削減目標とエネルギーミックスの関係についてのお尋ねがございました。

 温室効果ガス削減目標とエネルギーミックスは、エネルギー起源CO2が温室効果ガスの排出量の約九割を占めるという関係を前提といたしております。

 エネルギーミックスに関しては、約束草案を検討する中央環境審議会と産業構造審議会の合同専門家会合でもCO2削減の観点から幅広く御議論をいただき、政府部内においても、関係省庁間で議論の上、取りまとめられたものであります。

 また、地球温暖化対策計画に位置づけられております二〇三〇年度二六%削減の中期目標は、エネルギーミックスと整合的なものとなるように、技術的制約、コスト面の課題等を十分に考慮した裏づけのある対策、施策や技術の積み上げによって策定されたと思います。

 地球温暖化対策計画の目標及び施策については、少なくとも三年ごとに検討を加え、エネルギー関係の施策も含め、必要に応じて本計画を見直すこととしており、長期的な目標を見据えた戦略的取り組みを進めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 神山洋介議員にお答えをいたします。

 化石燃料産業からのダイベストメントの流れについての評価と石炭火力発電の全廃についてお尋ねがありました。

 化石燃料のうち、特にCO2の排出量の多い石炭を中心にダイベストメントの流れがあることは承知しておりますが、経済性やエネルギー安全保障の観点から、石炭をエネルギー資源として選択せざるを得ない国も多く、こうした国にとっては、可能な限り高効率な石炭火力を導入することこそが実効的な気候変動対策だと考えております。

 高効率石炭火力発電の導入が気候変動対策に資するとの考え方は、OECDの場でも認められ、合意されているところです。今後とも、日本のすぐれた発電技術を活用し、地球規模での温暖化対策に貢献してまいります。

 また、全ての面において完璧なエネルギーはない中で、我が国においては、スリーEプラスS、すなわち、安定供給、経済効率、環境適合、安全のバランスがとれた電源構成が必要です。

 このため、省エネ法と高度化法により、他の電源と比較してCO2を多く排出するという石炭火力の抱える課題を補いつつ、一定の割合で活用を図っていくべきと考えております。

 次に、分散型エネルギー社会推進四法案についてお尋ねがありました。

 政府としては、再生可能エネルギー等を活用した分散型エネルギーシステムの構築の推進は重要だと認識しております。

 このため、これまでも、再生可能エネルギー設備の導入支援などさまざまな施策を講じてきており、引き続き、地域の特性を踏まえつつ、関係府省とも連携しながら取り組みを進めてまいります。

 なお、御指摘の四法案の取り扱いについては、国会で議論され、御判断されるものと認識しており、政府としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 島津幸広君。

    〔島津幸広君登壇〕

島津幸広君 私は、日本共産党を代表して、パリ協定について関係大臣に質問します。(拍手)

 パリ協定は、産業革命後の地球の平均気温の上昇を二度未満、さらに一・五度に抑える努力を行い、今世紀後半の温室効果ガスの排出を実質ゼロにするために、先進国も途上国も参加し、法的拘束力を持つ、これまでにない取り決めとなりました。深刻化する温暖化への危機感を共有した世界の脱炭素化の流れに逆らい、批准が大幅におくれた安倍政権の責任は極めて重大です。

 ことし四月には、国連本部においてパリ協定の署名式が行われ、日本を含む百七十五の国とEUが署名しました。各国が一斉にスタートラインに立っていたのに、なぜ日本は出おくれてしまったのですか。

 総理は、臨時国会の所信表明演説でパリ協定に一言も触れず、今国会の最重要課題にTPPを挙げました。人類の生存の脅威となる地球温暖化対策よりも、米国や多国籍企業の利益を図るTPPを優先させる、パリ協定を重視していない姿勢のあらわれではありませんか。

 現在、パリ協定は、温室効果ガス最大排出国である中国を初め、アメリカ、インド、EUなど八十三カ国が批准し、総排出量が約六一%となり、十一月四日に発効することとなっています。政府は慌てて、十月十一日に承認案を閣議決定し、国会に提出しました。なぜ、米中を初め各国が批准するまで国会に提出しなかったのですか。政府関係者から、読み違えた、こういう声が聞こえてきます。様子見をしていたのではありませんか。

 なぜこんなことになったのか。ことし四月の地球温暖化対策計画案へのパブリックコメントで、日本経団連は、パリ協定の締結については、アメリカが合意しながら離脱した京都議定書の教訓を踏まえ、各国の対応を慎重に見きわめる必要がある、こう述べています。日本の経済産業界からの主張に従って、世界第五位の排出国日本の責任と役割を果たせなかったのではありませんか。答弁を求めます。

 次に、パリ協定に基づく国内対策について聞きます。

 まず、温室効果ガスの削減目標です。

 産業革命後の地球の平均気温の上昇を二度未満に抑えるという目標は、現在批准している各国の排出削減目標を積み上げても到底及びません。その中で、世界五位の排出国日本の目標は、二〇三〇年度に一三年度比二六%削減という極めて不十分なものです。これで、五〇年までに八〇%削減するという長期目標と整合性がとれるのですか。COP22の決定に基づき、二〇二〇年までに削減目標を引き上げるべきではありませんか。

 安倍政権のエネルギー政策は、温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電所に依存しています。現在、国内で新増設が予定されている石炭火力は四十八基、合計二千二百八十四・六万キロワットです。これを全て稼働すれば、排出量が約一割ふえます。山本環境大臣は、二十六日の参院外交防衛委員会で、石炭火力発電所を新増設するということは世界の潮流に反する、こう答弁しています。石炭火力発電所の新増設は直ちに中止すべきではないですか。

 安倍政権は、石炭火力とともに原発をベースロード電源と位置づけ、原発の再稼働を推進してきました。東電福島原発事故から五年半、いまだに事故原因の究明もされず、多くの被害者を苦しめながら、再稼働など許されません。ましてや、温暖化対策として再稼働を進めるなどもってのほかです。答弁を求めます。

 政府は、温室効果ガス排出量がふえているからと、家庭や事業所に大幅な削減を求めていますが、その大部分は電力由来です。日本の温室効果ガス総排出量の四割を占めているのが電力部門です。求める先が違うのではありませんか。石炭を初めとした化石燃料依存のエネルギー政策の転換こそ求めるべきです。

 パリ協定では、日本の提案で、石炭火力発電など国内企業の環境技術を海外へ提供する見返りに、削減分を日本側に算入する二国間クレジット制度が認められました。しかし、どんなに高効率の石炭火力発電でも、LNG発電の二倍の温室効果ガスを排出します。これでは世界の温暖化対策に逆行するものと言わざるを得ません。国内での削減こそ本腰を入れて取り組むべきではありませんか。

 国連食糧農業機関は、十七日、二〇一六年版世界食料農業白書を公表しました。これまでと変わらないやり方を続けるなら、気候変動で二〇五〇年には四千二百万人が新たに飢餓の危機に直面すると警告しています。政府は、昨年十一月、適応計画を閣議決定していますが、既に先進各国は適応計画を法制化しています。我が国も早急に法定計画に定め、温暖化による影響を最小限にする実効ある取り組みをすべきではありませんか。答弁を求めます。

 最後に、安倍政権は、深刻化する温暖化への危機感を共有し、パリ協定の合意と両立しないエネルギー基本計画を撤回すべきです。原発にも石炭火力にも依存しないエネルギー政策に転換すること、国際的にも立ちおくれている太陽光、風力などの再生可能エネルギーを四割に引き上げること、そして、世界五位の排出国日本としての野心的な削減目標で世界の温暖化対策に貢献することを強く求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) まず、パリ協定に関する政府の考え方についてお尋ねがありました。

 パリ協定は、歴史上初めて全ての国が参加する枠組みとして採択された公平な国際合意であり、我が国としては、一貫して、同協定の早期発効及び着実な実施が重要であるとの考えのもと、可能な限り迅速に作業、調整を行ってきました。

 そして、御指摘の総理の所信表明演説においては、パリ協定のもとで国際社会が解決を目指す地球温暖化対策問題について、世界が直面している困難な課題の一つとして挙げ、日本がこうした課題に取り組むことを通じて世界に貢献する決意を述べられたものと認識をしています。

 この審議の日程は、全般的な状況を踏まえ、国会で御判断いただくことでありますが、政府としましては、パリ協定、TPPそれぞれについて、一日も早い締結を目指し、全力を尽くしてまいります。

 次に、我が国によるパリ協定の締結作業についてお尋ねがありました。

 我が国はパリ協定を重視しており、速やかな締結が不可欠であるとの認識のもと、可能な限り迅速な作業、調整を行ってきました。

 まず、政府としましては、パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に署名を行いました。

 また、本年五月のG7伊勢志摩サミットにおいては、本年中のパリ協定の発効という目標を掲げるG7首脳宣言を議長国として取りまとめ、パリ協定の早期発効を目指す立場を積極的に示してきました。そして、この本年中の発効、本年中の締結を目標に、パリ協定の臨時国会での提出を目指し、同協定の国内実施の担保に係る検討を進めるなど、可能な限り迅速に作業、調整を行ってきました。

 この間、政府として、パリ協定の発効をめぐる各国の動向について注視してきましたが、例えば、当初、全加盟国が一括して締結することにより来年以降の締結を目指していたEUが、EU及び一部加盟国のみ先行して締結したこと等により、我が国を含む国際社会の当初の見通しよりも早期の発効に至ったこと、これは事実であります。

 こうした各国の動向はありましたが、政府としては、臨時国会の審議日程の見込み等を踏まえ、十月十一日に閣議決定を行ったところです。他国の対応を様子見していたとの御指摘は当たらないと考えます。

 政府としては、一日も早く国会の御承認をいただけるよう、引き続き全力を尽くしてまいります。

 そして、気候変動対策に係る我が国の責任と役割についてお尋ねがありました。

 我が国はパリ協定を重視しており、速やかな締結が不可欠であるとの認識のもと、パリ協定の国内実施に係る検討作業等を署名後約半年で終えました。その上で、可能な限り迅速に準備、作業を行った結果として、パリ協定の締結について今国会にお諮りをしているものであります。

 なお、パリ協定を締結するに当たっての検討は政府内で行っており、産業界との調整等は特段行ってはおりません。

 全ての国による排出削減を趣旨とするパリ協定については、右を重視してきた産業界も早期締結を望んでいたものと承知をしております。

 気候変動を重視する我が国として、引き続き、気候変動交渉に積極的に臨み、国際社会において主導的な役割を果たしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣山本公一君登壇〕

国務大臣(山本公一君) パリ協定に関する政府の考え方についてお尋ねがございました。

 我が国はパリ協定を重視いたしておりまして、迅速な締結が不可欠と考えております。これは政府共通の認識であります。

 総理所信においては、パリ協定のもとで国際社会が解決を目指す地球温暖化問題について、世界が直面している困難の一つとして挙げ、日本が世界に貢献する決意を述べられたものと認識をいたしております。

 なお、政府としては、パリ協定、TPPそれぞれについて、一日も早い締結を目指して全力を尽くしていきます。

 我が国によるパリ協定の締結手続についてのお尋ねがございました。

 外務大臣の答弁にありましたとおり、政府としては、パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に署名を行いました。

 また、本年五月のG7伊勢志摩サミットにおける首脳宣言を踏まえ、本年中の発効、本年中の締結を目標に、パリ協定の臨時国会での提出を目指し、同協定の国内実施の担保に係る検討を進める等、外務省等の関係省庁とともに、可能な限り迅速に作業、調整を行ってまいりました。

 政府としては、臨時国会の審議日程の見込み等を踏まえ、十月十一日に閣議決定を行ったところであります。他国の対応を様子見していたとの指摘は当たりません。

 政府としては、一日も早く国会の御承認をいただけるよう、全力を尽くしてまいります。

 経済産業界の主張とパリ協定の締結時期との関係についてお尋ねがございました。

 政府としては、パリ協定を昨年十二月の採択時から一貫して重視してまいりました。

 パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に署名を行い、同時に、パリ協定の国内実施の担保に係る検討を進める等、可能な限り迅速に準備作業を行ってきたところでございます。特定の団体の主張に従ったとの御指摘は当たりません。

 削減目標の引き上げについてお尋ねがございました。

 二〇三〇年度目標及びその達成に向けた対策、施策等を盛り込んだ地球温暖化対策計画を本年五月に閣議決定しました。我が国としては、まず、この二〇三〇年度目標の着実な達成に向けて全力で取り組んでまいります。

 本計画における対策、施策の実施状況については、毎年厳格に点検を行うとともに、少なくとも三年ごとに必要に応じて見直すとしており、こうしたプロセスを通じて、実効性ある取り組みを進めてまいります。

 石炭火力発電についてお尋ねがございました。

 CO2排出量の多い石炭火力発電の新増設が制約なく進むと、国の削減目標等の達成が危ぶまれます。このため、本年二月の環境、経産両大臣の合意に基づき、政策的対応等を行うとともに、毎年度、その進捗状況をレビューすることといたしております。

 また、両省の合意以降、石炭火力発電の環境アセスメントにおいて、事業者が省エネ法の発電効率指標を達成できないと判断した場合は、事業の見直しを検討すること等を含む環境大臣意見を述べております。

 これらの取り組みを通じて、石炭火力発電の問題にもしっかりと取り組んでまいります。

 化石燃料依存のエネルギー政策の転換についてお尋ねがございました。

 我が国の中期目標の達成に向け、家庭部門や電力部門を初め、あらゆる部門において取り組みを進めていくことが重要であります。

 環境省としましては、徹底した省エネを進めるとともに、再エネの最大限導入を初めとしたエネルギーの低炭素化を進めていくことが重要と考えており、全力で取り組んでまいります。

 国内での削減対策についてお尋ねがございました。

 我が国では、二〇三〇年度目標及びその達成に向けた対策、施策等を盛り込んだ地球温暖化対策計画を本年五月に閣議決定いたしました。我が国としては、まず、この二〇三〇年度目標の着実な達成に向けて、国内での削減に全力で取り組んでまいります。

 なお、すぐれた低炭素技術の普及を通じて世界の排出削減を実現することは、相手国のみならず、我が国も含めた双方の低炭素成長に貢献することができるものと考えております。

 最後に、適応計画の法制化についてお尋ねがございました。

 まずは、政府として、適応計画に基づき取り組みを推進していくことが重要であると考えております。

 適応策の法制化については、適応計画の実施状況や課題を把握しながら、引き続き検討をしてまいりたいと思います。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 島津幸広議員にお答えをいたします。

 石炭火力の新増設は直ちに中止すべきではないかとのお尋ねがありました。

 まず、全ての面において完璧なエネルギーはない中で、スリーEプラスS、すなわち、安定供給、経済効率、環境適合、安全のバランスがとれた電源構成を構築することが重要です。

 石炭火力は、他の電力と比較してCO2を多く排出するという環境面での課題があるものの、安定供給や経済性の観点からすぐれており、一定の割合での活用を図っていくことが不可欠です。

 このため、経済産業省としては、環境省とも連携しながら、省エネ法により、発電事業者に対して発電効率の向上を、高度化法により、小売事業者に対して販売電力の低炭素化を求めることにより石炭火力の抱える課題を補いつつ、活用してまいります。

 次に、原発の再稼働についてお尋ねがありました。

 原発は、運転時に温室効果ガスを排出しないゼロエミッションの電源であり、温暖化対策を実現する上で重要な手段の一つであると考えています。さらに、温暖化対策のみならず、安定供給の確保や電力コストの引き下げを実現するためにも重要です。

 もちろん、安全性の確保が最優先であります。そのため、エネルギー基本計画において閣議決定された、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるという政府の一貫した方針に基づいて取り組みを進めてまいります。

 次に、二国間クレジット制度により、海外で石炭火力発電を高効率化し、日本の排出削減量にカウントするのではなく、国内の排出削減に取り組むべきとのお尋ねがありました。

 パリ協定では、全ての国、地域に削減努力が求められており、このため、我が国企業が有するすぐれたエネルギー・環境分野の技術を積極的に海外展開し、世界全体での削減に取り組むことが必要です。政府としても、二国間クレジット制度等を活用しつつ、企業のそうした取り組みを後押しし、世界全体での削減に貢献してまいります。

 石炭については、経済性やエネルギー安全保障の観点から、エネルギー資源として選択せざるを得ない国も多く、こうした国にとっては、可能な限り高効率な石炭火力を導入することこそが実効的な気候変動対策であると考えています。

 国内の排出削減については、二〇三〇年度に二〇一三年度比で二六%削減するという野心的で国際的に遜色のない目標を昨年七月に国連に提出しています。この目標の達成に向け、地球温暖化対策計画に基づき、必要な対策を着実に進めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 木下智彦君。

    〔木下智彦君登壇〕

木下智彦君 日本維新の会、木下智彦です。

 私は、我が党を代表して、ただいま議題となりました本件について質問いたします。(拍手)

 我が党は、TPP協定のような、安全保障上も経済上も我が国に大きなメリットをもたらす協定は積極的に推進すべきと考えております。

 そして、京都議定書やパリ協定については、地球環境を守るための責務を当然果たしつつ、我が国の経済成長と環境保護の両立を図るため、一定の現実的な対応も必要と考えます。

 以上のような立場から、質問させていただきます。

 今世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという本協定の長期的目標は、高い理想です。しかしながら、この目標のために各国が達成すべき具体的目標は定められておりません。達成を目指す目標を各国がみずから作成、提出して国内措置を実施することを義務づけているのみです。

 外務大臣にお伺いいたします。

 本協定は、全ての国の合意を優先する余り、各国ごとの目標について結論が先送りされて曖昧となっていないでしょうか。目標の達成義務づけには、中国、インドなどが消極的だったとも言われております。各国に目標達成を義務づけすることができなければ、本協定の実効性に疑問が生じないか、御認識をお伺いいたします。

 パリ協定を踏まえた地球温暖化対策計画とエネルギー革新戦略の関係についてお伺いいたします。

 地球温暖化対策計画は、温室効果ガスを二〇一三年度比で二〇三〇年度に二六%削減し、二〇五〇年までに八〇%減を目指すという大変厳しい目標を掲げています。

 エネルギーミックスの掲げる二〇三〇年度の電源構成も、特に原子力を二〇%から二二%としていることにつき、現実性について疑問があるとの指摘もあります。

 環境大臣にお伺いいたします。

 参議院本会議での質疑では、地球温暖化対策計画については、少なくとも三年ごとに、必要に応じて、エネルギー関連の施策を含め、計画の見直しを行うとのことでした。これは、地球温暖化対策計画とエネルギーミックスのどちらかの目標が未達となった場合、三年ごとの計画見直しで、もう一方の計画についても見直すという趣旨でしょうか。温室効果ガスの削減が予定どおり進まなかった場合、エネルギーミックスの見直しもあり得るのか、その逆もあり得るのか、御認識をお伺いいたします。

 エネルギーミックスに関連して、原発再稼働について質問いたします。

 鹿児島県と新潟県で、再稼働反対を掲げる知事が誕生しました。知事に原発再稼働の是非を決める法的権限はないものの、再稼働に関する状況はますます難しくなっております。

 我が党は、原発の即時廃止でも積極的推進でもなく、福島第一原子力発電所の事故の教訓も踏まえた上で、国、事業者、自治体の責任を明確化した再稼働の是非と、市場競争を通じた原発依存度の低減、将来の必要性の有無の判断が重要と考えております。

 そして、その原発の再稼働の是非については、避難計画策定への国の関与、影響可能性のある地域の同意の法定化等を内容とする原発再稼働責任法案を既に提案しており、今国会でも改めて法案提出をする予定であります。

 経済産業大臣にお伺いいたします。

 この法案に対する参議院本会議での答弁では、原発の再稼働に当たっての地元との関係は、各地の事情がさまざまであることから、国が一律に決めず、理解活動を丁寧に進めるとのことでした。

 我が党の法案では、原発再稼働には、原発から半径三十キロ圏内の都道府県の同意が必要として、国及び影響可能性の高い周辺自治体の責任と権限を明確化しております。今後、これら関連する自治体を中心として、こうした制度の立法化要請があれば、真摯に対応されるのでしょうか。御認識をお伺いいたします。

 我が党は、環境問題については経済成長と環境保護の両立を図り、エネルギー問題にも市場メカニズムを最大限生かし、そして、あらゆる政策課題について法の支配の実現を目指してまいります。

 以上、国民の皆様にお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 私には、パリ協定における削減目標の実効性についてお尋ねがありました。

 パリ協定は、歴史上初めて全ての国が参加し、温室効果ガス削減のための行動をとることを約束した公平かつ実効的な国際枠組みであり、我が国の長年にわたる主張に沿う画期的な合意です。

 本協定においては、全ての国が削減目標を作成、提出、維持するとともに、目標を達成するための国内措置を実施する法的義務が規定され、さらに、その目標の国際社会への公表が義務づけられています。

 また、全ての国が削減目標に向けた取り組み状況を報告し、レビューを受ける義務が規定されています。

 さらに、世界全体の実施状況を五年ごとに検討する仕組みを通じ、各国の目標も五年ごとに提出、更新され、進展していくことが想定されています。

 このように、各国による削減目標の提出、実施、その報告やレビュー、そして定期的な更新といった仕組みによって、削減目標の達成を含めた本協定の実効性が確保されるものであると考えております。(拍手)

    〔国務大臣山本公一君登壇〕

国務大臣(山本公一君) 地球温暖化対策計画とエネルギーミックスの見直しについてお尋ねがございました。

 本年五月に閣議決定をした地球温暖化対策計画においては、二〇三〇年度二六%削減という中期目標として定めております。この中期目標は、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題等を十分に考慮した裏づけのある対策、施策や技術の積み上げによって策定したものであります。

 本計画の進捗状況については、エネルギーミックスとの整合性の観点も含め、毎年厳格に点検することといたしております。

 また、本計画の目標及び施策については、少なくとも三年ごとに検討を加え、必要に応じて本計画を見直すことといたしており、エネルギー関連の施策も検討の対象に含めるものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 木下智彦議員にお答えをいたします。

 再稼働に当たり関係自治体の同意を法定化するよう、自治体から要請があった場合の対応についてお尋ねがありました。

 まず、仮定の場合の対応については、お答えをすることを差し控えさせていただきたいと考えております。

 その上で、原発の再稼働に当たっての地元との関係については、御指摘の、先般の参議院本会議で答弁させていただいたように、各地の事情がさまざまであることから、国が法令等により一方的、一律に決めることはせず、理解活動を丁寧に進めていくことが重要と考えております。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       外務大臣    岸田 文雄君

       経済産業大臣  世耕 弘成君

       国土交通大臣  石井 啓一君

       環境大臣    山本 公一君

       国務大臣    鶴保 庸介君

 出席副大臣

       外務副大臣   岸  信夫君


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