衆議院

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第15号 平成28年11月29日(火曜日)

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平成二十八年十一月二十九日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十四号

  平成二十八年十一月二十九日

    午後一時開議

 第一 官民データ活用推進基本法案(内閣委員長提出)

 第二 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(第百九十回国会、内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案(山井和則君外七名提出)

 厚生労働大臣塩崎恭久君不信任決議案(山井和則君外七名提出)

 会期延長の件

 日程第一 官民データ活用推進基本法案(内閣委員長提出)

 日程第二 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(第百九十回国会、内閣提出)


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

笹川博義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 山井和則君外七名提出、厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 笹川博義君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案(山井和則君外七名提出)

議長(大島理森君) 厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。大西健介君。

    ―――――――――――――

 厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔大西健介君登壇〕

大西健介君 民進党の大西健介でございます。

 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。(拍手)

 主文

  本院は、厚生労働委員長丹羽秀樹君を解任する。

以上であります。

 以下、その理由を申し述べます。

 厚生労働委員長丹羽秀樹君は、去る二十五日、職権で年金カット法案の審議を強行して採決を行いました。国民生活を左右する極めて重要な法案であるにもかかわらず、わずか十九時間の審議で幕引きを図ったことは許しがたい暴挙です。年金カットの新ルールの問題を国民に知られないうちに議論にふたをしようとしたのです。

 丹羽君は、委員長就任の挨拶で、委員長になれば多くの人が述べる、円満な委員会運営に努めるといった決意を述べませんでした。丹羽君には、はなから円満な委員会運営をしようという気がなかった証左です。

 丹羽君は、自身のホームページで、自民党国会対策副委員長、議院運営委員会理事として円満な国会運営にするように取り組んでまいりましたとこれまでの実績を述べていますが、聞いてあきれます。

 丹羽君のこれまでの委員会運営は、余りにも異常なものでした。今国会冒頭の大臣所信の聴取から委員会職権で、その後も職権を連発し、これまで九回の審議のうち、何と七回が職権立てです。

 また、丹羽君は、委員会審議で、机上配付は認められている資料を、パネルとして使うことを禁止しました。その資料は、マクロ経済スライドにより、将来の年金の所得代替率が三割減り、現状の基礎年金の平均月額五万円が三・五万円になってしまうということを示したものであります。このことは年金カットの新ルールを議論する前提として欠かせない重要な事実であり、それをわかりやすく国民に伝えるためのパネルを認めないというのは、まさに、よらしむべし、知らしむべからずというお上の発想そのものであります。

 さらに、丹羽君は、TPP特別委員会で認められたパネルであっても、厚生労働委員会で使うことを禁止しました。あれもだめ、これもだめと言論を封殺する行為は、言論の府である国会の自殺行為であります。

 年金カット法案については、採決どころか審議に入ることすら適当でない状態が続いてきました。厚労省から、年金カット法案に盛り込まれた年金改定の新ルールを適用した場合のまともな試算が出されてこなかったからであります。

 厚労省が出してきた試算は、今後、賃金が上がり続けて、年金カットの新ルールが適用されないことが前提になっていて、新ルールとは全く関係ない試算でありました。審議に必要なのは、これから新ルールが適用されたらどれくらい年金が下がるのかという試算であります。それもなしに、職権で審議を進め、採決までしてしまった丹羽君は、地元の支援者から、年金カット法案で今後幾ら年金が減るのですかと聞かれたら、一体何と答えるんでしょうか。この初歩的な質問について、今に至っても誰も答えることができないのは異常なことであります。

 マクロ経済スライドの強化や年金カットの新ルールの適用で年金が減り続ければ、年金の財政はもたせることができても、高齢者の生活はもたなくなります。このままでは、将来、貧困高齢者が急増し、生活保護を受ける年金受給者もふえ続けることが懸念されます。年金水準の低下に加えて、医療や介護の負担増やサービスカットによってぎりぎりの生活を強いられている高齢者は、わずかな額でも年金が下がれば、たちまち生活が立ち行かなくなることが丹羽君にはわからないんでしょうか。そうした弱い立場にある人々の声を無視して採決を強行した丹羽君は、御祖父である丹羽兵助元労相の、葉っぱの裏に光を当てるのが政治という言葉を忘れてしまったんでしょうか。

 この法案には、ほかにも、GPIFのガバナンスの見直し、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進、国民年金一号被保険者の産前産後期間の保険料の免除、日本年金機構の国庫納付規定の整備など、多岐にわたる重要な論点が含まれております。しかし、年金カットの新ルール以外の論点についてはほとんど議論をされておらず、まだまだ審議は尽くされているとは言えません。

 我々民進党は、年金カット法案よりも、人命にかかわる長時間労働規制法案を先に審議するよう強く求めてまいりました。しかし、丹羽君を初め与党の諸君は、それを拒み続けました。

 年金カットの新ルールの施行は、平成三十三年の四月であります。一方、昨年のクリスマスの日に過労自殺した電通社員の高橋まつりさんのように、今この瞬間も、長時間労働によって身も心もぼろぼろになって、追い込まれている方々もいるんです。再び悲劇を繰り返さないためにも、我々がやるべきことは、一日も早く長時間労働規制法案を成立させることではないでしょうか。

 そして、民進党は、高橋さんの過労自殺の問題を重く受けとめて、年金カット法案の審議よりも、長時間労働是正に関する集中審議を衆議院で優先して行うことを求めてまいりました。しかし、丹羽君を初め与党の諸君は、これも拒み続けました。参議院では集中審議を行ったのに、なぜ衆議院で行うことができないのか、全く理解することができません。

 先日の厚生労働委員会で、安倍首相は、審議を何時間やったって同じと言い放ちました。丁寧な審議を経て、与野党が歩み寄って採決をするという国会の基本的なルールを無視した発言であり、数のおごりであります。しかし、最近の与党の国会運営を見ていると、そのような総理の意向をそんたくし、官邸の顔色ばかりうかがっているようで、国権の最高機関としての立法府の威信はどこへ行ってしまったのかと情けなくなります。

 そして、委員長席で不安そうに目を泳がせて、委員長としてみずから判断を下すことなく、田村筆頭理事の指示のままに動く丹羽厚生労働委員長は、立法府の権威失墜の象徴であります。

 丹羽君のホームページには、座右の銘は信なくば立たずとあります。公正中立な委員会運営を求められる委員長として、完全に信頼を失ってしまった丹羽君に、もはやその資格はありません。

 以上が、厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案を提出する理由であります。議員諸氏が、その良心に従い、本議案に御賛同賜らんことを訴えて、趣旨説明を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。後藤茂之君。

    〔後藤茂之君登壇〕

後藤茂之君 自由民主党・無所属の会の後藤茂之です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、民進党山井和則君外七名提出の厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案に断固反対する立場から討論を行います。(拍手)

 まず、政府提出の年金改革法案は、新聞各紙の社説を初めとする各種マスコミも法案の重要さを取り上げているように、端的に申し上げれば、負担を分け合い、将来世代の年金を守るための法案であり、制度改革によって将来世代の給付が確保されるものであります。

 しかし、残念なことに、民進党の諸君は、この年金制度改革法案を年金カット法案と称し、いたずらに国民の不安をあおり、真剣な議論から逃避してきました。理事会においても、事あるごとに、理由にならない理由を並べては審議を拒否する言動を繰り返し、職責を放棄してまいりました。

 私たち国会議員は、議論し、結論を出すことが仕事であり、いたずらに審議を拒むことは決して許されざる行為であります。

 しかし、丹羽委員長は、そんな理不尽な行為を繰り返す野党諸君の意見にも真摯に耳を傾け、幾度となく円満な委員会運営に努めてまいりました。言うまでもなく、丹羽委員長は、温厚かつ冷静沈着、さらに責任感や正義感は人一倍強く、まさしく公平中立な委員長という役職にふさわしいお人柄であります。

 その丹羽委員長が、どうしても与野党の合意点を見出すことができない中で、やむを得ず、委員長の判断で委員会の運営を進めざるを得なかったことは、まさに厚生労働委員長としての職責を果たしただけの行為なのであります。

 残念なことに、一部の民進党議員は、自分たちの意見が通らないからといって、委員長席に詰め寄り採決を妨害するなど、あってはならない暴挙に出ました。これらの行動に参加した議員諸君に猛省を促し、また、所属する民進党に強く抗議いたします。

 私たちは、議論し、結論を出さなければなりません。それが既存の制度を改革するものであっても、逃げることなく真正面から取り組み、国民に説明する義務を負っているからであります。今回の一連の丹羽委員長判断は、国民から負託を受けた者として責任ある行動をとられただけであり、決して解任に値するものではありません。

 以上のような理由から、丹羽厚生労働委員長の解任決議案には断固反対であると再度申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 阿部知子君。

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 民進党の阿部知子です。

 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案に対して、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 賛成する理由は、丹羽君が、厚生労働省や厚生労働委員会が最優先で取り組まねばならない国民的な喫緊の課題である長時間労働と相次ぐ過労死の現実を前にして、これを是正すべく野党が提出した長時間労働規制法案を放置したまま年金カット法案の審議を優先させたばかりか、基本となるはずの厚生労働省の試算も恣意的であり、かつ、十分な審議もせずに、強行採決によって幕引きを図ったことです。

 若者の非正規、不安定雇用と対をなす正社員の長時間労働や、パワハラ、セクハラの横行などによる自死、過労死問題は、実は年金の大事な支え手である次世代が著しく疲弊し、その役割を担うことができないという危機的な状況の反映です。このことにしっかりと対処しない政治は、そもそも未来を語ることができないはずであります。

 今回の内閣提出の法案が、専ら将来世代への給付増をうたいながら、現実には人間的に働くことすらかなわない生身の若者に目が注がれていないということは、実は、法案に盛り込まれた高齢者の年金削減でも全く同じ構造だと思います。

 そもそも、二〇〇四年に成立した年金のマクロ経済スライドの仕組みは、それまでの基礎的暮らしを支えるための給付を目指した年金体系から、少子高齢社会が進む中で、現役世代の保険料率に上限を定め、物価上昇にスライドをかけて給付を抑制することで世代間のバランスを保とうとしたものです。それが基礎年金部分にも及ぶことは大きな問題との指摘もある中で、二〇一四年財政検証においては、スライド調整期間が長期化し、二〇四三年にまで及ぶことが明らかになりました。

 加えて、今回の改正法案に盛り込まれた年金カットの新ルールが発動されると、物価が上がっても、賃金が下がれば、それに合わせて年金が下がることになってしまいます。新ルールが発動される都度、物価と年金の水準がどんどん乖離していってしまいます。

 こうして、物価上昇に見合う給付増はなく、賃金低下の分、さらに年金額が減っていくおそれがあるわけですが、そもそも、現在でも基礎年金だけで生活していくことは極めて難しいのが実情です。

 二〇〇九年から二〇一四年に至る五年間を見ても、税、社会保険料負担を勘案すると実質的な生活保護基準に及ばない貧困世帯高齢者数は、六百四十万人から七百九十一万人まで約百五十万人増加したとの推計があります。既に、生活保護を受給する高齢者は増加し続け、受給者全体の半数を超えております。にもかかわらず、マクロ経済スライドによって二〇四三年までに基礎年金の所得代替率は今よりも三割減ることになっております。加えて、年金カットの新ルールが適用されれば、高齢者の貧困化は一層加速し、さらに消費税負担増の影響も緩和される見通しがありません。生活困窮に陥るのは目に見えています。

 政府・与党は年金カット法案を将来年金確保法案と呼びますが、目前の高齢者の困窮にはあえて目をつぶったとしても、実は、将来世代の年金給付増に与える効果もあるかなしかのものであります。

 また、ここで使われるいわゆる所得代替率の話もあくまで絵に描いた餅にすぎず、夫が正社員として四十年間働き、妻は専業主婦という世帯をモデルにした比較でしかありません。現実にはふえる一方の御高齢者のひとり暮らし、とりわけ最も厳しい状況に置かれる女性の高齢者の問題は、全く検討の対象ですらありません。女性の多様な人生、シングルや離婚、母子家庭等の現実、あるいは男女間の賃金、雇用条件等の格差の実態を踏まえた年金と生活保障の検討も不可欠です。

 本来、年金試算とは、ジェンダーも含めてさまざまな属性や経歴を持つ高齢者のおのおのを視野に置くべきであり、政府とは独立した機関による推計にのっとり、労働力喪失の補填としての年金給付制度が設計されねばならないと考えます。あわせて、基礎的暮らしを保障するための政策パッケージもなくてはなりません。すなわち、年金制度の内外を問わず、現金給付と医療、介護、福祉、住宅等の現物給付をどう組み合わせていくかという政策こそが最も必要とされております。

 今、政府がやるべきことは、既にマクロ経済スライドで年金額が将来大きく毀損されることへの対応も含めて、これを一日も早く終わらせるために最も有効とされる非正規労働者への厚生年金適用の抜本的拡大を行うことです。適用拡大は、現在四十代、五十代の年金給付増には直ちに直結しませんが、若い世代の将来の年金を確保する、まさに将来世代年金確保のために一刻の猶予もありません。

 厚生労働委員会では、これからも、国民生活に重大な影響を及ぼす法案や案件の審議がメジロ押しです。

 例えば、過重な長時間労働を課し、過労死を促進する残業代ゼロ法案も俎上に上っています。この法案によって導入される高度プロフェッショナル制度は、企業の残業代等の支払い義務を免除して、合法的に過重な長時間労働を課すものです。

 さらに、残業代ゼロ法案には、事実上の残業代ゼロで長時間労働の温床となっている裁量労働制の対象者を拡大することも盛り込まれております。年収要件などがないため、中低所得の労働者、若年労働者も対象になってしまいます。残業代を払わず過重な長時間労働をさせるブラック企業を喜ばせるだけの法案です。

 厚生労働委員会の本来の役割を取り違える丹羽君が委員長にとどまれば、残業代ゼロ法案もいとも簡単に成立し、働く環境がますます悪化してしまいます。

 さらに、安倍政権は、働き方改革に関する法案を検討していくとしていますが、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す安倍政権が、いかに耳当たりのよいキャッチフレーズを繰り返すとしても、真に働く者のためになる法律をつくるとは到底考えられません。まして、丹羽君のもとでは、十分な審議時間が確保されず、法案の問題点が精査されないままに打ち切られてしまうことが容易に想像できます。

 子供、若者から高齢者まで、その暮らし、仕事、そして命までをも左右する法案を審議する厚生労働委員会において、緊急課題を脇に置き、熟議の民主主義の原則も放り出すような丹羽君が委員長にふさわしくないことは明らかです。

議長(大島理森君) 阿部君、阿部君、決められた時間が過ぎております。

阿部知子君(続) 以上、申し述べてまいりましたように、丹羽君が厚生労働委員長としてその職にとどまることは到底許されません。本院の全ての皆さんが解任決議案に賛成されることをお願い申し上げて、討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十

  可とする者(白票)       百二十二

  否とする者(青票)      三百三十八

議長(大島理森君) 右の結果、厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

山井和則君外七名提出厚生労働委員長丹羽秀樹君解任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君   赤松  広隆君

荒井   聰君   井坂  信彦君   井出  庸生君   石関  貴史君

泉   健太君   今井  雅人君   江田  憲司君   枝野  幸男君

小川  淳也君   小熊  慎司君   緒方 林太郎君   大串  博志君

大島   敦君   大西  健介君   大畠  章宏君   太田  和美君

逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本  充功君   奥野 総一郎君

落合  貴之君   柿沢  未途君   金子  恵美君   神山  洋介君

菅   直人君   木内  孝胤君   吉良  州司君   黄川田  徹君

岸本  周平君   北神  圭朗君   黒岩  宇洋君   玄葉 光一郎君

小宮山 泰子君   小山  展弘君   後藤  祐一君   郡   和子君

近藤  昭一君   近藤  洋介君   佐々木 隆博君   坂本 祐之輔君

重徳  和彦君   階    猛君   篠原   豪君   篠原   孝君

鈴木  克昌君   鈴木  義弘君   田島  一成君   田嶋   要君

高井  崇志君   高木  義明君   武正  公一君   玉木 雄一郎君

津村  啓介君   辻元  清美君   寺田   学君   中川  正春君

中島  克仁君   中根  康浩君   長島  昭久君   長妻   昭君

野田  佳彦君   初鹿  明博君   伴野   豊君   平野  博文君

福島  伸享君   福田  昭夫君   古川  元久君   古本 伸一郎君

細野  豪志君   馬淵  澄夫君   前原  誠司君   牧   義夫君

升田 世喜男君   松木けんこう君   松田  直久君   松野  頼久君

松原   仁君   水戸  将史君   宮崎  岳志君   村岡  敏英君

本村 賢太郎君   山尾 志桜里君   山井  和則君   柚木  道義君

横路  孝弘君   横山  博幸君   笠   浩史君   鷲尾 英一郎君

渡辺   周君   赤嶺  政賢君   池内 さおり君   梅村 さえこ君

大平  喜信君   笠井   亮君   穀田  恵二君   斉藤  和子君

志位  和夫君   清水  忠史君   塩川  鉄也君   島津  幸広君

田村  貴昭君   高橋 千鶴子君   畑野  君枝君   畠山  和也君

藤野  保史君   堀内  照文君   真島  省三君   宮本  岳志君

宮本   徹君   本村  伸子君   小沢  一郎君   玉城 デニー君

照屋  寛徳君   吉川   元君   上西 小百合君   川端  達夫君

仲里  利信君   野間   健君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あべ  俊子君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君

青山  周平君   赤枝  恒雄君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君

秋元   司君   秋本  真利君   浅尾 慶一郎君   麻生  太郎君

穴見  陽一君   甘利   明君   安藤   裕君   井野  俊郎君

井上  信治君   井上  貴博君   井林  辰憲君   伊東  良孝君

伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   伊吹  文明君

池田  道孝君   池田  佳隆君   石川  昭政君   石崎   徹君

石田  真敏君   石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君

稲田  朋美君   今枝 宗一郎君   今津   寛君   今村  雅弘君

岩田  和親君   岩屋   毅君   うえの賢一郎君   江崎  鐵磨君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君   遠藤  利明君

小倉  將信君   小此木 八郎君   小里  泰弘君   小田原  潔君

小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  朝子君   越智  隆雄君

大岡  敏孝君   大串  正樹君   大隈  和英君   大塚  高司君

大塚   拓君   大西  英男君   大西  宏幸君   大野 敬太郎君

大見   正君   岡下  昌平君   奥野  信亮君   鬼木   誠君

加藤  鮎子君   加藤  勝信君   加藤  寛治君   梶山  弘志君

勝沼  栄明君   勝俣  孝明君   門   博文君   門山  宏哲君

金子  一義君   金子 万寿夫君   金子 めぐみ君   金子  恭之君

金田  勝年君   上川  陽子君   神谷   昇君   神山  佐市君

亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君   河井  克行君

河村  建夫君   神田  憲次君   菅家  一郎君   木内   均君

木原  誠二君   木原   稔君   木村  太郎君   木村  弥生君

城内   実君   黄川田 仁志君   岸田  文雄君   北川  知克君

北村  茂男君   北村  誠吾君   工藤  彰三君   熊田  裕通君

小泉 進次郎君   小島  敏文君   小林  鷹之君   小林  史明君

小松   裕君   古賀   篤君   後藤  茂之君   後藤田 正純君

河野  太郎君   高村  正彦君   國場 幸之助君   今野  智博君

左藤   章君   佐々木  紀君   佐田 玄一郎君   佐藤   勉君

佐藤 ゆかり君   齋藤   健君   斎藤  洋明君   坂井   学君

坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君   塩崎  恭久君

塩谷   立君   柴山  昌彦君   島田  佳和君   下村  博文君

白須賀 貴樹君   新谷  正義君   新藤  義孝君   菅   義偉君

菅原  一秀君   助田  重義君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君

鈴木  淳司君   鈴木  貴子君   鈴木  憲和君   鈴木  隼人君

瀬戸  隆一君   関   芳弘君   園田  博之君   薗浦 健太郎君

田所  嘉徳君   田中  和徳君   田中  英之君   田中  良生君

田野瀬 太道君   田畑   毅君   田畑  裕明君   田村  憲久君

平   将明君   高市  早苗君   高木   毅君   高木  宏壽君

高鳥  修一君   高橋 ひなこ君   竹下   亘君   竹本  直一君

武井  俊輔君   武部   新君   武村  展英君   橘  慶一郎君

棚橋  泰文君   谷   公一君   谷川  とむ君   谷川  弥一君

津島   淳君   辻   清人君   土屋  品子君   土屋  正忠君

寺田   稔君   とかしきなおみ君   土井   亨君   冨樫  博之君

渡海 紀三朗君   冨岡   勉君   豊田 真由子君   中川  俊直君

中川  郁子君   中谷   元君   中谷  真一君   中根  一幸君

中村  裕之君   中山  展宏君   中山  泰秀君   永岡  桂子君

長尾   敬君   長坂  康正君   長島  忠美君   二階  俊博君

丹羽  秀樹君   丹羽  雄哉君   西川  公也君   西村  明宏君

西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君   根本   匠君

根本  幸典君   野田  聖子君   野田   毅君   野中   厚君

葉梨  康弘君   萩生田 光一君   橋本   岳君   橋本  英教君

馳    浩君   鳩山  二郎君   浜田  靖一君   林   幹雄君

原田  憲治君   原田  義昭君   比嘉 奈津美君   平井 たくや君

平口   洋君   平沢  勝栄君   ふくだ 峰之君   福井   照君

福田  達夫君   福山   守君   藤井 比早之君   藤丸   敏君

藤原   崇君   船田   元君   古川   康君   古川  禎久君

古田  圭一君   星野  剛士君   細田  博之君   堀井   学君

堀内  詔子君   前川   恵君   前田  一男君   牧島 かれん君

牧原  秀樹君   松島 みどり君   松野  博一君   松本   純君

松本  剛明君   松本  文明君   松本  洋平君   三ッ林 裕巳君

三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君   宮内  秀樹君

宮川  典子君   宮腰  光寛君   宮崎  政久君   宮路  拓馬君

宮下  一郎君   武藤  容治君   務台  俊介君   宗清  皇一君

村井  英樹君   村上 誠一郎君   望月  義夫君   茂木  敏充君

盛山  正仁君   森   英介君   森山   裕君   八木  哲也君

簗   和生君   山際 大志郎君   山口  俊一君   山口  泰明君

山口   壯君   山下  貴司君   山田  賢司君   山田  美樹君

山本  公一君   山本  幸三君   山本   拓君   山本ともひろ君

山本  有二君   吉川  貴盛君   吉野  正芳君   義家  弘介君

和田  義明君   若狭   勝君   若宮  健嗣君   渡辺  孝一君

渡辺  博道君   赤羽  一嘉君   井上  義久君   伊佐  進一君

伊藤   渉君   石井  啓一君   石田  祝稔君   稲津   久君

上田   勇君   浮島  智子君   漆原  良夫君   江田  康幸君

大口  善徳君   太田  昭宏君   岡本  三成君   北側  一雄君

國重   徹君   輿水  恵一君   佐藤  茂樹君   佐藤  英道君

斉藤  鉄夫君   高木 美智代君   高木  陽介君   竹内   譲君

角田  秀穂君   遠山  清彦君   富田  茂之君   中川  康洋君

中野  洋昌君   浜地  雅一君   濱村   進君   樋口  尚也君

古屋  範子君   真山  祐一君   桝屋  敬悟君   吉田  宣弘君

足立  康史君   井上  英孝君   伊東  信久君   浦野  靖人君

遠藤   敬君   小沢  鋭仁君   河野  正美君   木下  智彦君

椎木   保君   下地  幹郎君   谷畑   孝君   馬場  伸幸君

松浪  健太君   丸山  穂高君   吉田  豊史君   小泉  龍司君

長崎 幸太郎君   武藤  貴也君

     ――――◇―――――

笹川博義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 山井和則君外七名提出、厚生労働大臣塩崎恭久君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 笹川博義君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 厚生労働大臣塩崎恭久君不信任決議案(山井和則君外七名提出)

議長(大島理森君) 厚生労働大臣塩崎恭久君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。郡和子君。

    ―――――――――――――

 厚生労働大臣塩崎恭久君不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔郡和子君登壇〕

郡和子君 民進党の郡和子です。

 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました厚生労働大臣塩崎恭久君不信任決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。(拍手)

 まず、決議案を朗読いたします。

  本院は、厚生労働大臣塩崎恭久君を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

以上であります。

 塩崎厚生労働大臣には、年金や労働、医療、介護、子育てなど、国民生活に直結する行政を所管する厚生労働省の長として、さまざまな改革に真摯に取り組むことが期待されておりました。しかし、塩崎君は、国民の期待を裏切り続けてきました。これ以上、塩崎君に厚生労働大臣の重責を任せるわけにはいきません。

 以下、不信任の具体的な理由を申し述べます。

 不信任の理由の第一は、国民生活に大打撃を与える可能性が高い年金カット法案を提出し、衆議院厚生労働委員会で可決させたことです。

 年金カット法案には、物価が上がっても、賃金が下がれば、下がった賃金に合わせて年金を下げる年金カットの新ルールが盛り込まれています。新ルールが発動されるたびに、年金水準は物価からどんどん乖離し、高齢者の暮らしを直撃いたします。

 影響を受けるのは高齢者だけではありません。新ルールは障害年金にも適用されるため、障害を持つ人々の生活にも多大な影響を与えます。

 安倍総理が掲げる一億総活躍とは、年金はカット、だから高齢者も障害者も死ぬまで働けと言わんばかりに、冷たく突き放す意味があったのですね。

 マクロ経済スライドで、将来世代の基礎年金の所得代替率は三割削減されます。今でも基礎年金だけで生活していくのは困難であり、三割削減されれば生活が立ち行かなくなることは、火を見るよりも明らかなことです。

 最低保障機能を強化し、将来世代が生活できる年金を受け取れるようにするには、年金制度の抜本改革が必要不可欠です。しかし、塩崎大臣は年金制度の改革を避け続け、年金カット法案にも盛り込まれませんでした。年金カット法案が成立してしまえば、制度改革は放置され続けてしまいます。

 塩崎大臣は、前代未聞の、強行開会の委員会で趣旨説明を行うという、入り口から真摯に議論を求める姿勢はありませんでした。

 審議の前提となるまともな試算を最後まで出さなかったことも大問題であります。

 同僚議員が、新ルールを過去十年間の物価と賃金の変動に当てはめると年金の水準が五・二%下がるとの試算を示しました。民進党が厚労省に対して試算を出すよう再三にわたって要求し、ようやく出てきた試算は極めてうさん臭いものでありました。

 また、厚労省の試算では、新ルールで将来の年金水準は七%も上がるとしていますが、今後、賃金が上がり続け、年金カットの新ルールが永遠に発動しないという非現実的な財政検証のケースEを前提としています。国民に対して誤ったイメージを植えつけた塩崎大臣のやったことは、決して許されることではありません。

 どういう前提を置くかによって数字は変わる、数字を具体的に申し上げるようなことはできないと塩崎厚生労働大臣は逃げの答弁を繰り返しましたが、厚労省が示した数字がいいかげんなものであるとの証左であります。

 厚労省に対して、新ルールが発動される幾つかの経済シナリオに当てはめた場合の試算を出すよう繰り返し繰り返し要求いたしましたが、厚労省はかたくなにこれを拒み続けたのも、塩崎大臣が試算を出すことを認めなかったためでありましょう。

 公的年金制度の最低保障機能の空洞化を顧みず、単に制度を残すために年金給付の抑制ばかりに固執すれば、かえって生活保護をふやして、若年層の年金制度への信頼を弱めることにつながりかねません。

 年金収入が減るだけでなく、介護費や医療費の負担増加で支出がふえ続け、最低限の生活ができない下流老人の実態も見ず、国会でまともな審議を封じた塩崎君の国会軽視の姿勢は極めて問題であります。

 不信任の理由の第二は、年金積立金の巨額の運用損を隠蔽したことであります。

 二〇一四年十月、塩崎君は、年金積立金を運用する基本ポートフォリオを見直し、株式の比率を倍増させて五〇%に引き上げることを認可しました。

 年金積立金は、専ら被保険者の利益のために、安全かつ効率的に運用すべきものです。アベノミクスへの評価を維持するために、年金積立金を株価対策に利用してリスクを高めることは、被保険者や年金生活者に対する背信行為であります。

 その結果、塩崎大臣は多額の運用損を出しました。ことし七月二十九日に発表された二〇一五年度の運用損は五兆三千九十八億円。民進党が速やかに公表するよう求めたにもかかわらず、塩崎大臣は参議院選挙への悪影響を懸念して参議院選挙後に公表を先送りし、選挙のために隠蔽までした塩崎君に大臣の資格はありません。

 不信任の理由の第三は、過重な長時間労働を促進しようとしていることです。

 過労死が社会問題となり、長時間労働の是非が喫緊の課題になっています。二〇一四年には、旧民主党が主導して、全会一致で過労死等防止対策推進法を成立させることができました。

 塩崎大臣は、この立法意思を踏みにじり、残業代支払いなどを適用除外にできる制度の創設や長時間労働の温床となっている裁量労働制の拡大を盛り込んだ残業代ゼロ法案で、過重な長時間労働を促進しようとしています。この法案は、残業代なしに長時間労働を強いるブラック企業をふやし、合法化する危険性すらあり、過労死推進法と言っても過言ではありません。

 以上、申し述べたことが、本院が厚生労働大臣塩崎恭久君を信任せずとの理由であり、ここに塩崎恭久君不信任決議案を提出するものであります。

 議員諸氏がその良心に従い、本決議案に御賛同いただくことを訴えて、趣旨説明といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。三ッ林裕巳君。

    〔三ッ林裕巳君登壇〕

三ッ林裕巳君 自由民主党の三ッ林裕巳です。

 私は、自由民主党・無所属の会、公明党を代表して、ただいま議題となりました塩崎厚生労働大臣に対する不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行います。(拍手)

 そもそも、厚生労働大臣が今回の年金制度改革法案の成立を求めたことを批判していますが、今回の法案は、当時の民主党が社会保障・税一体改革で先送りした課題に結論を出しただけであります。厳しい政策でも勇気を持って進めるのが責任ある政治です。年金制度の抜本改革を主張しながら、実際のところは対案すら決められない政党に批判される筋合いはありません。

 また、塩崎大臣が改正法の施行後の試算を示さなかったと批判されますが、民進党の要求に応じた試算は既に十月十七日に公表しています。民進党は、自分たちにとって都合が悪い試算結果が出たため、別の前提を置いて試算しろと求めているにすぎません。

 安倍政権は、デフレからの脱却、賃金上昇、強い経済を目指して全力で取り組んでおります。民進党が求めるような、賃金が物価よりも低下する状況を前提とした試算は行えないと何度も説明しているではありませんか。場当たり的で、思い込みや党利党略によるレッテル張りはやめていただきたい。

 また、塩崎大臣が法案採決を強行したかのような批判をされますが、全くの言いがかりであります。国会の運営を決めるのは国会であって、厚生労働大臣ではありません。そんなことも知らないとは驚きです。仮に、大臣は採決を決める立場にないと知りながら批判されているのであれば、採決を求める厚生労働大臣という虚像をアピールしたいがための演出だと思われても仕方がありません。

 年金積立金の運用損を出したとの批判をされますが、平成十三年度の自主運用開始以降、年金積立金の累積収益は約四十三兆円、政権交代後は約三十兆円の収益を上げており、批判は的外れであります。

 労働基準法改正法案についても批判されましたが、この法案は昨年の通常国会に提出したものであります。この法案は、長時間労働を是正し、働く人の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものであり、残業代ゼロ法案とのレッテル張りは当たりません。対案も提出されているようですので、早期に審議しようではありませんか。

 塩崎大臣は、長時間労働の抑制などの働き方改革を推進するため、これまでも、過重労働撲滅特別対策班「かとく」の新設や三六協定見直しの検討など、積極的な取り組みを進めています。安倍内閣の最重要課題の一つである働き方改革を強力に推進するためにも、引き続き塩崎大臣のリーダーシップが必要であります。

 塩崎大臣は、二十年先を見据えた政策ビジョン「保健医療二〇三五」や、診療報酬本体のプラス改定、医療保険制度改革、地域包括ケアなどを進めてこられました。医療、介護、雇用、福祉などの課題解決に加え、感染症などの健康危機管理に昼夜を問わず全力で取り組んでいる塩崎大臣に引き続き厚生労働行政をリードしていただくことこそが、我が国にとって最善の道であります。

 このような決議案が万が一可決されるようなことがあれば、我が国の憲政史上の大きな汚点となります。良識ある衆議院の皆様に対し、国会の権威を守るため、このような決議案を断固として否決していただくことを求めまして、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 水戸将史君。

    〔水戸将史君登壇〕

水戸将史君 横浜から参りました、民進党の水戸将史であります。

 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました厚生労働大臣塩崎恭久君不信任決議案に対して、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 御案内のとおり、厚生労働省設置法には、厚生労働省の任務として、国民生活の保障及び向上を図ることが規定をされています。しかし、厚生労働大臣ともあろう御本人が、今般、事もあろうに、年金カット法案を国会に提出し、十分な審議をしないまま衆議院厚生労働常任委員会で可決させ、国民の生活を保障するどころか、脅かしているではありませんか。これでは、厚生労働大臣としての責任を放棄しているのみならず、その資格を有していないと言っても過言ではありません。

 塩崎大臣が野党の反対を押し切り強引に可決に導いた年金カット法案には、問題が山積をしております。

 大臣、あなたは年金カット法案を将来年金確保法案と呼んでおりますが、その言葉とは裏腹に、その実態は、将来世代の年金確保にとって全く役に立たない代物であります。そもそも、マクロ経済スライドで将来世代の年金の所得代替率は三割もカットされるではありませんか。それを将来年金確保法案とは、聞いてあきれます。

 かつて、民主、自民、公明の三党で成立させた社会保障制度改革推進法では、社会保障制度改革を行うための法制上の措置を講じることが規定されておりました。そして、民主党政権下では、推進法に基づいて公的年金制度を抜本的に改革する具体的な法案を提示することが想定されておりました。

 当時の三党合意の一翼を担った塩崎大臣御自身が、将来世代の年金に真っ正面から向き合って抜本改革に取り組むべきときであります。現在、その最もふさわしい立場にいながら、あなたはどうして抜本改革から逃げ続け、こんな法案でお茶を濁そうとするのか、私には全く理解ができません。

 塩崎大臣は、年金カット法案の審議において、みずからの答弁により委員会をその都度混乱させました。

 例えば、基礎年金が基礎的消費支出をおおむねカバーできない状態になるというのはどういうことかという質問に対しましては、あなたは、ぎちぎちした話ではないと、いいかげんな答弁であしらおうとしました。また、あなたはまるで評論家のようにとうとうと答弁をして、質疑時間を浪費させることもしばしばありました。

 年金の制度は、全ての国民の老後生活にかかわる問題なのです。誰よりも年金行政のトップとして当事者意識を持ち、年金受給者の生活を真剣に考えて審議に臨むべきあなた御自身からそのような意識が全く感じられなかったことは、まことに残念であります。

 塩崎大臣が国民の財産とも言える年金積立金を株式に大量につぎ込むことを許可したことも、極めて問題であります。株式の比率を倍増させて、生活の糧である年金積立金をリスクにさらすことは、国民生活をリスクにさらすことも同然ではありませんか。

 その結果、十五カ月で約十兆円もの運用損を出してしまいました。多くの国民が株式運用倍増に強い不安感を覚えているにもかかわらず、あなたの、株価の上がることだけを重視し、運用損が出たことを全く意に介さないその感覚は、一体どこから来るものなのでありましょうか。

 あえて申し上げるならば、塩崎大臣が、昨年、均等待遇を確保しないまま、企業が派遣社員を受け入れる期間を実質的に無制限にする労働者派遣制度改悪法案を成立させたことは忘れてはなりません。

 期間制限を事実上撤廃して、正社員の求人を減らし、派遣社員の求人をふやす制度の改悪は、若者の将来を狂わせます。就職活動をますます厳しいものにし、一生派遣で働かざるを得ない若者を多く生み出すことが懸念されております。

 改悪によって、二十六業務で働く派遣社員のうち、有期雇用の人には三年の期間制限がかかることになりました。今後、雇いどめになる可能性があります。また、四十代、五十代の派遣社員の方は、次の派遣先が見つからず、路頭に迷ってしまう人も出てしまいます。

 多くの人の人生を狂わせることを、まるで他人事のように事を済ませてしまうあなたに、国民の命や生活を守る厚労大臣を担う資格はございません。

 さらに、塩崎大臣は、社会保障の充実、安定化のためとうそぶいて、社会保障カットの道をまっしぐらに突き進んでいるではありませんか。

 さきに大臣は、介護報酬を二・二七%も引き下げました。その結果、東京商工リサーチの調査結果によれば、二〇一六年一月から九月の老人福祉・介護事業の倒産件数が既に七十七件に達し、過去最多を記録した前年を上回るハイペースで推移をしているではありませんか。

 このような状態が続けば、一方的に介護施設の入所待ちがふえ、介護が必要な人に必要なサービスを提供できなくなってしまう状況をあなたはどうごらんになっていらっしゃるか、甚だ心もとない思いでおります。

 そして、これにとどまることを知らず、他方では、後期高齢者医療の保険料軽減特例の見直し、七十歳以上の高額療養費の見直し、さらに、軽度者に対する福祉用具貸与の原則自己負担化など、あなたが検討している社会保障の負担増を挙げれば切りがございません。

 以上、塩崎大臣に対して、その資質に欠ける点をるる申し述べました。

 良識ある議員諸君におかれましては、厚生労働大臣塩崎恭久君不信任決議案に御賛同いただけるものと確信し、私の賛成討論を終了いたします。

 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました塩崎厚労大臣の不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 まず、与党の数の力による採決強行に、満身の怒りを込めて抗議をするものです。

 忘れてならないのは、この間、閣僚などによる国会軽視の不用意な発言が相次いだことです。

 山本農水大臣は、十月十八日の佐藤議運委員長のパーティーでの発言など、二度も謝罪をしました。また、萩生田官房副長官は、あろうことか、強行採決を田舎のプロレスに例えました。そして、安倍総理自身が、厚労委員会の質疑において、年金カットという野党の指摘にいら立ちを隠さず、私の述べたことを全く御理解いただいていないようでは、これでは何時間やったって同じじゃないですかと言い放ちました。

 このような発言が出るということ自体が、安倍政権の国会軽視とおごりをあらわしているのではないでしょうか。

 二十五日の参考人質疑を、当日、開始直前に議決したことは、異例中の異例と丹羽委員長も認めました。年金法案審議は五回中四回、今国会を通しての委員会では九回中七回も、理事会合意もなく委員長職権で開会したあげく、わずか十九時間の審議で強行採決を行ったのです。

 実は、塩崎大臣は、山本農水大臣の問題発言があった佐藤議運委員長のパーティーに出席していました。十一月十八日、民進党の柚木議員の質問に対し、みずからの発言を悪びれることもなく明かしています。よく強行採決だなんて演出をしようとする野党ですが、我々は全くそういうつもりもないし、そんなことをやっているつもりはないが、いろいろな演出をしてくるというような発言をしたと思いますというものです。

 正直、驚きました。数の力の前に野党が必死の抗議をすることを演出だなどと言ってのける大臣は、絶対に許せるものではなく、不信任は当然であります。

 塩崎大臣は、昨年の七月十四日、安保関連法案の衆議院採決の前日、記者団に問われてこう答えました。いろいろな世論調査などを見てみると、説明が十分だという理解はまだ進んでいないというふうに思いますので、これは与党として提案をしている限りは、そして、私たち内閣の一員としても、国民に対する説明責任は引き続き果たしていくべきだというふうに思っていますとおっしゃったのであります。

 翻って、年金法案について、共同通信社の調査では、賛成は三三・八%、反対は五八%で、日経新聞では、賛成は二九%にすぎず、反対が五七%です。これで国民の理解が得られたと言えるでしょうか。

 年金法案採決については、採決当日、大臣は、特に新しい論点が出てきている感じはいたしませんが、国民の皆様方によく理解していただくように努力していきたいと記者団に答えました。参考人の皆様に対しても極めて失礼であり、大臣自身の昨年の発言と比べても矛盾するではありませんか。

 塩崎大臣、実はあなたはこれまでもさまざまな問題がありました。

 昨年四月、経営者団体が主催する社長朝食会に出席し、いわゆる残業代ゼロ法案の対象となる高度プロフェッショナル労働者について、最初は年収一千七十五万円と上限を高くし、小さく産んで大きく育てると発言しました。いずれは引き下げていく考えであることを示唆し、ぐっと我慢していただいて、とりあえず通すこととお願いをしていたのです。

 さらに、労働者派遣法改正について、十月一日施行予定だったみなし雇用制度の適用を免れるため、改正案を一月前の九月一日施行としました。この法案を通さなければ訴訟が乱発、大量の派遣労働者が失業といったおどしまがいの文書を厚労省が流布していたことが発覚しました。

 また、百二十五万件に上る年金情報流出問題では、厚労省のセキュリティー対策のずさんさが露呈し、大臣給与返上にまで至りました。振り返れば、どうして塩崎大臣はこれまで辞任を免れていたのか、不思議でなりません。

 公的年金は老後の支えです。四十年間会社勤めをしてやっと老後は楽になると思っていたのに、十数万円という少なさに絶望する人、年金受給年齢が先送りされ、やむなく少ない年金を受け取っている人、八十歳過ぎても働かざるを得ない人など、年金の動向は最大の関心事であります。

 今回、マクロ経済スライドを確実に発動させ、物価が上がっても賃金が下がれば賃金に合わせるという賃金スライド制度との合わせわざによって、百年安心どころか、ずっと年金は下がり続けるのです。

 そもそも、政府の試算どおり、物価、賃金がずっと右肩上がりということが現実的ではありませんが、仮にそうだったとしても、現行制度より、この法案で将来の年金水準をどのくらい改善するのかという質問に対して、マクロ経済スライドの調整を一年前倒しで終了し、〇・三%の改善ができるというものでした。一年前倒しというのは、三十年間が二十九年間になるというだけです。それを将来年金確保などと称して、高齢者が少し我慢すれば将来世代の年金がふえるかのような説明は、断じて許せません。

 国民年金の平均は月約五万円、厚生年金でも、最も多い層は月九万から十万円程度です。そこから数百円、数千円と減っていくことは、命に直結する大問題ではありませんか。それを痛みに思わないばかりか、国民の年金保険料積立金を、株運用で五兆円、十兆円と損が出ようが、長期運用だから問題ないと開き直る姿勢こそが、厚労大臣に最もふさわしくないと言うべきです。

議長(大島理森君) 高橋君、決められた時間が過ぎておりますよ。

高橋千鶴子君(続) あすで会期切れ、法案はきっぱり廃案にすることを申し述べて、私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十

  可とする者(白票)       百二十二

  否とする者(青票)      三百三十八

議長(大島理森君) 右の結果、厚生労働大臣塩崎恭久君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

山井和則君外七名提出厚生労働大臣塩崎恭久君不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君   赤松  広隆君

荒井   聰君   井坂  信彦君   井出  庸生君   石関  貴史君

泉   健太君   今井  雅人君   江田  憲司君   枝野  幸男君

小川  淳也君   小熊  慎司君   緒方 林太郎君   大串  博志君

大島   敦君   大西  健介君   大畠  章宏君   太田  和美君

逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本  充功君   奥野 総一郎君

落合  貴之君   柿沢  未途君   金子  恵美君   神山  洋介君

菅   直人君   木内  孝胤君   吉良  州司君   黄川田  徹君

岸本  周平君   北神  圭朗君   黒岩  宇洋君   玄葉 光一郎君

小宮山 泰子君   小山  展弘君   後藤  祐一君   郡   和子君

近藤  昭一君   近藤  洋介君   佐々木 隆博君   坂本 祐之輔君

重徳  和彦君   階    猛君   篠原   豪君   篠原   孝君

鈴木  克昌君   鈴木  義弘君   田島  一成君   田嶋   要君

高井  崇志君   高木  義明君   武正  公一君   玉木 雄一郎君

津村  啓介君   辻元  清美君   寺田   学君   中川  正春君

中島  克仁君   中根  康浩君   長島  昭久君   長妻   昭君

野田  佳彦君   初鹿  明博君   伴野   豊君   平野  博文君

福島  伸享君   福田  昭夫君   古川  元久君   古本 伸一郎君

細野  豪志君   馬淵  澄夫君   前原  誠司君   牧   義夫君

升田 世喜男君   松木けんこう君   松田  直久君   松野  頼久君

松原   仁君   水戸  将史君   宮崎  岳志君   村岡  敏英君

本村 賢太郎君   山尾 志桜里君   山井  和則君   柚木  道義君

横路  孝弘君   横山  博幸君   笠   浩史君   鷲尾 英一郎君

渡辺   周君   赤嶺  政賢君   池内 さおり君   梅村 さえこ君

大平  喜信君   笠井   亮君   穀田  恵二君   斉藤  和子君

志位  和夫君   清水  忠史君   塩川  鉄也君   島津  幸広君

田村  貴昭君   高橋 千鶴子君   畑野  君枝君   畠山  和也君

藤野  保史君   堀内  照文君   真島  省三君   宮本  岳志君

宮本   徹君   本村  伸子君   小沢  一郎君   玉城 デニー君

照屋  寛徳君   吉川   元君   上西 小百合君   川端  達夫君

仲里  利信君   野間   健君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あべ  俊子君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君

青山  周平君   赤枝  恒雄君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君

秋元   司君   秋本  真利君   浅尾 慶一郎君   麻生  太郎君

穴見  陽一君   甘利   明君   安藤   裕君   井野  俊郎君

井上  信治君   井上  貴博君   井林  辰憲君   伊東  良孝君

伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   伊吹  文明君

池田  道孝君   池田  佳隆君   石川  昭政君   石崎   徹君

石田  真敏君   石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君

稲田  朋美君   今枝 宗一郎君   今津   寛君   今村  雅弘君

岩田  和親君   岩屋   毅君   うえの賢一郎君   江崎  鐵磨君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君   遠藤  利明君

小倉  將信君   小此木 八郎君   小里  泰弘君   小田原  潔君

小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  朝子君   越智  隆雄君

大岡  敏孝君   大串  正樹君   大隈  和英君   大塚  高司君

大塚   拓君   大西  英男君   大西  宏幸君   大野 敬太郎君

大見   正君   岡下  昌平君   奥野  信亮君   鬼木   誠君

加藤  鮎子君   加藤  勝信君   加藤  寛治君   梶山  弘志君

勝沼  栄明君   勝俣  孝明君   門   博文君   門山  宏哲君

金子  一義君   金子 万寿夫君   金子 めぐみ君   金子  恭之君

金田  勝年君   上川  陽子君   神谷   昇君   神山  佐市君

亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君   河井  克行君

河村  建夫君   神田  憲次君   菅家  一郎君   木内   均君

木原  誠二君   木原   稔君   木村  太郎君   木村  弥生君

城内   実君   黄川田 仁志君   岸田  文雄君   北川  知克君

北村  茂男君   北村  誠吾君   工藤  彰三君   熊田  裕通君

小泉 進次郎君   小島  敏文君   小林  鷹之君   小林  史明君

小松   裕君   古賀   篤君   後藤  茂之君   後藤田 正純君

河野  太郎君   高村  正彦君   國場 幸之助君   今野  智博君

左藤   章君   佐々木  紀君   佐田 玄一郎君   佐藤   勉君

佐藤 ゆかり君   齋藤   健君   斎藤  洋明君   坂井   学君

坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君   塩崎  恭久君

塩谷   立君   柴山  昌彦君   島田  佳和君   下村  博文君

白須賀 貴樹君   新谷  正義君   新藤  義孝君   菅   義偉君

菅原  一秀君   助田  重義君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君

鈴木  淳司君   鈴木  貴子君   鈴木  憲和君   鈴木  隼人君

瀬戸  隆一君   関   芳弘君   園田  博之君   薗浦 健太郎君

田所  嘉徳君   田中  和徳君   田中  英之君   田中  良生君

田野瀬 太道君   田畑   毅君   田畑  裕明君   田村  憲久君

平   将明君   高市  早苗君   高木   毅君   高木  宏壽君

高鳥  修一君   高橋 ひなこ君   竹下   亘君   竹本  直一君

武井  俊輔君   武部   新君   武村  展英君   橘  慶一郎君

棚橋  泰文君   谷   公一君   谷川  とむ君   谷川  弥一君

津島   淳君   辻   清人君   土屋  品子君   土屋  正忠君

寺田   稔君   とかしきなおみ君   土井   亨君   冨樫  博之君

渡海 紀三朗君   冨岡   勉君   豊田 真由子君   中川  俊直君

中川  郁子君   中谷   元君   中谷  真一君   中根  一幸君

中村  裕之君   中山  展宏君   中山  泰秀君   永岡  桂子君

長尾   敬君   長坂  康正君   長島  忠美君   二階  俊博君

丹羽  秀樹君   丹羽  雄哉君   西川  公也君   西村  明宏君

西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君   根本   匠君

根本  幸典君   野田  聖子君   野田   毅君   野中   厚君

葉梨  康弘君   萩生田 光一君   橋本   岳君   橋本  英教君

馳    浩君   鳩山  二郎君   浜田  靖一君   林   幹雄君

原田  憲治君   原田  義昭君   比嘉 奈津美君   平井 たくや君

平口   洋君   平沢  勝栄君   ふくだ 峰之君   福井   照君

福田  達夫君   福山   守君   藤井 比早之君   藤丸   敏君

藤原   崇君   船田   元君   古川   康君   古川  禎久君

古田  圭一君   星野  剛士君   細田  博之君   堀井   学君

堀内  詔子君   前川   恵君   前田  一男君   牧島 かれん君

牧原  秀樹君   松島 みどり君   松野  博一君   松本   純君

松本  剛明君   松本  文明君   松本  洋平君   三ッ林 裕巳君

三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君   宮内  秀樹君

宮川  典子君   宮腰  光寛君   宮崎  政久君   宮路  拓馬君

宮下  一郎君   武藤  容治君   務台  俊介君   宗清  皇一君

村井  英樹君   村上 誠一郎君   望月  義夫君   茂木  敏充君

盛山  正仁君   森   英介君   森山   裕君   八木  哲也君

簗   和生君   山際 大志郎君   山口  俊一君   山口  泰明君

山口   壯君   山下  貴司君   山田  賢司君   山田  美樹君

山本  公一君   山本  幸三君   山本   拓君   山本ともひろ君

山本  有二君   吉川  貴盛君   吉野  正芳君   義家  弘介君

和田  義明君   若狭   勝君   若宮  健嗣君   渡辺  孝一君

渡辺  博道君   赤羽  一嘉君   井上  義久君   伊佐  進一君

伊藤   渉君   石井  啓一君   石田  祝稔君   稲津   久君

上田   勇君   浮島  智子君   漆原  良夫君   江田  康幸君

大口  善徳君   太田  昭宏君   岡本  三成君   北側  一雄君

國重   徹君   輿水  恵一君   佐藤  茂樹君   佐藤  英道君

斉藤  鉄夫君   高木 美智代君   高木  陽介君   竹内   譲君

角田  秀穂君   遠山  清彦君   富田  茂之君   中川  康洋君

中野  洋昌君   浜地  雅一君   濱村   進君   樋口  尚也君

古屋  範子君   真山  祐一君   桝屋  敬悟君   吉田  宣弘君

足立  康史君   井上  英孝君   伊東  信久君   浦野  靖人君

遠藤   敬君   小沢  鋭仁君   河野  正美君   木下  智彦君

椎木   保君   下地  幹郎君   谷畑   孝君   馬場  伸幸君

松浪  健太君   丸山  穂高君   吉田  豊史君   小泉  龍司君

長崎 幸太郎君   武藤  貴也君

     ――――◇―――――

 会期延長の件

議長(大島理森君) 会期延長の件につきお諮りいたします。

 本国会の会期を十二月一日から十四日まで十四日間延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。

 本件につき討論の通告があります。順次これを許します。太田和美君。

    〔太田和美君登壇〕

太田和美君 民進党の太田和美です。

 私は、民進党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました十四日間の会期延長につき、反対の立場から討論をいたします。(拍手)

 十月十七日のTPP特別委員会において安倍総理は、我が党においては、結党以来、強行採決をしようと考えたことはないと答弁されました。

 しかし、現実には、今国会だけでも二度、TPP特別委員会と厚生労働委員会で強行採決が行われているのは明白な事実です。何よりも、自民党の竹下国対委員長がそれを明言したではありませんか。

 国会審議を軽視する政府・与党幹部の数々の暴言、職権濫用の強引な国会運営は、まさに数のおごりにほかなりません。

 政府・与党はみずからの姿勢を猛省し、今国会の延長を諦め、TPP関連法案と年金カット法案を廃案とすべきです。

 以下、具体的に反対理由を申し述べます。

 反対の理由の第一は、TPPはもはや成立させる理由が消滅したからであります。

 TPP協定については、米を初めとする重要五品目の全ての面で国益が守られなかったことが明らかになっています。その後、民間の調査により、売買同時入札、SBS方式で輸入されている輸入米が国産米よりも二割程度安く販売されている事実も明らかになりました。

 しかし、政府は、ずさんきわまりない調査を行うのみで、輸入米の価格は国産米と同水準で、国産米の価格への影響は認められないという答弁を繰り返すばかりでした。

 その上、協定訳文に十八カ所もの誤訳が判明し、食の安全の問題やISDSなど都合の悪い事実も次々と明らかになりました。こうしたことを覆い隠すかのように与党は強行採決という暴挙に踏み切ったのであります。

 しかし、TPP離脱を表明するトランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝利し、協定発効が絶望的となった現在、会期延長をしてまで審議を続ける意味は全くありません。

 反対の第二の理由は、年金生活者の生活をさらに苦しくするだけでなく、将来世代の年金確保策としても不十分な年金カット法案を廃案にすべきだからです。

 新たな年金額改定ルールによると、物価が上がっても、賃金が下がった場合は年金が下がってしまいます。これでは日常生活に最低限必要な消費さえ年金で賄うことは困難となり、生活保護に頼らざるを得ない高齢者がさらに増加することは火を見るより明らかです。

 さらに、マクロ経済スライドによって、二〇四三年までに基礎年金は今より三割減ることになるため、政府・与党が主張する将来の年金確保も夢物語です。

 その上、法案は、ほかにもGPIF改革など重要な問題を含む五本の法律案を束ねたものでありながら、わずか十九時間の質疑で打ち切りました。過去の国民年金法改正がいずれも三十時間程度審議されているのに比べれば圧倒的に短く、審議が長引くことで法案の問題点が広く国民に知れ渡ることを恐れているのは明らかです。

 政府は、医療や介護の負担増ももくろんでいますが、今こそ年金財政の厳しさをはっきりと認め、医療や介護も含めた社会保障全体の抜本的な改革に取り組むべきです。

 反対の理由の第三は、数におごる政府・与党の国会軽視の姿勢が目に余るものであるからであります。

 今国会では、わずか二カ月の間に、政府・与党幹部による暴言が相次ぎました。

 開会直後、当時TPP特別委員会の理事であった自民党の福井照衆議院議員が、TPPを強行採決という形で実現すると発言し、理事を辞任いたしました。

 TPP審議の主要閣僚である山本有二農水大臣も強行採決に言及、委員会で謝罪しましたが、舌の根も乾かないうちに、冗談を言ったら首になりそうになったと述べ、与党内からも厳しく批判されました。

 あげくの果てには、萩生田官房副長官までも、国会審議を田舎のプロレス、茶番だと発言し、謝罪に追い込まれました。

 きわめつけは、安倍総理の、何時間やっても同じという発言です。言論の府である国会でここまで審議を軽んじる発言が続くのを許すことはできません。

 また、TPP特別委員会や厚生労働委員会では、委員長職権濫用による強権的な委員会運営が何度も繰り返されるなど、与党の横暴な国会運営も目に余るものがあります。

 政府・与党幹部の数々の暴言、強行採決や強権的な委員会運営がこのように何度も行われるのは、数の力におごる政府・与党の慢心があるからにほかなりません。

 政府・与党に猛省を促し、TPP関連法案と年金カット法案も廃案にすべきことを申し上げ、会期延長に対する私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 牧原秀樹君。

    〔牧原秀樹君登壇〕

牧原秀樹君 自由民主党・無所属の会の牧原秀樹です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました、今国会の会期を十二月十四日まで十四日間延長する件につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 去る九月二十六日に召集された今国会におきましては、我が国が直面する内外の諸課題に迅速かつ的確に対応するための重要な法案が提出されております。きょうに至るまで真摯に議論を続けてこられた、与野党を超えた議員各位に対し、深く敬意を表するものであります。

 また、私個人は、初めて議院運営委員会に理事として所属しましたが、さまざまな状況を乗り越え、国会を国民のために動かしていこうという関係者の皆様の真摯な熱意と御努力に深い感動を覚えました。与野党の関係者の皆様に心からの敬意を申し上げます。

 言うまでもなく、国会に与えられた使命は、国家国民のために必要な予算や法案を審査し、その成立を期することです。その議論の場をつくり、全力を挙げて諸問題の解決に取り組むべきは、全ての議員にとって当然の責務であります。

 したがって、決められた会期はもちろん重要ですが、その会期内に成立していない必要な法案があれば、その成立を期すことは、国会としてさらに重要なことではないでしょうか。

 今国会においては、世代間の公平を図り、将来の年金水準を確保するための年金改革法案を初め、TPP協定、さらには幾つかの議員立法も含めて、まだ審査すべき重要な法案が残っております。安倍総理は所信表明演説において、私たちに求められていることは、悲観することでも、評論することでも、ましてや批判に明け暮れることでもありません、建設的な議論を行い、先送りすることなく、結果を出す、私たちは、国民の代表として、その負託にしっかり応えていこうではありませんかと訴えかけました。

 まさにそのとおりです。これから日本は、ますます少子化、高齢化が進み、人口は大幅に減少することが予想され、財政状況も予断を許しません。そんな中、今の世代の今の幸せを守ることだけでなく、私たちの子供や孫たちなど、次の世代の幸せを守ることがより一層求められているのではないでしょうか。制度の手直しを怠り、あるいは必要な措置を講じることなく、無責任に未来の世代にツケを回すわけにはいかないのであります。

 今国会でも、政府側の不適切な発言等により、しばしば審議がとまりました。無論、そのような御指摘については真摯な反省が求められます。

 しかしながら、何かあれば国会審議がとまり、最後になって審議時間が足りないという日程闘争的なやり方は、社会が日々猛烈な勢いで変化し、その中で大変な思いをされている国民に対し、もはや説明できないやり方なのではないでしょうか。

 私は、そのことで野党の皆様を批判するものではありません。それは、野党時代の自民党にも同様の悩みがなかったとは言えないからであります。

 私たち与野党の国会議員は、日々国民の声を聞き、地元の皆様を代表し、一人一人が、憲法上、全国民の代表と位置づけられております。その私たち国会議員が、審議がなされず、ただ待っていたりするのは、本当にもったいないことです。もしそれが国会の仕組みや慣習のせいであるとすれば、その改革こそ、今こそ必要なのではないでしょうか。

 少なくとも、現在及び将来に至るまでの国益や国民生活に資する重要な法案が残っている現状にあっては、会期を延長し、議論を通して国民生活の不安や将来に対する懸念を解消していくことが、与野党の枠を超えた我々国会議員の責務であるはずです。

 以上、申し上げたように、もって国民の負託に応えるべく、十四日間の会期延長が必要であると強く主張し、賛成の討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、十四日間の会期延長に断固反対の討論を行います。(拍手)

 政府・与党は、会期延長でTPP協定と関連法案及び年金制度改革法案を今国会で成立させると述べました。悪法を通すための会期延長は断じて認められません。

 TPPは関税撤廃を原則としており、日本の農林水産業に壊滅的打撃を与え、地域経済、地域社会を壊すものであって、農産物重要五項目を守るという国会決議に真っ向から反するものです。また、非関税障壁と称して、食の安全や医療、医薬品分野、保険、共済事業、雇用を脅かすものであります。さらに、ISDS条項により、多国籍企業や投資家が損害を受けたとして投資先の政府を訴えることができる条項が盛り込まれ、加えて、TPP委員会や各種委員会、規制の整合などによって、関税と非関税障壁の撤廃の議論が歯どめなく行われる仕組みであります。

 まさに、TPPは、国民の暮らしや命よりも、多国籍企業の利益のために日本の経済主権、食料主権を脅かすものであることは、国会審議で明らかであり、廃案にするべきであります。

 ところが、安倍政権は、トランプ次期アメリカ大統領がTPPからの離脱を明言し、協定の発効が不可能になった今もなお、日本主導でTPPの発効にこぎつけると公言し、会期延長で承認手続を進めようとしています。これは、意味がないどころか、極めて危険で有害な行為と言わなければなりません。

 重大なことは、安倍総理が、TPP承認によって、日本がTPP並みのレベルの高いルールをいつでも提供する用意があるという国家意思を示すと答弁していることです。これは、TPPで譲歩した線を最低基準とし、そこまではアメリカなどの要求を受け入れると宣言したに等しいものであります。これをてこにアメリカから一層の譲歩を迫られることは必至ではありませんか。

 トランプ次期大統領が、今後はアメリカ第一主義で二国間協議を進めると明言しているもとで、TPP協定の国会承認を思いとどまることは、今後、アメリカの理不尽な市場開放と規制撤廃要求を拒む足場となるのであります。

 TPP協定承認のために会期を延長することは、断じて認められません。

 年金制度改革法案は、年金カット法案そのものです。物価・賃金スライドとマクロ経済スライドの見直しによって、際限なく年金が削減されることになります。

 政府は将来世代の給付確保のためと言いますが、現役世代も将来の年金水準は低下し、若い世代ほど削減されます。高齢者の生活を圧迫し、若者の将来不安を拡大する年金カット法案を成立させるための会期延長は認められません。

 そもそも、今国会は、政府・与党による強行採決発言が相次ぎ、そして、その言葉どおりに強行採決が行われる国会となったことは、極めて重大であります。

 福井照TPP特理事が強行採決を口にしたことで理事をやめざるを得なかったことは当然です。

 しかし、強行採決発言を行った山本有二農水大臣は、行政が国会に介入するような不適切な発言で御迷惑をおかけし申しわけないと陳謝したにもかかわらず、それが冗談だとするような暴言を行い、国会の審議をないがしろにしたことに全く無反省であることを露呈しました。だからこそ、四野党は農水大臣の辞任を要求したにもかかわらず、政府・与党は農水大臣をかばい立てし、辞任要求にゼロ回答だったばかりか、その直後にTPP特で強行採決を行ったことは、国会の権威を損ねる深刻な事態だと言わざるを得ません。

 萩生田光一官房副長官の強行採決発言も許されません。強行採決というのは世の中にないどころか、その直後に年金カット法案を、わずか十九時間の審議で強行採決を行ったではありませんか。参考人質疑を行ったその日に強行採決したことは、国民の声に耳をかさない態度を示すものであり、言語道断であります。

 このような異常な国会だからこそ、大島議長と佐藤議運委員長は、繰り返し、与野党の協議を促し、円満な運営を行うことを求めてきました。

 TPP特における与党の一方的な地方公聴会設定について、これを是正させました。

 また、山本農水大臣の二度目の暴言後、本会議開会に向けた努力が議運で行われていた最中に、与党がTPP特別委員会を開会し、野党の反対を押し切って採決を強行し、厚労委員会でも審議を強行しました。これは衆議院規則を踏み破るものであり、佐藤議運委員長は、ルール上はできない、こんなことがまかり通れば議運は要らないと厳しく指摘しました。

 結局、与党は、その日のTPPの本会議採決を強行することができず、その後、厚労委員長は、委員会開会の非を認め、陳謝せざるを得なくなったではありませんか。

 暴挙を認めざるを得ないのに、その後も審議、採決の強行を重ねたことは、政府・与党に全く反省がないと言わざるを得ません。

 その上、この会期延長に乗じて、カジノ法案や部落差別永久化法案を党利党略で強行することなど、断じて容認できません。

 数の暴力によって議会制民主主義を壊すやり方を繰り返せば、必ずや国民の厳しい審判を受けることになります。

 今なすべきことは、このような暴挙を重ねた国会は閉じて、TPP協定と関連法案、そして年金カット法案などの悪法を廃案にすることであります。

 以上、会期延長反対の討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 会期を十二月一日から十四日まで十四日間延長するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、会期は十四日間延長することに決まりました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第一 官民データ活用推進基本法案(内閣委員長提出)

議長(大島理森君) 日程第一、官民データ活用推進基本法案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。内閣委員長秋元司君。

    ―――――――――――――

 官民データ活用推進基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔秋元司君登壇〕

秋元司君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、官民データ活用の推進に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、並びに官民データ活用推進基本計画の策定その他官民データ活用の推進に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、官民データ活用推進戦略会議を設置するものであります。

 本案は、去る二十五日、内閣委員会において、賛成多数をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(第百九十回国会、内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第二、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長丹羽秀樹君。

    ―――――――――――――

 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔丹羽秀樹君登壇〕

丹羽秀樹君 ただいま議題となりました公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、公的年金制度について、制度の持続可能性を高め、将来の世代の給付水準の確保等を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、従業員五百人以下の企業の短時間労働者について、労使の合意に基づき、被用者保険の適用対象とすることを可能とすること、

 第二に、国民年金の第一号被保険者について、産前産後期間の保険料を免除し、その期間に係る基礎年金給付を保障すること、

 第三に、いわゆるマクロ経済スライドについて、賃金、物価の上昇の範囲内で、前年度までの未調整分を含めて調整するとともに、賃金が低下し、物価変動を下回る場合には、賃金変動に合わせ年金額を改定すること、

 第四に、年金積立金管理運用独立行政法人に合議制の経営委員会を設けるとともに、リスク管理を目的とする年金積立金の運用方法を追加すること、

 第五に、日本年金機構の不要財産の国庫納付に関する規定を設けること

等であります。

 本案は、第百九十回国会に提出され、継続審査となっていたものであり、去る十一月一日の本会議において趣旨説明が行われました。

 本委員会におきましては、翌二日塩崎厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、四日から質疑に入りました。

 十六日には、自由民主党・無所属の会、公明党及び日本維新の会より、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進に関する規定の施行期日を「公布の日」から「平成二十九年四月一日」に改める修正案が提出され、趣旨説明を聴取しました。

 十八日から原案及び修正案を一括して質疑に入り、二十五日には、参考人から意見を聴取したほか、安倍内閣総理大臣の出席を求め質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、原案及び修正案について討論、採決を行った結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。井坂信彦君。

    〔井坂信彦君登壇〕

井坂信彦君 神戸から参りました井坂信彦です。

 私は、民進党・無所属クラブを代表し、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案、いわゆる年金カット法案に対して、反対の立場から討論します。(拍手)

 冒頭、民進党など野党が採決に合意していないにもかかわらず、与党が年金カット法案を、極めて短い時間で強行採決したことに対して、強く抗議します。

 老後の生活の糧である年金を減らす本法案は、現在の年金受給者だけでなく将来世代にも多大な影響を与えます。ここ二十年間、国民年金法の重要広範議案は、衆議院で常に三十時間前後の審議が行われてきました。しかし、年金カット法案の委員会での質疑時間はわずか十九時間。このようにいいかげんな審議で、問題の多い年金カット法案を通すことに、断固反対であると改めて申し述べます。

 本法案で問題となった年金カットの新ルールは、物価と賃金の常に低い方に年金を合わせ、物価が上がっても、賃金が下がれば、年金をカットして年金の最低保障機能を損なうものです。本法案が成立して、年金カットの新ルールが発動されると、一度下がった年金は二度と物価に追いつくことがなく、受給開始後の年金の実質価値は一方的に下がり続けます。

 影響を受けるのは、現在の高齢者だけではありません。年金カットの新ルールには適用期限がないため、現役世代や将来世代が老後に受け取る年金も、受給開始後に物価から離れてどんどん下がってしまいます。年金カットは将来世代の老後にもひとしく適用されるのです。

 年金カットの新ルールは障害年金にも適用されます。障害者の生活にも多大な影響を与えるのが年金カット法案です。

 新ルールを過去十年の物価と賃金の改定率に当てはめると、年金は五・二%カット、厚生年金では年間十四万円、基礎年金では四万円の削減となります。五・二%カットで厚生年金が十四万円減り、国民年金が四万円も減れば、現在の高齢者や将来世代の老後生活に与える影響は甚大です。

 政府がおくれて出してきた三%カットという試算は、可処分所得割合という別のルールを片一方だけ外し、二%のげたを履かせてカット幅を少なく見せているだけで、途中までの計算は我々の試算と全く同じことが委員会でも確認をされました。

 そもそも政府の試算では、年金カット法案は今後百年間発動されない前提になっています。過去十年間で六回、今年度も発動条件が満たされているような新ルールが、今後百年間発動しない根拠がどこにもありません。万が一の転ばぬ先のつえどころか、今後も頻繁に転ぶことになるわけで、政府は現実的な将来試算を行うべきです。

 将来の年金が七%アップするという政府試算も、今後百年間賃金が上昇し続け、年金カット法案が発動しない場合の試算です。年金カット法案が発動して高齢者が三%カットされた場合の将来への影響はせいぜい二%です。

 本法案で強化されるマクロ経済スライドで、将来世代の基礎年金が三割カットされるのに対し、二%では焼け石に水、総理が委員会で答弁されたとおり、年金カット法案で将来世代の年金がふえることはないというのが結論です。

 仮に、六十五歳の時点の年金額が維持されたとしても、その後の年金がカット法案で減らされて、将来世代の老後の年金は、年金カット法案の成立により、今より減る可能性さえあります。

 我々は、年金カットルールが発動される場合の試算を出すように再三にわたって要求をしてまいりましたが、厚生労働省は最後まで拒み続けました。新ルールで幾ら年金が減るのか、将来世代の年金はふえるのか減るのか、こういう初歩的な質問にも答えられないのであれば、十分な法案審議はできず、採決などできるはずがありません。

 マスコミ各社の世論調査でも、年金カット法案の反対が賛成の二倍から五倍も多い状況であります。

 もともと、二〇〇四年にマクロ経済スライドが決められたときには、将来世代の年金カットは一五%で済む見込みでした。しかし、甘い制度設計でその後十年間実行できなかった結果、将来世代の基礎年金は今から三割カットされることが政府の財政検証でも確認されています。

 基礎年金が三割カットされると、将来世代の老後の最低限の衣食住は全くカバーできなくなります。マクロ経済スライドさえ実行すれば年金は百年安心と言える状況では、もはやありません。

 将来世代がまともな年金額を受け取るためには、年金制度の抜本改革が必要です。その場しのぎの年金カット法案で今の制度を温存することは、改革の先送りであり、将来世代にツケを回すだけになります。政府・与党は年金カット法案を将来年金確保法案と呼んでいますが、将来世代の年金三割カットを放置していて、何が将来年金の確保でしょうか。

 GPIFの組織改革についても問題があります。

 新たにつくられる経営委員会は、年金積立金の運用割合など重要方針を決定する役割を担いますが、本法案では、経営委員会の十人の構成員のうち、労使の代表はそれぞれ一人のみとされていて、被保険者の意見が十分反映されません。

 また、監査委員は、経営委員会の構成員から任命されることになっており、監査委員会の独立性が担保されておりません。お手盛りの監査が行われることが懸念されます。

 以上、さまざまな問題点を申し上げましたが、年金カット法案は、マクロ経済スライドが終了するまで今後三十年間の年金受給者にとっては、明らかに年金を減らす法案です。一方で、安倍総理も答弁されたとおり、今後三割カットされる将来世代の年金が、年金カット法案でふえるわけではありません。

 年金カット法案で年金財政が仮に百年もったとしても、今の高齢者だけでなく、今後年金が三割カットされる将来世代の老後生活が成り立ちません。結果的には、生活保護に頼らざるを得ない高齢者が激増して、年金財政は帳尻が合っても、生活保護で国の財政が大赤字になるだけです。

 根本問題である将来世代の年金三割カットを何ら解決できない年金カット法案を、このように短い審議時間で強硬に押し通すのではなく、政府は、三党合意に基づき、社会保障制度改革国民会議で決められたとおり、今の高齢者から将来世代まで、まともな金額の年金がもらえるように、年金制度の抜本改革に今すぐ取り組むべきであります。

 そのことを強く申し上げて、私の反対討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 田村憲久君。

    〔田村憲久君登壇〕

田村憲久君 自由民主党の田村憲久でございます。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となっております公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について、賛成の討論を行うものであります。(拍手)

 まず、本法律案の審議を振り返って、与党の筆頭理事として、今国会の厚生労働委員会の運営に関する民進党の対応については、非常に残念であると言わざるを得ません。

 厚生労働委員会では、他の委員会が次々と委員会を開く中で、最初から、理事の補欠選任を行う委員会を開くための理事懇すらまともに協議を行えず、やむを得ず委員長の御判断により開催せざるを得ない状況に陥りました。

 その後も、このような状況は続き、当初は質疑に合意したにもかかわらず、本法律案の採決の提案に対する謝罪がないから委員会の開会に応じられないという、まことに理解に苦しむこともしばしばあり、本来与野党が協議を行うための理事懇は八回中四回、理事会や委員会は九回中七回が委員長の職権による開会となってしまいました。

 私の二十年の議員生活を通しても前代未聞の異常な事態であり、話し合いに入る前から話し合いを拒み、非協力の姿勢を貫き、委員会運営を停滞させた行為は、非常に残念と言わざるを得ません。

 また、今回の法案の審議時間についても、平成十六年の改正時の審議時間が引き合いに出されますが、野党の質疑時間に着目すれば、十六年改正時が十七時間に対して、今回は十六時間となっており、遜色のない審議時間と言えます。

 本法律案の審議に当たっては、このように、野党の質疑時間を十分に確保した上で、安倍内閣総理大臣に対する質疑も行い、参考人からの意見聴取も含めると、二十時間を超える審議を行ったところであります。

 さらに、十六年改正がマクロ経済スライドという年金制度始まって以来の枠組みを大きく変える改正であったのに対して、今回は、賃金スライドという既存の制度の一部を手直しするものであり、内容的にも大きな違いがあることを指摘しておきたいと思います。

 我が国の公的年金制度は、将来年金を受給する現在の若い人たちが、現在年金を受給しておられる世代に仕送りを行っており、限られた財源を世代間で適切に配分する分かち合いの仕組みであります。この中で、今回の年金額の改定ルールの見直しは、デフレ下でも現役世代の賃金の動きに合わせて年金額の改定を行うことによって、世代間の公平を確保し、現役世代が将来受給する基礎年金の水準がこれ以上低下しないようにするためのものであります。

 そもそも、経済の状況がデフレではなく、賃金が上がっている状況では、今回のルールが発動することはなく、また、安倍政権は、デフレ脱却や賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組んでおります。その上で、年金制度は非常に長期にわたって運営されることから、私は転ばぬ先のつえと言っていますが、通常では起こらない不測の経済事態になっても、それに備えられる制度を整備するものであります。

 しかしながら、民進党は、将来年金三割カット法案という、国民に全く誤解を与える悪意に満ちた批判をいたしております。

 三割カットと批判している点は、そもそも、マクロ経済スライドを導入した平成十六年の改正によるものであって、今回の改正によるものではありません。このことは、平成二十一年の財政検証でも明らかになっており、民主党政権時代においてもわかっていたことであります。むしろ、当時の民主党政権下では、岡田副総理は、マクロ経済スライドの重要性を認める答弁をいたしております。つまり、民進党の皆さんも容認していたということではありませんか。

 今回の法案の中身を十分知っていてそのような批判を行っていたとすれば、悪質と言わざるを得ませんし、逆に、法案の中身もよく知らずにそのような批判を展開しているとすれば、勉強不足としか言いようがありません。

 また、当時の民主党の年金制度改革案、最低保障年金制度においても、賃金スライドを基本とした仕組みが考えられており、その内容は、今も同党のホームページに掲載されております。

 先日のテレビの討論番組で私が大串政調会長にこの点をただしたところ、党として決めていないというお答えでしたが、しかし、二十五日の厚生労働委員会において、民進党の長妻議員は、三党協議で民主党の年金制度改革案を示してきた旨を述べています。党として決めていないものをどうして示せるのでありましょうか。理解に苦しみます。

 いずれにせよ、三割カットという、今回の法案と直接関係のないレッテル張りは、国民に誤解を与える行為であり、全く悪意に満ち、無責任きわまりない行為であると断ぜざるを得ません。こうした指摘に対して、民進党からきちんとした回答をいただきたいものであります。

 さらに、年金額の減額という事実だけに着目すれば、過去の物価下落時に据え置かれていたため、本来の水準より高くなっていた特例水準を解消し、年金額を二・五%引き下げることを決定したのは、まさに野田民主党政権であります。今回の法案を年金カット法案というなら、民主党は年金カット政党と呼ばれることにならないでしょうか。

 ただ、私は、当時の民主党の対応を批判したいのではなく、むしろ、当時は、国民に一時的に痛みを伴う政策であっても、将来を展望し、政権与党として責任を持って行うべき改革は勇気を持って実行したという点は称賛に値すると言いたいのであります。あのときの民主党の気概は一体どこに行ってしまったのでありましょうか。提案政党と言いながら、過去に政権与党を経験したとは思えない、批判オンリーの野党に先祖返りしたのではありませんか。

 今回のデフレ下での年金額の改定ルールの見直しについても、批判や反対ばかりで、問題を解決するための具体的な対案はこれまで提示されていません。

 私は、民主党政権時に厚生労働委員会の野党の筆頭理事を務めましたが、当時、与野党で真摯に協議を行い、内容については反対があっても、十分に議論をした上で、平成二十四年の通常国会では、結果として、閣法と議員立法を合わせて十三本が成立を見ました。これは、当時の岡本筆頭理事も御理解であると思います。

 当時に比べても、現在の民進党の対応は悲しいと言わざるを得ません。

 本法律案には、年金額の改定ルールの見直しのほか、中小企業の短時間労働者への被用者保険の適用拡大、国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料免除とその間の年金給付の保障、年金積立金の運用を担うGPIFのガバナンス改革、日本年金機構の不要財産の国庫納付といった、国民の年金制度に対する信頼性の向上を図る内容が盛り込まれております。

 このように、公的年金制度のメリットをより多くの方が享受できるようにするとともに、制度の持続可能性を高め、将来世代の年金水準を確保することによって、将来的にも安心な年金制度を構築していこうとするのが本法律案であり、速やかな成立を図る必要があります。

 我々自由民主党は、本法律案を早期に成立させ、年金制度における世代間の公平性を図るとともに、社会保障全般にわたる低所得、低年金者対策にも総合的に取り組んでいく、その決意を申し上げて、私の賛成討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 堀内照文君。

    〔堀内照文君登壇〕

堀内照文君 日本共産党の堀内照文でございます。

 私は、日本共産党を代表して、国民年金法等の一部改正案に対し、反対の討論を行います。(拍手)

 本法案は、年金で暮らす方々の生活を揺るがす重大法案であり、質疑を通じ問題が噴出しているにもかかわらず、野党の反対を押し切って審議を打ち切り、採決を強行したことに、満身の怒りを込めて抗議をします。

 厚生労働委員会は、終始、与党、委員長の強引な運営がなされました。委員長職権による委員会開催が相次ぎ、参考人質疑も当日の朝に議決をするという異例の運営で、しかもその日に採決するなど、余りに乱暴です。年金制度の原則を根底から変える法案であり、審議時間も十九時間では、到底議論が尽くされたとは言えません。当然、委員会に差し戻すべきであったと強く指摘するものです。

 本法案に反対する最大の理由は、際限ない年金カットのための新たなルールを持ち込むことです。

 これまで政府は、購買力の維持のために物価に合わせ年金も改定すると説明してきました。この国民への約束を一方的に投げ捨て、賃金の下げ幅に合わせて年金額も削減するという今回の改定は、国民への明白な背信行為です。

 たとえ消費税増税などで物価が大幅に上がっても、賃金が下がれば年金は引き下げられるのです。政府は、万一、不測の事態に備えるための措置だと言いますが、労働者の実質賃金は低迷を続けているのが実態であり、詭弁と言わざるを得ません。

 将来にわたり、現役世代の賃金が下がれば年金も下げる、最悪の悪循環を生み出すものであり、断じて認められません。

 さらに、年金を賃金、物価以下に抑制するマクロ経済スライドの未実施分を繰り越すキャリーオーバーの仕組みの導入です。

 繰り越しには制限がありません。削減できなかった調整分はたまり続けることになり、物価、賃金が上がった際にまとめて差し引くため、実質的な年金削減が繰り返されます。ただでさえ乏しい年金の最低保障機能をますます弱め、生存権を脅かすものにほかなりません。

 マクロ経済スライドの調整は、基礎年金部分に長くかかる仕組みであることから、国民年金のみの受給者や低賃金に苦しんできた女性労働者、働くことが困難であったり、就労による収入が限られ、年金で生活を支える障害を持つ方々など、今でさえ生活に窮する方々により過酷なものであり、この点からも許されるものではありません。

 参考人質疑等でも明らかになったように、年金で暮らす方たちは、ただでさえ少ない年金が目減りし続けることに大きな不安を抱えています。

 親戚、近所づき合いなど社会的なつながりを削り、食費を削り、必要な医療費や介護の費用を削り、これ以上どこを切り詰めろというのかという悲痛な叫びが安倍内閣には聞こえないのですか。

 低所得者には社会保障全体で総合的に講ずるなどと繰り返していますが、介護も医療も負担増、給付減の連続であり、それが高齢者の生活を脅かしているのです。

 政府は、将来世代のために必要な改革と強調しますが、年金削減により高齢者が苦境に立てば、介護や医療の負担が子供や孫にのしかかり、現役世代の暮らしをも直撃しかねません。現役世代と高齢者の対立をあおり、年金削減を強行することは絶対に許せません。

 短時間労働者への被用者保険の適用拡大は、早急に進めなければならない課題です。しかし、今回の措置では、厚労省の答弁でも、対象者五十万人のうち、実際に加入できるのは五%程度になりかねません。

 将来世代のことを本気で考えるならば、中小企業への保険料負担軽減等支援を強めることとあわせて適用拡大を進め、短時間労働者の年金加入権を守ることが必要です。最低賃金の引き上げ、正規雇用の拡大や均等待遇の確立など、人間らしい雇用と賃金を確立することに正面から取り組み、年金財政の支え手をふやして、安定した年金制度の確立に向かうべきです。

 国民年金第一号被保険者の産前産後の保険料免除は当然の措置です。しかし、その財源を捻出するために、ただでさえ負担の重い国民年金保険料を値上げすることには反対です。

 GPIFの組織、運用方法の見直しを言うなら、今求められていることは、国民生活の安心を支える年金財源の安定に貢献する責任と役割を果たし、国民の年金を守ることです。

 ところが、安倍政権は、GPIFの株式運用比率を倍増させ、年金積立金の運用を株価つり上げの道具にしたのです。国民の財産である年金積立金を危険にさらすことは許されません。運用で損失が出れば、そのツケは年金削減などで国民に押しつけられます。

 数百円、数千円の切り下げが生活を直撃する国民にとって、変動の激しい株式市場に大量の年金資金を投入することは許しがたいことです。年金への信頼回復のためには、まず、危うい投機的運用から手を引くことこそ必要です。

 国民年金は、四十年掛け続けても六万五千円であり、加入期間が欠ければ年金額はどんどん下がります。参考人も指摘をしたように、底なしの低水準の構造こそが最大の問題なのです。年金の減額、抑制をこれ以上進めれば、高齢者の暮らしは行き詰まり、今でも深刻な貧困をさらに広げかねません。これでどうして社会保障と言えるのですか。

 高齢になろうと、障害を持っても、人間らしく尊厳を持って生きることは当然の権利です。公的年金制度こそ、憲法二十五条を体現し、生存権を支え得る制度であるべきです。最低保障もなく、際限なく減らされる年金制度を、将来世代に残すわけにはいきません。こうした年金カット法案は廃案にすべきだと強く申し述べて、私の反対討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 中野洋昌君。

    〔中野洋昌君登壇〕

中野洋昌君 公明党の中野洋昌です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 少子高齢化が急速に進展していく中で、国民の安心の基盤である年金制度の持続可能性を高めることや、世代間の支え合いである年金制度において、世代間の公平を確保することは極めて重要であります。

 今の年金制度の基本的な考え方は、マクロ経済スライドの導入を初めとした平成十六年の制度改正をベースとしており、これは、その後の二度の政権交代を経て、与野党を超えた共通理解であると認識しております。

 国民年金の制度の議論において重要なことは、こうした共通理解のもと、国民にとって何が必要なのかを真摯に議論することであり、将来年金三割カット法案などという誤解に満ちたレッテルで国民の不安をいたずらにあおることでは決してありません。

 以下、本法案に対する主な賛成理由を申し述べます。

 第一に、本法案は、公的年金制度の持続可能性を高め、世代間の公平性を確保し、世代間の支え合いを盤石なものとする点であります。

 長引くデフレ不況の中で、今まで平成二十七年度の一回しかマクロ経済スライドは発動されておらず、将来世代の基礎年金の給付水準が相対的に大きく低下をしています。これに対応し、将来世代の年金を確保することは喫緊の課題であります。

 このため、安倍政権は、デフレからの脱却を目指し、賃金の上昇、経済の再生に向けた取り組みを行い、デフレではないという状態まで持ってくることができました。しかし、今後、経済に不測の事態が起こっても対応ができるように備えておく必要があります。

 また、デフレ経済下におけるマクロ経済スライドのあり方について見直しが必要であるということは、当時民主党政権下で閣議決定をされた社会保障・税一体改革大綱でも指摘をされていたところでもあります。

 本法案では、年金額改定ルールを見直し、賃金変動に合わせた年金額の改定の考え方を徹底させ、前年度までの未調整分のマクロ経済スライドを賃金、物価上昇時に反映させることとしております。

 これは、一部野党の言う年金カットでは断じてなく、経済が厳しいときには全世代が痛みを公平に分かち合うということであり、将来世代の年金を確保するための必要な措置であります。

 仮に、今回の改正を先送りするのであれば、将来世代、私たちの子や孫たちの給付水準はより悪化し、世代間格差が拡大する可能性が高まります。これでは、世代間が安心をして支え合うことはできません。これを未然に防ぐことは、まさに未来に対して責任ある政治の姿であります。

 そして、そもそも賃金の下落が継続するという経済状態に再び陥らないために、デフレ脱却の道筋が着実なものとなるよう全力を尽くすことが、私たち政治には求められていると考えます。

 今国会においては、もともと消費税率一〇%引き上げ時に実施予定だった無年金者対策について、公明党の強い主張により、来年八月から前倒しで実施することを定めた改正年金機能強化法が成立し、年金の受給資格期間が二十五年から十年に短縮をされます。新たに約六十四万人が年金を受け取れるようになり、無年金者対策が大きく進展をすることとなりました。

 低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付についても、遅くとも平成三十一年十月からスタートし、今まで以上に高齢者の生活を支えることとなります。

 賃金スライドの新ルールは、これらの措置が講じられた後の平成三十三年四月から適用されるものであることも、重要なこととして指摘をさせていただきます。

 第二に、女性の活躍や多様な働き方を推進する点であります。

 本年十月、従業員五百一人以上の企業で働く短時間労働者への被用者保険の適用が拡大され、新たに約二十五万人が厚生年金に加入をすることとなりました。本法案では、従業員五百人以下の企業で働く約五十万人の短時間労働者についても、労使合意に基づき、被用者保険の適用への道が開かれることとなりました。これにより、短時間労働者の方々の将来の年金を増加させ、十分なセーフティーネットを構築することができます。

 また、本法案では、国民年金の産前産後期間の保険料を免除し、新たに約二十万人の子育て世帯を支援することとしています。

 こうした取り組みを進める中で、一億総活躍社会の実現に寄与し、ひいては将来世代の年金確保にとっても重要な、希望出生率一・八の実現にも寄与することとなります。

 第三に、年金積立金の管理運用の信頼性を高める点であります。

 今月二十五日に、GPIFの平成二十八年度第二・四半期の運用結果が発表されました。収益額はプラス二・四兆円であり、平成二十六年の資産構成見直し後の累積収益額もプラス一・二兆円となりました。

 平成十三年の自主運用開始後の累積収益額は四十二・五兆円と、現在のところ、財政計算上の前提を大きく上回っております。

 この約百三十兆円という年金積立金について、さらに安全に、また効率的な管理運用を行うためには、GPIFのガバナンスの強化を行っていく必要があります。

 本法律案により、合議制の経営委員会が設けられ、運営方針を決定するとともに、業務執行の監督に当たることとなります。これにより、GPIFのガバナンスが強化をされ、管理運用の信頼性の向上が図られます。

 以上、賛成する主な理由を述べました。

 私ども公明党は、責任ある与党の一員として、デフレ脱却と安定した経済成長を目指しながら、高齢者も現役世代も将来世代も、皆が安心をできる社会保障制度の構築に向け全力を尽くすことをお誓いし、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 河野正美君。

    〔河野正美君登壇〕

河野正美君 日本維新の会の河野正美です。

 私は、日本維新の会を代表して、ただいま議題となりました公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 平成十六年度改正は、世代別のバランスシートで見れば、世代間の格差を広げた可能性があります。それでも、そうした世代間格差の拡大を少しでも食いとめるためにマクロ経済スライドを導入したことは、遅きに失したとはいえ、一定の評価ができます。

 我々日本維新の会は、結党以来、現在の年金制度の賦課方式の問題点を指摘し、積立方式移行という抜本的な年金制度改革を提案してまいりました。少子高齢化が進行する中で、賦課方式による年金方式を採用すると、世代間格差が生じて社会的公正に反する上、将来世代の活力が奪われて我が国の長期的な成長と繁栄が妨げられるからです。また、世代内格差の是正も必要で、高所得の高齢者と低所得の高齢者の公平のためにも積立方式とすべきであります。

 そのような立場からいえば、そもそも、この法案のよって立つ賦課方式に賛成できないということになります。

 また、質疑においても、今回の法改正で年金の純受取額が各世代でどう変わるのかという質問に、最後まで数字をもってお答えいただけなかったことは大変に遺憾であります。

 以上のように、我が党としては、現行の年金制度自体に問題があると考え、政府の対応にも改善を求めたいと思います。

 ただ、大変残念ながら、当面は、我が党の主張する年金制度の抜本改革が実現するのは少し先のこととなると思います。仮に、賦課方式による現行制度を前提とするのであれば、世代間の公正を実現するために今回の法改正は必要となります。

 問題は、マクロ経済スライドが当初計画どおりに機能せず、世代間格差の拡大が放置されてきたことです。今回の法案は、わずかであっても、こうした現状を改善し、若い世代と将来世代の年金給付をふやそうというものであります。

 現行制度を前提とすれば、世代間の公正というよい面もあるこの法案につき、なぜ国民の理解が得られないのでしょうか。それは、国会議員が身を切る改革を進めようとせず、国民にばかり負担を押しつけているからではないでしょうか。東日本大震災時から続く復興増税も、消費増税も、そして今回の年金給付削減も、国会議員の姿勢一つで国民の理解は全く違うものとなったでしょう。

 与党も野党も、我が党が提出した数多くの身を切る改革法案について、賛同に向けた具体的な対応をされておりません。あまつさえ、あしき議員特権の象徴として廃止された地方議員年金の復活を主張し、しかも厚生年金として、自分たちの保険料負担を自治体住民に押しつけようなどというのは言語道断であります。

 我が党は、現状を一歩でも前進させる本法案に賛成をいたしますが、国会議員の身を切る改革を進めるべきこと、また、地方議員年金の復活への動きは断固として許さないこと、これを条件といたします。

 以上をもって、我が党の賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。(退場する者あり)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       厚生労働大臣  塩崎 恭久君

       国務大臣    鶴保 庸介君


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