衆議院

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第24号 平成29年5月11日(木曜日)

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平成二十九年五月十一日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十八号

  平成二十九年五月十一日

    午後一時開議

 第一 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 第五 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 日程第五 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長西銘恒三郎君。

    ―――――――――――――

 道路運送車両法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔西銘恒三郎君登壇〕

西銘恒三郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、昨年発覚した自動車メーカーによる燃費不正事案等を踏まえ、自動車の型式指定制度の適正な実施を図るために必要な措置を講じようとするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、不正の手段により自動車等の型式指定を受けたときは、国土交通大臣は当該指定を取り消すことができること、

 第二に、型式指定の取り消しに関し、国土交通大臣が行う報告徴収または立入検査において、虚偽の報告等を行った者に対する罰則を強化すること

などであります。

 本案は、去る四月二十日本委員会に付託され、二十一日石井国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、二十八日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第二、銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長御法川信英君。

    ―――――――――――――

 銀行法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔御法川信英君登壇〕

御法川信英君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、我が国の金融サービスをめぐる情報通信技術の急速な進展等の環境変化に対応し、金融機関と金融関連IT企業等との適切な連携、協働を推進するとともに利用者保護を確保するため、電子決済等代行業者に関する法制の整備等の措置を講ずるものであります。

 本案は、去る四月二十四日当委員会に付託され、二十五日麻生国務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十八日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第三、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長永岡桂子君。

    ―――――――――――――

 学校教育法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔永岡桂子君登壇〕

永岡桂子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、社会経済情勢の変化に即応した職業教育の推進を図るため、実践的な職業教育を担う新たな高等教育機関を創設するものであり、その主な内容は、

 第一に、大学及び短期大学のうち、専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を展開させ、または育成することを目的とする専門職大学及び専門職短期大学の制度を設けること、

 第二に、専門職大学等は、その専門性が求められる職業についている者、その他関係者の協力を得て、教育課程の編成及び実施をすること、

 第三に、専門職大学については、その課程を前期課程及び後期課程に区分することができること、

 第四に、専門職大学を卒業した者等に対し文部科学大臣が定める学位を授与すること

などであります。

 本案は、去る四月十三日本委員会に付託され、翌十四日松野文部科学大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。二十一日に質疑に入り、同日参考人から意見を聴取いたしました。二十八日、質疑を終局し、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(大島理森君) 日程第四、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長竹内譲君。

    ―――――――――――――

 地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔竹内譲君登壇〕

竹内譲君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、地方公共団体における行政需要の多様化等に対応し、公務の能率的かつ適正な運営を推進するため、地方公務員について、会計年度任用職員の任用等に関する規定を整備するとともに、特別職の任用及び臨時的任用の適正を確保し、あわせて会計年度任用職員に対する給付に関する規定を整備しようとするものであります。

 本案は、参議院先議に係るもので、去る四月十九日本委員会に付託され、翌二十日高市総務大臣から提案理由の説明を聴取し、五月九日、質疑を行い、これを終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対して附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第五 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第五、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長浮島智子君。

    ―――――――――――――

 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔浮島智子君登壇〕

浮島智子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者に相当の経済的効果を及ぼす事業を地域経済牽引事業と位置づけ、同事業に係る計画を承認する制度を創設するとともに、支援措置として、設備投資減税や工場立地法、商標法等の特例措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月二十日本委員会に付託され、二十五日世耕経済産業大臣から提案理由の説明を聴取し、昨日質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案により、政府は、土地利用の調整の状況について検討を加え、優良な農地が十分に確保できないと認めるときは、所要の措置を講ずるものとする規定を附則に追加する修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、討論、採決を行った結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣世耕弘成君。

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) ただいま議題となりました中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 信用保証は中小企業の資金繰りを支える制度であり、中小企業がライフステージの中で必要とする多様な資金需要に対応できるものとしていくことが重要です。他方、金融機関が過度に信用保証に依存することとなると、事業性評価融資やその後の期中管理、経営支援への動機が失われるおそれがあるといったことも指摘されております。

 このため、創業、事業承継時や危機時等における中小企業の資金需要に一層きめ細かく対応するとともに、信用保証協会と金融機関が連携して中小企業への経営支援を強化していくことで、中小企業の経営の改善発達を進める仕組みを構築する必要があります。

 以上が、本法律案を提出した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、大規模な経済危機、災害等により著しい信用の収縮が全国的に生じる場合に備えて、あらかじめ適用期限を区切って発動する危機関連保証を創設いたします。

 第二に、特別小口保険の付保限度額を一千二百五十万円から二千万円に引き上げるとともに、創業関連保証の付保限度額を一千万円から二千万円に引き上げます。

 第三に、中小企業の代表者が経営の承継時に必要とする株式取得資金等を信用保険の対象とします。

 第四に、信用保証協会の業務に中小企業への経営支援を追加するとともに、業務を行うに当たっては、信用保証協会と金融機関が連携する旨を規定いたします。

 以上が、本法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。鈴木義弘君。

    〔鈴木義弘君登壇〕

鈴木義弘君 ただいま提案されました中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案について、民進党を代表して質問いたします。(拍手)

 アベノミクスが五年目を迎える中、一部では好景気に沸いている企業もあれば、地元を回ると、中小企業、地方経済に明るさがともっているとは言いがたい印象を感じます。

 そんな中で、昨年十二月、「貸出先別貸出金からみる国内銀行の経営」という分析レポートが発表されました。

 その分析は、医療、福祉のように今後の成長分野と言われてきた業種や、個人の住宅のように安定的に推移する業種が含まれているものの、全体的には海外円借款、地方公共団体、不動産業、金融業、保険業といった、目きき力を発揮できる分野とは言いがたい業種が貸出金残高の拡大を牽引している。

 特に、ある程度のボリュームを獲得でき、返済財源もあるアパートローンなどの不動産業は、国内銀行にとって重要な貸出先となっており、貸出金業種別内訳を見ると、製造業が構成比で一〇%を下回るのに対し、不動産業、物品賃貸業が二〇%以上を占める銀行や、不動産業、物品賃貸業の構成比が五〇%を超える銀行もある。この傾向は協同組織金融機関も同様で、不動産業が全体の七割に達する金融機関もあるというものです。

 また、アパートローンと同様に近年銀行が力を入れているもう一つの分野がカードローンで、この傾向は、二〇一〇年六月、貸金業法の完全施行以降、顕著に見られるようになり、銀行のカードローンはいわゆる総量規制の適用を受けないこと、高い利ざやを確保できるという点からも注目されているんですが、カードローンの拡大は多重債務問題の懸念を常にはらみ、その動向には注意が必要であるというものです。

 少子高齢化、産業の空洞化、中小企業の廃業率の高どまりなどの逆風下で、創業支援や産業育成などを視野に入れた融資推進や地域活性化を行うことは容易ではありません。

 しかし、一方で、金融庁は、担保や保証に依存した融資からの転換を迫る動きを鮮明に打ち出し、近年の取り組みとは異なる戦略が求められることを示し、改めて目きき力の向上がクローズアップされるようになったと言っても過言ではないと思います。

 ただし、目きき力の向上は一朝一夕で身につくようなスキルではなく、業務の効率化を推進してきたこれまでのビジネスモデルと、担保や保証に依存しない融資というビジネスモデルをどのように統合していくのかということにも注目が集まるというものです。

 経済再生のもと、その裏で、不動産バブルの再来、先買い後払いでの消費の拡大、払えなくなるのは消費者、バブルのツケを払うのは国民、これが経済再生ですか。現状の認識をお尋ねいたします。

 二十年前、私が小さな会社の融資担当をしていたとき、金融機関に融資を申し込むと、まず担保ありき、預担でも融資を受けられた時代でした。しかし、担保枠がいっぱいだと、保証協会をつけろ、つけなければ融資はできないとはっきりと言われ、事業計画も何もあったものではありませんでした。

 ところが、昨年末、森金融庁長官が、金融検査マニュアルは実質廃止、新基準は地域銀行向けベンチマークというもの、わかりやすく言えば、事業内容を見て融資せよ、できるだけ担保をとるな、できるだけ保証協会を使うな、できるだけ社長の保証をとるな、中小企業のコンサルタントになれ、新規創業を支援せよと、従来の金融検査の問題点に言及しました。

 二〇一四年から金融庁が推進してきた事業性評価は、銀行にとっていわば原点回帰であり、昔は当たり前に行っていたことで、決算書と事業内容を照らし合わせてしっかり審査するということにすぎないんです。これからも方向転換をすることなく、当たり前のことを当たり前にするということでよろしいでしょうか。

 事業性評価は、すなわち融資する側の目きき力が高いか低いかです。金融庁が地域金融機関に事業性評価の強化、すなわち目きき力の向上を要請したこともあり、当該取り組みの向上に力点を置く金融機関は増加傾向にあります。

 しかし、目きき力とは一朝一夕で身につけられる知識ではなく、努力と経験を積み重ねていかなければ蓄積できない、いわば暗黙知であり、決して効率的かつ短期で得られる能力ではないというものです。目きき力を向上することは、すなわち事業性評価を厳格に行えるかということに置きかえられると指摘する有識者もいます。

 さらに、金融庁が、融資先にコンサルティング機能の発揮を促し、生産性の向上支援を地銀に要請しています。この生産性とは、付加価値掛ける販売数量、すなわち付加価値を重要視するということをうたっています。貸す側、借りる側の繁栄のためにも、この付加価値に最大限に力点を置いた融資制度に変えていく考えがあるのか、お尋ねいたします。

 ところで、昨年五月の「企業ヒアリング・アンケート調査の結果について 融資先企業の取引金融機関に対する評価」と題した資料に目がとまりました。現場の感覚は乖離しているなと感じました。

 企業がメーンバンクに求めるものとの設問に対し、ヒアリングでは、融資の金利より、自社や自社の事業に対する理解が約三倍。アンケートでは、長年のつき合いがあり信用しているからが断トツの一番。自社や自社の事業に対する理解が、融資の金利条件がよいからの約三倍という結果であります。

 企業と金融機関の信頼関係に関するヒアリングでは、全く相談したことがないが二八%。その理由として、余りいいアドバイスや情報が期待できるものでないからが圧倒的に多い。アンケートでは、全く相談したことがないが四五%です。その理由として、ほかに相談相手がいるから、余りいいアドバイスや情報が期待できないからという回答が同数ぐらいあります。

 融資先企業とのコミュニケーションがとれていない状況で、事業性評価を拡大することができるんでしょうか。相手から信頼されていないのに、民間融資を拡大して経済再生が本当にかなうのでしょうか。お尋ねいたします。

 さらに、運転資金の借り入れ形態について、ヒアリングでは、信用保証協会、または金融機関の条件だからが一番、アンケートでも一番、借り入れ形態について考えたことがない、金融機関の提案どおりにしているが二番目という結果であります。

 さらに、本題の信用保証協会利用の理由についての設問では、信用保証協会を利用している企業の七割が、金融機関に勧められたからと回答していて、信用保証協会から保証を得られなかったことで金融機関から融資を断られた企業が百十八社存在し、その約五割が赤字などの理由で資金不足になったときの借り入れと回答した結果であります。

 この結果だけを見ると、信用保証協会や金融機関は何のための存在意義なのかわかりません。事業性評価を最大限活用するための目きき力の重要性がうたわれていながら、現状ではそれが実行されていません。さらなる方策をお尋ねいたします。

 過去にも信用保証制度の問題点が指摘されており、今回の法改正に至らなかったものを取り上げて質問いたします。

 第一に、金融機関と借り手企業のモラルハザード。第二に、我が国では、信用保証制度の政策効果と副作用について検証が十分に行われているとは言いがたいこと。第三に、信用保証制度のコスト面の課題。

 つまり、信用保証制度に関連して、過去十四年間で八兆円を超える支出規模が適正かどうか。また、信用保険に対する財政措置の多くが、補正予算で手当てされて、国民の目に届きにくく、その是非について広い議論が行われることを妨げている。補正予算で手当てされた信用保険向け政府出資金は、過去十四年間を単純に平均すると年四千五百億円を超えている。政府支出以外に、保証協会向けに地方自治体が負担しているコストが別途存在し、社会全体として、信用保証制度に関係してどれぐらいの財政コストがかかっているのか、非常に見えにくいというものです。

 第四に、長年赤字が続いている信用保険制度の収支改善を図るには、保証協会が政策公庫に支払う保険料の変更も検討の余地があり、金融機関の審査インセンティブと借り手企業の経営努力インセンティブを同時に高めるような制度設計が望まれるが、その方策はお考えか。

 第五に、保証債務残高は高どまりの状態が続いており、その規模の是非についても再検討が必要である。一時的な緊急対策と恒常的な支援制度は明確に区別することが重要であり、信用保証への過度の依存による負の影響を考慮に入れれば、保証制度による大規模な緊急支援措置は長く続けるべきものなのか。

 第六に、保証対象企業の明確化という視点での検討。

 最後に、保証協会の運営に係る課題として、各地域の保証協会は分権的な運営単位となっており、各保証協会の単年度収支や財務など、協会間での格差、運営や業務管理に関して改革の余地が残っているという指摘、都道府県や市町村からの天下り受け入れの問題、一つの府県に複数の保証協会がある場合の経営統合の検討などについて。

 ともに信用補完制度を担ってきた中小企業金融公庫は三度の組織改革が行われたが、信用保証協会の改革は甚だ不十分である。今回の改正で改善された箇所もありますが、ごく一部です。制度の根本の課題、協会のあり方を含めた組織運営のところは何ら改正がなされていません。どういうことですか。お尋ねいたします。

 公正取引委員会が、官民ファンドは民間補完が大原則であり、官が関与することにより健全な市場の発展をおくらせることがないようにしなければならないとし、公的再生支援が競争をゆがめる問題を指摘しており、昨年三月に、公的再生支援に関する競争政策上の考え方を公表しました。

 過去の国会でも、定期的な検証をし、指標の見直しや厳格化、また、規制当局である所管官庁によるチェックの強化等について検討を行う必要がある、設立時におけるそれぞれの官民ファンドの役割分担の明確化、必要性等の検証を厳格に行うことはもとより、その後の状況については、定期的な検証の際に、重複や非効率が生じていないかについても随時確実にチェックしていくことが重要であると指摘しています。

 さらに、会計検査院も、官民ファンドの収益性を確保するため、出資者たる国が官民ファンドの運営状況等を適時適切に把握するための体制を整備すること、また、現在は官民ファンドが出資先の情報を公開することは義務づけられていないが、国が出資状況や出資先の業績等について横断的な分析の必要性も指摘しています。

 また、各官民ファンドにおいては、十分な審査体制及びリスク管理体制のもとで、民間の人材やノウハウを活用し、諸外国の事例等を参考にし、さらなる取り組みを行うこと、出資の毀損を防ぐため、中長期的に一定の収益を確保しつつ、官民ファンドが利益剰余金を保有している場合は、業務上必要となる額を除き、出資者である国への国庫納付を行う必要があると指摘しています。

 今回の法改正で、再生事業以外に対象を拡大していきますが、問題の解決は誰が責任を持って行い、国民の税金を無駄なく使うことに誰が担保するのか、お尋ねいたします。

 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 鈴木議員にお答えいたします。

 信用保証制度に係るモラルハザードについてお尋ねがありました。

 信用保証は、中小企業の多様な資金需要に対応する重要な制度ですが、金融機関が過度に信用保証に依存することとなると、事業性評価融資やその後の期中管理、経営支援への動機が失われるおそれがあり、また、信用保証により中小企業においても資金調達が容易になることから、かえって経営改善への意欲を失うといった副作用があると認識しております。

 このため、今般の見直しにおいては、御指摘のような問題の発生を防止するべく、今後、信用保証協会においては、金融機関と対話をしながら、保証つき融資と保証のつかないプロパー融資の適切な組み合わせによるリスク分担を進めることや、不況業種に対応するセーフティーネット保証五号について、その保証割合を現行一〇〇%から八〇%とする制度改正を行うことにより、制度の規律ある利用を確保してまいります。

 これにより、金融機関が前面に立って経営支援を行うとともに、中小企業自身の信用力向上の努力とも相まって、経営改善が一層促されるものと考えております。

 信用保証制度の政策効果と副作用の検証についてのお尋ねがありました。

 例えば、信用保証制度の歴史において、近年では、とりわけ二〇〇八年のリーマン・ショックの際には、政府は、不況業種向けの一〇〇%保証であるセーフティーネット保証五号の対象を順次全業種に拡大する等の措置を講じたことにより、約一万六千件の倒産を回避する効果が得られました。

 他方、こうした対応を約四年にわたって実施したこともあり、借入金の返済期限の延期などの条件変更を行う企業が激増し、依然として高い水準となっていることが主な副作用であると認識しております。

 こうした問題意識も含めて、中小企業政策審議会において、一年以上にわたる審議を通じて、効果、副作用の両面からの検証がなされ、今般の法改正につながった次第です。

 信用保証制度のコスト面の課題についてお尋ねがありました。

 信用保証制度は、中小企業が資金調達を行う際に、その信用力を補完する制度です。利用する中小企業は保証料を支払いますが、国が一定の財政負担をすることを前提に成立する仕組みとなっています。

 その財政負担の多寡は、景気によって影響を受けることになります。例えば、比較的景気が安定している直近では、国の予算は熊本地震の対応を含めて昨年度九百五十五億円ですが、リーマン・ショックのような経済危機が発生した場合には予算が膨らみ、平成二十一年度で二兆一千五百九十八億円でありました。

 予算額は増加したものの、リーマン・ショックの発生後の信用保証制度による資金繰り支援により、約一万六千件の倒産を回避することができ、一定の政策効果を上げることができたと認識しております。

 今般の見直しでは、金融機関がより前面に立って中小企業の経営支援を促していくという観点からリスク分担を実施していきますが、これにより代位弁済が減少し、結果的に財政負担が減少する方向に働くものと考えております。

 また、地方自治体の損失補償は、平成二十七年度では約百八十八億円となっておりますが、自治体の負担分も含めて、信用保証制度全体のコストが見えにくいという御指摘について、国民にとってよりわかりやすいものとなるよう努めてまいります。

 保険料の制度設計についてお尋ねがありました。

 保証協会が再保険のために日本政策金融公庫に支払う保険料の料率は、個々の中小企業の信用リスクを、CRD、クレジット・リスク・データベースと言われるビッグデータを用いて定量的に判定し、九区分できめ細かく適用される仕組みとしております。この保険料率と、中小企業が保証協会に支払う保証料の料率は、基本的に連動する設計となっております。

 この仕組みは、リスクに応じた適切な保険料率となることで保険収支が安定するとともに、御指摘のとおり、経営改善を進めて信用リスクを低下させれば、保証料率も段階的に引き下がるというインセンティブにもなり、結果として代位弁済が抑制され、保険収支の改善につながるものです。

 その上で、保険料率、保証料率の水準や体系のさらなる見直しについては、まず、今般の見直しの中核となる保証協会と金融機関のリスク分担を初めとする各種制度改正を進め、その効果を十分に検証した上で、御指摘のように、中小企業の経営改善のインセンティブに一層つなげること、制度の持続可能性を確保することといった点を総合的に勘案しつつ、検討してまいります。

 保証債務残高の規模及び緊急支援措置についてお尋ねがありました。

 保証債務残高は、平成二十一年度にはリーマン・ショックの影響により約三十六兆円となりましたが、昨年度は約二十四兆円に減少しております。

 御指摘のとおり、緊急支援措置は、多くの中小企業の倒産を回避できる一方で、その実施が長期間となれば、金融機関の支援姿勢が崩れ、中小企業の経営改善が進まないことにもなりかねないため、一時的なものとすることが適切であります。このため、将来発生し得る大規模な経済危機等に備えて、直ちに、業種、地域を問わず一〇〇%保証を措置する一方、原則一年以内とあらかじめ期限を区切って実施することとする危機関連保証を今回の法改正において創設いたします。

 また、平時においては、金融機関がより前面に立って中小企業の経営改善や事業転換等を促すよう、不況業種に対応するセーフティーネット保証五号について、その保証割合を現行一〇〇%から八〇%とする制度改正を実施いたします。

 こうした改正により、危機時には一層支援を強化する一方、危機が去れば速やかに緊急措置を終了して規律ある対応とすることで、信用保証への過度な依存による副作用を回避してまいります。

 信用保証における支援対象の明確化についてお尋ねがありました。

 信用保証は、担保、自己資金に乏しい中小企業の信用力を補完することでその資金繰りを円滑なものとする重要な制度であります。

 中小企業といっても、その状況はさまざまであり、事業を拡大して成長発展していく場合には徐々に信用保証から卒業させていくことが重要となりますが、事業実績がなく資金調達が困難な創業者や、規模が小さく経営が急変しがちな小規模事業者については、引き続き、信用保証を通じてその資金繰りを支えていくことが重要と考えています。

 こうしたことから、今般の改正では、小規模事業者、創業者の事業をこれまで以上に支えていくため、小規模事業者向けの一〇〇%保証の限度額を現行の一千二百五十万円から二千万円まで拡充すること、創業者が手元資金なく一〇〇%保証を受けられる限度額を現行の一千万円から二千万円まで拡充することとしております。

 保証協会の組織運営についてお尋ねがありました。

 まず、全国の各保証協会は、地域によって産業構造、金融慣行などが異なる中、それぞれの地域の自治体等の発意により設立されたものであり、その運営に一定の違いがあるのは自然なものと考えております。他方、信用保証は全国の中小企業の資金繰りを支える重要な制度であり、大きくばらつきがあることは中小企業の健全な発展を図る上でも望ましくないことから、政府として監督をしながら運用をしているものであります。

 こうした観点から、財務については、個別の保証協会の財務が著しく悪化する場合には国から経営改善計画の策定を求めることや、日本政策金融公庫が保証協会に貸し付けを実施することなどにより、破綻を未然に防止する仕組みとなっております。

 保証協会の業務管理については、審査時の書式や事務手続の簡素化について、全国の保証協会を構成員とする全国信用保証協会連合会が中心となってこれまで進められてきたところです。

 各保証協会の役員の選定については、適切なプロセスに基づいて、能力本位で適材適所の人材が選任されることが望ましいことから、平成二十六年に監督指針を改正し、関係する地方自治体から理事を選任するに当たっては、透明性の高い手続を経なければならないという基準としたところです。

 一つの県に複数の保証協会がある場合の経営統合については、主務大臣の認可があれば可能な制度となっており、設立者である各地域の自治体等が必要と考えて、具体的な動きがあるのであれば、政府として適切に対応してまいります。

 今後も、自治体とも連携をしながら、各保証協会が安定かつ効率的に組織運営を行っていけるよう、適切に監督してまいります。

 保証協会の出資対象ファンドの拡充についてお尋ねがありました。

 保証協会の出資業務については、現状では、事業再生を行うファンドへの出資のみ可能となっております。これは、保証協会の判断と責任により行われるものであります。

 今般の改正により、出資対象を再生ファンド以外にも拡大することとなりますが、これまでと同様に政府として適切に監督を行ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 鈴木義弘議員の御質問に対し、金融担当大臣臨時代理としてお答えをいたします。

 まず、事業性評価についてお尋ねがございました。

 金融庁では、金融機関に対して、担保、保証に過度に依存することなく、事業性評価、すなわち企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価した上で融資や経営支援を行うよう、対話を通じて促しており、今後もこうした取り組みを継続してまいります。

 次に、付加価値に力点を置いた融資制度についてお尋ねがありました。

 金融機関が企業の付加価値向上につながる融資やサービスを提供することは、顧客企業の成長とともに、それを通じて金融機関自身も安定した顧客基盤と収益を確保するという好循環につながる重要な取り組みであると考えており、今後もこうした取り組みを促してまいります。

 次に、金融機関と融資先企業の信頼関係についてお尋ねがございました。

 事業性評価による融資を行うには企業の実態を正確に把握する必要があり、そのためには、金融機関と融資先企業の信頼関係が重要となります。金融機関には、こうした信頼関係に基づいた事業性評価による融資の拡大を期待しております。

 最後に、事業性評価のさらなる方策についてお尋ねがございました。

 事業性評価に基づき、企業価値の向上につながる融資を金融機関が行うことを一層促進するため、金融庁では、昨年九月に公表した金融仲介機能のベンチマークなどの客観的な指標も活用して、金融機関と掘り下げた対話を進めてまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣石原伸晃君登壇〕

国務大臣(石原伸晃君) 経済の現状認識についてお尋ねがございました。

 政権交代後、名目GDPは九・五%、四十七兆円増加、デフレではないという状況をつくり出すことができました。また、生産年齢人口が四百万人減少する中で就業者は百八十五万人増加するなど、国民生活にとりまして一番重要な雇用は大きく改善しております。

 中小企業や地方経済にも明るい動きが見られています。

 中小企業の倒産件数は政権交代前に比べまして三割減少し、景況感をDIで見ますと、リーマン・ショック前の水準を超えました。地方経済についても、雇用状況を見ますと、史上初めて有効求人倍率が四十七都道府県全てで一倍を超えるなど、明るさが増しております。

 こうした動きをさらに拡大し、全国津々浦々、国民の皆様一人一人に景気回復の実感を持っていただけるよう、目配りを怠らず、経済の再生に取り組んでまいります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣

       国務大臣     高市 早苗君

       文部科学大臣   松野 博一君

       経済産業大臣   世耕 弘成君

       国土交通大臣   石井 啓一君

       国務大臣     石原 伸晃君

 出席副大臣

       経済産業副大臣  高木 陽介君


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