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第8号 平成30年3月9日(金曜日)

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平成三十年三月九日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第六号

  平成三十年三月九日

    午後一時開議

 第一 国際観光旅客税法案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 国際観光旅客税法案(内閣提出)

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 国際観光旅客税法案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、国際観光旅客税法案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長小里泰弘君。

    ―――――――――――――

 国際観光旅客税法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔小里泰弘君登壇〕

小里泰弘君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、観光先進国の実現に向けた観光基盤の拡充及び強化の要請に鑑み、国際観光旅客税を創設するものであります。

 本案は、去る二月十三日当委員会に付託され、十六日麻生財務大臣から提案理由の説明を聴取した後、二十三日から質疑に入り、二十八日質疑を行い、三月二日参考人からの意見聴取を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣松山政司君。

    〔国務大臣松山政司君登壇〕

国務大臣(松山政司君) ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 政府においては、喫緊の課題である待機児童の解消を図るため、新しい経済政策パッケージにおいて、子育て安心プランに基づく保育の受け皿整備を二年前倒しし、二〇二〇年度までに三十二万人分の整備をすることとしております。

 この法律案は、子育て安心プランの実現に向け、社会全体で子育て世代を応援していくという大きな方向性の中で、一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を引き上げるとともに、当該拠出金を子どものための教育・保育給付の費用の一部に充てることとする等の措置を講ずるものでございます。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を千分の二・五から千分の四・五に引き上げることとしております。

 第二に、子どものための教育・保育給付の費用のうち、三歳未満児相当分の一部に、当該拠出金を充てることとしております。また、全国的な事業主の団体は、その充当割合について、内閣総理大臣に対して意見を申し出ることができることといたしております。

 第三に、当分の間、市町村は、保育の量的拡充及び質の向上を図るための事業を行うことができることとし、当該事業を行う市町村に対し、国は、当該事業に要する費用の一部を補助することができることとしております。また、都道府県は、保育の需要に応ずるための市町村の取組を支援するため、関係市町村等との協議会を組織することができることといたしております。

 その他所要の規定の整備を行うことといたしております。

 最後に、この法律案は、平成三十年四月一日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。中山展宏君。

    〔中山展宏君登壇〕

中山展宏君 自由民主党の中山展宏です。

 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。(拍手)

 我が国における少子化の問題は、まさに国難というべき状況です。過去最低の合計特殊出生率一・二六となりました平成十七年に比べ、近年は徐々に上昇傾向にあり、平成二十八年度で一・四四となりましたが、昨年一年間に生まれた子供の数は約九十四万一千人と、二年連続で百万人を下回りました。引き続き、より一層の少子化対策として、結婚、出産、子育てまで切れ目のない支援ができるような環境整備を行ってまいる必要があると思います。

 また、働くことを希望するその人がその思いを実現することができるよう、仕事と家庭を両立できる環境整備も重要です。一人一人が個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望や能力を発揮でき、それぞれが納得をして生きがいを感じることができる社会の実現を目指していく必要があります。

 小さなお子さんがいらっしゃる、保育を必要とされる御家族のため、一刻も早い待機児童解消に取り組まなければなりません。

 もちろん、これまでも政府において、子ども・子育て支援新制度や待機児童解消加速化プランに基づく取組などにより、保育の受皿整備が進められてきました。平成二十五年度から平成二十九年度までの五年間で約五十九万人分の受皿が確保される見込みであるなど、保育の受皿は着実にふえ続けております。

 他方で、女性活躍の推進に積極的に取り組んでいく中で、女性の就業率が上昇しています。これに伴い、保育を必要とする子供の人数もふえたことにより、引き続き受皿確保が喫緊の課題となっております。

 そこで、政府においては、人づくり革命などを進める新しい経済政策パッケージにおいて、切実な課題である待機児童の解消を図るため、子育て安心プランを前倒しし、二〇二〇年度までに三十二万人分の受皿整備を進めることとされました。

 私としても、仕事と子育ての二者択一ではなく、仕事も子育ても両立でき、安心して子育てができる社会の実現に向けて、このプランを確実に実現することが重要であると考えています。

 そこで、子育て安心プランの前倒しを確実に実行し、待機児童解消に向けた取組を強力に進めていただきたいと思いますが、加藤厚生労働大臣にその御決意をお伺いいたします。

 次に、この子育て安心プランを実現するため、今回の改正において、経済界の御協力をいただき、子ども・子育て拠出金の率の上限を〇・四五%に引き上げるとともに、新たに保育の運営費のゼロ歳児から二歳児相当分に充てることとしております。

 改めて、子育て支援の分野において経済界に御協力をいただくことになりました基本的な考え方と意義について、松山担当大臣にお伺いいたします。

 また、子育て安心プランの実現のため、企業主導型保育事業についても、今回の拠出金の引上げの一部を充てることとされています。企業主導型保育事業は、企業からもかなり整備の御要望があると聞いており、今後も待機児童解消に向けて非常に重要な役割を担うことと思っております。

 そこで、企業主導型保育事業の役割とこれまでの取組状況、そして今後の取組方針について、松山担当大臣の御見解をお伺いいたします。

 次に、待機児童解消を図る際には、保育所などの施設数をふやすだけではなく、保育士の処遇改善を始めとする人材確保策もしっかりと講じていく必要があります。

 今回の改正においては、都道府県が市町村の取組を支援するための協議会を設置できることとされています。

 もちろん、市町村の方々におかれては、地域の実情に応じ御努力をいただいていると存じますが、都道府県が中心となって市町村や関係者と連携しながら保育の課題に取り組んでいくことは、一層の市町村間の連携や、保育人材の確保、資質の向上を図ることにつながるのではないかと思います。

 そこで、今回創設する協議会の活用なども含め、これから保育士等の保育人材の確保をどのように進めていくのか、加藤厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。

 最後に、少子化の問題は、長時間労働、子育てと仕事の両立の難しさ、子育て中の孤立感や心理的負担、教育費の重さや経済環境など、さまざまな要因が複雑に絡み合っており、きめ細かな少子化対策を網羅的に推進することが重要です。

 そのため、少子化対策担当大臣として、この法案の実現とあわせて、少子化問題にもしっかり取り組み、誰もが安心して子供を産み育てられ、家族において理想の子供の人数が育めるような社会の実現を目指していただきたいと考えています。

 そこで、少子化問題に対する認識と少子化対策に対する今後の取組方針について、松山担当大臣の御意見をお伺いいたします。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 中山展宏議員から、二問御質問をいただきました。

 待機児童解消に向けた取組についてのお尋ねがありました。

 待機児童の解消は待ったなしの課題であります。昨年六月に策定いたしました子育て安心プランを前倒しし、平成二十九年度補正予算も活用しながら、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿整備を進め、待機児童の解消に最優先で取り組んでまいります。

 保育人材の確保についてのお尋ねがありました。

 保育人材の確保については、平成二十五年度以降、合計約一〇%の処遇改善を実現し、これに加えて、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を行いました。

 また、平成二十九年度補正予算及び平成三十年度予算案に一・一%の処遇改善を盛り込んでいるほか、二〇一九年度も更に一%引き上げ、他産業との賃金格差を埋めてまいります。

 こうした処遇改善のほか、引き続き、新規の資格取得、就業継続、離職者の再就職といった支援に総合的に取り組んでまいります。

 また、子ども・子育て支援法の改正法案には、都道府県が市区町村の待機児童解消の取組を支援するため、保育人材の確保などについて、関係者が協議する場を設置できる旨を盛り込んでおります。この場を通じて、各地域ごとに必要な人材確保の状況を分析し、それに応じた人材確保や育成を行うなど、保育人材の確保につながることを期待しております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣松山政司君登壇〕

国務大臣(松山政司君) 中山展宏議員にお答えをいたします。

 子育て安心プランの実現のために経済界に御協力いただく考え方と意義についてのお尋ねがございました。

 今回の子ども・子育て支援法の改正案は、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を引き上げるとともに、子育て安心プランの実現に必要な保育の運営費の増加分に当該拠出金を充てることなどを目的としているところでございます。

 子ども・子育て支援は、親や保育所、幼稚園だけでなく、地域や企業などの社会の全ての構成員が相互の役割を果たして協力していこうということが重要であると考えています。

 また、保育の受皿を整備して仕事と子育ての両立を図ることは、企業にとっても、子供のいる従業員の離職の防止など、労働力確保に資する面もあると認識をいたしております。

 こうした観点から、現行の子ども・子育て支援新制度においても、企業主導型保育事業などに対して拠出金が充てられております。

 このため、子育て安心プランの実現に必要な財源についても、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、経済団体との協議も踏まえ、御協力をいただくということにしたものでございます。

 また、企業主導型保育事業についてのお尋ねでございます。

 企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源として、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童対策に貢献することを目的として平成二十八年度に創設をされました。これまでに七万人分の受皿の確保に取り組んできており、平成三十年度は新たに二万人分の受皿を確保するということにしております。

 また、中小企業による活用を促進するため、中小企業が設置する施設の運営費の負担軽減などを実施することといたしております。

 今後とも、仕事と子育ての両立支援と待機児童対策に貢献するため、しっかりと取組を進めてまいります。

 また、少子化問題に対する認識と少子化に対する今後の取組についてお尋ねがございました。

 昨年末に公表されました人口動態統計の年間推計では、平成二十九年の出生数九十四万一千人、過去最少となり、また、自然増減数はマイナス四十万三千人と過去最大となりました。日本は、急速に進む少子高齢化という、まさに国難と呼ぶべき課題に直面をいたしております。

 少子化の問題は、若者の経済的な不安定さ、長時間労働、また、仕事と子育ての両立の難しさ、子育て中の孤立感や負担感、教育費の負担の重さなど、結婚や出産、子育ての希望の実現を阻むさまざまな要因が絡み合っているところでございます。これを一つ一つ取り除いていくことが重要でございます。

 このため、本法案の早期成立を目指して、二〇二〇年度までに三十二万人分の保育の受皿を整備してまいります。

 そのほか、幼児教育、保育の無償化や、真に必要な子供に限った高等教育の無償化、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現等の働き方改革などに関係省庁が連携して取り組んでまいります。

 加えて、現在、私のもとで、社会全体で取り組むべき対応策として幅広い観点から検討するため、少子化克服戦略会議を開催しておりまして、その成果は、できることから速やかに実施をしてまいりたいと思っております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 中野洋昌君。

    〔中野洋昌君登壇〕

中野洋昌君 公明党の中野洋昌です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。(拍手)

 待機児童の解消は、少子高齢化の克服に向け解決すべき喫緊の課題であり、女性の活躍促進のためにも、極めて重要な政策であります。こうした問題意識から、第二次安倍政権発足後、私どもは、保育の受皿を約五十九・三万人増加させるなど、待機児童の解消に全力で取り組んでまいりました。

 しかし、女性の就業率の向上に保育の受皿整備が追いついておらず、依然として、二万六千人を超える待機児童が存在しております。このため、三十二万人分の受皿を確保するという子育て安心プランを二年間前倒して行うこととなっており、これを確実に進めていく必要があります。

 本法案は、子育て安心プランに定める保育の受皿確保に必要な予算について、社会全体で子育てを支えるという観点から、経済界に対して応分の負担を求めるというものであり、以下、具体的に質問いたします。

 待機児童は、大都市を有する都道府県に多く存在し、また、特に一、二歳児に多く集中しております。一昨年、公明党が発表した待機児童解消を求める緊急提言でも訴えているとおり、待機児童解消に向けては、こうした地域の実情や利用者の視点に立ち、きめ細やかな支援策を行っていかなければなりません。

 また、子育て安心プランが定める三十二万人分という保育の受皿整備の目標は、あくまでマクロで計算した数値にすぎず、実際に市町村が受皿の整備を進めるに当たっては、保護者に丁寧に寄り添いながら、潜在的なニーズも含めてしっかりと把握し、それぞれの区域ごとに、きめ細やかな実態把握をしていく必要があります。

 また、都市部においては、施設の確保が困難であったり、大型マンションが建設された場合に一時的に多くの待機児童が発生したりするなど、都市部特有の課題が存在しており、こうした課題にきめ細やかに対応する必要があります。

 こうした点に対応しつつ、どのように待機児童を解消していくのか、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 子育て家庭にはさまざまなニーズがあり、例えば、子供が急に病気になったときに対応してくれる病児・病後児保育へのニーズは、保育の受皿が増加するにつれて、更に大きなものとなっています。また、新生児医療技術の発達を受け、生活する中で医療的なケアが必要な医療的ケア児の人数も年々増加しており、これに対するニーズが高まっていますが、残念ながら、現状ではこれらのニーズに十分に対応できる状況にはなっておらず、現場の声に耳を傾けながら、市町村とも連携しつつ、更に支援を充実させていくことが不可欠であります。

 病児・病後児保育や医療的ケア児など多様な保育のニーズに対応するための支援の充実について、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 また、小学校就学前の保育の受皿整備に加え、いわゆる小一の壁についても対策を行う必要があります。

 放課後児童クラブは、登録児童数の増加に伴い、待機児童数も一万七千人前後で横ばいで推移しており、このまま保育の受皿整備を進めていけば、放課後児童クラブの待機児童数も今後更に増加していくことが大いに懸念されます。

 政府は、当初の計画を一年前倒し、二〇一八年度末までに約三十万人分の受皿の確保を行う予定ですが、これを着実に進めるとともに、その後の整備についても考えていく必要があります。

 放課後児童クラブの今後の整備について、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 保育の受皿確保に当たっては、保育人材を確保するとともに、保育の質の改善をともに進めていくことが極めて重要です。このため、第二次安倍政権発足後、五年間で保育士の処遇を約一一%改善するとともに、技能や経験に応じて最大月四万円の加算を行うなど、処遇改善を大きく前進させてまいりました。

 しかし、この保育士等の処遇改善加算について、副主任保育士など、ある程度経験を積んだ層への加算が多く、実際に働いておられる職員が若い経験年数に偏っている場合など現場の実態と合わない場合には非常に使い勝手が悪いとの指摘や、今後、研修の受講が加算要件となる予定ですが、業務が多忙でこれを受ける余裕がない、あるいは、地元で研修の実施体制が整っていない等、さまざまな指摘をいただいています。

 この処遇改善加算については、柔軟な運用が可能となる制度へ見直すとともに、研修を受けられる体制の整備に向けた支援が必要であると考えますが、松山大臣の答弁を求めます。

 保育人材の確保に向けては、現在一〇%を超えている保育士の離職率を下げていくことも重要な課題であると考えます。

 保育士をされている方々からは、賃金が低い、仕事が多く長時間労働となる、職員の数が少なく余裕がない等の声が上がっており、こうした勤務環境が高い離職率につながっていると考えられます。

 先ほど指摘した処遇改善の取組に加えて、保育士の働き方の改善、業務負担の軽減を行うことは、保育士の定着率を向上させ、必要な人材を確保することを可能とするとともに、保育の質の向上にも資する重要な取組であり、支援を充実させる必要があると考えますが、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 これからの少子高齢化や人口減少を乗り越えていくためには、一人一人が持てる力や可能性を発揮できる社会をつくることが必要であり、人への投資こそが未来を開いていく鍵であると考えます。中でも、幼児期における教育、保育は、さまざまな機能の発達という観点からも、生きる力や自信を子供たちに与えていくという観点からも、極めて重要なものであるということは、多くの識者が指摘をしているところです。

 こうした質の高い幼児教育、保育を全ての子供たちが受けられることにすることが重要であり、そのためには、待機児童の早期解消に向け全力を注ぎつつ、幼児教育の無償化も進める必要があり、そして何よりも、幼児教育、保育の質の向上を着実に進めていくことが必要であります。

 最後に、人づくりにおける幼児教育、保育の質の向上の重要性の認識、質の向上に向けた決意を松山大臣に伺い、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 中野洋昌議員より、四問の御質問をいただきました。

 保育の受皿確保についてのお尋ねがありました。

 保育の受皿確保に当たっては、各市区町村が、保護者の意向を丁寧に確認をしながら、潜在的なニーズを含めた必要な受皿整備を進めていくことが重要であります。

 このため、保育コンシェルジュなどを活用しながら、潜在的な保育ニーズの把握に積極的に取り組むとともに、こうした保育の利用意向が的確に反映された受皿整備を行うよう、市区町村に対して要請をしているところであります。

 また、待機児童の七割を占める都市部への対策としては、都市部における高騰した保育園の賃借料への補助や、大規模マンションにおける保育園の設置促進などに取り組んでおり、都市部における保育の受皿整備を進めてまいります。

 多様な保育ニーズについてのお尋ねがありました。

 病児保育事業については、これまで、感染症の流行などにより利用児童数の変動が大きく、経営が不安定になるなどの御指摘をいただいておりました。平成三十年度予算案では、基本的補助単価について、事業の安定によりつながるような補助の仕組みとする等の仕組みを行うこととしています。

 また、医療的ケア児の保育については、平成二十九年度より、保育所等に看護師を配置するなどの体制整備を行うモデル事業を創設し、平成三十年度予算案では、モデル箇所数の増加など、さらなる拡充を盛り込んでおります。

 今後とも、多様な保育ニーズに応えられるよう、子育て支援の充実に努めてまいります。

 放課後児童クラブについてのお尋ねがございました。

 現在、放課後子ども総合プランに基づき、二〇一九年度末までに新たに約三十万人分の受皿整備を進めているところでありますが、二〇一七年五月現在で、新たに約二十三万人分、合計で百十七万人分の受皿が既に確保されております。

 昨年十二月に閣議決定した新しい経済政策パッケージにおいては、約三十万人分の新たな受皿の確保を二〇一八年度までに前倒しする、さらに、状況を踏まえ、その後のあり方について検討するとされており、これに沿って、受皿整備に引き続きしっかりと取り組んでまいります。

 また、厚生労働省においては、放課後児童対策に関する専門委員会を昨年設置し、放課後児童クラブの量の拡充、質の確保、役割とメニューの充実など、今後の対策のあり方について現在検討を行っているところであり、本年六月を目途に、中間的な取りまとめをしていきたいと考えております。

 保育士の業務負担軽減についてのお尋ねがございました。

 保育士の業務負担軽減については、平成二十九年度補正予算において、保育業務のICT化の支援、平成三十年度予算において、保育士の業務を補助する保育補助者の雇い上げ支援などを盛り込んだところであります。

 高い使命感と希望を持って保育の道を選んだ方々が長く働くことができるよう、引き続き、処遇改善とともに、働き方の改善、業務負担の軽減等、勤務環境の改善を図ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣松山政司君登壇〕

国務大臣(松山政司君) 中野洋昌議員にお答えをいたします。

 保育士等の処遇改善加算についてのお尋ねがありました。

 技能、経験に応じた四万円等の加算は、保育人材の賃金水準を引き上げるとともに、保育人材のキャリアアップの仕組みを構築していただくために導入いたしました。

 この加算につきましては、現場からの声も踏まえて、より実情に合った制度となるように、研修の受講要件について、二〇二二年度を目途に必須化を目指す、また、副主任保育士等を対象としていた加算額を比較的若い階層である職務分野別リーダー等にも配分を可能とする、そしてさらに、同一法人内で施設をまたぐ配分を可能とするといった見直しを行う予定といたしております。

 また、各都道府県が受講ニーズに対応した研修の実施体制が整備できますように、引き続き、支援に努めてまいります。

 幼児教育、保育の質の向上についてのお尋ねがございました。

 乳幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎が培われる重要な時期です。こうした時期に行われる幼児教育、保育は、知識、IQなどの認知能力だけではなく、根気強さ、注意深さ、意欲などの非認知能力の育成においても大変重要な役割を果たしております。このため、幼児教育、保育の質の向上が不可欠であると考えております。

 子ども・子育て支援新制度におきまして、平成二十七年度の制度施行当初から、幼児教育、保育、子育て支援の量的拡充とともに、質の向上に取り組んでまいりました。

 具体的には、まず、消費税が一〇%に引き上げられたときに実施することにしていた〇・七兆円のメニューについて、消費税が八%に据え置かれる中にあって、全ての事項を既に実施をいたしました。

 また、消費税財源以外の財源により実施することとされている、さらなる質の向上を実施するための〇・三兆円メニューにつきましては、平成三十年度予算案において、二十九年度に引き続き、職員の処遇改善など、メニューの一部を実施することとしております。なお、これらとは別に、技能、経験に基づく四万円の処遇改善も行っています。

 〇・三兆円メニューにつきましては、骨太の方針二〇一七において、子ども・子育て支援のさらなる質の向上を図るため、消費税分以外も含め、適切に財源を確保していくとされております。こうした方針に基づいて、引き続き、各年度の予算編成過程において、安定的な財源確保に努めてまいります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣    麻生 太郎君

       厚生労働大臣  加藤 勝信君

       国務大臣    松山 政司君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  田中 良生君

     ――――◇―――――

 昨八日は、会議を開くに至らなかったので、ここに議事日程を掲載する。

 議事日程 第五号

  平成三十年三月八日(木曜日)

    午後一時開議

 第一 国際観光旅客税法案(内閣提出)


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