衆議院

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第37号 平成30年6月14日(木曜日)

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平成三十年六月十四日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第三十号

  平成三十年六月十四日

    午後一時開議

 第一 日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 第二 日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 内閣委員長山際大志郎君解任決議案(辻元清美君外六名提出)

 永年在職の議員渡海紀三朗君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)

 日程第一 日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日程第二 日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

田野瀬太道君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 辻元清美君外六名提出、内閣委員長山際大志郎君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 田野瀬太道君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 内閣委員長山際大志郎君解任決議案(辻元清美君外六名提出)

議長(大島理森君) 内閣委員長山際大志郎君解任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。篠原豪君。

    ―――――――――――――

 内閣委員長山際大志郎君解任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔篠原豪君登壇〕

篠原豪君 立憲民主党の篠原豪でございます。

 私は、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党、自由党、社会民主党・市民連合、以上の各派を代表しまして、ただいま議題となりました内閣委員長山際大志郎君の解任決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。(拍手)

 まず、決議案を朗読いたします。

  本院は、内閣委員長山際大志郎君を解任する。

   右決議する。

    〔拍手〕

 以下、その理由を申し上げます。

 初めに、内閣委員会は、財務省が森友学園に係る決裁文書を改ざんし大問題となった公文書管理の問題、加計学園疑惑と言われる国家戦略特区の問題、あるいは公務員制度を所管する委員会であります。

 しかし、内閣委員長は、委員長職権によって一度ならず野党要求を退け、問題の多い、国民の理解も進んでいるとは言いがたい重要法案の審査を強行しただけではなく、公文書のあり方、あるいは公文書の信憑性について、その先頭に立って真相究明に当たらなければいけなかったにもかかわらず、全くその職責を果たしておりません。

 また、公文書改ざんは国会に対する虚偽答弁をきっかけに始まったわけですから、内閣委員長は立法府の威信を守るために先頭に立って、虚偽答弁の理由、政治的背景を解明すべき立場にあったにもかかわらず、全くその責務を果たそうとしませんでした。

 内閣委員長の解任決議案は、以上に対する我々野党の答えでございます。

 以下、その提出に至る一連の問題を指摘させていただきたいと考えます。

 今まさに日本の民主主義が危機に瀕しています。公文書の改ざん、役人にとって一文の得にもならないことを、エリート官僚中のエリートである財務官僚みずからがそんたくをし実行する。そして、その改ざんされた事実に基づいて、国会は一年以上も審議を強いられてきたのであります。

 しかし、今国会になって、財務省幹部の虚偽答弁、文書の改ざん、隠蔽、廃棄といった不祥事が相次いで明るみに出ました。

 森友学園の国有地取引をめぐる財務省の決裁文書改ざんでは、佐川理財局長は、国会答弁との整合性を図るために、取引のかかわりが注目されていた安倍晋三首相の昭恵夫人や複数の政治家の名前、本件の特殊性などの記述を決裁文書などからことごとく削除してきたことが明らかになったわけであります。

 そのきっかけは、三月二日、朝日新聞が、森友文書に書換えの疑いがあると報道したことから始まりました。この報道によって、財務省は、三月六日までに調査状況を報告すると衆議院の財務金融委員会で答弁せざるを得なかったわけであります。

 ただし、三月五日、国土交通省が、同省の保存する財務省作成文書の一部が書換え前のものである、その可能性を首相官邸の杉田官房副長官と財務省に報告をし、杉田副長官は翌六日に菅官房長官に報告をしたにもかかわらず、期限である三月六日に財務省が文書の書換えに関する調査の状況を国会に報告した際、書換えの有無については言及をしませんでした。

 そして、三月八日、財務省が決裁文書である貸付決議書や売払い決議書を国会に提出した際にも、既に開示されていた文書と同じ改ざん後のものをわざわざ大量にコピーをして国会議員に配付したのを覚えていらっしゃる方も多いと思います。

 しかし、翌三月九日、朝日新聞が、森友文書、項目ごと消える、売却決裁の調書、契約までの経緯が項目ごとなくなると報じられ、また、同日、財務省近畿財務局の男性職員が三月七日に自殺をされたことが報道されました。

 そうしますと、佐川国税長官が辞任をし、ようやく財務省は三月十二日になって、「決裁文書の書き換えの状況」を国会に提出をし、十四文書に書換えがあることを報告しました。

 そして、三月十四日、太田理財局長が参議院予算委員会において国有地売却に関する決裁文書に関して説明する中で、「昨年二月下旬から四月にかけて、財務省理財局において決裁文書の書換えが行われておりました。」と答弁を行いました。

 さらには、必要な財政基盤がなかった森友学園に財務省が前例のない異例の対応を重ね、最終的には、国民の財産である国有地、ごみの撤去費用を名目に九割引き、それも十年分割で売却した疑惑についても、本年四月四日NHKが、二〇一七年二月に理財局職員がトラック何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしいと学園側に口裏合わせを持ちかけたとする報道がありますと、四月九日、参議院の決算委員会において、太田理財局長は、森友学園が地下埋設物の撤去に実際にかけた費用に関して、相当かかった気がすると、トラック何千台も走った気がするといった言い方をしてはどうかという話をしたということでございます。ただ、この理財局の職員は、その後、近畿財務局の職員にも再度念押しをするという話をしているんですけれども、近畿財務局の職員は、それは事実に反するということで、そういう作業、確認、念押しをするということは行っていないということでございました。また、先方、森友学園側の弁護士さんの方も、今の電話の話を踏まえた対応ということをされてはおられない、そういうことはおっしゃっておられないということでございます。森友学園側に事実と異なる説明を求めるという今申し上げた対応は、間違いなく誤った対応でございます。大変恥ずかしいことでございますし、大変申しわけないことでございます。深くおわびを申し上げますと述べて、事実関係を認めたわけであります。

 ところが、大阪地検特捜部は、五月三十一日、決裁文書を改ざんした虚偽有印公文書作成などの全ての告発容疑について、財務省幹部ら三十八人全員を不起訴処分としました。特捜部長は、その理由を、文書の効用を失ったとは言えず、うその文書をつくったとは認められないとしたのです。

 また、大阪府豊中市の国有地を、二〇一六年六月、森友学園に売却した際、地中のごみ撤去費の八億一千九百万円が差し引かれて、価格が一億三千四百万円とされたことについても、特捜部は、撤去費の算定が不適切とまでは言えないとし、故意に国に損害を与える目的があったとは言えないとしました。

 問題は、大阪地検特捜部の判断には、事の重大さが全く反映されていないということです。なぜならば、財務省幹部が虚偽答弁、文書の改ざん、隠蔽、破棄といった不祥事を行ったのは、全て故意に我々国会を欺くためのものであったということであり、何の政治的な背景もなく行われた事件ではないという点であります。

 つまり、一連の事件は、国権の最高機関である国会が政府側に侮られたその問題、その意味で、国民主権の根幹、三権分立にかかわる問題であって、これを放置すれば民主主義が崩壊しかねない重大な問題であります。

 議院や委員会への捏造、偽造文書の提出は、米英議会であれば議会侮辱罪に値し、告発に値する事件であるにもかかわらず、大阪地検は一般的な公文書管理の問題に矮小化をし処理してしまったことに憤りを覚えます。

 そして、これらによって、財務省幹部による虚偽答弁、文書の改ざん、隠蔽、破棄といった不祥事が何のために行われたかという一番大事な事柄が追及されることなく、専ら文書管理上の問題だけがクローズアップされた形になってしまったのです。

 大阪地検特捜部の判断を受け、六月四日に発表された財務省の内部調査、すなわち、森友学園との国有地取引に関する公文書改ざんを財務省職員に対して行った調査でも、改ざんについて、特捜部と全く変わらない認識が示されています。

 調査を指揮した麻生財務相は、同日の会見で、調べた範囲では、安倍昭恵氏がかんでいるからというものは認められないと述べましたが、安倍昭恵氏はそもそも調査の対象から除かれていたのですから、当たり前といえば当たり前のことです。何を言っているんでしょうか。

 こうして、このなぜという疑問に一切答えることなく、財務省による文書改ざんが国会での紛糾を回避する目的だったとする調査結果をまとめた麻生財務相は、閣僚給与一年分を自主的に返納することを明らかにしましたが、政治責任をとる意思さえ見せないまま、安倍首相によって続投が宣言をされたのであります。

 しかし、財務局長がそんたくに基づいてうその答弁を一年以上も続け、国会を軽んじても、その責任者である政治家が何の責任もとろうとしないということが国家のあり方にどれだけのダメージを与えているのか、国家への国民の信頼がどんなに傷ついているのか、深刻に考えるべきであります。

 そして、このうそを公文書の改ざん、隠蔽、捏造でやってきていることは、まさに公文書を所管する内閣委員会の委員長が率先して事実を明らかにすべきであり、委員会ではそのような行動が見られないのではないでしょうか。もはや、国家への国民の信頼を取り戻すためには、新たな委員長のもと、仕切り直さなければいけないと考えております。

 さて、大阪地検特捜部の判断のもう一つの大きな問題は、改ざんの方向性を決定づけた財務省の佐川前理財局長が刑事訴追されないことで、司法の信頼性が大いに損なわれたことだと考えております。法の不備と言われても仕方ない事態であり、公文書管理法を改正して厳罰化することは最低限必要な措置であると考えます。このようなことを続けてはいけない。

 ところが、菅官房長官は、六月五日の記者会見で、罰則規定の新設について全くの白紙と述べ、安倍総理による再発防止の指示も、法改正には触れられておりません。

 我々四党一会派は、民主主義を支える公文書が意図的に改ざんされながら、その罰が不問に付されることがないように、共同で、公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。

 その内容は、第一に、行政文書の決裁、つまり、行政機関の意思決定の権限を有する者が押印、署名又はこれらに類する行為を行うことにより、文書の内容を行政機関の意思として決定し、又は確認する行為に係る手続は、災害等のやむを得ない事情がある場合を除いて、手を加えれば履歴が残る電子決裁システムを利用して行われなければならないこと。

 第二に、行政機関の職員は、誤記その他それに類する明白な誤りを訂正する場合を除き、決裁文書、行政文書の記載又は記録を変更してはならず、それを担保するために、行政機関の長を補佐し、当該行政機関全体を総括する立場で文書管理に当たる者として各行政機関に総括文書管理者を置き、これに違反した者に対しては、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処すること。

 さらに、決裁に係る行政文書の管理に留意すべき事項を定めた行政文書管理指針を整備するとともに、内閣府に独立公文書監視官を置いて、独立した公正な立場から行政文書の管理の状況を常時監視すると定めるとともに、行政機関の職員に対しては、この法律に違反する事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合には、独立公文書監視官に対し、その旨を通報することができ、また、通報したことを理由として、免職、休職、降任、降給その他不利益な取扱いを受けないことを定めるものであります。

 なお、公文書について、今の公文書管理法では、職員が組織的に用いるものとして行政機関が保有しているという条件がついていますが、その要件に沿っているにもかかわらず、公文書か個人メモかといった、公文書管理法をねじ曲げて解釈するという絶対に許されない不毛な議論を平気でふれ回るという事態が国会の中でも起きています。この態度が、行政機関に対し、保管していない、破棄したなどの言いわけを許す一因になっていると考えられます。

 当たり前ですが、公務で作成した、そして取得した本人が、誰かほかの方に職務上見せたのであれば、これは全て行政文書です。原点に戻って扱うようにすべきだと強く訴えさせていただきます。

 アメリカ政府では、走り書きのメモも国立公文書館に引き継がれ、将来は研究者に公開されることになっています。電子メールも、例えば日本の財務省は六十日でサーバーから自動的に削除をするという、何たることかということをやっておりますけれども、米財務省は最低七年間は全て保存し、延べ二百四十四人の幹部用のメールは永久保存していることを想起すべきであります。

 さらに、森友学園問題において、参議院からの要請に基づいて会計検査院が検査を行った際、財務省が改ざんした公文書を提出し、そして検査妨害を行ったこと、また、国交省から別に改ざん前の文書が提出されたにもかかわらず、会計検査院が十分な対応をとらなかったことに鑑みて、こうした事態を防止することが必要と考え、同じ四党一会派が共同で、会計検査院の権限の強化のために、会計検査院法及び予算執行職員等の責任に関する法律、予責法の一部を改正する法律案を提出いたしました。

 独立性を有するとはいえ、一行政機関である会計検査院が司法権限に踏み込むような権限を持つことは好ましいとは言えないと考え、きちんと三権分立の枠内で可能な権限強化として提案をしています。

 その提案は、三つです。

 その一つは、会計検査院による懲戒処分要求を想定している現行の三十一条は、処分対象を国の会計事務を処理する職員としているので、森友問題の公文書改ざんに責務があるとされた当時の佐川理財局長を処分することが難しいことから、処分対象を拡大するため、その他の国の職員を加えるとともに、省庁が処分について甘くなることがないように、人事院の関与を規定することとしました。

 また、会計検査院法による各省に対する懲戒処分要求についても、各省の処分が適正なものになるよう、人事院が適時チェックできる体制を整えました。

 その二は、第三十条の二に規定されている国会や内閣への随時報告について、今回の森友学園の会計検査にかかわるような事例も通報することにすれば、これを予防できると考え、そして対処状況等も随時国会や内閣に報告する、その制度を設けました。その際、報告は、できるではなく、しないおそれのあるものなので、しなければならないといたしております。

 そして、その三は、会計検査院が、会計検査において法令違反等について是正要求あるいは改善要求できると規定する第三十四条及び第三十六条について、是正あるいは改善が見られない場合において、再度勧告を行えるようにしたものであります。

 これに対し、自民、公明のワーキングチームがまとめた中間報告は、書き残す内容を組織で確認するよう強調するものであります。しかし、書き残す内容を組織で確認するというのでは、公文書の範囲を不当に狭くしかねず、公文書を健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源と位置づけている公文書管理法の趣旨には合わないものと考えます。

 このようなことで本当にいいのかどうか。今こそ、先ほど申し上げた今回のこの対案のつるしもおろしていただき、公文書管理法の改正案等の審議を、新しい委員長のもと、この国会で徹底的に議論しようではありませんか。いかがでしょうか。

 さて、安倍政権では、中枢に近づけば近づくほど、意思決定や報告の記録はないという抗弁がまかり通り、中枢に都合の悪い文書が出てくると、残していた官僚や部署が激しく叱責されるという、民主主義とは真逆の体質があると考えております。

 まさに、昨年の二月十七日、安倍首相が衆議院予算委員会において、私や妻が関与していたということになれば、首相も国会議員もやめる、これは小学校の認可や国有地払下げについてのことでありますが、こう発言したことが全ての始まりであり、森友学園の問題に関し、昭恵夫人につながる事実が徹底的に消されたことの背景でもあると考えています。

 事実関係を国民の皆様と一緒に改めて確認をしたいと思います。

 二〇一四年四月二十八日、籠池理事長が近畿財務局との打合せの際、昭恵氏から、いい土地ですから前に進めてくださいと言われたと発言しました。すると、財務局側から、本当にそういうことがあったと証明できるものはあるのかと尋ねられて、籠池氏が昭恵氏と現地で撮った写真を提示して関係性をアピールしたら、その三十五日後、国有地取引は売却が原則だとしてかたくなに学園の要求を受け付けなかった近畿財務局が、学園側に売払いを前提とした貸付けに協力すると回答してきたということです。

 そして、他の政治家の口ききではどうにもならなかったことが、まるでうそのように解決したので、籠池氏自身、この写真提示後、神風が吹いた、氷がガラスの面を滑っていくような感じと述べています。

 このおかげで、学園は二〇一五年五月二十九日、財務局と十年以内の売却を前提とした貸付契約を締結しました。しかし、貸付額は年二千七百三十万円で、不満が残ったようであります。

 そこで、二〇一五年一月八日、安倍昭恵総理夫人が学園を訪問し教育方針に感涙したとする産経新聞社のインターネットの記事が出たことも緊密さを証明する材料になったと考えられていますが、同じ九月五日、昭恵夫人が森友学園が運営する塚本幼稚園で講演をし、新設する小学校の名誉校長に就任したことで、学園はさらなる行動に出ました。

 早速、十一月五日、学園側が近畿財務局と交渉した際、学園側は、安倍総理夫人に国の賃料が高過ぎると伝えていると発言をし、牽制をしました。その後、安倍昭恵総理夫人付職員の谷査恵子氏が直接、財務省本省に対し、森友学園からの依頼事項について、財務省がよく対応してくれるものと理解していると前置きをして、以下の照会を行っています。これは、近畿財務局ではなく、本省に直接コンタクトしたことで、籠池氏が本省に乗り込む露払いの役割を担いました。その意味で、極めて大きなインパクトがあったと考えられます。

 ここから照会の内容ですが、まず、その一、介護施設が国有地を定期借地する場合の優遇措置が学校法人にも拡大される可能性はあるか。その二、地下埋設物の撤去期間中に貸付料が免除されないのは一般的な取扱いか。その三、土壌汚染や地下埋設物の処理費用について、平成二十七年度中に支払われる予定が平成二十八年度になったと聞くが、どういうことかということでしたが、この照会に対し、財務省理財局は、十一月十二日、優遇措置は介護施設に限定し検討中であり、学校施設を対象とするものではないということ、国有地を貸し付ける以上は適切な対価を徴することが法令上必要であり、地下埋設物の撤去とは別問題であること、土壌汚染や地下埋設物の処理費用の支払いは国交省特別会計における予算措置を前提としており、それが平成二十八年になると回答をしました。

 すると、谷氏は、事情はよくわかった、先方に説明しておきたいと返答をし、後日、理財局の回答内容を籠池氏にファクスで送信をしたのであります。

 しかし、この本省への直接の圧力の効果はすぐにあらわれます。

 二〇一七年三月十一日、森友学園が、くいの工事を行う過程で新たな地下埋設物を発見したことを近畿財務局に報告をし、さらに三月十四日、籠池理事長が近畿財務局の担当者に、六月には棟上げ式を行う予定であり、内閣総理大臣夫人も来ることになっている、工事がおくれたら大変だと言った翌三月十五日に、財務省本省において、籠池理事長と田村財務省理財局国有財産審理室長が面談をし、その際、籠池氏が昭恵氏の名前を挙げて、開校が延期された場合、国に損害賠償を請求すると主張して、対応を迫る事態になりました。

 すると、驚いたことに、三月二十四日には、買取りに必要な財務基盤がなかったはずの森友学園が、近畿財務局にごみの撤去費を差し引いた金額で土地の買取りを申し入れるという想定外の展開になったのであります。

 以降は、森友学園が今買取り可能な価格の問題へと場面が展開してまいります。

 四月四日の財務省のメモには、対応方針、棟上げ式までの校舎建設の工程に与える影響を最小限にするため、売却価格から控除を検討、これはごみ撤去費用のことでありますが、とあります。

 さらに、五月中旬の会議の録音には、近畿財務局が、ゼロに近い金額まで、私はできるだけ、あの、評価を努力するという作業をやっています、だけど、その一億三千万円を下回るというような金額じゃないんですと言ったことが記録されているわけですが、まさにそのとおり、六月二十日に、近畿財務局は、森友学園と、ごみ撤去費八億一千九百万円などを差し引いた一億三千四百万円で売買契約を締結したのであります。

 そして、以上の経緯が国会の審議、したがって、国民の目から全く消されてしまった。これは何たることかということであります。

 このことが、公文書の改ざん、隠蔽、捏造という形で行われました。このことからも、公文書を所管する内閣委員会で、今後、新しい委員長のもと、積極的に正していく、そういう議論をすべきだと考えます。

 さて、残念ながら、これにとどまりません。これと同様なことが、学校法人加計学園の獣医学部の新設をめぐっても起こりました。今度は、安倍昭恵総理夫人ではなく、安倍首相御本人です。

 元来、獣医学部を新設することは、社会的需要の観点から文部科学省が定員拡大を抑制しており、今治市が二〇〇七年から十五回にわたって構造改革特区を利用した獣医学部の新設を求めたにもかかわらず、文科省は、高度専門職業人たる獣医師の養成には、従前の高度専門職と同様、全国的見地から対応することが適切だとし、特区活用による獣医学部の新設は認めませんでした。

 ところが、二〇一三年、第二次安倍政権下で国家戦略特別区域が制度化されると、やがて、加計学園ありきで今治市への獣医学部新設が認められるようになります。

 疑惑のきっかけは、二〇一七年五月十七日に、学校法人加計学園の獣医学部の早期開設は総理の御意向などと記された文書の存在が報道されたことにあります。松野文部科学大臣は、文書の有無について確認する意向を表明しましたが、菅内閣官房長官は、怪文書みたいな文書と発言をしました。

 その後、前川前文部科学事務次官から、総理の御意向などと記された文書は存在をし、具体的には、獣医学部の新設について、二〇一七年の秋に担当の専門教育課から説明を受けた際、示された文書であるとの説明がありました。

 また、前川前文部科学事務次官は、参考人として、二〇一五年八月二十六日に木曽内閣官房参与から、獣医学部新設の手続を早く進めてほしいなどと言われ、九月九日には和泉首相補佐官より官邸に呼び出され、獣医学部新設の手続を文部科学省として早く進めるように言われたとも述べております。

 そこで、安倍首相は、疑惑を否定するため、二〇一七年七月二十四日の衆議院予算委員会において、加計さんとは政治家になるずっと前からの友人関係であります、しかし、彼が私の地位や立場を利用して何かをなし遂げようとすることは一度もなかった、時代のニーズに合わせて新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいという趣旨のお話は聞いたことがございます、しかし、今まで彼もさまざまな学部・学科をつくってきたわけでございますが、そういうことも含めて具体的に、何かを今つくろうとしている、ですから、今回でいえば、獣医学部をつくりたい、さらには今治市にといった話は一切ございませんでしたとしました。加計学園の岡山理科大の獣医学部新設の申請を知ったのは、国家戦略特区諮問会議での加計学園を事業主体とした獣医学部の新設が認定された二〇一七年一月二十日であるとの答弁を行っています。

 しかし、安倍首相と加計孝太郎さんは、二〇一六年七月二十一日、山梨県で焼き肉を食べ、翌二十二日はゴルフをし、八月十日、河口湖で居酒屋に行って、翌十一日には山中湖でゴルフをし、十月二日、渋谷で焼き肉を食べ、十二月二十四日にも面会したことが明らかになっています。これだけ親しい間柄でありながら、学部新設については二〇一七年一月二十日まで何も知らなかったとする説明は、にわかに信じがたいものがあります。

 そうした中で、五月二十一日に愛媛県が参議院に提出した記録文書には、二〇一五年三月三日に加計学園から愛媛県が聞いた話として、その年の二月二十五日に学園の加計孝太郎理事長と安倍首相が面会をし、今治市に設置予定の獣医学部について、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明したところ、首相が、そういう新しい獣医大学の考えはいいねと言及したとの記述がありました。その後、同席した今治市も同様の報告があったことは認めています。

 これによって、安倍晋三首相の従来答弁との食い違いが急浮上しました。このため、安倍首相は、県の文書は伝聞の伝聞を書いたものだと指摘をしつつ、報道機関の首相動静を根拠に、加計氏とは、二〇一四年十二月二十一日に会った後、二〇一五年四月七日まで会っていないと断言しました。

 すると、加計学園も、取ってつけたように、当時の担当者が実際にはなかった面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまった、この談話を出し、同三十一日には常務理事が県と今治市を訪れて謝罪をしましたが、当然ながら、安倍首相との会談がなかったとすれば、メモが書かれた三月三日の県との会合自体、理事長と首相との面会結果を報告したいとする学園の申出で開催されたわけですから、開催理由そのものが虚偽だったということになるんです。

 それに、二月二十五日の加計孝太郎理事長と安倍首相との面談がなければ、その後の経緯も説明がつきません。すなわち、二〇一五年三月二十四日、首相官邸において柳瀬首相秘書官らと加計学園の関係者が会って協議が行われ、四月二日には、愛媛県と今治市の職員、加計学園幹部が首相官邸を訪れて柳瀬首相秘書官と面会した際、柳瀬秘書官からは、本件は首相案件であるとの発言があったと県職員がメモに書き、それを受けて、六月四日に加計学園が、新しく法制化された国家戦略特区に獣医学部新設を申請したことは、京都府と京都産業大学の申請が翌二〇一六年三月であったこと、また、柳瀬秘書官が官邸で会ったのは加計学園だけで、京都産業大学には会う予定もなかったことを考え合わせると、加計学園に特別な配慮がなされたことは明らかであり、まさに、総理の意向なくしてこういったことが行われるとは考えられないわけです。

 さらに、内閣府地方創生推進室次長であった藤原豊経済産業省官房審議官が、二〇一五年八月五日から六日にかけ愛媛県今治市に出張した際、実に、岡山から今治市までの海をまたぐ長距離の移動に加計学園の車を使用しながら、出張記録には官用車を利用したと虚偽記載していることが明らかになっていますが、加計学園ありきで進んでいたことを如実に物語る事件ではないですか。

 さらに、真相究明、すなわち、なぜに答える道は、関係者を国会の証人喚問に招致する以外ないように思えます。

 しかし、これまで、文書の改ざん、最終責任者とされた佐川前理財局長の証人喚問は実現されましたけれども、予想どおり、誰が何のために公文書を改ざんしたのかを問う野党の質問には、刑事訴追のおそれを理由に答弁を全て拒否したにもかかわらず、安倍官邸や昭恵夫人の関与はなかったとする自民党議員の質問だけには、そうだと断定をする、この異様な答えるさまが証人喚問では本当に映っておりました。

 さらに、加計学園側との面会を認めざるを得なくなった柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致も実施されましたが、やはり記憶が壁となって解明は十分に進みませんでした。

 そこで、私は、こうした困難を打破するために、既に英米議会では実施されているように、証人喚問には司法取引に相当する制度を導入すべきではないかと考えます。英米議会では、証言を回避しようとする証人に対しては免責を付与して証言を強制し、そして、命令に従わない証人を議会侮辱罪等で、処罰罪で刑事告発することもちゅうちょしません。

 今回の森友学園における大がかりな公文書の改ざんがなぜ行われたかということは、改ざんを指示した当時の佐川理財局長が一番よく知っているわけですが、その証言によって自分自身が刑事罰に問われるのであれば、進んで話すことは決してないということが証明されたということであります。

 ですので、もはや、巨悪をあぶり出すためには、あえて証言者の罪を免責することも検討する時期に来ているのではないかと考えます。ぜひとも制度導入に向けて御議論をしていただきたいと思いますし、こういったことを内閣委員会で、新しい委員長のもと、しっかりと議論を進めていきたいと考えております。

 さて、内閣委員会は、こうした公文書管理あるいは公務員制度を所管する委員会で、我々野党は全力でその追及に当たりました。

 しかし、同時に、今国会、内閣委員会には、国民的な関心が高い重要法案が次々とかけられ、審議に付されたわけですが、その審議は一方的なものであり、野党の審議への参加はほとんど考慮されることなく、政権与党の都合だけで進められてきたのであります。

 もちろん、内閣委員長の職権濫用なくしてこうした一方的な審議は不可能であり、その意味で、山際内閣委員長は不信任に値すると考えています。

 以下、内閣委員会審議の状況を述べつつ、法案の問題点を改めて指摘したいと思います。

 まずは、子ども・子育て支援法改正案について述べたいと思います。

 本年の三月二日、朝日新聞が、森友文書、書換えの疑いと報道したことを受けて、財務省は三月六日までに調査状況を報告すると答弁をしながら、三月八日に財務省が森友学園との国有地取引に係る決裁文書として国会に提出したものが、既に開示されていた文書と同じものであったことで、立憲民主党など野党六党は、三月九日、同日中の国会審議には応じませんでした。

 結局、三月十二日、財務省は、「決裁文書の書き換えの状況」を国会に提出をし、十四文書に書換えがあることを報告したわけでございますが、立憲民主党から佐川理財局長の証人喚問を要求したにもかかわらず、自民党が拒否の態度を変えなかったので、立憲民主党など野党六党は、国会審議ができる状態ではないとして、十四日の審議に応じることはできませんでした。

 しかし、その間に、山際内閣委員長は、不当にも野党不在のまま委員会審査を進め、十五日までに子ども・子育て支援法改正案など二法案の質疑と採決を行ったものであります。そのため、立憲民主党など六野党は、三月十六日の衆院本会議で、子ども・子育て支援法改正案など二法案の採決を欠席いたしました。

 最終的に、子ども・子育て支援法は、三月三十日の参議院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立をし、四月一日に施行されたものであります。

 安倍政権は二〇二〇年度までの待機児童ゼロを目指しており、子ども・子育て支援改正法など二法案は、その実現に向けた具体的な政策の一つと位置づけられております。

 昨年十一月の政府の規制改革会議の答申は、国を上回る基準を設けている自治体に待機児童が多いとしました。これは、国基準まで緩和すればその分受け入れられる子供をふやすことができると言うに等しいもので、子ども・子育て支援法改正案に協議会が規定されたことは、国並みの緩和を話し合うようにする仕組みを設けようとしたものと懸念を持っています。したがって、実際に協議会が基準緩和の推進役になることは許容できません。

 保育施設の面積や人員配置について、国の基準よりも厳しい独自の基準、上乗せ基準を定めて小学校就学前の子供の安全の確保を図っている市区町村や保育現場では、緩和すれば保育士の負担が増し、離職に拍車がかかって、根本的な解決にはならない、基準を緩和して一人でも二人でも受け入れるという発想では抜本的な待機児童の解消にはならない、協議会が指令するだけの組織になるなら本末転倒であり、むしろ保育士の配置基準を引き上げ、処遇を改善して、五年、十年かけて安心できる保育所を整備すべきだとして、基準緩和に否定的な声が根強いと聞いています。

 子ども・子育て支援法改正案のもう一つの柱である、市区町村の枠を超えた入園の調整などを担う待機児童対策協議会を都道府県ごとに新設することについては、待機児童の減少が期待される一方、保育所の受入れ能力を超えて子供を預かる詰め込みが拡大するのではないかとの懸念も聞かれます。

 いずれにせよ、政府は、上乗せ基準を定めている市区町村に対し、国の基準の、見直しに際して、一人でも多くの児童を保育所に受け入れられるよう要請しており、改正案で新たに組織することができることとなる協議会が設置された場合、上乗せ基準について速やかに検討が開始される見込みであることから、立憲民主党として、都道府県は、広域的見地から調整が必要な小学校就学前の子供の保育に係る子ども・子育て支援施策等について協議するため、都道府県、関係市区町村等により構成される協議会を組織することができる旨の規定を削除する修正案の準備をしていました。しかし、前述の事情によって、残念ながら修正案を提出することはできませんでした。

 なお、参議院において附帯決議が合意され、その中で、第二、保育の質の確保を図る観点から、市町村の待機児童解消等に向けた取組を支援するため都道府県が関係市町村等と組織する協議会において、保育士の配置基準について、市町村の判断を尊重して議論が行われるよう配慮すること、三つ目、認可外保育施設の安全性を確保するため、都道府県による指導監督が適正に実施されるよう、所要の措置を講ずること、特に、企業主導型保育事業に関しては、国の委託を受けた公益財団法人児童育成協会が行う指導、監査に当たっては、都道府県との情報共有が適切に行われるよう努めること、そして、その六、喫緊の課題となっている待機児童の解消に向け、保育士等の保育人材に対するさらなる処遇改善を講じること、なお、処遇措置について、この対策を講じるに当たっては、保育所等における人件費の運用実態等について十分な調査、検証を行うこととの文言が入ったことは評価をいたします。

 しかし、衆議院では、内閣委員長の強権発動によって、附帯の議論すらさせていただけませんでした。このことに抗議をするとともに、くれぐれも合意を守られるよう、これを希望いたします。

 次いで、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるPFI改正法案ですが、四月十二日の衆議院本会議の趣旨説明、質疑で国会審議が始まり、四月二十日から内閣委員会で審査に入りました。

 PPP、PFIの着実な推進を意図した改正案ですが、特に上下水道について、コンセッションを導入する地方公共団体に貸し付けられた企業債の繰上償還補償金を免除する特例を設けることになっているのが特徴です。

 しかし、四月二十日、衆議院の内閣委員会は、財務相の辞任をめぐる与野党の対立により、野党が欠席をする中で審議が強行されました。四月二十五日の内閣委員会も、前回に続き、野党が審議に応じられない中で一方的に開かれ、国会が空転を続ける原因にもなりました。

 野党は、五月八日から審議に戻り、内閣委員会で五月九日と十一日に質疑を行いましたけれども、法案の採決はその日のうちに行われ、原案どおり可決されたものであります。

 今回のPFIの改正案には、公共施設等の管理者及び民間事業者に対する国の支援機能の強化等のため、公共施設等の管理者及び民間事業者による特定事業に係る支援措置の内容及び規制等についての確認の求めに対し内閣総理大臣が一元的に回答をする、いわゆるワンストップ窓口の創設があります。また、内閣総理大臣が公共施設等の管理者等に対して特定事業の実施に関する報告の徴収並びに助言及び勧告に関する制度の措置を講ずることとしております。

 そして、ここには大きな問題があるということを指摘しておきます。

 この法案は、制度上、内閣府の長が内閣総理大臣であることを理由に内閣総理大臣が前面に出てくることは、昨今、首相案件というだけでそんたくが働く状況がありますので、ふさわしくありません。特に、地方自治体に対して、内閣総理大臣が対峙するかのようなたてつけは、上下関係を連想させ、地方自治体の主体性をゆがめる危険性が大きいと考えます。

 また、水道事業に係る旧資金運用部資金等の繰上償還に係る補償金の免除に関しては、財政投融資特別会計の積立金が既に枯渇をしていることから、地方公共団体金融機構からの繰上げで対応することとしていますが、過去に要望があった三・一一の東日本大震災の被災団体に対しては、積立金が既に枯渇をしていたことを理由に補償金免除の繰上償還を認めませんでした。これは、バランスを欠いた措置と言わざるを得ません。

 そこで、以上の趣旨から、我が党は、まず、公共施設等の管理者等がPFIに係る支援措置の内容について確認を求めるワンストップ窓口については、中立的な専門機関がその任にふさわしいと考え、内閣総理大臣からPFI推進委員会に改めること。次いで、同様の理由から、公共施設等の管理者等に対する勧告等の主体を内閣総理大臣からPFI推進委員会に改めるとともに、PFI推進委員会が勧告等をすることができる場合を、公共施設等の管理者等が定めた実施方針又は締結した事業契約がこの法律に基づく基本方針に照らし著しく適正を欠くと認めるときに限定すること。最後に、水道事業等に係る旧資金運用部資金等の繰上償還に係る補償金の免除に関しては、申し上げましたように、東日本大震災で被災した自治体からも要望があったにもかかわらず、財源となる基金の枯渇を理由に断ってきているわけでありますから、繰上償還の対象となる年利三%以上の旧資金運用部資金等による債権の残高が少ないこと、また、補償金免除の繰上償還は極めて異例の措置であり、これをやっても効果は限定的でありますので、同措置に関する規定を削除する修正案を提出しています。

 この修正案は受け入れられず、同法案は五月十五日の衆議院の本会議で可決され、参議院に送られましたが、改めて反対の趣旨を強く表明をいたします。

 次に、TPP関連法案についてです。

 TPP11の発効に必要な協定の承認案が四月十七日に既に審議入りをし、それを受ける形で、TPP関連法案の審議が、五月八日の衆議院本会議の趣旨説明、質疑に野党も出席をし、始まりました。

 内閣委員会での審査が始まったのは五月十一日で、質疑は十六、十七、十八日の三日間行われましたが、その審議時間たるや、十五時間。十五時間ですよ。十五時間にもかかわらず、衆議院内閣委員会では、その十八日、TPP11関連法案を採決することを午後の理事会において委員長職権で強引に決めました。

 このため、立憲民主、国民民主、共産、自由、社民の野党五党は、内閣委員会においてTPP11の関連法案が採決されるわずか五十分前に、TPPを担当する茂木経済再生大臣への不信任決議案を提出したわけであります。

 これによって、内閣委員会の審議は中断をし、採決は二十三日まで見送られましたが、最終的には、五月二十四日、衆議院本会議で、自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で可決をされました。

 米国を含む十二カ国のTPPの承認案と関連法案は、衆議院特別委員会で計七十時間審議されましたが、TPP関連法案の衆議院内閣委員会での審議時間は、最後までを含めてもたった十七時間であって、委員長職権による強行採決の不当性は明白であります。

 そもそもTPPは、全ての関税や規制を撤廃することを原則とし、農業や食の安全を始め、医療、医薬品、サービス貿易、投資、政府調達、国有企業、地域経済など、多くの分野に影響が及ぶものです。この究極の自由貿易と言われているTPPは、内容がわずかながらも知られるにつれ、グローバル企業に一方的に有利な環境を提供するものであり、グローバル企業への便宜供与、グローバル企業による世界の私物化を許すものと市民の批判の声は広がり、高まっております。

 TPP12を主導してきたアメリカでも、一昨年の大統領選挙では、全ての候補者がTPPを否定せざるを得ず、アメリカの国民はトランプ大統領を選んで、TPPを否定したわけであります。

 TPP12のキープレーヤーが抜けた11では二十二の凍結項目が定められましたが、多くの参加国は自国の利益を守るために凍結項目をかち取ったと言われていますが、一体日本はどんな項目の交渉をテーブルにのせたのか。日本の守るべき凍結項目は確実にあったはずです。

 アメリカの離脱により、医薬品の特許期間や国有企業に関する規定の一部などが凍結されましたが、これは全体のわずか二%にすぎません。食料自給率が四〇%にも満たないこの国で、今後、この協定の効果によって、食料の輸入は更に増大をします。そして、自給率は更に下がる。国内の一次産業、国民の命を守る農林水産業の疲弊、そしてこれを支えてきた地域社会の崩壊は火を見るより明らかであります。

 二〇〇七年二月の日豪FTAの交渉の検討に際しては、農水省は農産物の関税などの国境措置を全て撤廃した場合の影響について試算を行いました。国境措置を撤廃した場合、たとえ国内の価格の低下により内外価格差が解消しても輸入は増加すると見込んでいた。今回の話と整合性がとれません。

 さらに、国内生産量は減らず輸入量はふえないという想定は、輸出もゼロ想定になっていることを意味しますが、そもそも、食料自給率の向上を国策並みに重要視して、日本政府として、こうした想定はあってはならないと考えています。

 TPP11では、食の安全、遺伝子組み換えの食品などに対してもリスク分析主義がとられています。リスクが明確になっていなければ受け入れざるを得なくなり、予防原則をとっている日本の食の安全は明らかに後退させられることになります。安全を確保してきた基準の緩和、これを迫られるという大きく深刻な現実があります。

 TPP11の交渉では、各国が自国の利益を守るために多くの項目の修正、凍結を主張したのに対し、日本政府は、合意を急ぐために、農畜産物の輸入枠などで更に不利になるものさえ修正を求めず、受け入れています。

 国民や国会に対して協定の交渉過程における情報の開示もせず、国会の決議も顧みず、強引に協定を推し進める政府の姿勢は明らかに間違っています。

 内閣委員長は、TPP11は12の延長、中身は変わらないから審議は必要ない、そのようにお考えなのでしょうか。十分な審議は必要ないとお考えなのでしょうか。わずか三日間、十七時間の審議で終わらせた政府の姿勢、明らかに、国民を守る、そうした姿勢は見受けられません。

 そして、安倍政権は、国難政権どころか、国を滅ぼす亡国の政権、こういったことを含めて言われるのが、このゆえんであります。政府の描く希望的な観測だけを聞かされて、納得がいく国民がどれだけいることでございましょうか。TPP11の締結に断固反対することを確認いたします。

 最後に、今まさに政府・与党が採決を強行しようとしている、カジノを含む統合型リゾート施設の実施法案について申し上げます。

 このIR実施法案は、政府・与党は、法案の成立が来年になったら統一地方選や参議院選に影響するとの、与党、自民党そして公明党のカジノに批判的な議員の声に配慮をし、カジノ実施法案を六月二十日までの会期内に成立させることを大前提に、ここまで審議を進めてきました。

 そのため、カジノ実施法案は、五月二十二日、衆議院本会議で審議入りをし、その議場から、安倍晋三首相は、カジノを含む統合型リゾートが新たなビジネスの起爆剤となり、世界に向けて日本の魅力を発信する施設で、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれる、世界最高水準のカジノ規制を的確に実施すると語りました。

 誰がこんなことを信じているのでしょうか。

 自民、公明両党と日本維新の会が共同提出したギャンブル依存症対策法案は、五月二十三日から内閣委で審議入りをし、五月二十五日に衆議院本会議で採決されたわけですが、同日、統合型リゾート実施法案の提案理由説明が内閣委員会で行われました。

 この衆議院の内閣委員会では、五月三十一日、カジノを含む統合型リゾートの実施法案をめぐり、専門家四人を招いて参考人質疑を行った際、山際委員長は同日の理事会で、安倍首相が出席する質疑を六月一日に行うことを職権で決めました。そして、今国会で法案成立を目指す与党は、この問題法案を再度、委員長職権で強行採決をしようとしているのは、皆さん御存じのとおりです。

 IRの日本経済へのプラスの効果は海外客をどの程度獲得できるかということに依存しているとこれまで政府は説明をしてきました。

 ところが、ゴールドマン・サックス証券は、大阪と東京ですら三割程度の海外客しか見込めないとし、また、国際カジノ研究所は、日本で関東、関西、北日本に仮にカジノが一カ所ずつできた場合、年間の入場者は約四千四万人で、そのうち日本人客が九割を占めると推計しています。大阪府も、国内外から夢洲地区のIRに最大二千二百万人が訪れ、そのうち日本人客は七割、約千五百万人とはじき出しているんです。北海道も、苫小牧市にIRを設置した場合、六百万人から八百万人が訪れ、うち八割が日本人と見込んでいます。

 したがって、統合型リゾートが日本経済の成長に資するとはとても言えず、導入の主たる根拠はもはや崩壊していると言わざるを得ません。

 日本には、パチンコなど、ギャンブル依存症が疑われる人が、昨年の推計で七十万人、そして、生涯のうちに一度でも依存症だった疑いのある人は三・六%です、約三百二十万人で、一、二%以下の国が多いと言われる海外に比べて日本は高いのが大きな問題となっているわけですね。

 ところで、ギャンブルの頻度はアクセスの容易さと相関関係にあるため、カジノができれば、その周辺住民のギャンブル依存症は増大します。アメリカでは、カジノから五十マイル以内の依存者率は域外の二倍になったという報告もあります。しかし、日本人に対する入場制限措置は全ての日本人に一律に適用されるので、ギャンブル依存症対策になっていないのです。したがって、近隣住民の入場制限は遠くの観光客よりも厳しくすべきと考えます。

 さて、IR整備法案で認定区域の数は三つを超えないこととされる一方、IRの誘致を検討している自治体は既に三つ以上あると承知していますが、今後、認定区域を選定するプロセスがあると想定されます。

 この中で、法案の第七条には、民間事業者は、都道府県等に対して、実施方針を定めることを提案することができるとされ、第八条には、都道府県等は、実施方針に即して、区域整備計画を共同して作成し国土交通大臣の認定を申請する民間事業者を公募の方法により選定する、また、九条には、都道府県は、民間事業者と共同して、基本方針及び実施方針に即して、区域整備計画を作成し、国土交通大臣の認定を申請することができるとされています。

 これは、実質上は、地元都道府県等ではなく、民間事業者が主導して区域整備計画が進められるということではないでしょうか。

 さらに、区域整備計画の認定申請は、安倍首相を本部長とするIR推進本部の意見を聞いて国土交通大臣が決定することになっていますので、アメリカで開かれた二月の日米首脳会談で、トランプ大統領が、日本のIR推進に関連して、ラスベガス・サンズとMGMリゾーツなどを推薦したとも報じられていますが、こうしたトランプ大統領の意向を安倍首相が取り入れているとすれば、これは本当によくない。

 そして、森友、加計学園の本質は、安倍お友達内閣が、規制改革を通じて身内を特別扱いするということにあったと言われているわけですので、カジノでも同じことが繰り返されてはいけないということを強く申し上げておきます。

 ことし三月に共同通信社が行った世論調査において、カジノを解禁することに反対が六五・一%、賛成の二二・六%を大きく上回っております。その最大の理由は、民間賭博を解禁するということに国民の理解が得られていないということで、IR推進法の附帯決議でも、「法制上の措置の検討に当たっては、十分に国民的な議論を尽くすこと。」とされています。

 違法性阻却の問題も、IR推進会議でたった一度審議されただけで、法務省で専門的かつ集中的に議論されたとは聞いていません。

 カジノ法案ではIR区域の上限は設けられておりません。したがって、ホテルや会議場などIR施設の延べ床面積かIR区域の面積のいずれかの大きい方の三%とするゲーミングエリアは、際限なく大きくなってしまう可能性があります。そして、このゲーミングエリアとは、カジノ施設を示すのではなく、そこに設置されているテーブルや椅子、これが置かれたエリア、ここをカウントするということを意味しているのです。

 これではとても世界最高水準のカジノ規制とは言えません。面積の上限の設定を明記するべきだと考えます。

 カジノ規制の司令塔となるカジノ管理委員会にも問題があります。

 カジノ管理委員会は、カジノ事業者に対して厳しい背面調査を行うほか、カジノ機器の審査などさまざまな業務を行うこととされています。その中には、カジノ関連機器の検定や納付金の金額の計算など専門的な知識を必要とするものであるとして、そうした専門的な人材はどこから集めるのか、その身分はどうなるのか、ここを、一番大事な点であるので確認すると、ここには、法案の中に言及がありません。

 ところが、石井国土交通相は六月八日の答弁で、カジノ管理委員会の事務局職員をカジノ事業者から採用することもあり得ると述べたわけであります。カジノ事業者を管理する立場にあるカジノ管理委員会の事務職員を、管理されるはずのカジノ事業者に任せるということは一体どういうことでしょうか。これだけでも大問題ですが、それ以上に、民間賭博を合法化するか否かがそもそもIR法案の大問題であることが自明であるからこそ、監視を厳しくしなければならないとして設けられているはずのカジノ監視委員会で、実際に監視の任に当たるのが、監視されているはずのカジノ関係者であるというのでは、あきれて物も言えません。

 議場が騒然となるのも当たり前で、石井氏は、公平性、中立性にいささかの疑念も持たれないということが大前提であると言っても、説得性がゼロだからです。わかっていただけたでしょうか。こんな論理が通るなら、法制度論自体が成り立ちません。

 また、法案は、カジノ管理委員会の委員長、委員、専門委員及び事務局職員に対し、国内の全てのカジノでカジノ行為を制限しています。しかし、委託先となる調査会社の従業員などは、調査対象となるカジノ施設でカジノ行為を行うことを制限していません。これは、カジノ業者に調査を委託するということではないのでしょうか。

 カジノ法案では、国会審議に諮らず政令などで事後に定められる内容が三百三十一に上ることが明らかになっています。政令が五十八項目、国土交通省が四十四項目、監督機関であるカジノ管理委員会の規則が二百二十九項目、計三百三十一項目ですが、この余りの多さは、カジノ法案が国会で大騒ぎにならないために政府が意図的にやっていると考えられます。

 つまり、日本にこれから進出するカジノ事業者の意向に反した内容を法案に書くわけには、今の時点でいかないので、後で幾らでも調整できるようにIR法案を仕上げたというわけではないでしょうか。まさにカジノ推進ありきの、カジノ業者のためのIR法案であることを物語っていると考えます。

 このように、カジノ法案が後世に禍根を残す法案であることが明らかになっている以上、ここで採決を許すわけにはまいりません。

 我々は、先に述べました公文書管理法改正案を始め、民主主義を守るための関連法案を対案として既に国会に提出をしています。私たちによく、対案を出したらいいじゃないですか、対案を出さないのは、野党は何をやっているんだと言うけれども、出しているんですよ。安倍政権は、野党に対案を出せ、対案を出せと言って、反対ばかりをしているようなレッテルを張っていますが、しかし現実は、一向に審議をすることすらされません。

 この状況は、今、与党の皆さんの席からも、審議しよう、開こうじゃないかと言っていただいておりますので、ぜひやろうではありませんか。

 今、なぜこれを申し上げるかといえば、民主主義が危機的な状況になっているんです。国民の重大な関心事でありながら、このようなことが立法府において次から次に起こっている。国民にとって説明が十分でない法案を平気で強行採決をする。

 委員長には、ギャンブル、カジノよりも先にやることがあるのではないか、そして、強行採決の前に、民主主義を守るべく、国会で皆さんと一緒に議論すべきことがあるだろうと申し上げておきます。

 もはや、公正中立な委員会運営を求められる立場にあるにもかかわらず、このように大いに問題のある法案を、十分な時間も審議のために確保をせず、党利党略のために拙速な委員会運営を行ってきた山際委員長は、委員長として完全に信頼を失っており、もはやその資格はありません。

 以上が、内閣委員長山際大志郎君解任決議案を提出する理由であります。

 議員諸氏が、その良心に従い、本議案に御賛同賜らんことをお訴えをし、立憲民主党篠原豪からの趣旨説明を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。石原宏高君。

    〔石原宏高君登壇〕

石原宏高君 自由民主党の石原宏高です。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました内閣委員長山際大志郎君解任決議案に対し、断固反対の討論を行うものであります。(拍手)

 山際委員長は、これまで各党各会派の主張に誠心誠意耳を傾け、公正かつ円満な委員会の運営ができるように最大限の努力を続けてこられました。また、国民の負託に真摯に応えるべく、丁寧で充実した法案審査を進めることに心を尽くした姿勢は、多くの同僚議員の認めるところであります。

 しかるに、このたびの解任決議案の提出は、全く理不尽かつ無責任な行為であると声を大にして非難せざるを得ません。

 解任決議案を提出するには、適正を欠く委員会運営を行ったなど、具体的な明確な理由が必要でありますが、一体、山際委員長の対応に、どこが解任に該当するのか、私には全く理解できません。

 むしろ糾弾されるべきは、委員会を欠席していたずらに審査日程を引き延ばそうとしている野党の皆さんではありませんでしょうか。

 今国会では、保育事業の財源確保等を目的とした子ども・子育て支援法が成立いたしましたが、待機児童の解消に道筋をつけるこの重要な法案に対し、維新を除く野党は一切審議に応じることなく、日切れ扱いである本法案の成立を大幅に先送りする原因をつくりました。その上、次に重要な閣法の審査を控えているにもかかわらず、審議に出てこなかった野党の方々が、何の臆面もなく、みずから放棄した審議時間の充実を求めたのであります。

 この不誠実な残念な対応の影響を受け、同じく日切れ扱いであり、地方の中小企業が一刻も早く成立を望んでいるREVIC法は、年度内に審査を始めることすらできませんでした。また、PFI法においても、審議を拒否する悪い癖は直らず、野党側が復帰してくるまでの間、やむなく、やむなく、やむなく、与党と維新のみで委員会を進めたのでありました。

 続くTPP国内整備法の審査の際には、採決まであとわずかという段階に至って、何ら不信任に値する言動もなく誠実に答弁を繰り返してきた茂木大臣に対して、無節操きわまりない不信任決議案を提出したのです。その提出理由において、十分な議論が必要であると述べていながら、単に委員会をとめんがためにする、みずからの議論の機会を放棄するという矛盾に満ちた対応は、到底許されるものではないというふうに考えるところであります。

 それは、現在審査中の特定複合観光施設整備法、いわゆるIR整備法においても同じです。

 この法案は、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を促進すると同時に、世界最高水準の規制によってカジノに関するさまざまな懸念に万全の対策を講じています。

 山際委員長は、参考人質疑や総理に対する質疑などを含む充実した委員会運営に全力を挙げ、法案の論点は明らかになっておりました。議論が尽くされれば結論を出すことは、立法府として当然の責務です。にもかかわらず、委員会をとめる方便として、今度は解任決議案の提出であります。

 ぜひとも、旧態依然とした筋の通らない日程闘争からは何も生まれないことを過去の経緯から学んでいただきたい。それを行わなければ、結局、国会議員の果たすべき、議論をし結論を得ることから逃げていることになります。

 自分たちがやりたい議員立法だけは声高々に審査を主張し、納得がいかなければ欠席する、あるいは不信任案や解任決議案を提出して審査を引き延ばそうとする姿勢は明らかに言論の府の精神に反するもので、こんなことの繰り返しでは健全な議会制民主主義は成り立ちません。審議の放棄はすなわち責任の放棄であり、強く猛省を求めるものであります。

 与野党の合意点が容易に見出せない中、山際委員長は、その都度、国益や国民生活、また議会運営のあるべき姿に照らして適宜適切な判断を行い、各法案の内容や重要度に応じて、参考人質疑や連合審査、政府からの追加資料の提出など、可能な限り、可能な限り野党の要求に応えながら、誠実にその職責を果たしてこられました。これまでの内閣委員会が議会の法案審査機関として十分に機能してきたのは、ひとえに山際委員長の持つ厳格なる責任感と使命感のおかげによるものです。

 以上申し上げてきましたとおり、良識を持ち、人格円満にして温厚な山際委員長に対して、理不尽きわまりない理由をあげつらい、解任決議案を突きつける行為は、言語道断であり、我々は決してこれを容認することはできません。

 常に中立公平な立場から職責を果たしている山際委員長の委員会運営を高く評価し、正義と良心をもって本解任決議案を速やかに、圧倒的な多数をもって否決されるべきであることを申し上げて、私の反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 日吉雄太君。

    〔日吉雄太君登壇〕

日吉雄太君 立憲民主党・市民クラブの日吉雄太です。

 私は、ただいま議題となりました内閣委員長山際大志郎君の解任決議案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 まず初めに申し上げます。

 今、石原議員から、野党は審議を欠席したとのお話がありましたが、自民党が野党時代、八十五回の審議拒否をしました。欠席ではなく拒否でございます。そのことをはっきりと申し上げます。

 さて、日ごろ、山際委員長は、委員会運営に対しては円満運営を心がけ、野党の意見も取り入れてこられました。しかし、国会日程が進むにつれ、山際委員長の運営方針に変化が生まれ、先日は、ギャンブル依存症対策基本法の強引な運営で、審議時間も不十分なまま、強硬なやり方で採決に至ったのであります。

 国内には、既に、競馬などの公営ギャンブルに加え、パチンコやパチスロなどもあります。ギャンブル依存症になった経験があると疑われる人は約三百二十万人に達すると言われています。そこへカジノが入ってくるのです。ギャンブル依存症に陥るリスクが限りなく高くなるのは必然です。依存症は、家族を巻き込み、犯罪の引き金にもなる、そのような人の命にかかわる重要な法律の審議を強引な手法で採決するなど、もってのほかだと言わなければなりません。

 また、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案においては、待機児童解消を名目に、企業主導型保育の拡大などを進めることにより、待機児童対策としてはいろいろな問題が浮き彫りになりました。しかし、六野党が、森友学園との国有地取引に関する財務省の公文書改ざん問題で、民主主義の前提が整っていないことから、やむを得ず委員会審議を欠席したところ、自民、公明の与党と維新だけで審議、採決を行ったものであります。

 また、環太平洋連携協定関連法、TPP11においては、委員長職権により、委員会の質疑を、わずか三日間、十数時間の短時間で審議を終わらせ、採決を強行する暴挙に出たのであります。多岐にわたる条項や分野など、短い時間で議論するには困難な論点が数多くあるこの協定を、国民に十分説明することもなく、強行突破しました。

 本来であれば、国会の議論を通して、協定の中身や問題点などを国民に明らかにするのが委員会の務めであろうと考えます。しかし、山際委員長には、国益を守り、国民生活を守る、そうした姿勢は全く見受けられません。

 そして、今回のIR法案では、またまた審議を打ち切り、採決を図ろうとしているのです。

 国民の約七割近くがこの法案に対して反対を唱えているにもかかわらず、十分な議論も行わず、成立にこだわるのか、山際委員長のこれまでの委員会運営とはほど遠いものがあります。しっかりと職務と責務を果たしていただきたいのですが、その気概も既にありません。

 今の国会全体を見渡したとき、異常事態であると感じているのは、与野党問わず共通の認識です。森友、加計疑惑、防衛省の日報問題、どれも、あったものがないと、うその答弁を繰り返し、役所全体でしらを切り通し、隠蔽を図る。国権の最高機関に対して平気でうそをつくような状況は、あってはならない異常事態であると考えます。総理の答弁に合わせるために、記録を改ざんし、廃棄をする。この日本はそんな国なのですか。

 本年三月二十八日の内閣委員会における山際委員長の開会の挨拶を御紹介します。

  これより会議を開きます。

  この際、一言申し上げます。

  今般の財務省決裁文書書換え事案の発生により国会審議が混乱し、当委員会においても全会派参加のもとでの充実した審議の機会が妨げられたことはまことに遺憾に存じます。

  委員長といたしましては、引き続き与野党の真摯な御協議のもとに円満な委員会運営を努めてまいりたいと存じますので、委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。

  なお、今般の財務省事案は、国会の国政調査権を冒涜し、国会と行政との信頼関係を損なっただけでなく、民主主義の根幹を揺るがし、国民の行政に対する信頼をも著しく損なうものであります。公文書管理を所管する委員長として、政府に対し、徹底した真相究明を行い、再発防止に向けた根本的な対策を講じることを強く要望いたします。

これこそが、内閣委員長、山際大志郎委員長であります。委員会での委員長の発言は非常に重いものがあると考えています。このときの委員長は一体どこに行ってしまったのでしょうか。

 森友学園問題の国有地売却をめぐっては、安倍総理と総理夫人がかかわっていたかもしれない。そして、その結果、八億円の値引きが行われたのではないのか。疑念の数々が指摘される中、真相究明にはまだまだほど遠いと言わなければなりません。役人の尻尾切りで責任逃れをするやり方は、到底、健全な政治姿勢とは言えないものです。

 山際委員長は、公文書管理を所管する委員長として、政府に対し、徹底した真相究明を行わなければならないと、委員長として委員会の席で述べられたのではないですか。

 山際委員長、やましいことがあったからこそ改ざんや破棄をした、この事実だけは政治家として真摯に受けとめ、委員会運営に努めるべきであったのではないでしょうか。

 いわゆる森友に並び加計学園問題においては、内閣府からの働きかけがあったのか否かが問われています。すなわち、国家戦略特区諮問会議の議長を務める安倍総理と加計学園との間に重大な利害関係が存在していたことから加計学園が優遇されたのではないかと疑われているわけです。この問題の解明も内閣委員会の重要な役割でした。

 そうであれば、本来、事前に、安倍総理と加計学園との間に利害関係があるかないかを慎重に調査しなければなりませんでしたが、そのような手続が適切に行われたとはとても言えない状況であったことが、ここまで加計学園問題を大きくしてしまった原因だと言えます。

 文部科学省の大学設置・学校法人審議会の審議会令には、「審議会の委員は、自己、配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件又は自己の関係する学校若しくは学校法人に関する事件については、その議事の議決に加わることができない。」と定められています。つまり、審議会の委員の配偶者が関与する案件には、当該委員は議決に加わることができません。

 また、内閣府の国家戦略特区諮問会議の運営規則には、第四条第四項に、「会議は、その決定するところにより、会議に付議される事項について直接の利害関係を有する議員を、審議及び議決に参加させないことができる。」となっています。このことは、安倍総理夫人が加計学園グループの運営するこども園の名誉園長を務めていた以上、安倍総理は国家戦略特区諮問会議の審議及び議決に参加してはいけなかったことを示していたのではないでしょうか。

 安倍総理は再三にわたって、国家戦略特区諮問会議における認定のプロセスは適切であったとおっしゃっています。大切なのはプロセスであると力説しています。しかし、認定の中立性、公正性を確保する上において、そもそも、加計学園と利害関係を有する安倍総理御自身が諮問会議の審議及び議決に参加していたことは、まさに認定プロセス自体に重大な瑕疵があったと言わざるを得ません。

 さきの働き方改革法案の議論では、裁量労働制データ捏造問題が大きな議論になったにもかかわらず、法案が強行に可決されてしまいました。

 そして、今回のIR法においては、投資や雇用といった経済効果を訴えていますが、政府による試算はなく、各団体の試算した数字も、その根拠も、ばらばらな状況です。

 きわめつけは、安倍総理は、IR法の意義について、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれる、世界じゅうから観光客を集めると答弁をしています。果たしてそうでしょうか。

 誘致自治体は、客の七、八割は日本人になると想定しているのが現状であります。また、訪日をする多くの皆さんは、カジノを含む複合観光施設ではなく、日本固有の風土であったり、文化、歴史に触れたいと思っているのです。そして、日本の心尽くしのおもてなしです。政府がやらなければならないことは、このような日本らしさをアピールできる地域を後押しする体制をつくることではないでしょうか。

 正確なデータのもとに議論を交わすのが議会制民主主義の姿です。しかし、現在の内閣委員会は、その運営ができていないと判断せざるを得ません。

 このことを一番に危惧し、改善するのが山際委員長の役目であると思われますが、審議を打ち切り、国民世論を無視し、強硬に推し進めていくことは、委員長の任にあらずと言えます。

 一方的な委員会運営を続け、がむしゃらに採決に踏み込もうとする山際委員長には、もはや職責を果たす資格はないことを申し上げ、内閣委員長解任決議案の賛成討論とします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 稲富修二君。

    〔稲富修二君登壇〕

稲富修二君 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま提案のありました内閣委員長山際大志郎君の解任決議案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 山際委員長は、平成二十九年十一月二十二日の内閣委員会における委員長の就任挨拶において、「円満かつ規律ある委員会運営に努めてまいりたいと考えております」と述べられました。

 今国会における内閣委員会では、子ども・子育て支援法改正案、TPP関連法改正案、カジノ法案などを始めとした、さまざまな重要法案が議案となりました。

 山際委員長は、これら重要法案について、ことごとく、委員長による職権をてこに、拙速な法案の審議入りを決める、十分な審議を行わないまま採決の日程を決めるなど、政府・与党の思惑どおりの強引な委員会運営を行ってまいりました。山際委員長が、みずから述べた円満かつ規律ある委員会運営に努めていくことを実践しているとは到底思えません。

 いわゆるカジノ法案については、しっかりとした審議を繰り返し要請したにもかかわらず、山際委員長は、職権で強引に十三日の内閣委員会で採決を行うことを決めました。

 時間は有限であるからどこかで決をとらなければいけないという委員長の思いは理解をいたします。であるなら、先週の定例日である水曜日、金曜日の審議時間が、わずか一時間十五分と一時間四十五分だったのが全く理解できません。与党による審議拒否と言われても仕方がございません。会期末が迫る中で、いたずらに時間を無駄にした上、審議拒否を許した委員長の責任は免れることはできません。

 私を含め多くの野党は、終始一貫、特にカジノ法案については時間をかけて審議することを強く求めてきました。

 以下、その理由を二つ申し上げます。

 さらなる審議時間が必要な一つ目の理由は、本法案は本則二百五十一条にわたる大部な法案であるからであります。二百条を超える新法は介護保険法以来二十一年ぶりのことであり、極めて重要な法案であることは与野党共通の認識であります。さらに、本法案には三百五十項目に及ぶ政省令事項があり、中には制度設計に当たっての重要な項目も含まれております。

 介護保険法が三国会にわたって五十時間超の審議を行ったことを踏まえれば、それらを下回らない審議時間が必要であります。しかし、参考人質疑を一度行っただけで、わずか十八時間十分の質疑時間をもって委員会で採決しようとすることは、国民の声を聞く姿勢に欠けていると言わざるを得ません。

 さらなる審議時間が必要な二つ目の理由は、審議するにつれて、論点が絞られるのではなく、むしろさまざまな論点が噴出しているからであります。

 その基本的な論点を一つだけ申し上げます。それは、本当にカジノで収益を上げることができるのかという点であります。これが明らかではありません。IRがカジノで収益を上げることを前提としているビジネスモデルであるにもかかわらず、根拠となる経済効果の試算がございません。

 法案第一条の「目的」で、カジノ事業の収益を活用してIRの整備を推進するとありますが、本当に収益が上がるのでしょうか。我々は、委員会質疑の中で再三、政府による経済効果の試算を出すよう求めてきましたが、政府からは、具体的な立地地域や施設の規模が明らかとなっていない段階で試算することは困難であるとの答弁があるのみでありました。

 カジノで収益を上げることを前提としているにもかかわらず、政府による試算がなく、なぜもうかると断言できるのか、私には理解できません。議論の前提となる根拠に欠けていると言わざるを得ません。

 また、海外のカジノと比較した場合の日本の優位性が明確ではありません。アジアにおけるカジノ市場は既に飽和状態にあるとの指摘もあり、日本にカジノをつくったとしても、もうかり続ける保証はありません。

 なぜ海外からの来訪客を日本のカジノに集客できるのか、その根拠も薄弱です。例えば、日本のカジノは、空港アクセスがよいとか、ギャンブルでもうけやすいとか、コンプが充実しているなど、そのような明確な優位性があるとは思えません。

 カジノ誘致を目指している各自治体は、日本人客が七割から八割を占めると想定しています。その割合ですら、海外からの来訪客の想定としては楽観的に過ぎるかもしれません。本法案のうたい文句は、海外から観光客を呼び寄せるとなっております。本当のところは、日本人客がターゲットなのではないでしょうか。

 なぜカジノはもうかるのかという質問に対し、政府答弁では、海外事例からするとカジノはもうかる、あるいは、もうかる区域整備計画しか認定しないから、もうからないことはないという説明であります。

 経営不振に陥っている多くのカジノには目をつぶり、きらびやかな成功事例だけをもってカジノは必ずもうかると本当に言えるのでしょうか。もうかる計画しか認定しないからもうかるのだというようなおめでたい話に、誰が納得できるというのでしょうか。全く説得力がございません。市場経済において、もうからないことはないなどと政府が断言できるはずがございません。

 さらに、こうした無理な前提を置いてしまうと、仮に経営不振となった場合、余りに巨大な施設ゆえに、潰せなくなるのではないでしょうか。事業が失敗した場合の責任の所在も含めて、議論が不十分であります。

 ほかにも、なぜカジノが合法化できるのか、カジノ管理委員会はしっかり機能するのか、カジノをつくればギャンブル依存症がふえるのではないか、カジノ周辺地域の治安が悪くなるのではないか、公営ギャンブルはだめなのに、なぜカジノ事業者だけ金貸しが認められるのかなどなど、さまざまな疑問に対し、いまだ明快な回答はございません。さらなる審議が必要なのであります。

 カジノ法案に関しては美辞麗句が並んでおります。いわく、世界じゅうから観光客を呼び寄せる、日本の魅力を広く世界に発信、観光先進国、世界最高水準のカジノ規制、日本型IRを通じて変革がもたらされるなどであります。

 にもかかわらず、本法案に対しては、各種世論調査、パブリックコメントでも反対が大きく上回っております。新聞各社社説においても反対ばかりでございます。「巧言令色鮮し仁」とはまさにこのことであります。

 中央公聴会や地方公聴会を開催し、国民の声をもっと聞くよう何度も要求してまいりました。一度の参考人質疑で終わらせるつもりでしょうか。

 法案成立後に、国民の理解を得るためにキャラバンによる宣伝活動をするそうです。全く冗談のような話であります。法案成立の前に国民の理解を得るためにならまだしも、法成立後にキャラバンなど、時間と税金の無駄遣いとしか思えません。

 政府は、国民の反対が多いのはIRが知られていないからと答弁をされております。しかし、そうではありません。なぜ賭博が成長戦略になるのか、なぜカジノが合法化されるのか、カジノをつくればギャンブル依存症がふえるのではないかという素朴な疑問に対し、国民感情を説得できる材料を政府が持ち合わせていないからであります。

 立ちどまって、時間をかけて、日本にふさわしい観光立国の姿をしっかり議論すべきであります。そのためにも、山際委員長にはさらなる審議時間の必要性を要請してまいりましたが、残念ながら耳を傾けていただけませんでした。

 公明公正な委員会運営を行わず、政府・与党の党利党略と一体となって委員会運営を行う山際委員長は、もはや委員長としての資格はございません。内閣委員長山際大志郎君の解任決議案について賛成することを申し上げ、私の討論を終わります。

 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました山際大志郎内閣委員長解任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 賛成理由の第一は、カジノ法案の強行採決を図ろうとしているからであります。

 国民多数はカジノ解禁に反対です。それは、ギャンブル依存症や多重債務者が増加をし、生活破綻や治安悪化が懸念されるからです。賭博で経済成長はおかしい、人を不幸にして金もうけをするな、これが国民の声であります。

 わずか十八時間余りの審議でも、法案の重大な問題点が明らかになってきました。

 一つは、公営ギャンブルやパチンコでは認められていない客への金の貸付けをカジノ事業者には認めることです。過剰貸付けへの歯どめもなく、依存症や多重債務者の拡大につながることは必至であります。

 二つは、当初導入予定だったカジノ施設面積の上限規制を取り払ったことです。世界最高水準の規制だ、依存症対策だといいながら、与党協議の中でいつの間にか外してしまいました。

 三つは、カジノを規制するカジノ管理委員会の問題です。

 カジノ管理委員会の経費は、カジノ事業者が払います。石井啓一カジノ担当大臣は、カジノ管理委員会の事務局にはカジノの実態を知る人を任用することもあると、カジノ事業者が事務局に入ることを認めました。金も人もカジノ事業者に依存するカジノ管理委員会は、カジノ推進機関になりかねません。

 このカジノ法案の背景にあるのは、日本国民をターゲットと狙う米国カジノ企業の要求であります。

 昨年二月、安倍総理がトランプ大統領との初の首脳会談を行った日の朝食会には、米国カジノ企業のトップ三人が出席していました。そのうちの一人は、トランプ大統領の最大の支援者であります。安倍総理は、その場で、カジノ推進の法律をつくったと紹介しました。まさにカジノ企業の要求に応えるものでした。

 このようなカジノ法案の採決強行を図ろうとする山際委員長の解任は当然であります。

 第二に、山際委員長の公文書改ざん問題への姿勢であります。

 森友学園との国有地取引に関する財務省の公文書改ざん事件は、国会の国政調査権を冒涜し、国会と行政との信頼関係を損なっただけでなく、民主主義の根幹を揺るがし、国民の行政に対する信頼を著しく損なうものである、公文書管理を所管する委員長として、政府に対し、徹底した真相究明を行い、再発防止に向けた根本的な対策を講じることを強く要望すると委員会において発言したのは誰だったか。山際委員長自身であります。

 しかし、実際に行ったことは何か。国会審議の前提を掘り崩す異常事態を放置し、みずからの発言さえ覆して、真相究明に背を向け、悪法の成立を最優先してきたのであります。断じて認めることはできません。

 第三に、そもそも山際委員長の内閣委員会の運営は、与野党の合意に基づく公正円満な運営をことごとく踏みにじり、政府・与党の言いなりで、数々の政府提出の重要法案の採決を強行する、異常きわまるものであります。

 今国会、冒頭の大臣所信質疑から職権で委員会を強行したことに始まり、子ども・子育て法案では、野党五会派に一度も質問させないまま採決を強行しました。このとき、野党の厳しい批判の前に、山際委員長は、全会派参加のもとでの充実した審議の機会が妨げられたことはまことに遺憾と、その誤りを認めました。

 ところが、その後もPFI法案で野党抜きの審議を強行し、さらに、日本経済と国民生活に大打撃を与えるTPP関連法案では、わずか十六時間の質疑で強行採決したのであります。悪法の成立に加担し、議会制民主主義を踏みにじって恥じない山際委員長が、もはやその職責を果たし得ないことは明白であります。

 以上、山際委員長解任決議案に賛成の討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百五十二

  可とする者(白票)       百三十六

  否とする者(青票)       三百十六

議長(大島理森君) 右の結果、内閣委員長山際大志郎君解任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

辻元清美君外六名提出内閣委員長山際大志郎君解任決議案を可とする議員の氏名

阿久津 幸彦君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君   荒井   聰君

池田  真紀君   石川  香織君   生方  幸夫君   枝野  幸男君

尾辻 かな子君   大河原 雅子君   逢坂  誠二君   岡島  一正君

岡本 あき子君   落合  貴之君   海江田 万里君   神谷   裕君

亀井 亜紀子君   川内  博史君   菅   直人君   近藤  昭一君

佐々木 隆博君   櫻井   周君   篠原   豪君   末松  義規君

高井  崇志君   高木 錬太郎君   武内  則男君   辻元  清美君

手塚  仁雄君   中谷  一馬君   長尾  秀樹君   長妻   昭君

西村 智奈美君   長谷川 嘉一君   初鹿  明博君   日吉  雄太君

福田  昭夫君   堀越  啓仁君   本多  平直君   松田   功君

松平  浩一君   道下  大樹君   宮川   伸君   村上  史好君

森山  浩行君   矢上  雅義君   山内  康一君   山尾 志桜里君

山川 百合子君   山崎   誠君   山花  郁夫君   山本 和嘉子君

横光  克彦君   吉田  統彦君   早稲田 夕季君   青山  大人君

浅野   哲君   伊藤  俊輔君   泉   健太君   稲富  修二君

今井  雅人君   小熊  慎司君   大島   敦君   大西  健介君

岡本  充功君   奥野 総一郎君   吉良  州司君   城井   崇君

岸本  周平君   源馬 謙太郎君   小宮山 泰子君   後藤  祐一君

近藤  和也君   斉木  武志君   階    猛君   篠原   孝君

下条  みつ君   白石  洋一君   関  健一郎君   玉木 雄一郎君

津村  啓介君   西岡  秀子君   原口  一博君   平野  博文君

古川  元久君   古本 伸一郎君   前原  誠司君   牧   義夫君

緑川  貴士君   森田  俊和君   山岡  達丸君   山井  和則君

柚木  道義君   渡辺   周君   安住   淳君   江田  憲司君

大串  博志君   岡田  克也君   金子  恵美君   黒岩  宇洋君

玄葉 光一郎君   田嶋   要君   中川  正春君   中村 喜四郎君

野田  佳彦君   広田   一君   もとむら賢太郎君   赤嶺  政賢君

笠井   亮君   穀田  恵二君   志位  和夫君   塩川  鉄也君

田村  貴昭君   高橋 千鶴子君   畑野  君枝君   藤野  保史君

宮本  岳志君   宮本   徹君   本村  伸子君   玉城 デニー君

照屋  寛徳君   吉川   元君   青山  雅幸君   赤松  広隆君

井出  庸生君   小川  淳也君   柿沢  未途君   菊田 真紀子君

佐藤  公治君   重徳  和彦君   樽床  伸二君   寺田   学君

中島  克仁君   長島  昭久君   笠   浩史君   鷲尾 英一郎君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あきもと 司君   あべ  俊子君   安倍  晋三君

逢沢  一郎君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   秋本  真利君

麻生  太郎君   穴見  陽一君   甘利   明君   安藤  高夫君

安藤   裕君   井野  俊郎君   井上  信治君   井上  貴博君

井林  辰憲君   伊東  良孝君   伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君

伊藤  達也君   伊吹  文明君   池田  道孝君   池田  佳隆君

石川  昭政君   石崎   徹君   石田  真敏君   石破   茂君

石原  伸晃君   石原  宏高君   泉田  裕彦君   稲田  朋美君

今枝 宗一郎君   今村  雅弘君   岩田  和親君   岩屋   毅君

うえの賢一郎君   上杉 謙太郎君   上野  宏史君   江崎  鐵磨君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君   遠藤  利明君

小倉  將信君   小此木 八郎君   小里  泰弘君   小田原  潔君

小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  朝子君   越智  隆雄君

大岡  敏孝君   大串  正樹君   大隈  和英君   大塚  高司君

大塚   拓君   大西  英男君   大西  宏幸君   大野 敬太郎君

大見   正君   岡下  昌平君   奥野  信亮君   鬼木   誠君

加藤  鮎子君   加藤  寛治君   梶山  弘志君   勝俣  孝明君

門   博文君   門山  宏哲君   金子  俊平君   金子 万寿夫君

金子  恭之君   金田  勝年君   上川  陽子君   神谷   昇君

神山  佐市君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君

河井  克行君   河村  建夫君   神田  憲次君   神田   裕君

菅家  一郎君   木原  誠二君   木原   稔君   木村  次郎君

木村  哲也君   木村  弥生君   城内   実君   黄川田 仁志君

岸   信夫君   岸田  文雄君   北川  知克君   北村  誠吾君

工藤  彰三君   国光 あやの君   熊田  裕通君   小泉 進次郎君

小泉  龍司君   小島  敏文君   小寺  裕雄君   小林  茂樹君

小林  鷹之君   小林  史明君   古賀   篤君   後藤  茂之君

後藤田 正純君   高村  正大君   左藤   章君   佐々木  紀君

佐藤  明男君   佐藤   勉君   佐藤 ゆかり君   斎藤  洋明君

坂井   学君   坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君

塩崎  恭久君   塩谷   立君   繁本   護君   柴山  昌彦君

下村  博文君   白須賀 貴樹君   新谷  正義君   新藤  義孝君

菅   義偉君   菅原  一秀君   杉田  水脈君   鈴木  馨祐君

鈴木  俊一君   鈴木  淳司君   鈴木  貴子君   鈴木  憲和君

鈴木  隼人君   関   芳弘君   薗浦 健太郎君   田所  嘉徳君

田中  和徳君   田中  英之君   田中  良生君   田野瀬 太道君

田畑   毅君   田畑  裕明君   田村  憲久君   平   将明君

高市  早苗君   高木   啓君   高木   毅君   高鳥  修一君

高橋 ひなこ君   竹下   亘君   武井  俊輔君   武田  良太君

武部   新君   武村  展英君   橘  慶一郎君   棚橋  泰文君

谷   公一君   谷川  とむ君   谷川  弥一君   津島   淳君

辻   清人君   土屋  品子君   寺田   稔君  とかしきなおみ君

冨樫  博之君   渡海 紀三朗君   土井   亨君   冨岡   勉君

中曽根 康隆君   中谷   元君   中谷  真一君   中根  一幸君

中村  裕之君   中山  展宏君   中山  泰秀君   永岡  桂子君

長尾   敬君   長坂  康正君   二階  俊博君   丹羽  秀樹君

西田  昭二君   西村  明宏君   西村  康稔君   西銘 恒三郎君

額賀 福志郎君   根本   匠君   根本  幸典君   野田  聖子君

野田   毅君   野中   厚君   葉梨  康弘君   萩生田 光一君

橋本   岳君   馳    浩君   鳩山  二郎君   浜田  靖一君

林   幹雄君   原田  憲治君   原田  義昭君   百武  公親君

平井  卓也君   平口   洋君   平沢  勝栄君   福井   照君

福田  達夫君   福山   守君   藤井 比早之君   藤丸   敏君

藤原   崇君   船田   元君   船橋  利実君   古川   康君

古川  禎久君   古田  圭一君   古屋  圭司君   穂坂   泰君

星野  剛士君   細田  健一君   細田  博之君   堀井   学君

堀内  詔子君   本田  太郎君   牧島 かれん君   松島 みどり君

松野  博一君   松本   純君   松本  剛明君   松本  文明君

松本  洋平君   三浦   靖君   三谷  英弘君   三ッ林 裕巳君

三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君   宮内  秀樹君

宮川  典子君   宮腰  光寛君   宮澤  博行君   宮路  拓馬君

宮下  一郎君   務台  俊介君   宗清  皇一君   村井  英樹君

村上 誠一郎君   望月  義夫君   盛山  正仁君   森   英介君

森山   裕君   八木  哲也君   簗   和生君   山際 大志郎君

山口  俊一君   山口  泰明君   山口   壯君   山下  貴司君

山田  賢司君   山田  美樹君   山本  公一君   山本  幸三君

山本   拓君   山本ともひろ君   山本  有二君   吉川  貴盛君

吉野  正芳君   義家  弘介君   和田  義明君   若宮  健嗣君

渡辺  孝一君   渡辺  博道君   赤羽  一嘉君   井上  義久君

伊佐  進一君   伊藤   渉君   石井  啓一君   石田  祝稔君

稲津   久君   浮島  智子君   江田  康幸君   大口  善徳君

太田  昭宏君   太田  昌孝君   北側  一雄君   國重   徹君

佐藤  茂樹君   佐藤  英道君   斉藤  鉄夫君   高木 美智代君

高木  陽介君   竹内   譲君   遠山  清彦君   富田  茂之君

中野  洋昌君   浜地  雅一君   濱村   進君   古屋  範子君

桝屋  敬悟君   鰐淵  洋子君   足立  康史君   井上  英孝君

浦野  靖人君   遠藤   敬君   串田  誠一君   下地  幹郎君

杉本  和巳君   谷畑   孝君   馬場  伸幸君   丸山  穂高君

森   夏枝君   井上  一徳君   中山  成彬君   細野  豪志君

     ――――◇―――――

 永年在職議員の表彰の件

議長(大島理森君) お諮りいたします。

 本院議員として在職二十五年に達せられました渡海紀三朗君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと思います。

 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。

 表彰文を朗読いたします。

 議員渡海紀三朗君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

 この贈呈方は議長において取り計らいます。

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議長(大島理森君) この際、渡海紀三朗君から発言を求められております。これを許します。渡海紀三朗君。

    〔渡海紀三朗君登壇〕

渡海紀三朗君 このたび、院議をもちまして永年在職議員表彰の栄誉を賜りました。身に余る光栄であります。

 これもひとえに、長きにわたり御支援をいただきました、ふるさと東播磨の皆様、先輩、同僚議員各位、事務所のスタッフ、そして家族の支えがあったればこそであります。

 きょうまで御支援、御指導をいただきました全ての方々に、改めて心より御礼を申し上げます。(拍手)

 振り返れば、父の逝去により、急遽後継者として中選挙区時代の兵庫三区から出馬、初当選を果たしたのは昭和六十一年のことでありました。

 それまで私は父の仕事にかかわったことは全くなく、そんな私の初出馬の公約は、みずからの座右の銘である「最善を尽くす」のみでありました。

 当時初当選を果たした同期生は六十七名でしたが、三十二年が経過し、今も当院に在籍しているのは七名のみとなりました。時の流れを感じずにはいられません。

 院にあっては、決算行政監視委員長、科学技術・イノベーション推進特別委員長、また政府においては、科学技術政務次官、文部科学副大臣、そして第一次福田内閣では文部科学大臣も経験をさせていただきました。現在は、党の政務調査会で、科学技術・イノベーション戦略調査会会長の任にあります。

 この間、私がライフワークとして最も力を注いでまいりましたのは、科学技術の振興であります。

 議員立法としては、科学技術基本法や研究開発力強化法の立法作業に携わり、法制化に取り組みました。また、文部科学大臣時代に、iPS細胞の研究や再生医療の研究促進など、人類の幸福に貢献できる仕事にかかわれたことは大きな喜びであります。

 日本を世界で最もイノベーションに適した国とすべく、これからも全力を尽くしてまいりたいと存じます。

 もう一つ忘れられない大きな出来事が、平成七年にふるさと兵庫を直撃した阪神・淡路大震災です。

 被災者の心に寄り添い、やれることは何でもやる。法律が必要なら新しい法律をつくる。閣法だと時間がかかるなら議員立法で対処する。その後の政治活動において、とても貴重な体験となりました。当時、自社さ連立政権の一員として震災対応に東奔西走した日々が、今も鮮明に思い出されます。

 省みて私は、これまでの政治活動で、その時々の課題に対して常に最善を尽くしてきたつもりではあります。しかし、政治は結果責任を問われます。最善を尽くしたからといって、成果が得られなければ評価も得られません。

 今、日本には内外ともに解決すべき課題が山積しています。それだけに政治の果たすべき役割は非常に大きなものがありますが、残念ながら、国民の間に政治に対する不信感が広がっていることも否めません。

 信頼が得られなければ、政治はメッセージを正しく国民に届けることはできません。一日も早く政治への信頼を回復し、この国の未来への責任を果たすこと、それが国民の負託を受けた我々政治家の責任であると考えます。

 政治改革の実現を目指し、同志とともに奔走した若手議員の時代を思い起こしながら、初心に立ち返り、これからも何事にも最善を尽くすことをお誓いし、謝辞といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

 日程第一 日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日程第二 日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

議長(大島理森君) 日程第一、日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書、日程第二、日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書、右両件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長古屋範子君。

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 日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書及び同報告書

 日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

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    〔古屋範子君登壇〕

古屋範子君 ただいま議題となりました両件につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 両件は、放送法第七十四条第三項の規定に基づき、会計検査院の検査を経て内閣より提出された平成二十四年度及び平成二十五年度の日本放送協会の決算であります。

 まず、平成二十四年度決算について申し上げます。

 一般勘定の経常事業収入は六千五百九十一億円、経常事業支出は六千四百六十九億円であり、差引き経常事業収支差金は百二十一億円となっております。これに経常事業外収支差金等を加え又は差し引いた当期事業収支差金は百九十五億円となっております。

 次に、平成二十五年度決算について申し上げます。

 一般勘定の経常事業収入は六千五百五十二億円、経常事業支出は六千四百九十六億円であり、差引き経常事業収支差金は五十六億円となっております。これに経常事業外収支差金等を加え又は差し引いた当期事業収支差金は百八十二億円となっております。

 両件は、去る十二日、野田総務大臣、日本放送協会会長及び会計検査院からそれぞれ説明を聴取した後、質疑に入り、同日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、平成二十四年度決算は全会一致をもって、平成二十五年度決算は賛成多数をもって、いずれも異議がないものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

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議長(大島理森君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一につき採決いたします。

 本件の委員長の報告は異議がないと決したものであります。本件は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり議決いたしました。

 次に、日程第二につき採決いたします。

 本件の委員長の報告は異議がないと決したものであります。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり議決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣  野田 聖子君


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