衆議院

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第9号 平成30年11月27日(火曜日)

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平成三十年十一月二十七日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第六号

  平成三十年十一月二十七日

    午後一時開議

 第一 サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案(第百九十六回国会、内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 法務大臣山下貴司君不信任決議案(辻元清美君外六名提出)

 検査官任命につき同意を求めるの件

 個人情報保護委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 地方財政審議会委員任命につき同意を求めるの件

 公安審査委員会委員任命につき同意を求めるの件

 中央労働委員会公益委員任命につき同意を求めるの件

 日程第一 サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案(第百九十六回国会、内閣提出)

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)


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    午後一時十七分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

星野剛士君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 辻元清美君外六名提出、法務大臣山下貴司君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 星野剛士君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 法務大臣山下貴司君不信任決議案(辻元清美君外六名提出)

議長(大島理森君) 法務大臣山下貴司君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。山井和則君。

    ―――――――――――――

 法務大臣山下貴司君不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山井和則君登壇〕

山井和則君 私は、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党、自由党、社会民主党・市民連合、この各派を代表して、ただいま議題となりました法務大臣山下貴司君不信任決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。(拍手)

 まず、決議案を朗読いたします。

  本院は、法務大臣山下貴司君を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

以上であります。

 初めにおわびを申し上げますが、喉を少し痛めておりますので、お聞き苦しい点があるかと思いますが、静かに語らせていただきたいと思います。

 山下法務大臣は、入管法改正法案を提出しました。私たちも、外国人労働者の受入れの必要性は認めております。本来、与野党が対立するテーマではないと思います。

 しかし、この法案の内容は、中身はすかすか、問題だらけの白紙委任法案、上限もない青天井法案であります。現状の極めて重大な問題を抱えている外国人技能実習制度をそのままにしつつ、外国人を単なる労働力としてみなし、その暮らしや人権をないがしろにするだけでなく、我が国の労働者の雇用や暮らしを脅かしかねないものです。山下大臣に法務大臣の重責を担わせるわけにはいきません。

 私たちは、愛する日本を人種差別の国にはしたくありません。世界一人間を大切にする国にしたいのです。そのために、何としても入管法改正案の成立は阻止せねばなりません。そのような法案を提出した山下大臣を信任することは到底できません。

 以下、何点かに分けて述べさせていただきます。

 まず、山下大臣不信任の理由の一つ目は、非常に深刻な問題のある外国人技能実習制度を温存し、更に拡大して、外国人の劣悪な処遇を放置、拡大しようとしている点です。

 私は、この間、野党合同ヒアリングなどの機会に、約三十人の外国人技能実習生にお目にかかり、悲惨な状況についてお話をお聞きしました。

 例えば、建設を学ぼうと思って日本に来た技能実習生の方は、知らない間に福島で除染作業をさせられて、非常に危険な仕事だったと訴えておられました。これは完全に人権侵害です。余りにもひどいです。

 また、あるカンボジアの女性の、私が会った実習生の方々は、残業代三百円、一カ月休みなし、朝八時から夜中二時まで働かされ、体を壊して、病院に行きたいと言っても行かせてもらえない、残業代不払いの仕打ちを受けられました。そして、労働組合や弁護士を通じて、三百万円の残業代の不払い分を払うように求めても、全く払ってもらえない。(発言する者あり)そんなやつは絶対だめだと自民党の皆さんがおっしゃっているわけですね。そういう現状を放置し、拡大しようとしているのが今回の法案になっております。

 そして、何よりも、このような現状が詰まった八百八十四人分の手書きの聴取票、こういうものを、きのう、野党の一年生議員の方々も手書きで書いておられました。こういう技能実習生が想像を絶する悲惨な仕打ちを受けている部分が、一部ではありますがあるわけです。この部分をしっかりと認識せねば、新しい制度をつくるわけにはまいりません。

 私が出会った実習生の方々は、日本が好きで、日本政府を信じて来たのに、どうしてこんな仕打ちになるんですかということを非常に嘆いておられました。こういうことを今拡大して、新しい特定技能一号にすることは許されません。

 日本人の労働者にこのような仕打ちをすることは、普通は考えられません。残念ながら、この実態は外国人差別と言わざるを得ないのではないでしょうか。こういう状況を、与野党を超えて、一旦、技能実習生がどういう状況に今置かれているのかを知らねばならないと思っております。

 私が出会った、静岡県の工場で働いておられた中国人の実習生の女性は、職場でいじめに遭いました、仕事を頑張っても認めてもらえない、上司から仕事を与えられず、配置転換の願いも無視され、飛びおり自殺を図りましたとおっしゃっていました。今、うつ病の治療を受けておられます。

 きょうも、ミャンマーの方からの相談がありました。

 三人の、岐阜の縫製工場で働く二十代の女性。朝七時から仕事をして、これは今の話ですよ、今こういう問題が起こっているという話です、朝七時から仕事をして、毎日、仕事が終わるのが晩十時。

 今、警察に言ったらいいよというやじが自民党からありました。しかし、こういう状況が放置されているんです、残念ながら。一人や二人じゃなくて、ここにそのような現状が詰まっているんです。

 これは個別の問題じゃなくて、構造的な、技能実習制度のはらむ問題なんです。そのような問題を放置して、警察に任せとかいろいろおっしゃいますけれども、その元締めは国会じゃないですか。しっかりと外国人の人権を守る最終責任は国会が持たないとだめなんじゃないですか。それが立法府の務めじゃないですか。そんな簡単に警察に言えと言って、警察に言っても状況がよくならないからこういう現状に今残念ながらなっているわけであります。

 話を続けますが……(発言する者あり)その方々を助けましょうとおっしゃったから、そうなんですよ、みんなで一緒に助けようじゃないですか、こういう困っている方々を。与党も野党も関係ありません。日本が好きで日本に来た労働者の方々を一緒に助けて、救おうじゃないですか。そういう話を私はしているんです。

 このミャンマーの三人の女性の方は、休みは月に一回か二回の日曜日、残業は毎月百五十時間から百八十時間、過労死ラインを超えています。労働基準法違反。本給はたった六万円、残業代は時給四百円。日本人だったら三十一万円もらえるはずが、実際には、ミャンマー人だという理由で十二万円しかもらえていない。法律で義務づけられた賃金の半分以下。そして、このことについて苦情を言ったら、雇主は、強制帰国をさせるぞと言うわけです。あんまりじゃないですか。

 私が先日出会った……(発言する者あり)今も、教えてよ、告発しましょうよとおっしゃっているけれども、告発しても残業代が払われないんですよ。そういう現状をどうするのかという議論を抜きにして、新しい制度に進めないじゃないですか。

 人手不足もわかるけれども、安い労働力じゃないんですよ。日本が好きで来られた大切な、一人一人が人間なんです。警察に言いましょう、警察に言いましょうと自民党の方はおっしゃっていますけれども、それが十分に対応できていないから、政治の力でしっかり制度を見直そうとしているんじゃないんですか。技能実習制度の問題点を警察だけに任せるというのは、私は無責任だと思いますよ。

 私が出会った、カンボジアから来られた男性の方は、段ボール工場で仕事をしていて、指を三本切断する大けがを負われました。そして、病院に行けるのかと思ったら、雇用主からは、仕事ができないんだったら帰国しろと言われたと。あんまりではないですか。つまり、労働災害に対しても、余りにも無責任なケースがあるんです。

 このカンボジアの男性は、私が法務委員会で山下法務大臣に質問したときにも、たまたま傍聴に来られました。傍聴の後、国会の廊下でお目にかかったときに、その方は、なくなった三本の指を私に見せながら、自分のことを国会で質問してくれてありがとうございます、私と同じようなけがでほかの外国人労働者が苦しむことがないように、私の話をみんなにしてほしいとおっしゃっておられました。みずから指を失いながら、その被害を公表することにより他の実習生の処遇がよくなるように願っておられる、その実習生の姿に私は頭が下がりました。そして、何度も私に、ありがとうございました、ありがとうございましたとそのカンボジアの男性が頭を下げる姿に、私は胸を締めつけられました。

 私たちは、こういう技能実習生の現状を知る中で、このような非人間的な扱いを放置したまま固定化、拡大化を技能実習制度でしたら、国際問題になる、あるいは日本社会が崩れてしまうのではないかという不安を強く感じます。これは、外国人がかわいそうねという話じゃありません。

 今も自民党から、制度が全然違うとおっしゃったけれども、ある業種では一〇〇%、技能実習制度から特定技能一号に移行するじゃないですか。完全に一体化しているじゃないですか。法案の内容をわかっているんですか。

 外国人がかわいそうだという話じゃなくて、最低賃金割れ、残業させ放題、残業代も払わない、けがをしてもほったらかし、病気になってもほったらかし、こんなことを一部とはいえ技能実習生の方々に許したら、日本の国の品格が私は問われると思います。

 十一月九日の金曜日、一つの裁判の判決が出ました。

 原告の中国人の女性は、セクハラと残業代未払いを三年前から訴えておられました。朝八時から深夜まで農作業が連日行われ、毎晩遅くまで仕事をしていたから、指もぼろぼろになりました。そんな傷まで負いながら仕事をしても、残業代は時給三百円。そして、その三百円の残業代すら払われませんでした。

 今、自民党から、ええっとおっしゃいましたけれども、ええっじゃないんですよ。これが現状なんですよ。法案を採決しようとしているんでしょう。採決しようとしている中で、こういう現状を聞いて、ええっとびっくりしてどうするんですか。そんな現状も知らずに法案を通しているんですか。

 それで、残業代が払われない上に、セクハラも受けられました。受入先から胸やお尻をさわられる、雇用されている側の方々が何とかを露出して歩き回る、きれいだとか結婚してくれとか言い、日常的にその女性の肩やお尻をさわるようになった、シャワーを浴びているときに、シャワー室の外から、一緒にシャワーを浴びたいと言ったり、勝手に部屋に入ってきたこともあるなど、セクハラの被害に日常的にさらされたそうです。

 しかし、裁判ではセクハラについては認定されませんでした。目撃証言が十分でないというような理由だと聞いております。

 この実習の女性は、セクハラはつらくて、農家経営者から体をさわられるなどエスカレートし、耐えられませんでした、監理団体に訴えたけれども対応してくれませんでした、農家と監理団体に責任をとってもらいたい、日本の司法は公正だと信じていますと述べておられましたが、認定されませんでした。

 この方のケースだけではなく、技能実習生の女性の方がセクハラやさまざまな被害を受けているという事例をたくさん聞いております。百万円近い借金を背負ってこられているから、逃げようと思ってもなかなか逃げられないのです。これはもちろん大問題です。被害に遭った人たちから私もヒアリングをしているわけですから、厳しい、悲惨なケースが多いと思います。しかし、存在する現実の話なのです。

 さらに、例えばどういうことが技能実習の現場で起こっていたか。これは少し前の話になりますが、長野県のある地域では過去に次のような事例が問題になりました。

 雇用主の農家の許可がない状況において無断で自転車に乗ることを禁止する、他の研修生あるいは雇用主の農家の家に滞在することを禁止する、大勢で集まり是非を論ずること、無断で研修生間の争いを解決することを禁止する、地区をまたいで行動することを禁止する、仕事又は外出時は赤色の帽子をかぶらなければならないなどの、個人の自由、権利を侵害する決まりで縛られていたケースも過去ありました。

 四年前には、福井県で強制帰国の事件が起こりました。

 二十二歳の中国人の実習生が、異性、男性の家に何回か泊まられました。それが問題だということで、空港に無理やり連れていかれて、強制的に帰国させられそうになりました。何とか、支援団体が強制帰国だけはやめさせてくれということで必死になってとめて、強制帰国は免れました。この後、相手の男性の方と結婚して、今は幸せに暮らしておられます。

 でも、異性の家に泊まったからといって強制帰国させられる、これは許されることなんでしょうか。大人ですよ。注意を受けることはもしかしたらあるのかもしれませんが、それが強制帰国というのはあり得ない話ではないでしょうか。

 また、実習生は妊娠すると強制帰国させられるケースがあるため、妊娠した実習生が泣く泣く中絶したという事例も多く報告されています。

 今、本当にそんなのあるのとおっしゃっているけれども、あるんですよ。あるから問題なんですよ。びっくりしている場合じゃないんですよ。私たちが驚くような、日本人の労働者だったら絶対受けないような差別的取扱いを技能実習生が受けているんですよ。それをそのままにして、拡大していっていいんですか、これ。

 さらに、兵庫県のケースでは、失踪しないようにパスポートを取り上げる。パスポートを取り上げて、逃げられないようにしている、そういうケースすらあります。

 労働基準法違反で、残業代も払われない。しかし、逃げられないようにパスポートを取り上げられる。あるいは、異性の家に泊まったら強制帰国させられる。これは人権侵害ではないでしょうか。人間扱いしていないと言わざるを得ません。

 先日私が会ってお話をお聞きした、中国から来られた三人の外国人の技能実習生は、三人とも労働災害、大きなけがを技能実習でされました。

 一人の方は、レタス農家で作業中に車にひかれ、足を負傷、入院されました。しかし、その入院をされて治療する間、給料も払われなかったということです。

 もうお一人は、建設の解体現場で十二メートルの高いところから落下して、背骨を二本折ってしまわれました。この方も、支援団体とか弁護士さんが相談に乗るまでは、十分な労災補償も受けられず、休職後の補償もなかったそうです。また、事故の際に安全ベルトは装着されておらず、いつもそのような状況で労働していたそうです。

 つまり、日本人だったらしっかりと安全の教育とか安全ベルトがある場合でも、外国人の技能実習生では十分な安全の教育もなく、言葉もわからない中で危険な仕事をさせられる。だから、技能実習生のけがの多くが、仕事を日本で始めて一週間から一カ月以内の大けがが非常に多いんですね。

 もうお一人の方は、カキの養殖の仕事を実習生としてされていました。カキの養殖の仕事は、いかだの上に乗って、針でカキをむいていく作業をされていました。海の上ですから揺れるわけですね、波で。そのような状況の中で、その針が目に刺さってしまった。それで、片目がもう失明寸前になってしまい、光しか見えないという状況で、先日、国会に来られました。

 この技能実習生が大けがをされたその場所では、この方一人、もう一人、ほかの技能実習生も針で目を突いて、目を大けがされた。さらに、もう一人の方は、その職場のいかだから落ちて亡くなってしまった技能実習生もおられたとおっしゃっておられました。

 本来だったら、例えば安全の眼鏡をかけるとか、さまざまな配慮が必要だったのではないかと思いますが、なかなかそういう十分な配慮、外国人だからという理由でされていないんじゃないでしょうか。

 このお三方から、私も、日本についての思いを聞かせていただきました。

 その方々は……(発言する者あり)今も、ルールをつくらなあかんとおっしゃった。だから、私たちは、じっくり時間をかけてルールをつくろうと言っているんですよ。ルール、できていないじゃないですか。今回の法案に、外国人労働者の労働条件を確保する実効性のあるルール、ないですよ。だから、じっくりルールをつくろうと言っているんですよ。

 本来、皆さんもこの話を聞いて、かわいそうだな、ひどいなと思われると思います。もちろん、私が会ったのはひどいケースばかりだとは思います。でも、こういう現状があるんです。

 さらに、これは、運悪くじゃなくて、構造的な問題なんですよ。言葉がしゃべれないから被害を訴えられない。日本の労働基準法なんか知らないんですよ。最賃もわからないんですよ。

 さらに、先ほどの縫製工場の女性の方も、晩の十一時まで仕事をさせられて、これは労基署に言わないとだめだといって、ビデオに撮ったわけですよ、十一時まで仕事をしていますといって。そうしたら、労基署からは、それは仕事なのか自分の服を縫っていたのか判定できないから残業とカウントできませんとなっちゃったんですよ。

 やはり、技能実習生の方が、右も左もわからない日本に来て、言葉も十分わからない、法律も十分わからない。そして、ちょっと苦情を言ったら、ある五十人の会社では、苦情を言った一人の人を見せしめに、すぐ強制帰国させました。そうしたら、残る四十九人は震え上がって、強制帰国させられたら、百万円の借金を背負って来ているけれども、もう家に帰れない。家族や子供も本国にはいる。だから、一人が見せしめで強制帰国させられたら、もうその職場の外国人労働者は、最低賃金を下回ろうが、休みが一カ月なくても、労災に遭おうと、もう我慢して、我慢して、我慢して。やはりこれは私はおかしいと思います。

 そして、その労災の被害を受けた三人の中国人の実習生の方はこうおっしゃっているんです。自分たちも日本が好きで来たんだから、大切に扱ってほしい、日本人と同等に扱ってほしい、そして、けがをしたらちゃんと治療を受けさせてほしい、治療を受けるだけじゃなくて、貧しくて生活に困っているんだから、その間の給料を払ってほしいと訴えられました。

 これは当たり前のことじゃないですか。仕事でけがをして、治療を受けさせてほしい。当たり前じゃないですか。その分、給料も払ってほしい。当たり前じゃないですか。日本人にこんなことしたら、許されませんよ。なぜ、外国人技能実習生だからということで、こういうケースが放置されているんですか。

 ことし一月には、政府の統計をもとに、実習生の労災での死亡の割合が日本全体の二倍となっていたことが報じられました。

 二〇一四年から二〇一六年の三年間で、日本全体の労災死は雇用者十万人当たり一・七人に対して、外国人実習生は十万人当たり三・七人。記事では、なれない日本の労働現場、しかも、労働安全衛生への意識が低い中小企業で働くことが多い上、実習生は日本語での意思疎通がうまくできないとの解説のコメントがありました。まさしくそのとおりです。

 さらに、けがで働けなくなった実習生を強制帰国させるケースもあり、労災隠しは横行しているというふうに警鐘が鳴らされています。

 実習生の訴訟を担当されている方々も、実際には、日本人の二倍どころかもっと多いと。ある方は、実際、技能実習生の労災の割合は日本人の十倍ぐらいに当たるんじゃないかということもおっしゃっておられます。

 外国人技能実習生のヒアリングにお越しをいただいたお一人から、本当に切実な気持ちを記された手紙をいただきました。ベトナムから来られた方であります。ぜひ国会の皆さんにこれを知ってほしいということで手紙を託されましたので、ベトナムの方の手紙なのでちょっと日本語が不十分なところがあるんですけれども、簡単に読み上げさせていただきます。

 実習生の悩みを国会にお送りします。

 実は、ベトナムにいるとき、日本はいい国だと思っていました。例えば、文化がいいし、科学技術がいいし、経済がいいし、給料も高いと思い、それで技能実習生として日本に来ることが決まったのです。

 二〇一五年、来日する私の希望は、専門技術を勉強したくて、お金を稼ぎたかったのです。将来、帰国したら、専門技術と貯金を持って帰って、生活がちょっと楽になりたいです。

 日本に来てから、契約書による専門仕事を全然させてもらえないです。除染をさせられたりしました。また、いろいろ仕事をさせられました。例えば、苦労仕事、危険仕事、汚い仕事をさせられた。専門技術を教えてもらうことが全然ありませんです。かえって安い給料を支給してもらうだけです。こんなにやって、契約書に違反したんだと思います。これまで三年間たったが、専門技術を勉強できなくて、貯金もできなくて、本当に心配し、今、帰国して、何かやるかなと悩んでいます。

 三年間日本にいて、もったいなかったなと思っています。日本はいい国だと思っていて、人生もいいし、科学もいいし、経済もいいし。私の運が悪くて悪い会社に当たったので、技術を勉強できなかって残念でした。それで、できれば私たちの期限、技能実習生にやり直させていただくよう、お願いします。

 なお、技能実習制度に対して、できれば見直しをお願いできますか。技能実習生は、日本のことなら、実習生たちに専門技術を教えてあげてほしいのです。もっとも、実習生たちは、来日してから単純に労働させられるだけなら、現在低い、意識してもらうのは、実習生たちの生活に対してちょっと大変です。

 よろしくお願いします。どうもありがとうございます。

 私の日本語、まだ下手くそで、どこか間違いがあれば、許させていただきます。

 もう一つあります。ふるさとに、私たちは家族の支えが必要です。こんな支給してもらうのが困るになりました。本当によろしくお願いします。どうもありがとうございます。

 福島で除染をさせられたベトナム人の実習生からの手紙でありました。

 このように、実習生の方々の中には、ひどい労働環境、生活環境に置かれている方が多いですが、なぜそれを受け入れねばならないのか。それは、母国に戻りたくても、実習生として日本に来ることを選択した時点でブローカーや仲介業者などに多額のお金を支払ってしまい、多額の借金を抱えているケースがあるからです。

 以上、一つ目は、非常に深刻な問題のある技能実習制度を温存し、更に拡大して、外国人の劣悪な状況を放置、助長しようとしている点、これが山下法務大臣不信任の一つ目の理由であります。

 そして、山下法務大臣不信任の理由の二つ目は、その実習生との面会を拒否し、実態把握に乗り出そうとしない点です。

 これまで述べた技能実習生の問題は、私は直接会ってお話を聞かせていただきました。やはり、山下大臣、直接会って話をされることが大事だと思います。やはり、間接的なヒアリングでは、間に入った人の解釈や、お話を聞く人の偏りなども出てしまうからであります。後で述べますが、聴取票の問題でさえ、法務省でさえ情報をねじ曲げて捏造をしたのではないかというリスクもあるからです。

 私たちは、この本会議場で、先日、技能実習生の方々が傍聴されている中で安倍総理に、ぜひ直接技能実習生の方々の置かれている状況の話を聞いてほしいと階議員から切にお願いをしましたが、安倍総理は、担当の役所で対応すべきと冷たい答弁でありました。

 また、最賃違反、労災、残業代不払い、労働基準法違反は、これは厚生労働委員会ですから、厚生労働委員会でも、傍聴に来られた先ほどの三人の労災を受けた実習生の方々を前に、私は根本厚生労働大臣に、ぜひ直接会って話を聞いていただきたいということをお願いしましたが、拒否をされました。

 そして、先週水曜日、技能実習生の方々が約十人傍聴に来られ、先ほど申し上げた、段ボール工場で指を三本切断するという大けがを負われたカンボジアの男性も来られて、その方々の前で質問をさせていただいて、ぜひとも、山下法務大臣に、直接会って話をお聞きいただきたいというお願いをしました。しかし、山下大臣は拒否をされました。

 いや、別に、何をしてくれという制度改正のことを一足飛びに言っているんじゃなくて、こういう現状があるわけですよ。本来は安倍総理が会うべきですよ。だけれども、安倍総理が逃げて、会わずに、担当官庁でと言うから、担当官庁のトップは山下大臣じゃないですか。法務大臣って人権侵害をなくす責任者じゃないんですか。おまけに、これは単なる人権侵害じゃなくて、外国人差別ですよ。国際問題にもなりますよ。

 私、ちょっと問題があると思うのは、野党が必死で、ヒアリングで実習生の方々三十人の生の訴えを聞いて、書き写しをして、でも、法務大臣や自民党の方々はそのような現実に余り今までから接したことないんじゃないんですか。だから、さっきから、ええっとか、ルールをつくったらいいじゃないかとか、警察に言ったらいいじゃないかとかおっしゃっているけれども、やはりこれは現実なんですよ。

 山下大臣、なぜ拒否されるんですか。やはり会うべきだと思いますよ。

 私自身も、恥ずかしながら、技能実習生の方々の劣悪な処遇、わかっていないところがありました。今回の法案のことで多くの方と会って、こんなにひどかったのかと、私も自分の無知を反省させられたこともあります。

 でも、少なくとも、山下大臣、責任者なんですから。もっと言えば、野党の議員が技能実習生に会う前に、いち早く、法案をつくる際に、提出する際に、会って、現状はどうなんですかと率先垂範して技能実習生の状況を把握する責任が山下大臣にはあるんじゃないんですか。

 これは与党も野党も関係なく、現状把握なくして対応策というのは決められないんです。肝心の山下大臣が技能実習生の劣悪な処遇の話を直接聞くのを逃げていて、そんなことは許されません。

 不信任の理由の二つ目は、このように実習生との面会を拒否し、実態把握に乗り出そうとしない、その点であります。

 次に、不信任の理由の三つ目は、失踪した外国人技能実習生の聴取票のデータを隠蔽、改ざんした点です。

 最初に申し上げますが、これは失踪という言葉は不適切です。緊急避難です。その理由はこれからも言っていきます。

 法務省は聞き取り調査を行っているけれども、まとめ結果は非常に不十分で、私たちは、これは法務省がまとめた資料にはうそがあるんじゃないかと最初から疑っていました。やはりそうだったじゃないですか。

 資料が出てきたら、びっくり仰天です。失踪理由として、より高い賃金を求めてということが書いてありましたけれども、そんな調査項目はなかったじゃないですか。改ざんじゃないですか。捏造じゃないですか。そんなことを法務省がしていいんですか。

 失踪理由として低賃金を挙げた人が六七%でしたが、実際には、八七%と二〇%も水増し。それを人為的なミスと説明していますが、これは単なるミスではありません。明らかな情報操作、改ざんです。

 政府は、より高い賃金を求めた失踪が約八七%とまとめていました。しかし、調査票には、低賃金、低賃金(契約賃金以下)、低賃金(最低賃金以下)という三つの選択肢しかないじゃないですか。より高い賃金を求めてなんて調査項目はないんですよ。ひどいじゃないですか。

 安倍総理や山下大臣は、間違った数字をもとに本会議や予算委員会でたびたび答弁し、あたかも技能実習制度が、より高い賃金を求めて、ぜいたくをして失踪したかのような誤解を生む答弁を繰り返しました。

 山下大臣は、より高い賃金を求めて失踪した者が八六%と公言されていましたが、この点については謝罪はされたものの、国会審議を行う前提条件が根幹からひっくり返ったのではないでしょうか。ケアレスミスでは済まない、データの改ざん、フェークニュース、フェークレポートです。法務省を挙げて完全な総括、検証を行い、真におわびをするなら、入管法改正案を、一旦審議を凍結するのが筋ではないでしょうか。

 以上、山下大臣不信任の三つ目の理由は、この聴取票のデータの隠蔽、改ざんです。

 そして、四つ目の不信任の理由は、その聴取票でさまざまな実習生への人権侵害を把握しながら放置した件です。

 そして、失踪した実習生の方で、入国管理局で発見した方についても、状況を聞き取った聴取票について開示を求めたところ、結局、法務委員や国会議員のみんなが手書きで写せということになりました。

 この実態を見れば、残念ながらどんな状態かというものが一目瞭然なのですが、山下大臣、なぜ手書きがオーケーで、コピーをさせてくれないんですか。山下大臣がコピーオーケーと言えば、コピーできるんですよ。これは審議妨害じゃないですか。審議の邪魔するのはやめてください。

 人権侵害のある技能実習生の現状把握するのは国会議員の責務なんです。本来業務なんです。私たちは、日本人であれ外国人であれ、人間の尊厳を守るために仕事をしているんですよ。その仕事を妨害するようなことを、なぜ、山下大臣、するんですか。なぜ、コピーしたらだめなんですか。なぜ、野党の議員がみんな腱鞘炎になりながら八百八十四枚も手書きしているんですか。

 自民党の皆さんでもおかしいと思いませんか。コピーしたら、自民党の皆さんも読めますよ。やはり、どういう状況か、皆さんもお知りになりたいんじゃないんですか。

 私は二時間で十二人分しか書き写しできませんでしたが、それらについて少し御紹介します。

 中国人の女性。一年七カ月日本に滞在し、婦人子供服製造で働いておられました。七十万円を送り出し機関に支払われました。そして、入国前の説明では十六万円の月給だったということですけれども、来てみたら六万円から十万円、そのうち五万円は控除ということです。労働時間は六十時間。つまり、最低賃金割れなんです。月八十時間の残業で、最賃割れ。そして失踪して、こん包の、せめて日給一万円の、最賃のところに移った。

 つまり、違法な労働状況から逃げて、せめて合法な最賃がもらえるところに移った。これは、失踪というより緊急避難なんじゃないんですか。失踪というと、失踪した方が悪いというふうに思われがちですけれども、これは緊急避難じゃないですか。

 フィリピンの男性、建設作業の方。月七万円月給、しかし、入国前の説明では十五万円でした。七十二時間労働、これも最賃割れです。かつ、月百二十時間の、過労死ライン超えの残業。にもかかわらず、この資料には低賃金というマークもついていないんですね。過労死ライン超えで百二十時間残業しても、長時間労働というマークすらついていない。

 つまり、この一つ一つを見れば、どういう状況かがわかるんです。十五万円という月給と言われて来たのに、来たら七万円しかもらえなかった。そのうち、控除されるのが五万円。このままでは帰れない、借金返せない、最賃割れだ。おまけに、暴力を振るわれています、この方は。

 こういう資料が二千八百枚。ここが八百八十四枚ですから、あと二千枚あるんですよ、あと二千枚も。

 でも、私たちは、書き写せと言われているから、十一月二十一日の時点では百八十四枚、昨日も手分けをして手書きをしたら、八百八十四枚でした。その内訳は、何と、最低賃金を超えるのが百二十一人、一四%。つまり、八六%が最賃割れなんですよ。さらに、過労死ラインを超える月八十時間以上の残業が九十五人、一割以上でした。

 そして、幾つかこの中、さらっと。皆さん、二十万円と言われて来たけれども七万円しかもらえなかった、婚姻を認めてもらえなかった、百六十万円の借金があるなど、さまざまな事例があります。こういう現実です。

 低賃金が理由というより、違法な最賃割れ。そして、半額ぐらいの、最賃以下の給料しかもらえない、契約と違う。最賃以下なのに、最賃以下という調査項目にはほとんど丸がついていないんですよ。この調査自体が間違っているんです、申しわけありませんけれども。そういうことが明らかになるから、コピーをしてほしくないんじゃないんですか。

 改めて申し上げます。技能実習生の置かれている状況を把握することから、一からやり直すべきじゃありませんか、山下大臣。

 つまり、話は簡単で、より高い賃金を求めて失踪ということじゃなくて、違法な状況だから緊急避難せざるを得なかった方が多いんじゃないんですか。ということは、最低賃金を守らせたら、契約の賃金を守らせたら、失踪する人は大幅に減るんじゃないんですか。その是正する責任は、技能実習生にあるんじゃなくて、日本政府と法務省にあるんじゃないんですか。

 外国人労働者だから最賃を守らなくてよい、セクハラしてもいい、過労死ラインを超えてもいい、深夜まで働かせてもいい、そんなことが許されるんですか。外国人労働者だからといって労働安全の教育をしなくていい、これは差別じゃないですか。

 日本人の労働条件も、これでは下がっていきます。今お話ししている話は、外国人の話ではありません。こんなことを許したら、日本人の労働条件も悪くなります。日本人の賃金も上がらなくなります。

 考えてみてください。最低賃金で日本人は働く。当たり前ですよ、法治国家ですから。しかし、一方では、時給四百円で、週に一日の休みもなく、月に一日の休みで働いてくれる外国人がいたら、どうしても経営者の人は実習生を雇ってしまうかもしれませんよ。でも、そんなことをしたら、日本社会のモラルが低下し、日本社会が壊れていってしまいます。その意味では、強く、人ごとではなく日本の労働者の問題であるということを申し上げたいと思います。

 以上が、山下大臣不信任の理由の四つ目の、その聴取票でさまざまな外国人技能実習生への人権侵害を把握しながら放置している点であります。

 次に、山下法務大臣不信任の五つ目の理由は、上限のない、無責任な、青天井な法案を提出した点です。

 今回の外国人労働者の受入れは、見込みとして五年間で三十四万人という説明でありました。安倍総理は、この見込みは上限と答弁をされました。だから、新聞でも、三十四万人上限という見出しが躍りました。総理の答弁を受けて、三十四万人上限という新聞やテレビの報道がされたわけです。しかし、山下大臣は、三十四万人は上限ではない、この法案には受入れ人数の上限はないと答弁をされました。

 閣内不一致でありますし、これは、安倍総理は国民をだましたということですか、それとも新聞報道が誤報なのですか。

 私は、新聞報道が間違っているとは当然思いません。結局、安倍総理が上限にするとこの本会議場で答弁されたから、そうなっているんです。しかし、この三十四万人は、昨日の答弁で、上限ではないということが明らかになりました。

 さらに、この三十四万人の見込みですが、これは外国人労働者を受け入れる十四業種について各省が計算した結果ですが、その計算の中に、ほとんどの業種が、生産性向上や労働効率化として一%という数字が使われています。一%生産性が向上し、効率化する、そういうことであります。しかし、これは本当に、一%というのは単なる見込みの数にすぎないんですね。

 例えば、皆さん、この生産性向上や効率化がもし一%でなく二%に今後五年間でなったら、どうなるでしょうか。そうすれば、十四業種のうち九つの業種、つまり、航空、農業、漁業、電気電子情報関連産業、船舶、建設、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業で外国人労働者を受け入れる必要がなくなるんです。つまり、これだけアバウトな試算なわけであります。

 つまり、生産性向上や労働効率化が順調に進めば、実際には人手不足にはならないんです。にもかかわらず、一%という見込みの数字で多くの外国人労働者を受け入れてしまえば、実際には人手不足にならないのに外国人労働者を受け入れてしまって、結果的に日本人の雇用が奪われる危険性もあります。

 法案審議の中で、結局、何かきょう採決をしたいとか、そういうことになっているということを与党が主張しているらしいですけれども、この期に及んでも、上限が五十万人なのか百万人なのか、さっぱりわからないんですよ。何を審議するんですか。

 おまけに、今言った数字の、生産性が一%というのは、安倍政権では、生産性向上二%を目指すということを言っているんですね、安倍政権が。そうしたら、結局、そことも合わないということであります。

 例えば、外国人労働者を多数受け入れている韓国の調査では、外国人労働者の割合が一%増加すると、国内の労働者の賃金が〇・二%から一・一%減少することが報告されています。

 つまり、いいかげんな数字で受け入れて、生産性向上や効率化が進んで、一%じゃなくて、安倍政権が掲げる二%効率化ができたら、人を入れ過ぎて余ってしまうことになります。そうしたら、日本人の労働者の賃金が下がったり、雇用が奪われたり、重大な問題が発生します。私は、外国人労働者を責めるのではありません。見通しがいいかげんだということを言っているんですよ。こんないいかげんな青天井の法案で受け入れ過ぎたら、日本人の雇用にも悪影響が及びます。

 さらに、業種も法案に明記されていません。十四業種と言われていますが、法案に書かれていませんから、二十でも五十でも百でも、国会審議を経ずにふやすことができます。もちろん、十四業種で今三十四万人と言っているんですから、二十業種にふえたら、五十万人にも百万人にもふえます。それを、国会審議も経ずに自由にふやしていくことができます。

 昨日の予算委員会質疑でも、法的には上限がない上に、安倍総理が上限と言う人数も、公表された三十四万人ではなく、何と法案が成立した後に運用指針で発表される新しい数字が上限だというんですよ。法案審議の最中には上限はない、法案審議が終わってから上限が発表される。こんなでたらめな法案、審議の前提が崩れているんじゃないんですか。

 自民党の皆さんにお聞きしたいですけれども、皆さん、これは何人受け入れるつもりなんですか。今、全くこれは白紙なんですよ、法律には。五十万人でも百万人でもいいんですか。自民党は、そういう何万人受け入れるかも全く法案になくて、法案審査、通るんですか。

 介護や農業の現場からは通してくれと言われている、もちろん、私自身もそういう声を聞いております。しかし、通せと言われているから青天井で通していいという話じゃないんじゃないんですか。何人不足しているんですか。人手不足だから、はい、ふやします、それは国会じゃないんですよ。そのことによって、外国人と日本人が共生できるのか、来ていただいた外国人に日本を好きになってもらえるのか、医療保険、年金、全てに影響が及びます。日本語教育、学校、保育園の受入れ、幾ら予算がかかるんですか。それによって、責任の持てる、日本人が大切に対応できる、日本を好きになってもらえる範囲で、上限を決めて受け入れるのが筋というものじゃないでしょうか。

 人手不足だから受け入れたい、東京オリンピックまでは人手不足、東京オリンピックが終わったら、はい、帰ってください。物じゃないんですよ、人間なんですよ。何より、一番大切な国民の理解は、このような状況では得られません。

 以上が、不信任の理由の五つ目の、上限のない、無責任な青天井法案を山下大臣が提出したというのが不信任の理由であります。

 さらに、山下大臣不信任の理由、六つ目は、日本人の賃金が上がりにくくなることや雇用喪失という問題を放置しようとしている点です。

 今述べましたが、十四業種のうち、ほとんどの業種で、もし、安倍総理が昨年の選挙公約で挙げた数字、生産性向上二%なんですよ、安倍総理が総選挙でした公約が二%生産性向上なんですよ、これが実現できたら、ほとんどの業種で外国人労働者は必要なくなるんですよ。この矛盾はどう考えるんですか。

 そして、外国人労働者が帰国せざるを得ない場合についての対応も全く吟味がされておりません。

 例えば、オリンピック・パラリンピックが終了したら、景気後退のリスクが高まります。そのとき、外国人労働者の方をどう自民党の方はされるんですか。帰ってくださいと言うんですか。雇用の調整弁にするわけにはいきませんよ。そんな簡単なものじゃありませんよ。リーマン・ショックに相当する不況あるいは人手不足の解消などにより契約が打ち切られた外国人労働者はどうしたらよいのか。

 私が提出した質問主意書の答弁では、次の回答が返ってきました。

 本邦の公私の機関との雇用に関する契約を解除された場合でも、他の就労先を確保するなどした上で、在留資格の変更の許可を受けた場合には、これらの在留資格に応じた活動を行うことが可能であるが、これらの在留資格をもって在留する外国人が、当該活動を継続して三カ月以上行わず在留している場合には、そのことについて正当な理由がある場合を除き、法務大臣は、在留資格の取消しを行うことがとあり、つまり、不況が来た、解雇しますと言われてから三カ月はいられるんですけれども、それ以降は帰国せよということなんですね。

 でも、海外の事例でわかるように、帰国はされない方が多いですよ。

 今回の制度では転職も可能となっていますが、雇用が失われても、ある程度の空白期間は許容され、転職活動する時間も確保されるんでしょうか。雇用保険の支給、ハローワークでの支援体制。ハローワークに行けば、中国語、ベトナム語、カンボジア語、ミャンマー語、しゃべれる人が、就職の相談に乗ってもらえるとは到底思えません。

 さらに、帰国しなければならない労働者が拒否をする可能性も見込まれますが、強制的に送り返すんですか。日本しか知らない子供も同様であり、人道的な措置はとられないんでしょうか。山下法務大臣、この点、どうされるんですか。

 さらに、法務省の管理から逃れ、国内に不法在留する外国人が激増したらどうするんですか。昨年も七千人失踪されておられますし、今まで約七万人の外国人が行方不明になっておられます。治安の悪化を始め、国民生活への重大な影響が広がりかねません。

 今、自民党から、だからどうするんだよとおっしゃいましたけれども、そのお言葉をあなたにお返ししたいんですよ。どうするんですか、その場合。この法案には何にも書いてないんですよ。

議長(大島理森君) 山井君に申し上げます。

 不規則発言に対してお応えするより、みずからの趣旨弁明を続けてください。

山井和則君(続) 以上が、不信任の理由の六つ目の、日本人の賃金が上がりにくくなることや雇用喪失を放置しようとしている点、これが山下大臣の不信任の理由であります。

 私も、原稿を読みながら、余りにも自民党の方々のやじのレベルの低さに本当にびっくり仰天をしております。採決しようとおっしゃっているのは与党なんですよね。今から審議に入るんじゃないんですよ。私たちは審議をやり直そうとしているんですからね。

 結局、さらに、どういうことが起こるか。例えば、三十四万人というふうに上限を決めても、どんどんふやしてくれと、それは日本人よりはるかに安いんですから、そういう業界の要望が来ますよ。例えば、これから業界団体は、自民党のパーティー券を買うとか、自民党議員に献金するとか、選挙応援するとか、これだけやったんですから、何とか私たちの枠を広げてくださいなんてことにもなりかねないんじゃないんですか。

 山下大臣、今回、だから法律で上限をつけるべきだと言っているんですよ。こういうのを政治的配慮が入る余地のある青天井の法案にすると、そういう疑念を招きかねないんです。

 大体、今回の法案審議もそうでしょう。参議院選挙があるから、業界から要望を受けているから参議院選挙対策に法案を早く通さねばならない。今の時点でこんなことを言っているんですから、今後、さまざまな業種で人手不足になってきたら、それは、頼みます、頼みますと業界の人は自民党に日参しますよ、献金しますよ、選挙応援しますよ。そういうことをやったら、これは国を滅ぼすことになります。

 だから、この法案の恐ろしい一面は、外国人労働者の受入れを利権化しかねない法案だということなんですよ。絶対、利権化させたらだめなんですよ。野党が主張しているように、客観的な基準で、合理的な判断で、地域別、業界別の受入れ人数の上限を政治的配慮、政治的圧力抜きに決めるべきじゃないでしょうか。こんな技能実習生や外国人労働者を利権にしたら、本当に私は日本の国は潰れてしまうと思います。

 山下大臣不信任の七つ目の理由は、海外の移民の状況から学ぼうとしない点です。

 少し、私自身の海外での、政治難民、移民の方々、外国人労働者の方々と約三年間ともに過ごしましたので、その経験を踏まえて、山下大臣の不信任の理由とこの法案の問題点を兼ねて、お話をしたいと思います。

 私は、一九九〇年代の初め、スウェーデンに二年間滞在し、介護を始めとする社会保障について学んだ経験があります。

 そのとき、大学の学生寮やスウェーデン語学校、国民高等学校の学生寮などで、イラク、カンボジア、クルド、ソマリア、アフガニスタンなどから来ていた政治難民や留学生の若者と同じ寮で暮らし、同じクラスで学び、交流する機会が二年ぐらいありました。

 一例を申し上げます。

 私が同じ寮に住んでいた、ファン君という十八歳のミャンマー人の青年がいました。とても優しい青年でした。ファン君がある日の夜中、突然、学生寮の壁に打ちつけて、泣き叫び出しました。みんなから、どうしたんだ、どうしたんだといってなだめに行ったら、ファン君はこう言っていたんですね。俺は何人なんだ、俺は何人なんだ、一体と言って、泣きながら壁をたたいていました。

 彼が言うには、ミャンマー人の両親から、一緒にスウェーデンに来て、スウェーデンで生まれた彼にとっては、ミャンマー人の友人、知人からは、あなたはスウェーデン人だろうと言われ、スウェーデン人からは、あなたはミャンマー人だと言われ、そのはざまで非常につらい思いをしていたと言います。

 このようなこともあって、技能実習生や外国人労働者、また、その家族の帯同やお子さんの問題、こういうことはじっくり十分な支援体制を整える必要があると思いますが、昨日の法案審議でも、全く、そのような支援体制については法案が成立してから考えるという、無責任この上ない答弁でありました。

 また、私が通っていたスウェーデン語の語学学校では、さまざまな国の学生さんたちが、文化の行き違いなどによってけんかになったり、いろいろな騒動が起こったりして、私が受けていたスウェーデン語の授業も、そういう政治難民の方々が急にけんかをし出したりして、椅子を投げたりして、学級崩壊する、そういう現場にも、私自身、痛感をしました。

 これは、何人がいいということではなく、多文化が共生していくためには、さまざまな配慮、制度が必要であります。

 さらに、私は子供の貧困問題をライフワークとしておりますが、外国人労働者の貧しい子供の問題も、今、日本じゅうでふえています。

 例えば、最近私が訪問した子供食堂では、既に子供食堂に多くの外国人の子供たちが集まるようになっています。肌の色の違う外国人の子供たちが、朝昼晩、御飯食べてない、おなか減ったと言って子供食堂に来る姿を見て、親はどういう仕事をしているんだろう、どういう家庭環境なんだろうと私もいろいろ想像をしましたが、こういう子供食堂にも外国人の子供が今ふえているんです。

 今回の法改正によって外国人の子供たちをどう幸せにしていこうかという観点は、十分には入っておりません。

 さらに、私が訪問した、ある地域の低所得世帯向けの子供の学習教室に行きました。ボランティアの方々が、小学生、中学生、高校生の子供に勉強を教えていたんですね。でも、私もはっと思いました。その低所得者向けの学習教室に来ている子供たちの約半数が、やはり外国人の両親か、一人の親が外国人か、そういう子供たちだったんですね。

 何を申し上げたいのか。外国人労働者を受け入れるという問題は、単に労働力を受け入れるという問題ではなく、その家族、そのお子さんたちがどういう教育を受けて、どういう人生を歩むのか、そこまでこれは責任を持って取り組む、その覚悟が当然求められると思います。

 しかし、口では移民でないと言いながら、事実上の移民政策を強行する、こういう姿勢からは、今後入ってくる外国人の子供たちを、愛を持って、十分な教育や社会保障、生活環境でもって受け入れるという視点が今回の法案にはありませんし、一番そのような人権の配慮をすべき大臣が、本来は、山下大臣、あなたなのではないでしょうか。そのような外国人の子供たちに対する配慮も全く十分でない法案を強行するなんということは、法務大臣としてあるまじきことであります。

 私が二年間留学したスウェーデンでは、外国人へのスウェーデン語教育にも力を入れるほか、八百数十万人の人口のうち百万人以上が政治難民や移民を受け入れてくる、多文化共生のモデルの国と言われております。そんなスウェーデンの地域でも、政治難民や移民の地域ができて、さまざまな地域とのあつれきが生まれている。その現実を私も、今でも三年に一遍か二年に一遍スウェーデンに行っておりますけれども、残念ながら、外国人、政治難民や移民の方々とのあつれきというのは大きな問題になっております。

 また、先ほど、介護の問題の話がありました。

 私も、議員になる前は介護の研究者、高齢者福祉の研究者でしたけれども、一年間、一九九〇年前後に、スウェーデン、デンマーク、イギリス、アメリカ、シンガポールの老人ホームで、外国人労働者の方々と一緒にボランティアで実習をさせていただいたという経験があります。

 介護現場に多くの移民や外国人労働者を受け入れると何が起こるか。私は、一年間、イギリスの老人ホーム、シンガポールの老人ホーム、スウェーデンの老人ホーム、アメリカの老人ホームで実際に一緒に働いてきました。そこでわかったことは、介護現場に多くの難民や外国人労働者を受け入れると、賃金が上がりにくくなります。そして、その国の自国民が介護職につきにくくなります。そうなると、移民や外国人労働者を幾ら受け入れても、本来のその国の国民が介護から離れていってしまったら、ますます人手不足が悪化するという悪循環になりかねないんですね。

 例えば、アメリカでは、メキシコ人やフィリピン人が介護の多くを担っていました。シンガポールでは、スリランカ人やフィリピン人がシンガポール人の介護を担っていました。

 例えば、当時、シンガポールでは、シンガポール人の月給が月八万円、フィリピン人が四万円、スリランカ人が二万円ということで、その結果、シンガポールでは、多くの老人ホームは、フィリピン人とスリランカ人が働いていました。私も、日本人として、一緒にお年寄りの介護をさせてもらいました。

 しかし、私は、あるとき、あれっと思ったんですね。シンガポールのお年寄りって、よく考えたら、中国系ですから、英語がしゃべれないんですよ。ところが、スリランカとフィリピンから来ている介護の職員というのは、中国語をしゃべれないんですよ。よく考えたら、これはコミュニケーションできているのかなと。

 あるとき、そのスリランカ人とフィリピン人の介護職員に、コミュニケーションどうしているのと聞いたら、スリランカ人とフィリピン人の介護職員は、いいの、いいの、コミュニケーションはと。食事を食べさせて、シャワーを浴びさせて、トイレに連れていくだけだから、言葉は通じなくていいの、こう言っていたんですね。

 でも、私は、高齢者福祉の研究者として、一瞬、ちょっと考え込んでしまいました。やはり言葉が十分に通じた方がコミュニケーションもいい。もちろん、私は、日本に今来られている外国からの実習生の方々は、すばらしい愛情を持って、すばらしい介護をされているということはわかっております。しかし、何分、思い出話、日本の料理の話、近所の話、世間話、いろいろな話が、なかなかそれは外国人だったら通じません。

 やはりそういう意味では、抑制的に入れていかないと、どんどんどんどん、人手が足りないから外国人に任せればいいということでは、私たちの親の世代、高齢者の世代を介護するということは、基本的には私たちが責任を持つという大原則は崩すべきではないと思っております。

 人手不足が顕在化し、賃金が低いことが問題となっている介護に関して、もちろん外国人を受け入れることは必要です。しかし、それをやり過ぎると、短期的には人手不足が改善するように見えるかもしれませんが、今回の試算でも、山下大臣、入っていないのは、外国人を受け入れて、日本人が今までどおり就職してくれるとは限りません。外国人を入れれば入れるほど、残念ながら、建設であれ、農業であれ、介護であれ、その業種の賃金が上がりにくくなって、日本の有為な若者がその分野を敬遠するリスクというのがやはりあるんです、これは。

 ですから、外国人労働者を受け入れることに私たちも反対はしませんけれども、同時に、給料を上げる、休日をふやす、労働条件をよくする、明るい職場にしていく、そういうふうに、今の三Kと言われている仕事を、より明るく、賃金がよく、休暇もとれて、いい職場にしていくこととセットでやらないと、そういうものをないがしろにして、ただ単に外国人労働者を受け入れるということにすると、これは大きな禍根を残すのではないでしょうか。

 例えば、来年十月からは、介護職員や障害福祉職員の賃金引上げが数千円。二千億円の財源で、一人当たり月数千円ぐらい予定されていると聞いておりますけれども、それでは全く不十分であります。

 今、この場で申し上げておきます。

 安易に外国人をふやせば人手不足が解消するということは、全く違います。労働条件を上げなければ、その産業自体が日本人から魅力のない職場になって衰退してしまいます。このことは、しっかりと車の両輪としてやっていかねばなりません。そのような視点が、今の法案には全くありません。

 そして、昨今の国際情勢を見れば、トランプ大統領の移民排斥の言動、ことし九月のスウェーデンの総選挙においても、移民大量流入が膨大な社会コストと社会のひずみをもたらしていると主張している、反移民を掲げるネオナチの系譜を受け継ぐ極右政党がスウェーデンでもことし九月の選挙で大躍進をし、内閣は退陣することになりました。

 私もスウェーデンに二年以上いましたから、第二の母国だと思っていますが、世界一移民や難民に寛容だと言われていた、八百数十万人の人口、百数十万人が政治難民や移民を受け入れてきたそのスウェーデンでさえ、最も外国人に寛容な国と言われているスウェーデンでさえ、今の総選挙では移民排斥の政党が一番躍進して政権が倒れる、こういう現実になってしまっているんです。これは、本当に深刻な、歴然たる悲しい現実です。社会保障予算が自国民より外国人に使われる、外国人の地域の治安が悪い、こういうことがスウェーデンでも国政選挙の争点になってしまったんです。

 そういう意味では、外国人労働者の受入れ拡大に関しては、どうやってしっかりと外国人の方々を大切に私たちが支えていくかということをきっちりやらないと、これは大変なことになると思っております。

 さらに、ドイツでもそうです。十月のドイツの地方選挙でも、移民による治安の悪化やドイツ人労働者賃金の低下、ここですよ、移民がふえたからドイツ人の労働者の賃金が下がったというのが今回のドイツの地方選挙の争点になった。さらに、雇用が奪われたということが争点になった。その懸念を背景にした反移民政党が躍進したことによって、あのメルケル首相が党首を辞任することになったんです。

 今回の法案、三年、五年のタームで考えるものじゃないですよ。スウェーデンも、政治難民を受け入れ出して五十年たって、残念ながら、今のさまざまな問題で国内が混乱し出しているんです。うまくいっている部分もたくさんあります、スウェーデンは。すばらしい国であります。しかし、今回の法案の後、例えば、五年後三十四万人ですか。じゃ、十年後は百万人ですか。二十年後は三百万人ですか。今回の法案は、そのスタートラインを押すことになるんです。最初の制度設計がいいかげんだと、後世に大きな禍根を残すんじゃないでしょうか。

 繰り返し言います。

 この法案には上限は書かれていません。百万人でも一千万人でも外国人労働者を受け入れることができます。

 さらに、技能一号の五年、これも法案には書かれていません。技能一号の上限を、五年たって、人手不足だからといって業界から要望が来たら、国会審議を経ず、五年でも十年でも二十年でも延ばすことが可能なんですよ。

 業種も、今は十四と言っている。でも、人手不足がどんどん加速したら、百にも二百にも。

 労働者派遣法もそうじゃないですか。最初は、一時的、臨時的、代替のきかない専門業種だけといって、結局、数年前に強行採決されたときには、全ての業務に労働者派遣法は改正で拡大されたんじゃないんですか。

 つまり、いいかげんな法案を通してしまうと、後で取り返しのつかないことになるんです。与党も野党も関係ありません。

 その中で、結局、ドイツでも、テロ事件や暴動事件が発生し、反移民の国民感情が広がりやすくなっていることが背景として、メルケル党首も辞任することになりました。

 こうした状況を見れば、十分な準備と国民の理解がないまま、移民ではないと言いながら外国人労働者の受入れ拡大を進めることは、我が国でも、下手をすると、反移民、反外国人労働者の風潮を高め、極右勢力を拡大させかねません。それでは、治安や自由を大きく損なうことになってしまいます。

 外国人労働者を単なる労働力とみなすのではなく、共生する人間として受け入れられるような社会にしっかりつくっていくには、しっかり準備して、しっかりした制度設計をして、しっかりとした法律を、与野党合意で、国民の理解のもと、つくっていく必要があるのではないでしょうか。

 今回の法案では、その一番重要な、外国人の方々との共生という一番重要な部分がごっそり抜け落ちており、そのような法案を提出した山下大臣は不信任と言わざるを得ません。

 昨年、七千人もの方が失踪をされ、技能実習生として。そして、今、七万人以上の方が所在不明、行方不明に外国人の方々はなっておられます。

 御存じのように、日本は先進国の中でも世界一治安のいい国と言われています。私も世界各国を旅行したりしますが、どこの国に行っても、置き引きがある、すりがある、犯罪がある。日本は、世界一安心して夜中でも夜でも歩ける、そんなすばらしい国じゃないですか。その国をつくってくださったのは、私たちではなく、私たちの諸先輩方がこういうすばらしい日本の国をつくってくださったんだと思います。

 しかし、今言ったように、七千人の技能実習生が行方不明、七万人以上の方が、外国人が行方不明。そして、この法案を強行すれば、残念ながら、このような行方不明の外国人はどんどんどんどんふえていくでしょう。私は、これを外国人を批判するために言っているのではありません。やはり何人であれ、日本人も犯罪を起こします、外国人でも犯罪を起こす人はいます。外国人がどうというんじゃなく、所在不明の人が何千人、何万人と膨らんでいくということは、社会を不安定化させるのではないでしょうか。

 残念ながら、今の技能実習生でも、行方不明の人、所在不明の方、失踪の人を減らす方策、山下大臣、今見出していないんでしょう。全く対応できていなくて失踪する人がどんどんふえているのにそれを拡大するというのは、私は極めて無責任だと思います。

 あえて申し上げますが、私は、外国人がふえれば犯罪がふえるということを言う気は全くありません。そんなことを言う気はありません。しかし、所在不明の方がどんどんどんどんふえていって、違法状態で働かされる方、首を切られた後、三カ月で強制帰国にされても、百万円ぐらい借金を抱えている外国人の方は、そう簡単に帰れませんし、帰りません。アンダーグラウンドに潜ってしまうんです。それは、失踪する人が悪いんじゃなくて、そういう不安定な、不十分な制度をつくる日本政府にも大きな責任があるんですよ、これは。

 十月十三日に、ベトナムのセミナーがありました。その場で、ベトナムの日本大使館の桃井書記官がこういうことをおっしゃったんですね。

 現在、ベトナムの在住日本人の数は約一万六千人、この数年で倍増しております。しかし、留学、技能実習の急増により問題も生じています。日本とベトナムの関係に影を落とすものです。技能実習生の失踪者のワースト一位がベトナム、全体の半数以上をベトナムが占めています。不法在留者も年々増加しています。そして、何よりも犯罪の増加が問題です。昨年の刑法犯の検挙件数はベトナムがワースト一位で、対前年六八%増と大幅に悪化しています。ベトナムの若者は、夢や希望を抱いて訪日しており、決して最初から犯罪をしようと思って日本に行っているのではなく、犯罪をせざるを得ない状況に追い込まれています。多額の借金を抱え、日本に行っても借金を返せず犯罪に走る。ベトナムそして日本において、悪徳ブローカー、悪徳業者、悪徳企業がばっこしており、ベトナムの若者を食い物にしています。ベトナムの若者の人生をめちゃくちゃにしています。日本におけるベトナムのイメージ、そしてベトナムにおける日本のイメージが悪化することを懸念しています。この問題は、大使館にとっても最重要課題の一つです。

 これを、ベトナムに駐在されている日本大使館の桃井書記官が十月十三日のセミナーでおっしゃいました。このとおりだと思います。

 ベトナムはすばらしい国、ベトナム人はすばらしい国民です。しかし、悪徳ブローカーにだまされ、多額の借金を背負わされ、劣悪な処遇に追い込まれ、そんな中、犯罪に巻き込まれる方々とかがふえてしまう。これは本当に、こんなことでは誰も幸せになれません。

 このような悪徳ブローカーの対策なども、この法案では、ふえこそすれ、減る対策が十分に含まれているとは言えないのではないですか、山下大臣。

 外国人から愛される国に日本をしようじゃないですか。世界一、外国人そして日本人を、人を大切にする国に、与野党を超えて、日本の国をしようじゃありませんか、皆さん。

 この八百八十四枚の中にさまざまな資料がありますが、ごく一部だけ、原稿に入っておりますので、読み上げさせていただきます。

 二十万円と思って来たけれども、七万円だったという月給、中国人女性。

 そして、婚姻を認めてもらえなかったという中国人女性。

 また、農業をされていた中国人の男性は、百六十万円のお金を送り出し機関に払った。百六十万円ということは、中国人にしたら、一千万ぐらいの価値があるお金ではないかと思います。しかし、社長から出ていけと言われた。借金返せないんですよね、出ていけと言われたら。それで、失踪せざるを得なくなった。彼なんか、もともと百六十万円の、送り出し機関にお金を払って、賃金は五十万と言われていたんですよ。ところが、いざ働いてみたら十四万。話が違うじゃないですか。お金返せないじゃないですか。中国のブローカーがだましたんだろうとおっしゃっていますけれども、そういうブローカーを取り締まる内容にも今回の法案はなっていないんです。

 それで、中国人の男性、建築。特記事項というのがありますけれども、実習中のけがの治療費を払ってくれなかったから、建築中にけがをして失踪した。これって違法じゃないですか、そもそも。けがしたら、治療費を払わないとだめじゃないですか、こんなのは。

 そして、中国人の女性、食品加工。けがをしたけれども、休養を申し出ても休暇がもらえなかった、だから失踪したと。これもかわいそうじゃないですか。体を壊して休みたいと、人間だから言いますよ。休ませてもらえなかったら、逃げなかったら死ぬじゃないですか、これ。

 さらに、中国人の女性。この方も、理由として、恋人と離れたくないということを書いてあります。

 さらに、もう一人の、送り出し機関に払ったお金百四十万円の方。ある国の女性は、結局、百四十万円、送り出し機関に払って、十一万の月給。最低賃金割れですね。最低賃金割れで働いて、残念ながら、結果的に、失踪した後は風俗の仕事につかれるということにこの資料ではなっております。

 こういうことも、非常に私はこの資料を読んで胸がつらくなりました。

 多くの借金を背負わされて、日本に来てみたら、契約の半額ぐらいしかお金が払ってもらえない。おまけに、日本人は最低賃金を少なくとももらっているのに、外国人は半額しかもらえない。自分の国に家族は待っている。借金はある。それで、過労死ラインを超えて働かされている。その結果、女性の方が、インターネットで引っ張られて、風俗の仕事に走らざるを得なくなる。

 私は、こういうのは本当にもう、何としてもこういうことというのは私はあってはならないと思うんです。

 これは、外国人がいい、悪いじゃなくて、こういう状況を放置していることは、私は日本の恥だと思います。世界から笑われます、こんな状況を放置していたら。

 そして、タイ人の男性も、労働時間が長い。それは長いですよ。長時間労働で、残業時間月百二十時間。過労死ライン超えですよ。それで、鉄筋の仕事で月給七万円。時給三百円ですよ。それは失踪するでしょう。死にますよ、百二十時間残業で。おまけに、七万円。来る前には、十万円と言われていた。おまけに、七万円の賃金から三万円、控除で引かれる。手取り四万円。

 山下大臣、より高い賃金を求めて失踪とか言っている場合じゃないんですよ。違法状態、人権侵害、労働基準法違反、最低賃金法違反。その方々の人権を守るのは大臣の仕事なんじゃないんですか、大体。この一枚一枚にこういう悲しいドラマがあるんですよ。コピーせず手書きしなさいと言っている場合じゃないでしょう、あなたは。

 確かに、この中にもあります、もっと高い賃金を欲しいと思って失踪したという人。養豚の仕事。でも、この人、週六十時間、月に八十時間残業して、月給十万円。この人も最賃の半額ですよ。でも、もっと高い賃金としたいじゃないですよ、これ。せめて最低賃金、法律守ってくれという話なんですよ。もっと高い賃金を払ってくださいと聞いたら、何かぜいたくかと思うけれども、違うんですよ。違法状態じゃないですか、ほとんどが。これ、どうするんですか。

 この今の違法状態をどうするかも放置して、まさか強行採決なんて、自民党の皆さん、しないでしょうね。人権侵害を放置するんですか。ここで強行採決するということは、人権侵害を拡大するということですよ。

 さらに、労働時間が月百時間、そして月に二百四十時間の残業。過労死ライン大幅超え。その方の給料が九万円。結局、本当に、時給二百円じゃないですか、この人。時給二百円。時給二百円だけれども、言っちゃ悪いけれども、低賃金にも丸もついていないですよ。時給二百円、低賃金に丸ついていないじゃないですか。この調査自体おかしくないですか、皆さん。

 それと、中国人の女性の方。この方も、恋人と一緒にいたいという理由が失踪の理由。

 さらに、次のベトナムの女性の方は、より多くお金を稼ぎたかったという方。

 さらに、鉄工の仕事は、腰が痛くなった。腰が痛くなった、それが理由ですけれども、腰が痛くなったら休ませてあげないとだめですよ、それは。はっきり言って。人間扱いじゃないじゃないですか。鉄工の仕事で腰が痛くなったら、休ませてあげないと、これは死にますよ。失踪と言っている場合じゃないじゃないですか。

 それに、先ほど、恋人と離れたくないと言ったら、それは違うというやじがありましたけれども、でも、人間なんですよ。日本に来た外国人の方も、恋愛もされますよ、デートもされますよ、人間ですから。やはり、安い労働力じゃなくて、人間にお越しいただいて、日本の国を好きになっていただいて、日本の国でいい思い出をつくって帰ってもらいたいじゃないですか。にもかかわらず、何か恋愛したらぜいたくだとか、そういう発想じゃだめですよ、これ。

 さらに、左官の方、給料未払い。給料未払いということは、失踪した方が悪いんですか。未払いの方が悪いでしょう、普通に考えたら。

 山下大臣、この調査票を見て、当然、法務省は未払いの事業所を指導しているんでしょうね。要は、指導していないんでしょう、これ全部。失踪したといって捕まえている場合じゃないじゃないですか。

 さらに、ベトナム人の男性も、鉄工で、労働時間が長い、月百二十時間残業。

 そして、この次の技能工、ベトナム人の男性も、残業代が出ない。

 中国人男性、養殖業。養殖されている方の失踪理由。理由もなく海に、泳がされた。これで月額給料五万円ですよ。これはだめでしょう、五万円は。言っちゃ悪いけれども、これを見た瞬間に、月額給料五万円と見た瞬間に、最賃割れですから、これ。取り締まらないとだめなんですよ。

 そして、鉄筋工。鉄筋工の方も、けがをしたけれども補償がなかった。補償しないとだめでしょう、けがしたら。人間なんだから。

 めちゃくちゃじゃないですか、一枚一枚読んでいたら。手書きしろと言っている場合じゃないですよ。コピーして、自民党の人たちも皆さん読むべきだと思いますよ。法案の賛成、反対、関係ないですよ。この現実、知った方がいいですよ。この現実が今回の法案で拡大するんですからね、維持、拡大するんですから。

 そして、次の中国人の女性の方も、解雇すると言われた。

 それで、次のこの人もですよ、食品加工の中国人の男性も、仕事中にけがを負った。これはやはり、けがを負ったら……(発言する者あり)このような現状を放置しているだけではだめでしょう。

 そして、次の塗装工の男性も、この方も、塗装の仕事をしていて呼吸器系の病気になって、診察を受けたいと言ったら、診察を受けさせてもらえなかった。これはひどいよ。

 大臣、こういう現状を知っていて、この制度を残したまま拡大する法案をよく出しましたね、山下大臣。山下大臣、この資料を読んでいないんじゃないんですか、もしかして。

 さらに、次の方も、労働時間が長いということで、百二十時間の残業、農業の方。

 さらに、中国人の女性の方は、セクハラ、農業ということで、失踪されました。セクハラとしか書いていないけれども、やはりそれは耐えかねたセクハラで、逃げるのは当たり前じゃないですか。失踪なんですか、セクハラから逃げるのが。緊急避難で、このセクハラを受けた技能実習生の方、山下大臣、守るのがあなたの責任じゃないんですか。失踪したとか言っている場合じゃないでしょう。セクハラという犯罪から逃げてきているんじゃないんですか。守ってくださいよ、日本人であろうが外国人であろうが、セクハラの被害者を。

 さらに、私生活に自由がないとか、あるいは、危険な作業だったから。

 この話は私は与野党関係ないと思いますが、私、きのう、渡されたのは晩の九時ぐらいだったので、夜中二時までかかって読みましたけれども、読んでいて涙が出てきました。でも、まだあと二千枚、手書きしないとだめなんですよ。自民党の皆さんも見たいと思いませんか。後で自民党国対に届けますので、ぜひ読んでください。

 このような、人権を軽視する法務大臣を信任するわけにはいきません。

 今回述べた技能実習制度は、二〇一〇年の国連の移住者の人権に関する特別報告者が、奴隷的状態にまで発展している場合さえあると言及し、制度の廃止を求めました。国連からも、奴隷的制度だということで廃止を言われているんですね。それから八年たった今日においても、残念ながら、一部では奴隷状態と言える悲惨な実態が続いていることは、日本の恥と言わざるを得ません。早急にこの現状を解消すべきであり、技能実習制度を温存、拡大させる今回の法案を拙速に成立させるなど、言語道断です。

 私は、多くの技能実習生のお話を聞く中で、現代の奴隷のような実態が、一部とはいえ技能実習制度において構造的に起こっていることを認識せざるを得ません。

 私は、ノーベル平和賞を受賞されたアメリカの公民権運動の指導者であるキング牧師を大変尊敬し、以前、アメリカのメンフィスのキング牧師が暗殺された場所にもお参りをさせていただいたことがあります。

 キング牧師が公民権運動をされていた一九六〇年前後、アメリカでは人種差別が大問題になり、キング牧師を先頭とする公民権運動がアメリカ全土で展開され、一九六四年の公民権法の制定に結びつきました。私たちも、偉大な先人に学び、多文化共生社会を実現すべきです。

 キング牧師は、有名な演説の中で、アイ・ハブ・ア・ドリーム、私には夢があるという演説をワシントンDCでされました。

 どのような内容かといいますと、私には夢がある、それは、いつの日か、この国が立ち上がり、全ての人間は平等につくられているということは自明の真実であるというこの国の信条を、真の意味で実現させる夢である。私には夢がある、それは、いつの日か、私の四人の幼い子供たちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である。

 私は、この本会議場で訴えたいと思います。国籍で賃金が差別されることがあってはなりません。国籍で残業代が差別されてはなりません。国籍で労働時間が差別されてはなりません。国籍で恋愛が差別されてはなりません。国籍で住居が差別されてはなりません。国籍で休みの日数が差別されてはなりません。そんな国に日本をしては絶対になりません。

 国際的に奴隷労働とさえ批判されている制度は許されません。海外の有能な労働者に、日本はこのままでは選ばれません。そんな差別を固定化し拡大する法案を法務大臣が推進するのは、辞任に値します。一番悪いのは、この法案を主導し、山下大臣を任命した安倍総理大臣であります。

 日本を、世界一人を大切にする国にしようではありませんか。私たち、愛する国日本を、外国人から世界一愛される国にしようではありませんか。

 短い国会会期で、また国民的な理解も覚悟も十分ないままで、こんな重要な課題に対する法案を生煮えのまま安易に審議し成立させることは断固反対であることを強調し、与野党の良識ある議員の皆様方に法務大臣山下君不信任決議案への賛成を呼びかけて、私の趣旨弁明を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。藤原崇君。

    〔藤原崇君登壇〕

藤原崇君 自由民主党の藤原崇です。

 私は、自由民主党、公明党を代表し、ただいま議題となりました山下貴司法務大臣に対する不信任決議案に対し、反対の立場から討論をいたします。(拍手)

 山下大臣は、本年十月の就任以来、これまでの法曹経験や法務大臣政務官の経験を生かしながら、法務行政に全身全霊を傾け、その責務を全うしてまいりました。

 そのような状況の中、山下大臣は、喫緊の課題である深刻な人手不足への対応策として、入管法等の一部改正案を取りまとめ、今国会に提出いたしました。

 この点、一部野党は、受入れ外国人の上限に関する山下大臣の答弁につき、閣内不一致であるとか、技能実習生の失踪理由の割合に関し、虚偽答弁がなされたとか、本法案は細部が明らかになっていない生煮えの法案であるなどと主張しております。

 しかし、これらの主張には全く理由がありません。(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛に。

藤原崇君(続) すなわち、閣内不一致であるという点について、山下大臣の答弁は、数値目標としての受入れ上限を法律で設けないことを述べたのであり、安倍総理の分野別運用方針に明記する数字は五年間は受入れ数の上限として運用するという答弁と何ら矛盾するものではありません。

 また、虚偽答弁であるという指摘も、技能実習生の失踪理由に関する答弁は、事務的なミスによって誤集計されたデータに基づいたものであり、意図的な虚偽答弁でないことは明らかです。

 そして、本法案は、確かに、細部の事項は法律制定後に定められる分野別運用方針や省令によって確定されることになりますが、山下大臣は、現時点においても、受入れ業種、受入れ見込み数、技能水準等に関して、現時点での見通しを答弁しており、法案成立後の見通しについても十分に見渡せております。

 特に、受入れ見込み数については、審議に資すように、精査の作業終了後直ちに国会に提出しており、逃げの答弁に終始したという批判は当たりません。

 加えて、山下大臣は、委員会審議の際、率先して答弁席に立ち、時には、移民の定義に関する説明や永住許可のガイドラインに関する説明など、技術的、細目的事項にわたる事柄についても大臣みずから説明を行ってきました。大臣の答弁姿勢は、委員会審議の場で政府として責任を果たそうとするものであります。不信任に該当する事柄は存在しません。

 一部からは個票の開示方法について問題視する意見もございましたが、個票の開示は法務委員会の理事会において与野党各会派の理事が全員一致で定めたものであり、法務省はそれに従ったのみで、法務省には何らの瑕疵もありません。

 ただ、一点苦言を申し上げるとすれば、失踪した技能実習生の集計データのまとめに誤りがあったことはまことに遺憾であり、政府に猛省を求めます。既に修正されたデータが示されているとはいえ、政府には、原因を究明し、徹底的な再発防止策を講じることを強く要請します。

 しかし、本件データの誤りは、事務的な処理のミスが理由です。しかも、その誤りの内容を見ると、個別の失踪動機の割合こそ変化しておりますが、低賃金が大半を占めていることや、その他の失踪動機の割合や順序についても大きな変動はなく、集計ミス発覚前の資料とその傾向は異なっておりません。

 しかも、山下大臣は、この集計ミスが判明した後、直ちに法務委員会において謝罪の上、答弁の修正を行っております。

 また、そもそも技能実習制度は、事実上、技能実習生が特定技能一号に移行することを期待しておりますが、法的には今国会で審議されている本法と何らの牽連性もありません。

 そのようなことを踏まえると、改正案審議の前提が崩れたという一部の方々の主張は根拠薄弱ではないでしょうか。

 審議の前提が崩れたと述べる方々はたくさんおりました。しかし、今回の集計ミス等によって、どのような理屈で技能実習制度と法的な牽連性のない本法案の審議の前提が崩れたのか、具体的かつ説得的に説明している方は残念ながらどこにもおりませんでした。

 もとより、技能実習生に対して不適切な処遇を行っている例が存在することは、与野党ともに共通認識があります。山下大臣も、その問題意識を共有し、技能実習制度の運用に関するプロジェクトチームを設置し、技能実習制度の改善等について検討するよう指示をしております。これは、国民の皆さんの中にある当たり前の正義感に応えることを信条とされている山下大臣の強い責任感のあらわれであります。山下大臣には、ぜひ、今後も引き続き、その強い責任感のもと、法務行政をリードしていただきたいと考えます。

 以上、法務大臣の不信任を求める理由は全くないということを重ねて申し上げ、良識ある衆議院の皆様に対し、この決議案を否決していただくことを求めまして、私の反対討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 松平浩一君。

    〔松平浩一君登壇〕

松平浩一君 立憲民主党の松平浩一です。

 ただいま議題となりました山下貴司法務大臣不信任決議案に対して、賛成の立場で討論を行います。(拍手)

 私は、山下大臣に対しては、法曹界と政界の両面での先輩として、さまざまな御活躍に尊敬の念を抱いておりました。しかし、今国会の山下大臣の御対応は、非常に残念でなりません。今回、こういった形で山下大臣の不信任決議案に賛成の立場から討論せざるを得ないのは、私にとってはとても残念なことです。

 大臣のホームページ、拝見させていただきました。大臣は、突破力という言葉を座右の銘にされていらっしゃるようです。大臣の答弁からは自信と決意の強さが伝わり、座右の銘をまさに体現されていると感じております。

 しかしながら、今国会の審議では、その突破力が裏目に出てしまっているようです。

 理由の一つ目が、大臣の御答弁です。

 国会において、今回の制度が移民政策でないのかという趣旨のさまざまな角度の質問がなされました。大臣は、それに対して、政府解釈の言い回しをただ繰り返す、丁寧な説明なく突破されようとしています。単純労働とは何か、具体的な例示もされないので、結局何もわかりません。

 ほかにも、今回の制度によって外国人を雇う場合は日本人を雇うよりもお金がかかってしまうのではないかであるとか、政府の関与をもっと強めるべきではないかという具体的な質問も多くありましたが、決して正面から答えないで、突破しようとしていました。結果、かみ合わない答弁により、法務委員長からも、簡潔な答弁をと指摘されることがたびたびありました。

 残念ながら、大臣からは、真っ向から議論せずに、法案成立さえすればよいという姿勢がありありと感じ取れました。

 二つ目は、データの誤りです。

 今回、法案審議に先立ち、失踪した技能実習生への聞き取り調査資料が提出されました。しかし、その資料には、当初、誤った数値が記載されていました。誤った数値の原因は、エクセルファイルの切り張り作業ミスという初歩的なものでした。また、この数値の集計ミスが発生した時期も特定できておりません。そして、大臣は、指摘がされるまで、この誤ったデータに基づいて答弁されていました。

 本法案の重大性からは、問題の根本をきちんと解明して正す、一度立ちどまってきちんとガバナンスを見直す、そういうことが筋であると思うんですけれども、大臣は、誤りの根源には目を向けず、強硬に法案の審議を求めて突破されようとしています。このような状況では、これから出てくる数字も、おいそれと信用できません。

 三つ目ですけれども、受入れ見込み数のずさんな推計です。

 本法案を審議する上では、外国人労働者をどこに何人受け入れるのかについての見込み数、非常に重要です。しかし、審議の参考として出てきたものは、各省が取りまとめた、かなり粗い、そして根拠の希薄な数字であります。

 この推計、粗くて根拠が希薄であると、多くの国会議員、参考人、報道から指摘されています。先日、委員会に参考人として来ていただいた坂本恵教授も、専門的知見からすれば、極めて根拠としてその数値計算が疑わしいものと言わざるを得ないと断言されていました。私もそう思います。にもかかわらず、大臣は気にもとめず、そのまま突破されようとしている。これではとても国の形を決める重要法案を審議する土台があるとは言えません。

 四つ目ですけれども、国会審議への非協力的な姿勢です。

 現状、さまざまな問題が起こっている技能実習制度は、新しい制度とも密接不可分です。全体では約四五%が技能実習からの移行と想定されています。その問題点を浮き上がらせるのが、技能実習生の声が記載された聴取票です。したがって、国会で法案を審議するに当たっては、聴取票の内容を精査し、分析し、共有されることが必要不可欠です。

 ところが、大臣は、プライバシーの問題、あるいは今後の調査などについて大きな支障を来すおそれがある、若しくは刑事訴追のおそれがあるといった理由で、委員会の委員にコピーの提供すらしていただけません。

 なぜプライバシーの問題があるのか、どこに刑事訴追のおそれがあるのか、どう大きな支障を来すのか説明もないまま、大臣は突破されようとしている。大臣の国会審議への非協力的な姿勢のため、結局、我々国会議員は手書きで書き写して精査する羽目になってしまっています。

 最後、五つ目です。一番大事な点である法案の中身です。

 本法案、一言で言うと、中身が全く決まっておりません。本法案で、外国人をどこに何人受け入れるのか、人数の上限はどうなのか、永住権の扱い、共生施策はどうなっているのか、登録支援機関はどういう機関なのか、きちんと監督できるのか、また失踪はふえてしまわないのか、社会保障をどうするのか。大臣は中身を何も決めないまま突破しようとしています。立法府に白紙委任をさせて、具体的に重要な点は行政府の省令で決めようとしている。これは、立法府をないがしろにする姿勢にほかなりません。

 このように、大臣の突破力が裏目に出てしまい、不十分な法案を不十分な審議しかできないという状況になってしまっているんです。

 ところで、大臣は、ほかにもう一つ、人生は生きるに値するという言葉も座右の銘とされていらっしゃるようです。こちらも非常にいい言葉で、私も、生きるに値する、そう思える人生を送りたいものです。

 しかし、我が国に在留している外国人を取り巻く環境は、お世辞にもいいとは言えません。それどころか、国際問題に発展しそうな深刻な人権問題も明るみになっています。そのような問題を解決しないまま、そして不十分な審議のまま法案を通してしまえば、在留外国人に関する問題は確実に悪化します。このような状況で、今いる在留外国人、そして新たな制度で日本にやってきた方は、人生は生きるに値すると果たして思ってくれるのでしょうか。

 以上、山下法務大臣の不信任決議案に賛成することを表明いたしまして、私からの賛成討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 杉本和巳君。

    〔杉本和巳君登壇〕

杉本和巳君 日本維新の会、略称維新の杉本和巳です。

 ただいま議題となりました法務大臣不信任決議案について、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 さきの法務委員長解任決議案の採決でも同僚議員が申し上げましたが、国会を停滞し、時間を費やし、そして政策の対話の時間を奪ってしまうような決議案に、私たち維新は反対です。

 特に、委員長の解任や大臣の不信任にかかわる攻撃的な決議案は、政策論争の基盤である政党間の信頼関係を破壊する最終的な手段となってしまい、一旦使ってしまえば、それ以降、建設的な議論はできにくくなってしまいます。

 つまり、法務委員長の解任決議案が提出された十一月二十日の時点で、既に野党六会派は議論の土俵からおりてしまっているようでもあり、それ以降のあらゆる取組は舞台の上のお芝居のようにしか国民の皆様からは見えなくもないのではないでしょうか。

 大島理森衆議院議長宛てに野党六会派が連名提出された申入れに対し、大島議長が委員会の運営は委員会に委ねるとされたことは、意味の深遠なる御見識であると、改めて敬意を表したいと存じます。

 さて、一時は政権を担った立憲民主、国民民主、そして無所属の会の皆様は、共産党と連名で入管法審議に関する見解なる文書を公表されました。

 この文書において、四会派の皆様は、入管法改正案について、省令への委任事項が多過ぎる、憲法違反ではないかと主張しておられますが、そのような主張をするのであれば、前政権時代に外国人の健康保険への加入要件を厚生労働省令で緩和したのも憲法違反ということになってしまいます。完全に、いわゆるブーメランになってしまいます。

 また、同見解は法務省が用意した資料の不備を指摘されますが、国会質問の事前通告で問合せを不可とするような、役所のミスを誘発してしまうようなのは、議員側の配慮が足らざる点にも起因するのではないでしょうか。

 また、野党側第一党は、この機に乗じて、技能実習制度の廃止を打ち出されています。

 さかのぼれば、技能実習の在留資格を創設した二〇〇九年、政権交代直前の入管法改正案には当時の民主党も賛成され、政権交代後三年三カ月の間、一度も入管法に手を加えることなく、法案修正には至りませんでした。

 野党側も、将来の政権復帰を視野に入れて、国民の皆様からの信頼をかち取る行動を、そしてさらなる対話や修正を目指してはいかがでしょうか。

 一方、政府・与党の入管法改正案にも問題はあります。

 私たち維新は、グローバル化する世界の中で日本の強い経済と社会を維持していくためには、外国人材の受入れ人数の歯どめをきちんと決定した上で積極的に活用すべきと考えていますが、それにはマイナンバーカードを通じた在留管理の徹底した強化が条件になります。

 ところが、政府・与党は、労働者が不足するから外国人の受入れを拡大するという受け身の姿勢であり、在留管理のツールは、依然、旧態依然としたまま、受入れ見込み数も関係府省に丸投げです。

 本来、日本の人口規模をどうするのか、そのうち外国人の割合はどの程度が望ましいのか、国家ビジョンを示し、広範な国民の理解を求めるべきであると維新は強く主張いたします。

 こうした観点から、私たち維新は、与党との間で法律案の修正協議に臨んでまいりましたが、昨日、法案の公布後速やかにマイナンバーカード活用の検討を開始することなどを内容とする修正について与党と合意したところです。

 我が党を除く野党六会派提出の法務大臣不信任決議案については粛々と否決しましょう。そして、与野党の対決の構図から対話の構図へと大いなる転換をして、国権の最高機関たる国会を、真に日本国のために、国民の皆さんのための機関として機能させて、議員各位は仕事に精励してまいろうではありませんか。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 源馬謙太郎君。

    〔源馬謙太郎君登壇〕

源馬謙太郎君 国民民主党の源馬謙太郎です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま提出されました山下貴司法務大臣の解任決議案につきまして、賛成の立場から討論させていただきます。(拍手)

 私は、今後の活力ある日本社会の実現のために、外国人労働者は必要であり、その能力が存分に発揮され、国民との協働、共生が地域社会や生活の現場においても推進されていくことが望ましいと考えています。

 しかし、外国人受入れの問題は、単なる在留資格の話だけでなく、経済、社会、雇用、文化などにもかかわり、ひいてはこの国がどうあるべきかという国柄を大きく変えることにもつながる大きな議論です。国民的議論を尽くさずに、拙速に制度設計を行って済む話ではありません。

 にもかかわらず、今般の政府案について、山下大臣を始め、政府・与党が審議入りを強行し、強引な短時間の審議のみで、しかも議論の前提となるべきデータがでたらめであったにもかかわらず、本日強硬に採決を行おうとしたことに対して、強く抗議をいたします。

 今回の新たな在留資格による外国人労働者の受入れは、その受入れの規模、それによる影響、日本語能力や技能の程度、社会での受入れ方、自治体への負担、現行制度の問題点、永住への道筋など、明らかになっていないこと、まだ決まっていないことばかりです。

 そもそも、それらを定めるはずの外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策を年内に政府がまとめるといいますが、これが法案より先にあるべきなのは基本中の基本です。

 繰り返しますが、私たちは、今日の深刻な人手不足の状況からも、外国人労働者を受け入れることは必要なことであると考えています。しかも、それは、単なる労働力としてではなく、血の通った人間としての受入れが必要であると思っています。

 どのように外国人労働者に日本に来てもらい、日本人と外国人とに分断されたコミュニティーを築くのではなく、日本社会に共生してもらい、日本を豊かにしていけるかが重要であり、そのために必要なことを議論したいということなのです。

 そもそも、日本は一体どのぐらいの外国人を受け入れるのかという根本的な問いについても、いまだに答えがありません。各業種の五年間の見込み人数という資料がようやく提出されましたが、詳細な積算根拠はいつ示されるのでしょうか。今後も、各省庁がそれぞれの主観で積算した数が、国会では審議もされずに認められていくのでしょうか。人手不足だという判断や受入れ停止を判断する際の具体的で統一的、客観的な基準がやはり必要ではないでしょうか。

 日本人労働者の雇用や賃金への影響はないといいますが、その根拠も示されていません。日本人と同等以上の報酬と定めていますが、それを保障し、実際に守られていることを確認する具体的な方法はありますか。

 特定技能が求める相当程度の知識や経験又は熟練した技能とは、各分野でどのように確認するのでしょうか。

 受け入れる外国人の社会保障はどうなるのか、そのことによって日本の社会保障制度全般に与える影響についても、これから検討では遅くはありませんか。

 総理も認めたように、今回のたてつけだと、幾ら外国人労働者を受け入れても都会に偏在してしまうという懸念がありますが、その対応策もアイデアも法務省にはまだないとの答弁でした。

 日本語能力についても、どのぐらいの能力を求め、どのように判断するのでしょうか。他国が行っているように、言語能力に加え、日本社会や歴史などに対する一定レベルの理解も求めるべきではないですか。

 人手不足が深刻な分野で、しかも国内人材の確保や生産性の向上の努力をしてもなお人手不足の分野に限って受け入れるそうですが、そうなると、その分野は、シンガポールの介護分野がそうだったように、日本人が全くいなくなってしまう分野になる懸念がありますが、それを防ぐ手だてはありますか。

 特定技能一号は家族の帯同が認められないことも問題だと思いますが、二号で帯同した家族への日本語教育は誰が行うのでしょうか。多忙化が深刻な学校現場での対応は可能ですか。保育、初等、中等、高等教育など、各フェーズにおける受入れ体制はどのようになっているでしょうか。

 実際に外国人を受け入れるのは各地方自治体になりますが、自治体の負担はどのぐらいと見込み、そこはどう予算措置していくのでしょうか。

 監理団体が今回は設けられないということですが、監理団体以外の団体による仲介やあっせん、そこに係るいわゆる中抜きの問題はどう対処するのでしょうか。

 事実上の制度の前提となっている技能実習制度の問題点や失踪問題への対策もこれからプロジェクトチームで精査するということは、順序が逆ではないですか。

 このように、今回の法案は、新たな在留資格をとにかく来年四月に創設するという締切りありきで、国民が不安に感じることや先ほど触れたことなどは全て後回しにし、法案が通って国民の関心が下がったころに、政府や役所が国会の議決を経ずに全部勝手に決める仕組みになっています。

 法案で示されるのは基本方針と仕組みのみで、あとは全て白紙委任してくれという法案です。これでは、国会で審議する意味はどこにあるのでしょうか。少なくとも重要事項については法律事項として、国会の議決を経るべきだと思います。

 日本は今、少子化や人手不足が深刻です。外国人の存在を受け入れない限り、先細りになってしまうことは自明です。長く住み、働く外国人は必要だけれども、移民は認めたくないという認識を一日も早く捨てるべきではないでしょうか。

 単なる短期の労働力として受け入れるのではないなら、外国人を血の通った人間としてしっかり受け入れ、長くともに暮らしていく日本になるのだと認めるべきだと思います。それがなければ、そもそも外国人から日本を選んでもらうことはできません。

 移民を正面から認めたくないからと、政府が定義している移民政策ではありませんと繰り返し取り繕っても、何の意味もありません。

 国民民主党は、外国人労働者受入れ拡大は必要だと思っています。だからこそ、私たちの考え方という対案をまとめました。

 四月一日にこだわらず、しっかりと議論を尽くしてからではどうしてもだめだという特段の客観的、合理的な理由はないはずです。実際に、山下大臣も先ほどの委員会で、この点について明確にお答えできていませんでした。

 せめて、私たちが提案している、地方への人材確保の配慮、客観的かつ合理的な受入れ上限の設定、適切な外国人労働者の待遇の確保、在留資格の変更に際しての一時帰国、現行制度の実態把握に基づいた抜本的見直し、社会保障制度と教育制度のあり方、家族帯同などの人権的配慮、多文化共生施策の充実の、特に重要な八点について、更に議論しようではありませんか。

 何年も議論しろというのではありません。そんなに時間をかけなくても、これからたった半年間、六カ月間延長して、これらの重要で基本的な事柄を詰め、白紙委任の状態を解消し、将来に禍根を残さないように、与野党ともに、よりよい法案にしようではありませんか。

 皆様の御賛同をお願いし、私の討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 黒岩宇洋君。

    〔黒岩宇洋君登壇〕

黒岩宇洋君 無所属の会の黒岩宇洋です。

 ただいま議題となりました山下貴司法務大臣不信任決議案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 私は、今般、国会で議論をしております入管難民法改正案について、山下法務大臣が余りにも官邸、与党の方針に唯々諾々と従い、野党を始めとする多くの国民の声に耳を傾けない姿勢をもって、不信任に値すると断言をさせていただきます。

 そもそもこの法案提出は、安倍総理がリーダーシップをとる骨太方針に、新たな外国人材受入れ制度が盛り込まれたことに端を発します。しかし、関係閣僚会議を七月二十四日に開きながら、驚くべきことに、法案提出が予定されていた臨時国会開会まで、全くその後開かずじまいでした。これは、安倍総理が具体的議論から徹底して逃げたかったからでしょう。

 具体的分野数や外国人受入れ人数をふやしたい総理応援団の財界、そして、余りに大きな規模感を示すと反発する総理のコアな支持層、この板挟みから、議論にすら触れたがらない安倍総理。結局、本法案代表質問においても、予算委員会においても、総理答弁は、法務省を始めとする関係府省に丸投げ、又は、この後の分野別運用方針への先送りに終始しました。これが、今法案を全く詰め切ることができない大きな背景です。

 法案審議に入るにつれ、山下法務大臣にも看過できない責任が生じてまいりました。まずは、失踪技能実習生の聴取票の現状認識と開示の方法です。

 聴取票の集計データの誤りが発覚し、その新たなデータによる現状認識において、それまでの人権侵害の文言が削除されました。失踪動機中、人権侵害の代表的事案である、暴力を受けたの件数が、間違った集計と比べて倍近くふえ、それまで、より高い賃金を求めてに算入されていた契約賃金以下と最低賃金以下が新たに人権侵害に算入され、人権侵害の件数がトータルで激増したにもかかわらずです。

 法務委員会で、誰の判断で削除したのかという私の質問に対し、山下法務大臣は入管局長と答えるのみ。この重要な二、三行の文章ですら、自分で判断したと答えない、この法務大臣の姿勢には、私は正直愕然といたしました。

 聴取票の開示についても、山下大臣の判断さえあれば事足りるのにもかかわらず、一向にみずから判断を下さず、私たちが今なおメモ書きをしているという悲惨な状態です。

 外国人の受入れ見込み人数に対しても、他省に対し全く指導力が発揮できていません。十四分野、四省から出てきた数字は、積算根拠の統一性は全くなく、その上、確固たる数的根拠のないものばかり。見込み数発表から十日以上も経過しているにもかかわらず、他省にさらなる精査を求めた形跡は一切ありません。そんな弱腰で、他省とさまざまな運用を詰めていけるのか、甚だ疑問です。

 さらには、分野別運用方針を定める関係閣僚会議では、菅官房長官と山下法務大臣が二人で共同議長を務めます。その菅官房長官に対峙してでも、必要とあらば官邸の要求をはね返すことができるのでしょうか。まことに残念ですが、これに期待する同僚議員は一人もいないでしょう。

 委員会質疑で目立ったのは、質問に真正面から答えない姿勢です。失言を恐れるばかり、言質を与えないよう与えないよう、及び腰に、安全運転に終始する姿は、責任逃れにしか映りません。

 山下法務大臣に求められるのは、今回の外国人受入れという、我が国の今後の姿を決めるような大きな制度を築き上げるという矜持と覚悟です。その覚悟を発揮できない山下大臣を到底信任することはできません。

 山下法務大臣不信任案に賛成する旨を改めて申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)

議長(大島理森君) 藤野保史君。

    〔藤野保史君登壇〕

藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、山下貴司法務大臣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 不信任の理由の第一は、山下大臣が、入管法改正案の審議の前提となる資料の提出を拒み続けている点です。

 本案による外国人の受入れは、技能実習生からの移行を大前提としています。だからこそ、技能実習制度の実態把握と徹底的な検証は法案審議の核心です。

 野党の追及によって、政府は、当初拒んでいた失踪した技能実習生に対する聴取票の個票を出さざるを得なくなりました。そもそもこの調査は、技能実習制度の運用を適正化するために、二〇〇九年の入管法審議の際に、衆参両法務委員会の附帯決議で与野党一致して求めたものです。その後、二〇一六年の技能実習法の審議の際も、衆参で附帯決議が付され、聴取項目の追加などが行われてきました。国会が求めて行われた調査の結果を国会に提出するのは当たり前です。

 ところが、山下大臣は、今後の調査や捜査への影響、プライバシー侵害などを理由に提出を拒んできました。しかし、この調査は技能実習制度の運用を適正化するためのものであり、犯罪捜査とは何の関係もありません。さらに、聴取票には必要なマスキングもされており、プライバシーなどの問題も生じません。直ちに聴取票個票を国会に提出し、技能実習生の実態を踏まえた徹底審議を行うべきです。

 委員長室での閲覧では、個票を分析したり、法務省の集計結果を検証することもできません。閲覧方式は、議員の審議権を妨害し、国民に実態を隠すものであり、断じて容認できません。

 第二に、山下大臣が技能実習生の実態を隠す虚偽答弁を重ねている点です。

 山下大臣は、技能実習生の失踪理由について、より高い賃金を求めて失踪する者が約八七%と答弁しました。しかし、より高い賃金を求めてという項目は、もともとの聴取票にはありません。しかも、当初の法務省の説明では、その割合が六七%から八七%に水増しされていたのです。実習生が金目当てにわがままで失踪しているかのように描き出す虚偽答弁を行ってきた山下大臣の責任は重大です。

 山下大臣は、根拠となったデータの誤りを認めて、おわびを口にしました。しかし、より高い賃金を求めてという表現を変えることは頑として拒んでいます。あくまでも実習生の側に失踪の原因があると描こうとするものであり、言語道断です。

 山下大臣は、技能実習制度と新制度は別物であり、九割をはるかに超える技能実習がうまくいっているという趣旨の答弁をしています。しかし、十四業種のうち十三業種が技能実習生からの移行を前提とし、その多くで八割から十割もの移行が見込まれています。両制度は密接不可分です。政府の資料でこの点を指摘しても、詭弁を弄して認めようとしない山下大臣の責任は極めて重大です。

 さらに、野党ヒアリングや聴取票で明らかになったように、技能実習制度では、最賃以下の賃金や暴力など、法令違反や人権侵害が横行しています。この実態を覆い隠すために、政府みずから、九割の技能実習はうまくいっているなどと言い募ることは到底許されません。

 以上、国会に提出すべき資料も提出せず、実態をゆがめる虚偽答弁を繰り返す山下大臣は法務大臣として不適格である、このことを強く主張して、私の討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百四十

  可とする者(白票)       百三十一

  否とする者(青票)        三百九

議長(大島理森君) 右の結果、法務大臣山下貴司君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

辻元清美君外六名提出法務大臣山下貴司君不信任決議案を可とする議員の氏名

阿久津 幸彦君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君   荒井   聰君

池田  真紀君   石川  香織君   今井  雅人君   枝野  幸男君

小川  淳也君   尾辻 かな子君   大河原 雅子君   逢坂  誠二君

岡島  一正君   岡本 あき子君   落合  貴之君   海江田 万里君

神谷   裕君   亀井 亜紀子君   川内  博史君   菅   直人君

菊田 真紀子君   近藤  昭一君   佐々木 隆博君   櫻井   周君

篠原   豪君   末松  義規君   高井  崇志君   高木 錬太郎君

武内  則男君   辻元  清美君   手塚  仁雄君   寺田   学君

中谷  一馬君   長尾  秀樹君   長妻   昭君   西村 智奈美君

長谷川 嘉一君   初鹿  明博君   福田  昭夫君   堀越  啓仁君

本多  平直君   松田   功君   松平  浩一君   道下  大樹君

宮川   伸君   村上  史好君   森山  浩行君   矢上  雅義君

山内  康一君   山尾 志桜里君   山川 百合子君   山崎   誠君

山花  郁夫君   山本 和嘉子君   横光  克彦君   吉田  統彦君

早稲田 夕季君   青山  大人君   浅野   哲君   伊藤  俊輔君

泉   健太君   稲富  修二君   小熊  慎司君   大島   敦君

大西  健介君   岡本  充功君   奥野 総一郎君   吉良  州司君

城井   崇君   岸本  周平君   源馬 謙太郎君   小宮山 泰子君

後藤  祐一君   近藤  和也君   斉木  武志君   階    猛君

篠原   孝君   下条  みつ君   白石  洋一君   関  健一郎君

玉木 雄一郎君   津村  啓介君   西岡  秀子君   原口  一博君

平野  博文君   古川  元久君   古本 伸一郎君   前原  誠司君

牧   義夫君   緑川  貴士君   森田  俊和君   山岡  達丸君

山井  和則君   渡辺   周君   安住   淳君   江田  憲司君

大串  博志君   岡田  克也君   金子  恵美君   黒岩  宇洋君

玄葉 光一郎君   田嶋   要君   中川  正春君   中村 喜四郎君

野田  佳彦君   広田   一君   もとむら賢太郎君   赤嶺  政賢君

笠井   亮君   穀田  恵二君   志位  和夫君   塩川  鉄也君

田村  貴昭君   高橋 千鶴子君   畑野  君枝君   藤野  保史君

宮本  岳志君   宮本   徹君   本村  伸子君   照屋  寛徳君

吉川   元君   日吉  雄太君   青山  雅幸君   赤松  広隆君

井出  庸生君   柿沢  未途君   佐藤  公治君   重徳  和彦君

樽床  伸二君   松原   仁君   柚木  道義君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あきもと 司君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君

赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   秋本  真利君   麻生  太郎君

穴見  陽一君   甘利   明君   安藤  高夫君   安藤   裕君

井野  俊郎君   井上  信治君   井上  貴博君   井林  辰憲君

伊東  良孝君   伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君   伊藤  達也君

伊吹  文明君   池田  道孝君   池田  佳隆君   石崎   徹君

石田  真敏君   石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君

泉田  裕彦君   稲田  朋美君   今枝 宗一郎君   今村  雅弘君

岩田  和親君   岩屋   毅君   うえの賢一郎君   上杉 謙太郎君

上野  宏史君   江崎  鐵磨君   江渡  聡徳君   衛藤 征士郎君

遠藤  利明君   小倉  將信君   小此木 八郎君   小里  泰弘君

小田原  潔君   小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  朝子君

越智  隆雄君   大岡  敏孝君   大串  正樹君   大隈  和英君

大塚  高司君   大塚   拓君   大西  英男君   大西  宏幸君

大野 敬太郎君   大見   正君   岡下  昌平君   奥野  信亮君

鬼木   誠君   加藤  鮎子君   加藤  勝信君   加藤  寛治君

梶山  弘志君   勝俣  孝明君   門   博文君   金子  俊平君

金子 万寿夫君   金子  恭之君   金田  勝年君   上川  陽子君

神谷   昇君   神山  佐市君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君

川崎  二郎君   河井  克行君   河村  建夫君   神田  憲次君

神田   裕君   菅家  一郎君   木原  誠二君   木原   稔君

木村  次郎君   木村  哲也君   木村  弥生君   城内   実君

黄川田 仁志君   岸   信夫君   岸田  文雄君   北川  知克君

北村  誠吾君   工藤  彰三君   国光 あやの君   熊田  裕通君

小泉 進次郎君   小泉  龍司君   小島  敏文君   小寺  裕雄君

小林  茂樹君   小林  鷹之君   古賀   篤君   後藤  茂之君

後藤田 正純君   河野  太郎君   高村  正大君   國場 幸之助君

左藤   章君   佐藤  明男君   佐藤   勉君   佐藤 ゆかり君

齋藤   健君   斎藤  洋明君   坂井   学君   坂本  哲志君

櫻田  義孝君   笹川  博義君   塩崎  恭久君   塩谷   立君

繁本   護君   柴山  昌彦君   白須賀 貴樹君   新谷  正義君

新藤  義孝君   菅   義偉君   菅原  一秀君   杉田  水脈君

鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君   鈴木  淳司君   鈴木  貴子君

鈴木  憲和君   鈴木  隼人君   関   芳弘君   薗浦 健太郎君

田所  嘉徳君   田中  和徳君   田中  英之君   田中  良生君

田野瀬 太道君   田畑   毅君   田畑  裕明君   田村  憲久君

高市  早苗君   高木   啓君   高木   毅君   高橋 ひなこ君

竹下   亘君   竹本  直一君   武井  俊輔君   武田  良太君

武部   新君   武村  展英君   橘  慶一郎君   棚橋  泰文君

谷   公一君   谷川  とむ君   谷川  弥一君   津島   淳君

土屋  品子君   寺田   稔君   とかしきなおみ君   冨樫  博之君

渡海 紀三朗君   土井   亨君   冨岡   勉君   中曽根 康隆君

中谷   元君   中谷  真一君   中村  裕之君   中山  展宏君

中山  泰秀君   永岡  桂子君   長尾   敬君   長坂  康正君

二階  俊博君   丹羽  秀樹君   西田  昭二君   西村  明宏君

西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君   根本  幸典君

野田  聖子君   野田   毅君   野中   厚君   葉梨  康弘君

萩生田 光一君   橋本   岳君   馳    浩君   鳩山  二郎君

浜田  靖一君   林   幹雄君   原田  憲治君   原田  義昭君

百武  公親君   平井  卓也君   平口   洋君   平沢  勝栄君

福田  達夫君   福山   守君   藤井 比早之君   藤丸   敏君

藤原   崇君   船田   元君   船橋  利実君   古川   康君

古川  禎久君   古田  圭一君   古屋  圭司君   穂坂   泰君

星野  剛士君   細田  健一君   細田  博之君   堀井   学君

堀内  詔子君   本田  太郎君   牧島 かれん君   牧原  秀樹君

松島 みどり君   松野  博一君   松本   純君   松本  剛明君

松本  文明君   松本  洋平君   三浦   靖君   三谷  英弘君

三ッ林 裕巳君   三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君

宮内  秀樹君   宮川  典子君   宮腰  光寛君   宮崎  政久君

宮澤  博行君   宮路  拓馬君   宮下  一郎君   武藤  容治君

務台  俊介君   宗清  皇一君   村井  英樹君   村上 誠一郎君

望月  義夫君   茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君

森山   裕君   八木  哲也君   簗   和生君   山際 大志郎君

山口  俊一君   山口  泰明君   山口   壯君   山下  貴司君

山田  賢司君   山田  美樹君   山本  幸三君   山本ともひろ君

山本  有二君   吉野  正芳君   義家  弘介君   和田  義明君

若宮  健嗣君   渡辺  孝一君   渡辺  博道君   赤羽  一嘉君

井上  義久君   伊佐  進一君   伊藤   渉君   石井  啓一君

石田  祝稔君   稲津   久君   浮島  智子君   江田  康幸君

太田  昭宏君   太田  昌孝君   北側  一雄君   國重   徹君

佐藤  茂樹君   佐藤  英道君   斉藤  鉄夫君   高木 美智代君

高木  陽介君   竹内   譲君   遠山  清彦君   富田  茂之君

中野  洋昌君   浜地  雅一君   濱村   進君   古屋  範子君

桝屋  敬悟君   鰐淵  洋子君   足立  康史君   井上  英孝君

浦野  靖人君   遠藤   敬君   串田  誠一君   下地  幹郎君

杉本  和巳君   谷畑   孝君   馬場  伸幸君   丸山  穂高君

森   夏枝君   長島  昭久君   笠   浩史君   細野  豪志君

鷲尾 英一郎君

     ――――◇―――――

 検査官任命につき同意を求めるの件

 個人情報保護委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 地方財政審議会委員任命につき同意を求めるの件

 公安審査委員会委員任命につき同意を求めるの件

 中央労働委員会公益委員任命につき同意を求めるの件

議長(大島理森君) お諮りいたします。

 内閣から、

 検査官

 個人情報保護委員会委員長及び同委員

 地方財政審議会委員

 公安審査委員会委員

及び

 中央労働委員会公益委員に

次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申出があります。

 内閣からの申出中、

 まず、

 検査官に岡村肇君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。

 次に、

 個人情報保護委員会委員長に嶋田実名子君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。

 次に、

 個人情報保護委員会委員に中村玲子君及び藤原靜雄君を、

 地方財政審議会委員に堀場勇夫君、植木利幸君、野坂雅一君及び宗田友子君を、

 公安審査委員会委員に外井浩志君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 個人情報保護委員会委員に小川克彦君を、

 地方財政審議会委員に星野菜穗子君を、

 中央労働委員会公益委員に杉原麗君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 公安審査委員会委員に遠藤みどり君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第一 サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案(第百九十六回国会、内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長牧原秀樹君。

    ―――――――――――――

 サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔牧原秀樹君登壇〕

牧原秀樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、サイバーセキュリティーに対する脅威の一層の深刻化に鑑み、我が国におけるサイバーセキュリティーの確保の促進を図るため、官民の多様な主体が相互に連携してサイバーセキュリティーに関する施策の推進に係る協議を行うための協議会を創設する等の措置を講ずるものであります。

 本案は、第百九十六回国会に提出され、継続審査に付されていたもので、今国会では、去る十月二十四日本委員会に付託され、十一月二十一日櫻田国務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。翌二十二日に質疑を行い、質疑終局後、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) この際、暫時休憩いたします。

    午後四時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後八時三十二分開議

議長(大島理森君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

     ――――◇―――――

星野剛士君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 星野剛士君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長葉梨康弘君。

    ―――――――――――――

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔葉梨康弘君登壇〕

葉梨康弘君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に属する技能を有する外国人の受入れを図るため、当該技能を有する外国人に係る新たな在留資格に係る制度を設け、その運用に関する基本方針及び分野別運用方針の策定、当該外国人が本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約並びに当該機関が当該外国人に対して行う支援等に関する規定を整備するほか、外国人の出入国及び在留の公正な管理に関する施策を総合的に推進するため、法務省の外局として出入国在留管理庁を新設しようとするものであります。

 本案は、去る十一月十三日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託され、二十一日、山下法務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑に入り、翌二十二日参考人から意見を聴取しました。

 昨日、本案に対し、自由民主党、公明党及び日本維新の会の共同提案により、分野別運用方針の産業上の分野における人材の不足の状況に関する事項について、人材が不足している地域の状況に関する事項を含む旨を明記するとともに、附則に、制度の運用に当たっての、人材が不足している地域の状況への配慮に関する規定を追加すること、附則の検討条項として、在留外国人に係る在留管理、雇用管理及び社会保険制度における特定の個人を識別できる番号等の利用のあり方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずること、特定技能の在留資格に係る制度のあり方に関する検討について、その検討の時期を施行後三年から施行後二年に改めること等を内容とする修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取しました。

 本日、原案及び修正案に対する質疑を行い、質疑を終局し、討論、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。山尾志桜里君。

    〔山尾志桜里君登壇〕

山尾志桜里君 立憲民主党の山尾志桜里です。

 外国人労働者受入れ拡大を内容とする入管法改正案に対し、立憲民主党・市民クラブを代表して、反対の討論をいたします。(拍手)

 国家の覚悟が問われる法案が、国会に提出されてみたら何も決まっていなかった。中身が決まっていない法案が通ったとき一体何が起きるのか、お話ししたいと思います。

 決まっていない一点目。受入れ見込み数です。

 外国人労働者の受入れ拡大法案ですから、何人拡大するかは議論の大前提です。閣議決定のとき、数字は示されていませんでした。閣議決定の後に、五年間で三十四万五千人という急ごしらえの数字が提示されました。その上、審議を始めたら、この数字は、法案が成立した後に分野別に計算し直す予定ということが明らかになりました。

 法務大臣の答弁をかりれば、みずからが国会に提出した数字は素材にすぎないそうです。法案審議に素材を提出しないでいただきたい。立法府には正式な数字を出していただきたい。三十四万五千人を前提に議論しても、その後、四十万になるかもしれない、五十万になるかもしれない、百万になるかもしれない。素材の数字では責任ある質疑と採決はできません。

 二点目。上限規制です。

 今指摘したように、受入れ見込み数は決まっておりません。さらに、この見込み数は上限ではありません。法案を通した後に決める正式な数字を上限として運用したいとのことです。その運用スキームは、その一、受入れ数が見込み数に近づいた場合、法務大臣が関係省庁に注意喚起をする。その二、関係省庁の大臣が受入れ停止を求めたら、受入れを停止する。説明は以上です。

 そもそも、人材不足に悩んでいる業界の所管省庁は受入れ停止を求めないんじゃないですか。そして、所管省庁が求めなければ停止しないなら、上限として機能しないんじゃないですか。

 つまり、総理も法務大臣も受入れ数を上限として運用すると答弁しているのはごまかしで、正確には、上限として運用されたらいいなという願望ではありませんか。法案審議で願望をあたかも制度のように語らないでいただきたいと思います。

 三点目。永住資格です。

 新しい制度で受け入れる外国人の方々が永住者となっていくのか否か、今なお安倍内閣は判断を先送りにしています。総理いわく、法務大臣が決めるべき運用の問題だそうです。

 労働者として受入れ業種と人数を大幅に拡大する制度の提案ですよ。そうした人々を潜在的永住者と位置づけるか否かは、国家の主権にかかわる重要な問題であり、国家のリーダーがなすべき厳しい政治判断そのものではありませんか。安倍総理自身が、批判も甘受する覚悟で政治判断をし、閣議決定をし、覚悟を持って立法府に問うべきです。法務大臣が後で決めますと言いわけをして厳しい政治判断から身を隠すのは、総理大臣として無責任です。

 四点目。拡大する労働の範囲です。

 単純労働には拡大しないといいながら、単純労働なるものの具体例は一つも出てきません。言いかえれば、これだけは外国人労働者に拡大しませんという労働は、この質疑の間を通じて一つも存在しておりません。土を右から左に動かすだけの仕事、あるいはティッシュ配り、最初の法務省の例示も法務大臣が撤回をいたしました。つまり、この法案の正体は、省令さえつくれば、およそあらゆる労働について外国人受入れを可能にする法律になってしまっているのではありませんか。

 結局、今回の外国人労働者受入れ拡大法案は、およそあらゆる労働について、人数の上限なしに、潜在的永住者として外国人の受入れ拡大を可能とする法律として成立します。成立後、どんな枠づけをするかは時の法務大臣の采配一つです。賛成する与党の皆さんは随分法務大臣を信頼されているようですが、私たちは違います。立法府の一員として、外国人受入れ制度、すなわち日本政府以外の国際社会がおよそ移民政策と呼ぶものの根幹を法務大臣に丸投げすることはできません。

 あわせて、政府が提案している新制度は、技能実習制度なしには成り立たない制度です。政府・与党は失踪者問題と本法案を切り離そうと必死ですが、法務大臣みずから、来年四月の施行を急ぐ理由に、おくれると何万人という技能実習生が帰国してしまう旨、きょうも答弁をしています。与党の議員も、宿泊業を技能実習に追加して特定技能の供給源とする駆け込み提案をしています。技能実習制度なくして新制度なしという制度設計をしたのは政府・与党ではありませんか。

 この土台となる技能実習制度に、外国人の人権問題、労働問題という深刻な問題があり、虚偽データの発覚によってようやくその問題に光が当たり始めました。政府がなすべきは、データのコピーを認めて、与野党、政府が一体となって問題点の解決に当たる環境整備です。手書きを認めてコピーを拒絶し、事実上の拡散を最小限に抑えて、問題を再び闇に閉じ込めることはやめていただきたいと思います。

 私たち立憲民主党は提案します。

 まず、技能実習制度は、既に就労している技能実習生や適正な受入れ機関に不利益がないよう配慮しつつ段階的に廃止して、就労を正面から受けとめ受け入れる新しい制度に移管、統合していく道筋をつくるべきです。

 また、丁寧に受入れ数をコントロールして初めて、来る側、受け入れる側双方の準備が整い、多文化共生社会に向かって一歩一歩前進することができます。だからこそ、受入れ総数には上限枠、総量規制を制度としてしっかり設けるべきです。

 さらに、虚偽データの訂正すらおぼつかない法務省入国管理局に三百十九人も人員をふやして予算をつけて庁に格上げしても、在留含めた適切な管理ができるようになるとは思えません。そもそも、出入国の手綱を握る役所に在留中の暮らしの相談を安心してできるわけがありません。人員をつけて予算をつけて新しい役所をつくるなら、入国在留管理庁ではなくて、省庁横断機能を持つ多文化共生庁をつくるべきだと考えます。

 また、今回、外国人の方々の働き方を通じて浮かび上がった問題点、残業代の未払いや最低賃金割れ、長時間労働やハラスメント、これらは実は、外国人であるか日本人であるかを問わず、現代の労働市場が抱える深刻な問題です。その上で、外国人の方々は、うまく言語が通じない、抱えた借金を返すまで正当な権利を主張できない、救済機関へのアクセスが難しいなど……(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛に。

山尾志桜里君(続) 類型的な困難を抱えています。単純労働は外国人には拡大しないとか、移民政策はとらないとか、その場しのぎの曖昧な概念で線引きし、適切な待遇を受けていない日本人労働者と外国人労働者との間に分断と排除の種を埋め込まないでいただきたいと思います。

 国家の決定は人間の人生を左右します。今回法案の対象となっている外国人労働者も、今厳しい労働環境にあえいでいる日本人労働者も、生活者であり人間です。そして、働くという営みは、生計を立てる重要な手段というだけでなく、仕事を通じて夢をかなえたり新しい未来をつかんだりするための自己実現に直結します。だから、働く営みの中で労働者の尊厳を傷つけるような働かせ方を許す制度の見直しは、先送りにしてはならないと思います。

 しかし、今国会における本法案の審議は、働く生活者たる外国人を受け入れていく日本社会の大きな転換とその重さに値する審議ではありませんでした。

 詰め込み質疑を強行し、行政府と立法府のコミュニケーションはとれず、大臣は通告がありませんでしたと言いわけを連発しながら、出すべきデータは出さずじまいです。

 偽りのデータを土台にして、空っぽの法案を提出した政府に対し、アリバイづくりの時間を積み重ねることが立法府の役割ではないはずです。

 多文化共生は簡単な話じゃありません。大豆やトウモロコシの輸入とは違い、国内供給がふえたら輸入ストップというわけにはいきません。人間を国家に受け入れる話をしています。目先の経済や支持母体の顔色ばかり見て、きちんと制度設計せずにドアをあけたら、簡単に閉じることはできず、取り返しのつかない分断を生みます。だから、きちんと制度設計するための議論を続け、成熟させるのは、国会の責務なのです。

 法務委員長、議院運営委員会委員長、あるいは衆議院の議長。国会運営の長の多くは、公平中立という名のもとに与党の議員が担います。しかし、いかに公平中立の仮面をかぶっても、最後はリスクをとらず、政権に唯々諾々と従うようなこんな運営を続けていたら、立法府は壊れます。もう壊れていると思います。

 権限ある人間が、いざというときにその権限を勇気と正義感を持って使わないのであれば、その人間は傍観者ではなく共犯者だと思います。

 法務委員会での強行採決、そして緊急上程、さらには、熟議がないままブザーが押され、本会議での採決がなされることに、この場から強く抗議をいたします。

 外国人受入れという国家の覚悟を問う法案に対し、立法府としての熟議が全く果たせていないまま、行政府の下請になって賛成することは誤りです。私たちは、立法府の責任を果たす立場から、そして国家の品格にかけて外国人の方々の尊厳を守る立場から、信念に基づき、本法案に対して反対いたします。(拍手)

議長(大島理森君) 平沢勝栄君。

    〔平沢勝栄君登壇〕

平沢勝栄君 自由民主党の平沢勝栄でございます。

 私は、自由民主党を代表しまして、ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 アベノミクスの推進により、成長から分配への経済の好循環が確実に回りつつある中、有効求人倍率は約四十四年ぶりの高さとなっています。その一方で、少子高齢化の影響により、労働力となり得る生産年齢人口は年々減少し、本年一月には初めて全人口の六割を割りました。

 このように、現下の人手不足の状況は極めて深刻であり、私の地元の中小企業などでも人手不足の窮状を訴える声には極めて切実なものがあり、このことはここにおられる皆さん方全てに共通の認識ではないかと思います。

 本法律案は、まさにこうした現下の人手不足に対応するための重要な法案であり、一日も早く成立させる必要があると考えています。

 今回の受入れ制度は、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充するものであり、真に人手不足の分野に限り、期限を付して、一定の専門性や技能を有し、即戦力となる外国人に限って受入れを行おうとするものであります。いわゆる移民政策でもなければ、単純労働者を受け入れるものでもありません。

 政府の示した現時点での特定技能一号による五年間の受入れ見込みの数は、最大で三十四万人程度であり、我が国の現在の総人口のおおむね〇・二から〇・三%に相当するものでございます。さらに、特定技能二号につきましては、熟練した技能を要し、難易度の高い試験による選定を経ることから、受入れのハードルはかなり高く、相当限られた人数になるものと考えています。

 しかしながら、一部の野党は、移民法であるなどと主張し、殊さらに国民に誤解を与えるレッテル張りをしていることは大変に残念でなりません。

 また、一部の野党は、本法律案につきまして、中身がないなどと批判もしていますが、本法律案では、特定技能の在留資格に関する規定のほか、受入れ機関等に関する規定、支援に関する規定のほか、在留管理の強化に関する規定として、届出事項の拡充や受入れ機関等に対する指導助言、立入検査や改善命令等が設けられているなど、その内容は多岐にわたっています。

 野党は、そうした本制度の中身に関する質疑よりもむしろ、別の制度である技能実習制度を殊さら取り上げ、あたかも本制度にも問題があるような態度に終始しました。

 しかし、野党の指摘は旧制度下における問題点であって、平成二十九年十一月以降は、新たな技能実習法が施行されており、そのもとでさまざまな対応策が実施されていることは御案内のとおりであります。

 しかも、今回の受入れ制度では、旧技能実習制度についての指摘を踏まえ、在留管理を強化するなど、適切に対応できる仕組みを考えているわけで、技能実習生にとってもメリットの大きい制度と言えるわけでございます。

 ただ、失踪した技能実習生のデータ集計に誤りがあったことにつきましては、極めて遺憾であり、このことにつきましては、与党としても法務省に強く猛省と再発防止を申し入れたところであります。

 ともかく、技能実習生の労働環境などに一部問題があることは事実ですが、ほとんどの技能実習生は真摯に実習に取り組み、制度が適切に運用されているのが実態であります。このことは、ベトナムやインドネシアなど、多くの国から技能実習制度が高く評価されていることからもうかがえるところであります。

 一部の野党による、改正案審議の前提が崩れたなどとの指摘は、全く見当違いと言わざるを得ません。

 現下の深刻な人手不足への対策は待ったなしの状況にあり、法務委員会では、制度の必要性、受入れ業種とその見込み数、特定技能の要件、技能実習制度との関係などについて、参考人質疑も行いつつ、必要な審議を行ってきました。

 新たな制度に対する懸念についても質疑がなされ、今回の受入れによって日本人の雇用や治安に影響を与えないという点についても丁寧な説明が行われたところであります。

 その上で、本法律案につきましては、今般、自民、公明、維新の三党共同で修正をし、地域における人材不足の状況に配慮する規定や所要の検討事項などを設けたわけであります。これによって、改正法律案は、より充実し、より幅広く国民から支持される内容になったものと確信しております。

 最後に、現下の深刻な人手不足の状況に対応するためには、本法律案を早期に成立させ、持続可能な経済社会を実現させていくことが重要であることを重ねて申し上げまして、私の賛成討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 階猛君。

    〔階猛君登壇〕

階猛君 国民民主党の階猛です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、政府提出の入管法改正案につき、反対討論を行います。(拍手)

 以下、理由を述べます。

 まず、本法案では、特定技能なる在留資格を得るために必要な技能、知識の水準、新たな在留資格が認められる業種と受入れ人数、新たな在留資格による外国人労働者の処遇の水準などが法文上明らかではありません。特定技能とは名ばかりで、その実態は不特定技能です。

 政府は、本法案成立後に法務省令で規定するとしますが、制度の本質的部分を法律で定めず行政府に包括的に白地で委任することは、国会を唯一の立法機関とする憲法四十一条の規定に反します。と同時に、恣意的な行政権の行使によって業界団体等と政府・与党との癒着の構造が生じやすく、行政執行の公正さを損ないます。

 国民民主党は、外国人の受入れ上限数を決定する客観的かつ合理的な基準を法律で定めるべきだと考えます。これにより癒着の構造を防ぎ、日本人の処遇水準の低下など社会への悪影響も防ぐことができます。さらに、この上限数を政府のように分野ごとだけではなく、産業別、地域別に決定することで、人手不足がより深刻な地方において確実に外国人材を迎えることにつながります。

 この法案が準備不足であることは法務委員会の与党筆頭理事ですら公の場で認めています。こうした内容不十分な法案を政府が国会に提出することは、国会を冒涜していると言わざるを得ません。

 次に、本法案施行により増加する外国人労働者の見込み数とその根拠、特定技能一号資格を得る外国人労働者の主たる供給源となる技能実習制度の運用状況などは、本法案を審議する上で不可欠な情報です。本来であれば、これらにつき正確な資料を政府は審議前に開示すべきでした。

 しかしながら、前者については、本会議で代表質問が行われた日の翌日に数値だけが示され、算定根拠が示されたのは、その二日後の夜でした。加えて、経産省所管の三業種については、特定技能一号の供給源はほぼ一〇〇%特定技能実習生となっており、その根拠を突き詰めると、経産副大臣は、仮置きだと驚きの答弁を連発しました。

 また、後者に至っては、昨年失踪した技能実習生約二千八百名の聴取票の開示を我々が求めたのに対し、法務省はプライバシー侵害や刑事訴追のおそれなどを口実にこれを拒んだ上、聴取結果を取りまとめた資料だとして、あたかも現行制度に問題がないかのような内容を記載したものを提示し続けたのです。

 ところが、たび重なる交渉の結果、聴取票の一部議員への閲覧が認められた途端、法務省は取りまとめ資料には集計結果とそれに基づく評価の面で著しい誤りがあることを認め、謝罪するに至ったのです。さらに、その後訂正された資料についても不適切な表現が散見され、法務大臣は再修正を検討している最中です。

 前国会では、財務省の文書改ざん、厚労省の不適切なデータ、防衛省のずさんな文書管理が問題となり、議長の所感でも再発防止を求めたにもかかわらず、何ら改善が見られません。

 さきに述べたとおり、経産省所管の三業種を含め、政府が特定技能一号の導入を検討中の十四業種の中で、その供給源を技能実習生に頼っているものが数多くあります。技能実習制度は、事実上新制度の土台です。その実態把握を誤り、問題点を改善しないままに新制度を構築したならば、壊れた土台の上に家を建てるようなもの、すぐに崩れてしまうでしょう。

 国民民主党は、新制度を導入する前に、この技能実習制度を始め、留学生のアルバイトや日系人など現行の外国人労働者の各種受入れ制度の実態把握をきちんとした上で、制度の抜本的見直しをするべきだと考えます。

 国会と国民の判断を誤らせるようなずさんな資料、誤った資料を放置したまま採決することなど認められません。拙速な採決の前に、まずは政府に正確な情報、生の情報を迅速に開示してもらうのが国会の当然の責務です。

 以上のとおり、本法案は、その内容面や審議に不可欠な資料の面で大きな問題を抱えており、本来であれば法務委員会で法案を審議できる状況ではありません。

 しかしながら、現下の全国的に深刻な人手不足、本法案に対する国民の関心の高さに鑑み、我々はできるだけ積極的に審議に応じ、建設的な議論を行うよう努めてきました。

 にもかかわらず、法務委員長と与党理事は、前述の資料の誤りで審議が長時間中断した十六日には、別の内閣提出法案の政府質疑、採決を終えた後、一般質疑、本法案の趣旨説明、政府質疑のいわゆる五階建ての委員会運営を深夜までかけて強行しようとしたのです。

 さらに、二十一日の七時間の政府質疑の後の午後六時過ぎに、法務委員会の定例日ではない翌二十二日に、本法案の参考人質疑に加え、政府質疑を行うことを委員長職権で決定。二十二日の審議終了後の午後七時ごろには、やはり定例日ではない二十六日にも政府質疑を行うことを委員長職権で決定。あげくの果て、本日、重要広範議案であるにもかかわらず、たった十七時間の審議で強行採決されたのです。法務委員会は、いつから無法委員会になったのでしょうか。

 しかも、この間、我々のたび重なる要請にもかかわらず、前述の失踪した技能実習生約二千八百名もの聴取票の写し配付に政府と与党が応じないため、委員会が開催されていない時間は、閲覧を許された我々の会派に所属する法務委員などが聴取票の転記と分析に忙殺されました。法務省ほか、本法案に関係する各省の職員の側も、必要な資料の不備を補い、急遽設定される政府質疑への答弁を準備するため、連日、深夜にわたる長時間労働を強いられたのです。

 こうした各方面に無理を強い、悪影響を及ぼすような異常に過密な委員会運営を行う理由について、二十二日の理事会で自民党理事の一人は、会期末が十二月十日と決まっているからだと信じがたい発言を行いました。審議の内容、方法を問わず短期間で採決しようという姿勢は、議会制民主主義の本質を踏みにじるものであり、断じて容認できません。

 本年七月三十一日、衆議院議長から国会議員と行政府に向けた異例の所感が発表されました。憲法前文と四十一条の文言を引用しつつ、前国会では、法律の制定や行政監視における立法府の判断を誤らせるおそれのあるものや、行政執行の公正さを問われた諸々の事案など、民主的な行政監視、国民の負託を受けた行政執行といった点から、民主主義の根幹を揺るがす問題が生じたとしています。その上で、行政府と立法府に対し、深刻な自省と改善を求めています。

 しかしながら、政府と与党は、自省と改善に取り組むどころか、今国会のいわゆる入管法改正案の審議においては、法案自体の内容、法案審査に不可欠な資料、法案審査の手続、それぞれの面で、さらなる民主主義の根幹を揺るがす問題を生じさせているのです。

 立法府の長である衆議院議長による異例の所感が、このまま政府と与党によって無視されることがあってはなりません。国会の権威を取り戻し、国民の国政への信頼を取り戻すためにも、議員各位に対し本法案への反対を強く要請しまして、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 浜地雅一君。

    〔浜地雅一君登壇〕

浜地雅一君 公明党の浜地雅一です。

 公明党を代表し、政府提出、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案及び自民、公明、維新による同修正案に対し、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 現在、我が国に在留する外国人は約二百六十万人、そのうち百二十八万人が就労している状況でありますが、人手不足が特に深刻な建設や宿泊、外食産業を始めとする業種においては、就労を直接の目的とする在留資格はない状況です。

 そのため、かかる分野では、本来、技能の国際移転を目的とする技能実習生や多くの留学生の資格外活動に頼っている状況の中、本法律案は、人手不足が顕著な分野に真正面から就労資格を認める特定技能一号及び二号を創設する内容であり、大変有意義なものであります。

 深刻な人手不足に早急に対応するため、一日も早く成立させる必要があります。

 法務委員会の審議では、政府基本方針、分野別運用方針や省令の検討状況について質問が相次ぎましたが、政府答弁を始め、随時提出された資料等により、制度の根幹部分が明らかとなりました。

 具体的には、受入れ業種を十四業種とし、その規模感は、初年度の受入れ見込み数を三万二千八百人から四万七千五百五十人、五年後の受入れ見込み数を二十六万二千七百人から三十四万五千百五十人と示し、分野別運用方針で確定する人数を受入れの上限とすることも答弁で明らかとなりました。

 そもそも入管業務には行政裁量が広く認められ、他の在留資格には受入れ上限数などないところでございますが、雇用や国民生活への影響を考慮し、分野別運用方針に特定技能外国人の受入れ上限数を明記するとしたことは、今後の労働人口を予測する上で意義があるものと考えます。

 また、報酬の水準も日本人と同等以上とし、その他教育訓練の実施や福利厚生施設の利用においても差別的取扱いの禁止が法案に明記されております。

 雇用形態も直接雇用を原則とした上で、農業分野など派遣形態が必要不可欠な分野に限り認めることも明らかとなりました。

 さらに、雇用契約及び支援計画の内容が遵守されるよう届出事項を詳細化し、加えて、保証金を徴取された外国人を受け入れることができない仕組みとなっているなど、特定技能外国人が適法、適切に就労する環境を確保できる制度となっています。

 加えて、業所管庁が行う試験についても、実施の場所や、筆記に加え実技試験を課すなど、詳細な答弁もありました。

 永住許可との関係も、特定技能一号は永住許可ガイドラインの就労期間に含めないこと、他方、同二号については就労期間に含める方向で検討されていることも答弁で明らかとされました。

 また、特定技能一号外国人が帰責なく解雇された場合には、転職を含めた支援を行うことを受入れ機関等に義務づけるなど、熟練した知識、技能の水準にまで達しない特定技能一号外国人に対して適切な支援を行う仕組みとなっており、評価できます。

 創設される出入国在留管理庁においては、公正な在留を確保するため、受入れ機関に対し、雇用契約や支援計画の内容変更を始め、随時、定期的に届出がなされ、かつ、受入れ機関への改善命令権、立入調査権が付与されるなど、特定技能外国人の在留状況を的確に把握することが可能となり、高く評価します。

 さらに、外国人の就労を始め生活支援も行うべく、法務省には関係府省庁に対する総合調整機能が付与され、本格的な多文化共生社会の構築に政府一丸となって取り組むことになります。

 政府には、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応検討会での議論を更に加速させ、特に外国人の就労、生活の場を支える地方公共団体の声を聞き、外国人支援に携わる関係機関への適切な支援を行うことを切に要望します。

 また、修正案の附則において、特定技能外国人が過度に大都市圏及びその他特定地域に集中しないよう政府に努力義務を設けたことも高く評価します。

 以上のとおり、本制度の根幹部分については質疑を通じて明らかにされており、一部野党が批判するような、すかすかの制度ではないということを強く申し上げます。

 なお、旧技能実習制度下での失踪の聴取票の集計データの誤りについては、弁解の余地はなく、法務省には猛省を促します。

 一方で、技能実習制度は、平成二十八年十一月に、監理団体を許可制とし、実地調査権が付与された外国人技能実習機構を創設するなどの改正を行い、昨年十一月に施行されております。

 施行後間もない期間ではありますが、外国人技能実習機構は、既に三千七百件に及ぶ実地調査を行うなど、改正の効果は確実にあらわれ始めております。具体的には、ことし六月までの速報値によると、失踪者の割合は、昨年の二%程度から、ことしは一・三%に低下しております。

 また、参考人質疑においては、ベトナム政府認定の送り出し機関の代表者から意見を聴取しましたが、ベトナムでは、日本に技能実習生を送り出す場合、保証金を徴収してはならない規定があることが周知されており、特定技能においても、送り出し国側に対し、保証金の徴収禁止など、制度の詳細を広報することが重要になると考えます。

 法務省においては、今般設置された、門山法務大臣政務官をヘッドとする技能実習制度の運用プロジェクトチームにおいて詳細な分析、検討を行い、さらなる運用の改善を図り、失踪者の減少につなげるよう強く要望いたします。

 最後に、本法案を契機に、我が国は本格的な外国人との共生社会への構築に乗り出すことになります。外国人材を単なる労働力の補完として捉えるのではなく、生活者であることを念頭に、外国人材が安心して働き、学び、生活できる日本とすることが、今後本格化する世界の人材獲得競争に勝ち抜く最も重要な視点であることを申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 黒岩宇洋君。

    〔黒岩宇洋君登壇〕

黒岩宇洋君 無所属の会の黒岩宇洋です。

 私は、ただいま議題となりました入管難民法改正案について、反対の立場から討論を行います。(拍手)

 まず、反対の理由として、与党の、想像を絶する強引な委員会運びが挙げられます。

 昨年から続く安倍官邸、政府の立法府軽視が更に顕著になり、官邸の下請と化していく法務委員会を哀れにさえ感じ、脱力感を覚えました。

 たった四日の審議日程のうち、四分の三に当たる三日が委員長の職権立て、半分の二日が定例日外。ちなみに、法務委員会の歴史上、定例日外開催は初めての前例となり、それも、月曜、木曜と、定例日外がフル稼働。これでは、戦時中の月月火水木金金です。結果、祝日、土日、三連休を挟んでも丸一週間で重要広範扱い議案が衆議院を通過しようとしております。

 政府質疑は合計十四時間で、その間の理事会、理事懇に費やされた時間と同程度。これがいかに尋常でないかは与党議員の皆さんもおわかりになるでしょう。こんな採決ありきの日程で、生煮えどころか、煮込む素材が出そろう前の採決では、到底十分な審議と言えるはずがありません。

 次に、中身もひどいものです。

 特段指摘しなければならないのが、受入れ見込み分野とその受入れ人数です。

 分野については、現段階では定義もはっきりしない、業種という形で、各省ばらばらの理解のもとに、十四業種が要望として四省から上がっております。各省の所管業種全般に対してどのように要望を募ったのか。どのような手法でこれらの業種が選別されたのか。選別されなかった業種があるやに聞いておりますが、選別されなかった理由など、全く判然としていません。

 これで、このままこの業種が分野として省令に明記されるようでは、まさに特定技能分野利権ができ上がってしまうでしょう。

 受入れ見込み数は、五年後の人材不足数から生産性向上による人手確保と国内人材確保の二つの数字を引いて求められます。すなわち、三つの数字が客観性と合理的で精緻な積算根拠に基づかなければ、相当幅のある、言い方をかえれば、いいかげんな受入れ見込み数となる仕組みとなっています。

 五年後の人材不足数の積算根拠でいえば、厚労大臣が予算委員会で答弁した、有効求人倍率を用いている業種は、十四のうち、たったの三つにすぎません。生産性向上については、十四業種のうち十一業種が年率一%向上という、何の根拠もないまま、四省を横断して同じ数字を用いております。国内人材確保は、十四業種のうち、その人数を数式など数的根拠で示した業種は一つもありません。農業に至っては、国内人材確保八万人の根拠が、もともとある二〇二三年までの目標数という見事なまでの精緻な積算根拠。人をばかにしてもらっては困ります。

 これでどうやって、受入れ見込み数、そしておおよその上限を国民に納得させられるのでしょうか。理解不能です。

 最後に、新設予定の出入国在留管理庁について一言申し上げます。

 法務省からすれば、短期的には、組織が拡大され、ポストもふえ、あめ玉をぶら下げられたと思っているかもしれません。しかし、中長期的に見れば、大変厳しいしっぺ返しを食らうでしょう。外国人労働者の在留管理を三百人規模の組織で賄うことなどできるはずがないからです。今後も、外国人労働者の雇用・生活環境にまつわる問題、広く人権問題があらゆる場面で勃発します。その責任を一手に引き受けるリスクを法務省は理解しているのでしょうか。

 今法案の問題点はまだまだ限りなく存在します。今後の政府基本方針、分野別運用方針、法務省令という地下三階部分に眠るこの制度の本質が真っ暗闇のままの今法案に断固反対することを申し上げて、私の反対討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 串田誠一君。

    〔串田誠一君登壇〕

串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。

 入管法改正に関し、原案及び修正案に、日本維新の会を代表して、賛成する立場から討論いたします。(拍手)

 今般の入管法改正に関しては、日本人の労働環境が悪化するのではないかという懸念がありました。特に、転職が認められるということで、都市部へ移ってしまい、就職争いが日本人との間で繰り広げられるのではないか、地方の人手不足は解消されないのではないかという懸念がありました。また、技能実習生の失踪は後を絶たず、治安の面からもゆゆしき状況です。

 しかし、一方では、我が国の九七%が中小企業であり、その人手不足は深刻で、倒産寸前となっているという現状もあります。

 このさまざまな問題に直面したとき、日本維新の会としては、単に賛成、反対を表明するのではなく、問題点を改善することを目指すことにし、修正協議を重ねました。その結果、運用方針に地域偏在に配慮する条項を明記し、在留管理に関しては個人識別番号を検討すること、制度のあり方に関する検討を三年から二年にしてきめ細かな対応をすることができること等の修正が行われるということで、賛成することを決断しました。

 今後とも、修正の趣旨に即した運用がなされることを強く要望しまして、賛成討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 藤野保史君。

    〔藤野保史君登壇〕

藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、入管法等改正案に対して、断固反対の討論を行います。(拍手)

 反対理由の第一は、議会制民主主義を踏みにじる審議の進め方です。

 本案の審議は二十一日の法務委員会で始まったばかりであり、審議すればするほど問題が明らかになっています。世論調査でも、日を追うごとに、今国会の成立にこだわるべきではないという意見がふえ、今や八割を超えています。今、国会がやるべきことは、この国民の声に応えて徹底的な審議を行うことです。

 ところが、政府・与党は、安倍総理の外遊日程に合わせて委員会の審議日程を決め、本案を採決しようとしています。これは、国会を政府の下請機関におとしめるものであり、言語道断です。

 第二に、本法案が、人手不足を理由に、外国人労働者を雇用の調整弁にしようとしていることです。

 本案は、受入れ業種や規模、人数など、具体的なことは全て省令以下に委ねる白紙委任法であり、法案の体をなしていません。

 本案で新設される特定技能一号の在留資格は、一年ごとの更新制です。また、在留の前提となる雇用契約は一年以下、例えば三カ月の短期契約も可能です。さらに、派遣契約も排除していません。

 結局、本案は、五年を上限として雇用契約や在留期間を短期で繰り返す外国人の非正規労働者をつくり出すものです。これは、外国人労働者を雇用の調整弁とするものにほかならず、断じて認めることはできません。

 第三に、本法案が、安価な労働力としての技能実習制度を使い続けるために、うそにうそを重ねる欺瞞的な法案となっている点です。

 政府は、技能実習制度について、国際貢献を建前としつつ、実際には劣悪な労働条件で働かせています。本音と建前を使い分ける欺瞞的な受入れを続けてきたことが、矛盾を拡大させ、多くの実習生を苦しめています。

 安倍総理は、本法案で技能実習生の実態が改善されるかのような答弁をしていますが、本案には、実習生の処遇を改善する規定は一つもありません。参考人質疑では、母国や日本国内でのブローカー規制が全くない、あるいは、人材派遣ビジネスが横滑りしてくるのではないかなどの指摘が相次ぎましたが、こうした課題は野放しのままです。

 本法案は、実習生からの移行を前提にしています。実際、受入先十四業種のうち十三業種が実習生からの移行を前提とし、その多くが八割から十割の移行を見込んでいます。山下大臣の、半年おくれれば数万の方々が帰国してしまうという答弁は、本法案が、今ある技能実習生を使い続けようとするものであることを如実に示しています。

 失踪した技能実習生からの聴取票は、実習生の実態を解明する上で不可欠の資料です。その提出を政府・与党が拒否する中でも、野党が八百八十四枚の聴取票を調べたところ、八六%が最賃割れだということが明らかになりました。暴力やセクハラなど人権侵害も浮き彫りになっています。こうした実態を踏まえて、徹底審議を行うことこそ国会の責務です。

 劣悪な状態にある技能実習生をそのまま使い続けるために本法案を無理やり押し通すことは、二重、三重に許されません。

 このことを強く主張して、討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百五十三

  可とする者(白票)       三百十七

  否とする者(青票)       百三十六

議長(大島理森君) 右の結果、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。(拍手)

    ―――――――――――――

出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案を委員長報告のとおり決するを可とする議員の氏名

あかま 二郎君   あきもと 司君   あべ  俊子君   安倍  晋三君

逢沢  一郎君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   秋本  真利君

麻生  太郎君   穴見  陽一君   甘利   明君   安藤  高夫君

安藤   裕君   井野  俊郎君   井上  信治君   井上  貴博君

井林  辰憲君   伊東  良孝君   伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君

伊藤  達也君   伊吹  文明君   池田  道孝君   池田  佳隆君

石崎   徹君   石田  真敏君   石破   茂君   石原  伸晃君

石原  宏高君   泉田  裕彦君   稲田  朋美君   今枝 宗一郎君

今村  雅弘君   岩田  和親君   岩屋   毅君   うえの賢一郎君

上杉 謙太郎君   上野  宏史君   江崎  鐵磨君   江渡  聡徳君

衛藤 征士郎君   遠藤  利明君   小倉  將信君   小此木 八郎君

小里  泰弘君   小田原  潔君   小野寺 五典君   小渕  優子君

尾身  朝子君   越智  隆雄君   大岡  敏孝君   大串  正樹君

大隈  和英君   大塚  高司君   大塚   拓君   大西  英男君

大西  宏幸君   大野 敬太郎君   大見   正君   岡下  昌平君

奥野  信亮君   鬼木   誠君   加藤  鮎子君   加藤  勝信君

加藤  寛治君   梶山  弘志君   勝俣  孝明君   門   博文君

門山  宏哲君   金子  俊平君   金子 万寿夫君   金子  恭之君

金田  勝年君   上川  陽子君   神谷   昇君   神山  佐市君

亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君   河井  克行君

河村  建夫君   神田  憲次君   神田   裕君   菅家  一郎君

木原  誠二君   木原   稔君   木村  次郎君   木村  哲也君

木村  弥生君   城内   実君   黄川田 仁志君   岸   信夫君

岸田  文雄君   北川  知克君   北村  誠吾君   工藤  彰三君

国光 あやの君   熊田  裕通君   小泉 進次郎君   小泉  龍司君

小島  敏文君   小寺  裕雄君   小林  茂樹君   小林  鷹之君

古賀   篤君   後藤  茂之君   後藤田 正純君   河野  太郎君

高村  正大君   國場 幸之助君   左藤   章君   佐藤  明男君

佐藤   勉君   佐藤 ゆかり君   齋藤   健君   斎藤  洋明君

坂井   学君   坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君

塩崎  恭久君   塩谷   立君   繁本   護君   柴山  昌彦君

下村  博文君   白須賀 貴樹君   新谷  正義君   新藤  義孝君

菅   義偉君   菅原  一秀君   杉田  水脈君   鈴木  馨祐君

鈴木  俊一君   鈴木  淳司君   鈴木  貴子君   鈴木  憲和君

鈴木  隼人君   関   芳弘君   薗浦 健太郎君   田所  嘉徳君

田中  和徳君   田中  英之君   田中  良生君   田野瀬 太道君

田畑   毅君   田畑  裕明君   田村  憲久君   平   将明君

高市  早苗君   高木   啓君   高木   毅君   高鳥  修一君

高橋 ひなこ君   竹下   亘君   竹本  直一君   武井  俊輔君

武田  良太君   武部   新君   武村  展英君   橘  慶一郎君

棚橋  泰文君   谷   公一君   谷川  とむ君   谷川  弥一君

津島   淳君   土屋  品子君   寺田   稔君  とかしきなおみ君

冨樫  博之君   渡海 紀三朗君   土井   亨君   冨岡   勉君

中曽根 康隆君   中谷   元君   中谷  真一君   中根  一幸君

中村  裕之君   中山  展宏君   中山  泰秀君   永岡  桂子君

長尾   敬君   長坂  康正君   二階  俊博君   丹羽  秀樹君

西田  昭二君   西村  明宏君   西村  康稔君   西銘 恒三郎君

額賀 福志郎君   根本   匠君   根本  幸典君   野田  聖子君

野田   毅君   野中   厚君   葉梨  康弘君   萩生田 光一君

橋本   岳君   馳    浩君   鳩山  二郎君   浜田  靖一君

林   幹雄君   原田  憲治君   原田  義昭君   百武  公親君

平井  卓也君   平口   洋君   平沢  勝栄君   福井   照君

福田  達夫君   福山   守君   藤井 比早之君   藤丸   敏君

藤原   崇君   船田   元君   船橋  利実君   古川   康君

古川  禎久君   古田  圭一君   古屋  圭司君   穂坂   泰君

星野  剛士君   細田  健一君   細田  博之君   堀井   学君

堀内  詔子君   本田  太郎君   牧島 かれん君   牧原  秀樹君

松島 みどり君   松野  博一君   松本   純君   松本  剛明君

松本  文明君   松本  洋平君   三浦   靖君   三谷  英弘君

三ッ林 裕巳君   三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君

宮内  秀樹君   宮川  典子君   宮腰  光寛君   宮崎  政久君

宮澤  博行君   宮路  拓馬君   宮下  一郎君   武藤  容治君

務台  俊介君   宗清  皇一君   村井  英樹君   村上 誠一郎君

望月  義夫君   茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君

森山   裕君   八木  哲也君   簗   和生君   山際 大志郎君

山口  俊一君   山口  泰明君   山口   壯君   山下  貴司君

山田  賢司君   山田  美樹君   山本  幸三君   山本ともひろ君

山本  有二君   吉川  貴盛君   吉野  正芳君   義家  弘介君

和田  義明君   若宮  健嗣君   渡辺  孝一君   渡辺  博道君

赤羽  一嘉君   井上  義久君   伊佐  進一君   伊藤   渉君

石井  啓一君   石田  祝稔君   稲津   久君   浮島  智子君

江田  康幸君   大口  善徳君   太田  昭宏君   太田  昌孝君

北側  一雄君   國重   徹君   佐藤  茂樹君   佐藤  英道君

斉藤  鉄夫君   高木 美智代君   高木  陽介君   竹内   譲君

遠山  清彦君   富田  茂之君   中野  洋昌君   浜地  雅一君

濱村   進君   古屋  範子君   桝屋  敬悟君   鰐淵  洋子君

足立  康史君   井上  英孝君   浦野  靖人君   遠藤   敬君

串田  誠一君   下地  幹郎君   杉本  和巳君   谷畑   孝君

馬場  伸幸君   丸山  穂高君   森   夏枝君   細野  豪志君

鷲尾 英一郎君

否とする議員の氏名

阿久津 幸彦君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君   荒井   聰君

池田  真紀君   石川  香織君   今井  雅人君   生方  幸夫君

枝野  幸男君   小川  淳也君   尾辻 かな子君   大河原 雅子君

逢坂  誠二君   岡島  一正君   岡本 あき子君   落合  貴之君

海江田 万里君   神谷   裕君   亀井 亜紀子君   川内  博史君

菅   直人君   菊田 真紀子君   近藤  昭一君   佐々木 隆博君

櫻井   周君   篠原   豪君   末松  義規君   高井  崇志君

高木 錬太郎君   武内  則男君   辻元  清美君   手塚  仁雄君

寺田   学君   中谷  一馬君   長尾  秀樹君   長妻   昭君

西村 智奈美君   長谷川 嘉一君   初鹿  明博君   福田  昭夫君

堀越  啓仁君   本多  平直君   松田   功君   松平  浩一君

道下  大樹君   宮川   伸君   村上  史好君   森山  浩行君

矢上  雅義君   山内  康一君   山尾 志桜里君   山川 百合子君

山崎   誠君   山花  郁夫君   山本 和嘉子君   横光  克彦君

吉田  統彦君   早稲田 夕季君   青山  大人君   浅野   哲君

伊藤  俊輔君   泉   健太君   稲富  修二君   小熊  慎司君

大島   敦君   大西  健介君   岡本  充功君   奥野 総一郎君

吉良  州司君   城井   崇君   岸本  周平君   源馬 謙太郎君

小宮山 泰子君   後藤  祐一君   近藤  和也君   斉木  武志君

階    猛君   篠原   孝君   下条  みつ君   白石  洋一君

関  健一郎君   玉木 雄一郎君   津村  啓介君   西岡  秀子君

原口  一博君   平野  博文君   古川  元久君   古本 伸一郎君

前原  誠司君   牧   義夫君   緑川  貴士君   森田  俊和君

山岡  達丸君   山井  和則君   渡辺   周君   安住   淳君

江田  憲司君   大串  博志君   岡田  克也君   金子  恵美君

黒岩  宇洋君   玄葉 光一郎君   田嶋   要君   中川  正春君

中村 喜四郎君   野田  佳彦君   広田   一君  もとむら賢太郎君

赤嶺  政賢君   笠井   亮君   穀田  恵二君   志位  和夫君

塩川  鉄也君   田村  貴昭君   高橋 千鶴子君   畑野  君枝君

藤野  保史君   宮本  岳志君   宮本   徹君   本村  伸子君

照屋  寛徳君   吉川   元君   井上  一徳君   中山  成彬君

長島  昭久君   笠   浩史君   日吉  雄太君   青山  雅幸君

赤松  広隆君   井出  庸生君   柿沢  未途君   佐藤  公治君

重徳  和彦君   樽床  伸二君   松原   仁君   柚木  道義君

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後九時四十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣    石田 真敏君

       法務大臣    山下 貴司君

       厚生労働大臣  根本  匠君

       国務大臣    櫻田 義孝君

       国務大臣    菅  義偉君

       国務大臣    宮腰 光寛君


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