衆議院

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第20号 平成31年4月23日(火曜日)

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平成三十一年四月二十三日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十三号

  平成三十一年四月二十三日

    午後一時開議

 第一 中央北極海における規制されていない公海漁業を防止するための協定の締結について承認を求めるの件

 第二 二千一年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の締結について承認を求めるの件

 第三 二千七年の難破物の除去に関するナイロビ国際条約の締結について承認を求めるの件

 第四 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第六 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第七 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第八 電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 中央北極海における規制されていない公海漁業を防止するための協定の締結について承認を求めるの件

 日程第二 二千一年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の締結について承認を求めるの件

 日程第三 二千七年の難破物の除去に関するナイロビ国際条約の締結について承認を求めるの件

 日程第四 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第六 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第七 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第八 電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。

 第四番、大阪府第十二区選出議員、藤田文武君。

    〔藤田文武君起立、拍手〕

 第四十七番、近畿選挙区選出議員、清水忠史君。

    〔清水忠史君起立、拍手〕

     ――――◇―――――

 日程第一 中央北極海における規制されていない公海漁業を防止するための協定の締結について承認を求めるの件

 日程第二 二千一年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の締結について承認を求めるの件

 日程第三 二千七年の難破物の除去に関するナイロビ国際条約の締結について承認を求めるの件

議長(大島理森君) 日程第一、中央北極海における規制されていない公海漁業を防止するための協定の締結について承認を求めるの件、日程第二、二千一年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、日程第三、二千七年の難破物の除去に関するナイロビ国際条約の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長若宮健嗣君。

    ―――――――――――――

 中央北極海における規制されていない公海漁業を防止するための協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 二千一年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 二千七年の難破物の除去に関するナイロビ国際条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔若宮健嗣君登壇〕

若宮健嗣君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、中央北極海無規制公海漁業防止協定は、平成三十年十月にグリーンランドのイルリサットにおいて作成されたもので、中央北極海の公海水域における規制されていない漁獲を防止することを目的として、この水域における漁獲に対する予防的な保存管理措置の適用等について定めるものであります。

 次に、燃料油汚染損害の民事責任条約は、平成十三年三月にロンドンで開催された国際会議において採択されたもので、船舶からの燃料油の流出又は排出による汚染損害についての船舶所有者の責任及び強制保険、締約国の裁判所が下す判決の承認等について定めるものであります。

 最後に、難破物除去ナイロビ条約は、平成十九年五月にナイロビで開催された国際会議において採択されたもので、危険をもたらす難破物の除去のための措置、難破物の除去に関係する費用についての船舶の登録所有者の責任及び強制保険等について定めるものであります。

 以上三件は、去る四月十一日外務委員会に付託され、翌十二日河野外務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。十七日に質疑を行い、順次採決を行いました結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 三件を一括して採決いたします。

 三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第四 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第四、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長坂井学君。

    ―――――――――――――

 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔坂井学君登壇〕

坂井学君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、預金保険機構の金融機能早期健全化勘定の剰余金を活用するため、金融機能早期健全化業務が終了する日よりも前にその剰余金を国庫に納付できるようにするとともに、金融機能早期健全化勘定から金融再生勘定に繰入れをすることができるようにするものであります。

 本案は、去る四月九日当委員会に付託され、翌十日麻生国務大臣から提案理由の説明を聴取し、十七日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第五 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第五、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長谷公一君。

    ―――――――――――――

 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔谷公一君登壇〕

谷公一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、今日、省エネ対策を推進することが重要な政策課題となっていることから、我が国のエネルギー消費量の約三割を占める建築物について、省エネ性能の一層の向上を図るべく、実効性の高い総合的な対策を講ずるものであります。

 その主な内容は、

 第一に、省エネ基準への適合を建築確認の要件とする建築物の対象を拡大すること、

 第二に、小規模な建築物について、設計を行う建築士は、省エネ性能評価を行い、その評価結果等を建築主に説明しなければならないこと、

 第三に、多数の注文戸建て住宅等を建設する事業者に対し、その住宅の省エネ性能の向上を図る必要があるときは、国が勧告等を行うことができること

などであります。

 本案は、去る四月二日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。

 本委員会におきまして、十二日石井国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、十七日、質疑を行い、質疑終了後、採決いたしました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第六 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第六、農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長武藤容治君。

    ―――――――――――――

 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔武藤容治君登壇〕

武藤容治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、農用地の利用の効率化及び高度化を一層促進するため、農地中間管理事業に係る手続の簡素化、農地中間管理機構と農業委員会その他の関係機関との連携強化、農用地利用改善事業等による担い手への農地の集約の加速化、農地の利用の集積に支障を及ぼす場合の転用不許可要件への追加等の措置を講ずるものであります。

 本案は、去る四月二日本委員会に付託され、九日吉川農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、十一日から質疑に入り、十八日質疑を終局しました。

 質疑終局後、立憲民主党・無所属フォーラムから修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、修正案は否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第七 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第八 電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第七、電波法の一部を改正する法律案、日程第八、電気通信事業法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長江田康幸君。

    ―――――――――――――

 電波法の一部を改正する法律案及び同報告書

 電気通信事業法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔江田康幸君登壇〕

江田康幸君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 初めに、電波法の一部を改正する法律案は、電波の有効利用を促進するため、電波利用料の料額の改定等を行うとともに、特定基地局の開設計画の認定に係る制度の整備を行うほか、実験等無線局の開設及び運用に係る特例の整備等の措置を講じようとするものであります。

 次に、電気通信事業法の一部を改正する法律案は、電気通信事業の公正な競争の促進及び電気通信役務の利用者の利益の保護を図るため、移動電気通信役務を提供する電気通信事業者等について禁止行為を定めるとともに、電気通信役務の提供に関する契約の締結の勧誘に係る禁止行為の拡大及び当該契約の締結の媒介等の業務に係る届出制度の導入等の措置を講じようとするものであります。

 両案は、去る四月十一日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会に付託されました。

 委員会におきましては、同日両案について石田総務大臣から提案理由の説明を聴取した後、十六日から質疑に入り、十八日質疑を終局いたしました。質疑終局後、まず、電波法の一部を改正する法律案について討論を行い、採決いたしましたところ、賛成多数をもって、次に、電気通信事業法の一部を改正する法律案について採決いたしましたところ、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、両案に対しそれぞれ附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) これより採決に入ります。

 まず、日程第七につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第八につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣根本匠君。

    〔国務大臣根本匠君登壇〕

国務大臣(根本匠君) ただいま議題となりました障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 昨年、国及び地方公共団体の多くで、障害者雇用率の算定対象となる障害者の確認及び計上に誤りがあり、障害者雇用率を満たしていない状況にあったことが明らかになりました。このため、その再発防止を徹底するだけでなく、障害者雇用率の速やかな達成と障害者の活躍の場の拡大に向けた取組を進める必要があります。加えて、近年、就労希望を有する精神障害者等が大幅に増加する一方で、中小企業における障害者雇用の取組が十分に進んでいない状況にあります。

 こうした状況を踏まえ、障害者雇用施策の充実強化を図り、官民問わず、障害者の雇用を一層促進するため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、障害者の活躍の場の拡大に関する措置を講ずることとしています。

 具体的には、国及び地方公共団体が自ら率先して障害者の雇用に努めなければならない責務を規定するとともに、国及び地方公共団体における障害者である職員の職業生活における活躍の推進を図る観点から、国及び地方公共団体に対して、障害者活躍推進計画の作成及び公表を義務付けることとしているほか、厚生労働大臣に通報した障害者の任免に関する状況の公表を義務付けることとしています。

 また、障害者の雇用を推進する体制を整備するため、国及び地方公共団体に対して、障害者雇用推進者及び障害者職業生活相談員の選任を義務付けることとしているほか、障害者である職員を免職する場合における公共職業安定所長への届出を義務付けることとしています。

 加えて、短時間であれば就労可能な障害者等の雇用機会を確保するため、短時間労働者のうち一週間の所定労働時間が一定の範囲内にある者を雇用する事業主に対して、障害者雇用納付金を財源とする特例給付金を支給する仕組みを創設するほか、中小事業主における障害者雇用の取組を促進するため、障害者の雇用の促進等に関する取組の実施状況が優良であること等の基準に適合する中小事業主の認定制度を創設することとしています。

 第二に、国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握等に関する措置を講ずることとしています。

 具体的には、厚生労働大臣又は公共職業安定所長による国及び地方公共団体に対する報告徴収の規定を設けることとしています。

 また、国及び地方公共団体並びに民間の事業主に対し、障害者雇用率の算定対象となる障害者の確認に関する書類の保存を義務付けることとしています。

 さらに、当該障害者の確認方法について規定するとともに、厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、国及び地方公共団体に対し、この確認の適正な実施に関し、勧告をすることができることとしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成三十二年四月一日としています。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。大串正樹君。

    〔大串正樹君登壇〕

大串正樹君 自由民主党の大串正樹でございます。

 ただいま議題となりました障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党を代表して質問いたします。(拍手)

 我が国は、障害や難病のある方も、女性も男性も、若者も高齢者も、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会を実現するという理念のもと、障害者雇用を推進してまいりました。

 こうした中、民間企業や障害者雇用に関する関係機関、団体のさまざまな取組や支援、そして、障害のある方自身の努力もあり、民間部門の障害者雇用は着実に進展してまいりました。

 しかしながら、公務部門における障害者雇用については、昨年八月、多くの行政機関において、対象障害者の不適切な計上により法定雇用率を達成していなかったことが明らかとなりました。

 行政機関は、障害のある方の雇用や活躍の場の拡大を民間企業に対して率先して進めていくべき立場にあります。それにもかかわらず、このような状況にあったことは極めて遺憾であり、徹底した再発防止の取組などが必要と考えます。

 改めて、今般の事態に対する受けとめと、今後、事態を受けた取組を推進するに当たっての基本的な姿勢について、厚生労働大臣にお伺いします。

 次に、今般の事案を受け、政府においては、昨年十月に関係閣僚会議で取りまとめた基本方針に基づき、政府一体となった取組が進められてきたと承知しています。

 自民党としても、昨年来、厚生労働部会・障害児者問題調査会合同会議において、本件について複数回にわたり議論を重ねてまいりました。三月六日には合同会議として障害者の雇用の着実な推進等を求める決議を取りまとめ、行政機関に対する是正勧告規定の整備、法定雇用率未達成の場合の予算面での対応などについて盛り込み、政府側としてしっかり受けとめて対応することを求めました。

 その後、三月十九日に開催された関係閣僚会議では、本法案を今国会へ提出することとあわせて、公務部門において障害者雇用を推進するために必要となる事項を取りまとめています。

 三月十九日の関係閣僚会議で取りまとめた内容はどのようなものなのか、また、障害者の雇用の着実な推進が図られるものとなっているのか、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 次に、改正法案についてお伺いします。

 障害者雇用促進法第三十七条は、「全て事業主は、対象障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務を有するものであつて、進んで対象障害者の雇入れに努めなければならない。」としています。

 国の行政機関も、社会を構成する事業主として、障害者を雇用する義務があります。これについて、検証委員会の報告書は、「国の行政機関は、この法の理念を理解し、民間事業主に率先して、障害者雇用に積極的に取り組むべきであることは当然の責務である。」としています。

 本法案においては、各府省における障害者雇用の取組が名実ともに民間事業主に率先するものとなるかどうか、社会連帯の理念をしっかりと理解して障害者雇用を推進していくという国の行政機関の決意のほどが見られているものと考えます。

 改めて、本法案の趣旨及び目的について、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 さて、冒頭にも申し上げたとおり、今般の事案は極めて遺憾であり、徹底した再発防止の取組が必要と考えます。

 検証委員会の報告書では、障害者雇用を促進する姿勢に欠けていたなど、大変厳しい指摘を受けました。こうした指摘も踏まえながら、政府として再発防止に向けてどう取り組んでいくのか、この法案により再発防止は徹底されるのか、厚生労働大臣の見解をお伺いします。

 いずれにしましても、一億総活躍社会の実現のためには、今般の事態の再発防止にとどまらず、障害者の活躍の場を拡大することが重要です。

 今般、法定雇用率未達成の府省は、平成三十一年末までに合計約四千人の障害者を新たに雇用することとしています。法定雇用率の速やかな達成は重要ですが、法定雇用率達成に向けた取組が単なる数合わせに終わってはいけません。障害のある方の個々の障害の特性に応じ、生き生きと働くことができる職場づくりを進めていく必要があります。

 本法案では、国及び地方公共団体に対して障害者活躍推進計画の作成、公表を義務づけていますが、障害者の活躍を推進するために、どのような内容を盛り込み、どのように計画を進めていくのでしょうか。厚生労働大臣の答弁を求めます。

 最後に、障害者が生き生きと活躍できる場の拡大に向け、全力で取り組むよう政府に求め、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣根本匠君登壇〕

国務大臣(根本匠君) 大串正樹議員にお答えします。

 今般の事態に対する受けとめと姿勢についてお尋ねがありました。

 障害のある方の雇用や活躍の場の拡大を民間に率先して進めていくべき立場にある国の機関の多くにおいて対象障害者の不適切な計上があり、法定雇用率が達成されていない状況が長年にわたって継続していたことは、極めて遺憾です。

 その反省のもと、昨年十月に関係閣僚会議において取りまとめた基本方針に基づき、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成と障害者の活躍の場の拡大に向け、政府一体となって取り組んでまいりました。

 さらに、障害者雇用促進法の改正法案を提出するとともに、先月十九日、関係閣僚会議において、各府省等の法定雇用率未達成の場合の予算面での対応など、基本方針に基づく取組をなお一層充実強化するための対応について取りまとめました。

 これらにより、政府一体となって、今般のような事態の再発防止を徹底するとともに、障害者雇用の推進を図ってまいります。

 関係閣僚会議の取りまとめについてお尋ねがありました。

 先月十九日の関係閣僚会議においては、障害者の採用、定着支援など、対象障害者の不適切計上に対する是正のための勧告、各府省等の障害者雇用に係る責任体制の明確化、各府省等が法定雇用率未達成だった場合の予算面での対応について、それぞれ政府としての取組を取りまとめました。

 今後の具体的な対応について、この取りまとめに沿って適切に対応しながら、障害者雇用の着実な推進を図ってまいります。

 本法案の趣旨と目的についてお尋ねがありました。

 この法案は、国及び地方公共団体が、率先して障害者を雇用すべき立場にありながら、多くの機関で対象障害者の不適切な計上や法定雇用率の未達成が長年にわたって継続してきたとの反省のもと、官民問わず、障害者一人一人の活躍の場を拡大するとともに、国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握等を行うための措置を講ずるものです。

 再発防止についてお尋ねがありました。

 政府においては、今般の事案の反省のもと、昨年十月に関係閣僚会議でまとめた基本方針に基づき、各府省に対して障害者の雇用率に関する手続を整理した手引とチェックシートを示すなどにより、再発防止に向けた取組を開始いたしました。

 さらに、本法案においては、厚生労働大臣による報告徴収の規定や関係書類を保存する義務を新たに設けるとともに、障害者の確認方法の明確化や厚生労働大臣が適正な実施を勧告する権限を新たに規定することとしています。

 これらにより、政府一体となって、再発防止はもとより、障害のある方の活躍の場の拡大にしっかりと取り組んでまいります。

 障害者活躍推進計画についてお尋ねがありました。

 法定雇用率達成に向けた障害者の採用については、単なる数合わせとならないようにすることが必要です。このため、国及び地方公共団体が障害者の活躍の場を拡大するための取組を不断に実施するなど、自律的なPDCAサイクルを確立できるよう、これらの機関に障害者活躍推進計画の作成、公表を義務づけることとしています。

 この計画においては、計画期間、目標、取組内容などを定めることとしています。

 また、目標としては、障害者雇用に関する理解促進、障害者の採用、障害者が職場定着し活躍できる職場づくりなどに関する目標を設定することを想定しています。

 作成された計画は公表しなければならないほか、毎年少なくとも一回、計画に基づく取組の実施状況を公表しなければならないこととしています。

 こうしたPDCAサイクルの各過程において、計画の適切な作成や実施を確保してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 初鹿明博君。

    〔初鹿明博君登壇〕

初鹿明博君 立憲民主党の初鹿明博です。

 ただいま議題となりました障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して質問いたします。(拍手)

 日曜日に行われた衆議院補欠選挙において、自民党公認候補が、大阪十二区、沖縄三区双方とも敗北しました。総理、副総理の地元だからそんたくして予算をつけたという驚くべき発言をした塚田国土交通副大臣の辞任、たび重なる失言で大臣の資質が疑われながら安倍総理が守り続けた櫻田オリパラ大臣の遅きに失した辞任と、安倍政権のほころびが始まり、隠蔽、改ざん、虚偽答弁、そんたく、暴言、失言という安倍政権の体質に対して有権者がノーを突きつけたのです。

 とりわけ、沖縄においては、軟弱地盤が明らかになり、工期も総工費も決まらない中、県民投票の結果を無視して辺野古工事を強行している姿勢は、県民に寄り添うどころか、沖縄にこれ以上基地は要らないという沖縄の民意を踏みにじる行為にほかならず、沖縄県民の安倍政権に対する怒りが頂点に達した結果ではないでしょうか。

 政府は、今回の選挙結果を真摯に受けとめ、辺野古工事を即時中止すべきです。また、与党は、この選挙結果を受け、そんたく道路や消費増税の延期などについて安倍総理出席のもとで審議するため、野党が要求している予算委員会を審議拒否することなく早期に開催すべきです。

 では、質問に入ります。

 今回の法改正は、昨年八月に発覚した、中央省庁の障害者雇用の対象者を水増しし、雇用率を達成したかのようにごまかしていた、いわゆる障害者雇用水増し問題に端を発し、再発防止の徹底、障害者雇用率の速やかな達成、そして中小企業における障害者雇用の取組等を進めるためのものであります。

 それゆえに、まずは障害者雇用水増し問題について触れないわけにはまいりません。

 御承知のとおり、従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者、知的障害者、精神障害者の割合を法定雇用率以上にする義務があります。国の機関や地方自治体などの公的機関は、民間の事業主に対し障害者雇用を進めるよう促す立場であり、率先して障害者を雇用する責任があるので、民間の二・二%よりも高い、二・五%の法定雇用率となっています。

 その民間よりも責任が重く、率先して障害者を雇用する立場の中央省庁で、障害者の数を水増し計上し、法定雇用率を達成しているようにごまかしていたのですから、関係者の衝撃は大きなものがありました。不足分は三千八百人を超え、実際の雇用率は、満たすべき法定雇用率二・三%の半分、一・一七%であったことが判明したのです。

 この水増しは四十二年にわたり各省庁で行われ、この事実を把握できずに続いたことは、行政の監視機能である国会がその役割を果たせていなかったものであり、また、多くの政党が与党を経験したことを考えると、与野党問わず、我々も大いに反省すべきだと考えます。

 では、現在政権を担っている安倍政権がこの問題に真摯に向き合っているかというと、疑問を持たざるを得ません。統計不正を始め他の問題同様に、事態を過小評価し、実態解明に余りにも不熱心です。

 その象徴が、実態解明のために立ち上がった検証委員会がまとめた報告書です。不適切計上が長年にわたって継続的に行われてきたことは認めながらも、不適切計上のあった国の行政機関のいずれにおいても、意図的に不適切な対応を行った例は把握していないと結論づけているのです。

 与党の皆さん、この報告書全文、お読みになりましたか。

 多くの方がお読みになっていないと思いますので、どこがおかしいか、具体的に指摘します。

 報告書によると、国土交通省は、死亡退職者三名を含む、在職していない職員八十一名を計上していました。国交省では退職者の管理も把握もできないのでしょうか。退職者を計上したのは、単に雇用率を満たすために数合わせをする意図があったのではないですか。これを意図的というのではありませんか。

 農林水産省では、人事担当者の周囲にいる者のうち、眼鏡、しぐさ等から視力が悪そうな者から裸眼視力を聴取し、計上していたとあります。数が足りないから、穴を埋めるために、裸眼視力が〇・一以下の人がいないか聞いて回ったということですよ。これを意図的でないというのですか。そもそも、眼鏡やしぐさで視力が悪そうだからと障害者になるのであれば、この議場の多くの皆さんも障害者になってしまいます。

 最も驚いたのは外務省です。精神障害者について、仕事に来られなくなっている人、仕事に来ているけれども仕事になっていない人を計上していたと記載がありました。

 外務大臣に伺います。

 外務省には、仕事に来ているけれども仕事になっていない人がいるのですか。誰の判断で仕事になっていないと認定するのですか。障害者として計上することを本人に告げていなかったようですが、明らかに不適切です。わざわざ障害者に仕立て上げた、どう考えても雇用率の算定に加える対象でないとわかるはずですが、これでも意図的ではないというのですか。お答えください。

 この報告書については、障害者団体から、今般の不適切な行為の原因として、厚生労働省の障害者雇用の実態に対する関心の低さ、対象障害者の計上方法についての正しい理解の欠如、法の理念に対する意識の低さが挙げられているが、なぜ障害者雇用の実態に関心が薄かったのか、省庁横断的に法律違反が行われ、しかも長期にわたって放置されてきたのか解明されていませんと指摘され、再調査するよう求められています。

 厚生労働大臣は、この報告書の結論どおり、意図的でなかったと考えているのでしょうか。この問題で誰一人処分されていませんが、誰も責任をとらないのでしょうか。

 加えて、障害者団体からも求められているとおり、統計不正問題のように、障害当事者も加えて再調査する必要があると考えますが、見解を伺います。

 民間事業主は、法定雇用率を達成していないと、未達成の障害者一人当たり月五万円の納付金の支払い義務があります。一方、中央省庁始め公的機関は、雇用率を達成できなくても、国民から集めた税金から支払うことは国の納付義務を国民に転嫁する結果となり好ましくないとの理由で、納付金の支払い義務はありません。

 雇用率未達成だと納付金の支払い義務のある民間とのバランスをとるため、法定雇用率未達の各省庁について、次年度から庁費を削減するとのことですが、庁費も原資は税金であり、民間企業と違い、各省の職員の努力で稼いでいるものではありません。その点では、庁費を減らされたところで、民間企業が感じる痛みを省庁の職員が感じることはありません。

 そこで、職員も痛みを感じ、積極的に雇用率達成を図ることになるよう、職員の手当等を引き下げるなど、痛みが伴うペナルティーを科すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 また、各省において削減された庁費が、民間が納める納付金のように確実に障害者雇用の促進のために使われるように、基金をつくるなどして金額と使途が明確になるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 政府は、雇用率未達の状態を解消すべく、新たな採用試験を設け、七百五十四名に常勤職員としての採用内定を出しました。けさの朝日新聞では、非常勤含めて約二千七百名採用したと報じられています。

 水増しの事実が発覚した直後は、法定雇用率の未達成状態を早期に解消するために、不足分の三千八百人を急いでかき集めようという動きもありましたが、障害者団体から、障害者を受け入れる体制ができていない中で数だけふやしても雇われた障害者が不幸になる、そもそも、民間でも採用したい障害者はとり合いになっていて、そんなに簡単に集まらない、そんな中で強引に三千八百人の採用を行ったら、民間から引き抜くことになるのではないのかと懸念の声がありました。

 国に障害者を引き抜かれた民間事業主が、雇用率を割ってしまい、納付金を支払わされることになったら、余りにも理不尽だと感じます。雇用していた障害者が国の機関に採用され、退職し、法定雇用率を割ってしまった民間事業主については、一定期間、納付金の支払いを免除する措置を講ずる必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 民間からの引き抜きのような事態が起こってしまうのは、国の採用が身体障害者に偏っているからです。先ほど述べたとおり、知的なおくれのない身体障害者は引く手あまたです。一方、知的障害者や精神障害者の雇用はまだまだ不十分であります。今回採用された者の障害種別を見ると、知的障害者で内定が出た者はごくわずか三人、〇・四%にすぎません。

 本来、官の役割は民間でできないことを行うことであり、民間ができることは民間に任せ、官は民の補完に徹すべきです。この考えを障害者雇用に当てはめれば、民間で進んでいる身体障害者の雇用は民間に任せ、民間ではなかなか進まない知的障害者、精神障害者の雇用を公的機関が積極的に担うべきです。

 七年前、米国で障害者雇用についてヒアリングを行った際に、このような実例を伺いました。白衣を着て働きたいというダウン症の女の子の夢をかなえるために、ある病院が、看護師が行っていた手術前にメスなどの器具をそろえる業務を切り出して彼女の業務として採用したところ、看護師の負担が減り、患者と向き合う時間がふえ、仕事の効率が上がった。彼女は病院の戦力としてなくてはならない存在となり、このエピソードが全米に広がって、障害者雇用が進んだとのことでした。

 このとき強調されたのは、障害の特性に応じ、タスク分けして業務を切り出すことで、障害者も企業の戦力になるということでした。

 我が国でも、知的障害者の一般就労がうまくいっている企業の多くは障害者を戦力として雇用している企業です。

 国の機関でも、知的障害者の雇用が進むように、業務内容を精査し、知的障害者が活躍できる業務の切り分けを行うなどの検討が必要だと思いますが、いかがでしょうか。その上で、知的障害者の採用が進む試験の方法、採用方法を新たにつくり出す必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 本案では、国及び地方公共団体は障害者活躍推進計画の策定が義務づけられておりますが、策定された計画の実施状況に対する評価方法が明示されていないことに懸念を感じます。

 実施状況を具体的にどのように評価するのか、計画未達成の場合にどのように改善させるのかが明確でなければ計画の実効性が上がりませんが、どのように考えているのでしょうか。また、計画が未達成の省庁に対するペナルティーは、庁費の削減以外にあるのでしょうか。

 民間での障害者雇用に関する改正点として、週二十時間未満の障害者雇用に対する特例給付金制度を設けるとのことであり、精神障害者など、短時間の勤務なら働けるという方々の雇用の場が広がり、一歩前進だと考えます。

 短時間の勤務を試行的に行うことで、働く側も雇う側も一緒に働く人もなれていき、徐々に時間をふやし、いずれは常勤雇用につながっていくことも期待されます。

 このような効果を考えると、就労系の障害福祉サービスの利用者が、週の一日、二日を民間企業の非常勤として働き、残りの三、四日を事業所に通うという形がとれると、一般就労への移行、移行後の定着が進んでいくのではないかと考えます。

 しかし、障害福祉サービスの利用者は、通常の事業所に雇用されることが困難な者、さらに、B型では、雇用契約に基づく就労が困難である者とされているために、原則、アルバイトなどと福祉サービスを併用することは認められておりません。

 今回、この特例給付金を新設するに当たり、障害福祉サービスの就労系の事業所の運用を見直して、通常の事業所で働くことと福祉サービスの事業所を併用することを積極的に進めるべきではないでしょうか。見解を伺います。

 国及び地方公共団体は、障害者である職員を免職する場合に、ハローワークへの届出が義務づけられます。届け出ることで、免職となった障害者がハローワークにつながり、再就職支援を受けられるのは前進だと思います。

 しかし、公的機関の障害者は非常勤で雇用されることが多く、契約が更新されなければ、そのまま路頭に迷うことになります。それも、契約更新ができるか否かが決まるのが契約満了ぎりぎりの場合が多くあり、失業期間なく次の仕事を見つけるのが非常に難しい状態にあります。

 国及び地方公共団体側の都合で非常勤の障害者の契約更新しなかった場合も、ハローワークへの届出を義務づける必要があるのではないでしょうか。

 そもそもの問題として、現在の法定雇用率の算出方法、対象となる障害者の範囲が妥当かどうかを検証する必要があるでしょう。

 諸外国の法定雇用率は、ドイツで五%、フランスは六%、お隣韓国でも今年度から三・一%と、我が国の二・二%は著しく低くなっています。

 法定雇用率の対象となる障害者の範囲は、障害者手帳の所持といった医学モデルに基づいており、障害者権利条約に基づいて、社会モデルとしての観点から見直す必要があると考えます。

 雇用率算定の基礎となる、障害者で失業している者の数も、実態に沿っていないとの指摘もあります。

 法定雇用率の設定について、障害者の範囲の見直しなど、他国の状況を加味して検討を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 障害者の問題は、健常者にとっても他人事ではありません。誰しもが病気やけがで障害者になり得るのです。与野党問わず、障害者を弱者、少数者の問題と考えるのではなく、みずからもなり得る問題として取り組んでいただくようお願いいたします。

 立憲民主党は、立憲主義に基づく民主政治と、多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互いさまに支え合う社会を実現するために結党いたしました。この理念のもと、障害のある人もない人もお互いさまに支え合いながら暮らしていくことのできる社会の実現に全力を尽くしていくことをお約束して、立憲民主党・無所属フォーラムを代表しての質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣根本匠君登壇〕

国務大臣(根本匠君) 初鹿明博議員にお答えします。

 今般の障害者雇用率の不適切な計上方法と責任についてお尋ねがありました。

 障害者の雇用や活躍の場の拡大を民間に率先して進めていくべき国の行政機関の多くで法定雇用率の不適切な計上があり、法定雇用率が達成されていない状況が長年にわたって継続していたことは、極めてゆゆしき事態であります。

 本件事案については、福岡高検の検事長も務められた松井委員長をトップとした検証委員会を立ち上げ、多角的にしっかりと検証していただきました。

 検証委員会では、各行政機関において、検証委員会の調査への対応を職務として命じられている中で、可能な限り過去の担当者や記録にさかのぼって実態把握を行った上でなお、意図的に不適切な対応を行った例は把握していないとの回答がなされ、その旨が報告書に記載されているものと承知しています。

 この検証結果を踏まえ、総理及び官房長官から各大臣に再発防止等に関し強い指示があり、厚生労働省においては、私から事務方幹部に対し強く注意、指導などを行ったところです。

 さらに、各府省に対する報告徴収を可能とするなど、本法案も含め、再発防止策の徹底を政府一体となって推進し、責任を果たしてまいります。

 検証委員会の報告書に係る再調査の必要性についてお尋ねがありました。

 検証委員会においては、書面調査やヒアリング調査をもとに、多角的に分析を行っていただきました。その結果として、組織として障害者雇用に対する意識が低く、ガバナンスが著しく欠如している中で、担当者が法定雇用率を達成させようとする余り、恣意的に解釈された基準により不適切な実務慣行を継続させてきたという、各行政機関側における今般の事案の基本的な構図を明らかにしていただいています。

 このため、私としては、十分にその役割を果たしていただいたものと認識しており、再検証が必要とは考えておりません。

 各府省等の法定雇用率未達成の場合の予算面での対応についてお尋ねがありました。

 今回の予算面での対応は、未達相当額を適切に活用して、各年度の予算編成において、施策の必要性等を見きわめた上で、必要な障害者雇用の促進策の充実を図るとともに、法定雇用率の未達成の状況に応じて、国民負担につながらない形で、庁費の算定上減額するというものであります。各府省等における障害者の活躍の場の拡大や障害者採用計画の達成を促す効果があるものと考えています。

 また、今回の改正では、国及び地方公共団体に対して、障害者活躍推進計画の作成の義務づけや障害者雇用推進者及び障害者職業生活相談員の選任の義務づけなどの措置を盛り込んでいます。

 こうした総合的な対策を通じて、基本方針に基づく取組と相まって、各府省等における障害者雇用の促進を確実なものとしてまいります。

 なお、労働基本権が制約されている国家公務員の給与については、その代償措置としての人事院勧告制度を尊重するとの基本方針のもとに、民間の水準を踏まえて決定される必要があると承知をしています。

 納付金の免除についてお尋ねがありました。

 今般、国において相当数の障害者を採用することにより、民間企業を離職する障害者が実際に一定程度発生することは考えられることから、民間との競合ができるだけ起きないように対応していくことが重要です。

 公務部門における障害者の採用が民間企業における障害者雇用に与える影響については、できるだけ早期に実態の把握を行った上で、その結果を踏まえ対応策を検討してまいります。

 なお、納付金制度の目的は、社会連帯の理念のもと、障害者の雇用に伴い必要となる経済的な負担を調整し、事業主間の競争条件を確保すること、調整金や助成金の支給により障害者の雇用促進を図ることにあり、こうした目的は維持すべきと考えています。

 知的障害者の雇用についてお尋ねがありました。

 障害者の雇用の促進を図るに当たっては、障害特性に応じた、働きがいのある職場環境づくりに取り組むことが重要です。

 このような中で、国の行政機関における知的障害者の雇用については、本年三月の関係閣僚会議で取りまとめられた取組方針において、その積極的な採用に努めることとされております。

 各府省においては、このことを踏まえ、知的障害者の採用に取り組まれているものと考えていますが、厚生労働省としても、各府省に対して、その積極的採用の促進を依頼するとともに、知的障害者に対する適切な業務の選定や支援ができるよう、セミナーや職場見学会の開催、好事例の提供などの取組を進めているところです。

 障害者活躍推進計画についてお尋ねがありました。

 法定雇用率達成に向けた障害者の採用が、単なる数合わせとならないようにすることが重要です。このため、本法案では、国及び地方公共団体が自律的なPDCAサイクルを確立できるよう、障害者活躍推進計画の作成、公表を義務づけることとしています。

 あわせて、国及び地方公共団体の任命権者は、毎年少なくとも一回、計画に基づく取組の実施状況を公表しなければならないこととしています。

 計画が未達成の場合にペナルティーを科すのではなく、取組の実施状況をみずから広く外部に示すことを通じて、各機関が自律的かつ計画的に障害者の活躍を推進することを確保していきます。

 その上で、必要に応じて、関係府省連絡会議等において国及び地方公共団体の取組状況をフォローアップすることを検討してまいります。

 就労継続支援事業B型の運用についてお尋ねがありました。

 就労継続支援事業B型は、一般就労が困難な障害者が、その適性に応じて能力を十分に発揮し、地域で自立した生活を実現するために、重要なサービスです。

 このため、原則、一般就労中の障害者についてはその対象として想定はしていないものの、自治体がその必要性を認めた場合においては、一般就労中であっても就労継続支援事業B型の利用が可能となっています。

 免職の届出の対象についてお尋ねがありました。

 今回の改正案では、国及び地方公共団体が障害者である職員を免職する場合は、民間の事業主と同様に、公共職業安定所長へ届け出なければならないこととしています。

 これは、障害者は、就職するに当たって各種のハンディキャップを有し、再就職に比較的長い期間を必要とすることから、事業主都合により離職することが明らかになったときは、ハローワークも含めて再就職に向けて速やかに対応する必要があるため、事業主に届出を義務づけることとしたものです。

 こうした規定の趣旨に鑑み、非常勤職員の契約期間満了については、契約の終了について一定の予見可能性もあることから、届出の対象としていないところです。

 障害者雇用率制度の対象障害者の範囲等についてお尋ねがありました。

 障害者雇用義務制度では、法的公平性と安定性を確保するため、対象とする障害者を明確かつ容易に判定できるよう、対象障害者の条件を、原則として障害者手帳等を所持していることとしています。

 また、法定雇用率は、障害者雇用促進法において、常用労働者と失業者の総数に対する障害者である常用労働者と失業者の総数の割合をもとに決定することとされています。こうした算定方法は、障害者にも一般の労働者と同様に雇用の機会を確保するという趣旨に基づくものです。

 対象障害者の範囲については、労働政策審議会においても検討がなされ、本年二月に取りまとめられた意見書では、「諸外国における仕組みも参考にしつつ、労働施策と福祉施策の連携を進めながら、引き続き検討することが適当」とされており、こうした指摘も踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えています。(拍手)

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

国務大臣(河野太郎君) 障害者雇用についてお尋ねがありました。

 外務省として、障害者雇用促進法のもとで法定雇用率の対象となる障害者の範囲等への理解が十分でなく、障害者手帳を明示的に確認せずに、医師の診断等を受けた職員を障害者数に計上していたものであり、意図的であったとは考えていません。

 この中には、精神的な理由で通常の勤務ができずに、人事上の特別な配慮が必要な職員について、医師の診断等をもとに、法定雇用率の対象障害者として計上していました。対象障害者の計上が不適切であったことは遺憾であり、改めておわび申し上げます。

 いずれにせよ、外務省としては、再発防止はもとより、法定雇用率の達成、障害のある方の活躍の場の拡大に向けて、障害者雇用に関する基本方針に基づき、しっかりと取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 初鹿議員からは、各府省の法定雇用率が未達成だった場合の予算面での対応について、一問お尋ねがあっております。

 政府では、各府省において法定雇用率が未達成の場合には、障害者雇用関連予算のうち未達相当額を適切に活用し、必要な障害者雇用の促進策の充実を図ることといたしております。

 その具体的な内容につきましては、各年度の予算編成において検討することとしており、現時点で申し上げられるものではありませんが、障害者雇用の促進につながるよう適切に対応してまいりたいと考えております。

 その上で、議員御指摘の基金方式につきましては、効率的な予算の活用の観点から、各年度の所要額があらかじめ見込みがたい場合などに限り活用することとしており、障害者雇用の促進への活用につきましては慎重に検討する必要があろうかと考えております。

 いずれにせよ、国の行政機関は率先して障害者雇用を進める立場にありまして、まずは、採用計画の達成に政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)

    〔政府特別補佐人一宮なほみ君登壇〕

政府特別補佐人(一宮なほみ君) 知的障害者の採用方法についてお尋ねがありました。

 今回の障害者選考試験は、国家公務員の採用試験を実施する機関である人事院が、障害のある方の採用方法の一つとして、各府省が実施する能力実証等の一部を統一的に行ったものであり、御指摘のとおり、その合格者では知的障害者の割合が少なくなっております。

 障害のある方を採用する方法には、統一的な障害者選考試験を経て採用する方法のほか、各府省における個別選考により採用する方法や、各府省の非常勤職員として採用する方法があり、これらにおいて、仕事の内容に応じて実技を重視するなどしているところです。

 これら各府省の個別選考において、本年に入ってから十七名の知的障害者が常勤職員として採用されております。また、非常勤職員としても採用されておりますが、具体的状況につきましては、厚生労働省で現在行っている各府省の採用状況調査において把握されるものと承知しております。

 これまでも、知的障害者の採用に当たっては、障害者選考試験に限ることなく、各府省等の個別選考や非常勤職員の採用を行う中で、積極的な採用に努めていただきたいという趣旨を、内閣人事局、人事院、厚生労働省と連名で各府省に通知し、周知しておりますが、人事院といたしましては、引き続き、多様な障害特性を有する障害者の就労機会の確保に向けて、厚生労働省等と連携しつつ、必要な取組を行ってまいります。(拍手)

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議長(大島理森君) 谷田川元君。

    〔谷田川元君登壇〕

谷田川元君 国民民主党・無所属クラブの谷田川元です。

 初めて登壇する機会を頂戴いたしました。同僚議員の皆さんに心から感謝申し上げます。(拍手)

 さて、統一地方選挙が終わりました。皆さん、それぞれの立場で御奮闘されたと存じますが、何といっても一番注目を集めたのが大阪のダブル選挙だったと思います。現職の知事がやめて市長選へ、現職の市長がやめて知事選へ立候補するという前代未聞の出来事でした。

 どうしてこうした奇策に打って出たのか。それは、公職選挙法第二百五十九条の二で、知事や市町村長がみずからの都合で辞職し、その出直し選挙に立候補し当選した場合、当初の残りの任期しかできないことになっているからであります。

 どうしてこのような規定ができたのか、調べてみました。

 昭和二十六年四月の第二回統一地方選挙から昭和三十年四月の統一選まで、実に十七人の知事が途中辞職し、その後の選挙に立候補しています。そのほとんどが、前倒しで選挙をやれば自分に有利との判断で辞職しています。

 これについて、現在の総務省の前身である自治庁は、昭和二十六年十月十九日の朝日新聞で次のように述べています。知事という有利な立場を更に有利にするため、抜き打ち的な選挙を行えば、それは選挙の公正を害することとなり、ひいては住民の真の意思が選挙の結果にあらわれてこないことにならないかと痛烈に批判しているのです。

 こうした状況を受けて、昭和三十一年の法改正で、途中辞職後の選挙の立候補は禁止となりましたが、これでは厳し過ぎるとの意見があり、昭和三十七年、現在の規定に改正されたのであります。

 このように、知事や市町村長がみずからの選挙を有利にするため恣意的に選挙日程を設定することを規制しているんです。

 さて、国政に目を転じますと、過去二回の衆議院選挙は、まさに抜き打ち的な選挙でした。安倍総理は、選挙情勢を探る世論調査を綿密に行い、今やれば与党が勝てるとの結論に至り、解散を強行しました。

 衆議院解散について、昭和二十七年八月に吉田内閣が断行したいわゆる抜き打ち解散が憲法違反であると当時改進党の議員であった苫米地義三氏が提訴し、一審では、解散は無効との判決が下されました。ところが、最終的に最高裁判決で、政治性の高い国家統治行為であるので司法の審査になじまないという、いわゆる統治行為論で棄却されてしまいました。

 しかし、過去二回の解散は、政治性の高い統治行為というよりも、今やれば勝てるとの、まさに党利党略以外の何物でもありません。こんなことが許され続けてよいのでしょうか。

 そこで、選挙を所管する責任者である総務大臣に質問します。

 昭和二十年代後半に相次いだ繰上げ知事選と同じように、過去二回の衆議院選挙は選挙の公正を害しているとの認識をお持ちになっていないか、お尋ねします。

 二〇〇〇年に地方分権一括法が施行され、それまでは国と地方の上下関係が存在しましたが、今や国と地方は対等なはずです。知事や市町村長に恣意的な選挙日程をさせないようにしている一方で、そのお手本となるべき総理大臣には何らおとがめなしというのは、不公平と言わざるを得ません。総務大臣はどう思われるか、見解を求めます。

 また、巷間言われるような衆参ダブル選挙になった場合、大きな混乱が予想されます。

 確かに、昭和五十五年と六十一年の過去二回、衆参ダブル選挙が実施されましたが、そのときの衆議院は中選挙区制でした。現在は、衆議院比例区は政党名記入、参議院比例区は政党名、候補者名、どちらを記入してもよいことになっていますが、これが混同され、無効票の増大が懸念されます。

 選挙を所管する責任者として、衆参ダブル選挙は好ましいとお考えになっているのか、総務大臣の御所見を伺います。

 さて、我が国の議院内閣制のお手本と言われるイギリスでは、今から八年前に二〇一一年議会任期固定法を制定し、内閣の解散権を制約しています。このような法律を我が国でも早急に検討する必要があると思いますが、各党会派で御議論いただくことを提起したいと存じます。

 それでは、政府提出、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。

 本来、率先して障害者を雇用する立場にある中央省庁や地方自治体などが、雇用する障害者を水増ししていた問題は、行政による障害者への背信行為であり、国に対する不信を一層深めることになりました。この対応策を盛り込んだ本法案の審議に当たり、改めて、政府が徹底した再発防止策を講じることを求めます。

 では、厚生労働大臣に質問してまいります。

 まずは、障害者雇用の水増し問題についてであります。

 厚生労働大臣は、三月二十六日の参議院予算委員会で、国において相当数の障害者を採用することによって、民間企業を離職する障害者が実際に一定程度発生することは考えられますと述べています。

 国が、障害者雇用を水増ししたあげく、みずからの障害者雇用率を達成するために民間企業に迷惑をかけるおそれがあるという現状について、どのように考えているか、厚労大臣に伺います。

 次に、政府が障害のある方を採用するための試験について伺います。

 政府は、今年末までに約四千人の障害者を雇用する方針を打ち出しています。障害のある方々が求めているように、単なる数合わせになってはいけません。新規に採用される障害のある方々は、それぞれ障害の特性が異なることはもちろん、希望する仕事やキャリアプランも異なります。採用された方々に、中央省庁で働くことになってよかったと思ってもらえるようにすることが国に課された責務です。

 ある省庁の面接で、面接官から受験者に対して、補助的な仕事だけどいいかと繰り返したという報道もありますが、こうした実態が本当にあるのかどうか、お答えください。

 政府が進めている障害者雇用が、目標人数を採用すればよいという数合わせになっていて、障害のある方本人の能力や適性に見合わないものになっているのではありませんか。また、本人の能力や適性に見合わないミスマッチの採用であっても、何が何でもことしじゅうに約四千人を採用する予定であるのが厚労大臣のお考えなのか、お示しください。

 また、政府は年内に再度、障害者を対象とした試験を行う予定です。この障害者を対象とした試験は恒久的なものであるのか、あるいは雇用率達成までの暫定措置であるのか、伺います。暫定措置であるとすると、障害者が健常者と競争することとなり、よほど特筆すべき能力がない限り、障害者は採用されなくなってしまいますが、それでよいのでしょうか。あわせて答弁願います。

 次に、障害者の雇用継続の担保について伺います。

 政府に障害者として雇用された方が、後に障害の程度が軽くなり、雇用率に算定される障害者でなくなった場合、解雇されてしまうことはないのでしょうか。障害のある方が安心して中央省庁などで働くことができるようにするためには、解雇されないようにするための何らかの担保が必要であると考えますが、厚労大臣の見解を伺います。

 次に、障害者雇用率の対象となる障害者であるかどうかの確認方法について伺います。

 労働政策審議会の障害者雇用分科会の意見書では、対象となる障害の確認方法の明確化について、「通達等によって行うのではなく、法律上明確化することが適当である。」と書かれています。これを受けて、本法案に確認方法に関する規定が盛り込まれましたが、具体的にどのような書類で確認するかは厚労省令に委ねてしまっています。過去の通知と同様、確認方法に、原則としてといった曖昧さが残り、水増しが再発するのではないかと危惧せざるを得ません。

 こうした懸念を払拭するためにも、本法案の審議に当たり、どのような書類で確認するのか明確に示してください。厚労大臣の答弁を求めます。

 次に、厚生労働省による他省庁等における障害者雇用の把握について伺います。

 民間企業に対しては、三年に一度、独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構が訪問調査を実施して、常用雇用労働者の総数確認のほか、障害者手帳等の写し、源泉徴収票の写し等による雇用障害者の確認を行っています。一方で、国の機関や地方公共団体に対しては、訪問調査することまでは規定しておりません。

 本法案は、厚生労働大臣又は公共職業安定所長による国及び地方公共団体に対する報告徴収の規定を設けたり、障害者雇用率の算定対象となる障害者であるかどうかの確認の適正な実施に関し、勧告をすることができると規定しているだけなのです。

 なぜ国の機関などについては民間企業と同様の対応をしないのか、明確な理由を御説明ください。

 また、本法案に規定されている国の機関などに対する報告徴収、勧告だけで、これまでのように障害者でない人を障害者として算定する不適切な対応がなされることはないと断言できるのか、厚労大臣に伺います。

 裁量労働制のデータ問題、毎月勤労統計の不正調査問題など、厚労省の不祥事はとどまることを知りません。毎月勤労統計の問題では、厚労省職員のコンプライアンス意識の著しい欠如が浮き彫りとなりました。このような厚労省に、他の省庁の障害者雇用が適正に行われているかどうかを把握する役割を担わせることについて、疑問を感じざるを得ません。厚労省がこの重責を担えると断言できますか。厚労大臣に伺います。

 最後に、障害者雇用率未達成の省庁への対応について伺います。

 政府は、中央省庁が障害者雇用率を達成できない場合、不足一人当たり年六十万円を翌年度の庁費の算定上減額する仕組みを導入するとのことです。減額されれば、庁費が浮くことになります。民間企業の場合、障害者雇用率を達成できない民間企業が支払う納付金を財源として、雇用率を超えて障害者を雇用する事業主に調整金を支払う仕組みがあります。民間企業の場合と同様、浮いた庁費は障害者雇用の促進や就労のサポートなどに使うことを検討すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 国民民主党は、「誰もが排除されることなく、互いに認めあえる共生社会」を綱領に掲げています。結びに、障害のある方々に寄り添い、障害者雇用の促進に全力で取り組んでいくことをお誓いし、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣石田真敏君登壇〕

国務大臣(石田真敏君) 谷田川議員にお答えいたします。

 まず、過去二回の衆議院の解散・総選挙に対する認識についてお尋ねがありました。

 衆議院の解散権は総理の専権事項であるものと承知いたしておりまして、総務大臣としてはお答えを差し控えさせていただきます。

 その上で、平成二十九年及び平成二十六年執行の衆議院議員総選挙は、公職選挙法等の規定に基づき適切に執行されたものであり、選挙の公正を害しているとは考えておりません。

 次に、総理の解散権の制約についてお尋ねがありました。

 内閣が衆議院の解散を決定することについて、憲法上、これを制約する規定はないものと承知しております。

 なお、二元代表制をとり、直接公選である地方公共団体の長とは、その構造が大きく異なることから、地方の制度と単純に比較することは困難と考えます。

 最後に、衆参同日選挙、いわゆるダブル選挙に関する所見についてお尋ねがありました。

 繰り返しになりますが、御指摘の点は衆議院の解散権にかかわってくるものであり、また、仮定のお尋ねであるため、総務大臣としてはお答えを差し控えさせていただきます。

 いずれにいたしましても、総務省としては、国政選挙が実施される場合には、法令の規定に従い、適切に選挙の管理、執行が行われるよう努めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣根本匠君登壇〕

国務大臣(根本匠君) 谷田川元議員にお答えいたします。

 障害者雇用の現状についてお尋ねがありました。

 今般、国において相当数の障害者を採用することにより、民間企業を離職する障害者が実際に一定程度発生することは考えられることから、民間との競合ができるだけ起きないよう対応していくことが重要と考えています。

 公務部門における障害者の採用が民間企業に与える影響については、年度末まで及び年度初めに採用された方などを対象に、できるだけ早期に実態の把握を行った上で、その結果を踏まえ対応策を検討してまいります。

 障害者選考試験の第二次選考についてお尋ねがありました。

 本年二月から三月にかけて行われた障害者選考試験の第二次選考の採用面接において、ある省庁の面接官が補助的な仕事だけどいいかと繰り返し発言したとの報道があったことは承知しています。

 各府省の採用面接における具体的な質問内容の詳細までは承知していませんが、障害者の採用に当たっては、個々の障害者の特性と希望を十分把握し、それを踏まえた対応を行う必要があると考えています。

 このため、関係閣僚会議においても、各府省等は、障害者の採用に当たっては、個々の障害者の特性と希望を十分把握し、それを踏まえて採用段階及び採用後において具体的にどのような合理的な配慮を行うことができるかを検討することが重要であることを認識し、採用を行う旨について合意しました。

 厚生労働省としても、各府省の職員などを対象とするセミナー等の開催により、障害者雇用に関する理解促進に向けた取組を引き続き実施してまいります。

 今年中の障害者の採用予定についてお尋ねがありました。

 平成三十年六月一日現在で法定雇用率を達成していない府省は、本年一月一日を始期とした一年間の採用計画を作成し、達成に向けて取組を進めています。

 まずは関係法令に沿ってこの取組を進め、進捗状況や課題について関係閣僚会議等でフォローアップしながら、政府一体となって取り組んでまいります。

 この取組を進めるに当たっては、障害者の採用が単なる数合わせとならないよう、希望と能力に応じた活躍しやすい職場づくりを推進する必要があり、厚生労働省としても各府省の取組を最大限支援してまいります。

 今後の障害者選考試験の実施予定についてお尋ねがありました。

 平成三十一年度障害者選考試験は、基本方針を踏まえ、各府省における本年中の採用を目指して、人事院において実施することが予定されていると承知しています。

 また、来年度以降の実施については、昨年度及び本年度における選考試験の実施状況を踏まえるとともに、各府省からの要望なども把握しながら検討されるものと承知をしています。

 対象障害者でなくなった場合の対応についてお尋ねがありました。

 昨年十月に関係閣僚会議で取りまとめた基本方針において、「障害者を対象とした募集に基づき採用された場合に障害者手帳の返納や失効を理由とした免職は行わない。」とされています。各府省においては、この方針に沿って適切に対応されるものと考えております。

 障害者であることを確認する書類についてお尋ねがありました。

 障害者雇用義務制度の対象となる障害者であることの確認は、これまで、身体障害者については、身体障害者手帳か、都道府県知事の定める医師若しくは産業医による診断書、意見書、知的障害者については、療育手帳か、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医若しくは障害者職業センターによる判定書、精神障害者については精神障害者保健福祉手帳によって行っております。

 本法案に基づく厚生労働省令においては、これと同様の規定を設けることを検討しております。

 国の機関などに対する訪問調査についてお尋ねがありました。

 障害者雇用率の着実な達成を図るためには、雇用主に対して、達成を促すための行政措置を講じることが有効であると考えられます。

 このため、今回の法改正により、国などに対して、障害者の雇用状況等に関する報告徴収や、対象障害者の確認を適正に実施するための勧告に関する規定を新設することとしており、このことにより不適切計上の再発防止を図ることができるものと考えております。

 なお、御指摘の高齢・障害・求職者雇用支援機構による訪問調査は、納付金制度の適正実施を確保するために行われているものであるため、納付金制度が適用されていない国などはその対象外となっております。

 厚生労働省が各府省における障害者雇用の状況を把握する役割を担うことについてお尋ねがありました。

 各府省における障害者雇用の促進に向けては、閣僚会議など政府一体となった推進体制のもとでフォローアップを行い、再発防止及び障害者の活躍の場の拡大に向けた取組を着実に推進していくこととされています。

 こうした中で、今回の改正法案では、国の行政機関等における障害者の雇用状況の的確な把握などに関する措置を講ずることとしています。厚生労働省としては、障害者雇用施策を所管する立場から、その責務をしっかりと果たしてまいります。

 各府省等の法定雇用率未達成の場合の予算面の対応についてお尋ねがありました。

 今回の予算面での対応は、法定雇用率が未達成の場合、その未達相当額を適切に活用して、各年度の予算編成において、必要な障害者雇用の促進策の充実を図るものです。施策の必要性等を見きわめた上で、今後、適切に対応してまいります。

 いずれにせよ、国の行政機関は率先して障害者雇用を進める立場にあり、まずは、採用計画の達成に政府一体となって取り組んでまいります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 桝屋敬悟君。

    〔桝屋敬悟君登壇〕

桝屋敬悟君 公明党の桝屋敬悟でございます。

 私は、ただいま議題となりました障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、公明党を代表して質問をいたします。(拍手)

 我が国の障害者雇用の状況は、障害者の就労意欲の高まりや、民間事業主の取組、関係機関、団体による就労支援の充実等により、近年、大幅に雇用者数が増加する中、知的障害や精神障害の方々の雇用数も着実に増加しております。

 政府は有識者による研究会を設置し、今後の障害者雇用促進制度のあり方について、週労働時間二十時間未満の障害者の雇用に対する支援や中小企業者の認証制度を創設する等の報告書が昨年七月に取りまとめられました。

 その後、労働政策審議会において、まさに具体的な検討がされようとしていたやさき、八月に行政機関等における障害者雇用率の不適切計上問題が明らかとなりました。

 政府は関係府省連絡会議や検証委員会を設置して、この問題について検証を行うとともに、法定雇用率の達成や再発防止に向けた基本方針等が策定されました。

 公明党としても、対策本部を立ち上げ、障害者団体の皆様の声も伺いながら、公務の現場視察等も行い、再発防止や障害者雇用の促進のために、法改正も視野に入れて、政府に対して二度にわたり政策提言を申し入れてまいりました。

 本法案には、民間における障害者雇用の促進とともに、行政機関における不適切計上の再発防止等が盛り込まれたものと認識をしております。

 改めて、我が国における障害者雇用の状況や本法案の提出に至る経緯について、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 まずは、行政機関における障害者雇用について伺います。

 昨年明らかとなりました障害者雇用率の不適切な計上について、検証委員会の報告書では、障害者の範囲や確認方法等についての対応の不手際など、ルールの理解の欠如やずさんな対応が指摘されています。おおよそ民間の範となるべき公務の世界に断じて許されない事態であります。

 こうした背景として、障害を確認する際に必要な書類の保存や合理的配慮の提供等が差別解消法や障害者雇用促進法の対象外となっているなど、民間事業主と比較して、法律に基づく義務が甘いとの指摘があります。

 本法案により、行政機関等における障害者雇用がどのように是正されるのか、民間事業主と比較しながら、厚生大臣の国民へのわかりやすい説明を求めます。

 国家公務員の採用について、人事院は、今春、障害者に対象を限定した初の統一試験を実施いたしました。

 障害者の雇用に当たっては、一人一人の特性に応じて必要な配慮がなされるべきです。しかし、七百五十四人の合格者の内訳を見ると、民間では障害者雇用の二〇%以上を占める知的障害者の割合が全体の〇・四%にとどまるなど、今後の課題が浮き彫りとなりました。一過性の取組ではなく、今後の継続的な選考試験の取組が望まれるところであります。

 また、政府は、法定雇用率の達成に向けて、約四千人という過去に例がない大量の障害者採用計画を策定していますが、単なる数合わせにならないように、雇用の質や職場への定着にもしっかりと力を入れる必要があります。

 公明党は、政府に対して、障害者雇用の視点から、業務の見直しや働き方改革に取り組むとともに、非常勤からスタートして常勤へと移行するステップアップ雇用や、職場への適応、定着を支援するジョブコーチなど、民間で活用されている支援の検討を訴えてまいりました。

 各府省における採用計画の着実な実施に向けて、具体的な職場定着の支援をどのように進めるのか、厚生労働省の答弁を求めます。

 各府省の中でも、法務省、国土交通省、国税庁などは、とりわけ採用予定数が大きく、その実現に向けては職場環境の抜本的な改善が必要と考えます。

 今後、障害者の仕事づくりに向けて、民間の特例子会社の取組を参考に、各共済組合を活用するなど、今までにない仕組みを検討すべきと考えます。

 また、地方自治体については、平成三十年六月一日現在で、都道府県、市町村、教育委員会などを合わせ、全国で約五千八百人が法定雇用率に不足しており、本年末までに約七千人の採用が予定されていると理解しております。その達成に向けて、地方交付税などによる財政面での支援を始め、他の自治体での好事例の周知や民間への支援の中で培われたノウハウの活用など、国による支援が欠かせません。

 さらに、教育委員会や学校現場においては、雇用の大部分を教員が占めており、障害者雇用率の達成には、教員の障害者雇用を進める必要があります。

 文部科学省は、浮島智子副大臣のもとに障害者活躍推進チームを設置し、検討を進めているものと仄聞しておりますが、障害者が教員として活躍できるよう、教員養成課程の学生への支援や教員採用試験のあり方の見直しなど、抜本的な環境整備に取り組んでいただきたい。

 今申し上げた、各機関における法定雇用率達成に向けた課題への取組について、厚生労働大臣、総務大臣、文部科学大臣の答弁を求めます。

 政府は、本年三月、法定雇用率の達成を前提に障害者雇用の促進のために措置された予算について、各府省等が法定雇用率を未達成の場合に、使われなかった人件費等を適切に活用し、必要な障害者雇用の促進策に充てる方針を決定しました。

 この措置は、現在の採用計画が終了した後、二〇二〇年以降に適用するとしておりますが、今年度においても、法定雇用率が未達成であれば、適切に対応すべきと考えます。

 また、障害者雇用の促進には、施設整備などのハード面とソフト面の両面にわたる環境整備が重要であり、財源の活用に当たっても、ハード、ソフト両面で活用できるようにすべきであります。

 さらに、不用予算の活用に当たっては、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者雇用に係るカウンセリング機能を中心としたノウハウの活用ができるよう、具体的な方途も検討すべきであります。

 各府省等の法定雇用率が未達成の場合の予算等の取扱いについて、財務大臣及び厚生労働大臣の答弁を求めます。

 最後に、民間における障害者雇用について確認させていただきます。

 民間における障害者雇用数は、企業努力の積み重ねにより着実に増加し、十五年連続で過去最高を更新しました。一方で、二〇一八年四月から法定雇用率が二・二%へと引き上げられ、達成した企業の割合は半数を下回っております。

 先ほど来申し上げているように、行政機関において、国、地方合わせて一万一千人を超える障害者の雇用が進む中、民間から公務に移る障害者の方々もいらっしゃると想定されます。

 今後、二〇二一年四月までには法定雇用率が二・三%へと引き上げられ、対象となる民間の事業主の範囲も、従業員四十五・五人以上から従業員四十三・五人以上へと拡大されることもあり、官民における障害者雇用の現場は、相当の変化が予想されるところであります。

 こうした状況の中で、これまで懸命に取組を進めてこられた障害者の多数雇用事業所や障害者雇用を進めている中小企業の皆様には特段の配慮が必要と考えます。また、雇用の大幅な増加傾向にある精神障害者の短時間労働勤務の取扱いも重要な課題であります。

 障害者の雇用現場における激変が起きている中、今後の法定雇用率の引上げに向けて、どのように民間事業主の障害者雇用を促進するのか、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 最後に、障害を持つ人も持たない人も、一人一人が希望や特性に応じ、その能力を存分に発揮して活躍できる真の共生社会の実現を目指して、より一層取り組んでいくことをお誓い申し上げ、私の代表質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣根本匠君登壇〕

国務大臣(根本匠君) 桝屋敬悟議員にお答えいたします。

 障害者雇用の状況と法案提出の経緯についてお尋ねがありました。

 民間企業においては、企業努力の積み重ねにより、障害者雇用が着実に進展しています。しかし、就労を希望する精神障害者等が大幅に増加する一方で、中小企業における障害者雇用の取組が十分に進んでいない状況です。

 こうした中で、昨年、国及び地方公共団体の多くで障害者雇用率の算定対象となる障害者の確認及び計上に誤りがあり、障害者雇用率を満たしていない状況にあったことが明らかになったことは、大変遺憾であります。このため、その再発防止を徹底するだけでなく、障害者雇用率の速やかな達成と障害者の活躍の場の拡大に向けた取組を進める必要があります。

 こうした状況を踏まえ、障害者雇用施策の充実強化を図り、官民問わず、障害者の雇用を一層促進するため、この法案を提出いたしました。

 行政機関における障害者雇用についてお尋ねがありました。

 この法案は、多くの機関で対象障害者の不適切な計上や法定雇用率の未達成が継続してきたことを反省し、国及び地方公共団体における障害者の雇用状況を的確に把握するための措置等を講ずるものです。

 具体的には、行政機関等について、民間事業主とともに新設する規定として、障害者の確認方法の明確化を設けるとともに、民間事業主に合わせる規定として、厚生労働大臣による報告徴収の規定や関係書類を保存する義務を設け、さらに、民間事業主よりも更に強い規定として、対象障害者の確認に関し、厚生労働大臣が適正な実施を勧告する権限を設けるものです。

 これらの規定により、国等に対するチェック機能を十分に確保することができると考えています。

 職場定着の支援についてお尋ねがありました。

 法定雇用率の達成に向けた障害者の採用については、単なる数合わせとならないよう、障害者の希望と能力に応じた、障害者が活躍しやすい職場づくりを推進する必要があります。このため、受入れ体制の整備、職場環境の整備などに取り組み、職場定着を進展させることが重要と考えます。

 現在、各府省において、基本方針に基づき、障害者雇用の推進に関する実務責任者の配置、働く障害者向けの相談窓口の設置、個々の障害者のサポートをする支援者の配置、委嘱などにより、必要な職場環境の整備を実施しているものと承知しています。厚生労働省としても、これらの取組を最大限支援しております。

 また、障害者雇用促進法の改正案においては、国及び地方公共団体に対して、障害者の活躍の場の拡大に向けた障害者活躍推進計画の作成、障害者雇用推進者及び障害者職業生活相談員の選任を義務づけることとしています。

 法定雇用率の達成に向けた課題への対応についてお尋ねがありました。

 公務部門において障害者が活躍できる仕事づくりを進めるに当たって、民間における特例子会社の取組も参考となると考えられるところです。

 現時点では、これに類似した取組として、障害特性に応じた職場環境づくりの観点から、その庁舎内に障害者雇用に特化した部署を設け、郵便物の発送やデータ入力等の業務を行っている地方公共団体が存在するものと承知しています。

 今後、各機関に対して、これらの取組に関する情報提供をすることにより、障害者が活躍できる仕事づくりを推進してまいります。

 予算などの取扱いについてお尋ねがありました。

 御指摘の予算面での対応は、法定雇用率が未達成の場合、その未達相当額を適切に活用して、各年度の予算編成において、必要な障害者雇用の促進策の充実を図るものです。

 現在の採用期間経過後、来年六月一日現在の雇用状況に基づき判断することとしており、その後の予算編成において対応することとしています。

 具体的な障害者雇用の促進策については、各年度の予算編成において、施策の必要性等を見きわめた上で、必要なものについて措置されるものであり、今後、適切に対応してまいります。

 いずれにせよ、国の行政機関は率先して障害者雇用を進める立場にあり、まずは、現在の採用計画の達成に政府一体となって取り組んでまいります。

 民間事業主の障害者雇用の促進についてお尋ねがありました。

 今般、国において相当数の障害者を採用することにより、民間企業を離職する障害者が実際に一定程度発生することが考えられます。また、二〇二一年四月より前までに法定雇用率の引上げも予定されていることから、民間企業における障害者の採用に関して、一層の支援を進めることが求められております。

 このため、今後、民間企業の障害者の採用や受け入れる職場の環境整備について、ハローワークと関係機関との連携を図りながら、これまで以上にきめ細かな支援を進めてまいります。

 また、中小企業に対する支援や精神障害者の短時間労働については、今回の法案において、障害者雇用に係る中小事業主の認定制度や、短時間労働者のうち週所定労働時間が一定の範囲内にある障害者を雇用する場合の特例給付金の新設について盛り込んでいるところです。(拍手)

    〔国務大臣石田真敏君登壇〕

国務大臣(石田真敏君) 桝屋議員にお答えいたします。

 地方公共団体における雇用率の達成に向けた課題についてお尋ねがありました。

 地方公共団体における障害者雇用の促進に当たっては、法定雇用率の達成はもとより、障害者が活躍しやすい職場づくりの推進に取り組むことも重要であります。

 総務省としては、昨年十月に取りまとめられました公務部門における障害者雇用に関する基本方針や、本年三月に取りまとめられました「「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づく対策の更なる充実・強化について」を踏まえ、各地方公共団体の実情に応じ必要な措置を講ずるよう、厚生労働省とともに要請するなど、地方公共団体における障害者雇用の促進に努めてまいりました。

 また、総務省では、今年度から、地方公共団体が障害者の就労を進めるために必要な施設や設備の設置、整備等に要する経費に対しまして地方交付税措置を講じたところであります。

 引き続き、厚生労働省に協力し、法定雇用率の達成はもとより、地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大等に向けて、好事例の提供や必要な助言などを行ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣柴山昌彦君登壇〕

国務大臣(柴山昌彦君) 桝屋議員からのお尋ねにお答えいたします。

 教師の障害者雇用を促進するための取組についてお尋ねがありました。

 障害のある教師等が児童生徒等の身近にいることは、障害者への知識を深めたり、障害のある児童生徒等にとってのロールモデルとなったりするなどの教育的効果が期待されます。

 このため、大学等の教職課程における障害のある学生の支援や教員採用試験の改善、入職後の合理的配慮に至るまで、各段階にわたる総合的な取組が必要であると考えています。

 その具体的内容については、文部科学省内の、浮島副大臣を始めとした障害者活躍推進チームにおいて検討を進めているところでありますけれども、今後、実態把握を行うとともに、好事例を収集、発信することにより都道府県等の教育委員会の取組を促すなど、障害のある人が教師等として活躍できる環境整備をしっかりと推進してまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 桝屋議員からは、各府省等の法定雇用率が未達成だった場合の予算面での対応について、一問お尋ねがあっております。

 政府では、各府省等において法定雇用率が未達成だった場合には、障害者雇用関連予算のうち未達相当額を適切に活用し、必要な障害者雇用の促進策の充実を図ることといたしております。

 具体的には、現在の採用計画が本年末までとされていることも踏まえ、その期間経過後の来年六月時点での雇用状況に応じて、その後の予算編成について適切に対応をするということといたしております。

 また、こうした予算の活用に当たりましては、各年度の予算編成において、ハード、ソフト両面から、障害者雇用の促進に必要な施策の内容をしっかりと検討することといたしております。

 いずれにせよ、国の行政機関は率先して障害者雇用を進める立場にあります。まずは、こうした法定雇用率未達成の場合の予算上の対応が現実のものとならないよう、採用計画の達成に、今年度を含め、政府一体として取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 高橋千鶴子さん。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、障害者雇用促進法改正案について質問します。(拍手)

 同法は、一九六〇年、身体障害者雇用促進法として制定され、順次改正してきました。障害を理由とした差別の禁止や合理的配慮を定めた二〇一三年改正の際は、障害者権利条約の批准に対応するとされました。

 障害者権利条約第二条は、差別とは、障害を理由とするあらゆる排除とし、第二十七条「締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める。」とあります。

 しかし、各省庁の障害者雇用水増し問題は、障害者排除そのものです。これは障害者団体からの指摘ですが、根本厚労大臣の受けとめを伺います。

 検証委員会報告は、意図的ではなかったと結論づけました。しかし、各省庁は障害者雇用の義務を果たさないばかりか、達成できなければ省内で探す、まだ足りなければ、裸眼の視力を用いたり、何年も前に亡くなった人までカウントするなど、悪質かつ共通した手法が見受けられました。それがなぜなのか、徹底した全容解明と検証を行うべきです。

 まず、雇用率制度の対象者について伺います。

 法案で、障害者とは、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害を含む、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者とあります。ところが、雇用率制度の対象は、身体、知的、精神の手帳等の所持者のみです。難病や発達障害などが対象外なのはなぜですか。

 手帳がなくても、職業生活に相当の制限を受ける方がいること、そうした方々の中に働きたいと望んでいる方も多いことを認識していますか。

 次に、水増し問題を受けての国、地方公共団体に対する措置についてです。

 第一に、手帳などの省令で定める書類によって対象者の確認をすると明記しました。今、働き出した後に手帳を持つ人もふえており、内部障害など、見た目にわからない障害は、手帳の所持を言い出せない、あるいは申請しないという問題があるとの指摘があります。障害があっても隠さなくてよい職場環境づくりが必要だと思いますが、見解を求めます。

 第二に、書類等に疑義が生じた場合、民間企業に対しては立入検査をしますが、国や地方公共団体にはその規定がなく、報告聴取と適正実施勧告で対応するとしています。今回、特殊法人や独立行政法人に対する立入検査規定を盛り込んだのに、国や地方公共団体を含めなかったのはなぜですか。

 立入検査ができない中で、どう実効性を担保するのか、お答えください。

 次に、障害者の採用や定着についてです。

 国や地方公共団体に対し、活躍推進計画の作成を義務づけます。さまざまな障害の特性に応じた採用試験への配慮や通勤時の支援も計画の内容に盛り込むべきです。また、それぞれの能力が発揮できる場面を考え、用意することが必要だと思いますが、見解を伺います。

 今般、統一した採用試験が初めて実施されました。その結果と、障害者の特性に応じた採用試験の課題について、人事院に伺います。

 今度の採用計画が単なる数合わせでなく、職場定着につなげるためには、定員増が必要と考えますが、宮腰大臣に伺います。

 第二に、国や地方公共団体に対して、障害者雇用推進者や障害者職業生活相談員の選任を義務づけました。ただし、両者は兼任でもよいとされ、十分な体制は期待できません。一定の職場経験のある障害者を相談員として思い切った採用を図ることや、相談の実績もある障害者就業・生活支援センターや就労定着支援事業所と連携し、支援を強化していくべきです。

 第三に、週十時間以上二十時間未満の特定短時間労働者を雇用した事業主に特例給付金を支給するとしました。障害者の特性や希望に応じて、時間に関係なく働くことができるようにすることが重要であり、十時間未満でしか働けない人にとっては、採用で選別されることになりませんか。

 特例給付金は、調整金、報奨金の四分の一なのですか。障害者を同じ一人と見ない、ダブルカウントなどはやめるべきです。

 水増し問題は、障害者の尊厳を傷つけ、多くの障害者の就業機会を奪ってきたという重大な問題です。その真剣な反省の上に、改めて障害者権利条約に立ち返って、どうあるべきなのか、当事者参加で抜本的な議論を行うことを求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣根本匠君登壇〕

国務大臣(根本匠君) 高橋千鶴子議員にお答えします。

 今回の問題の背景についてお尋ねがありました。

 障害のある方の雇用や活躍の場の拡大を民間に率先して進めていくべき国の行政機関の多くで対象障害者の不適切な計上があり、法定雇用率が達成されていない状況が長年にわたって継続していたことは、極めて遺憾であります。

 検証委員会の報告書においては、今般の事案が生じた各行政機関側の根本原因として、国の行政機関における障害者雇用の促進を実効あらしめようとする基本認識の欠如と法の理念に対する意識の低さが指摘されており、私もそのとおりであると思います。

 これまでの対応を深く反省し、公務部門を含めて障害者雇用の推進を所管する責任を改めて自覚した上で、国における障害者雇用の促進にしっかりとした役割を果たせるよう、改正法案を提出したところであり、障害者の雇用を一層促進してまいります。

 今般の障害者雇用率の不適切計上における背景の解明と検証についてお尋ねがありました。

 国の行政機関における障害者雇用に関する今般の事案については、福岡高検の検事長も務められた松井委員長をトップとした検証委員会を立ち上げ、多角的にしっかりと検証していただきました。

 その結果として、組織として障害者雇用に対する意識が低く、ガバナンスが著しく欠如している中で、担当者が法定雇用率を達成させようとする余り、恣意的に解釈された基準により不適切な実務慣行を継続させてきたという、各行政機関側における今般の事案の基本的な構図を明らかにしていただいています。

 このため、私としては、検証委員会は十分にその役割を果たしていただいたものと認識しております。

 障害者雇用義務制度の対象範囲についてお尋ねがありました。

 障害者雇用義務制度では、法的公平性と安定性を確保するため、対象を明確かつ容易に判定できるよう、対象障害者の条件を、原則として障害者手帳等を所持していることとしています。

 障害者雇用促進法における障害者は、心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者とされており、障害者手帳所持者に限らず、職業相談や職業紹介等の支援の対象となるものであり、これらの支援をしっかりと進めてまいります。

 障害者の職場環境づくりについてお尋ねがありました。

 障害者が障害があることを隠さなくてもよい職場づくりをしていくためには、障害があることを開示することが本人にとって不利益とならないようにすることが重要であり、そのためには、障害者に対する職場の理解を深めていくことが前提となると考えられます。

 障害者に対する職場の理解を深めるための厚生労働省の取組として、各府省に対して、雇用セミナー、障害者雇用職場見学会など各種の支援策を実施するとともに、特に精神障害者、発達障害者については、精神・発達障害者しごとサポーター養成講座により、職場の上司や同僚の方の理解の促進を図っているところです。

 これらの地道な取組を通じて、障害の有無にかかわらず、働く方それぞれの能力を最大限に発揮し活躍できるような職場づくりを進めていきたいと考えております。

 国等に対する立入検査についてお尋ねがありました。

 独立行政法人を含む特殊法人については、障害者雇用納付金制度に関する規定を除いて、民間の事業主と基本的に同じ規定が適用されていることを踏まえ、民間の事業主と同様に、厚生労働大臣による立入検査等を行うことができる旨を明確化したところです。

 他方で、現行の各法体系において、国等に対する立入検査等が認められている主体は、基本的に、会計検査院、人事院といった、憲法による検査権や準立法的権限、準司法的権限を持つ特別な機関であることも踏まえ、立入検査の規定がないことが今般の事案の原因であるとは考えにくいことから、厚生労働大臣による立入検査を規定しないものとしたところです。

 なお、今回の改正において、国等に対する報告徴収や是正勧告の規定を新設することにより再発防止を図ることができるものと考えております。

 障害者活用推進計画に盛り込む内容についてお尋ねがありました。

 障害者活躍推進計画は、障害者の活躍の場を拡大するための取組を不断に実施できるよう、国及び地方公共団体に作成、公表を義務づけることとしています。

 障害者活躍推進計画では、計画期間、目標、取組内容などを定めることとされています。計画で定める取組内容については、厚生労働大臣が定める作成指針を踏まえて、各機関の実情や方針を踏まえて設定していただくことを想定しています。作成指針については、法案が成立した場合、労働政策審議会等における議論を踏まえて詳細を検討してまいります。

 障害者雇用推進者や障害者職業生活相談員等についてお尋ねがありました。

 今回の改正では、障害者の職場環境の整備などに取り組むため、国等に対し、障害者雇用の促進等の業務を担当する障害者雇用推進者と、職業生活に関する相談、指導を行う障害者職業生活相談員の選任義務を課すこととしています。

 これらの推進体制の実効性の確保と障害者に対する支援の強化に向け、障害者職業生活相談員は、資格認定講習を受講した者の中から選任することとしているほか、関係閣僚会議において、障害者雇用推進者には各府省等の官房長等を選任すること、障害者雇用推進者や障害者職業生活相談員等の職員の人事評価に当たっては、業務内容に応じた取組が適切に考慮されるものであること、就労支援機関との連携を推進することを決定したところです。

 特定短時間労働者を雇用する事業主に対する特例給付金等についてお尋ねがありました。

 本法案においては、短時間であれば就業可能な障害者の就業機会の確保を促進するため、特例給付金を設けることとし、その支給要件や支給単価については、労働政策審議会の意見書において、給付金の単価は障害者雇用調整金や奨励金の単価の四分の一程度とすること、支給対象となる雇用障害者の所定労働時間の下限は十時間とすることなどとされています。

 いずれにせよ、具体的な仕組みについては、法案が成立した場合、労働政策審議会において御議論いただき、具体的に検討してまいります。

 また、重度障害者のダブルカウントについては、就労の困難度の高い重度障害者の雇用を促進するため、事業主に対して職域の拡大の努力を促すとともに、その雇用には施設設備の改善等に多くの負担を伴うことを考慮し、雇用率制度の適用上、有利に取り扱っているものであり、今後も適切に運用してまいりたいと考えています。(拍手)

    〔政府特別補佐人一宮なほみ君登壇〕

政府特別補佐人(一宮なほみ君) 障害者選考試験の結果及び障害者の特性に応じた採用試験の課題についてお尋ねがありました。

 今回実施した障害者選考試験は、身体障害者手帳等、療育手帳等又は精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方を対象として統一的に実施したものであり、本年三月二十二日に七百五十四名の合格者を発表したところです。本試験は、障害の種別にかかわらず同一の筆記試験による第一次選考を行っており、知的障害など、障害の特性によってはなじみにくいところもあったかと考えられます。

 障害のある方を採用する方法には、障害者選考試験を経て採用する方法のほか、各府省における個別選考により採用する方法や、各府省の非常勤職員として採用する方法があり、これらにおいては、筆記試験だけでなく、仕事の内容に応じて実技を重視するなどしているところです。

 人事院としては、引き続き、多様な障害特性を有する障害者の就業機会の確保に向けて、厚生労働省等と連携しつつ、必要な取組を行ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣宮腰光寛君登壇〕

国務大臣(宮腰光寛君) 障害者雇用に係る定員増についてお尋ねがありました。

 障害者雇用を促進するための定員については、各府省が策定した採用計画に基づき、常勤職員として採用するために必要となる定員として、平成三十年度に三百八十人、平成三十一年度に八百七人の要求をいただきました。

 公務部門における障害者雇用に関する基本方針において、必要となる定員については適切に措置することとされたことを受け、障害者の方々に安定的な雇用環境を提供する観点から、要求を全て認めることとしたものです。

 現在、各府省において障害者の方々の採用が進められていると承知しておりますが、引き続き、採用計画に沿って円滑な採用が行われ、採用された障害者の方々の職場への定着に向けた取組を行っていくことが重要であると考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 中島克仁君。

    〔中島克仁君登壇〕

中島克仁君 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 会派を代表して、障害者雇用促進法改正案について質問をいたします。(拍手)

 昨年、中央省庁や地方自治体で明らかとなった障害者雇用水増し問題は、雇用促進の旗振り役であるべき官公庁が障害者の自立や社会参加を阻害する障壁になっていた実態を浮き彫りにいたしました。

 第三者検証委員会が指摘した長年のずさんな障害者雇用率の算定について、障害者や家族は、排除の意識が根底にあったのではないかと指摘をし、不信を募らせています。

 今回の問題の背景に、障害者差別、排除の意識が根底にあったのではないかという指摘に対する厚労大臣の見解をお尋ねいたします。

 また、中央省庁で障害者が働く意義をどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。

 社会福祉活動家のヘレン・ケラー女史は、二歳のときに高熱に伴う髄膜炎に罹患し、聴力、視力、言葉を失いました。サリバン先生の教育支援、家族の生活、経済的支援を受けて、その能力を発揮し、社会に影響を与える活動家となりました。

 ヘレン・ケラー女史と同様の全盲聾児に対する教育体制を整え、昭和二十年代後半、日本で初めて盲聾教育を実践したのが山梨県立盲学校です。当時、二人の全盲聾児の生活支援に携わった私の母は、寝食をともにし、気の遠くなるような地道なお互いの努力から信頼を生み、指文字を通して意思疎通が可能となりました。約六十年後の現在、二人は施設で穏やかな生活を送り、所内で作業にも従事をしております。

 母の経験が教えてくれるのは、それぞれが尊重し合い、信頼関係を前提に、しかるべき時期にしかるべき支援がなされることでその能力を発揮することは、真の人間開発であり、国益に資する。福祉、また教育の原点と受けとめております。母は、ヘレン・ケラー女史とお会いした際、日本語でありがとうと発声されたことに感銘を受け、福祉、教育のすばらしさを実感したと私に話をしてくれます。

 社会が多様な個人をそれぞれ尊重するという原則を共有できているのか、今回の問題は問いかけていると感じます。厚労大臣の見解を求めます。

 平成二十五年四月に施行された障害者優先調達推進法は、障害者の経済面の自立を進めるため、国などの公的機関が物品やサービスを調達する際、障害者就労施設から優先的、積極的に購入することを推進する目的で制定をされました。

 直近の平成二十九年度実績において、調達方針、目標を達成していない省庁、国の機関を全てお示しください。

 同時に、達成できていない理由について、厚生労働省としてどう認識、把握されておるのか、また、優先調達推進法の趣旨に沿い、今後、改善のためにどのように指導されていくおつもりなのか、お尋ねをいたします。

 そもそも、多くの中央省庁の調達方針は、前年度の実績を上回るとされております。このような調達方針では、少しずつ調達実績を伸ばせばそれでよいということになってしまいます。法の趣旨に沿い、具体的な数値目標を各省庁が設定する必要があると考えますが、厚労大臣の見解を求めます。

 発注の窓口の一つが各都道府県にある共同受注窓口ですが、ここに話を聞くと、選挙があると、シール張り、封筒詰めなど、仕事が大幅にふえるそうです。名刺や事務用品など、平時より、一人一人の国会議員、また事務所が、物品の調達を障害者施設と、優先的、率先して契約していくべきだと考えますが、根本大臣のお考えをお尋ねいたします。

 最後に、障害者のがん対策について質問いたします。

 現実として、障害のあるがん患者の実態や必要な支援等が十分に明らかになっておりません。まずは、障害のあるがん患者の実態やニーズを把握する必要があります。その上で、適切な情報提供の仕方、意思決定のための整備を進めていく必要があると考えますが、厚労大臣の見解をお尋ねいたします。

 拙速な数合わせや上辺だけの検証は意味がありません。障害者雇用は、効率や生産性が全てのような現代の働き方に警鐘を鳴らし、圧迫感を抱えている職場に新しい風を吹き込むに違いありません。

 それぞれの個性を重んじ、尊重し合える職場となること、一人一人が自分らしく生き抜ける社会の実現のために、本改正案を通して深い議論がなされることを心より願い、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣根本匠君登壇〕

国務大臣(根本匠君) 中島克仁議員にお答えします。

 今回の問題の背景についてお尋ねがありました。

 障害のある方の雇用や活躍の場の拡大を民間に率先して進めていくべき国の行政機関の多くにおいて対象障害者の不適切な計上があり、法定雇用率が達成されていない状況が長年にわたって継続していたことは、極めて遺憾であります。

 検証委員会の報告書においては、今般の事案が生じた各行政機関側の根本原因として、国の行政機関における障害者雇用の促進を実効あらしめようとする基本認識の欠如と法の理念に対する意識の低さが指摘されており、私もそのとおりであると思います。

 これまでの対応を深く反省し、公務部門を含めて障害者雇用の推進を所管する責任を改めて自覚した上で、国における障害者雇用の促進にしっかりとした役割を果たせるよう、取組を強化してまいります。

 中央省庁で障害者が働く意義についてお尋ねがありました。

 各府省において障害者雇用を推進することにより、障害者とともに働くことや障害者が生き生きと活躍できるように何ができるか検討することなどを通じて、各府省における障害に対する理解が深まるものと考えます。

 この理解の深まりに加えて、各府省で働く人材の多様性が増すことは、多様な価値観を踏まえた政策立案にもつながると考えます。

 こうしたことを念頭に置きながら、御本人がその意欲と能力を発揮し活躍することができるよう、障害者一人一人の障害の特性に応じた、働きがいのある職場環境づくりに引き続き取り組んでまいります。

 多様な個人の尊重についてお尋ねがありました。

 若者も高齢者も、障害や難病のある方も、一人一人が個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、職場で、それぞれの能力を発揮でき、生きがいを感じることができる一億総活躍社会を築いていくことが重要です。

 今般の事案を真摯に受けとめ、障害者一人一人について、御本人の希望に沿った職業や職場の選択がなされ、障害者が安心してその希望に応じ活躍できる場の拡大に取り組んでまいります。

 障害者優先調達推進法に基づく、省庁等の平成二十九年度における調達方針の目標達成状況についてお尋ねがありました。

 平成二十九年度の実績について、その状況を調査したところ、物品及び役務の種別ごとに前年度の実績を上回ると目標を設定した府省庁のうち、文部科学省、消費者庁、会計検査院、復興庁の四機関において、いずれの種別も達成していない状況でありました。また、物品と役務を合計し前年度実績を上回ると目標を設定した府省庁のうち、警察庁、個人情報保護委員会の二機関が目標を達成していない状況と承知しています。

 今後も、厚生労働省として、各府省庁等の取組状況を継続的に把握し、優先調達の推進に努めてまいります。

 調達方針、目標を達成できていない理由等についてお尋ねがありました。

 各府省庁等においては、障害者優先調達推進法に基づき、それぞれの調達方針でみずから設定した目標の達成に向け、真摯に取り組んでいるものと認識しています。

 達成できていない理由については、例えば、前年度に発注した案件が平成二十九年度になかったことなどがあったものと承知しています。

 いずれにしても、厚生労働省としては、引き続き、各府省庁等の調達推進に向けた取組を進めてまいります。

 中央省庁における調達方針の数値目標についてお尋ねがありました。

 障害者優先調達推進法に基づき、障害者就労施設等の受注の機会を確保、拡大していくことは、そこで就労する障害者の自立の促進の観点から重要です。

 調達方針における目標については、各府省庁等が適切に設定していると認識しており、前年度実績を上回るという目標についても、着実にその実績を拡充していくという観点からは適切であると考えています。

 いずれにしても、厚生労働省としても、引き続き、同法に基づく国の取組の推進を図ってまいります。

 国会議員等による障害者就労施設等からの物品の調達についてお尋ねがありました。

 障害者就労施設等で働く障害者の自立の促進の観点から、障害者優先調達推進法に基づく取組のみならず、御指摘の点や民需の拡大など、さまざまな取組により障害者就労施設等の受注の機会の確保を図っていくことが重要です。

 国会議員等による物品の調達は本法の対象外ではありますが、御提案のように、国会議員の先生方やその事務所において、障害者優先調達推進法の趣旨を踏まえ、積極的な取組をしていただけることは非常に有意義なことと考えています。

 厚生労働省としても、引き続き、さまざまな機会を通じ、受注の機会の確保につながる取組を推進していきます。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。

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副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣

       国務大臣    麻生 太郎君

       総務大臣    石田 真敏君

       外務大臣    河野 太郎君

       文部科学大臣  柴山 昌彦君

       厚生労働大臣  根本  匠君

       農林水産大臣  吉川 貴盛君

       国土交通大臣  石井 啓一君

       国務大臣    宮腰 光寛君

 出席副大臣

       厚生労働副大臣 高階恵美子君

 出席政府特別補佐人

       人事院総裁   一宮なほみ君


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