第26号 令和元年5月28日(火曜日)
令和元年五月二十八日(火曜日)―――――――――――――
議事日程 第十九号
令和元年五月二十八日
午後一時開議
第一 日本語教育の推進に関する法律案(文部科学委員長提出)
第二 建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案(国土交通委員長提出)
第四 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第五 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
第六 災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)
第七 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 日本語教育の推進に関する法律案(文部科学委員長提出)
日程第二 建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案(国土交通委員長提出)
日程第四 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第五 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第六 災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)
日程第七 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
午後一時二分開議
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
――――◇―――――
○議長(大島理森君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。
―――――――――――――
日程第一 日本語教育の推進に関する法律案(文部科学委員長提出)
○議長(大島理森君) 日程第一、日本語教育の推進に関する法律案を議題といたします。
委員長の趣旨弁明を許します。文部科学委員長亀岡偉民君。
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日本語教育の推進に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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〔亀岡偉民君登壇〕
○亀岡偉民君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
本案は、日本語教育の推進に関し、基本理念を定めるとともに、国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするほか、基本方針の策定その他日本語教育の推進に関する施策の基本となる事項を定めるものであり、その主な内容は、
第一に、日本語教育の推進は、日本語教育を受けることを希望する外国人等に対し、その希望、置かれている状況及び能力に応じた日本語教育を受ける機会が最大限に確保されるよう行われなければならないこと等を基本理念とすること、
第二に、政府は、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本方針を定めるとともに、地方公共団体は、基本方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における基本的な方針を定めるよう努めること
などであります。
本案は、去る二十二日、文部科学委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
―――――――――――――
○議長(大島理森君) 採決いたします。
本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
――――◇―――――
○議長(大島理森君) 日程第二とともに、日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。
―――――――――――――
日程第二 建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案(国土交通委員長提出)
○議長(大島理森君) 日程第二、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案、日程第三、公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。国土交通委員長谷公一君。
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建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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〔谷公一君登壇〕
○谷公一君 ただいま議題となりました両法律案につきまして申し上げます。
まず、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案について、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、建設業の働き方改革や建設現場の生産性の向上促進などを図るため、著しく短い期間を工期とする請負契約の締結の禁止、公共工事発注者に必要な工期確保等の方策を講ずることの努力義務化、建設資材製造業者等に対する勧告及び命令等の制度の導入、建設業の許可基準のうち経営能力に関する基準の緩和等の措置を講じようとするものであります。
本案は、去る五月十六日本委員会に付託され、翌十七日石井国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、同日、法案審査に資するため、新国立競技場建設現場の視察を行いました。次いで、二十二日質疑を行い、同日質疑を終了し、二十四日採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
次に、公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
本案は、社会経済情勢の変化に対応した公共工事の品質確保を図ろうとするもので、その主な内容は、
第一に、公共工事に関し、国又は地方公共団体等が発注する測量、地質調査その他の調査及び設計を、公共工事に関する調査等として、本法律に明確に位置づけること、
第二に、基本理念において、災害復旧工事等の迅速かつ円滑な実施のための体制整備、適正な請負代金及び工期等による請負契約の締結、情報通信技術の活用等を通じた生産性の向上等について定めること、
第三に、発注者等の責務として、災害時における緊急性に応じた適切な入札契約方法の選択、公共工事等の実施時期の平準化のための繰越明許費又は債務負担行為等の活用による翌年度にわたる工期等の設定等について定めること、
第四に、受注者等の責務として、公共工事等を実施する者は、下請負人に使用される技能労働者等の労働条件等が適正に整備されるよう、適正な請負代金及び工期等を定める下請契約を締結しなければならないこと
などであります。
本案は、去る五月二十四日の国土交通委員会において、全会一致をもって委員会提出法律案として提出することに決したものであります。
なお、公共工事の品質確保の促進に関する件を本委員会の決議として議決したことを申し添えます。
何とぞ速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
―――――――――――――
○議長(大島理森君) これより採決に入ります。
まず、日程第二につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第三につき採決いたします。
本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
――――◇―――――
日程第四 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(大島理森君) 日程第四、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員長牧原秀樹君。
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道路交通法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
〔牧原秀樹君登壇〕
○牧原秀樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、最近における道路交通をめぐる情勢に鑑み、自動車の自動運転の技術の実用化に対応した運転者等の義務に関する規定の整備を行うとともに、自動車又は原動機付自転車を運転中の携帯電話使用等に対する罰則の強化等を行うものであります。
本案は、参議院先議に係るもので、去る五月二十一日本委員会に付託され、翌二十二日山本国家公安委員会委員長から提案理由の説明を聴取いたしました。次いで、二十四日に質疑を行い、質疑終局後、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――
○議長(大島理森君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
――――◇―――――
日程第五 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(大島理森君) 日程第五、民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。法務委員長葉梨康弘君。
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民法等の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
〔葉梨康弘君登壇〕
○葉梨康弘君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、特別養子制度の利用を促進するため、養子となる者の年齢の上限を引き上げるとともに、特別養子適格の確認の審判の新設、特別養子縁組の成立の審判に係る規定の整備、児童相談所長が特別養子適格の確認の審判の手続に参加することができる制度の新設等の措置を講じようとするものであります。
本案は、去る五月十四日本委員会に付託され、翌十五日山下法務大臣から提案理由の説明を聴取し、十七日質疑に入り、二十二日参考人から意見を聴取しました。二十四日、質疑を終局し、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――
○議長(大島理森君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
――――◇―――――
○議長(大島理森君) 日程第六は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。
―――――――――――――
日程第六 災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)
○議長(大島理森君) 日程第六、災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の趣旨弁明を許します。災害対策特別委員長望月義夫君。
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災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
〔望月義夫君登壇〕
○望月義夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
災害弔慰金の支給等に関する法律に規定する災害援護資金は、大災害のたびに多くの被災者が利用してまいりました。特に、阪神・淡路大震災においては、その当時、被災者生活再建支援法がまだ制定されていなかった等により、多くの方々が貸付けを受けました。しかしながら、いまだ八千四百件の約百二十三億円分については国や都道府県による原資貸付金の取扱いが課題となっております。関係地方公共団体からは、新たな法的枠組みの整備について強い要望があります。
本案は、このような状況に鑑み、災害援護資金に係る償還免除の特例、支払い猶予等について定めようとするものであります。
その主な内容は、
第一に、被災者生活再建支援法が適用されるようになる前に生じた災害に係る災害援護資金について、その借受人が収入等の状況により償還することが著しく困難である場合の償還免除に係る規定を設けること、
第二に、本年四月一日より前に生じた災害に係る災害援護資金の保証債権について、市町村が、償還期限から十年後に権利を放棄したときの国等の貸付金の償還免除について規定を設けること、
第三に、災害援護資金の償還金の支払い猶予について規定を設けること、
第四に、借受人が破産手続開始の決定等を受けたときは、償還を免除することができること、
第五に、市町村は、償還免除等の判断のため、借受人等に収入等の状況について報告を求め、又は官公署に対し必要な文書の閲覧等を求めることができること、
第六に、市町村は、災害弔慰金等の支給に関する事項を調査審議するため、合議制の機関を置くよう努めること、
第七に、国は、災害弔慰金等の支給及び災害援護資金の貸付けの申請の機会が確保されるよう、これらの制度の周知徹底を図ること
等であります。
本案は、去る二十四日の災害対策特別委員会において、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって成案と決定し、これを委員会提出法律案とすることに決したものであります。
なお、被災者支援制度に関する件を本委員会の決議として議決したことを申し添えます。
何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。
以上です。(拍手)
―――――――――――――
○議長(大島理森君) 採決いたします。
本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
――――◇―――――
日程第七 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(大島理森君) 日程第七、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。厚生労働委員長冨岡勉君。
―――――――――――――
児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
〔冨岡勉君登壇〕
○冨岡勉君 ただいま議題となりました児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、児童虐待防止対策の強化を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、
第一に、親権者は、児童のしつけに際して、体罰を加えてはならないこととすること、
第二に、都道府県は、児童の一時保護等の介入的対応を行う職員と保護者支援を行う職員を分ける等の措置を講じなければならないこととすること、
第三に、児童相談所の管轄区域は、人口その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとすること
等であります。
本案は、去る五月十日の本会議において趣旨説明が行われた後、同日本委員会に付託されました。
本委員会におきましては、十五日根本厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取した後、十七日から質疑に入り、二十一日には参考人から意見を聴取し、二十四日には安倍内閣総理大臣に対する質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。
質疑終局後、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び社会保障を立て直す国民会議の七会派より、本案に対し、児童相談所長等は、児童虐待を行った保護者について、児童虐待の再発を防止するため、医学的又は心理学的知見に基づく指導を行うよう努めるものとすること等を内容とする修正案が提出され、趣旨説明を聴取いたしました。
次いで、原案及び修正案について討論、採決を行った結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――
○議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。山田美樹君。
〔山田美樹君登壇〕
○山田美樹君 自由民主党の山田美樹です。
討論に入ります前に、一言申し上げます。
本日午前中、川崎市で無差別殺人があり、小学校六年生の女の子と三十九歳の男性が命を落とされました。心から御冥福をお祈り申し上げます。
大切な子供の命を守るという意味では、児童虐待防止も同じです。
私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
児童相談所における児童虐待相談対応件数は増加の一途をたどっており、平成二十九年度には十三万件を超え、児童虐待防止法の制定直前である平成十一年度と比べると、実に十一倍以上となっております。時に痛ましい事件が発生しており、そうした虐待事案は日本じゅうに衝撃を与えました。
虐待を受けながらも、両親の思いに応えようとする思いを覚えたての平仮名でつづった五歳の結愛ちゃん、悲痛なSOSの声を発していた小学校四年生の心愛さん。虐待によって幼い命が奪われる痛ましい事件に胸が張り裂けそうな思いを持ったのは、私一人ではないはずです。児童虐待によって幼い命が奪われる痛ましい出来事をもう繰り返してはなりません。安倍総理も繰り返し訴えるとおり、子供たちの命を守るのは、私たち大人全員の責任であります。
政府は、本年三月に児童虐待防止対策の抜本的強化策を取りまとめ、対策を実施するための児童福祉法等の改正法案を今国会に提出しました。
この法案は、体罰禁止の法定化、児童相談所における弁護士や医師などの配置促進、児童相談所の管轄区域に関する参酌基準の法定化、関係機関の職員の守秘義務、DV対策と児童虐待防止対策との連携強化などの対策が盛り込まれております。
あわせて、政府は、児童相談所における児童福祉司の二千人の増員を始めとした大幅な増員計画を今年度から実施をしており、今年度は一気に児童福祉司を一千人増員させることとしています。さらに、住民に身近な市町村でより相談を受けやすくなるよう、市町村に置かれる相談拠点を全市町村に設置することなどの対策を打ち出しており、こうした計画と相まって、この法案は実効性の期待される対策となっておりました。
他方で、本法案の審議においては、対策をよりよくするため、与野党間において真摯な協議が重ねられ、与野党共同の修正案を取りまとめました。
具体的には、修正案においては、保護者に対する更生プログラム実施の推進、転居ケースにおける切れ目ない支援を図るための児童相談所間や関係機関間の連携、要保護児童対策地域協議会における関係機関等の協力の強化などを新たに加えることとしており、この修正案は、政府の対策を更にいま一歩進めるための意義深いものになったものと自負をしております。
なお、この修正案については、与野党が、それぞれの垣根を越えて、児童虐待根絶という大きな目的のもとで、それぞれの考え方、立場を尊重し、みずからの立場にこだわることなく、一致できるところは何なのかという観点で、与野党それぞれが建設的な立場で議論を行った末に取りまとめられました。今後の国会審議において与野党それぞれが参考とすべき事例となったものと考えており、この場をおかりして、この修正案に携わった与野党の関係者各位に改めて感謝と敬意を表するものであります。
言うまでもなく、児童虐待根絶は喫緊の課題であります。それに向けて、あらゆる手段を尽くし、やれることは全てやる、二度とこのような痛ましい虐待事件を起こさないという強い決意を改めて申し上げて、私の賛成討論といたします。(拍手)
○議長(大島理森君) 尾辻かな子君。
〔尾辻かな子君登壇〕
○尾辻かな子君 立憲民主党・無所属フォーラムの尾辻かな子です。(拍手)
冒頭、本日、川崎市のスクールバス停留所前で小学生らが次々に刺され、十八人がけがをして運ばれ、そのうち小学六年生の女の子と三十九歳の男性が亡くなる痛ましい事件が起きました。心から哀悼の意を表しますとともに、負傷された皆様にお見舞いを申し上げ、一刻も早い回復をお祈り申し上げます。本当に悲しく、心が痛みます。心のケアなど、しっかり対応をしていただきたいと思います。
会派を代表して討論に入る前に、一言申し上げます。
令和の時代になり、初の国賓となったトランプ大統領が本日帰国されますが、ゴルフ、大相撲、居酒屋での接待外交を展開した成果は何だったのでしょうか。
日曜日には、トランプ大統領が自身のツイッターに、日本との貿易交渉は大きく進展している、特に農業や牛肉の分野だ、大部分は日本の選挙の後だ、大きな数字を期待していると、日米貿易交渉の進展について書いています。ゴルフをしながら、安倍総理はどのような話をされたのでしょうか。
共同記者会見でも、トランプ大統領が、貿易交渉について、八月には発表できると思うと発言をされています。
期限つきで方針を決めたのなら、参議院選挙の前に予算委員会等で説明していただく必要があります。重要な方針を隠して参議院選挙に臨むのは、国民に対するだましではないでしょうか。
また、十三日の内閣府発表の景気動向指数は、六年二カ月ぶりの悪化となりました。二十四日に発表された五月の月例経済報告は、輸出や生産の弱さが続いていると、景気判断を二カ月ぶりに引き下げました。この状況が消費税を増税できる経済状況なのか、安倍総理は説明する義務があるはずです。
開催を求めている予算委員会は一向に開かれず、本日で与党の審議拒否は八十八日となりました。通常国会における予算委員会の開催日数は、二〇〇一年からの十九年間で最低の十五日です。開かれて困ることがおありなのでしょうか。速やかに予算委員会を開くことを強く求めておきます。
それでは、ただいま議題となりました児童福祉法等改正案に対しまして、修正案、修正部分を除く原案ともに賛成の立場から討論をさせていただきます。
まず、今回、私たちが提出した対案の内容を踏まえた修正がなされました。修正案の取りまとめに御尽力をいただいた各会派の皆様に、心から御礼を申し上げます。
必要な政策は与野党問わず法案に取り入れていく、このような形が国会のあるべき形の一つではないでしょうか。
昨年三月に、目黒区に住む五歳の船戸結愛さんが虐待で命を落としました。五歳で、もうお願い許してと書いた結愛さんの気持ちを思うと、そのSOSを見逃したことは本当に悔しくてなりません。
この事件を受け、昨年、私たちは、児童相談所強化緊急法案を提出し、児童福祉司の増員、各関係機関の連携を求めました。このときに法案審議に応じていただき、法律改正ができていたら、ことしの千葉県野田市で起きた十歳の栗原心愛さんの事件は防げたのかもしれません。
虐待から子供たちを守り、保護者を支援しようと、児童相談所を始め関係機関の関係者の方々がきょうも全力で取り組んでおられます。他方、今も一週間に一人のペースで子供たちの命が虐待で奪われている現状があります。私たちは、この状況を変えなくてはなりません。
今回の修正案で進んだ四点をお話しいたします。
一点目は、加害者プログラムです。
児童虐待を行った保護者に対する指導等として、都道府県知事又は児童相談所所長が、児童虐待を行った保護者に対して、児童虐待の再発を防止するため、医学的又は心理学知見に基づく指導を行うよう努める努力義務規定が入りました。ノウハウを持った専門人材や団体と連携し、意思のある保護者に対して有効なプログラムを提供することで、暴力に訴えることをやめ、家族再統合を進めていくことができるようになります。
二点目は、児童相談所と関係機関との連携強化として、児童虐待防止法第四条に、関係地方公共団体相互間、市町村、児童相談所、福祉事務所、配偶者暴力相談支援センター、学校及び医療機関を例示し、児童虐待対応の連携を具体的に各機関に求めるよう書き込むことになりました。
さらに、児童虐待を受けた児童が転居した場合に、児童虐待を行った保護者に対して、転居の前後において指導、助言その他必要な支援が切れ目なく行われるよう、転居先の児童相談所長に速やかに必要な情報の提供を行うものとする規定が盛り込まれました。これにより、転居によって支援が届かなくなる事態を避けることができます。
三点目は、本法施行後二年を目途とした、児童の意見が尊重されるための仕組みに関する検討規定について、児童の意見を聞く機会の確保、児童の権利を擁護する仕組みの構築を検討規定として明記することになりました。
子どもの権利条約批准から二十五年、子供の意見表明権をしっかり担保することが求められています。先ほどの結愛さんも心愛さんも、助けてほしいと声を上げていたのに、その声を受けとめることができませんでした。その必要性を強く訴えた野党の修正を受けて、この失敗を繰り返さないよう、二年の間にしっかり検討して、仕組みを構築することを求めておきたいと思います。
四点目、DV、配偶者等からの暴力についてです。
児童虐待とDVは密接な関連性が指摘されています。今回、通報の対象となるDVの形態及び保護命令に係るDV被害者の範囲の拡大について、本法の公布後三年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずることになりました。
野田市の事案では、母親が精神的DVを受けていた可能性が指摘されています。精神的DVや性的DVも通報、保護命令の対象となるよう検討を進められることになったのは大きな前進だと思います。また、身体的DVを診察した医師の通報義務についても検討をお願いしておきます。
さらに、DV加害者の地域社会における更生のための指導及び支援のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の検討規定が加わりました。有効性ある加害者更生プログラム実施に向け、これもしっかり検討をいただきたいと思います。
今回、修正案に盛り込まれず、次回への課題となった部分についても指摘をしておきます。
中核市、特別区への児童相談所の設置義務化はかないませんでした。妊娠届を受理する自治体に児童相談所を置くことで、住民に近い場所で切れ目ない支援を実現することができます。特に中核市において進んでいない児童相談所設置については、財政支援、人的支援を更に積極的に行うことを強く求めておきます。
親権者による体罰について、私たち野党案では、民法八百二十二条の懲戒権の規定について、児童の権利の擁護に関する国際的動向を勘案し、懲戒権の規定の削除を含めた検討を早急に講ずることにしておりましたが、政府案のまま、二年を目途に検討となりました。子供への虐待をなくすためには、懲戒権の規定は一刻も早く削除すべきです。二年ではなく、今すぐ始めてください。
二十四項目の附帯決議を全会一致でつけております。これについても検討、実施をお願いしておきます。
船戸結愛さんの、お願い許してと書いたメモ、そしてその声に、SOSに応えられなかったことを、私たちは決して忘れません。栗原心愛さんの、先生、どうにかできませんか、うちには帰りたくない、この声に応えられなかったことを決して忘れません。
私たち立憲民主党は、子どもの権利条約にうたわれている子供の意見表明権を担保し、その声をしっかり聞き、寄り添うことで、次の虐待の犠牲を生まない努力をし続けます。
子供は、生まれてくる場所、親を選ぶことはできません。だからこそ、どの子もひとしく守られ、安心して育つことができる環境をつくらなくてはなりません。今後とも、児童虐待をなくすための提案を続けてまいります。
以上の理由から、子供の命を守る努力を一層進める本法案の修正案、修正部分を除く原案ともに賛成であることを申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(大島理森君) 源馬謙太郎君。
〔源馬謙太郎君登壇〕
○源馬謙太郎君 国民民主党の源馬謙太郎です。
私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
昨年三月、目黒区で船戸結愛ちゃんが虐待を受けて死亡するという痛ましい事件が起きました。その後も悲劇は繰り返され、ことし一月には、野田市で栗原心愛さんが虐待を受けて死亡するという事件が起きました。
結愛ちゃんが覚えたての平仮名で、もうお願い許してという悲痛な叫び、心愛さんが勇気を振り絞ってアンケートに書いた、先生、どうにかできませんかというSOSは、今も多くの国民の心を痛めています。
二人の命と言葉を重く受けとめ、国民民主党など野党五会派は、子供の命を守るために、児童虐待防止対策を抜本的に強化する法案を提出いたしました。
政府案も、同じ思いで提出されたのだと思います。しかし、政府案は、我々が虐待防止に必要だと考え、法案に盛り込んだものの多くが取り入れられていないものでした。
以下に、政府提出案の不足していた点をまず述べたいと思います。
第一に、児童相談所の設置に関することです。
政府案では、児童相談所を中核市及び特別区に必置としていません。
平成二十八年の改正において、施行後五年を目途として、中核市及び特別区が児童相談所を設置することができるよう、支援その他の必要な措置を講ずると規定されましたが、現在設置されているのはわずか三市にとどまり、中核市等での児童相談所の設置はなかなか進みません。
虐待相談対応件数が増加の一途をたどっている今、住民に一番身近な基礎自治体において、子育て支援から児童虐待防止対策まで一貫した施策が実施されるように、中核市等の意見を踏まえながら、国がリーダーシップを発揮し、惜しみない人的、財政的支援を行うべきです。
また、児童福祉司の増員は児童虐待防止対策の最も重要なポイントの一つです。ふえ続ける児童虐待に迅速かつ適切に対応するためには、各児童相談所に児童福祉司を更に配置することが必要だと考えます。
第二に、転居した場合の対応に関することです。
政府案には、児童相談所が支援を行う家庭が転居した場合の対応が盛り込まれていませんでした。転居前後の引継ぎを強化し、転居しても児童相談所の指導措置が一定期間継続されるようにすることは非常に重要なポイントです。目黒区や野田市の事件からも、その必要性は明らかなはずです。
第三に、児童への配慮についてです。
我々は、施設入所等の措置や一時保護の実施又は解除に当たって必ず児童の意見を聞くこととし、その際には児童の心身の状況や環境等に十分配慮しなければならないと考えますが、政府案にはこのような規定はありませんでした。
そのほかにも、しつけと称する体罰を禁止することについても、我々が民法の懲戒権の見直しを早急に検討すべきだと主張したのに対し、政府は二年を目途に検討するとしています。子供の命にかかわる問題であり、見直しの検討に二年もかけるのは遅過ぎます。
安倍総理は、ことし一月の施政方針演説で、何よりも子供たちの命を守ることを最優先に、児童相談所の体制を抜本的に拡充すると述べておられましたが、総理の言葉とは裏腹に、政府案の内容が不十分だったことは残念です。本当に総理が子供たちの命を守ることを最優先に考えているなら、もう一歩踏み込んだ政府案にしていただきたかったと率直に思います。
これまでも、国民の多くが疑問を持ち、野党も反対し、与党の皆さんも首をかしげるような、例えば参議院の定数増なども、さまざまな反対を押しのけて、力わざで押し通すことができたのですから、この法案にこそその力を発揮してもらいたかったと、本当に残念に思います。
しかし、我々野党が、野党案の内容を政府案に盛り込むよう修正を強く求めたところ、政府・与党から一定程度修正を行うとの回答が得られました。いまだ不十分な点が残っているにしても、修正項目には評価できる内容が含まれています。
特に、児童相談所の所長の責務として、虐待を受けた児童が転居する場合、必要な支援が切れ目なく行われるよう、転居前の児童相談所長が転居後の児童相談所長に転居先の住所などを速やかに情報提供することなどを規定する修正は、転居時の引継ぎを強化するための大きな前進であると評価します。
また、厚生労働委員会において、修正案に係る以下のような点につき、政府から明確な答弁を得られたことも一定の評価ができます。
具体的には、児童相談所の設置について、管轄人口の多寡や対応件数の多寡などの諸要素を勘案した上で、設置が進められるように政府として後押しをしていくこと。児童福祉司の増員について、来年度以降、更に必要な検討を行い、その際には、児童福祉司一人当たりが担当する児童虐待ケースと非行ケースを合わせて四十件を超えないような検討を行っていくこと。地方自治体における児童相談所職員等への研修について、より効果的な実施に向けた支援を行っていくとともに、人事ローテーションのあり方についても検討を進めること。リスクアセスメントのあり方について、DVの問題や虐待の兆候、特定妊婦への支援やアクセスのあり方なども考慮しながら、関係機関が状況の変化をきめ細かく把握し共有できるようなものにすべく研究を行っていくこと。さらに、ゼロ歳児の虐待死事案への取組については、予期せぬ妊娠をした女性に対するさらなる支援を行っていくことなどが明言されました。
今この瞬間も、親からの虐待の被害に遭っている子供が大勢います。命の危険にさらされている子供もいるかもしれません。児童虐待防止対策を速やかに、一歩でも前進させる必要があるとの思いから、修正された政府案に賛成いたします。
今回の法改正で児童虐待防止対策の強化を終わらせてはいけません。修正協議の結果、野党案を撤回しましたが、野党案に盛り込んだ、児童相談所を中核市や特別区に必置とすることや児童福祉司のさらなる増員などを実現させていく必要があります。また、野党案の検討規定に盛り込んだ、親権者が児童に体罰を加えた場合における親権停止等のあり方、児童虐待を受けた新生児が死亡する事態の防止、里親への委託を促進するための措置などについても答えを出していかなければなりません。
これらの残された課題についても積極的に対応するよう政府に求め続けるとともに、与野党を超えた全議員のさらなる議論と速やかな行動をお願いするものであります。
今回は、政府が野党の求めに応じて修正したことは意義のあることでした。ほかにも私たちは対案を出しています。ぜひ、今回のように、政府案にこだわらず、野党案のいいところを積極的に取り入れ、修正に応じていただき、国会の議論を前向きなものにしてくださるようにお願い申し上げまして、私の討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(大島理森君) 鰐淵洋子君。
〔鰐淵洋子君登壇〕
○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子です。
冒頭、一言申し上げます。
本日、川崎市登戸で殺傷事件が発生し、小学生を含め、被害者お二人が亡くなり、多数の方が負傷されました。
今回の事案はまことに痛ましく、亡くなられた方の御冥福を心からお祈り申し上げ、御家族の皆様に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
政府におかれましては、事案の調査に努めるとともに、二度とこのようなことが起こらないよう対策を求めます。
私は、ただいま議題となりました児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、公明党を代表して、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
昨年三月の東京都目黒区の五歳の女の子の虐待死、本年一月の千葉県野田市の小学生の女の子の虐待死、いずれの事案におきましても、子供のSOSを周りの大人たちが受けとめ切れず、命を救えなかったこと、悔やまれてなりません。
公明党は、子供たちの命を守ることを第一に、痛ましい児童虐待を根絶するため、本年二月に緊急提言を取りまとめ、政府へ申入れを行いました。本法案には、その内容がしっかりと反映されているものと認識しております。
以下、本法案に対する賛成理由を具体的に申し述べます。
賛成理由の第一は、親権者による体罰を明示的に禁止し、民法上の懲戒権のあり方について検討規定を設けている点です。
家庭内では、しつけと称して体罰が繰り返され、虐待につながっている実態があります。公明党は、児童虐待を根絶するために、体罰を法律で明確に禁止するとともに、民法上の懲戒権を見直すよう求めてきました。本法案には、それが的確に反映されていますが、しつけに体罰は要らないという認識を社会全体で共有するために、更に政府を挙げて周知啓発に努めることを求めます。
賛成理由の第二は、児童虐待対策とDV対策との連携強化が図られている点です。
児童虐待の背景には、配偶者による暴力の存在が少なくありません。そこで公明党は、児童相談所と、DV対策を担う配偶者暴力相談支援センターや婦人相談所が相互に連携協力することを法律上に明記するよう提言いたしました。
公明党の主張を踏まえ、本法案には、いわゆるDV防止法の改正が盛り込まれました。児童虐待対策とDV対策の有機的な連携により、子供たちを守るための対策が効果的に進められることを期待いたします。
賛成理由の第三は、児童相談所の体制強化や設置促進が的確に盛り込まれている点です。
本法案は、介入機能と支援機能の分離や、児童相談所への弁護士、医師、保健師の配置など、児童相談所の体制強化が図られています。また、児童相談所の管轄区域についての基準を法定化するとともに、中核市等による設置を強力に支援するなど、児童相談所の設置促進が図られています。こうした取組により、児童虐待が発生した際、より迅速かつ的確な対応が図られるものと考えます。
なお、野党法案においては、中核市等における児童相談所を必置とすべきとの提案がありましたが、地域の実情に応じて、都道府県、市町村全体を通じた地域全体対応力の向上が図られ、地域の主体的な取組を支援することが重要であると考えます。
また、本法律は、与野党の関係者が一丸となって児童虐待の根絶に取り組むという強い意思のもと、さらなる対策の強化を図るため、与野党の実務者間で修正について協議されました。その結果、虐待を行った親に対して、医学的又は心理学的な知見に基づく指導を行うよう努めることを明記するなど修正案が取りまとめられ、厚生労働委員会において、修正の上、全会一致で可決されたことは、高く評価されることと考えます。修正案の取りまとめに御尽力された関係各位の御努力に心から敬意を表します。
以上、賛成する主な理由を申し述べました。
本法案に盛り込まれた内容以外にも、公明党は、学校において児童虐待事案に組織的に対応する体制を構築することや、スクールローヤーや警察OBの配置、児童相談所と警察との連携強化などを提言してきました。こうした内容は、関係閣僚会議が本年三月に決定した児童虐待防止対策の抜本的強化に盛り込まれています。
政府におかれましては、本法案の内容とあわせて、必要な予算を確保し、これらの対策を着実に実施するとともに、更に必要があれば、ちゅうちょなく速やかに追加の対策を講じることを要請いたします。
公明党はこれからも、子供の命を守り、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げていくことをお誓い申し上げ、私の賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大島理森君) 高橋千鶴子君。
〔高橋千鶴子君登壇〕
○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました児童虐待防止法等改正案に賛成の討論を行います。(拍手)
日本が子どもの権利条約を批准して二十五年、残念ながら、子供の権利は脅かされ続けています。児童虐待の相談件数は毎年ふえ続け、命まで失われる事態が後を絶ちません。
この世から虐待をなくしたいという思いは与野党共通のはずです。私たち野党は、昨年に続き対案を提出し、五月十日、本会議で閣法と同時に審議入りしました。このたび、与野党協議が調い、全会一致で修正可決されたことは、私たちの求める水準からはまだ遠いとはいえ、大変意義あることと考えます。
法案の最大の論点は、親権者による体罰の禁止を明文化したことです。しつけを口実に繰り返される体罰をなくすために、法律ではっきりと禁止することは不可欠です。また、しつけの根拠とされた民法八百二十二条の懲戒権については、削除も視野に入れた二年以内の検討を行うとしました。
しかしながら、体罰の定義は今後ガイドラインで示すといい、その参考とする学校教育法十一条は明確に正当な懲戒を認めています。懲戒と体罰の境目は曖昧で、許される体罰の余地を残しています。
国連子どもの権利委員会は、体罰はどんな場合にも品位を傷つけるものであるとし、有形力ではなくても、子供をけなし、辱め、侮辱し、身がわりに仕立て上げ、脅迫し、怖がらせ、又は笑い物にするような罰についても、残虐かつ品位を傷つけるものであり、条約とは両立しないと指摘をしています。
民法の懲戒権規定は速やかに削除し、子どもの権利条約の精神にのっとって、子供の品位を傷つけるあらゆる行為を禁止するべきです。
なお、子供が精神的苦痛を訴えても、肉体的苦痛を伴わなければ体罰とみなさず、逆に、肉体的苦痛を訴えても、客観的に見れば体罰とまでは言えないと学校側が判断する場合もあり得るのです。この学校教育法の考え方についても、今こそ議論するときではないでしょうか。
論点の二つ目は、児童相談所の増設と体制強化についてです。
野党案は、児童相談所設置基準の法定化と中核市、特別区での児童相談所設置の義務化を求めましたが、一致できなかったことは残念です。ふやすことと身近な自治体が設置する意義は共有されており、さらなる国の支援を強く求めます。
また、児童福祉司の増員、児童心理司の倍加など、人材確保と専門家の養成には国による思い切った財政措置が不可欠です。子供の命と権利を守る最前線で働く職員が確実に育ち、現場を支えることができるように、国が責任を果たすことが求められています。
第三に、この間の虐待死事案を受け、転居に伴う児童相談所間の確実な引継ぎ、関係機関の連携強化について、法案でも強調されたことは重要です。あわせて、検討事項となった保護者支援プログラムの確実な実施や、児童の意見表明権の保障などについても、各地の貴重な実践に学び、確実に進めていただきたいと思います。
子供を守るためには、ちゅうちょなく保護をすることは必要です。しかし、保護はイコール親子分離ではなく、親子関係改善のプロセスと位置づけるべきです。そのためにも、一時保護所は子供にとって安全で安心の居場所であること。残念ながら、職員による虐待や子供間の性トラブルなども判明する中、管理と支配の関係ではなく、心を開ける信頼関係を築くことは一層重要です。
なお、DVと児童虐待対応の連携強化が明記されました。DV被害者が加害者になることがないよう、縦割りではない連携を求めるとともに、実効あるDV法の抜本改正を求めたいと思います。
終わりに、何が体罰に当たるのか知らなかった、自分の家が虐待家庭だとは気づかなかった、虐待されて育った子供たちの声です。子供が権利について学び、嫌なことは嫌だと声を上げられること、その声を大人が正面から受けとめることが、真に子供の権利を保障することにつながるのではないでしょうか。
そのような社会を目指し、国として全力で取り組むことを求め、私自身も奮闘する決意を述べて、討論といたします。(拍手)
○議長(大島理森君) 藤田文武君。
〔藤田文武君登壇〕
○藤田文武君 日本維新の会の藤田文武です。
私は、我が党を代表して、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案及び修正案につきまして、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)
このたびの改正案は、社会全体で児童虐待を防止していくための取組を一歩前進させるものとして賛成はするものの、本法案の実施についての懸念点を二点、明確に指摘しておきます。
児童虐待に関する相談対応件数は年々増加しており、児童相談所を中心とした地域ぐるみで児童を虐待から守る仕組みに国民の関心が集まっていることは言うまでもありません。これ以上痛ましい犠牲者を出さないために、児童を守る仕組みの不備をなくし、児童の生命の保護をより重点化する必要があると考えています。
懸念点の一点目は、児童相談所と警察の全件共有と連携関係についてです。
児童相談所から警察に情報提供される対象が限られていては、情報共有を行う、行わないの切り分けが現場の属人的な判断に依存してしまい、そこから漏れ落ちてしまうことで凄惨な事件にまで発展してしまうリスクを排除することができません。
多くの目で子供たちを見守り、虐待を社会全体で抑止していくという観点からも、全件共有の仕組みによって、情報共有をより効果的に行う必要があると考えています。
また、警察内に虐待の専門部署を設置するなど、児童相談所と警察が緊密な連携関係を構築することも必要です。既に大阪府を始めとする幾つかの自治体では、児童相談所と警察の間で、虐待情報の全件共有を含む組織的連携が効果的に進んでおります。先行する自治体での成功事例を踏まえながら、全国の自治体に広げていく必要があると考えます。
懸念点の二点目は、児童福祉を担う人材の専門性の向上と、児童相談所の機能分化についてです。
児童福祉を担う人材の専門性の向上に当たり、地方自治体の職員が十分な経験を積み上げることは必要不可欠です。職員個人においても組織全体においても、経験値や専門性の蓄積が必要だからです。
それに対応する一例として、大阪府のケースでは、専門職採用の上、ジョブローテーションを行う中で職員の適性を判断し、その後、配属を長くするなどの工夫により、経験値を積み上げる仕組みをつくっています。今後、職員の任用、人事異動等に関しては、地方自治体に対し格段の配慮を求めるといった、必要な措置を講ずることが必要になると考えます。
また、児童相談所における介入機能と支援機能の分化に関しては、一体的な対応が必要なケースがあることは考慮しつつも、職員レベルで判断を迫られると、どうしても支援重視に偏りがちです。子供の命を守るためには、支援機能と介入機能を組織として分けていくことが将来的に必要不可欠だと考えます。子供たちを深刻な虐待事件から守ることを最優先とした組織や制度のあり方を引き続き検討し、現場の実情を踏まえた措置を講ずることが必要になると考えます。
子供たちには無限の可能性と明るい未来があります。児童虐待で子供の未来を奪うことはあってはなりません。
多くの目で子供たちを見守ることで虐待を抑止し、社会全体で子供を守る仕組みをつくること。そして、子育ては保護者だけで抱え込むのではなく、社会全体として温かい心で支え、子育て世代を支援していくことこそが豊かな未来につながるものと考えます。
そのためにも、私たち日本維新の会は、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案及び修正案につきまして、賛成という立場を表明いたしまして、私からの討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(大島理森君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
――――◇―――――
○議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時七分散会
――――◇―――――
出席国務大臣
法務大臣 山下 貴司君
文部科学大臣 柴山 昌彦君
厚生労働大臣 根本 匠君
国土交通大臣 石井 啓一君
国務大臣 山本 順三君