衆議院

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第31号 令和元年6月21日(金曜日)

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令和元年六月二十一日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十四号

  令和元年六月二十一日

    午後一時三十分開議

 第一 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律案(参議院提出)

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本日の会議に付した案件

 財務大臣・金融担当大臣麻生太郎君不信任決議案(辻元清美君外五名提出)

 日程第一 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律案(参議院提出)


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    午後一時三十二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

星野剛士君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 辻元清美君外五名提出、財務大臣・金融担当大臣麻生太郎君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 星野剛士君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 財務大臣・金融担当大臣麻生太郎君不信任決議案(辻元清美君外五名提出)

議長(大島理森君) 財務大臣・金融担当大臣麻生太郎君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。川内博史君。

    ―――――――――――――

 財務大臣・金融担当大臣麻生太郎君不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔川内博史君登壇〕

川内博史君 立憲民主党・無所属フォーラムの川内博史です。

 私は、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会保障を立て直す国民会議、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました麻生太郎財務大臣・金融担当大臣の不信任決議案について、その趣旨の弁明を行います。(拍手)

 まず、決議文を朗読いたします。

  本院は、財務大臣・金融担当大臣麻生太郎君を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

以上であります。

 以下、その理由を申し上げます。

 あるものをなかったことにはできない。デカルト先生も、我思う、ゆえに我ありとおっしゃっています。これが世の中の自明の理であります。

 無理という言葉は、理がないと書くわけでありますが、みずからが諮問し、審議会で議論をしていただいた報告書を受け取らないなど、無理な話であり、無理が通れば道理が引っ込むの例えのとおり、それは世の中の混乱や不安を助長することにしかならないのであります。

 行政文書だが、行政としては参考にしないとか、金融庁が作成した資料だが、それは行政の正式な資料ではないなどと言われれば、何が一体どうなっているのかということにしかならないのは、私などが申し上げるまでもなく、政治経歴がこの議場の中にいるどの先生方よりも長い麻生大臣であればこそ、よくよくわかっていらっしゃることと存じます。

 しかし、あえて、それを承知で、なぜ受け取らないなどと強弁をされるのか。

 官邸から指示があったとする報道もあります。でも、これだけは確実に言えるのは、安倍内閣は、御自分たちに都合のいい情報やデータについては一生懸命宣伝をされるけれども、そうでない情報やデータについては隠蔽をしたり、改ざんをしたり、無視したりする傾向があるということであります。そして、それは当然のことながら国民の不安や不信を逆にあおってしまうということも、私が申し上げるまでもなく、大臣御自身が自覚をされていらっしゃることと存じます。

 それでもなおこの道を進まれることに関して、私たちは異議を唱えなければなりません。なぜなら、麻生大臣のさまざまな大臣としての判断は、権力の作用としての判断であり、権力の作用としての判断には、大きな、かつ重たい現在の世代への責任や、この国の未来を担う次の世代への責任が伴うからであります。

 世の中の動きは目まぐるしく、毎日毎日さまざまな出来事が起こります。そして、私たちは、日々起きる事件や出来事を振り返る時間も余りないほど忙しく日々を暮らしています。そんな今日的状況だからこそ、大きな大きな、重たい重たい政治責任や行政責任を負った閣僚は、みずからの判断や言葉や行動に対して、国民にわかるように説明をし、時にはみずからの身を処さなければ、世の中が、社会が、国がおかしな方向に向かってしまうのではないかと危惧をいたします。

 かつて、私が尊敬をしていたある政治家は、責任は全て自分がとるので、好きなように仕事をしなさいと官僚の皆さんに語ったそうであります。しかし、今はどうでしょうか。手柄は俺のもの、責任は君らがとれ的な状況に日々出くわしてしまいます。

 先週金曜日の本院財務金融委員会で、金融庁報告書のことについて議論がなされました。

 委員会の冒頭、金融庁の三井局長さんが報告書のことについて発言をされ、そして、誰に対して謝罪をしたのかよくわかりませんでしたが、頭を深々と下げられました。そのとき、麻生大臣は三井局長をただ見詰めていらっしゃいました。何だかよくわからない光景でありました。

 私たちは、今こそ、よくよく考えなければならないという局面に立ち至っているのではないかと思います。言葉の行き過ぎを認めたり、間違いを認めたり、報告書を受け取ったりするだけで、そこから建設的な議論に発展すべきことを、そこで意地になり、いこじになり、議論を圧殺してしまうことが社会不安や政治不信を助長させてしまうことを繰り返してしまっているのではないか。だから、麻生大臣のこの不信任決議案を通して、麻生大臣にも、議場の先生方にも、よくよくみんなで考えるべきことがたくさんあるんだというふうに思います。

 安倍総理大臣は、昨年九月、自民党総裁選で三選をされ、十月二日に内閣改造をされました。そして、誰よりも先に麻生大臣を再任することを表明されました。しっかりとした土台の上に、できるだけ幅広い人材を登用していきたいと語り、麻生大臣を政権の土台として位置づけられました。

 平成の、その先の時代に向かって新たなる国づくりを進めていくとの安倍総理大臣の発言とは裏腹に、麻生大臣は、財務省を舞台にした数々の不祥事について、みずからの政治家としての責任を明らかにすることもないままに、そんたく政治、そんたく行政を更に悪化させてしまったのではないでしょうか。それが、金融庁の老後二千万報告書の受取拒否であり、財政制度審議会の答申案の書きかえなのではないでしょうか。

 経済という言葉は、経世済民、すなわち世を治め民を救うという言葉が語源なのだそうでありますが、麻生大臣は、総裁選で石破茂氏が地方票の四五%を得たことに関して、どこが善戦なんだと言い放ったと聞いております。四五%の皆さんの地方票は、政権への不安や心配、そして批判、一つ一つは小さな声かもしれませんが、確かな民の声であります。その民の声を切り捨てるかのような言葉は、民を救うべき政治家の言葉ではありますまい。

 森友問題に関する財務省の組織的文書改ざんの動機について、それがわかりゃ苦労せぬと言い放ち、当時の理財局長で、国会でうその答弁を重ねた佐川氏を、国税庁長官に出世をさせて、適材適所と持ち上げ続けた大臣の罪は、まことに重いものがあると言わざるを得ません。

 なぜなら、国民のために、政権のために本当のことを言うと、自殺に追い込まれたり、大ばか者だと言われたりする一方で、政権にそんたくをし、うそをつき、ごまかし、隠蔽し、改ざんすると出世することを見せつけられれば、官僚のモラルが崩壊をし、ひいては社会全体のモラルが崩壊してしまうのではないでしょうか。

 大変恐ろしいことだと思います。

 そして、麻生大臣は、その恐ろしいことにみずからを染めてしまっておられます。

 私は、麻生大臣は、民主主義の根幹を揺るがす文書改ざん事件を受けて、民主主義の人として、大臣としての責任をとり、昨年十月の改造では入閣をお断りになられると信じておりました。しかし、財務金融委員会での私の大臣に対する提案は受け入れられず、大臣は再任を受けられました。

 そして、昨年十月、安倍総理大臣は、みずからの改造内閣を全員野球内閣とアピールをされましたが、その後、統計不正問題や、たくさんの閣僚の失言、イージス・アショアのグーグルアース問題、さらには、昨日は、厚労大臣が非正規という言葉は使うなという指示をしているという報道も出て、エラーが続出をしています。そして、それは、役所の中の役所、最強官庁とも呼ばれる財務省を担当する麻生大臣にこそ、その大きな責任があると言わざるを得ないのではないでしょうか。

 以下、詳細に不信任の理由を一つ一つ申し上げてまいりたいと存じます。

 麻生大臣不信任の第一の理由は、何といっても、みずからが諮問した金融審議会の報告書の受取を拒否されたことであります。これは、憲政史上例のない、前代未聞の暴挙と言うしかございません。

 なぜ受け取らないのか。本当のことが書いてあるからなのか、皆が漠然と思っていたことを政府として文書化して顕在化させてしまったからなのか、それとも、過去に年金制度がずっともつなんて誰も思っていないと御自身で言ってしまったことがばれると思ったからなのか。

 そもそも、金融庁設置法第七条第一項第一号により、金融審議会は、内閣総理大臣、長官又は財務大臣の諮問に応じて国内金融に関する制度等の改善に関する事項その他の国内金融等に関する重要事項を調査審議することの事務をつかさどると規定されており、法律の規定では、金融担当大臣は、内閣総理大臣から委任を受けて、内閣総理大臣にかわって金融審議会に諮問をした立場にすぎないのであります。したがって、麻生大臣は、金融担当大臣の権限において、報告書の受取を拒否できる立場ではないのであります。

 内閣法制局の国会答弁においても、その受任者限りで決定したとしても、法的には、当該事項は当該行政庁が行ったものとして扱われる、受任を受けた者が決定したとしても、法的には、その事項については、委任をしたもともとの権限のある行政庁が行ったものとして扱われることが明らかとなっております。すなわち、麻生大臣が報告書の受取を拒否したということは、法律上は、麻生大臣に金融審議会への諮問を委任した安倍内閣総理大臣が受取を拒否したことになると内閣法制局は言っているのであります。

 ところが、一昨日の党首討論において、安倍総理は、この報告書については、私はもう既に、これを私もいただいておりまして読んでおりますから、私自身は読んでおりますからと明言されました。すなわち、金融庁設置法第七条で金融審議会から報告を受け取る立場にある内閣総理大臣は、既に受け取っている、読んだとおっしゃっているのでありますが、内閣総理大臣の代理人たる麻生金融担当大臣が、みずからの判断で報告書の受取を拒否することができるのでしょうか。まさに前代未聞の暴挙と言わざるを得ません。

 今回の金融審議会市場ワーキング・グループの「高齢社会における資産形成・管理」という表題の報告書は、人生百年時代に突入した我が国の近未来のあり方について、貴重な問題提起となっています。本当のことがたくさん書いてございます。

 例えば、「バブル崩壊以降、「失われた二十年」とも呼ばれる景気停滞の中、賃金も長く伸び悩んできた。年齢層別に見ても、時系列で見ても、高齢の世帯を含む各世代の収入は全体的に低下傾向となっている。公的年金の水準については、今後調整されていくことが見込まれているとともに、税・保険料の負担も年々増加しており、少子高齢化を踏まえると、今後もこの傾向は一層強まることが見込まれる。」と。景気が停滞しているとか収入が低下傾向だとか、今後大変になるよという本当のことが書いてある。

 さらに、年金について、夫婦二人で満額の基礎年金を受け取り、厚生年金にもフル加入している、比較的恵まれた高齢世帯であっても、年金生活は月五万円ほどの赤字となり、老後に二千万円の貯蓄がなければ平均的な生活ができないと試算をしております。

 現在は五十歳以下の、いわゆる団塊ジュニア世代以下の若い世代は、年金支給額は更に減額され、必要な貯蓄額は三千万円から四千万円へと膨れ上がってしまうかもしれません。

 恐るべきことに、これらの試算は、正社員の職を得ている人の場合の試算であります。希望しても正社員の立場を得られず、非正規労働に従事している人たちの老後は一体どうなってしまうのか。平成二十九年度末で、月額四万円未満の年金しか受け取っていない女性が、厚生年金で二十一万人、国民年金で百六十四万人おられますが、この中でひとり暮らしの女性の方々の老後の生活は果たしてどうなってしまうのか。

 麻生大臣は、報告書を受け取らないなどと言っている場合ではないのであります。早急に報告書を受け取り、大多数の国民の不安に応える政策を与野党超えて真剣に議論をしていかなければならない局面に立ち至っているのであります。

 さらに、麻生大臣は数々の暴言あるいは失言でも大変有名でいらっしゃいます。そのお人柄で、麻生節として許されてきた側面もあるのかもしれません。でも、高齢者の皆様方に対する発言などで、目に余るものがあります。

 平成二十八年、二〇一六年の六月には、北海道小樽市での講演で、九十歳になって老後が心配とか、わけのわかんないことを言っている人がこの間テレビに出てた、おい、いつまで生きているつもりだよと思いながら見ていましたと発言をされたと報道をされています。

 まことに心ない発言であり、人生百年時代に突入し、この金融庁の報告書でも九十五歳までの年金生活を試算している現実に対する事実認識も間違っている発言だと言わざるを得ません。

 現在もまだこのような認識をお持ちなら、やはり不信任に値することであります。御自身の年金の受取に関して無関心であったとしても、国民が大変心配している老後の年金に関しては心を寄せていかなければならないのではないかと思います。

 理由の第二です。

 三日前の六月十八日、私は、総務省の情報公開・個人情報保護審査会から答申書の写しをいただきました。それは、令和元年六月十七日付の麻生財務大臣に対する情報公開・個人情報保護審査会の答申書の写しでありました。

 その答申書に示された審査会の結論は、本件対象文書につき、その全部を不開示とした決定については、理由の提示に不備がある違法なものであり、取り消すべきであるというものでした。総務省の情報公開・個人情報保護審査会が、麻生大臣の行政文書不開示決定に対して、違法であると断定をしたのであります。

 私は、ちょうど一年前の六月十三日に、麻生財務大臣に対して、三種類の行政文書の情報公開、開示請求をいたしました。三種類とは、平成二十八年度第百九十三回国会での想定問答のうち、二月十五日から四月十四日の間に作成した森友学園に対する国有地の貸付け及び売払いに関する想定問答の全て、森友学園に対する国有地の貸付け及び売払いに関して本省理財局と近畿財務局との間でやりとりされた文書の全て、森友学園に対する国有地貸付け及び売払い問題に関して近畿財務局と大阪航空局との間で行われたやりとりの記録文書全ての三つであります。

 これらの開示請求に対して、昨年八月十三日、麻生財務大臣は、不開示決定通知書、財務大臣麻生太郎名で私のところに送ってまいりました。

 そこにはるる理由が書いてあり、森友学園に関する国会の想定問答が不開示の理由は、情報公開法第五条第五号と六号柱書きを根拠として、開示請求に係る左記の行政文書については、行政機関内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換又は意見決定の中立性が不当に損なわれるおそれ及び不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあること、並びに事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示としたというものでした。

 この不開示の理由は明らかにおかしい。そもそも、国会の想定問答は、質問者たる国会議員から事前に質問内容を聞き取り、想定どおりの質問があればそのとおり答弁して差し支えのない内容の、公開を前提として作成されるものであって、想定どおりの質疑があればそのまま国会の会議録に掲載されるものであり、不開示にできる性質のものではありません。

 森友学園に関する財務省本省と近畿財務局とのやりとり及び近畿財務局と大阪航空局のやりとりの行政文書が不開示の理由は、情報公開法第五条第五号と六号柱書きに加えて六号のロも根拠とされておりました。率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ及び不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあること、並びに事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれに加えて、契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国等の財産上の利益や当事者としての地位を不当に害するおそれがあるから不開示としたというものでありました。

 財務省と国土交通省が八億二千万円もの前例のない異例の値引きをして売り払い、国の財産上の利益が不当に害されたおそれがあるのではないかという疑いがあるからこそ、その事務事業を跡づけ、検証をして、事実と真実を解明するために、私たちは開示請求をさせていただいております。

 これらの不開示決定に対して、昨年九月五日、行政不服審査法に基づく不服申立て、審査請求をいたしました。これに対して麻生財務大臣は、昨年十二月四日、情報公開法第十九条の規定に基づいて、総務省の情報公開・個人情報保護審査会に、川内の審査請求は棄却すべきであると、理由説明書をつけて諮問をされました。その諮問に対して、四日前の六月十七日に、審査会から財務大臣に対して、不開示決定は違法との答申書が交付をされたのであります。

 審査会の結論は、財務大臣の不開示決定は違法なものであり、取り消すべきであるというものでしたが、その判断の理由として、審査会の答申書には以下のとおり書かれてあります。

 当審査会において、本件対象文書には、異なる形式の複数の文書が含まれていると認められる。また、諮問書に添付された原処分に係る不開示決定通知書を確認したところ、不開示決定した行政文書の名称の項には、本件対象文書名、すなわち本件請求文書とほぼ同様の内容を記載するのみで、本件対象文書の具体的な文書名やその文書数等を明らかにしていない。さらに、不開示とした理由の欄には、法五条五号並びに六号柱書き及びロの規定をそのまま引用したに等しい内容が書かれているにすぎず、不開示事由に該当すると判断した根拠を具体的に示しているとは言えない。このような原処分は、開示請求者にとって、具体的な文書名や当該文書中、どのような情報がどのような理由によって不開示となるのかを十分に了知できないため、審査請求を行うに当たって、具体的、効果的な主張をすることを困難にさせているものであるから、理由の提示の要件を欠くと言わざるを得ず、法九条二項の趣旨及び行政手続法八条一項に照らし、違法であるので、上記の不開示情報該当性について検討するまでもなく、取り消すべきである。

 これが、情報公開・個人情報保護審査会の答申の内容であります。

 麻生大臣、短くまとめて言うと、この審査会の答申は、余りに不誠実じゃないか、もっとしっかりとこういう情報公開の請求に対して向き合うべきですよということを示唆しているわけであります。

 情報公開・個人情報保護審査会に、違法であり取り消すべきであると判断された麻生大臣の判断でありますけれども、実は、この情報公開請求は、森友問題に関する改ざん文書の財務省調査が終わり、その報告書を財務大臣がプレスに公表された平成三十年六月四日以降、六月十三日に開示請求をしたものです。

 そして、改ざんに関する報告書について大臣が六月四日に記者会見をされていて、その中でこのように述べていらっしゃいます。

 財務省として今回の事態を真摯に反省し、二度とこうしたことが起こらないよう、文書管理や決裁手続等に関する再発防止策を直ちに進めてまいらねばならないと考えております。また今後、特に若手職員の士気に配慮しながら、着実にそして将来をしっかり見据えて、財務省全体の意識改革を進めてまいります。同時に、財務省が担う行政分野のさまざまな課題について、引き続き責任を持って取り組んでまいります。私のリーダーシップのもと、職員一同が一致団結し、ただいま申し上げたような取組を全力で進め、もって再発防止、信頼回復に努めてまいりたいと考えております。調査報告書の内容につきましては、この後事務方の方から説明させますと会見の冒頭でおっしゃられていらっしゃいます。

 文書管理などについて全員一致で、みんなで頑張るよという会見をした後に、開示請求に対して違法な判断をする。全員一致の方向が間違っていると言わざるを得ないのであります。

 違法な不開示決定、これが麻生大臣不信任の第二の理由であります。

 麻生大臣不信任の第三の理由は、ことし十月の消費税増税と財政運営の失敗であります。

 私たち野党五会派は、ことし十月に消費税を八%から一〇%に増税することには反対をし、消費税を八%のままで凍結すべきであると主張しています。

 税の仕組みを複雑にするだけで効果の見込めない軽減税率、中小・小規模事業者に過重な負担をさせ、低所得者には大変利用しづらいポイント還元、格差を拡大するおそれのある幼児教育の無償化など、消費税増税には重大な問題が数多くございます。

 私たちは、最低賃金水準を大幅に引き上げ、働く人たちの賃金をふやし、家計を豊かにして、個人消費を拡大することで経済を安定的に成長させることが重要であると考えています。現下の経済情勢で消費税を増税することは、家計を苦しくし、個人消費を縮小させるおそれがあります。

 税金の中には、炭素税のように二酸化炭素の排出を抑制させる税制というタイプのものがあります。私たちは、間違っても、消費税を消費を抑制させる税制にしてはならないのであります。当面消費税は凍結するとして、その後の税制のあり方を、家計を豊かにし、個人消費を拡大させる税制を議論していく必要があると考えます。

 しかし、麻生財務大臣の財政運営には大変問題があると考えます。いつまでかかるかわからない、幾らかかるかわからない辺野古に予算をだらだらと投入されていらっしゃいます。墜落した原因もわからないのに、なぜF35戦闘機を百機、一兆円以上も買い増しをしなければならないのか。秋田県や山口県の住民の多くの皆さんが心配し、反対をしていらっしゃるにもかかわらず、なぜ何千億円もかけてイージス・アショアの計画を強行しようとされるのか。全てトランプ大統領の御機嫌をとるためなのか。そんなことより、はるかに有効な税金の使い道は幾らでもあるのではないでしょうか。

 おととい、令和時代の財政の在り方に関する建議ということで、財政制度等審議会が建議を出されました。報道では、年金についての記述の部分が大きく報道をされているわけです。削除をされた、あるいは書きかえられたということで。

 しかし、私が一番疑問に思っているのは、昨年の新たな財政健全化計画等に関する建議、平成三十年五月二十三日の財政制度等審議会建議で指摘をされていた安全保障、防衛装備品の部分に関する指摘がことしの財政制度等審議会の建議からは全く抜け落ちている、安全保障の分野、防衛装備品に関する指摘が一切この建議から消えているということに一番の危惧を覚えています。

 私は、財政の使い道として、子供の貧困対策の問題などについて予算を割くべきであるというふうに考えていますが、ことし一月二十八日の施政方針演説で、安倍総理大臣は、「悪化を続けてきた子どもの相対的貧困率も、初めて減少に転じ、大幅に改善しました。」と演説をされました。二〇一二年の子供の貧困率一六・三%から、二〇一五年の子供の貧困率一三・九%へと大幅に改善したというのであります。

 しかし、子供の貧困率が一三・九%であるとして、貧困な子供の人数は何人になるんですかとお聞きすると、厚生労働省の担当者も、内閣府の担当者も、お答えにはなられませんでした。そんなことは計算したことがないとおっしゃるのであります。

 一三・九%の貧困の子供の数は容易に計算できます。二〇一五年の十七歳以下の子供の推計人口は千九百十五万五千人であります。その一三・九%は二百六十六万二千五百四十五人です。機械的に計算するとそうなる、厚生労働省の担当者は渋々国会で答弁をされました。

 一方、二〇一五年七月末の生活保護世帯の十七歳以下の子供の人数は二十五万二千八百八十人であります。しかし、私は、質疑で明らかになった事実として、これをぜひ申し上げたいんです。

 貧困線を下回る二百六十六万二千五百四十五人の子供たちの世帯の所得は、ほとんどの場合、子供がいる生活保護世帯の所得より低いということなんです。この事実は、厚生労働省の担当者も、内閣府の担当者も、知らなかったと国会で答弁をされています。

 言うまでもなく、生活保護は、憲法二十五条の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するもので、これは更に充実をさせていかなければならないことは当然ですが、それより更に所得の低い世帯の子供たちが二百六十六万人もいるというこの事実を、私たちはしっかり捉まえていかなければならないと思います。

 しかし、今年度予算での幼児教育、保育無償化の予算、平年度ベースで、国と地方を合わせて七千七百六十四億円でありますが、このうち、生活保護世帯と住民税非課税世帯に対して支出される公費は、七千七百六十四億円のうち、約百億円しかないのであります。学校給食の無償化や学級費の無償化、多くの人に裨益し、さらに貧困世帯の子供たちに大きく裨益をする予算の組み方をされるべきではなかったかと思います。

 有利子奨学金を全て無利子にすることも、年間三百五十億円の予算で実現できます。プライマリーバランスの黒字化を目標とする財政規律はしっかりと堅持しながら、防災・減災や老朽化対策の公共事業、あるいは所得連動型、返済猶予型の有利子奨学金の全面無利子化や、低家賃公営住宅の建設、あるいは家賃補助など、財政を真に国民生活を向上させるために使うべきであったというふうに考えます。

 いずれにせよ、働く人たちの賃金をふやし、家計を豊かにして個人消費を拡大する経済政策とは真反対の、家計を苦しくし、個人消費を抑制する、一方ではトランプ大統領に対して大盤振る舞いをする財政運営。予算を組まれた麻生財務大臣に対しての不信任の第三の理由といたします。

 麻生大臣の不信任の第四の理由は、言うまでもなく、森友学園問題をめぐる決裁文書の改ざん等の、財務省史上前例のない不祥事、民主主義最大の危機の責任者が麻生大臣であるということであります。

 麻生大臣は、昨年六月四日、財務省が森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書を発表した時点で辞任をされるべきでありました。

 昨年六月五日の衆議院財務金融委員会で、私は麻生大臣に次のように申し上げました。

 最後に、麻生大臣に、私はこんなことを麻生大臣に申し上げたくはないんですけれども、うそにうそを重ねるというか、うそで塗り固められたような議論をこれ以上続けることは大きく国益を損なう。世の中のあらゆる場面にこういうことが、上の人が責任をとらない、しらばっくれる、開き直るということが蔓延すると、世の中的に私はよくないと思うし、麻生大臣もそれはそうだと思われていると思うんです。この森友問題に関して言えば、想定外の安倍総理大臣の二月十七日の発言が端緒となってさまざまなことが起きている。不当に値下げされたのではないかということは別途調査をしなければならないわけですけれども、とりあえず、この改ざん問題についてけじめをつけるとしたら、もう安倍総理大臣に引導を渡せるのは麻生大臣しかいないんですよ、もうこれ以上こんなことはやめようと。麻生大臣がみずから身を切って、こんなことはおしまいにしなければ国がおかしくなるということを身をもってお示しにならなければ、問題は収束しないと私は考えます。その収束のさせ方というのは、給与を一年間返納するということではなく、大臣自身がその職を賭してこの国の信頼や財務省の信頼や霞が関全体の信頼を取り戻すということでなければ、取り戻せないというふうに私は思います。

 最後に大臣のお考えを聞かせていただきたいという私の発言に対して、麻生大臣は、川内先生からこれまでもさまざまな御意見をいただいておりますけれども、今の御意見も私どもとしては参考意見として拝聴させていただきますと答弁をされました。

 これに対して私は、麻生大臣に、参考意見として聞かせていただくとおっしゃっていただいた。通常国会、延長されるとも言われていますけれども、私は今すぐというふうには思っていません。だけれども、麻生大臣は、大臣として、総理も過去にお務めだし、この国のさまざまなことを心配されていらっしゃると思います。安倍総理大臣にもうこんなことはやめようと言えるのは、麻生大臣しかいないわけですから。ぜひ、私の意見を参考として、十分にお考えいただいて御対処いただけるものと信じて、私の質疑を終わらせていただきたいと思いますと、昨年六月、質疑をしています。

 結局、私の意見は参考にされなかったわけです。

 昨年六月から七月にかけての通常国会終盤こそ、麻生大臣が財務省史上空前の不祥事の責任をとって潔く辞任するべきときだったと思いますが、それは実現しませんでした。それどころか、麻生大臣は、森友学園問題で決裁文書の改ざん等に関与したとして処分の対象となった財務省や近畿財務局の幹部職員のほとんどを昇進させていらっしゃいます。麻生大臣自身の留任、居座りと処分対象幹部職員の昇進は、麻生大臣の責任を更に深刻かつ重大なものにすることになりました。

 まさに信賞必罰の正反対で、違法、不正とわかっていても上司の命令に従うこと、上司の意向をそんたくして行政に当たることが出世の道であるとのあしき霞が関文化が醸成をされてしまったのではないでしょうか。

 森友学園事件は、安倍昭恵総理夫人を名誉校長とする森友学園の小学校建設に当たって、財務省が前例のない特例を連発して、九億五千六百万の国有地を、八億円以上不当に値引きをして、一億三千四百万の十年分割払いという破格の安値で売却した事件です。首相案件そのものであります。

 一昨年十一月の予算委員会で、財務省の森友学園に対する特例四連発が明らかになりました。第一は売払い前提の定期借地、第二は瑕疵担保責任免除特約、第三は延納の特約、十年分割払い、そして第四は契約金額の非公表。この特例四連発が偶然であったというなら、確率として申し上げるならば、一兆七千百四億四千四十七万六千百二十八分の一の確率ということになり、年末ジャンボ宝くじが八万回以上当たる確率となるのであり、偶然ではあり得ない数字になります。

 この異常な特別扱いを、財務省はなぜ森友学園に対して行ったのか。それは、安倍昭恵総理夫人が名誉校長を務める小学校の建設用地であったからではないかと多くの人が思っています。そのことが端的にあらわれて、財務省史上前例のない決裁文書の改ざんという事件に発展したきっかけが、一昨年、二〇一七年の安倍総理大臣の、もう余りにも有名になった、私も妻も一切、この認可にもあるいはこの国有地の払下げにも関係ない、私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきり申し上げておきたいという答弁が出たわけであります。

 安倍昭恵総理夫人が、当初、安倍晋三記念小学院の名称を想定していた森友学園の瑞穂の国記念小学院の名誉校長に就任していたことは広く知られていたので、私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理も国会議員もやめるという安倍総理の国会答弁は、大きな衝撃となって国会の内外に伝わっていきました。

 しかし、いまだに、この言葉は有名になったけれども、じゃ、なぜ値引きをされたのか、なぜ改ざんされたのか、誰が指示をしたのかという真実についてはまだ明らかになっていないのであります。

 昨年六月四日、財務省が発表した、決裁文書改ざんに関する調査報告書では、以下のように記述をされています。森友学園案件が国会審議で大きな議論となり、内閣官房長官の記者会見でも多数質問がなされる中で、平成二十九年二月二十二日には、本省理財局と国土交通省本省航空局から内閣官房長官への説明が行われた。説明者側からは、森友学園案件の経緯のほか、取引価格の算定は適正に行われていることや、総理夫人付や政治家関係者からの照会に対して回答をしたことはあるが特段問題となるものではないこと等について説明した。

 この調査報告書の記述によって、官房長官説明会合では、総理夫人付や政治家関係者からの照会に対して回答したことも明らかになったのでありますけれども、もともと、私の家内の名前も出たので徹底的に調べろという安倍総理大臣の強い指示で開かれた説明会合であります。当然、この場で昭恵総理夫人の名前が決裁文書に記載されていることも報告されたのではないでしょうか。しかし、そのことは報告されていないということになっているのであります。

 それに対して官房長官側から何らかの指示があったのか、それともそんたくをしたのか、真相はいまだ明らかではないのであります。そして、国民は真相を知る権利があるのであります。そして、麻生大臣は真相を明らかにする責任があるのであります。

 森友学園に対する国有地の貸付け、売払いが特例中の特例、あり得ない特例四連発であったことは既に申し述べました。その上に、森友学園に対する国有地売払いは、数々の法律違反を犯した違法行為、犯罪行為であると私たちは考えています。

 森友学園に対する国有地売払いは、まず、財政法九条、国の財産は、適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならないという規定に違反しています。新たなごみが発見されたとして、ごみの撤去費用約八億二千万円を値引きしたことは明らかに不当、不正であり、九億五千六百万円の評価の土地を一億三千四百万円で売却したことは適正な対価であったとは到底言えないのであります。

 既に会計検査院は、二〇一七年十一月の会計検査院報告書の中で、値引きの根拠となった地下埋設物撤去、処分費用の算定について、多くの点で根拠が確認できなかったと記述をしています。

 八億一千九百万円余のごみの撤去、処分費用を、会計検査院は、対象面積、深さ三・八メートル、深さ九・九メートル、混入率四七・一%、処分単価二万二千五百円のいずれも、裏づけ、根拠が確認できなかったと報告をしているのです。

 私たちは、昨年三月以降、財務省森友文書改ざん問題合同ヒアリングを開催して、三日前の六月十八日には、第四十四回の合同ヒアリングを開催しました。昨年五月の第十六回以降は、当方で詳細な議事録も作成して誠実に対応してまいりました。

 そういう意味では、毎回御出席をいただいている理財局や国土交通省航空局、会計検査院の皆様には大変感謝をしています。

 しかし、最近の森友学園野党合同ヒアリングで焦点となっているのが、約八億二千万円の値引きの唯一の根拠となる行政文書である国土交通省提出の試掘報告書、穴を掘った報告書です。これは、二〇一六年四月五日に小学校の建設現場で新たなごみが発見されたとされる件について、財務省と国土交通省が工事事業者と設計業者に作成を依頼してつくった試掘報告書であります。

 この試掘報告書、八カ所の試掘穴とその周辺のごみを撮影した二十一枚の写真が添付をされています。現在、議論の焦点となっているのは、試掘穴ナンバー1を撮影した、二十一枚の写真の中の一番目の写真であります。

 国土交通大臣も、ほかの、この試掘報告書の記載はいろいろあるかもしれないけれども、この一番だけは確かなんだ、間違いないんだと国会でおっしゃっていらっしゃいますが、この一番の写真に三・八メートルまでごみの層があるという記載があるわけでありますが、しかし撮影された試掘穴の中は黒く写っていて、中を確認することができません。地上部分のホワイトボードに、千から三千八百の表示があり、試掘報告書の説明部分に、千から三千八百、ごみの層と書いてあるだけです。

 しかし、この二十一枚の写真には、昨年秋に参議院予算委員会に提出された電子データがありました。私たち野党合同ヒアリングは、この電子データをもとにして、専門家に依頼してデータの解析を行ったところ、ナンバー1の試掘穴の画像が鮮明に明らかになりました。三千八百ミリ、三・八メートルのところまでごみは写っていませんでした。三メートルより深いところにごみの層はなく、三メートルより深いところに写っていたのは土の層でありました。

 この点について会計検査院は、既にデータによる画像解析を行っていたのであろうと思われますが、一昨年十一月の報告書で、大阪航空局では三・八メートルの深度を工事写真等で確認したとしている、当該工事写真は、深度を計測するための標尺と呼ばれる目盛りのついた測量機材を試掘した穴に立てかける様子が写っているものであるが、三・八メートルを正確に指し示していることを確認することができる状況は写っていないと会計検査院は断言しているのであります。

 国土交通省が値引きの唯一の根拠とする行政文書、試掘報告書は、値引きの根拠文書としては崩壊をいたしました。

 国土交通省さんは、みずからの写真の電子データを解析して、試掘穴ナンバー1に三・八メートルまでごみの層は写っていないことを確認する必要があります。

 さらに、会計検査院の報告書では、平成二十八年三月三十日に近畿財務局の職員が現地で確認し、同年四月五日に近畿財務局及び大阪航空局の職員が現地で確認した際に、別途、廃棄物混合土の深度を計測した記録はないことも踏まえると、廃棄物混合土を三・八メートルの深度において確認したとしていることの裏づけは確認することができなかったとも記述をしており、この記述は、近畿財務局と大阪航空局の職員は三・八メートルの深さまでのごみの層はないことを十分承知していたのではないかということを示唆している文書ではないかと私どもは考えています。

 森友問題野党合同ヒアリングでは、今後も、値引きの根拠となる新たなごみはなかったということを証明して、財政法九条違反を始めとする数々の財務省と国土交通省の法違反について解明をしていきたいと考えております。

 もちろん、これらの違反行為に直接麻生大臣が関与しているということではないかもしれない。しかし、麻生大臣は最高の責任者なんです。そして、私どもが解明のために必要であるとして請求をした開示請求に対して、丸ごと不開示決定を、違法な不開示決定をした責任者なのであります。重大かつ深刻な責任があるということを御自覚いただかなければなりません。

 さらに、昨年五月三十一日、大阪地検特捜部は、市民団体などから背任罪、公用文書等毀棄罪、虚偽有印公文書作成、同行使罪、証拠隠滅罪等で告発された佐川元財務省理財局長を始めとする財務省幹部、近畿財務局職員、大阪航空局職員ら三十八人全員を不起訴処分としました。不起訴処分でも、大阪地検特捜部は異例の記者会見を行い、十九人は嫌疑不十分、十九人が嫌疑なしということで分けて、会見をされていらっしゃいます。嫌疑不十分とは、起訴するに足る十分な証拠がなかったということであり、決して真っ白ではないということだと考えます。

 森友学園問題に関する財務省職員、国土交通省職員による法令違反は数多くあると思います。

 既に冒頭に御報告申し上げたとおり、情報公開・個人情報保護審査会は、麻生大臣の不開示決定を法違反と認定をしています。

 私は、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に係る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならないという公文書管理法第四条に規定された文書主義の原則に違反する事例がたくさんあるのではないかと思います。

 また、財務省は会計検査院に対して、改ざんされた決裁文書を提出するという会計検査院法に違反する行為を行いました。さらに、その上に、私は、財務省は会計検査院に対して、刑法二百三十三条の偽計業務妨害罪、偽計によって業務を妨害する罪を犯していると考えています。

 更に申し上げれば、数々のうその答弁、決裁文書の改ざん、情報の隠蔽、文書の廃棄などなど、財務省が国会と国会議員を欺いた罪は非常に重く、深いものがあると思います。

 私は、財務省は国会と国会議員に対する偽計業務妨害罪が成立をするのではないかとさえ考えています。決裁文書の改ざんまではしていないが、国土交通省も同罪であります。しかも、誰も責任をとっておらず、財務省においては、処分を受けたり、嫌疑不十分で不起訴になった人たちが昇進をしているのでありますから。

 やはり、財務省の最高責任者である麻生大臣の不信任の理由としては、この決裁文書の改ざんという財務省史上、いや霞が関史上、いや憲政史上前例のない不祥事を引き起こし、数々の違法行為を積み重ねた森友学園問題が最大のものであると考えます。

 次に、麻生大臣不信任の第五の理由として、リニア新幹線に対する三兆円融資問題、さらには下関北九州道路問題を取り上げなければなりません。

 リニア新幹線は安倍首相案件だと思いますが、下関北九州道路は、安倍首相、麻生大臣、両大臣案件であると思います。

 超電導リニア方式によるリニア新幹線は、当初はJR東海による民間の単独事業として構想され、二〇二七年にまず品川―名古屋間を開業して収益を蓄積し、一定期間後に名古屋―大阪間の工事を行って、二〇四五年に品川―大阪間を開業するという計画だったようです。JR東海の葛西名誉会長も、当初は民間自己資金で事業を遂行する方針だったようであります。記者会見等で、国に口を出されるのは迷惑だという趣旨の会見さえしていらっしゃいました。

 二〇一六年五月になって、JR東海、三兆円の財政融資の話が出てきて、それが急速に進展して、平成二十八年六月二日の骨太方針の閣議決定の文書の脚注に、「なお、リニア中央新幹線全線については、建設主体の整備を更に促進するため、財政投融資の活用等を検討する。」との文章が記載されました。

 この脚注の文章は、五月十八日の経済財政諮問会議での骨太方針素案では、「リニア中央新幹線全線については、全国新幹線鉄道整備法に基づく東京・大阪間の建設指示がなされているところ、建設主体が整備を着実に進められるよう、必要な連携、協力を行う。」との記述で、財政投融資の活用という文言は入っていませんでした。ところが、五月二十三日の関係省庁確認用の案文に、突然、財政投融資の活用等を検討するという文章が記載され、それまでの文章が削除をされております。その後、五月二十四日の自民党政調の会議で修正をされ、五月二十七日、関係省庁確認用の案文で脚注の文章が確定し、六月二日の骨太方針が閣議決定をされております。

 JR東海の葛西名誉会長と安倍総理大臣の親密な関係はよく知られていますし、葛西名誉会長と杉田官房副長官の親密な関係もよく知られています。

 五月二十七日に骨太方針の案文が確定し、リニア中央新幹線に対する財政投融資の活用等を検討するという文言の記載が確定したその日の主要新聞の首相動静欄に珍しい記事がございます。

 午後九時三十一分、JR名古屋駅着。JR東海の葛西名誉会長、柘植社長出迎え。午後九時三十二分、同駅発。安倍総理と葛西名誉会長、柘植JR東海社長の一分間の面談と読めますが、財政投融資活用決定のお礼でも言われたのでありましょうか。

 問題は、この財政融資の中身であります。

 秋の臨時国会で、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法を素早く改正し、平成二十八年十一月十八日の機構法改正案の公布、施行の直後、十一月二十九日から翌年、平成二十九年七月十二日までの七カ月半の間に、計五回、平成二十八年度一兆五千億円、平成二十九年度一兆五千億円、合計三兆円の財政融資がJR東海に実行をされています。平均利子率〇・八六%、三十年間据置き、そして三十一年目から十年間で元金均等返済、四十年ローンという特別に優遇された破格の融資であったと思います。事実、財務省理財局の説明では、財務省史上前例のない融資条件であるというふうに説明を受けました。

 三兆円ということは、当面使う必要のない資金も含まれているということで、資金運用に使われるのではないか、JR東海全体としては資金運用も可能なのではないかと思います。国民的議論も全くなく、やぶから棒のトップダウンの決定で、非常に不明朗な決定であったのではないかと存じます。

 リニア中央新幹線については、静岡県との間に大井川の水資源減少問題についてトラブルが続いており、また、環境問題をめぐって沿線住民の反対も強く、環境影響評価については環境大臣も懸念の意見を表明しました。

 検証すべきことが多く、財政投融資三兆円の特別待遇の直接の責任者である麻生大臣の責任は決して小さくないと考えます。

 さらに、ことし四月、当時の塚田国土交通副大臣のそんたく発言で注目をされた下関北九州道路については、安倍総理と並んで麻生大臣も主要な当事者であり、安倍麻生案件とも言うべきものだと考えます。

 私は、必要な道路はつくるべきであるという立場ですが、下関北九州道路については、不明朗な点が余りに多過ぎると思います。

 まず問題なのは、二〇一五年、平成二十七年二月二十四日に、関門地域にゆかりのある国会議員が安倍総理を囲んで懇談会を開き、関門会を結成し、そして、下関北九州道路の早期建設促進を行うことを決めて、早速、その翌三月三十一日に、国会議員八名で石井国土交通大臣に面会して、下関北九州道路の早期建設の要望書を手渡された。問題なのは、その早期建設要望書に名前を連ねた国会議員十四名の中に衆議院議員安倍晋三先生の名前があったことであります。

 国土交通省に確認したところ、現職の総理大臣が一衆議院議員として公共事業の建設要望書に名前を連ねた例は、これまでのところ見つかっていないということでありました。これは、もうそんたくどころの話ではなく、もはや圧力なのではないかと言わざるを得ません。

 一方、麻生大臣も、側近とも言える大家敏志参議院議員が建設促進期成同盟の中心人物の一人であり、促進する参議院議員の会の幹事長ということであります。そんたく発言で国土交通副大臣を辞任した塚田一郎参議院議員も麻生派に所属し、総理と副総理が言えないことを私がそんたく、私がというのは塚田副大臣が、そんたくしたと発言をしていらっしゃいます。

 道路行政には、私は不透明な点が多過ぎるのではないかと考えています。意思決定過程を跡づけ、検証できる行政文書がこの下関北九州道路についても全く国土交通省から公開されておらないのであります。文書が作成されているのかいないのかもはっきりしません。

 必要な道路はつくるべきであるという立場から、私は、道路行政の透明化を実現していかなければならないと考えています。意思決定過程が全く不透明な中で、総理や副総理の影響力が行使され、そんたくされる現状は、私は許してはならないことではないかと考えています。麻生大臣不信任の第五の理由としてあえてリニア新幹線と下関北九州道路を挙げたのは、そういう理由からであります。

 以上、るる申し上げさせていただきましたが、私は、本当は、本当は麻生大臣にみずから辞任を決意していただきたいのです。それがかなわないとすれば、不信任決議案で、本院議員の皆様方に賛同をお願いするしかございません。

 政権を支えるという言葉の意味は、政権を支えることを通じて国民生活の向上に資するということにつながっていかなければならないのではないかと思います。

 民主主義の大前提は、情報の公開、そして議論、少数意見の尊重、そして修正、最後に、どうにもならないときに多数決というのが民主主義の原理原則であるとするならば、その民主主義の原理原則を守らず、ただ単に政権だけ支えていればそれでよいのだとする考え方に私どもはくみするわけにはいかないのであります。

 最後に、伝統ある財政制度審議会がおととい発表した令和時代の財政の在り方に関する建議に記載していることを若干御紹介申し上げます。

 「新たな時代の幕が開いた。「万葉集」を典拠とする新元号「令和」には、厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いが込められている。」。これは、全ての先生方が、そうだそうだ、そうだねというふうに思われると思います。

 他方で、その下の段に、「令和時代の税財政運営においては、財政健全化どころか一段と財政を悪化させてしまった平成時代の過ちを繰り返すことは許されず、」と記載をされ、財政を悪化させてしまった平成時代の過ちと、麻生大臣の財政責任者としての責任を厳しく指摘をしております。

 さらに、エビデンスに基づき、偏りのない客観的事実を、公正な姿勢で伝えていく姿勢が必要であり、国民の間でよりよい議論が行われる素地をつくっていかなければならないとも記述をしていらっしゃいます。

 しかし、金融庁の報告書を受け取らない、正式な政府の方針の基礎にはしないのだということで、なきものにされようとしている。私は、その麻生大臣の責任は、繰り返し申し上げますが、非常に重いものがある、将来に禍根を残すというふうに考えます。

 どうか本院議員の皆様方の御賛同を切にお願いをして、私の財務大臣・金融担当大臣麻生太郎君不信任決議案の趣旨弁明といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。土井亨君。

    〔土井亨君登壇〕

土井亨君 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました麻生大臣に対する不信任決議案に対しまして、断固反対の立場から討論を行います。(拍手)

 麻生大臣には、副総理兼財務大臣兼金融担当大臣として、引き続き大臣としての職責を果たしていただくことが、経済再生、少子高齢化、財政危機といった課題を抱える我が国の将来にとって不可欠であるのは誰の目から見ても明らかでございます。にもかかわらず、その大臣の不信任決議を求めること自体、単なる野党のパフォーマンスと言わざるを得ません。

 財務大臣として、これまで、機動的な財政政策を始めとした三本の矢により、名目GDPは過去最高水準となり、有効求人倍率は二年にわたり四十七全ての都道府県で一倍を超え、高水準の賃上げも続いております。

 この間、財政面では、国、地方を合わせた税収は二十八兆円ふえる一方、新規国債発行額は約十二兆円減り、二〇一五年度のプライマリーバランス赤字半減目標も達成をいたしました。

 さらに、麻生大臣は、新経済・財政再生計画のもとで財政健全化目標の実現に向けて取り組まれておりますが、財政を健全化し、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡し、国民の将来不安を解消していくための改革は、一瞬の間断も許されないものであります。そのような中、財政運営の責任者である財務大臣の不信任決議案を提出するなど、言語道断ではありませんか。麻生大臣におかれては、これまで積み上げてきた実績と経験に基づき、日本経済の再生、財政の立て直しという困難な課題に引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 麻生大臣は、就任以来、G7やG20等の国際会議の場において、ひときわ高いプレゼンスを発揮し、日本政府の立場を効果的に発信されてきました。

 現在、世界経済は保護主義的な貿易措置や地政学的リスクなどに直面しており、政策面で国際的に協力していくことが極めて重要となっております。こうした中、本年は、日本がG20議長国として世界経済のかじ取り役を担う重要な年となっております。

 先般、福岡で開催された財務大臣・中央銀行総裁会議において、麻生大臣は議長として臨まれ、さまざまな立場にある各国の意見を集約し、世界経済の下方リスクに対処し、行動をとるとの合意をまとめられました。

 個別の分野では、例えば、近年、麻生大臣が議論を主導してきたBEPSプロジェクトに関連して、経済の電子化に伴う課税上の課題に対する解決策に二〇二〇年までに合意するための作業計画の承認にこぎつけたほか、質の高いインフラに関連しては、日本が特に重視する債務持続可能性等が盛り込まれました。質の高いインフラ投資に関するG20原則を取りまとめるなど、けんけんがくがくの議論をリードし、会議を大きな成功に導かれたのは記憶に新しいところでございます。

 貿易などの問題で緊張が高まる中、こうした成果を得ることができたのは、国際舞台での経験が本当に豊富で、各国のリーダーや要人と築き上げた幅広い人脈を持つ麻生大臣であったからこそであります。麻生大臣の不信任決議案を提出する野党諸君の視野の狭さは極めて残念でございます。

 さて、野党が批判をしている金融審議会市場ワーキング・グループの報告書を大臣が受け取らないとしたことについて申し述べたいと思います。

 去る六月三日に公表された市場ワーキング・グループの報告書におきましては、あたかも、公的年金だけでは生活費として月五万円足らないかのように、また、老後三十年で二千万円が不足するかのように述べられておりますが、さらには、報告書の取りまとめに入る前の段階では、金融庁自身が、退職後に三千万円が不足するかのような資料を示しております。これは、公的年金が老後の基本であり、老後生活を支える柱であるという政府のこれまでの政策スタンスとは異なるものであります。

 そもそも、市場ワーキング・グループは、高齢社会の金融サービスはどうあるべきか、個々人としては人生百年時代に備えてどのような資産形成、管理を行っていくべきかという視点で議論が行われたものであります。公的年金について議論するためのワーキンググループではありません。報告書のドラフティングを担当した金融庁には猛省を促したいと思います。

 麻生大臣は、六月十一日の記者会見で、この報告書は受け取らないと述べられましたが、これは、あたかも公的年金が老後の基本ではないかのような、国民の皆さんに広がった誤解や不安を一日でも早く払拭するために行った判断であります。

 麻生大臣には、今後、こうしたワーキンググループ等の場において、国民の皆さんに誤解や不安を生じさせない丁寧な議論を行っていただくことで、担当大臣としての職責を果たしていただきたいと考えます。

 森友事案における文書の改ざん等に対する問題等を指摘しておりますが、これも大臣の不信任には当たらないことをここではっきり申し上げておきます。

 もちろん、財務省理財局の行為は言語道断であります。国権の最高機関である国会や会計検査院の検査、情報公開請求に改ざん後の文書で対応していたなど、あってはならず、財務省には、真摯に反省をし、再発防止に取り組んでもらわなければなりません。

 麻生大臣は、調査結果をまとめて、関係者の処分を行った上で、財務省全体の意識改革、コンプライアンス改革を陣頭に立って進めており、今まさにその責任を果たしていらっしゃるところであります。大臣をやめれば問題が解決するがごとくの野党諸君の不信任案は、幼稚な提案としか言いようがありません。

 麻生大臣が不適切な発言を重ねているという指摘もあります。

 麻生大臣自身も、撤回すべきところは撤回し、以後注意したいとも発言をされておりますが、文字どおり、発言の一部が切り取られてクローズアップされているのではないでしょうか。

 国会議員が果たすべき責任は、国会の場で国家の行く末を議論することであります。そのための信託を国民の皆さんから受けているのであります。もちろん、野党の皆さんが政府の活動に対して追及すること自体は当然必要であります。しかし、こうしていわれなき不信任案を提出することが、果たして国会議員が果たすべき責任なのでしょうか。まさに、大臣不信任だと主張されても、全く説得力がありません。

 以上、我が国の将来を確固たるものとすべく、また世界の中の日本を確立すべく、麻生大臣には引き続きその重責を担っていただくことが不可欠であることを指摘させていただきますとともに、不信任の理由が、論拠の外れた、的外れなものに対して、重ねて申し上げ、議員各位が無節操、無責任きわまりない単なるパフォーマンスである不信任案に断固反対されることを強く訴えて、私の討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 今井雅人君。

    〔今井雅人君登壇〕

今井雅人君 私は、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して、ただいま議題となりました麻生太郎財務大臣・金融担当大臣不信任決議案に賛成の立場で討論いたします。(拍手)

 討論に入る前に、先日の新潟・山形地震で被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 さて、二〇一八年三月七日、神戸市で一人の公務員がみずから命を絶ちました。とても真面目な方だったそうですが、財務省から強い圧力を受けて、森友学園疑惑関連の公文書を改ざんしてしまったことに悩み、亡き人となってしまいました。国家的な隠蔽の犠牲者となったのです。今でもその方の無念を考えると胸が締めつけられそうな気分になります。

 これに対して、麻生大臣は、大変残念で悲しい事件だと言いながら、佐川氏辞任と直接つながったように報道したいんだろうけど、私はわからないという、余りにも心ない、人ごとのような発言をし、何という冷たい人だと、私も愕然といたしました。

 さらには、これほどの事態が起きたにもかかわらず、麻生大臣は、政府の組織ぐるみの改ざんに対し、どの組織だって改ざんはあり得る話だ、会社だってどこだって、ああいうことをやろうと思えば個人の問題でしょうがとか、改ざんが組織全体で日常茶飯事で行われていることは全くない、そういった意味では、個人の資質とかそういうものが大きかったのではないかと、全く自分には責任がないような発言を繰り返し、官僚に責任をなすりつけようとしました。

 佐川氏が辞任したときも、辞任は佐川氏からの申出だと説明しているにもかかわらず、国有財産行政にかかわる信頼を損なったことを踏まえ、減給二〇%、三カ月の懲戒処分にすると発表し、それに対してのみずからの任命責任を問われると、今度は、彼は極めて有能だし真面目、適材適所だったとうそぶくという、全くもって支離滅裂な発言を繰り返しました。

 悪質な公文書の改ざんを主導した人が国税庁長官として適材だったのですか。それとも、麻生大臣が改ざんを指示して、それを忠実に実行したから適材適所だと言ったのですか。私には全く理解ができません。

 また、財務大臣を辞任する意思があるかどうかを聞かれても、それは安倍総理が考える問題だと言い放ち、官僚に全ての責任を押しつけ、自分だけはのうのうと財務大臣の椅子に居座っています。そんなに大臣の椅子は居心地がいいんでしょうか。大臣、そもそも、あなたが今そこに座っていること自体が間違いなんですよ。

 そして、今回、麻生大臣は、またもや信じられない言動をいたしました。

 六月三日に発表された、金融審議会の有識者がまとめた報告書において、夫婦世帯の老後の生活収支で月額約五万円が不足することとなり、保有する金融資産を取り崩さなければならなくなる、そのため三十年で約二千万円の金融資産が必要になるという指摘をしています。

 それに対して、麻生大臣は、報告書発表の翌日、百歳まで生きる前提で退職金を考えたことがあるか、普通の人はないよ、多分、今のうちから考えておかなきゃいけないということを金融庁としても言っておいた方がいいというのが基本的な考え方と、報告書に対して一定の評価をしていました。

 しかし、だんだん世間での批判が高まってくると、二千万円は単純な試算、それを赤字と表現したのは不適切だった、内容は間違っていないが表現が悪かったという言い方に変わりました。

 それでも世間の批判がおさまらないと見るや、今度は、政府の政策スタンスと違うので、こういったものは受け取らないと言い出しました。

 次々と発言を変えていくこの態度は一体何なんでしょう。カメレオンでもここまでの豹変はしません。人をばかにするにもほどがあります。

 そもそも、審議会に意見をまとめて報告するように依頼したのはどなたですか。あなたは、審議会のメンバーの皆さんに、税金から謝礼を払って議論をお願いしたわけです。それにもかかわらず、報告書の内容に批判が高まると、その報告をなかったことにして受け取らない。これを隠蔽と言わずして何と言うんでしょうか。諮問したことに対する答申を受け取らないなどということは前代未聞です。

 審議会の中で、委員の皆さんは、すばらしいものができた、よくぞここまでまとめられた、非常にポジティブ、国民的な議論を喚起しようとしていると、とても前向きな発言をしておられました。

 しかし、ここに来て、メンバーの方々は発言しなくなってしまっています。というより、発言できなくなってしまっています。それはそうでしょう。頼まれた相手、つまり麻生大臣からはしごを外されてしまったわけですから。

 唯一、アンケートに答えた委員は、報告書の取扱いは麻生大臣が判断すべきとしながらも、ただ、国民の資産形成のあり方について長期にわたり議論された結果が今後の政策の検討に全く生かされないとすれば残念ですと悔しさをにじませています。

 大臣は、オープンに議論するという民主主義の根幹までも傷つけてしまったことを自覚していらっしゃらないのでしょうか。

 麻生大臣は、世間に著しい誤解や不安を与えている状況が変わらなかったから受け取らない旨申し上げたと発言されています。

 この報告書に書かれていることは、本当に誤解なんでしょうか。厚労省も、平均的な家庭では老後の収支がマイナスになると説明しているじゃないですか。大臣みずからも、厚労省は収支の差を述べたにすぎない、高齢者世帯の平均的な収入と、収支の差や貯蓄額を述べたにすぎないと、年金だけでは支出を賄えないことを認めているじゃないですか。

 世間に不安を与えていると言いますが、そもそも、百年安心などという耳ざわりのいい表現を使って、あたかも年金だけで老後が安心に暮らせるかのような雰囲気をつくり出したのは、あなたたち与党じゃないですか。

 不都合な真実から逃げず、堂々と国民に説明するのが担当大臣としての責務ではないですか。それを、選挙に不利だからといって報告書そのものをなかったことにする。こんな態度を将来ある子供たちに見せ続けることは、この国にとってマイナス以外何物でもありません。

 安倍総理は悪夢のような民主党政権と言いますが、こんな隠蔽を繰り返す安倍政権こそが悪夢です。

 今週の十九日、財政制度等審議会は、令和時代の財政の在り方に関する建議を政府に対して提出をいたしました。この建議の中で、当初原案段階にあった、基礎年金給付水準が想定よりも低くなることが見込まれるとの記述を最終的に削除したことが明らかになりました。

 なぜこの記述は削除されたのでしょうか。麻生大臣の指示で財務省の事務局が削除したのでしょうか。それとも審議会のメンバーがそんたくをして削除したのでしょうか。

 麻生大臣はこの報告書を十九日に受け取りました。こうして、都合の悪い表現が削除されたものは受け取り、みずからが依頼して、しかも税金を使って作成した金融庁の報告は、内容が不都合だからといって受け取らない。よくもここまで恥ずかしいことができるなとあきれて、あいた口が塞がりません。

 今週の十七日、総務省の第三者機関、情報公開・個人情報保護審査会は、森友学園の関連文書を不開示と決定した麻生大臣に対して、違法なものである、取り消すべきという答申を行いました。政府の第三者機関でさえも、麻生大臣の隠蔽体質を違法であると認定しているんです。これ以上隠蔽菌をまき散らすのは本当にやめていただきたい。そのためにも、即刻大臣をやめるべきです。

 このほかにも、財務次官のセクハラ問題に対し、セクハラした次官は女性にはめられたと発言したり、子供を産まなかった方が問題、アルツハイマーの人でもわかる。全く人権意識がないことを露呈する発言は枚挙にいとまがありません。

 都合が悪いところころと態度を変え、不都合な真実を隠すため、改ざんどころか抹殺を図り、不祥事があれば全て責任を官僚に押しつけ、人の心を傷つける発言を繰り返す、こんな方が大臣の席に座り続ける理由を一つとして見つけることができません。

 与党の皆さん、この国に民主主義を取り戻すため、皆さんも勇気を持って不信任案に賛成していただけますことを心よりお願い申し上げまして、私の賛成討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 串田誠一君。

    〔串田誠一君登壇〕

串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。

 麻生財務大臣・金融担当大臣に対する不信任決議案に対し、反対討論を行います。(拍手)

 我が党は、参議院議長に対し、麻生大臣への戒告決議案を提出しています。

 その理由は、次の二点です。

 一点目は、報告書の受取を拒否した問題です。

 報告書は、政府がワーキング・グループに依頼し、二十一名の専門家が真剣に討議して作成されたものであり、全体が全て誤解を招くものであるというわけではありません。多くの部分で、高齢者が安心して投資行動を行うことができるという、示唆に富む内容を含んでいます。確かに誤解を招く部分があったにせよ、単純に受取を拒否するということによって対処したことは、かえって国民に対しぐあいの悪いものを隠蔽するかのような誤解を与えたことは事実であって、そこの責任は否定できません。

 二点目は、初動対応に対してです。

 麻生大臣は、金融庁ワーキング・グループによる報告書に関する質問に対し、表現が不適切だったと答弁しました。しかし、その時点でのこの対応は、国民が納得できるほど十分なものであったとは言えず、ぐあいの悪い数字が出てしまったために不適切であったとの誤解を国民に与えてしまいました。

 本来、この報告書は、投資の専門家が加わって作成されたものであり、タイトルも「高齢社会における資産形成・管理」であります。年金のことを分析して書かれたものではありません。差額を記載して赤字と表現した資料は、二〇一七年の家計調査を単純に引用したものであって、余裕のある家庭もあれば、そうでない家庭もあり、さまざまな家庭の支出を単純に合算した平均値です。そこで示された金額を支出できない家庭は、それなりの支出によって家計のやりくりをしているのであって、そのまま赤字になっていくわけではありません。これらは財金委員会での質疑においても答弁されていることであります。

 そうであるなら、当初、質問されたときに、引用された資料の内容を国民が納得するように説明するべきであり、それがなされなかったことによる国民の不安をあおった責任は否定できません。

 むしろ、責められるべきは、ワーキング・グループに対して検討を求める際に、十分にその趣旨を説明していなかったことにあります。このとき趣旨説明が十分になされていれば、赤字という表現等がなされることもなかったであろうし、時間や費用、また、取り組まれた方々に対して、報告書が生かされないということもなかったと思われます。改善すべきはこの点であり、この当初の趣旨説明を十分行わなかったことに対する指導責任は重いと言わなければなりません。

 これらの事情を考慮すれば、責任が一切ないという結論を採用することはできず、戒告決議を参議院議長に提出をいたしました。今後は、このような不十分な趣旨説明による審議がなされないよう、各部署においてはしっかりと反省し、今後は十分な注意のもとでの審議を要望いたします。

 一方、今般の不信任決議に対しては、これを認めるだけの有責性は認められず、不信任決議に対しては反対する次第であります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 屋良朝博君。

    〔屋良朝博君登壇〕

屋良朝博君 屋良朝博でございます。

 国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました麻生太郎財務大臣兼金融担当大臣不信任決議案に断固賛成の立場で討論いたします。(拍手)

 麻生大臣、どうして不信任決議案が提出されたのかおわかりでしょうか。あなたは、国民生活に大きな影響のある年金と老後の生活費について、金融庁の審議会が厚生労働省の資料に基づいて作成した報告書の受取を拒否しました。

 これを受けて、政府・与党からは、報告書はもうないという、とんでもない発言まで飛び出す始末です。もうないでは済まされません。国民に対する説明責任を全く果たしておりません。国民に真実を知らせないまま、多くの国民が老後に困窮しかねない事態にふたをしようとしている責任は、余りにも重いと言わざるを得ません。

 参議院議員選挙が迫っていることから、不都合な事実をなきものにして、嵐が過ぎ去るのを待とうという姿勢なのであれば、これは、目の前の選挙結果さえよければ、国民の老後の暮らしなどどうなってもいいという意思表示にほかなりません。国民の暮らしより目先の選挙を優先するのであれば、麻生大臣、一体何のために政治家になったのでしょうか。もっとも、年金が幾らか、自分の生活では心配したことがないと発言するくらいですから、もともと国民の暮らしに寄り添える大臣ではないことは明白であります。

 あなたは財務大臣兼金融担当大臣なのですから、本来であれば、老後の生活に必要な費用と年金財政の両方に目を配り、問題があると考えれば、一刻も早く国民にそれを知らせるとともに、改善するために全力を尽くすべきであります。

 政府の政策スタンスと異なっているという受取拒否の理由は、安倍政権に都合の悪いものは出してくるな、審議会が余計なことを言うなというおどしにも受け取れます。

 実際、麻生大臣による金融庁の審議会報告書の受取拒否は、さらなる都合の悪いもの隠しにもつながっております。

 財政大臣の諮問機関である財政制度等審議会は、十九日、建議として、令和時代の財政のあり方を示した意見書を麻生財務大臣に提出しましたが、そこでは、原案にあった文言を財務省が削除しています。原案には、将来世代の基礎年金給付水準が平成十六年改正時の想定より低くなることが見込まれているとなっておりましたが、この部分が、「マクロ経済スライドの調整期間が長期化してきた。」とされております。また、昨年の意見書で明記した、年金分野の「自助努力の促進」、この文言も削られてしまいました。

 金融庁の報告書が問題になっていること、そして参議院議員選挙が迫っていることを財務省が配慮して、こうした表現になったのではないでしょうか。

 既に報道では、審議会のある委員が、自助努力を最初は明記していたが、金融庁の報告書が話題になったので直前に削ったと明らかにしております。また、別の委員は、当初どおり、自助努力をきちんと載せるべきだとの意見も多数出たが、最終的に財務省と調整して決まったとも述べております。

 麻生大臣、あなたの報告書受取拒否が他の審議会にも影響し、厳しい現状を指摘すれば受取を拒否されるのではないか、無難な内容にしようというそんたくにつながっているのではないでしょうか。

 この財政審議会の意見書は、二〇二〇年度の予算編成に向けたものです。二〇一九年度予算で、社会保障関連経費は三十四兆円と、過去最大になっております。一般会計の約三割を占める最大の歳出分野であり、その改革は急務であります。しかし、意見書の表現を緩め、厳しい現状は指摘しないものとすることで、ひいては社会保障改革が後退するおそれがあります。

 財政審議会は、これまでにも、社会保障関連経費の伸びを抑えないと日本の財政はもたないと警鐘を鳴らしてきました。このように、政治や世論の空気に流されずに、事実に基づいて客観的に財政の指摘を受けることは重要であります。それを政治は真正面から受けとめて、国民的な議論を喚起し、将来の財政などのあり方を真剣に討議しなければなりません。

 しかし、前提となるデータを記した報告書や意見書がなきものとされたり、内容を書きかえたりしてしまえばどうなるでしょうか。危機は共有されないまま先送りされ、取り返しのつかない状況になってしまう。ようやく国民が状況を知ることになったときにはもう遅いのであります。

 民をして、よらしむべし、知らしむべからずという古来の支配原理があります。その意味は、為政者は国民をただ従わせればよいのであり、その道理をわからせる必要はないということであります。

 麻生大臣の姿勢は、まさに、国民は年金財政の詳しいことはわからなくてもいい、黙って政府・与党のやることに従えというものであります。現代の民主主義から見れば、時代おくれも甚だしいと言わざるを得ません。

 振り返れば、いわゆる森友学園をめぐる決裁文書の改ざん、隠蔽問題の際も、不十分きわまりない調査と処分で幕引きを図ろうとしました。国民に必要な情報を知らしむべからずという政治姿勢は、ある意味、麻生大臣に限らず、安倍内閣に一貫したものであります。

 その最たるものが、辺野古移設の強行です。名護市辺野古は私の選挙区であります。ことし二月に、沖縄県で県民投票が実施されました。その結果は、埋立反対が投票総数の七割を超えるものでした。民意は明らかであります。さらに、軟弱地盤の問題が明らかになったにもかかわらず、完成時期や予算の総額すら示さないまま巨大な埋立工事を強行するのは、まさに政権の暴走であり、安倍内閣の体質を端的にあらわしております。

 政策の信頼性や民意などお構いなしのその姿勢が民主主義国家にあるまじき行為であることを、なぜ理解できないのでしょうか。

 さらに、年金財政の健全性を調べる五年に一度の財政検証は、毎回六月に公表されておりますが、今回は、国民に不都合な数字が入っているから参議院議員選挙が終わってから公表するつもりではないでしょうか。

 麻生大臣、あなたの政治姿勢は、国民生活を破滅的な状況に追い込みかねない危険なものであります。これまでにも、失言と失政が数多く、既に大臣の資質に欠けることは明白でありましたが、今回の一件は、このことのみで職を辞するに余りある蛮行であります。麻生大臣が一刻も早くこの職を辞することが、国民生活を守ることの第一歩となります。

 最後に、国民民主党は、家計消費を伸ばすことができないアベノミクスにかわって、家計第一の経済政策のもと、暮らせる年金を確保するための政策を出すことをお約束申し上げ、麻生大臣不信任決議案への賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 宮本徹君。

    〔宮本徹君登壇〕

宮本徹君 日本共産党の宮本徹です。

 私は、財務大臣・金融担当大臣麻生太郎君不信任決議案に対して、断固賛成の討論を行います。(拍手)

 老後資金に二千万円不足する、麻生大臣は、この金融庁審議会の報告書を、政府の政策スタンスと違うとして受取を拒否されました。一体どこが違うんですか。

 二〇〇四年、百年安心の名で導入されたマクロ経済スライドは、長期にわたり年金削減を行うものです。そのもとで、公的年金では生活費に不足することは、従来政府が説明してきたものではありませんか。

 そして、公的年金では足りないことを前提に、安倍政権は、閣議決定、未来投資戦略で、私的年金制度の普及、充実を掲げ、そして自民党も、来る参議院選挙の公約で、つみたてNISAを更に普及、私的年金の活用促進を掲げているのではありませんか。報告書は、年金百年安心の実態が、全く安心できないものだという不都合な事実をわかりやすく示したにすぎません。

 先日の財務金融委員会で大臣は、大きな不安になって、大きな騒ぎになったと答弁しました。騒ぎを静め、参議院選挙で与党が不利にならないよう、不都合な事実を明らかにした報告書をなかったものにするなど、まさに党利党略、断じて許されないものであります。

 その上、今月十九日に提出された財政審の建議から、原案にあった、将来世代の基礎年金給付水準が想定よりも低くなるなどの文言が削除されました。麻生大臣の報告書の受取拒否につじつまを合わせて、都合の悪い真実を次々に隠蔽していく。森友問題と全く同じではありませんか。

 報告書の受取を拒否しても、国民の不安の大もとにある貧困な年金制度、公的年金では生活費に不足し、年金は二割、基礎年金は三割が減額になる事実は何一つ変わりません。政治がやるべきは、貧困な年金制度の隠蔽ではなく、国民が普通に暮らせる、安心の年金制度をつくるために、真剣に議論をすべきなのではありませんか。実態を隠し、予算委員会での審議を拒否する与党の責任も厳しく糾弾したいと思います。

 森友問題では、真相を隠蔽するために公文書改ざんが行われ、改ざんを強要された職員が自殺に追い込まれるという痛ましい事態が引き起こされました。麻生大臣は、財務省の最高責任者としてその責任をとれないばかりか、その後も、財務省と近畿財務局、大阪航空局とのやりとりの文書を隠蔽し続け、先日、情報公開・個人情報保護審査会も、違法と断じるに至りました。我が党の入手した内部資料では、財務省が会計検査院に報告書の記述の変更を求め、圧力をかけていたことも明らかとなっております。これだけの事態を引き起こしながら、権力にとって都合の悪い情報は隠蔽する体質が改まらない。麻生大臣は大臣として全く不適格であります。

 さらに、大臣は、消費税増税を強行しようとしております。内閣府の景気動向指数は二カ月連続で悪化です。十月から消費税増税を強行するならば、日本経済と地域経済に破滅的なダメージを与えることは火を見るよりも明らかではありませんか。世論の多数が消費税増税の中止を求めているにもかかわらず、国民生活を一顧だにしない姿勢は許されません。

 他方で、大臣は、財政法にある財政規律の堅持という責任を投げ捨て、補正予算まで活用して、F35戦闘機やイージス・アショアを始めとする米国製の高額な兵器の爆買いなど、軍事費を野方図に拡大する予算編成を繰り返し、後年度負担を急激に膨張させ、未来世代の予算まで食い潰しております。国民の暮らしを守るためにも、これ以上、麻生大臣に財務大臣を任せるわけにはまいりません。

 またさらに、麻生大臣の数々の暴言等、五分ではとても指摘できないほどの不信任の理由があることを申し上げ、賛成討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 松原仁君。

    〔松原仁君登壇〕

松原仁君 私は、社会保障を立て直す国民会議を代表して、賛成の立場で討論します。(拍手)

 事の本質は、麻生大臣が報告書の受取拒否を明言したことであります。

 審議会の答申や報告書の意義は、問題に対して、専門的知見を使い客観的提言をするところにあります。それを、政府のスタンスと異なるがゆえに受け取らないということは、極めて非常識な行動であります。

 物を人に頼んでおいて、でき上がったものを受け取るつもりでいて、他人からこれはよくないと言われたら、そうだなと言って受取を拒否するというのは、極めて失礼千万な話だと私は考えます。

 各省庁に確認をいたしました。

 総務省は、十五ある審議会において、過去五年間、そのような事例はない。

 国土交通省は、過去十年間に報告書を受け取らなかった事例は確認できない。

 経産省は、平成二十八年から三十一年の該当する事例の有無は、なかった。

 環境省は、平成二十一年以降、答申を受け取らなかった事例は確認されなかった。

 外務省は、政務が諮問機関から報告書を受け取らなかった事例はなかった。

 文部科学省は、過去五年、調べた結果、報告書を受け取らなかった事例はなかった。

 法務省は、過去五年間、同じであります、受け取った。事例はない。

 農水省も、審議会の担当者に照会をしたが、そういう事例はなかった。

 もとより金融庁は、六月十四日の私との質疑において、そうした前例がなかったことを答弁しております。

 こうした前例が見つからない今回の受取拒否は、前代未聞の暴挙と言わざるを得ないわけであります。

 このことが一つの前例となって、今後の審議会は、政権の顔色を見ながら、常に政府にそんたくすることにつながるのではないかと思います。

 多くの官僚経験者が、長期政権において、内閣人事局の人事評価が政務のさじかげんで恣意的に行われる可能性があり、そんたく行政を助長するとの懸念を従来から指摘していました。

 公文書改ざんにおける佐川理財局長の行動は、まさにそんたくであります。今回のあしき前例を背景に、行政及び審議会の中に、そんたくのインフルエンザが燎原の火のように蔓延することを危惧するわけであります。

 これは、日本における民主主義の危機と言えます。令和という新しい時代がそんたく政治のスタートになってはならないし、そんたくが評価される社会が始まってもならない。そんたく精神で生きることがスマートな社会が始まってもならないわけであります。

 後世の歴史家が、令和元年六月十一日、麻生さんの受取拒否から日本はそんたく時代が始まったというふうに、後世の歴史家に言われることがあってはならない、これが今回の不信任に賛成する理由の一つであります。

 古代ローマの政治家であるカエサルは、人間は自分に都合のいい真実だけを見ようとすると語りました。このカエサルの言葉は、不都合な真実をも直視することが政治のとる道であるということを示しています。

 国民は、現在の年金制度だけでは、生活が不十分であることは薄々わかっているわけであります。その不安がさまざまなところで指摘されている現状を考えると、不都合な真実に目を背けずに、老後の生活のあり方を、資産寿命という観点から、健康寿命という観点から、職業寿命という観点から議論する、新しい切り口で議論することが求められます。

 今回の報告書の受取拒否は、不都合な議論から逃避したため、国民のうっすらとした不安は、社会保障制度への確固たる不信感に変わりつつある。本件の最大の問題は、報告書の内容というより、その存在自体を闇に葬ることによって、国民の不信感を増大させたことにあります。

 明治における五カ条の御誓文には、広く会議を興し、万機公論に決すべしとあります。明治神宮の、このホームページにおいて、この意味は、広く会議を開き議論を行い、大切なことは全て公正な意見によって決めましょうというふうに意訳をされている。

 こうした日本人の伝統に反し、寛容の精神を否定するような今回の麻生大臣の報告書受取拒否は、不信任に相当することを強く申し上げ、私の賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百四十九

  可とする者(白票)       百三十二

  否とする者(青票)       三百十七

議長(大島理森君) 右の結果、財務大臣・金融担当大臣麻生太郎君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

辻元清美君外五名提出財務大臣・金融担当大臣麻生太郎君不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   阿久津 幸彦君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君

荒井   聰君   伊藤  俊輔君   池田  真紀君   石川  香織君

今井  雅人君   生方  幸夫君   江田  憲司君   枝野  幸男君

小川  淳也君   尾辻 かな子君   大河原 雅子君   大串  博志君

逢坂  誠二君   岡島  一正君   岡田  克也君   岡本 あき子君

落合  貴之君   海江田 万里君   金子  恵美君   神谷   裕君

亀井 亜紀子君   川内  博史君   菅   直人君   菊田 真紀子君

黒岩  宇洋君   近藤  昭一君   佐々木 隆博君   櫻井   周君

篠原   豪君   末松  義規君   田嶋   要君   高井  崇志君

高木 錬太郎君   武内  則男君   辻元  清美君   手塚  仁雄君

寺田   学君   中川  正春君   中谷  一馬君   中村 喜四郎君

長尾  秀樹君   長妻   昭君   西村 智奈美君   長谷川 嘉一君

初鹿  明博君   福田  昭夫君   堀越  啓仁君   本多  平直君

松田   功君   松平  浩一君   道下  大樹君   宮川   伸君

村上  史好君   森山  浩行君   矢上  雅義君   山内  康一君

山尾 志桜里君   山川 百合子君   山崎   誠君   山花  郁夫君

山本 和嘉子君   横光  克彦君   吉田  統彦君   早稲田 夕季君

青山  大人君   浅野   哲君   泉   健太君   稲富  修二君

小熊  慎司君   小沢  一郎君   大島   敦君   大西  健介君

岡本  充功君   奥野 総一郎君   城井   崇君   源馬 謙太郎君

小宮山 泰子君   後藤  祐一君   近藤  和也君   佐藤  公治君

斉木  武志君   篠原   孝君   下条  みつ君   白石  洋一君

関  健一郎君   玉木 雄一郎君   津村  啓介君   西岡  秀子君

原口  一博君   日吉  雄太君   平野  博文君   古川  元久君

古本 伸一郎君   前原  誠司君   牧   義夫君   緑川  貴士君

森田  俊和君   谷田川  元君   屋良  朝博君   山岡  達丸君

山井  和則君   渡辺   周君   赤嶺  政賢君   笠井   亮君

穀田  恵二君   志位  和夫君   清水  忠史君   塩川  鉄也君

田村  貴昭君   高橋 千鶴子君   畑野  君枝君   藤野  保史君

宮本   徹君   本村  伸子君   井出  庸生君   柿沢  未途君

玄葉 光一郎君   重徳  和彦君   中島  克仁君   野田  佳彦君

広田   一君   松原   仁君   吉川   元君   青山  雅幸君

赤松  広隆君   階    猛君   馬淵  澄夫君   柚木  道義君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あきもと 司君   あべ  俊子君   安倍  晋三君

逢沢  一郎君   青山  周平君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君

秋本  真利君   麻生  太郎君   穴見  陽一君   甘利   明君

安藤  高夫君   安藤   裕君   井野  俊郎君   井上  信治君

井上  貴博君   井林  辰憲君   伊東  良孝君   伊藤 信太郎君

伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   伊吹  文明君   池田  道孝君

池田  佳隆君   石川  昭政君   石崎   徹君   石田  真敏君

石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君   泉田  裕彦君

稲田  朋美君   今枝 宗一郎君   今村  雅弘君   岩田  和親君

岩屋   毅君   うえの賢一郎君   上杉 謙太郎君   上野  宏史君

江崎  鐵磨君   江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君

遠藤  利明君   小倉  將信君   小此木 八郎君   小里  泰弘君

小田原  潔君   小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  朝子君

越智  隆雄君   大岡  敏孝君   大串  正樹君   大隈  和英君

大塚  高司君   大塚   拓君   大西  英男君   大西  宏幸君

大野 敬太郎君   岡下  昌平君   奥野  信亮君   鬼木   誠君

加藤  鮎子君   加藤  勝信君   加藤  寛治君   梶山  弘志君

勝俣  孝明君   門   博文君   門山  宏哲君   金子  俊平君

金子 万寿夫君   金子  恭之君   金田  勝年君   上川  陽子君

神谷   昇君   神山  佐市君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君

川崎  二郎君   河井  克行君   河村  建夫君   神田  憲次君

神田   裕君   菅家  一郎君   木原  誠二君   木原   稔君

木村  次郎君   木村  哲也君   木村  弥生君   城内   実君

黄川田 仁志君   岸   信夫君   岸田  文雄君   北村  誠吾君

工藤  彰三君   国光 あやの君   熊田  裕通君   小泉 進次郎君

小泉  龍司君   小島  敏文君   小寺  裕雄君   小林  茂樹君

小林  鷹之君   小林  史明君   古賀   篤君   後藤  茂之君

後藤田 正純君   河野  太郎君   高村  正大君   國場 幸之助君

左藤   章君   佐々木  紀君   佐藤  明男君   佐藤   勉君

佐藤 ゆかり君   齋藤   健君   斎藤  洋明君   坂井   学君

坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君   塩崎  恭久君

塩谷   立君   繁本   護君   柴山  昌彦君   下村  博文君

白須賀 貴樹君   新谷  正義君   新藤  義孝君   菅   義偉君

菅原  一秀君   杉田  水脈君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君

鈴木  淳司君   鈴木  貴子君   鈴木  憲和君   鈴木  隼人君

関   芳弘君   田所  嘉徳君   田中  和徳君   田中  英之君

田中  良生君   田野瀬 太道君   田畑  裕明君   田村  憲久君

平   将明君   高市  早苗君   高木   啓君   高木   毅君

高鳥  修一君   高橋 ひなこ君   竹本  直一君   武井  俊輔君

武田  良太君   武部   新君   武村  展英君   橘  慶一郎君

棚橋  泰文君   谷   公一君   谷川  とむ君   谷川  弥一君

津島   淳君   辻   清人君   土屋  品子君   寺田   稔君

とかしきなおみ君  冨樫  博之君   渡海 紀三朗君   土井   亨君

冨岡   勉君   中曽根 康隆君   中谷   元君   中谷  真一君

中根  一幸君   中村  裕之君   中山  展宏君   中山  泰秀君

永岡  桂子君   長尾   敬君   長坂  康正君   二階  俊博君

丹羽  秀樹君   西田  昭二君   西村  明宏君   西村  康稔君

西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君   根本   匠君   根本  幸典君

野田  聖子君   野田   毅君   野中   厚君   葉梨  康弘君

萩生田 光一君   橋本   岳君   馳    浩君   鳩山  二郎君

浜田  靖一君   林   幹雄君   原田  憲治君   原田  義昭君

百武  公親君   平井  卓也君   平口   洋君   平沢  勝栄君

福井   照君   福田  達夫君   福山   守君   藤井 比早之君

藤丸   敏君   藤原   崇君   船田   元君   船橋  利実君

古川   康君   古川  禎久君   古田  圭一君   古屋  圭司君

穂坂   泰君   星野  剛士君   細田  健一君   細田  博之君

堀井   学君   堀内  詔子君   本田  太郎君   牧島 かれん君

牧原  秀樹君   松島 みどり君   松野  博一君   松本   純君

松本  剛明君   松本  文明君   松本  洋平君   三浦   靖君

三谷  英弘君   三ッ林 裕巳君   三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君

御法川 信英君   宮内  秀樹君   宮川  典子君   宮腰  光寛君

宮崎  政久君   宮澤  博行君   宮路  拓馬君   宮下  一郎君

武藤  容治君   務台  俊介君   宗清  皇一君   村井  英樹君

村上 誠一郎君   望月  義夫君   茂木  敏充君   盛山  正仁君

森   英介君   森山   裕君   八木  哲也君   簗   和生君

山際 大志郎君   山口  俊一君   山口  泰明君   山口   壯君

山下  貴司君   山田  賢司君   山田  美樹君   山本  幸三君

山本   拓君   山本ともひろ君   山本  有二君   吉川  貴盛君

吉川   赳君   吉野  正芳君   義家  弘介君   和田  義明君

若宮  健嗣君   鷲尾 英一郎君   渡辺  孝一君   渡辺  博道君

赤羽  一嘉君   伊佐  進一君   伊藤   渉君   石井  啓一君

石田  祝稔君   稲津   久君   浮島  智子君   江田  康幸君

太田  昭宏君   太田  昌孝君   岡本  三成君   北側  一雄君

國重   徹君   佐藤  英道君   斉藤  鉄夫君   高木 美智代君

高木  陽介君   竹内   譲君   遠山  清彦君   富田  茂之君

中野  洋昌君   浜地  雅一君   濱村   進君   古屋  範子君

桝屋  敬悟君   鰐淵  洋子君   足立  康史君   井上  英孝君

浦野  靖人君   遠藤   敬君   串田  誠一君   杉本  和巳君

馬場  伸幸君   藤田  文武君   森   夏枝君   長島  昭久君

細野  豪志君

     ――――◇―――――

 日程第一 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律案(参議院提出)

議長(大島理森君) 日程第一、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長亀岡偉民君。

    ―――――――――――――

 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔亀岡偉民君登壇〕

亀岡偉民君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与するため、視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進するものであり、その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、視覚障害者等の読書環境の整備の推進は、情報通信その他の分野における先端的な技術等を活用した電子書籍等の普及が図られるとともに、視覚障害者等が利用しやすい書籍が提供されること等を旨として行われなければならないことを基本理念として定めること、

 第二に、文部科学大臣及び厚生労働大臣は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本計画を定めなければならないこと、

 また、地方公共団体は、基本計画を勘案して、当該地方公共団体における計画を定めるよう努めなければならないこと

などであります。

 本案は、参議院提出に係るもので、去る六月十九日本委員会に付託され、同日、参議院議員神本美恵子君から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣

       国務大臣    麻生 太郎君

       文部科学大臣  柴山 昌彦君


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