衆議院

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第7号 令和元年11月12日(火曜日)

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令和元年十一月十二日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第六号

  令和元年十一月十二日

    午後一時開議

 第一 ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案(厚生労働委員長提出)

 第二 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

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本日の会議に付した案件

 野田聖子君の故議員宮川典子君に対する追悼演説

 日程第一 ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案(厚生労働委員長提出)

 日程第二 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

 会社法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 御報告することがあります。

 議員宮川典子君は、去る九月十二日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 宮川典子君に対する弔詞は、議長において去る九月二十九日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 議員正五位旭日中綬章 宮川典子君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

    ―――――――――――――

 故議員宮川典子君に対する追悼演説

議長(大島理森君) この際、弔意を表するため、野田聖子君から発言を求められております。これを許します。野田聖子君。

    〔野田聖子君登壇〕

野田聖子君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員宮川典子先生は、去る九月十二日、逝去されました。

 よわいいまだ四十。政治家としてより一層の活躍が期待されていた中での余りにも早過ぎる訃報は今もって信じがたく、ましてや御遺族の御心痛はいかばかりか、お察しするに余りあり、お慰めの言葉もございません。

 私は、ここに、皆様の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。

 宮川典子さんは、昭和五十四年四月、宮川家の父節也様、母晴美様の長女として東京でお生まれになりました。しかし、お父様の、子供はどうしても山梨で育てたいとの強い希望で、御両親のふるさと山梨にお移りになりました。

 典子さんは、わずか十歳のときに最愛のお父様を亡くされましたが、御親戚やまるで家族のような御近所の皆様、そしてたくさんの御友人に囲まれ、山紫水明の地で健やかな幼年期を過ごされました。幼稚園の授業参観で、私語をする大人たちに、おしゃべりをする人は出ていってくださいとぴしゃりと言ったように、幼いころから正義感が強く真面目だったと伺っています。また、小学生から打ち込んだ水泳では、全国ジュニアオリンピックに出場、日本ランキングで五位になるなど、国内でも有数のスイマーとして活躍されました。

 山梨学院大学附属高等学校では、仲間と切磋琢磨し勉学に励まれるとともに、ロックバンドを組んで学園祭でライブをされるなど、充実した学生生活を送られました。

 平成十年に高校を卒業されると、地元山梨を離れ、東京の慶応義塾大学に進学されます。おじい様やお母様など、お身内に教職についている方が多いという環境の中で、教育ほど重要な分野はないとの思いから、典子さんは教育学を専攻されました。当時、教育制度や教育現場を変えたいと、文部科学省で教育改革に取り組むことを考えておられたと聞いております。

 しかし、大学四年生のとき、恩師の、現場で味わう経験は何物にもかえがたいとの言葉に後押しされ、典子さんは教鞭をとることを決意し、母校である山梨学院大学附属中学・高等学校に奉職されました。

 人に交るには信を以てす可し。己れ人を信じて人も亦己れを信ず。

 典子さんは、福沢諭吉の残したこの言葉を座右の銘とし、真っ向から生徒に向き合っておられました。

 ある日、授業で教科書を出そうともしない野球部の生徒たちを注意したところ、野球部だから野球だけをしていればいいんだと、彼らが野球道具一式をどんと机の上に置いたことがありました。典子さんは敢然と道具一式を窓から放り投げるという挙に出られたそうです。道具を投げられた生徒たちはもちろん、他の先生方も随分驚いたことでしょう。しかし、典子さんは、生徒たち自身が間違いに気づき、そしてみずから解決してくれるものと信じていたのです。

 その対決の後、大の仲よしとなった元生徒たちから誘われ、国会議員になられてからも一緒にスタンドで高校野球の応援をしていたそうですね。その際、周囲の観客たちへ自慢の教え子だと紹介していることに、厳しくも深い愛情を持って子供たちに向かい合おうと心がけていた典子さんの姿勢がしのばれます。

 五年間の教員生活で、典子さんは中学、高校の全学年で教鞭をとられ、教師として充実した日々を送られる一方、教育の現場を通じて、教育に今何が必要なのか、何に取り組むべきなのか、多くの課題を感じ取られました。

 そして、子供たちが未来に希望を持てるように、努力が報われる社会にしたいとの志を強め、日本の社会全体を教育によって改革する道を目指そうと、教師として何よりも愛する子供たちとの生活を離れ、政治の世界に踏み出す決意をされます。

 平成二十二年に、「教育」で日本を建て直すとの思いを胸に、参議院議員通常選挙に立候補。大健闘するも惜敗。

 平成二十四年、第四十六回衆議院議員総選挙において、地元山梨県第一区から立候補され、見事、初当選の栄誉に輝き、志を実現するための第一歩を踏み出され、以来、衆議院議員を連続三期務められました。

 本院に議席を得てからは、主に、文部科学委員会、法務委員会の各常任委員会、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会、青少年問題に関する特別委員会、地方創生に関する特別委員会の理事や委員として御活躍されました。

 また、安倍内閣では、平成二十九年八月に、当選二回にして、念願の文部科学大臣政務官に就任。引き続き、同年十一月に再任されました。

 政務官の任期中に策定された第三期教育振興基本計画では、典子さんの信念である、教育を通じて生涯にわたる一人一人の可能性とチャンスを最大化が、教育政策の重点事項として据えられました。また、御自身の教員経験を生かし、グローバル教員を育成するトビタテ!教員プロジェクトの立ち上げを主導されました。

 空理空論を嫌った典子さんは、現場を経験している者として、政治、行政と現場のずれを発信し、現場が求めていることを実行したいという意気込みで、昨年十月までの一年二カ月間にわたり、文部科学行政の中で、現場経験に基づく視点に裏打ちされたすぐれた実行力を発揮されました。

 退任に当たって、一つでも多くの仕事をやろうと取り組んだ、一日二十四時間では足りないと思ったこともあると述べられたのは、教育の現場と課題を知り尽くした典子さんだからこその御発言でしょう。

 一方、自由民主党におきましては、女性局長代理、環境部会長代理、青年局次長などを歴任され、教育行政以外にも精力的に取り組んでこられました。

 児童相談所や児童養護施設に積極的に足を運び、児童相談所全国共通ダイヤル「一八九(いちはやく)」の創設に尽力されました。また、いわゆるリベンジポルノ防止法の成立、女性アスリートが抱えやすい疾患対策とその啓発活動にも取り組まれました。

 その中でも、特に私が思い出すのは、最終的には昨年の通常国会で衆議院、参議院ともに全会一致で可決、成立した、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律への取組です。これは、国及び地方議会の選挙において、男女の候補者数ができる限り均等となることを目指すものです。

 超党派の議員連盟で、典子さんが事務局次長を、私が幹事長を務め、起案の段階から活動をともにしておりました。議員連盟で検討を始めた平成二十七年当時は、与野党間の足並みがそろわず、なかなか議論が進みませんでした。自民党内でも慎重論が根強く、最初の部会では了承が得られませんでした。しかし、あなたは諦めることなく、むしろ、それまで以上に熱く、そして粘り強く、百名を超える国会議員に法律の必要性を説いて回られるなど、八面六臂の活躍をされました。ようやく党内で了承されたあのとき、ひな壇に座っていた典子さんは、涙を流して喜んでいましたね。

 この法律が成立した昨年五月、病床にあった典子さんからメールをもらいました。病院のベッドでこの日を迎えるとは思いませんでしたが、とにかく、成立してうれしい。また、あなたはそのメールの中で、困難もあったが、結果、私を育ててくれた法案であったとも振り返っていましたね。あの日、一緒に祝杯を上げることはできませんでしたが、いつも前向きなあなたとどんな形であれ喜びを分かち合うことができて、本当にうれしかったです。

 典子さんは、議員になられてからの七年間、未来に希望を持てる社会を実現するため、走り抜いてこられました。

 典子さんの政治家人生をかけた目標は、「教育」で日本を建て直すでありました。これは、単なる教育改革にとどまらず、日本の建て直しを目指す大きなものでした。

 まだまだ道半ばではありますが、いつの日かこの国の、国及び地方の議会のみならず社会において、女性も男性も、変わらず当たり前に活躍できる日が来るとしたら、典子さん、あなたはそのきっかけを生み出した功労者の一人であり、教師宮川典子が未来の日本政治に残した最大の功績となることでしょう。

 それにしても、早過ぎます。まさかこんなに早くお別れすることになるとは考えもしませんでした。

 昨年、典子さんの地元山梨を家族で訪れた際、典子さんのお母様も交え、両家族で食事をしましたね。初対面にもかかわらず、不思議とお母様とは何でも話すことができました。そして、典子さんから私の息子にと贈っていただいた開運御守護印を息子は今でも大切にしています。家族ぐるみでつき合える友人ができて、私はとてもうれしかったです。

 政策実現のために、粘り強く同僚議員に説得を重ねられていた典子さん。議員事務所で百三十人を超える学生をインターン生として指導した典子さん。忙しい中でも家族との時間を大切にしていた典子さん。そんな日々がもっともっと続くはずでした。

 お母様譲りの、どんなにつらいときでも元気で明るい典子さんの笑顔を、もう見ることはできないのですね。これからも難しい案件のときにはぜひ呼んでくださいと言ってくれていたあなたと、もっともっと一緒に仕事がしたかったです。

 常に御自身の原点である教師として、教育の力を信じ、若者の可能性と未来を信じ、国家国民を信じ、果敢に問題解決に挑み続けた強くも優しい典子さんを失いましたことは、地元山梨のみならず、本院にとっても我が国にとっても、この上ない大きな損失であると言わなければなりません。

 ここに、謹んで宮川典子衆議院議員の御生前の御功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りいたしまして、追悼の言葉といたします。(拍手)

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 日程第一及び第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

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 日程第一 ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案(厚生労働委員長提出)

 日程第二 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

議長(大島理森君) 日程第一、ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案、日程第二、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。厚生労働委員長盛山正仁君。

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 ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案

 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔盛山正仁君登壇〕

盛山正仁君 ただいま議題となりました両案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 まず、ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案について申し上げます。

 本案は、ハンセン病元患者家族のこうむった精神的苦痛を慰謝するための補償金の支給に関し必要な事項等について定めようとするもので、その主な内容は、

 第一に、本法律案に特に前文を設け、国の隔離政策により、ハンセン病元患者のみならず、元患者家族等も、長年にわたり多大の苦痛と苦難を強いられてきたにもかかわらず、国会及び政府においてこれに対する取組がなされてこなかったことについて、国会及び政府は、その悲惨な事実を深刻に受けとめ、深くおわびするとともに、偏見と差別を国民とともに根絶する決意を新たにすることを明記すること。さらに、前文では、国会及び政府が責任を持ってこの問題に誠実に対応していく立場にあることを深く自覚し、ハンセン病元患者家族のこうむった精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病元患者家族等の名誉の回復及び福祉の増進を図るため、この法律を制定する旨を規定すること、

 第二に、国は、ハンセン病元患者家族に対し、補償金を支給することとし、補償金の額は、事実婚を含むハンセン病元患者の配偶者、親、子等については百八十万円、兄弟姉妹や元患者と同居していた孫、おい、めい等については百三十万円とすること、

 第三に、厚生労働大臣は、補償金の支給を受けようとする者の請求に基づき、当該支給を受ける権利の認定を行うこととし、請求の期限は、この法律の施行の日から五年とすること、

 第四に、国は、ハンセン病元患者家族等について、名誉の回復及び福祉の増進を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととすること

等であります。

 本案は、去る十一月八日の厚生労働委員会において、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 次に、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、ハンセン病問題解決の一層の促進のため、名誉の回復、福祉の増進等の規定の対象にハンセン病の患者であった者等の家族を加えるとともに、国立ハンセン病療養所における医療及び介護に関する体制の整備及び充実等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る十一月八日の厚生労働委員会において、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 両案を一括して採決いたします。

 両案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。

     ――――◇―――――

 会社法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣森まさこ君。

    〔国務大臣森まさこ君登壇〕

国務大臣(森まさこ君) 会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 まず、会社法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るため、会社法の一部を改正しようとするものであります。

 その要点は、次のとおりであります。

 第一に、株主に対して早期に株主総会資料を提供し、株主による議案等の検討期間を十分に確保するため、定款の定めに基づき、株式会社の取締役が株主総会資料を自社のホームページ等のウエブサイトに掲載し、株主に対し当該ウエブサイトのアドレス等を書面で通知する方法により、株主に対して株主総会資料を提供することができる制度を創設することとしております。

 第二に、株主提案権の濫用的な行使を制限するため、株主が同一の株主総会において提案することができる議案の数を制限するとともに、不当な目的等による議案の提案を制限する規定を新設することとしております。

 第三に、取締役の報酬等を決定する手続等の透明性を向上させ、また、株式会社が業績等に連動した報酬等をより適切かつ円滑に取締役に付与することができるようにするため、上場会社等の取締役会は、取締役の個人別の報酬等に関する決定方針を定めなければならないこととするとともに、上場会社が取締役の報酬等として株式の発行等をする場合には、金銭の払込み等を要しないこととしております。

 第四に、役員等にインセンティブを付与するとともに、役員等の職務の執行の適正化を確保するため、役員等がその職務の執行に関して責任追及を受けるなどして生じた費用等を株式会社が補償することを約する補償契約や、役員等のために締結される保険契約に関する規定を新設することとしております。

 第五に、我が国の資本市場が全体として信頼される環境を整備するため、上場会社等に社外取締役を置くことを義務付けることとしております。

 第六に、社債の管理を自ら行う社債権者の負担を軽減するため、会社から委託を受けた第三者が、社債権者による社債の管理の補助を行う制度を創設することとしております。

 第七に、企業買収に関する手続の合理化を図るため、株式会社が他の株式会社を子会社化するに当たって、自社の株式を当該他の株式会社の株主に交付することができる制度を創設することとしております。

 次に、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、会社法の一部を改正する法律の施行に伴い、商業登記法ほか九十の関係法律に所要の整備等を加えるとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。

 以上が、両法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 会社法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。落合貴之君。

    〔落合貴之君登壇〕

落合貴之君 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、会派を代表し、質問をさせていただきます。(拍手)

 今、会社法改正案の趣旨説明がございました。会社法は、会社のガバナンスを適正なものにする上で重要な法律です。どんな組織にも適正なガバナンスが求められます。しかし、先週の国会では、内閣のトップ、総理大臣が、公的行事を私物化しているのではないかという問題が出てきました。

 取り上げられた桜を見る会は、各界で功労、功績のあった人たちを慰労し、懇親することを目的に、全額公費で、毎年四月に新宿御苑で開かれます。会費は無料で、たる酒その他アルコール、オードブル、お菓子、お土産が振る舞われ、芸能人、著名人に会うこともできます。

 長年行われてきた行事ですが、一万人前後だった参加者は、安倍内閣のもとでふえ続け、ことしは一万八千二百人。予算の三倍の支出もされております。

 そして、調べによると、安倍総理の地元後援会の関係者が数百人規模で招待されているということです。また、首相動静によれば、この三年間、桜を見る会の前日、ホテルニューオータニなどで安倍晋三後援会・桜を見る会前夜祭に総理御夫妻も出席し、また、ある参加者によれば、ことしの前夜祭の参加数は八百五十人、翌朝、貸切りバス十七台で新宿御苑に移動。開門していない朝八時前に特別に入れてもらい、総理は後援会関係者たちと記念撮影をしたとのことです。

 違法性も疑われかねない点は、一、その数百人の安倍後援会の方々がもし招待される理由が不十分なのであれば、公職選挙法違反のおそれがあること。しかも、メロンによる買収疑惑で辞任した大臣もいらっしゃいますが、メロンは自分のお金ですが、今回は公金です。

 二、前夜祭も、有名なホテルにもかかわらず、参加費が五千円であったとの証言がありますし、山口県からのツアー全体も含め、差額を補填していたら、それも公選法違反のおそれとなること。

 三、全国の功労、功績のある方をねぎらう会なのに、功労、功績のある方が総理の選挙区に密集しており、招待者の選定は、総理の事務所がリストを取りまとめたとしか思えないこと。これは、公金の目的外使用に当たるのではないでしょうか。

 前夜祭会場にも、送迎バスにも、安倍晋三後援会と表示があるにもかかわらず、収支報告書には不記載であること。これは、政治資金規正法に抵触するのではないでしょうか。

 疑惑を払拭するために、総理はしっかり説明をするべきです。

 まず、候補者選定の公平性が損なわれているのではないでしょうか。園遊会の招待名簿は三十年間保存で限定されているのに、桜を見る会については即破棄されているのはなぜでしょうか。官房長官、お答えください。

 また、数百人規模の後援会旅行に桜を見る会を利用することは、公費の私物化と言われても仕方ないと思いますが、いかがでしょうか。

 また、数百人の安倍総理後援会の参加者がどのような功労や功績があったと把握されていますでしょうか。

 さらに、選挙区の支援者を大勢招待し、無料で飲み食いさせることは、公職選挙法違反ではないでしょうか。一般的な見解で結構ですので、お答えください。

 では、法案の中身につきまして、具体的に質問させていただきます。

 まず、そもそも、会社とは何のためにあるのでしょうか。

 私は、就職した際、会社のステークホルダーとは、お客様と株主と従業員であると教えられました。伝統的な日本の企業ではこのようなことを新入社員に教えてきました。会社は、誰か一部の人だけのためにあるのではなく、公の器、公器である。会社が公器でなければ、社会は成り立たない。これが、日本人の共通の認識でありました。

 世界を見ると、特に八〇年代以降、金融資本主義が勃興し、それに合わせたコーポレートガバナンス改革が行われ、我が国も特に一九九〇年代以降、その影響はじわじわと押し寄せてまいりました。

 私の手元に、財務省の法人企業統計からとった数字があります。一九九七年を基準とすると、二〇一八年の時点で、企業の売上高、従業員給与、設備投資は、一倍前後で、残念ながら低迷をしています。しかし、一方で、配当金だけは六・二倍にも膨れ上がっています。

 この二十年間で、世界の経済、日本の経済は変質をしてしまいました。社会の公器であった会社は、バランスが崩れ、どんどん投資家、投機家のものになってしまっています。世界の富は、特にこの十年で極端に一部の人たちに偏重し、その偏在ぶりは誰もが認識するようになりました。アメリカでも、ウォールストリートへの不信が巻き起こり、トランプ現象のきっかけとなりました。そして、イギリスでもブレグジット論争が。フランスでも黄色いベスト運動が。金融資本主義、従来型のグローバリズムは、今、岐路を迎えています。

 世界各国が次のあり方を模索している中、我が国は、何年おくれて、この時代に合わなくなってきた制度を取り入れようとしているのでしょうか。政権は、時代認識を間違えています。

 まず、社外取締役についてです。

 この法案で、社外取締役の義務化が規定されています。この数年で社外取締役の導入比率は急上昇し、既に一部上場企業においては九九・九%が社外取締役を置いています。その社外取締役設置を法律で義務づける必要はあるのでしょうか。

 そもそも、九九・九%の企業が社外取締役を置いた結果、コーポレートガバナンスは適正になったのでしょうか。

 不正会計で揺れた東芝は、社外取締役を複数置き、コーポレートガバナンスの優等生と評価されていた企業でした。関西電力は、社外取締役だけでなく、監査役会も設置していても、今回の問題が起きています。

 そして、何のために働く社外取締役なのかわからない方が各企業にふえてまいりました。

 例えば、簡易保険の問題で揺れる日本郵政。ある社外取締役の職歴を追ってみますと、一九九二年に米国通商代表部の日本部長になり、その後、アメリカンファミリー生命保険の日本における役職を歴任した現在のアフラック生命株式会社代表取締役会長が、日本郵政の社外取締役を務めています。日本の市場開放を第一線で求めてきた責任者が、公の役割を果たしている日本郵政の社外取締役についている。これは何のためのコーポレートガバナンス改革なんでしょうか。日本を売り渡す政策もいいかげんにしてもらいたい。改革は、真に国民のためにやるべきです。

 社外取締役が、投資家、投機家の立場に立ち過ぎ、会社の健全な成長を阻害しているという指摘は海外でも散見され、懸念が出始めています。義務化の前に、社外取締役制度自体を検証するべきときが今やってきているのではないでしょうか。

 欧米でも、ベンチャー企業が活躍しにくい環境になってきたと言われています。ベンチャーに中長期的な観点から投資をするよりも、既に成功していて成長が目に見えている企業を買った方が短期で成果が出ていい。安易なMアンドAが中長期的な投資を阻害し、イノベーションや適正な競争を阻害しているという議論も起こっています。実際に、GAFAと呼ばれるデジタル企業がライバルになり得る会社を次々と買収していることへの議論も始まっています。

 その中で、今回の改正では、MアンドAにおける株式交付制度を導入し、株主価値の大きい企業がMアンドAをやりやすくする法改正が行われます。経済の中長期的な成長を担う産業がなかなか生まれないことが我が国の問題となっている中で、この株式交付制度の創設は果たして適正なんでしょうか。

 株主提案権の行使を制限するための措置も提起されています。

 株主総会にて、理解に苦しむ提案が多数出される事例が見られることは確かです。しかし、株主提案を受ける上場会社は年間数十社にすぎません。一部の事例であるにもかかわらず、今回、不当な目的等による株主提案を拒絶することができる基準に、経営者を困惑させるという文言が入るなど、基準が極めて曖昧です。経営者の都合や現状維持を望む大株主の都合がこれでは通ってしまう。これは、コーポレートガバナンス弱体化政策ではないでしょうか。

 提案数の制限ならわかります。しかし、提案の中身を提案される側が判断し、その提案を拒否することができるようにすることが、真っ当な改革なんでしょうか。

 また、今回の法改正で、会社の役員等の責任を追及する訴えが提起された場合等に、株式会社が費用や賠償金を補償する規定を置くことができるようになります。これでは、何のために役員がいるのかわからなくなります。責任があるから高いお給料をもらうのではないですか。この改正は、経営陣のモラルや責任感の低下を誘引するのではないでしょうか。

 また、今回の改正で議題になっていない部分も、手当てが必要な問題があります。

 近年、自社株買いの急増が海外でも問題になり、我が国でもふえ始めています。会社の内部留保を自社の株を買うことにつぎ込む、それにより株価は上がる。配当金とは別の形での既存株主への還元策です。

 これは、自社の株を持っている役員にもノーリスクでリターンが多大にある。従業員の働いた成果である利益をこのような株主還元に使ってしまうことにブレーキがかからない。この問題に手当てをしなくていいのでしょうか。

 また、今の会社法は、株主や役員の利益を向上させるインセンティブは担保されていますが、従業員のお給料を上げるインセンティブがないという問題点もあります。海外ではこの議論が始まっています。この大きな問題に政府は対処しなくていいのでしょうか。これこそ喫緊の課題なのではないでしょうか。

 このように、投資家、投機家の力の拡大に偏り過ぎている一昔前の改革案ばかり。そして、今の重要な問題についてはしっかり議論を進めていない今の政府の現状。これでは、この国はよくなりません。このままでいいんでしょうか。このままでは、日本の富はどんどん海外に流出するのではないでしょうか。これにしっかりと手当てを当てるべきです。

 二〇二四年に紙幣が刷新されることになりました。最も高額である一万円札の図柄は、渋沢栄一となります。日本資本主義の父であり、日本の多くの企業の設立と育成にかかわりました。経済活動とともに、道徳や社会のあるべき姿を考え、行動することを大切にしてきたその渋沢の精神、この精神が我が国の経済基盤をつくったことを我々は今忘れてはなりません。

 世界の今の金融資本主義の潮流を日本が率先して変えていく、世界の正しいあり方に日本が率先して答えを出していく、この必要性を強調し、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣森まさこ君登壇〕

国務大臣(森まさこ君) 落合貴之議員にお答え申し上げます。

 まず、社外取締役の設置を法律で義務づける必要性についてお尋ねがありました。

 上場会社等については、株主による経営の監督が期待しがたく、業務執行者から独立して経営を監督する社外取締役が果たすべき役割が大きいものと考えられます。

 また、上場会社については、資本市場の信頼性を高める観点から、社外取締役による監督が法律により保証されているとメッセージを発信することも大きな意義があるものと考えております。

 そこで、上場会社等については、社外取締役の設置を法律で義務づけることとしております。

 次に、不当な目的等による株主提案権の制限についてお尋ねがありました。

 御指摘の専ら人を困惑させる目的という要件は、裁判例等を踏まえ、現在でも株主提案権の行使が権利の濫用に該当する典型的な場合を明文化したものであり、新たに株主提案権の行使を制限するものではありません。

 株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置は、株主総会において審議の時間等が濫用的な提案に割かれることを防ぎ、充実した審議の実現に資するものであり、株主にとっても意義のあるものと考えております。

 次に、補償契約に関する規定を新設することについてお尋ねがありました。

 会社補償には、役員等として優秀な人材を確保するとともに、役員等が第三者に生じた損害を賠償する責任を負うことを過度に恐れることによりその職務の執行が萎縮することがないように、役員等に対して適切なインセンティブを付与するという意義があります。

 他方で、会社補償が認められる範囲によっては、役員等の職務の執行の適正性が損なわれるおそれがあります。

 そのため、本改正法案については、御指摘のような懸念が生じないよう、会社補償をすることができる場合を合理的な範囲に限定することとともに、会社補償をするために必要な手続を明確にするなどの手当てを講じております。

 次に、株式会社が上げた利益の分配のあり方についてお尋ねがありました。

 株式会社は、対外的な経済活動によって利益を得、その利益を構成員である株主に分配することを目的とすると理解されております。他方で、株式会社の役員には、会社を持続的に成長させ、中長期的にその企業価値を向上させることも期待されております。会社が持続的に成長し、中長期的に企業価値が向上することになれば、それに伴い、給料の増加など、従業員の待遇が向上することにつながるものと考えております。

 また、剰余金の配当や自己株式の取得等、会社が上げた利益をどのように分配するかについては、基本的には、会社法に定める規律の範囲内で、それぞれの会社において、会社の持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上に資するように、事業環境や事業計画等を踏まえて判断されるべきものであると考えております。

 最後に、従業員の給料を上げるインセンティブについてお尋ねがありました。

 今国会に提出した本改正法案は、コーポレートガバナンスの向上を図るために基盤を整備するものとして意義があると考えております。

 従業員の待遇の向上等に資する施策については、各方面における議論の状況を注視しつつ、関係団体や関係省庁と連携しながら、今後も必要な検討をしてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 落合議員からの御質問にお答えします。

 経済の中長期的な成長を担う産業の創出と株式交付制度の関係についてお尋ねがありました。

 第四次産業革命による急速な変化が進む中、MアンドAにより新たな経営資源を機動的に取り込むことは、企業の成長にとって有効な手段です。

 今般の会社法改正案に盛り込まれた株式交付制度は、現在の資産や利益額が小さくとも将来性が評価されるベンチャー企業に、手元資金が少なくとも、MアンドAを通じて成長する機会を提供するものと考えております。

 このように、本制度は我が国経済の中長期的な成長に資するものであると考えます。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 桜を見る会について、三点の質問がありました。

 一点目は、選定及び招待者名簿についてであります。

 桜を見る会については、「桜を見る会」開催要領に基づき、各省庁からの意見等を踏まえ、各界において功績、功労のあった方々などを幅広く招待をしており、招待者については、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめているものと承知しております。

 行政文書の保存期間については、法令の制定等、全行政機関で共通した保存期間を設定すべきもの以外は、公文書管理法等に基づき各行政機関が定めることとされており、桜を見る会の招待者名簿については、会の終了をもって使用目的を終えることに加え、これを全て保存すれば個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理する必要が生じることもあり、内閣府においては、従前から、保存期間一年未満文書として、終了後遅滞なく廃棄する取扱いと承知をしています。

 また、予算の使い方についてお尋ねがありました。

 桜を見る会は、昭和二十七年以来、内閣総理大臣が、各省庁からの意見等を踏まえ、各界において功績、功労のあった方などを幅広く招待をし、日ごろの御労苦を慰労するとともに、親しく懇談される内閣の公的行事として開催をしているものであります。

 三点目として、基準についてお尋ねがありました。

 先ほども御答弁したとおり、桜を見る会については、「桜を見る会」開催要領に基づき、各省庁からの意見等を踏まえ、各界において功績、功労のあった方々などを幅広く招待しており、招待者については、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめているものと承知をしています。(拍手)

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 落合議員から、私には公職選挙法についてお尋ねがございました。

 一般論として申し上げますと、公職選挙法では、寄附を行う主体別に異なる禁止規定が置かれていますが、国又は地方公共団体は寄附禁止の主体には含まれないものと解されております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 藤野保史君。

    〔藤野保史君登壇〕

藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、会社法の一部を改正する法律案について質問します。(拍手)

 まず冒頭、安倍総理のもとで、総理主催の桜を見る会の支出は予算の三倍に膨れ上がりました。この会には総理の地元から後援会員約八百五十人が参加しており、後援会旅行の目玉行事と位置づけられています。税金を使った公的行事をみずからの後援会のために私物化したという重大な疑惑であり、総理の責任が問われています。野党結束して、徹底的に真相を究明するものです。

 次に、経産大臣に質問します。

 関電原発マネー還流問題は、決して一企業の金銭不祥事ではありません。原発に反対する声を抑え込むために巨額の資金が必要とされ、原発の立地、増設、原発事故、プルサーマル、再稼働など節目ごとに癒着の構造がつくられてきたのです。大臣には、この問題が国策として進められてきた原発政策の根幹にかかわるものだという認識がありますか。

 私は、予算委員会で、高浜原発が立地する高浜町に経産省から二〇〇八年以降今日まで四人の出向者が送られ、プルサーマル発電を主導する副町長や政策推進室長などについてきたことを明らかにしました。経産省が人も知恵も出し、高浜町と一体でプルサーマルを推進してきたことは重大です。

 しかし、これら出向者と元助役がどのような関係だったのか、全く明らかになっていません。関電の第三者委員会任せでなく、政府として真相を明らかにする責任があるのではありませんか。明確な答弁を求めます。

 次に、法務大臣に質問します。

 本法案は、経営者を優遇するさまざまな制度を導入しようとしています。

 例えば、ストックオプションなど業績連動型報酬の要件緩和です。しかし、業績連動型報酬は経営者のモラルハザードを引き起こしてきました。見た目の業績を上げるために、大規模なリストラが強行され、働く人が犠牲になっています。

 二〇一九年、一億円以上の報酬を得た役員五百六十七人が手にした報酬は千百七十七億円に達し、過去最高となりました。経営者と労働者の賃金格差は年々拡大しています。今必要なことは、これ以上経営者の報酬を引き上げることではなく、従業員の給与を引き上げることではありませんか。

 本法案は、経営者が経営に失敗して会社に多額の損害を与えた場合、本来経営者が負担すべき訴訟費用や賠償金を会社に負担させる、会社補償制度を新設しようとしています。一体どういう事案を想定しているのですか。関西電力の役員が訴訟を提起された場合、その訴訟費用や賠償金まで会社に負担させるというのでしょうか。

 他方、本法案は、株主が提出できる提案の数を制限しようとしています。

 本法案を審議した法制審議会の目的の一つは、企業と株主の対話の促進です。株主提案を制限することが、なぜ対話の促進になるのですか。

 法務省は、提案権が濫用される事案があるなどと言いますが、ごくごくまれな例であり、立法事実と言えるような実態はありません。強引な論理で株主提案権を制限する真の狙いは、経営者にとって不都合な役員報酬の個別開示や原発ゼロなどの提案を株主総会から排除しよう、そういう点にあるのではありませんか。

 最後に、安倍政権は、この間、企業が世界で一番活動しやすい国を目指してきました。今国会の所信表明演説でも、安倍総理は、「政権発足後、強力にコーポレートガバナンス改革を進めた」と述べています。しかし、この改革と軌を一にして、関電、東芝、日産など、日本を代表する企業で重大な不祥事が相次いでいます。

 政府が進めてきたコーポレートガバナンス改革の結果、目先の利益が優先され、働く人を含めた企業全体の健全な発展が脅かされる事態が広がっているのではないか、改革全体について真剣な検証が必要ではありませんか。

 以上、明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣森まさこ君登壇〕

国務大臣(森まさこ君) 藤野保史議員にお答え申し上げます。

 まず、従業員の給与の引上げの必要性についてお尋ねがありました。

 本改正法案は、コーポレートガバナンスの向上を図るための基盤を整備するものとして意義があると考えております。

 従業員の待遇の向上に資する施策に関しては、各方面における議論の状況を注視しつつ、関係団体や関係省庁と連携しながら、今後も必要な検討をしてまいりたいと考えております。

 次に、会社補償が利用されることが想定される事案についてお尋ねがありました。

 まず、個別の事案に関する事柄についてはお答えを差し控えさせていただきます。

 その上で、一般論として申し上げますと、役員等がその職務の執行に関して損害賠償請求を受け、これに対処するために弁護士費用を支出したような事案や、重大な過失や会社から求償される事情がないのに第三者に生じた損害を賠償する責任を負ったような事案において、会社補償の制度が利用されることを想定しております。

 次に、株主提案権の制限についてお尋ねがありました。

 株主提案権が濫用的に行使された場合でも、これを制限することができないことになりますと、株主総会における審議の時間等が濫用的な提案に割かれ、他の議案についての検討の時間や他の株主が質問する時間が奪われるなど、株主総会の意思決定機関としての機能が害されるおそれがあります。

 このため、本改正法案では、株主提案権の濫用的な行使を制限することができることとしております。

 これにより、濫用的でない他の議案についての検討の時間や他の株主が質問する時間を確保することができることとなるため、企業と株主の対話の促進に役立つものと考えております。

 次に、株主提案権の濫用的な行使を制限する真の狙いについてお尋ねがありました。

 近年、一人の株主により膨大な数の議案が提案されたり、株式会社を困惑させる目的で議案が提案されるなど、株主提案権が濫用的に行使される事例が現に生じております。

 このように株主提案権が濫用的に行使された場合でも、これを制限することができないことになりますと、先ほども申し上げたとおり、株主総会の意思決定機関としての機能が害されるおそれがあります。

 そこで、本改正法案では、株主提案権の濫用的な行使を制限することとしたものであり、御指摘のような経営者にとって不都合な提案を株主総会から排除しようとする不当な狙いはございません。

 最後に、コーポレートガバナンス改革についてお尋ねがありました。

 本改正法案は、株主総会の運営や取締役の職務の執行の一層の適正化等につながり、企業全体の健全な発展に資するものであると考えております。

 もっとも、本改正法案の内容によってコーポレートガバナンスの向上に向けた取組が終わるわけではございません。本改正法案の施行後においても、新たな制度が実質的に機能しているかどうかを検証することはもとより、コーポレートガバナンスの向上に向けてさらなる検討を続けていくことが必要であると考えております。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 藤野議員からの御質問にお答えします。

 関西電力の事案と原子力政策との関係についてお尋ねがありました。

 今回の事案は、電気の供給という公益事業を担う会社の役職員が不透明な形で多額の金品を受領していたという関西電力の問題と認識をしております。

 これにより国民からの不信を招いたことは、大変大きな問題と考えます。

 今後、第三者委員会による徹底的な事実関係の調査と原因究明を行うことが重要であり、現時点で、御指摘のような認識は有しておりません。

 高浜町への経産省出向者と元助役との関係についてお尋ねがありました。

 高浜町への出向経験者四名に確認したところ、元助役とのやりとりをするような接点はなかったことを確認しております。

 また、平成二十年、二〇〇八年でありますが、十月に経産省から出向者を派遣した時点で、既に福井県と高浜町はプルサーマルの実施についての判断をしており、出向者の派遣が県、町のこうした判断に影響を与えたことはありません。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 串田誠一君。

    〔串田誠一君登壇〕

串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。

 私は、党を代表して、会社法の一部を改正する法律案について、森法務大臣に質問をいたします。(拍手)

 まず、株主総会資料の電子提供制度の創設について質問します。

 現行法上は、インターネット等を用いて株主総会資料を株主に提供するためには個別の承諾が必要とされており、株主の多い上場会社等は大変困難です。個別の承諾を省略する改正は時代の要請に合ったものと考えます。

 一方、株主総会資料は投資の判断材料にもなることから、一般の閲覧も可能にした方がよいのではないかとも考えられます。むしろ、アドレス等を書面で通知するという手間を除き、会社のホームページから閲覧できるような改正も考えられたのではないかと思いますが、そうしなかった理由を大臣に求めます。

 次に、株主提案の濫用的な行使の制限について質問します。

 株主が提案できる議案の数の上限を十までにした上で、さらに、不当な目的等による株主提案を拒絶することができる規定を新たに設けることになりました。

 不当な目的等による拒絶の規定だけで対応できるのではないかと思いますが、十という数による制限をあわせて行った理由を大臣に求めます。

 また、不当な目的として拒絶できるという判断はどの機関が行うのでしょうか。その判断に対する客観的な検証手続が用意されなければ、取締役にぐあいの悪い提案を拒絶されるのではないかという懸念があります。大臣の説明を求めます。

 次に、取締役の報酬について質問します。

 取締役の職務に対するインセンティブや透明性から、総額ではなく個人別の報酬の決定方針を定めることは賛成です。

 そうであるなら、支給総額という意味合いからしても、ここの報酬には退職金も含まれるべきではないかと考えますが、これに対する大臣の説明を求めます。

 次に、取締役の第三者に対する損害賠償責任を問われた場合の会社補償に関して質問します。

 現行会社法は、取締役が第三者に対し責任を負う場合は悪意又は重大な過失があるときとされています。このような場合にまで会社が保険料などを負担する必要はあるのでしょうか。大臣の説明を求めます。

 次に、社外取締役に関して質問します。

 コーポレートガバナンスの観点から社外取締役を義務づけることは世界的にも常識化しつつあることから肯定すべきですが、日本は株式の持ち合いが多く認められることから、社外取締役といっても公平に職務執行ができるのか疑念が生じます。どうやって会社に対して毅然とした態度で臨む社外取締役を得ることができるのか、大臣の説明を求めます。

 また、今般の改正により、社外取締役にも一部業務を委託することができるとされていますが、業務委託を認めながら社外と言えるのか、公平性を両立することが果たしてできるのか、大臣の説明を求めます。

 日本維新の会は、我が国の経済成長の主要な担い手である上場企業等のガバナンス強化につきまして、社会の変化に即応し、現実的かつ合理的に実現させていくことを主張し、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣森まさこ君登壇〕

国務大臣(森まさこ君) 串田誠一議員にお答え申し上げます。

 まず、株主総会資料の電子提供制度についてお尋ねがありました。

 株主総会資料の電子提供制度においては、会社のホームページに掲載した株主総会資料を株主以外の者も閲覧が可能な状態とすることもできるものとしております。

 なお、現在も上場会社の株主総会資料は、証券取引所のウエブサイトに掲載され、株主以外の者にも閲覧可能な状態とされているほか、任意に自社のホームページに株主総会資料を掲載する取組もされていると認識しております。

 他方で、株主総会資料がウエブサイトに掲載された事実に個々の株主が気づかない場合等もあり得ることから、株主に対してウエブサイトのアドレス等を書面で通知しなければならないものとしております。

 次に、株主が提案することができる議案の数の制限を設ける理由についてお尋ねがありました。

 一般に、株主が同一の株主総会に十を超える議案を提案する必要がある場合は、通常は想定しがたいものと考えられます。

 また、仮に、不当な目的等による提案でなくても、一人の株主により膨大な数の議案が提案されると、株主総会における審議の時間等がそのような提案に割かれ、他の議案についての検討の時間や他の株主が質問する時間が奪われるなど、株主総会の意思決定機関としての機能が害されたり、膨大な数の議案を検討する株式会社の負担が増大するなどの弊害が生じ得ます。

 そこで、十を超えて提案された議案については、株主総会において拒絶することができるものとしております。

 次に、不当な目的等による株主提案であることを判断するための手続についてお尋ねがありました。

 株主が提案した議案が不当な目的等によるものとして拒絶事由に該当するかどうかについては、第一次的には株式会社が判断することとなります。

 もっとも、株主は株式会社の判断に不服がある場合には裁判所に仮処分の申立て等をすることができるため、株主が提案した議案が拒絶事由に該当するかどうかについては、最終的には裁判所が判断することになります。

 次に、取締役の個人別の報酬等の決定方針についてお尋ねがありました。

 取締役が退任する際に在職中の職務執行の対価として金銭等が支給される場合には、それが退職慰労金等の名目であっても、御指摘の報酬等に該当すると考えられます。

 次に、取締役の責任を填補する保険の保険料を会社が負担することなどについてお尋ねがありました。

 会社役員賠償責任保険には、役員等として優秀な人材を確保するとともに、役員等の職務執行が萎縮することを防ぐという意義が認められ、会社がこのような保険に加入した場合には、個別の事案において取締役が責任を負うか否かにかかわらず、保険料を負担することになります。

 もっとも、一般的な会社役員賠償責任保険においては、少なくとも取締役が悪意の場合等については、通常保険金が支払われないことにされているものと認識しております。

 なお、会社補償については、役員等が悪意又は重大な過失の場合には賠償金等を補償することはできないこととされております。

 次に、適格性を備えた社外取締役の候補者の確保についてお尋ねがありました。

 社外取締役による監督の実効性を高めるためには、期待される役割を適切に遂行することができる見識等を備えた者を社外取締役に選任することなどが重要であると考えております。

 そのような社外取締役候補者については、関係団体において人材プールの充実等の取組が進められており、法務省としても、関係省庁と連携して必要な協力をしていきたいと考えております。

 最後に、業務執行の社外取締役への委託についてお尋ねがありました。

 業務執行の社外取締役への委託は、株式会社と取締役との利益が相反する状況にあるとき等に限り認められます。

 また、委託は、個別の事案ごとにその都度取締役会の決議によってする必要があり、一般的に業務を執行することを委託することはできません。

 さらに、社外取締役は、委託された業務であっても、その業務を業務執行取締役の指揮命令によって行うことはできないこととしております。

 このように、業務執行の社外取締役への委託が認められる場合等を限定することにより、御指摘のような懸念が生じないようにしております。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣    高市 早苗君

       法務大臣    森 まさこ君

       厚生労働大臣  加藤 勝信君

       経済産業大臣  梶山 弘志君

       国務大臣    菅  義偉君

 出席副大臣

       法務副大臣   義家 弘介君


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