衆議院

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第6号 令和2年2月13日(木曜日)

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令和二年二月十三日(木曜日)

    ―――――――――――――

  令和二年二月十三日

    午後一時 本会議

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 元自由民主党総裁前議員中曽根康弘君逝去につき弔詞を贈呈することとし、弔詞は議長に一任するの件(議長発議)

 国家公務員倫理審査会会長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 情報公開・個人情報保護審査会委員任命につき同意を求めるの件

 公安審査委員会委員任命につき同意を求めるの件

 日本銀行政策委員会審議委員任命につき同意を求めるの件

 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件

 中央社会保険医療協議会公益委員任命につき同意を求めるの件

 社会保険審査会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件

 公害健康被害補償不服審査会委員任命につき同意を求めるの件

 高市総務大臣の令和二年度地方財政計画についての発言並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに質疑


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    午後一時三十二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 弔詞贈呈の件

議長(大島理森君) お諮りいたします。

 元自由民主党総裁前議員中曽根康弘君は、昨年十一月二十九日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 つきましては、中曽根康弘君に対し、弔詞を贈呈いたしたいと存じます。

 弔詞は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。

 弔詞を朗読いたします。

    〔総員起立〕

 元自由民主党総裁前衆議院議員従一位大勲位中曽根康弘君は 本院議員として在職五十六年九月に及び この間常に憲政のために尽力し 特に院議をもってその積年の功労を重ねて表彰され しばしば国務大臣の任につき 三たび内閣総理大臣の重責をにない およそ五年の長きにわたり国政を統理されました

 君は 終始行政の改革と財政の再建に心魂を傾け また世界の平和と繁栄に力をいたし 国民生活の安定とわが国の国際的地位の向上に貢献されました その功績はまことに偉大であります

 衆議院は 君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

 この弔詞の贈呈方は議長において取り計らいます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 御報告することがあります。

 永年在職議員として表彰された元議員村岡兼造君は、昨年十二月二十五日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 村岡兼造君に対する弔詞は、議長において去る九日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力され 特に院議をもってその功労を表彰され さきに建設委員長の要職につき またしばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等村岡兼造君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

     ――――◇―――――

 国家公務員倫理審査会会長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 情報公開・個人情報保護審査会委員任命につき同意を求めるの件

 公安審査委員会委員任命につき同意を求めるの件

 日本銀行政策委員会審議委員任命につき同意を求めるの件

 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件

 中央社会保険医療協議会公益委員任命につき同意を求めるの件

 社会保険審査会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件

 公害健康被害補償不服審査会委員任命につき同意を求めるの件

議長(大島理森君) お諮りいたします。

 内閣から、

 国家公務員倫理審査会会長及び同委員

 情報公開・個人情報保護審査会委員

 公安審査委員会委員

 日本銀行政策委員会審議委員

 労働保険審査会委員

 中央社会保険医療協議会公益委員

 社会保険審査会委員長及び同委員

 運輸審議会委員

及び

 公害健康被害補償不服審査会委員に

次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申出があります。

 内閣からの申出中、

 まず、

 国家公務員倫理審査会会長に秋吉淳一郎君を、

 情報公開・個人情報保護審査会委員に藤谷俊之君、泉本小夜子君及び磯部哲君を、

 労働保険審査会委員に小畑史子君を、

 中央社会保険医療協議会公益委員に永瀬伸子君を、

 社会保険審査会委員に宇野敦子君を、

 運輸審議会委員に二村真理子君を、

 公害健康被害補償不服審査会委員に石井彰君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 国家公務員倫理審査会委員に潜道文子君及び上野幹夫君を、

 公安審査委員会委員に和田洋君を、

 中央社会保険医療協議会公益委員に小塩隆士君を、

 社会保険審査会委員長に瀧澤泉君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 日本銀行政策委員会審議委員に安達誠司君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。

     ――――◇―――――

 国務大臣の発言(令和二年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、令和二年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣高市早苗君。

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 令和二年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 まず、令和二年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状などを踏まえ、人づくり革命の実現や地方創生の推進、地域社会の維持、再生、防災・減災対策などに対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。

 あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画を上回る額を確保することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分などを措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。

 以上の方針の下に、令和二年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ一兆千四百六十七億円増の九十兆七千三百九十七億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が、前年度に比べ二千三億円減の八千九百八十四億円などとなっております。

 次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 現下の経済社会情勢などを踏まえ、所有者不明土地などに係る固定資産税の課税上の課題に対応するため、登記名義人などが死亡している場合における現所有者に賦課徴収に関し必要な事項を申告させることができる制度の創設及び固定資産の使用者を所有者とみなして課税することができる制度の拡大を行うこととしております。

 また、個人住民税における未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦控除などの見直し、電気供給業のうち発電事業等及び小売電気事業等に係る法人事業税の課税方式の見直しを行うほか、税負担軽減措置等の整理合理化などを行うこととしております。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 令和二年度分の通常収支に係る地方交付税の総額について、十六兆五千八百八十二億円を確保するとともに、当分の間の措置として、地域社会再生事業費を設けるほか、普通交付税の算定に用いる単位費用の改正を行うこととしております。

 あわせて、令和二年度分の震災復興特別交付税について、新たに三千四百二十三億円を確保し、総額三千七百四十二億円とすることとしております。

 また、地方公共団体における河川のしゅんせつなどに要する経費に充てるため、地方債の特例を創設するとともに、公営競技納付金制度の延長を行うこととしております。

 以上が、令和二年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 国務大臣の発言(令和二年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。坂井学君。

    〔坂井学君登壇〕

坂井学君 自由民主党の坂井学です。

 私は、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表し、ただいま議題となりました令和二年度地方財政計画、地方交付税法等の一部を改正する法律案、地方税法等の一部を改正する法律案について、安倍総理及び高市総務大臣に質問をさせていただきます。(拍手)

 日本経済は、長期にわたる回復を持続させています。GDPは、名目、実質ともに過去最大規模に達しています。また、地域における雇用・所得環境も改善し、地域ごとの景況感のばらつきも小さくなってきており、好循環の前向きな動きが生まれ始めています。

 一方で、地方行財政は、対応すべき喫緊の課題を数多く抱えています。

 東京圏は、二十四年連続で転入超過となりました。東京一極集中の是正に向けて、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略のもと、地方創生に向けた取組を力強く推進していくことが必要です。

 また、少子高齢化が急速に進行する中、幼児教育、保育の無償化等の人づくり革命を始め、全世代型社会保障への転換も進めていかねばなりません。

 さらには、こうした取組を進める一方で、政府が掲げる二〇二五年度までのプライマリーバランスの黒字化、対GDP比債務残高の引下げといった目標の実現を求められています。

 そのためには、これまで以上に国、地方が一体となり、地方財政についても、安定的な財源確保とともに、財政健全化の進展が必須です。

 令和二年度の地方財政計画においては、前年度を上回る一般財源総額が確保されるとともに、臨時財政対策債も抑制されておりますが、今回の地方財政対策について、安倍総理の御所見を伺います。

 一昨年の平成三十年七月豪雨や昨年の令和元年台風第十九号を始め、近年、全国各地が大規模な台風や豪雨等に見舞われ、河川の氾濫等による大規模な被害が頻発しており、地方自治体における防災・減災対策の重要性はより一層増しています。

 特に、河川やダム等の日常的な維持管理として、堆積土砂の撤去といったしゅんせつを適切に実施していくことが求められています。また、平時からの防災・減災対策や大規模災害後の復旧復興事業に従事する技術職員も地方には不足しており、これらに対する国の積極的な支援が必要です。

 令和二年度の地方財政計画においては、新たに緊急浚渫推進事業費九百億円が計上されておりますが、その目的や財政措置の内容について、また、令和二年度から新たに技術職員の確保を支援する仕組みが創設されますが、その内容についても総務大臣に伺います。

 昨年創設された森林環境税・譲与税制度は、我が党の税制調査会などにおいて熱心な議論を重ね、特に山間部の地方にとっては長年の念願を果たす形で実現しました。今年度始まった譲与税を活用することで、これまで採算が合わないために手入れがおくれていた条件不利地域において、間伐を始めとする森林整備に着手することができ、林業の現場が活気づいたといったような評価の声が地方団体から既に上がってきています。

 今般の税制改正では、森林環境譲与税について、当初の予定より大幅に増額するとしております。地球温暖化対策の必要性が一層求められている今こそ、また、相次ぐ豪雨被害を受け、森林の有する保水力の向上を含めた国土強靱化が求められている今こそ、地方団体の財源をしっかりと確保して、管理の行き届かない森林の整備を更に進めていく必要があります。

 今回の地方税法等の改正における森林環境譲与税の増額の内容とその狙いについて、総務大臣に答弁をお願いいたします。

 次に、所有者不明土地等への対応について伺います。

 現在、所有者のわからない土地や家屋に対する固定資産税の課税に関して、幾つかの問題が顕在化してきています。

 具体的には、納税義務者が死亡した後、相続人が相続登記を行わないと、課税に必要となる所有者の情報を市町村が円滑に取得できない、あるいは、土地や家屋が実際に使われているにもかかわらず、調査を尽くしてもなお所有者がわからないために課税できないといった問題が課税現場である市町村から指摘されており、早急な対応が求められております。

 今回の地方税法の改正において、これらの所有者不明土地等に係る固定資産税の課税についてどのような対策を講じられたのか、その概要と趣旨について、総務大臣に伺います。

 最後に、時代の変化に迅速に対応しつつ、地方の活力を支援していく本法案を令和二年度予算案とあわせ早期に成立させるべきであると訴え、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 坂井学議員にお答えをいたします。

 令和二年度地方財政対策についてお尋ねがありました。

 今回の地方財政対策においては、地方の一般財源総額について前年度を〇・七兆円上回る六十三・四兆円を確保する中で、地方交付税総額を〇・四兆円増額するとともに、臨時財政対策債の発行額を〇・一兆円抑制し、地方の一般財源の質も改善しました。

 このように、国の財政も大変厳しい中にあって、地方が自由に使える財源をしっかりと確保できたものと考えております。

 今後とも、地方公共団体が地域の実情に応じた重要課題にしっかりと取り組んでいけるよう、地域経済の好循環を全国津々浦々で一層拡大することなどにより、地方税等のさらなる増収を図るとともに、めり張りをつけて歳出構造を見直していくことで、一般財源総額を安定的に確保しつつ、財政の健全化に取り組んでまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 坂井学議員からは、まず、緊急浚渫推進事業費の目的と財政措置の内容についてお尋ねがありました。

 令和元年台風第十九号など、自然災害による大規模な河川氾濫が相次ぐ中、維持管理のための河川などにおける堆積土砂の撤去や樹木の伐採が喫緊の課題となっています。

 このため、地方財政計画に新たに緊急浚渫推進事業費を九百億円計上するとともに、その地方負担額に地方債を特例的に充当できるよう、地方財政法の改正案を今国会に提出しています。

 具体的には、事業期間を令和二年度から令和六年度までの五年間とし、地方債の元利償還金の七〇%に交付税措置を講ずることとしております。

 次に、技術職員の確保についてお尋ねがありました。

 近年、多発する自然災害への対応や、公共施設の老朽化を踏まえた適正管理が求められる中で、小規模市町村を中心に土木職などの技術職員の不足が深刻化しています。

 また、大規模災害時において、技術職員の中長期派遣を求めるお声が強いものの、恒常的に不足している状況です。

 このため、都道府県などが技術職員を増員し、平時には技術職員不足の市町村を支援するとともに、大規模災害時の復旧復興に必要な中長期派遣要員を確保する場合には、増員された職員人件費に対して地方財政措置を講ずることとしています。

 次に、森林環境譲与税についてお尋ねがありました。

 今般の税制改正では、災害防止、国土保全機能強化などの観点から、森林整備を一層促進するため、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を令和二年度から令和六年度までの五年間で二千三百億円活用し、譲与額を前倒しで増額することにしています。

 これを受け、地方団体が喫緊の課題である森林の整備をより一層推進することで、森林の有する公益的機能の維持増進が図られ、地球温暖化防止や災害防止などにつながることを期待しています。

 最後に、所有者不明土地に関する固定資産税における対策についてお尋ねがありました。

 所有者不明土地などへの対応については、現在、政府全体として、発生の予防や適正な管理といった観点から、さまざまな取組を推進しております。

 固定資産税の課税に関しても、御指摘のとおり、納税義務者を特定するための調査に多大な時間と労力を要するといった課題や、使用者がいるにもかかわらず所有者が特定できず課税できないといった課題があると認識しております。

 こうした課題に対処するため、登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がなされていない場合、条例で定めるところにより、相続人などの現所有者から氏名などを申告させることができる制度を創設することとしています。

 また、調査を尽くしても所有者が一人も明らかとならない資産について、使用者がいる場合には、使用者を所有者とみなして固定資産税を課税できる制度を創設することとしています。

 これらの制度により、迅速、適正な課税の実現と課税の公平性の確保に努めてまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 高井崇志君。

    〔高井崇志君登壇〕

高井崇志君 岡山から参りました高井崇志です。

 私は、共同会派、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムを代表して、ただいま議題となりました、地方税法等一部改正案、地方交付税法等一部改正案について、安倍総理に質問いたします。(拍手)

 冒頭、予算委員会においての総理の許しがたい暴言について指弾いたします。

 まずは、昨日、我が党の辻元清美議員に対する、意味のない質問発言です。総理席から不規則発言をするだけでもゆゆしきことですが、事は質問に対する辛辣な批判です。これが立法府に対する質問権の侵害であることに気づかないとしたら、国会の基礎知識すらないと言わざるを得ません。

 同日、黒岩宇洋議員に対しても、非生産的な質問だとの質問権への介入を行いました。これが予算案の審議と成立を立法府に要請している行政府の長の姿勢でしょうか。

 また、黒岩議員が過日の発言に対し真摯に謝罪したのに比べ、総理は、明らかな事実誤認に基づくうそつき発言にすら謝罪を拒みました。これは、一国の総理大臣として極めて品位を欠く態度であり、到底容認できるものではありません。

 本日は、総理の予算委員会の不規則発言をめぐって、与野党の国対委員長間で断続的な協議が続いておりました。来週再開される予算委員会で、冒頭、総理はこれらの発言に対して謝罪することになったと聞いています。今後、二度とこうしたことが起こらないように強く求めます。

 次に、新型コロナウイルスについてお聞きいたします。

 この問題は、政争の具にすべきではなく、我々も全面的に協力することは言うまでもありません。ただ、ダイヤモンド・プリンセス号への対応を始め、検査を受けたい人が受けられない事態に、国民からは相当な不満の声が上がっているのも事実です。こうした国民の声を総理はどのように受けとめていますか。

 また、今後、危機管理対策や体制をどのように改善していくお考えですか。

 また、一部与党幹部から、緊急事態条項を念頭に、憲法改正の大きな実験台と考えた方がいい、議論のきっかけにすべきだ等の発言が出ていますが、国民の不満は、法制度の不備や、ましてや憲法上の不備などではなく、法制度の執行や運用の問題です。

 総理まで、よもや憲法論議に結びつける考えはないと思いますが、見解を伺います。

 桜を見る会についての総理答弁に関し、質問いたします。

 総理は昨日の予算委員会で、前夜祭において、総理自身が、主催者である後援会からゲストとして呼ばれたと答弁されました。また、従来から、前夜祭の収支は後援会と切り離され、契約主体であるホテルと参加者個人個人で完結しているとも答弁されています。

 ホテルにとっては立食パーティーに参加することへの対価である会費を免除するということを、なぜ後援会が決めることができるのでしょうか。これは、後援会が契約主体との証左ではないでしょうか。

 キャンセルなどのリスク負担について、安倍事務所とホテル側で特段の取決めがないとも答弁されました。そうなりますと、規約にのっとって、リスク負担は予約申込者である安倍事務所となります。このことも、安倍事務所ないしは安倍後援会が契約の主体との証左でしょう。答弁を求めます。

 さらには、ホテルは、契約主体であるはずの参加者個人個人からの会費の受領についてチェックしていないとの驚くべき答弁をされました。これでは、誰が参加者なのか、そして誰が会費を払ったかが全くわからないということになります。これで参加者個人個人が契約の主体というのは余りにもむちゃな理屈ではありませんか。

 北村公文書担当大臣はその任にあらず、即刻おやめになるべきだと思いますが、その大臣をかばうために更に珍答弁を繰り返す官僚の皆さんがふびんでなりません。

 今、霞が関の優秀な若手官僚が続々とやめていると聞きます。私も、十五年前、政治の横暴に愛想を尽かし、官僚をやめましたが、そのときと比べて、更に一層事態は悪化しています。こうした事態を招いた責任をどう考えていますか。

 また、北村大臣は、公文書管理の基本的な質問に答えられず、たびたび予算委員会が中断している現状に鑑み、みずからおやめになるべきと考えますが、北村大臣、いかがでしょうか。

 また、総理の任命責任もお答えください。

 安倍政権は、これまで、内閣人事局制度を悪用し、数々の官僚に対する恣意的人事を行ってきましたが、黒川東京高検検事長の勤務延長問題は、政治家の汚職を摘発する捜査機関トップへの人事介入だけに、より深刻です。

 内閣法制局長官や宮内庁長官、最高裁判所判事等の政治からの独立性が求められ、歴代政権が中立を守ってきた人事に対する不当な介入が、法治国家をゆがめるとともに、官僚の萎縮やそんたくを生み出していることは明らかです。

 こうした恣意的な人事により、官僚のモラル破壊を引き起こしてきた責任をどのようにお考えですか。

 また、国家公務員法に定年制を導入した際の委員会質疑で、政府委員が明確に、検察官には適用されないと答弁しており、森法務大臣の答弁と明らかに矛盾します。この理の通らない人事は撤回すべきと考えますが、いかがですか。法務大臣が推挙したからというような従来の答弁ではなく、内閣と検察の関係性が疑われているゆゆしき事態であり、総理自身の判断を伺います。

 令和二年度地方財政計画には人口減少等特別対策事業費が計上されておりますが、昨年十一月に超党派の有志議員の提案により成立した議員立法、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律によって創設された制度を活用し、過疎地における若者の就労を進めるべきと考えますが、必要な予算の確保を含めて、具体的にどのように取り組むのか、総理の見解を伺います。

 次に、防災・減災対策について伺います。

 被災者生活再建支援法は、平成十九年の改正時に附帯決議で、四年後の見直しが付されています。ところが、平成二十四年に内閣府の検討会が中間整理を出していますが、そのまま、ほぼ八年間放置されたままです。この制度には、同じ災害でも被害の少ない地域の被災者に適用されない場合がある、半壊以下への支援がない、支援金が最大三百万円と少ない、補助率が低いなどの問題点があります。この制度ができてから二十年余りで総額四千八百八十三億円が被災者へ支給されていますが、この額は、東日本大震災の復興予算三十三兆円のわずか一・五%。会計検査院から指摘された不用額五千億円よりも少ない金額です。

 全国知事会は既に支給対象を半壊まで拡大することを提言しており、一刻も早く制度を見直すべきではありませんか。

 私の地元岡山県から政府に対して要望が出ていますが、住宅の応急修理制度は上限額が五十九万五千円と低く、範囲や方法も不明確です。給付、貸与される物資も、立法時からほぼ変わっていません。被災地の要望を踏まえ、より現状に即して改善するべきではありませんか。

 また、避難所の環境は、諸外国に比べて極めて劣悪で、自治体によって格差があります。災害後に内閣府から通知される特別基準は、被災現場や避難所にはほとんど伝わっておらず、周知徹底も重要です。

 一昨年の西日本豪雨災害のときも、首長の判断でボランティアや炊き出しを受け入れず、被災者が困窮する自治体もありました。災害救助や被災者支援は、居住する市町村で格差が生じないよう、自治体任せにするのではなく、国が主導すべきと考えますが、いかがですか。

 地方税法の改正では、未婚の一人親に対して、税制上の支援措置を行うこととされています。欧米諸国で出生率が回復している要因の一つに、婚外子の出生率が高くなっていることが挙げられます。我が国の婚外子の出生割合は二%台と極めて低いのに対し、欧米諸国では四〇から六〇%と高くなっています。また、厚生労働省の調査によれば、六割の若者が出産、子育てに前向きになる要因として、婚外子を容認する社会的風土の醸成を挙げています。婚外子に対する社会保障制度の見直しや経済的支援の拡充などに取り組む考えはないか、総理にお聞きします。

 私は五年前から妻と不妊治療を受けています。今や不妊治療は特別なことではありません。二十代から四十代の夫婦の五・五組に一組が検査や治療を経験しており、子供の十六人に一人が不妊治療によって生まれています。病院では三、四時間待たされるのは当たり前で、特に女性の拘束時間は長く、仕事との両立は相当な困難を伴います。

 治療費は高額で、体外受精一回の平均治療費は五十万円程度で、毎月行えば年間六百万円にもなります。アンケート調査によれば、治療費を支払えず、治療を延期、断念する人の割合は五割を超え、職場に妊活サポート制度がある会社はわずか六%。仕事と妊活の両立ができず働き方を変えた人は四割、両立が難しいと感じた人の割合は九六%にも達します。

 少子化、人口減少が我が国最大の課題とおっしゃるならば、子供を産みたいと願う人たちが産めるようにするため、不妊、不育治療に対する医療保険の適用、助成制度の拡充、妊活休暇の創設など、抜本的な妊活支援策について、総理の見解を伺います。

 森林環境税については、昨年、その成立に際し、放置人工林の広葉樹林化を進めるために必要な支援や取組を行う旨の附帯決議がなされました。しかし、ほとんどの自治体は、この附帯決議はもちろん、森林環境譲与税を広葉樹林化に用いることができることも知りません。野生動物たちとの共存のためにも、災害防止や水源確保のためにも、奥山広葉樹林化を国として重点的に取り組むべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 昨年六月、超党派の議員連盟の四年にわたる努力により、議員立法、動物愛護管理法の大改正が行われました。その際、動物福祉の向上と自治体事務の効率化の観点から、飼養管理基準が重要な論点となりました。具体的な基準は環境省令で定められますが、現在行われている環境省の検討会では、法改正の趣旨を踏まえているとは言いがたい議論が行われています。

 立法者の意思を尊重していただき、より明確な数値基準にすべきと考えますが、総理の見解を求めます。

 先日の代表質問で、総理から、ソーラーシェアリングについて、全国各地に展開すべく、しっかり後押しするとの前向きな答弁がありましたが、ソーラーシェアリングに対する最大の支援策は補助金です。

 農業再生と再生可能エネルギー普及という我が国が最も力を入れて取り組むべき課題と言ってもいい二つの課題を一挙に解決できる政策がソーラーシェアリングであり、新たに補助金を創設すべきと考えますが、総理の見解を求めます。

 以上、地方税法、地方交付税法等に関連する諸政策の提案を含めて、総理の見解を伺いました。

 我々はこれからも厳しい行政監視と有意義な政策提言をともに行っていくことをお約束して、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 高井議員にお答えをいたします。

 新型コロナウイルス感染症の検査体制や危機管理対策等についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症の検査については、これまで、湖北省への渡航歴がある等の要件に該当する方のみに限定した運用が現場で行われてきましたが、今般、そうした要件に限定されることなく、各自治体の判断で、一定の症状のある方が検査の対象となることを明確化したところです。

 また、危機管理体制については、政府において、現在、私を本部長として全閣僚をメンバーとする対策本部を設置し、同本部のもと、政府一丸となって国民の命と健康を守るため対応に当たっているところです。

 もとより、政府の危機管理体制については、これまで不断の見直しを行ってきたところでありますが、今般の事案対応についても、今後、しっかりと確認を行い、危機管理能力を一層高めてまいります。

 新型コロナウイルス感染症と憲法改正についてお尋ねがありました。

 政府としては、現在、私を本部長とする対策本部のもと、現行の法令を駆使して、水際対策の徹底を図りつつ、感染拡大を防止すべく国内のサーベイランス強化などに全力で取り組んでいるところです。

 引き続き、情勢の変化を踏まえながら、国民の命と健康を守るため、先手先手の対応を進めてまいります。

 なお、憲法改正に関してあえて申し上げれば、憲法審査会の場に各党がそれぞれの案を持ち寄って活発な議論が行われることを期待しております。

 桜を見る会前日の夕食会における契約関係についてお尋ねがありました。

 御指摘の夕食会については、私は、妻とともにゲストとして参加し、挨拶を行ったほか、参加者との写真撮影に応じたのみであることから、会費の支払いは行っておりません。本件については、ホテル側が施設利用と飲食のサービスを提供し、それに対して個々の参加者が会費五千円を支払うという契約が存在したものと認識しておりますが、私と妻は何ら契約について意思表示をしておらず、夕食会場に足を踏み入れただけであって、会費を支払う義務が発生するとは言えないものと考えています。

 また、キャンセル等のリスク負担に関しては、私の事務所によれば、事前のアンケート調査により、夕食会へのおおむねの出席者数が判明していたことから、ホテル側の規約にかかわらず、あくまでホテル側の了解のもと、キャンセル等に関しての取決めは特段に行わなかったとのことであり、安倍事務所とホテル側との合意がホテル側の規約に優先したものと認識しています。

 なお、本夕食会については、そもそも、きっかり八百人が出席することを前提にしておらず、あくまでも八百人規模であることを前提にホテル側が五千円の会食を設定したものです。このため、ホテル側が事前に参加者を把握していなかった場合でも、参加者が夕食会の趣旨を理解して五千円の会費を支払い、これをホテル側が受領した時点で、ホテル側と個々の参加者の間で契約が成立したものと認識しています。

 北村大臣の任命責任についてお尋ねがありました。

 人事は常に適材適所で行っているところであり、北村大臣においては、連日の国会審議において真摯かつ適切に対応されているものと認識しています。

 また、北村大臣は、日々、公文書管理に係る任務に精励されていると承知しており、引き続き、与えられた職責をしっかりと全うしていただきたいと考えております。

 黒川東京高検検事長の任務延長等についてお尋ねがありました。

 まず、幹部公務員の人事については、内閣人事局による一元管理のもと、常に適材適所で行っており、内閣人事局制度を悪用し、恣意的人事を行ってきたとの御指摘は全く当たりません。

 検察官については、昭和五十六年当時、国家公務員法の定年制は検察庁法により適用除外されていると理解していたものと承知しております。

 他方、検察官も一般職の国家公務員であるため、今般、検察庁法に定められている特例以外については、一般法たる国家公務員法が適用されるという関係にあり、検察官の勤務延長については、国家公務員法の規定が適用されると解釈することとしたところです。

 御指摘の黒川東京高検検事長の勤務延長については、検察庁の業務遂行上の必要性につき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定されたものであり、何ら問題はないものと考えております。

 人口急減地域特定地域づくり推進法についてお尋ねがありました。

 この法律は、地域人口の急減に直面している地域において、地域社会の担い手の確保及びその活躍の推進を図ることを目的に、昨年、議員立法として成立したものと承知しています。

 政府としては、令和二年度予算案に、この法律に基づいて地域内の事業者に人材を派遣する組合を支援するための特定地域づくり事業推進交付金を計上したところであり、同交付金を活用して若者を含めた地域社会の担い手の確保にしっかりと取り組んでまいります。

 被災者生活再建支援制度についてお尋ねがありました。

 被災者生活再建支援制度は、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものであります。

 支給金額の引上げや支給対象の拡大等は、国や都道府県の財政負担等の課題もあり、慎重に検討すべきものと考えますが、全国知事会から提言のあった半壊世帯への対象拡大については、全国知事会と協力して、昨年災害が発生した地域等において詳細な実態把握調査を行うとともに、継続的に意見交換を行っているところであり、今後も、被災者に寄り添いながらという観点から、必要な対応を検討してまいります。

 災害救助法の運用改善等についてお尋ねがありました。

 災害救助法においては、同法が適用された被災市町村において、現に救助を必要とする方々に対して、応急的かつ一時的な救助を実施することとされております。

 その趣旨に従えば、住宅の応急修理については、限度額を引き上げることは難しいと考えますが、昨年の台風第十五号を契機として、一部損壊にまで制度の拡充を図るなど、必要に応じて運用の改善を行っているところです。

 また、災害救助法による救助は法定受託事務であり、運用が円滑かつ統一的に行われるよう、あらかじめ災害救助事務取扱要領を定め、当該要領に基づいて実施することとしています。

 各自治体による救助の運用については、運用に相違が生じないよう、各被災自治体に対して通知やQアンドAを発出するとともに、昨年の災害に関する状況なども踏まえ、正しい運用の詳細をホームページ等で示す方策について現在検討しています。

 今後とも、被災者の実態等を考慮しつつ、必要に応じた改善等を図ってまいります。

 婚外子に対する社会的保障制度の見直しや経済的支援の拡充等についてお尋ねがありました。

 少子高齢化が進展する中で、未来を担う子供たちはかけがえのない存在です。その誰もが、家庭の環境にかかわらず、夢に向かって頑張ることができる社会をつくっていかなければならないと考えています。

 こうした考え方に立ち、子育て支援の充実を図ってきたところであり、昨年十月には、幼児教育、保育の無償化を実現しました。この四月には、真に必要な子供たちの高等教育無償化を実現します。また、今般、全ての一人親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、婚姻歴の有無や性別にかかわらず、全ての一人親に対して同一の一人親控除を適用することとしたところです。

 これらの取組を着実に実施することで、子育てしやすい社会づくりを更に強化してまいります。

 不妊治療への支援についてお尋ねがありました。

 不妊治療については、他の疾病と同様、治療と疾病の関係が明らかで、有効性、安全性が確立されているものについては保険の対象としています。

 一方、体外受精や顕微授精については、保険適用外とされており、治療費が高額に上るとの指摘があることは承知しており、これに対する助成制度について、初回治療の助成額を十五万円から三十万円に引き上げ、助成対象を男性の不妊治療にも拡大するなどの拡充を行ってきたところです。

 また、不妊治療に係る休暇制度の創設については、職場におけるプライバシー保護といった課題があることから、まずは、不妊治療と仕事の両立を支援する企業の取組等の周知、啓発を進めるとともに、時間単位の年次有給休暇制度やフレックスタイム制度など、企業内制度の導入に向けたマニュアルの策定、周知を行うことで、仕事と不妊治療が両立できる職場環境の整備を進めてまいります。

 森林環境譲与税と広葉樹林化についてお尋ねがありました。

 我が国の森林は、戦後植林されたものが本格的な利用期を迎えていますが、十分に利用されず、また、適切な森林管理も行われていないという課題に直面しています。

 このため、政府においては、森林バンクを活用し、意欲と能力ある経営者に森林を集積、集約化するとともに、奥山に立地しているなど林業経営に適さない森林については、広葉樹も活用しつつ、公的管理による森づくりを積極的に進めているところです。

 その一環として、地方公共団体に対して、全国で百九十回のキャラバンを実施し、森林環境譲与税を活用した広葉樹林化を働きかけるとともに、森林整備事業において、広葉樹の導入に対し、予算措置による後押しも行っているところです。

 引き続き、こうした政策を推し進め、次世代へ豊かな森林を引き継いでまいります。

 動物愛護管理法に基づく飼養管理基準についてお尋ねがありました。

 当該基準については、現在、動物の健康と安全を守る観点から、数値化を始め、可能な限り具体的な基準を設けるとの考え方のもと、策定作業を進めているものと承知しております。

 今後、環境省において、法改正の趣旨を十分に踏まえ、専門家や関係団体の意見も丁寧に聞きながら、具体的な検討を進めてまいります。

 営農型太陽光発電、いわゆるソーラーシェアリングについてお尋ねがありました。

 営農型太陽光発電は、農業生産と再生可能エネルギーの導入を両立することにより、荒廃農地の解消のみならず、農村地域の所得の向上や地域社会の持続的な発展に資する有用な取組であると考えています。

 このため、政府においては、固定価格買取り制度による支援のほか、太陽光パネル等の発電設備に対する補助を行うとともに、新たに、来年度からは、得られた電力を利活用する農業機械等も支援の対象とすることとしています。

 こうした予算も組み合わせ、営農型太陽光発電の取組を全国各地に効果的に展開すべく、しっかりと後押ししてまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣北村誠吾君登壇〕

国務大臣(北村誠吾君) 私の大臣としての職責につきましてお尋ねがございました。

 私は、これまで、予算委員会を始めとする国会審議に真摯かつ丁寧に対応してきたと考えております。

 また、これまでも、国立公文書館への往訪、視察、公文書管理委員会や国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議などに積極的に出席いたし、発言するなど、公文書全般の管理、監査の改善などに積極的に取り組んでまいりました。

 引き続き、与えられた職責をしっかりと全うしていく所存でありますとお答え申し上げて、答弁といたします。

 終わります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 本村伸子君。

    〔本村伸子君登壇〕

本村伸子君 私は、日本共産党を代表して、地方財政計画、地方税法、地方交付税法について、総理に質問をいたします。(拍手)

 住民の福祉の増進を図る役割を担う地方自治体は、今、相次ぐ災害から命と財産を守る問題、子育て、介護など住民の暮らしを支える問題、地元産業の振興、さまざまな課題に直面をしています。しかし、安倍政権が、地方に自治体リストラを求め、深刻な疲弊と破綻をもたらしているのが実態です。

 第一に、地域医療を支える公立病院の問題です。

 厚生労働省は、公立・公的病院の再編、統廃合の検討を求める病院名リストを公表しました。自治体の首長、議会、病院関係者からは、地域医療を守ってきた努力を軽んじている、地域の実情を無視していると怒りの声が噴出しています。大学病院の医師派遣の引揚げや内定した看護師の就職辞退まで引き起こしています。採算やデータだけでははかれない地域医療の役割があると思いませんか。地域の実情を踏まえないリストは撤回するべきです。

 また、政府はこれまで、公立病院改革ガイドラインに基づき、ベッドの稼働率七〇%以下を理由にして、リストラを推し進めてきました。しかし、ベッドの稼働率の低下、赤字の主たる原因は、医師不足があるのではありませんか。これでは地域医療を維持できないことは明らかです。

 地方交付税の算定では、公立病院への一般会計からの繰入れが多いほどマイナス補正の対象となる措置もつくっています。地域医療を守るために、地域の実情を無視したやり方はやめるべきです。

 地域医療を困難にしているのは、医師不足です。今でも四割の医師が過労死ラインを超えています。単なる偏在是正策ではなく、OECD水準を目指す、医師の大幅増員こそ必要です。医学部の地域枠削減もやめるべきです。

 第二に、自治体リストラによる公共サービスの質の低下が問題となっています。

 政府は、指定管理者制度の導入や、公共サービス改革法、公共施設等総合管理計画など、民間委託を推進してきました。二〇一五年の骨太方針では、窓口業務などの外部委託を拡大する方針を掲げ、地方自治体に検討を迫ってきました。こうした中で、民間委託を進めた自治体でさまざまな問題が起こっています。

 介護保険認定事業を全市一括で外部委託化した名古屋市では、委託当初から事務の大幅なおくれが続き、介護度が決まらないために暫定プランでサービスを開始し、後日、認定が低く出たために足りない報酬分を利用者や介護事業者がかぶる事態が起こっています。問題が起きても、民間委託のために行政は直接介入できず、役所の職員が実態や制度を知らないなど、相談含め、質の低下を招いています。

 民間丸投げでは、公共サービスの質が維持できないのではないですか。民間委託の実態を総括し、公設公営に戻す選択肢も含め、地方自治体を支援するべきです。

 第三に、職員減らしが深刻なマンパワー不足をもたらしています。

 児童虐待やいじめなど深刻な環境に置かれた子供たちと向き合う児童福祉司や教師、そして保育士などの増員がとりわけ重要です。さらに、相次ぐ災害対応でも、自治体職員の不足が浮き彫りになっています。

 総理、住民を支える職員、マンパワー不足が危機的状況だという認識はありますか。職員不足のこの危機的状況をもたらしたのは安倍政権の政策が原因であり、その責任は重大です。

 来年度以降、地方交付税の行革努力算定から職員削減率を削除したのは、リストラ、職員減らし政策の破綻を示すものではありませんか。経常的経費などほかの算定項目も含め、職員の削減率を交付税算定に反映するやり方はきっぱりとやめるべきです。

 四月から導入される会計年度任用職員制度では、期末手当を支給するかわりに月給を引き下げる、手当の支給対象としないために勤務時間や日数を減らすなどの事案が各地で起こっています。全ての非正規職員の待遇改善に必要な財源の確保を国が責任を持って行うべきです。

 第四に、災害対応の問題です。

 住民の安全な避難を確保するために、避難所を早期開設することは欠かせません。市町村が必要と判断した場合、災害救助法を速やかに適用することで、市町村が財政負担の心配をせず被災者支援を行えるようにすべきではありませんか。

 避難所の生活環境について、温かい食事を出すための炊事場の確保や炊き出しスタッフの雇い上げ、プライバシーの保護等に必要な経費を災害救助法の対象としていますが、現場はそうなっていません。その原因をどのようにつかみ、どのように打開するおつもりですか。

 また、被災者生活再建支援法の半壊、一部損壊世帯までの対象拡大、一世帯からの適用と支援金の引上げを一刻も早く行うべきです。

 最後に、基地と人権、地方自治の問題です。

 全国知事会は、米軍基地の存在が住民の安全、安心を脅かしていると指摘し、日米地位協定の抜本的見直しを求めています。政府はこの声に応えるべきです。

 辺野古新基地建設反対の圧倒的民意を踏みにじって工事を続ける政府の姿勢を絶対に許すことはできません。新基地建設を断念し、普天間基地の閉鎖、撤去を求めます。六年連続の一括交付金の削減は、今すぐやめるべきです。

 以上を申し述べ、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) それでは、お答えいたします。

 公立・公的病院の再編についてお尋ねがありました。

 高齢化が急速に進む中、地域の医療ニーズの変化に合わせた地域医療体制を確保するため、地域医療構想の実現に向けた取組を進めています。

 お尋ねのリストは、それぞれの地域において、構想の実現のために、医療機関が今後の医療機能のあり方を考える際の材料としてお示しをしたものであり、病院が将来担うべき役割やあり方を機械的に決めるものではありません。

 政府としては、地方団体の御意見も十分伺いながら、こうした点について関係者に丁寧に御説明し、地域において、その実情を踏まえながら、将来あるべき医療提供体制の議論を深めていただきたいと考えております。

 地域の医師不足についてお尋ねがありました。

 公立病院については、深刻な医師不足や人口減少に伴う患者数の低下などにより厳しい経営状況にある中、地域における持続可能な医療提供体制を確保すべく、各自治体において、公立病院改革プランを策定し、再編・ネットワーク化などの経営改革を進めているところです。

 政府としても、公立病院が僻地における医療や救急、小児、周産期などの不採算・特殊部門に係る医療を提供する重要な役割を担っていることを踏まえ、必要な地方交付税措置を講じております。

 また、御指摘の地域の医師不足への対応としては、医師の偏在是正が重要であることから、これまで、地域枠を中心として臨時的に医学部定員を増員してきており、人口当たりの医師数は、令和七年には現在のOECD加重平均の水準に達する見込みです。

 医師偏在に引き続き対応するため、令和三年度まで地域枠をおおむね維持することとしております。令和四年度以降の医学部定員については、都道府県の実情に留意しつつ、議論を進めてまいります。

 地方自治体における民間委託についてお尋ねがありました。

 民間委託は、地方自治体が質の高い公共サービスを効率的、効果的に提供するための有効な手法として活用されており、実際に、民間委託によるさまざまな効果が見られていると承知しております。

 各地方自治体においては、地域の実情を踏まえ、民間委託の効果が見込まれる業務を適切に選定するなど、自主的、主体的に取り組んでいただきたいと考えております。

 自治体の職員不足についてお尋ねがありました。

 地方公共団体の定員管理については、地域の実情を踏まえつつ、各団体において自主的に御判断いただくものと認識しています。

 これまでも、地方公共団体においては、総職員数を抑制する中においても、例えば児童相談所等の職員や防災対策に携わる職員等は増加するなど、それぞれの行政需要の変化に対応し、必要な人員配置を行っていると承知しています。

 引き続き、各地方公共団体において、効率的で質の高い行政の実現に向け、適正な定員管理の推進に取り組むことが重要と考えています。

 被災者支援についてお尋ねがありました。

 災害救助法の適用については、従来から各都道府県に対して、多数の方が生命身体に危険を受け、又は受けるおそれが生じる場合等において、ちゅうちょすることなく適用がなされるよう周知を図っております。

 また、災害救助法に基づき、避難所の設置を始めとして、救助に必要な費用については国庫負担の対象としており、関係自治体にその旨を通知し、都道府県と市町村が連携して被災者への適切な救助を行うよう促しているところです。

 引き続き、災害救助法の適切な運用を図り、被災された方々の適時適切な救助に努めてまいります。

 避難所の生活環境の確保についてお尋ねがありました。

 避難所における生活環境の改善は、政府としても、被災者を支援する上で極めて重要であると認識しています。

 政府としては、避難所における生活環境の改善の具体的方法について、取組指針等を自治体に周知し、適切な対応を求めております。また、災害救助法に基づき、例えば被災者への温かい食事の提供やプライバシー確保に係る必要な費用については国庫負担の対象としており、関係自治体に適切な対応を促しているところです。

 今後も、被災自治体の意見をお聞きしながら、災害救助法による救助が適切に行われるよう、しっかりと取り組んでまいります。

 被災者生活再建支援制度についてお尋ねがありました。

 被災者生活再建支援制度は、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものです。

 支給金額の引上げや支給対象の拡大等は、国や都道府県の財政負担等の課題もあり、慎重に検討すべきものと考えますが、全国知事会から提言のあった半壊世帯への対象拡大については、全国知事会と協力して、昨年災害が発生した地域等において詳細な実態把握調査を行うとともに、継続的に意見交換を行っているところであり、今後も、被災者に寄り添う観点から、必要な対応を検討してまいります。

 日米地位協定及び沖縄の基地負担についてお尋ねがありました。

 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府として、事案に応じて、最も適切な取組を通じ、具体的な問題に対応してきています。

 安倍政権のもとでは、環境及び軍属に関する二つの補足協定の策定が実現しました。国際約束の形式で得たこの成果は、日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのものです。

 日米地位協定については、御指摘の諸点も含め、さまざまな意見があることは承知していますが、政府としては、今後とも、このような目に見える取組を一つ一つ積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。

 住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは、絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思います。

 日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせ、検討を重ねた結果が、現在の辺野古に移設するという方針であり、この方針に基づいて着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものです。

 これからも、地元の皆様と対話を積み重ね、御理解を得る努力を続けてまいります。

 令和二年の沖縄振興予算案における一括交付金は、沖縄県が作成したこれまでの事業計画における実績を踏まえ、所要額が確保されているものと確認しています。

 今後とも、沖縄振興策を総合的、積極的に推進してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 本村伸子議員からは、まず、行政改革の取組を反映する地方交付税の算定についてお尋ねがありました。

 行政改革の取組を反映する算定に用いる指標については、行政需要の変化に合わせて見直しを行います。

 令和二年度においては、児童虐待防止対策の強化を進めていることなどを踏まえ、職員数削減率を用いた算定を廃止します。

 一方、極めて厳しい地方財政の現状を踏まえると、不断の行政改革による財政捻出が求められることから、経常的経費削減率などの指標を用いて行政改革の取組を算定に反映することとしています。

 次に、会計年度任用職員についてお尋ねがございました。

 会計年度任用職員に対する期末手当の支給などに要する経費については、来年度の地方財政計画において、地方公共団体の所要額を適切に計上しており、新制度への円滑な移行に必要な財源を確保しております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 足立康史君。

    〔足立康史君登壇〕

足立康史君 日本維新の会の足立康史です。

 私は、党を代表し、地方税法等改正案外三案について、安倍総理に質問します。(拍手)

 質問に入る前に、この国会のていたらくについて苦言を呈さざるを得ません。

 国会が果たすべき役割には三つあります。

 第一は、行政監視であります。

 モリカケから桜に至るまで、あらわとなった公文書のずさんな管理を正すことができるのは、国会しかありません。しかし、貴重な国会審議の場が、クイズ番組のように、閣僚の失言を引き出すためだけの質問に終始するさまを見るのは、残念でなりません。

 日本維新の会は、そうした揚げ足取りのための追及ではなく、国を前に進めるため、公文書の廃棄概念の廃止を含む公文書管理法改正案を立案するとともに、国立公文書館の憲法機関化を提案しています。

 公文書は、国の基であります。国立公文書館の憲法機関化という我が党の提案について、総理の見解を伺います。

 国会が果たすべき役割の第二は、立法活動であります。

 その封じ込めができるかどうか正念場を迎えている新型コロナ対策について、現行法の限界があらわとなる中、私たちは、検疫法、感染症法、そして入管法に係る具体的論点を提示するとともに、政府、与党、野党の緊急立法協議会の設置を提言し、今週十日の議院運営委員会においても、与野党の政策担当者会議の設置を求めました。

 しかし、野党第一党の筆頭理事からは、行政監視に専念したいという趣旨の発言があったと仄聞しました。全く信じられません。

 感染症の脅威から国民を守り切れるかどうか、その正念場を迎えている中、国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会が、その本来の役割を果たそうとしない不作為を続けるというのであれば、繰り返されてきた万年野党とのそしりを今後とも免れることはできないでしょう。

 総理、野党第一会派がその責任を果たさないのであれば、与党と私たち真の野党である日本維新の会との協議がますます重要となります。新型コロナに関する私たちの緊急提言を受けた政府の具体的対応をお答えください。

 国会が果たすべき役割の第三は、政権構想であり、政府・与党が実行しているプランAと、真の野党によるプランBとを突き合わせ、国の未来をかけて相争う政策競争であります。

 私たち日本維新の会は、来るべき解散・総選挙に向けて、もっと自由で安心な社会を具体化する税と社会保障と労働市場の三位一体改革の取りまとめ作業を進めています。

 ところが、維新以外の野党にとっての政権構想とは、国民民主党総合選対本部長相談役が主宰する政治塾で講演した志位委員長によれば、共産党を含む連合政権だというではありませんか。

 総理、共産党が破壊活動防止法の調査対象となっている理由を改めて御説明ください。私たちは、共産党を含む野党連合政権が樹立されれば、かつての民主党政権よりも更にひどい悪夢が再来すると考えますが、総理の見解を伺います。(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛に。

足立康史君(続) さて、前置きが長くなりましたが、以上、申し述べたように、今の国会で本当に真っ当な論戦を展開し、責任ある仕事をしているのは、六十年余りの歴史を有するチームA、政府・与党と、結党から七年余りの新しいチーム、日本維新の会というチームBの二つしかありません。

 そして、プランAとプランBとの違いが最も先鋭的にあらわれるのが、今議題となっている税制を始めとする地方制度なのであります。

 自民党が、一九五五年の結党以来、国と地方との役割分担をあえて明確にせず、いわゆる融合型の行政システムを全国に張りめぐらしてきたのとは対照的に、私たち維新の会が目指す社会は、国、広域行政、そして基礎自治体の三つが、それぞれの有する権限と責任を明確にしながら、公正公平な都市間競争、地域間競争に臨んでいく、そうした透明な社会であります。

 そのための最初の挑戦の一つが、本年十一月に予定されている大阪都構想の住民投票でありますが、その根拠となった大都市法、大都市地域特別区設置法は、二〇一二年夏に、共産党と社民党を除く超党派七会派によって共同で国会に提出され、可決、成立したものであります。

 法律には、すべからく立法事実があります。立法事実とは、国会議員が法律を制定する必要を判断する、その基礎となる事実であり、大都市法にあっては、東京都と同じように政令市を廃止し特別区を設置する都制によって都市経営を一元化するべき大都市が存在するという、厳然たる事実認識でありました。

 つまり、今は大阪都構想に反対している大阪自民も、都制を導入するに値する大都市が一つ以上あるという立法事実をこの国会で認めてきたのであります。

 大阪自民の皆様が、政局に拘泥し、共産党と一緒になって大阪都構想に反対するというのであれば、大阪以外のどこのどの大都市が都制を導入しようとしているのか、立法事実の観点から説明責任を果たすべきであります。

 総務大臣に伺います。現在、大都市法に基づく都制の導入に挑戦している都市が大阪以外にありますか。仮にあるのであれば、具体的な都市名をお答えください。

 大阪における大阪維新の会と公明党の皆様による都構想を実現するための取組は、大都市法という国策に沿った取組であり、廃藩置県以来の大改革であり、日本の未来をつくる希望であると考えますが、総理の見解を伺います。

 税のあり方は国の骨格であります。国と地方との新しい関係の構築に最優先で取り組んでいくことをお誓いし、私からの質問といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 足立康史議員にお答えをいたします。

 公文書管理についてお尋ねがありました。

 政府としては、今般発覚した行政文書の保管や廃棄における不適切な取扱い等を踏まえ、独立公文書管理監を中心とした各府省におけるチェックのさらなる強化など、政府を挙げて公文書管理のさらなる徹底方策について検討していく予定です。

 また、政府においては、国立公文書館の機能を強化するための取組を推進することとしており、これは御党の提案と共通する部分もあると認識しております。他方で、公文書管理の憲法での位置づけや具体の法案の取扱いについては、国会及び各会派において御議論いただくべきものであると考えております。

 なお、行政文書において、保存期間満了後も廃棄しないで保存をし続けることは、行政文書の体系的管理や効率的な行政運営といった公文書管理の理念との関係で慎重に検討する必要があると考えております。

 御党の緊急提言についてお尋ねがありました。

 政府としては、現在、政府対策本部のもと、御党の御意見も踏まえつつ、現行の法令を駆使して、水際対策の徹底や感染拡大の防止に取り組んでおり、本日から入国拒否の対象地域を浙江省に拡大し、国内サーベイランスについてもこれに合わせた対応をとることとしたところであります。

 緊急立法協議会の設置についての御提案は、緊急時の対応等を迅速に行う観点から一つの考え方をお示しいただいたものと考えておりますが、まずは各会派で十分に御議論をいただきたいと思います。

 いずれにしても、政府としては、与野党とも緊密に連携しつつ、引き続き、情勢の変化を踏まえながら、新型コロナウイルスの蔓延防止に向けて、前例にとらわれることなく、先手先手の対応を進めてまいります。

 日本共産党が破壊活動防止法の調査対象となっている理由等についてお尋ねがありました。

 日本共産党は、昭和二十六年から二十八年ごろにかけて、団体の活動として、革命の正当性、必要性を主張し、各地の党組織や党員が殺人や騒擾などの暴力主義的破壊活動を行った疑いがあります。現在においても、いわゆる敵の出方論に立った暴力革命の方針に変更はないものと認識しており、破壊活動防止法に基づく調査の対象になっているものと承知しています。

 その上で、御指摘の野党連合政権の樹立については、あくまで仮定の話でございますので、政府としてお答えすることは差し控えさせていただきます。

 いわゆる大阪都構想についてお尋ねがありました。

 大阪都構想は、平成二十四年に議員立法で成立をした大都市地域特別区設置法に基づき、大阪市を廃止して特別区を設置することにより、二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとするものと承知しています。

 現在、大阪府と大阪市が特別区設置協議会において協議を行っていると承知しておりますが、構想の実現については、同法の手続に従って地域の判断に委ねられているものであり、関係者間の真摯な議論を期待しております。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 足立康史議員にお答え申し上げます。

 大都市地域特別区設置法に基づいて特別区設置協議会を設けているのは、大阪府及び大阪市のみであると承知しています。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  安倍 晋三君

       総務大臣    高市 早苗君

       法務大臣    森 まさこ君

       厚生労働大臣  加藤 勝信君

       国土交通大臣  赤羽 一嘉君

       環境大臣    小泉進次郎君

       国務大臣    北村 誠吾君

       国務大臣    菅  義偉君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官 西村 明宏君

       総務副大臣   長谷川 岳君


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