衆議院

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第15号 令和2年4月3日(金曜日)

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令和二年四月三日(金曜日)

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  令和二年四月三日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案(内閣提出)及び特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

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 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案(内閣提出)及び特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案及び特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣梶山弘志君。

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) ただいま議題となりました特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案及び特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 我が国は、新たなデジタル技術や多様なデータを活用して経済発展と社会的課題の解決の両立を目指す、ソサエティー五・〇の実現を目指しています。その鍵となる第五世代移動通信システム、いわゆる5Gや、撮影機器等を搭載し点検や測量などを行うことができる高性能なドローンをはじめとする高度な情報通信技術を活用したシステムは、今後急速に普及し、国民生活及び経済活動、ひいては我が国の安全保障の重要な基盤となることが見込まれます。

 こうしたシステムの開発供給及び導入については、サイバーセキュリティーを確保しつつ適切に行われ、安全、安心が確保されることが重要です。また、システムの開発供給及び導入に向けては、関連する我が国の産業競争力の強化に戦略的に取り組むとともに、速やかに全国展開を進め、地方創生の切り札として、人手不足や高齢化等の課題解決にも寄与するような新事業の創出を促進することも重要です。このため、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入を促進するために必要な支援措置を講ずるべく、本法律案を提出した次第です。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入が、サイバーセキュリティーを確保しつつ適切に行われるよう、その促進に関する指針を国が定めます。

 第二に、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給又は導入を実施しようとする事業者から、計画が提出され、認定の申請があった場合において、指針に照らし、主務大臣が認定する制度を創設します。

 第三に、認定された計画に従って実施される特定高度情報通信技術活用システムの開発供給又は導入に対して金融支援措置等を講じます。特に、5Gを活用したシステムの導入に当たって、早期の普及に特に資するなどの要件を満たすと主務大臣が確認したものについては、課税の特例を適用します。

 次に、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 近年の情報通信技術の発達により、世界的規模でデータを活用した新たな産業が創出される中、デジタルプラットフォームは、中小企業等の販路開拓のチャンスを提供するなど、我が国の国民生活、経済活動に様々な便益をもたらす重要な存在となっています。他方で、一部の市場においては、デジタルプラットフォームで取引を行う中小企業等から取引の透明性、公正性が低いといった懸念が指摘されています。

 こうした背景を踏まえ、変化の激しいデジタル市場において、安全、安心に取引が行える環境の整備と、イノベーションの促進を両立させることが必要です。このため、デジタルプラットフォームを提供する事業者の自主的かつ積極的な取組を基本としつつ、デジタルプラットフォームで取引を行う中小企業等との間の相互理解を促進することによって、取引の透明性、公正性を向上させるために必要な措置を講ずるべく、本法律案を提出した次第です。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、国民生活への影響の大きさや取引の実情等を踏まえて設定する事業の区分ごとに、一定の規模以上であるデジタルプラットフォームを提供する事業者を、取引の透明性及び公正性の向上が特に必要な特定デジタルプラットフォーム提供者として指定します。

 第二に、特定デジタルプラットフォーム提供者に対して、その主要な提供条件や取引を拒絶する場合の理由等の開示を求めるとともに、デジタルプラットフォームで取引を行う中小企業等との間の相互理解を促進するための手続や体制の整備等の措置を取ることを求めます。

 第三に、特定デジタルプラットフォーム提供者がこのような取組の実施状況に関する報告書を国に提出し、利用者等の意見も聴いた上で国がその評価を行う仕組みを設けます。また、その評価の結果は公表し、取引の透明性及び公正性の自主的な向上を促進します。

 このほか、公正取引委員会への措置請求や、内外の別を問わず命令等の措置を行うために必要な手続等を整備します。

 以上が、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案及び特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案の要旨であります。(拍手)

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 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案(内閣提出)及び特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。浅野哲君。

    〔浅野哲君登壇〕

浅野哲君 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの浅野哲です。

 ただいま議題となりました法律案につきまして、会派を代表して質問いたします。(拍手)

 冒頭、このたびの新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、現在療養中の皆様の早期の御回復をお祈り申し上げます。

 社会の現状に鑑み、新型コロナウイルス対策について触れたいと思います。

 今、日本じゅうが注目していることがあります。それは、緊急事態宣言は発令されるのかということであります。

 緊急事態宣言は、極めて曖昧な基準で発令可能であるにもかかわらず、発令されれば多くの国民に不便を強いることとなり、経済活動にも甚大な影響が及びます。だからこそ、その判断を行う政府は、可能な限り予見可能性を高める責任があるのではないでしょうか。

 どうなったら発令するのかを国民に対してわかりやすく説明することで、国民全員でできる限りその状態になることを回避する、回避できないのであれば発令に備え早目の準備をさせる。それが、社会全体を危機や混乱から回避させるための責任の果たし方であり、国民が政府に望んでいることです。

 総理には、ぜひ国民の立場に立ち、わかりやすく基準を示していただくことを強く求めます。

 その上で、西村大臣にお伺いいたします。

 現時点で、国民や産業界は、緊急事態宣言の発令に備えた準備行動をとるべきでしょうか。端的にお答えください。

 現在、日本におけるコロナ検査の実施数は、一日二千件弱。これは、ドイツの十七分の一の水準だそうであります。主要先進国としては、異常と言っていいほど少ない数値です。

 理由の一つは医療病床の逼迫にあり、厚生労働省は、重症者等に対する入院医療の提供に支障を来すおそれがある場合には、軽症者は自宅療養とし、重症者に優先して医療を提供する、いわゆるトリアージを実施すべきとの方針を定めています。

 しかし、東京都が都内の医療病床の逼迫を訴えてきたにもかかわらず、トリアージは開始されませんでした。

 なぜこれまで開始されてこなかったのか、その理由を加藤大臣にお伺いいたします。

 また、感染者の負担軽減のみならず、状況の緊急性や深刻さに鑑み、軽症者病床の円滑な確保のため、厚生労働省として、病床確保にかかわる財政支援を行うべきと考えますが、加藤大臣の御見解を伺います。

 四月一日に、安倍総理は、全ての世帯に布製マスクを二枚ずつ配布することを表明しました。余りの唐突な発表に、エープリルフールの冗談なのではないかとやゆする者まで出てくる始末です。

 WHOは、正式な文書の中で、布製マスクはいかなる状況下であっても推奨しないと示しており、専門家会議でも今回の配布について議論がされた事実も確認できておりません。

 医療や介護福祉の現場を始め、社会全体でマスクが足りていない窮状の中、一億枚ものマスクの使い道を総理の思いつきや独断で決めてしまったのだとしたら、これは大問題です。

 一方、経済産業省は、昨年度、マスク生産設備導入支援を行い、生産能力を月産約四千八百万枚強化したものの、現在の国内需要には及んでおりません。

 海外からのマスク輸入もしづらい中、マスク生産設備導入の追加支援を早急に実施すべきと思いますが、梶山大臣の御見解を伺います。

 また、最近では、3Dプリンターやプレス機などの汎用性の高い工業用装置を使って、繰り返し利用が可能なマスクを生産する事業者も出てまいりました。

 深刻なマスク不足の中、不織布やガーゼ以外の素材を使ったマスク生産行為に対しても、政府として支援に着手すべきと考えますが、梶山大臣の御見解をお伺いいたします。

 続きまして、本日議題となっている法案について質問いたしますが、その前に、経済産業省のコンプライアンス問題について触れたいと思います。

 経済産業省は、関西電力の金品受領問題で三月十六日に業務改善命令を出した際、法律上は電力・ガス取引監視等委員会に事前に意見を聞く手続が必要でしたが、それを行わず、事後にその事実に気づいて、急遽聞き取りを行いました。それ自体も問題ですが、あろうことか、そのミスを隠すため、この聞き取りを命令発出前日の十五日に行ったように見せかけるために、公文書上の日付を意図的に変更していたことが発覚いたしました。さらに、日付を変えることを考案した者の上司と更にその上司も、それをとめなかったというから驚きです。

 私は、今、強い憤りを禁じ得ません。

 森友問題や統計不正問題など、公文書改ざんが繰り返され、公文書管理法改正をこの国会でしてまで対策をしてきたにもかかわらず、このような不正行為が再び行われたことは、国民への背信行為にほかなりません。多くの国民がそう思っているはずです。

 担当者は今後文書偽造の罪に問われる可能性もあるほどの大問題。この点を考えれば、本件について管理職が戒告や厳重注意の処分とは軽過ぎると言わざるを得ません。

 梶山大臣がこの処分が適切だと思う理由をお答えください。

 国民の皆様が、そして世界が、一致結束して新型コロナウイルス対策に全力を尽くそうとしている中だからこそ、行政官僚の皆さんは、信義を旨とし、間違いを正直に認め、迅速に正すべきでした。仏つくって魂入れずではだめだ、これは昨年の経済産業委員会で公文書管理のあり方について私が質問した際に、梶山大臣が答弁の中でおっしゃった言葉です。しかし、残念ながら、今の資源エネルギー庁には魂が入っているとは信じられません。

 本件全般に対する梶山大臣の御見解と、今後の公文書管理の適正化を省内に徹底させること、二度とこのようなことを起こさないことをこの場で明確に表明していただきたいと思います。

 それでは、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案の内容について質問いたします。

 本法案は、オンラインショッピングモールやアプリストアなどの、いわゆるデジタルプラットフォームに関する取引の透明性及び公正性の向上を図り、プラットフォームの提供者とその利用者との間で相互理解を深め合うことを狙いとしています。過去の実績として、プラットフォームの提供者と利用者との間でどのような問題がどの程度発生したのか、お示しください。

 本法案の基本理念として、デジタルプラットフォーマーの創意と工夫が十分に発揮されることを掲げ、その手段として、国の関与その他の規制を必要最小限のものとするとあります。逆の読み方をすると、国の関与が強いほど創意と工夫が発揮しにくくなると解釈できますが、政府がそのように考えた背景をお答えください。

 デジタルプラットフォーム提供者のうち、特に取引の透明性及び公正性を高める必要性の高い事業者を特定デジタルプラットフォーム事業者として政令で定める内容となっておりますが、対象となる事業者がどの程度の規模や範囲で指定されるのか、お答えください。

 現段階では、特定デジタルプラットフォーム提供者として大規模なオンラインモールとアプリストアを当面の対象とするとありますが、なぜこれらの事業者に限定されることとなったのか。具体的な根拠とともに、その判断の公平性がどのように担保されているのか、わかりやすく御説明をお願いいたします。

 プラットフォームビジネスの競争は激しく、市場変化のスピードが速いことも踏まえれば、本法案が公平かつ公正に運用されていくためには、国内市場に存在する多様なデジタルプラットフォームの取引規模や社会に対する影響の大きさ、取引現場における規制の必要性などを適切な頻度、タイミングで確認していくことは政府の当然の責務だと言えます。特定デジタルプラットフォーム提供者を公平かつ公正に見直していくための適切な調査のあり方についての御見解をお伺いします。

 特定デジタルプラットフォーム提供者に指定された事業者は、事業概要を始め、利用者に対する取引条件等の情報開示の状況、取引の適正化や相談、紛争処理のための手続や体制の整備状況、紛争の処理状況等を付したレポートを経済産業大臣に年に一度提出するとありますが、産業界からは、このレポートについて必要性そのものを疑問視する声が届いています。なぜレポート提出の必要性があるのか、その理由を伺います。

 レポートを提出させるからには、少なくとも政府にはそのレポートを適正な取引環境の実現につなげる責務があり、適切なレビューと評価の実施に必要な体制を整えておく必要があります。まして、この施策が事業者の創意と工夫を阻害しては本末転倒です。

 このことを申し上げた上で、このレポートをレビューして評価する実務主体はどうするのか、また、提出から評価までどの程度の時間を要するのか、加えて、レビューや評価等の手続に対し、特定デジタルプラットフォーム提供者は異議を申し立てることができるのか、お答えください。

 続いて、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案の内容について質問をいたします。

 本法案は、5Gやドローンなどの先進技術を用いた特定高度情報通信技術活用システムの普及を図るための基本理念と国や事業者の責務を定めるとともに、認定制度の創設や認定された事業計画への支援措置の創設を定めています。

 一方、世の中を見渡せば、アメリカと韓国は一年前から、中国も半年前から5Gの商用運用をスタートさせており、おくれをとっていた日本も本年三月下旬から運用をスタートさせました。

 この状況下で国会審議の開始です。誰の目から見ても遅過ぎます。世の中の流れ、産業潮流を捉えられていないとしか思えません。数年前に法整備を行っていれば、事業者の皆さんはもっと有意義な準備ができた。ここに政府の見通しの甘さがかいま見えます。なぜ本法案の提出が今ごろになったのか、お答えください。

 本施策の効果として最も期待されているのは5G基地局整備の前倒しです。しかし、5Gやドローンに関する技術や、それらを活用したシステムの開発も進めていく必要があります。新しい技術分野であればあるほど、使うための環境整備と同時に、新しい技術開発やサービス開発への投資が重要になります。

 本法案では、法案の名称にもある供給及び導入に対する支援は含まれますが、開発に対する支援は手薄です。今後、特定高度情報通信技術活用システムに関する技術、サービスの開発に対する追加支援の必要性があるように感じますが、大臣の御見解を伺います。

 一部では、今回の認定制度の導入の狙いの一つに、特定の属性を有する事業者を取引から除外する狙いもあるのではないかと報じられた例も見受けられます。本法案が創設する認定制度については、安全性、信頼性、供給安定性、オープン性といった認定基準が定められる予定ですが、中でも、ベンダー企業の信頼性については具体的にどのような指標で信頼性を判断するのか、また、なぜベンダー企業に限定しているのか、理由をお答えください。

 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 浅野議員からの御質問にお答えいたします。

 マスク生産設備導入の追加支援と、不織布やガーゼ以外の素材を使ったマスク生産に対する支援についてのお尋ねがありました。

 第一に、マスク生産設備導入の支援については、昨年度の予備費を活用し、十三件の設備投資を支援、月産約四千八百万枚以上の増産が実現できる見通しですが、店頭には十分なマスクが並んでいない状況にあり、生産能力のさらなる増強に向けて検討してまいります。

 第二に、不織布やガーゼ以外の素材を使ったマスク生産についても、既に昨年度の予備費においてシルクやウレタンといった素材を用いたマスクの製造を支援しており、引き続き支援することを検討してまいります。

 関西電力に対する業務改善命令に係る不適切な手続への対応についてお尋ねがありました。

 手続に不備があったにもかかわらず、事実と異なる日に電力・ガス取引監視等委員会への意見聴取の決裁をしたように取り繕ったことは、行政の意思決定プロセスに対する国民の視線が厳しい昨今、非常に問題があり、不適切であったと考えております。大変大きな問題であると考えております。経済産業行政への信頼を損なったことにつきまして、心よりおわびを申し上げます。

 事実を把握した後、速やかに、手続のやり直しを行うとともに、事案にかかわった職員及び監督責任として経済産業事務次官と資源エネルギー庁長官に処分を行いました。処分については、他の同様の事例と比較した上で決定しており、軽い処分とは考えておりません。

 二度とこのような事態を起こさないためにも、省内の意識を徹底的に改めるべく、行政手続に関する監査の体制強化など、再発防止策を講じてまいります。

 デジタルプラットフォーム事業者と取引先事業者の間の問題や基本理念の考え方に関してお尋ねがありました。

 昨年の公正取引委員会の調査では、オンラインモールとアプリストアの両分野で、過半の取引先が一部のデジタルプラットフォームに売上げを依存している状況のもと、事前説明のない規約の一方的変更といった問題が多数生じている実態が明らかとなりました。本法案は、こうした問題の解決を目指すものであります。

 本法案の基本理念は、取引の透明性、公正性の向上に向け、国が事業者の取組を促すことが重要である一方、その実現手段まで一律に定めることは、デジタル技術の活用を含め、各事業者の創意工夫を妨げるおそれがあるとの考え方を示したものであります。

 本法案に基づく指定の対象について、その規模や範囲、判断の根拠についてお尋ねがありました。

 本法案では、透明性、公正性の向上の必要性が高いデジタルプラットフォームの提供者を指定することとしております。

 具体的には、国民経済にとっての重要性、取引先保護の必要性等を勘案し、必要最小限の範囲で、政令により事業区分と売上総額などの規模を特定します。

 こうした考え方のもと、デジタル市場競争会議における有識者の議論や意見公募を踏まえつつ、政府による調査で取引実態が明らかな大規模オンラインモールとアプリストアを、当面の間、取引の透明性、公正性の向上を図る必要があるものとして、規制の対象といたします。

 特定デジタルプラットフォーム事業者の対象を公平かつ公正に見直すための適切な調査のあり方についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、適切に対象の見直しを行うためには、市場の変化が速いデジタルプラットフォームの動向について定期的に調査することが重要です。

 そのため、これまで実施してきたオンラインモール等の市場規模や取引実態の調査について、今後、対象を拡大するなど、調査の拡充を図ってまいります。

 毎年度レポートを提出する必要性、評価の実施主体、評価に要する時間、評価に関する異議の申立てについてお尋ねがありました。

 取引の透明性と公正性の向上を自主的な取組により達成するためには、取引状況を定期的に評価することが不可欠であり、その前提となる事実関係を正確に報告いただくレポートの提出が必要と考えております。

 評価については、取引先や消費者、特定デジタルプラットフォーム事業者に加え、法律やデジタル分野の専門家の御意見も伺い、実施することを検討しております。それには一定の期間が必要ですが、負担軽減のため、可及的速やかに評価をしてまいります。

 評価結果は自主的な取組を促すためのものであり、事後的に異議の申立てを受けるような、対応を強制する行政処分ではありませんが、評価の過程において、このように異議も含めた事業者の意見も伺いながら、公平な評価を行ってまいります。

 5Gを促進するための今回の法案の提出時期についてのお尋ねがありました。

 米国や中国などにおいて、5Gのインフラ整備や商用化開始が先行する形となったことは事実であります。

 しかし、各国でのサービスの展開エリアは一部の都市であり、今後、我が国が全国各地で基地局等のインフラ整備を加速することで十分に巻き返すことができると考えております。

 また、セキュリティーの確保の重要性も高まるとともに、5Gの特徴である超低遅延や多数同時接続といった技術の開発や実用化は諸外国でも道半ばであると考えております。

 こうした認識のもと、安全、安心な5Gのシステムの早期普及を後押しするため、本国会に法案を提出させていただいたものです。

 特定高度情報通信技術活用システムに関する技術、サービスの開発支援についてお尋ねがありました。

 5Gについては、情報通信システムやそこで用いられる半導体に関する開発競争が世界的に激化をしております。

 こうした状況のもと、昨年度補正予算を用いて基金を設置し、現在商用サービスが開始されている5Gと比べて多数同時接続や超低遅延といった機能が強化されたポスト5G情報通信システムの開発と、先端半導体製造技術の開発に取り組むこととしております。

 さらに、安全、安心なドローンの開発についても、昨年度補正予算を用いて、基盤技術の開発に取り組むこととしております。

 今後、こうした支援の実施状況も踏まえて、必要に応じてさらなる対応も検討をしてまいります。

 ベンダー企業の信頼性の判断指標についてのお尋ねがありました。

 本法案に基づく開発供給及び導入の方針は、ベンダー企業の信頼性の観点も盛り込んで策定をいたします。

 これは、通信キャリア等が情報通信機器等を導入するに当たって、機器の開発や製造過程において、情報の窃取、破壊などの機能が組み込まれる懸念、納入後において、事後的な運用、保守作業で不正な変更が行われる懸念など、ベンダーの信頼性に関する国際的な議論の機運が高まっていることを踏まえてのものです。

 具体的な基準については、こうした国際的な議論も踏まえながら、検討をしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

国務大臣(西村康稔君) 浅野議員から、緊急事態宣言に備えた準備についてのお尋ねがございました。

 緊急事態宣言との関係では、現時点では、要件であります全国的かつ急速な蔓延という状況にはなく、ぎりぎり持ちこたえている状況にあります。少しでも気を緩めればいつ急拡大してもおかしくない、まさに瀬戸際が継続している状況にあります。日々状況が変わりますので、緊張感を持った対応が続いているところであります。

 緊急事態宣言が行われた場合は、特措法に基づき、都道府県知事による外出自粛要請、施設の使用制限に係る要請、指示、公表が可能となりますが、欧米におけるロックダウンのように、強制的に、罰則を伴って都市を封鎖するということではありません。

 四月一日に専門家会議で示された状況分析、提言におきましても、市民の行動変容を一層強めていただく必要性が指摘されています。

 さらに、基本的対処方針も踏まえ、現時点では、国民の皆様におかれては、いわゆる三つの密を避けるための取組の徹底や、人混みや近距離での会話、特に、大きな声を出すことや歌うことを避けていただくこと、三つの密がより濃厚な形で重なる夜の町において、接客を伴う飲食店業への出入りを控えることや、ジム等の呼気が激しくなる室内運動の場面で集団感染が生じていることを踏まえた対応をしていただくこと、自分自身が患者になったときの受診行動の確認、在宅勤務いわゆるテレワークや時差出勤等の積極的な活用などについて、緊急事態宣言の発令を何とか回避するためにも、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。

 事態は刻一刻と変化しております。決して警戒の手を緩めることなく、政府としては、感染拡大の防止にこれまで以上に全力を傾けつつ、国内の感染状況を注視し、専門家の御意見も十分に聞きながら、引き続き、緊張感を持ち、適切に対応してまいります。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 浅野哲議員より、新型コロナウイルス感染症に関する検査体制、今後の医療提供体制の整備についてお尋ねがありました。

 三月二十八日に決定した基本的対処方針において、患者が増加し重症者等に対する入院医療の提供に支障を来すおそれがある場合には、入院治療が必要ない軽症者等は自宅療養とし、その際、家族構成等から高齢者や基礎疾患を有する者等への感染のおそれがある場合には、宿泊施設等での療養を行うなど、家族感染のリスクを下げるための取組を講じることとされております。

 こうした体制の移行については、基本的には各都道府県の御判断により行われるものと考えておりますが、その際には厚生労働省とも相談いただくこととしており、現在、東京都から、自宅療養等を行う軽症者の健康状態の把握、病床や施設の確保等について御相談をいただいており、医療提供体制を確保しつつ、感染拡大を防ぐための体制の整備についても密に連携を図っているところであります。

 また、軽症者に対する医療の確保の体制を整えていただく観点から、昨日、自宅療養、宿泊療養の対象者や解除の考え方、自宅療養及び宿泊療養のマニュアル、自宅療養患者へのフォローアップの仕組みなどについて、関係者との調整を経て、事務連絡を発出したところであります。

 新たに編成する補正予算においては、五つの対策の柱の一つとして、感染拡大防止策と医療提供体制の整備を掲げており、厚生労働省としては、引き続き、自治体や医療関係機関など関係者と連携しつつ、財政的支援を含め、具体的取組について検討を行っているところであります。

 なお、PCR検査については、医師が必要と判断した方が確実に検査を受けられることが重要であり、検査能力についてその向上に努めており、全国で約一万件の検査能力を確保しているところであります。(拍手)

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議長(大島理森君) 笠井亮君。

    〔笠井亮君登壇〕

笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、5G促進法案、デジタルプラットフォーム透明化・公正化法案について質問いたします。(拍手)

 5G法案は、安倍政権が国家プロジェクトとして進める5G通信基地局の開設計画の前倒しに対し、設備投資額の一五%もの破格の法人税減税を行うものです。

 NTTドコモやKDDIなど、大手通信企業四社で九兆四千億円にも上る内部留保を更に積み増すだけではありませんか。

 今、緊急にやるべきは、新型コロナ感染拡大防止を実効あるものとすることです。自粛要請と一体に、事業者や個人に対する直接支援を行うことを強く求めます。

 次に、デジタルプラットフォーム法案についてです。

 新たなIT技術は、人間の自由の獲得、労働時間の短縮にこそ活用すべきです。

 急成長を遂げてきたグーグルやアマゾンなどGAFAと呼ばれる巨大IT企業をめぐって、個人情報収集や税逃れ、労働者の使い捨てなどが大問題となり、世界各国が規制や課税の強化に乗り出しています。

 EUでは、人間の尊厳の観点から、プライバシー権、個人情報の自己コントロール権を保障する一般データ保護規則、GDPRが制定されました。ところが、日本では逆に、個人情報の商業利用を促進し、違反を抑止するための課徴金すら盛り込まない個人情報保護法改正を行おうとしています。プライバシー権を更に侵害しかねません。答弁を求めます。

 本法案は、国内外の巨大IT企業に対し、取引の透明化と国への定期報告を義務づけてはいますが、踏み込んだ規制を行う上で、三つの問題点があります。

 第一に、事業者の自主性任せにしていることです。

 国内最大手の楽天は、オンラインモールに出店する中小企業に送料の負担を押しつけ、公正取引委員会の立入検査を受けてもなお実施を強行しました。

 にもかかわらず、法案では、政府自身が検討段階で示していた四つの禁止事項、競合商品の拒絶、自社サービスの利用強制、自社商品を有利に表示、一方的な不利益変更、いずれも削除されました。これで中小企業を守れるのですか。

 第二に、違反行為に対する抑止力の問題です。

 EU当局は、グーグルの競争法違反事件で総額一兆円を超える制裁金を課していますが、本法案では、情報開示の命令違反に対し、わずか百万円以下の罰金にすぎません。これで抑止力と言えるのですか。

 独占禁止法違反の課徴金も、EUや米国の制裁金、罰金と比べて極めて低水準です。不当利得の額にとどまらず、巨大IT企業に大きな制裁を科して、違反への抑止力を高めるべきではありませんか。

 第三に、フリーランスの権利保護に踏み込んでいないことです。

 私は、二月四日の予算委員会で、配達代行ウーバーイーツの労働者の実態から、労災保険、最低賃金、団体交渉権が保障されない権利ゼロの働き方の是正を求めました。安倍総理は、そういう形が広がっていくことは、決していいこととは思っていないと明言しました。アプリなどを使って単発で仕事を請け負うギグワーカーなど、フリーランスの権利保護を直ちに具体化すべきではありませんか。

 最後に、経産省の虚偽公文書作成問題についてです。

 関西電力の原発マネー還流疑惑の原因は、原発の運営、稼働を強く重視する関電の企業風土にある、第三者委員会報告でもこのことが指摘されました。事もあろうに、監督官庁たる経産省が、業務改善命令の手続を怠った上、虚偽の公文書を作成し、その隠蔽を図るなど、言語道断であります。

 大臣、経産省の根本姿勢が問われる重大事態との認識はありますか。明確な答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 笠井議員からの御質問にお答えをいたします。

 5Gの導入に関する減税についてのお尋ねがありました。

 5Gは、今後の経済社会や国民生活の基盤インフラであり、その整備は、安全、安心を確保しつつ、国家戦略として進めていくべきと考えております。

 今回創設する税制は、安全、安心な5Gのインフラを、地方も含む全国各地で前倒しの整備を誘導するものであり、大手通信企業の内部留保を積み増すだけという御指摘は全く当たりません。

 本法案に取引行為の禁止を導入しなかったことと罰金に関して、実効性についてのお尋ねがありました。

 本法案の罰則に加え、デジタルプラットフォーム事業者の取組状況を評価する仕組みや勧告の規定を設け、これらを利用者などに広く公表することとしております。デジタルプラットフォーム事業者にとって社会的評価は極めて重要であり、公表により、事業者の自主的取組を強く促せると考えております。

 また、本法案では、個別の行為の禁止規定は設けていませんが、公正競争を阻害する行為については、経済産業大臣より公正取引委員会へ措置請求できる規定を盛り込んでおり、同委員会により排除措置命令や課徴金納付命令も含めた対処がなされるものと承知をしております。

 関西電力への業務改善命令の発出における不適切な取扱いについてお尋ねがありました。

 手続に不備があったにもかかわらず、事実と異なる日に電力・ガス取引監視等委員会への意見聴取の決裁をしたように取り繕ったことは、行政の意思決定プロセスに対する国民の視線が大変厳しい中、非常に問題があり、不適切であったと考えております。経済産業行政に対する信用を損なったことについて、心よりおわびを申し上げます。

 事案を把握した後、速やかに、手続のやり直しを行うとともに、事案にかかわった職員及び監督責任として経済産業事務次官と資源エネルギー庁長官、合わせて七名に処分を行いました。

 二度とこのような事態を起こさないためにも、省内の意識を徹底的に改めるべく、行政手続に関する監査の体制強化など、再発防止策を講じてまいります。(拍手)

    〔国務大臣衛藤晟一君登壇〕

国務大臣(衛藤晟一君) 笠井亮議員にお答えいたします。

 個人情報保護法改正についてお尋ねがありました。

 個人情報保護法は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする法律です。

 今国会に提出している個人情報保護法の改正法案においても、漏えい等の報告を義務づけるとともに、罰則の引上げを行うなど、この法の目的に従って、個人情報の活用を進めつつ、個人の権利利益の保護を図るものであり、御指摘は当たらないものと考えます。

 独占禁止法違反への課徴金による抑止力についてお尋ねがありました。

 独占禁止法における現行の課徴金制度の趣旨、目的は、違反行為に基づく不当利得相当額をベースとしつつ、不当利得相当額以上の金銭を徴収する仕組みにより、行政上の措置として、違反行為を阻止するために、違反事業者に対して金銭的不利益を課すものであります。

 昨年成立した独占禁止法改正により、算定期間が三年から十年に延長されたことなどから、課徴金制度全体としての課徴金の水準が違反行為の実態に応じたより適切なものとなり、違反行為の抑止効果は高まるものと考えています。(拍手)

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

国務大臣(西村康稔君) 笠井議員から、フリーランスの権利保護についてお尋ねがございました。

 いわゆるフリーランスなど、雇用によらない働き方の保護のあり方につきましては、多様で柔軟な働き方を後押しする観点から、健全な発展に向けて取り組んでいくべき課題と認識をいたしております。

 一方、フリーランスと呼ばれる働き方は多様であり、労働政策上の保護や競争法による規律についてさまざまな議論があることも承知をいたしております。

 引き続き、内閣官房において、関係省庁と連携し、一元的に実態を把握、整理した上で、全世代型社会保障検討会議の最終報告に向けて検討を進めてまいります。

 さらに、新型コロナウイルス感染症については、まずは、感染拡大を防止し、その流行を早期に終息させるとともに、事業者の方々の資金繰り、雇用の維持、生活を守ることを当面最優先に、全力を挙げて取り組んでおります。

 具体的には、三月十日に発表した緊急対応策第二弾におきまして、小学校等の臨時休業により子供の世話を行うために、契約した仕事ができなくなった委託を受けて個人で仕事をする方へ支援金の支給や、特に生活が厳しい方々に対して、返済免除要件つきの個人向け緊急小口資金の特例の創設などの措置を盛り込み、フリーランスも含めた方々の生活維持のための支援として実行しているところでありますが、引き続き、しっかりと支援を行ってまいります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十一分散会

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 出席国務大臣

       厚生労働大臣  加藤 勝信君

       経済産業大臣  梶山 弘志君

       国務大臣    衛藤 晟一君

       国務大臣    西村 康稔君

 出席副大臣

       経済産業副大臣 松本 洋平君


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