衆議院

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第34号 令和3年6月15日(火曜日)

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令和三年六月十五日(火曜日)

    ―――――――――――――

  令和三年六月十五日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 菅内閣不信任決議案(安住淳君外四名提出)


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

武部新君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 安住淳君外四名提出、菅内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 武部新君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 菅内閣不信任決議案(安住淳君外四名提出)

議長(大島理森君) 菅内閣不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。枝野幸男君。

    ―――――――――――――

 菅内閣不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔枝野幸男君登壇〕

枝野幸男君 私は、立憲民主党・無所属、日本共産党及び国民民主党・無所属クラブを代表し、菅内閣不信任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。(拍手)

 まず、決議の案文を朗読します。

  本院は、菅内閣を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

 約一年半にわたるCOVID―19による戦後最大の危機の中、亡くなられた皆さんに心から哀悼の意を表しますとともに、大切な人を亡くされた皆さんに謹んでお悔やみを申し上げます。

 闘病されている皆さん、後遺症に苦しんでいる皆さんに、お見舞いを申し上げます。

 リスクを抱えながら、医療現場などで感染症と戦い、あるいは介護や保育を始めとするエッセンシャルワークに携わっていただいている皆さんに、敬意と感謝の意を表します。

 そして、生活に困窮されている皆さん、事業を断念せざるを得なかった皆さん、事業継続に困難を来している皆さん、御苦労をおかけしている国民全ての皆さんに、今日まで政府の対応を改めさせることができていないことをおわび申し上げます。

 一日も早く新しい政権をつくり、感染症対策を抜本的に転換して、命と暮らしを守る政治を実現することをお約束し、新しい政権の所信を示しながら、不信任の理由を申し述べます。

 感染症危機の中で、適切な支援を迅速に届けるために必要な補正予算や、感染状況やワクチン接種などの実態に即した法的措置の検討、そして、国民の不安に応えるための開かれた議論、国会が果たさなければならない案件は山積しています。

 菅内閣が不信任に値する理由はあまたありますが、戦後最大の危機の下で、野党が強く求めた会期延長を拒否し、明日国会を閉じようとしていることは、到底容認することができません。現実に目を背け、論戦から逃げ、国権の最高機関の機能を長期にわたって停止しようとしていることは、この一点だけでも有事のリーダーとして失格であります。

 総理御自身が十年前の東日本大震災の折に野党の中堅議員として申入れをした言葉、「いつ何時、不測の事態が起こらないとも限らない不透明な状況の中で、国会を閉会していたのでは無責任のそしりを免れない。」これをそっくりお返しいたします。ちなみに、十年前、私が官房長官を務めていた菅内閣は、こうした声に応えて、通常国会を七十日間延長しております。

 国会を閉じて、巷間言われているような九月まで、三か月にもわたる長期の政治空白をつくることは、無責任の極みであり、即刻その地位を去るよう強く求めます。

 感染症による歴史的な危機において、安倍政権も、そして菅政権も、ほどほどに感染防止し、ほどほどに経済支援という中途半端な対策に終始して、まさに二兎を追う者は一兎をも得ずという結果を招いています。国家的危機から国民の命と暮らしを守ることができず、その意思や責任感、危機感と緊張感すらうかがえないことが、菅内閣を信任できない最大の理由であります。

 感染拡大防止策の最大の失敗は、検査体制の遅れです。

 私たちは、昨年初めの初動段階から、PCRなどの検査体制を充実させるよう、繰り返し訴えてきました。初めのうち、政府は、検査の拡大そのものに消極的と言わざるを得ない対応でした。夏以降は、検査の拡大と言い出しましたが、当時の安倍総理自身が目詰まりと認めざるを得ない状況が続きました。検査能力の拡大は、こうした政府の無策を横目に、自治体や民間の努力によって進んできたものであります。

 感染症対策は、まず、感染者を早期発見し、隔離することから始まります。政府自身も、新たな感染者から感染ルートを解明するという積極的疫学調査が重要だと言っていましたが、十分な検査がなされなければ、感染ルートを解明できるはずがありません。

 今頃になって、政府は、東京オリンピック・パラリンピックに参加する選手などに対して繰り返しの検査を実施するとして、大会を安全、安心に開催できることの根拠としています。それならば、なぜ、野党から繰り返し強く求められてきたにもかかわらず、検査の拡大に本腰にならなかったのでしょうか。

 PCR検査だけでなく、感染ルートを速やかに解明するため、幅広く全ての感染者に直ちに実施できる全ゲノム解析も必要です。検査を実施し、結果を集約する保健所などの体制も強化しなければなりません。

 これらの体制整備を一年半にわたって怠ったことは、それだけでも不信任に値します。

 新しい政権では、官邸に設ける強力な司令塔の下で、厚生労働省と国立感染症研究所というラインにとらわれることなく、民間も含めた幅広い能力を結集させ、必要なときに誰でもすぐに受けられるPCR検査、全ての感染者とその周辺に幅広く実施できる全ゲノム解析という体制を確立いたします。

 感染拡大防止策の二つ目の失敗は、水際対策です。

 昨年の初め、中国での感染が拡大している状況で、政府は、春節による観光客の大量来日に期待したのか、それとも習近平国家主席の来日に忖度したのか、米国などから一か月遅れた三月五日まで、中国本土からの入国禁止措置を取りませんでした。初動における決定的な失敗です。

 政府は、その後も同じように後手に回り続け、著しく大甘な水際対策で、新たな変異株が日本で広がることを食い止めることができていません。

 菅政権は、水際対策だけは極端な性善説に立ち、隔離期間が不十分なだけでなく、自分で手配した交通手段で移動し、自宅や自分の責任で手配したホテルなどで待機するよう求めることを、水際対策であると称してきました。これでは徹底できないのも当然です。

 本腰を入れない中途半端な水際対策で、変異株が日本に入ってくることを止められなかったことが、多くの命を失わせました。

 新政権では、これまで提案してきたとおり、入国者に対して、少なくとも十日間以上、ホテルなどでの隔離を求めることとし、水際対策を抜本的に強化いたします。

 感染拡大防止策の第三の問題は、医療や介護を始めとするエッセンシャルワークへの支援を怠り、医療崩壊を招くとともに、高齢者施設などでのクラスター発生などを繰り返したことであります。

 保健所を含めた医療提供体制や介護サービスなどの現場は、これまでも、徹底した効率化を求められ、余力のないぎりぎりの状態でした。特に、そこで働く多くの皆さんが、重労働、長時間労働であるのに、非正規で低賃金という状況に置かれてきました。

 こうした皆さんは、自らが感染するかもしれないという不安と戦いながら、ふだん以上の長時間労働、重労働となり、肉体的にも精神的にも限界を超えています。クラスターが発生した高齢者施設などでは、入院もできず、十分な医療を提供できない中で、次々と人が亡くなっていく現実を目の当たりにして、心が折れそうだという声が上がっています。

 総理には、こうした皆さんの叫びが届いていないのですか。政治の大きな責任を感じませんか。日本の医療や介護などのエッセンシャルサービスは、こうした現場の皆さんの使命感だけに支えられ、システムとしては崩壊していると言っても過言ではありません。

 政治にできるのは、現場の声に寄り添い、現場の皆さんの負担が少しでも小さくなるよう、人員の増強を含めた予算的な裏づけを取ること、そして、お金で代えられるものではありませんが、せめて感謝の気持ちを慰労金のような形で示すことです。

 現場の御苦労に寄り添う意思を全く示そうとせず、医療提供の不足などを解消できずに医療崩壊や介護崩壊を招いてきた菅政権は、到底信任できません。

 新政権では、これまで繰り返し提案してきたとおり、医療や介護などに対する使い勝手のよい広範で包括的な支援金や、従事する皆さんに対する慰労金を急ぐとともに、医療などを削減してきた方向を百八十度転換し、命と暮らしを支えるための仕事に携わる皆さんの賃金や労働条件を改善して、危機にも対応できる、支え合う社会をつくってまいります。

 第四の、そして全体を通じた深刻な問題は、事態を根拠なく楽観し、繰り返し対応が後手に回る一方で、その解除だけは拙速になってきたことです。

 GoToトラベルの中止が遅れたこと、一月の二度目の緊急事態宣言が遅れたこと、三月の解除が早過ぎて、あっという間のリバウンドを招いたこと。いずれも、私は、それに先立ち、国会の場で、一日も早い中止を、緊急事態の宣言を、そして解除せずに延長をと求めましたが、菅総理は、私だけでなく多くの皆さんから出ていた警告を無視して、感染を広げました。

 総理は、何かというと、専門家の意見を聞いたと強調しますが、専門家と政治的リーダーの役割分担を理解しておられません。

 専門家は、リーダーの判断を正当化するための道具ではありません。政治が正しい判断ができるように、判断材料を提供するのが専門家です。そもそもが、あまたいる専門家から誰に助言を求めるのかという選択自体がリーダーの責任と判断です。専門家の間でも全てのテーマについて意見が一致しているわけではありませんから、どの意見を科学的であるとして採用するのかもリーダーの責任です。

 遅れた判断も、早過ぎる解除も、国民と社会に多大な影響を及ぼす、まさに政治そのものです。その判断を専門家に丸投げするかのような発言を繰り返し、専門家を自己正当化の道具に使っている菅総理は、政治を担うという基本的な責任を放棄していると言わざるを得ません。一日も早く、担い切れない政治からお引き取りください。

 新政権では、政治が判断するのに先立って専門家から意見を伺い、公開された専門家の意見を踏まえながら、最終的には自らの責任と判断で結論を出すという、本来の政治を取り戻してまいります。

 私は、国民の命と暮らしを守るため、今年の二月、それまで繰り返し提案してきた内容を整理し、ゼロコロナ戦略として取りまとめ、提案しました。

 ゼロコロナ戦略は、感染者の数を一定水準以下に減らし、新たな感染者が出ても、感染ルートを速やかに把握し、感染拡大を防ぐことができる状態にしておくことをいいます。この状態を保つことができれば、感染拡大の繰り返しを防ぎ、経済社会活動を順調に回復させることができます。現に、台湾、オーストラリア、ニュージーランドが、同様の戦略で感染の封じ込めに成功し、経済もいち早く順調に回復しています。

 総理は、党首討論で、ロックダウンを行った国々でも感染爆発を繰り返しているなどと発言されました。しかし、封じ込めに成功した国から何を学ぶかこそが重要であって、封じ込めできなかった国の話を延々とすることに一体何の意味があるのでしょうか。

 そもそも、ロックダウンという強力な措置で感染を減らすのか、日本のような自粛などの協力を求める方法を取るのかは、リバウンドとは直接関係ありません。問題は、解除のタイミングです。

 ロックダウン措置を取った多くの国々と日本との間で、感染者が減っていくスピードにおいて、実は本質的な違いはありません。日本では、強い措置を取らなくても、国民の皆さんの協力で一定の成果を上げてきたのです。その国民の皆さんの努力を早過ぎるリバウンドで無にしてきたのが菅政権なのであります。

 ワクチン接種が総理の言うようなペースで順調に進んだとしても、集団免疫の効果が生じるのは秋以降になります。より強い感染力を持つとされるデルタ株の広がりも心配され、今のような状況をあと三か月も四か月も続けることはできません。

 感染者が減少傾向にある今こそ、ゼロコロナ戦略を推進するチャンスです。新しい政権では、例えば東京なら、一日当たりの新規感染者数が安定的に百人を下回り、五十人程度になるまで、もう少しだけ我慢します。その分、事業者や生活困窮者の皆さんに追加の支援金を速やかに支給します。今回こそ、ゼロコロナ戦略に基づき感染を封じ込め、通常に近い社会経済活動を早期に取り戻し、国民生活と経済を再生させます。

 この間、政府・与党の中から、憲法に緊急事態条項がないから強力な私権制限ができないという妄言が聞こえてきます。加藤官房長官に至っては、COVID―19による危機を、憲法改正に向けた絶好の契機とまでおっしゃいました。憲法に対する無知蒙昧ぶりを示すのみならず、多くの方が命を落とし、苦しんでいる中で、不謹慎の極みであります。

 日本国憲法は、公共の福祉に反しない限度で人権を保障しています。一人一人の人権がぶつかり合う場面での調整が不可避である以上、より重要な人権を守るために必要な範囲で他方の人権が制約されるのは、人権そのものに内在した当然の法理です。

 感染症危機においては、命という全ての人権の前提となる最重要の人権が危機にさらされているのでありますから、合理的な範囲で経済的自由権が制約されるのは当然ですし、より重い移動の自由であっても、必要不可欠な範囲で制約されます。

 現行の感染症法や災害対策基本法、原子力災害対策特別措置法などにおいても、経済的自由権を制約したり、必要不可欠な範囲で移動、居住の権利を制約したりできる規定が存在しています。私自身、多くの皆さんに御苦労と御迷惑をおかけしましたが、東京電力福島第一原子力発電所事故に際して、原子力災害対策特別措置法に基づく立ち退きや立入禁止の措置に関与しました。その措置の一部は、残念であり、また申し訳ないことでありますが、現在も続いています。

 そもそも、政府・与党は、現行の新型インフルエンザ特措法などに基づく私権制限などの措置を全面的には使っておらず、また、より強力な私権制限が必要があるとして法律案などが提案されたことも、いや、そうしたことの打診すらされたことはありません。

 今できることをやりもしないで、必要のない憲法の話をするのは、こうした法学部の一年生レベルの憲法の基本認識が欠けているほど憲法や法制度に対して無知なのですか。それなら、そもそも、憲法に基づいて行政権を担うに値するものではありません。それとも、憲法典を変えたいから、わざと今できることに目を向けていないのですか。それなら、国家的な危機まで、自分たちの政治目的のために犠牲にしようとする姿勢であり、到底信任に値しません。

 この間、COVID―19は多くの皆さんの事業と暮らしに大きな打撃を与えています。政府による事業支援策は、対象の限定されたものが継ぎはぎされたパッチワークのような状態で、手続に大変な手間と時間がかかり、継ぎはぎの隙間から必要な支援がこぼれ落ち、届いていない方がたくさんいます。

 例えば、飲食店への支援は、全体の規模が不十分であるとともに、ばらつきによる不公平感も大きくなっています。酒類の提供が止まっていることで、納入業者や酒造メーカー、酒蔵などはもとより、米作り農家や容器包装業者、中小の運送業者など、多くの皆さんに多大な影響が出ていますが、その大部分の皆さんに支援が届いていません。

 緊急事態宣言などが出ていない地域も含め、観光やイベント関連など様々な分野に深刻な影響が出ていますが、こうした皆さんへの支援も継ぎはぎの隙間からこぼれ落ちています。こうした分野は、非正規雇用やフリーランスの方も多く、事業継続が困難になると同時に生活困窮に直結している方が少なくありません。

 感染症拡大による厳しい経営環境の中で、昨年支給された持続化給付金は事業者の支えとなりました。しかし、今年二月、第三波が続く中で、政府は持続化給付金の申請を締め切ってしまいました。

 新政権では、これまで議員立法で法案も提出して繰り返し求めてきたように、給付要件を緩和し対象を拡大すること、事業規模に応じた加算を検討すること、不正受給の防止の対策を施すなどのバージョンアップを加えた上で、持続化給付金を再給付します。家賃支援給付金を含め、八兆円規模の予算を充て、速やかに包括的な事業者支援を講じます。

 私たちがこうした具体的な提案を繰り返しているにもかかわらず、事業者の困窮に目を向けず、必要な対応を取らない菅内閣は、到底信任できるものではありません。

 生活支援も、その対象が著しく限定され、収入が大幅に減少していても、中間層を始めとして大部分の方には、十万円の特別定額給付金が一回ぽっきり支給されただけです。

 私は、昨年、この本会議場から、パッチワークからこぼれ落ちて支援が届いていない大学生からの、政治に私たちは見えていますかという声を紹介しました。

 このときにも感じましたが、COVID―19による影響が広範囲に及んでおり、私自身も気づいていない多くの場所で深刻な事態が生じています。だからこそ、できるだけ広範で包括的な支援策が必要であり、また、常に、支援が届いていない場がないか、真摯に受け止めようとする姿勢と努力が必要です。実際に、女性を中心として、自死する方の増加、生活保護を受ける方の増加など、支援の届いていない現実を示す数字は幾つも出ています。

 総理は、こうした現実に、真摯に向き合おうとしていません。先日の党首討論でも、支援が届いていない方について問うたにもかかわらず、総理は、マクロの数字を挙げるだけで、正面から答えようとしませんでした。こんな姿勢では、国民の命と、暮らすことなどできません。一刻も早く身を引くことを強く求めます。

 政府は、COVID―19の影響で納税が困難な方に対する税の納付猶予特例制度について、当初の予定どおり本年二月一日で打ち切ってしまいました。当初の利用見込み件数を大幅に下回ったことが打切りの理由だそうですが、全体で六十万件、額にして一・九兆円という、決して少なくない利用がありました。

 厚生年金保険料などの徴収も、国税の例によるとされているため、担保、延納金なしの納付猶予特例制度が打ち切られています。

 経済状況が好転しない中では、猶予されても納付できる体力自体がなかなか戻ってきません。新しい政権では、納付猶予特例制度の延長に加えて、減免措置を創設します。

 今施行されている令和三年度予算は、昨年十二月に編成されたものです。年末年始の第三波や、その後の第四波を踏まえたものではありません。COVID―19対応の予算は、予備費五兆円を除くと、ほとんどありません。

 総理は、令和二年度からの繰越予算が約三十兆円残っているので大丈夫だと説明しています。しかし、現行の支援策は、困難に直面する方々の隅々にまで行き届く内容になっていません。これを真に機能する支援策へとつくり変えるためには、財源的な裏打ちが必要であり、今すぐCOVID―19対応のための補正予算を編成することが不可欠であります。

 この夏に、感染力の強いデルタ株を含め、再び感染拡大が生じる可能性もあることを考えると、今補正予算を組んでおかなければならないことは誰の目にも明らかです。このままでは、新しい補正予算を組むことができるタイミングは、早くても秋になってしまいます。執行されるのは年末でしょう。国民の命と健康、暮らしを守るためには、到底待っていられません。

 この期に及んでも補正予算編成を先送りする菅内閣の姿勢は、国民の命と暮らしをないがしろにする許し難いものであります。

 私たちは、これらのことを、国会や政府・与野党連絡協議会の場などを通じて、政府に対し繰り返し提案してきました。COVID―19対策の不十分な部分を補うために、多くの議員立法も提出しました。

 昨年秋の臨時国会から現在の通常国会だけでも、立憲民主党がCOVID―19関連で提出した議員立法は十九本にもなります。与党は、ほとんどの法案をまともな審査も行わないままたなざらしにしています。

 新政権では、事業支援、生活支援、さらには医療支援について、網羅的、包括的な支援となるよう、パッチワークを抜本的かつ速やかに組み替え、簡易な手続で迅速に届けられるよう強化します。

 ここまで述べてきた持続化給付金の再交付などに加えて、特に、中間層を含めて疲弊している国民生活を支えるために、一つには、年収一千万円程度の方までは実質免除となる、大胆な規模で、時限的な所得税減税を断行します。二つ目に、こうした効果が十分に及ばない低所得の皆さんには、消費税五%の負担に相当する額以上を現金給付します。その上で、三つ目に、COVID―19による売上減少の影響を最も大きく受けている飲食や観光などの事業に最大の効果が出るよう、当たり前の日常を取り戻すことのできるタイミングを見据えて、国会と国民の理解を得ながら、税率五%への時限的な消費税減税を目指します。

 総理が力を入れているワクチン接種は、OECD、経済協力開発機構加盟三十七か国の中でも大きく後れを取っています。遅れを取り戻そうと、突如として、七月末までに高齢者接種を完了させると言い出し、一日百万回という目標を打ち出しましたが、接種完了の根拠や具体的な見通しは示されていません。

 厚生労働省の説明に基づくと、稼働日を週五日とした場合、七月末までに高齢者接種を完了するには、一日当たりでは約百五十七万回。土日を含めて接種するとしても、平均百十四万回接種できる体制が必要です。総理の言う百万回が実現できても、七月末の完了は無理です。

 六月七日の参議院決算委員会で、総理は、総接種回数が毎日八十万回前後増えている旨を発言し、私との九日の党首討論では、八日は百万回を超えてきたと述べられました。しかし、これらは、接種数ではなくて公表数であり、複数の接種回数がまとめて報告されたものが含まれた数字で、世論を惑わすミスリードと言わざるを得ません。

 今最も力を入れている政策に関してすら正確な情報発信できない総理は、到底総理としてふさわしいとは思えません。

 ワクチン接種については、歯科医師の皆さんに御協力をいただいています。こうした皆さんに敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 もっとも、政府は、接種の法的根拠について、歯科医師によるワクチン接種が形式的に医師法違反に該当する、つまり、構成要件に該当することを否定できずに、条文の直接の根拠なしに実質的違法性阻却を認めるという、一種の超法規的措置の位置づけをしています。政府のここまでの対応は、広い意味での緊急避難としてやむを得ないものであると理解しますが、緊急事態対応とはいえ、大規模かつ組織的に実施する以上、特例法などを制定するのが筋であるのも間違いありません。

 将来、接種に当たっていただいている歯科医師の方などに不測の御迷惑をかけることがないように、単なる行政通知を根拠とするのではなく、必要な立法措置を取るべきであります。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催について、総理は、最大のリスクである、開催による国内での感染拡大の可能性を直視していません。

 人の流れが多くなり、夜遅くまでテレビでオリンピック・パラリンピックが生中継されることになれば、そのさなかに、不要不急の外出や県境を越えた移動などについて自粛を呼びかけ、飲食店などに営業停止や営業時間短縮を求めても、全く説得力はありません。特に、深刻な影響を受け続けている飲食店や観光関連の皆さんには、到底受け入れられるものではありません。テレワークの要請についても疑問の声が上がっています。

 第三波も第四波も、感染者が急増し医療崩壊に至るまで僅か一か月程度でした。ただでさえ、いずれ緊急事態宣言などが解除されれば、この間の自粛の反動が出ます。そして、オリンピックには夏休みが重なります。いわゆる、緩む事態となり、オリンピック・パラリンピック前後の約二か月の間に感染者が急増するおそれが相当高いと言わざるを得ません。

 先日の党首討論において、このことを総理にお尋ねしたところ、五十七年前の東京オリンピックの思い出をとうとうと語られました。私も、世界の頂点に立つために努力を重ねてきた選手の皆さんなどを思うと、その舞台を提供したい気持ちはやまやまです。それは、開催に反対している皆さんも含めて、多くの国民の皆さんも同じ気持ちではないでしょうか。

 しかし、国民の命には代えられません。オリンピック開催による感染拡大リスクについて、納得できる説明どころか、説明そのものが党首討論において一切ありませんでした。

 G7サミットで開催への賛同を受けたと言いたいのでしょうが、各国首脳は、参加する自国選手などの安全には責任を持っているかもしれませんが、日本の国内における日本国民の命と暮らしには責任を負っていません。総理は、その責任の違いを理解できないのでしょうか。

 今ならぎりぎり間に合います。IOCなどとの間で、開催の一年延期や、やむを得ない場合は中止を含めて、真摯に交渉すべきです。

 党首討論で、国民の期待する安全、安心の根拠を語ることなく、自己満足の昔話にうつつを抜かしたことを含め、国民の命と暮らしを守るという最大の責任を自覚せず、人ごとのような姿勢で、オリンピック・パラリンピック開催による命と暮らしの危機に向き合おうとしない姿勢は、不信任に値すると言わざるを得ません。

 オリンピックに関連しては、学校連携観戦プログラムの扱いがはっきりしません。

 最大八十一万人の子供たちが動員されると言われていますが、感染症さえなければ、子供たちが広くオリンピックに関わる機会を設ける上で大変意義のある事業だったと思います。

 しかし、残念ながら、現在は状況が全く異なります。観戦そのものに加えて、移動中を含めた感染のリスクなどを考えると、参加したくないという子供や参加させたくないという保護者がいるのも当然です。私の地元さいたま市を始め、取りやめの判断が広がっているのもやむを得ないことです。

 しかし、いまだに全体の方向性は示されていません。私も、中学生の双子の親です。周囲には、もし強行されて、参加しなかった場合、欠席扱いになったり、内申書に影響するのではないかと心配している保護者が少なくありません。

 もし、このプログラムが実施される場合でも、参加を望まない子供や保護者の意思が尊重されること、そして、参加しない場合に、欠席扱いなどの一切の不利益を与えないことだけは明確にすべきです。

 先ほど、そんなことないよというやじが飛びましたが、教育の現場、御存じないんじゃないですか。残念ながら、上からのプレッシャーを受けて、生徒を従わせなければならないので、実は、紙で残すとまた後でいろいろ言われるから、口頭でプレッシャーをかけている、その現実、現に存在しているその声、直接、私はたくさん聞いています。現実を見ないで、つまらぬやじは言わないでください。

 昨年、現場に何の前触れもなく一斉休校を迫ったのは政府ですから、教育委員会の判断などと逃げることは許されません。

 感染症対策で間違い続けている背景には、菅総理が、一貫して、正常性バイアスに陥り、根拠なき楽観論に立ち続けていることがあります。

 危機においては、誰でも、現実を受け止めることができずに、正常と変わりないのだと思い込む傾向があり、正常性バイアスと呼ばれます。

 しかし、国家の危機において、リーダーが正常性バイアスに陥ることは許されません。より悪い事態を想定して先手を打つことでこそ、国民の命と暮らしを守ることができます。

 私は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の経験に基づき、このことを繰り返し指摘してきました。あのとき、私は、正常性バイアスに陥らないようにと強く意識して対応に当たりましたが、それでも、事態の悪化するスピードが速く、大変苦慮し、多くの皆さん、特に福島の皆さんに大変な御苦労をおかけしました。

 早過ぎたGoToキャンペーンや緊急事態宣言の遅れと拙速な解除など、根拠なき楽観論に基づく判断がことごとく間違いであったことは、結果が示しています。その背景にある正常性バイアスを含めて、一年以上にわたって指摘し続けてきたにもかかわらず、今また、根拠なき楽観論に基づいて東京オリンピック・パラリンピック開催を強行しようとする姿を前にして、もはや、改善を求めても、聞き入れる能力自体が足りないのだと断じざるを得ません。

 安倍、菅政権を通じた感染症対策全体の決定的な間違いは、司令塔が不在であるために、政府としての一貫的な戦略、戦術が存在せず、それらしきものが示されても徹底していないことにあります。

 ワクチンを含めた感染症対策の本体を担うのは厚生労働省ですが、現場を担う地方自治体との連絡調整は、基本的に総務省の担当です。大学や研究所などは文部科学省。影響を受ける様々な事業の所管は、幅広い役所にまたがります。

 ただでさえ、各省間の調整や自治体との調整には、多大な時間とエネルギーが必要です。平時なら事務レベルから時間をかけて進められますが、危機においては、その時間的余裕がありません。

 それなのに、インフルエンザ特措法の改正を担当した経済財政担当大臣が、その後も、一見すると全体を統括しているかのような立場で存在し続け、ワクチン接種に規制改革担当が登場して、医療関係だけでも更に複雑化し、権限と責任の所在が分からなくなっています。逆に、全体を総括的に把握して調整すべき官房長官の存在感は、安倍内閣の菅長官の時代から一貫して希薄であります。

 GoToトラベルは、所管する観光庁、国土交通省として観光関連産業を守るための政策としては当然に考え得るものですが、感染拡大を防ぐという見地に基づく十分な調整がないまま進められた結果、感染拡大で関係事業者にもかえって大きな損害を与えました。

 一斉休校は、厚生労働省が所管する放課後児童クラブや保育所など、子育て支援の現場と関係者に大きな影響を与えるにもかかわらず、全くの調整なく、いきなり打ち出されたために、関係者に大混乱を招きました。

 事業者などに対する支援策や生活支援策が、使い勝手の悪い、継ぎはぎだらけのパッチワーク状態となり、多くの方に支援が届いていないのも、省庁ごとに考えられた政策が、総合調整されずに進められてきたからです。

 第二次安倍政権以降、官邸主導という言葉が躍り、菅官房長官が取り仕切ってきた官邸に対しては、むしろ強過ぎることの問題が指摘されてきました。

 ところが、COVID―19に関しては、一貫して、全くと言っていいほど、存在感がなく、機能していません。時々、思い出したかのように思いつきのようなトップダウンの方針が示されますが、それも本来なされるべき内閣官房による事前調整が存在しないため、混乱を招くばかりでありました。

 一年半たっても司令塔機能を確立できず、総合的な、戦略的な調整のできない菅内閣では、適切なCOVID―19対策など、到底期待できません。

 十年前、震災直後の週末、週明けの月曜日、三月十四日から首都圏で計画停電を行うという報告が、当時官房長官であった私の下に届きました。

 電力不足という現実から、計画停電はやむを得ないものの、停電となり、鉄道が止まれば国土交通省、銀行業務が止まれば大混乱が生じる金融庁、関係行政機関等との調整に追われました。

 特に、不意の停電によって人工呼吸器が突然停止するなど、命の危機にさらされる方が出る可能性があったため、関係者に対する連絡など、厚生労働省に対応を急いでもらいました。

 準備のために停電の開始はできるだけ遅らせたいと、計画停電がなくても電力消費量が限界を超えないよう、大口需要者に対する個別の節電要請を経済産業省や東京電力に強く指示するなど、計画停電初日となる十四日月曜日の朝まで、ほぼ徹夜での調整を続けました。経済産業省が横並びの各省と短時間で調整できる状況ではなく、官房長官と内閣官房の権限と能力をフル稼働させました。

 震災を含めた被災者の生活支援についても、当時の仙谷官房副長官の下に各省からの幹部を含めたチームをつくり、隙間からこぼれ落ちる課題を出さないように、また、縦割りの壁が障害をもたらさないように、総合調整を進めてもらいました。その仕組みは、その後の政権にも引き継がれていますが、自然災害ではないというその理由で、COVID対策としての生活支援には生かされていません。

 私は、こうした経験と教訓を生かし、政権をお預かりしたならば、直ちに、継ぎはぎだらけの体制と権限を、総理直轄で官房長官が担当する司令塔へと再編、集約し、各省から事務方の幹部を集めた強力なチームを編成して、迅速な総合調整を進め、戦略的で効果的な対策を実現いたします。

 菅政権は、COVID―19の感染拡大で生じた国民生活の危機を考慮することなく、医療や国民生活を脅かす政策を強行しました。この点でも、現状認識と危機感が欠如しており、到底信任に値しません。

 一つに、感染症による受診抑制が問題になっている中で、健康保険法等を改正し、単身世帯で年収二百万円以上の後期高齢者の医療費窓口負担割合を一割から二割に引き上げました。必要な医療が受けられないかもしれないという不安が国民の間に広がっている中で、受診抑制を引き起こしかねない窓口負担割合の引上げを議論すること自体が、タイミングとして不適切であります。

 後期高齢者医療保険制度を持続可能なものとしていくために、現役世代の負担軽減策は必要です。そのため、立憲民主党は、病気の方が受診する際の窓口負担を増やすのではなく、保険料賦課限度額の引上げによる応能負担の強化と一部国費の充当によって、政府試算と同程度に現役世代の負担を軽減する対案も提出しています。

 こうした指摘を踏まえた十分な議論をせず、政府案を強行採決した菅内閣は、到底信任できるものではありません。

 二つ目に、少しでも病床を確保しなければならない感染症危機の中、医療法等の改悪を強行し、病床の削減などを行った医療機関に財政支援する仕組みを設けました。感染症危機の今、なぜ大きな予算をかけて病床の削減などを促進するのか。逆じゃありませんか。全く理解できません。

 加えて、児童手当法も改悪され、約六十一万人の子供たちが支給対象から外されることになりました。

 対象となる世帯は、高校授業料の無償化など他の子育て支援策についてもほとんど恩恵を受けていない世帯であり、唯一とも言える児童手当が削減されることになります。

 また、この所得制限で浮いた予算を待機児童対策に充てるとしていますが、そもそも、我が国の家族関係社会支出は、先進国の中で最も低い水準にあり、欧州各国と比べると半分程度しかありません。同じ子ども・子育て予算の中から振り分けるのではなく、全体を大胆に予算拡充すべきです。

 政府・与党は、子ども・子育て政策を一元的に担う省庁設置の議論をスタートさせるそうですが、新たな行政組織の箱をつくるだけでは問題解決にはつながりません。日本にとって最も本質的な課題である子育て支援について、こうした上辺だけの対策に終始し、本質的には逆行することを進めているようでは、菅内閣を信任することは到底できません。

 新政権では、全ての子供たちの育ちを全ての国民で支えるという普遍主義の理念に基づき、児童手当の所得制限を撤廃し、その対象に高校生を加えることを目指してまいります。

 菅内閣を信任できない理由は、COVID―19対策だけではありません。代表的なものを六点申し上げます。

 その第一は、人権問題に対する感度の決定的な鈍さです。

 いわゆるLGBT法案は、超党派の議員連盟で了承され、立憲民主党でも、不十分ながら一定の前進が見られるとして、党内了解しました。野党のほか、公明党でも党内手続が終わっており、あとは自民党さえ了承すれば今国会で成立が望めるという状況です。

 差別を許さないという法案の基本理念は、時代や国境を超えた普遍の理念であり、五輪憲章にも明示されている内容です。

 五年以上にわたって超党派で議論されてきたものであり、その成立はLGBTなど性的マイノリティー当事者の皆さんの悲願です。あと一歩というところで、なぜ成立のためにできることをしないのでしょうか。

 世界経済フォーラムの公表している日本のジェンダーギャップ指数は、百五十六か国中百二十位と、極めて立ち遅れています。その象徴が、夫婦で同じ氏を名のることが強制され、別姓が選択できないことです。このことによる不利益は、多くの場合、女性に押しつけられています。

 国連の女性差別撤廃条約委員会は、日本に対し、繰り返し、選択的夫婦別姓の導入を求めています。日本政府は、この求めに応じようとせず、その合理的な理由すら示していません。二〇一八年に提出された国連の文書に至っては、日本語訳もされず、担当省庁へも送られないまま、数年間放置されていました。

 このような政府の姿勢は、日本に対する国際的な信頼を低下させるとともに、ジェンダーギャップによる当事者の不利益や日本社会の後進性を放置するものです。

 しかも、菅総理は、今年二月、選択的夫婦別姓の導入について明確な反対意思を示している丸川珠代議員を、よりによって男女共同参画担当大臣に任命しました。これではジェンダーギャップ解消など望むべくもありません。そもそも、やる気がないんです。

 収容を開始した昨年八月にはお元気であったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが、僅か半年余りでなぜ三十三年の生涯を閉じることになったのか、原因究明と対策が不可欠です。

 真相究明に向けて、最も客観的で中立的な資料である名古屋入管のビデオ記録、監視カメラ映像の開示を求めてきましたが、政府は拒否を続けています。見られては困る映像が映っているのではないかと、出入国在留管理庁に対する不信が更に強まっています。

 出入国在留管理庁の存在意義そのものが問われています。こうした事態を放置している菅内閣を到底信任することはできません。

 特定商取引法と預託法については、ジャパンライフなど巨額の消費者被害を生み出した販売預託商法を原則禁止にするなど、消費者団体や弁護士団体が切に願ってきた法改正が予定されていました。

 しかし、消費者委員会での議論もないまま、契約書面などの電子化を可能とする内容が突如として入り込んできました。過去、業界団体や規制改革推進会議などから導入の可否について照会があった際に、消費者庁が一貫して不可としてきたものです。それが、なぜか、消費者庁の内部や消費者委員会で議論しないまま、突然に方向転換させられました。

 消費者庁が本来の役割を果たせずにいることを放置し、消費者保護に逆行する法改正を強行したことは、内閣の責任放棄にほかなりません。

 LGBTの皆さんへの差別を禁止することも、選択的夫婦別姓の実現も、そして消費者保護の推進すら、自民党政権には期待することができません。

 私は、二十八年前、一九九三年、平成五年の総選挙に初出馬して初当選したとき、三つの公約を掲げました。一つは、当時最重要の争点であった政治改革の断行、二つ目は、消費者保護のための製造物責任法いわゆるPL法の制定、三つ目が、選択的夫婦別姓の実現でした。

 選択的夫婦別姓の実現と消費者保護は、私の政治活動の原点であり、ライフワークであります。自民党政権での前進に期待できないことが明らかになった以上、共通する価値観に基づき、LGBT平等法の制定とともに、新しい政権で選択的夫婦別姓を実現させ、消費者保護法制の更なる整備を進めてまいります。

 二つ目に、環境やエネルギー問題についても、菅政権は時代に逆行しており、不信任に値します。

 四月十三日に決定したALPS処理水の海洋放出については、COVID―19の影響もあり、地元福島県民を始め国民への説明の場や広く意見を聞く機会が十分に設けられませんでした。国民の理解も進んでおらず、風評被害対策についての具体策も示されていません。当面は陸上保管を継続しつつ、福島のみに負担を強いることのない処分方法の検討や新たな技術開発などについても十分に追求しないままの拙速な決定であります。

 福島のみならず日本の水産業全体に深刻な打撃を与えることが必至で、本格操業に向けて必死に積み上げてきた漁業者の努力が水泡に帰してしまいかねません。関係者からすれば築城十年落城一日の思いであり、福島県民を始め被災地に寄り添っていない菅内閣の象徴であります。

 将来世代のため、そして地球の未来のために、野心的な削減目標を掲げて、石炭火力に依存し続ける社会から早急に脱却しなければなりません。

 同時に、気候変動対策を名目に、原子力政策を時代に逆行させることは許されません。

 地球と人類の未来のために、温暖化対策を抜本的に強化するとともに、今を生きる国民が二度と東京電力福島第一原子力発電所事故のような危険にさらされることがないよう、原子力発電をやめることは、苦しくても同時進行で進めなければならない課題です。原子力発電には、何億年も先の人類に使用済核燃料を残すということにもなります。温暖化対策のためだからといって、目をつぶることはできません。

 菅内閣は、原発事故を受けて、自民党ですら認めてこざるを得なかった原発をやめていくという方向性を、温暖化対策という大義名分の下、喉元過ぎればと放棄しようとしており、到底信任できるものではありません。

 新しい政権では、原子力発電のない社会に向けて、不可逆的で明確な第一歩を踏み出し、原発に依存しない温室効果ガスの削減を強力に推進してまいります。

 第三に、外交や安全保障問題でも、菅内閣の姿勢では、我が国の国益を守り、国民生活を守ることができません。

 菅総理は、二〇一八年十月から拉致問題担当大臣を務めました。しかし、在任中の国会質疑はたった一度きり。その後、野党の強い求めに基づき、先週十一日にようやく委員会質疑が行われるまで、政府・与党は二年にわたって拉致問題特別委員会での質疑を避けていました。

 被害者家族の皆様や支援者の方々の、残された時間は長くないという悲痛なお気持ちを、菅総理が本当に理解しているとは到底思えません。

 さらに、我が国は、国際社会において、どの国よりも先頭に立ち、北朝鮮の拉致問題、人権侵害について強く非難すべき立場です。これまで、北朝鮮の人権侵害を非難する決議案を国連総会にEU、欧州連合と共同提出してきました。ところが、菅担当大臣、菅総理の下、二〇一九年、二〇二〇年の決議については、共同提出国にならず、決議を支持する共同提案国にとどめるなど、理解に苦しむ対応をしました。

 このような、まるでやる気の感じられない政権には即刻退陣していただかない限り、拉致問題は永久に解決しません。

 中国海警局の船舶が、一方的な主張に基づき、明白に我が国固有の領土である尖閣周辺領海に対して執拗な侵入を繰り返していることは、国際法違反であり、断じて容認できません。中国海警局の挑発活動は長期化しており、船舶も大型化され、装備も強化されています。今後も海上保安庁が優勢を保つため、また、不測の事態に備えるためにも、警備方針や体制整備について、これまで以上に現実的な検討が必要です。

 立憲民主党は、領域警備・海上保安体制強化法案を提出しています。この法案では、海上保安庁体制を強化するための計画策定を義務づけ、予算を確実に確保するために、計画を閣議決定することとしています。

 本来であれば、政府が率先して対応すべきことです。しかし、政府は、平成二十八年度に策定した海上保安庁の強化方針に基づいて着実に進めていますと言うばかりで、思考停止に陥っています。

 新政権では、既に提出している領域警備・海上保安体制強化法案をベースに、中国政府の意を酌んだと思われる民間船が大挙するなどの不測の事態に備えた法整備を進め、海上保安庁の体制も一層強化してまいります。

 他方で、菅内閣は、ピント外れの土地利用規制法案を提出し、短い審議時間で、衆議院では何と強行採決しました。

 この法案では、重要施設の周り一キロ以内の土地について、調査を可能とするだけで、悪意ある利用が明らかになったからといっても、国による土地の買入れの申入れしかできず、そもそも実効性が全くありません。重要施設や生活関連施設などの定義や調査対象区域の範囲も明確でなく、むしろ運用によって悪用が容易なでき損ないの法案です。自由な経済活動や不動産の価値などにも大きな影響が出かねないと言われており、立法事実についてすら、政府の答弁が二転三転し、最後まで明らかになっていません。地方自治体から検討が求められてきた水源地や農地の保全などについても、本法案では全く対象となっていません。

 ポーズだけで、我が国を守るための政策を真剣に検討していないことの表れがこうしたでき損ないの法案であり、撤回して再検討し、真に必要な範囲で、効果的な法案として出し直すべきであります。

 政府は、イージス・アショアについても大失態を繰り返し、時間とコストを無駄にして、防衛力整備に大きな不安を抱かせました。

 さらに、我が国の主力戦闘機F15について、二〇一九年の中期防衛計画で、南西諸島の防衛力を高める重要な柱と位置づけ、二七年度までに二十機の改修を順次終える計画でした。ところが、アメリカ側が当初計画の三倍となる二千四百億円を要求してきたため、予算の執行が見送られ、米国と再交渉していると伝えられています。想定の甘さが目に余ります。

 こんな政権に防衛力の整備を任せていたら、湯水のごとく税金を使いながら、ちぐはぐで中途半端な装備しかできず、日本の防衛力は落ちていきます。即刻退陣いただかなければ、我が国の平和と安全が確保できません。

 第四に、いわゆる政治と金の問題などの不祥事についても、深刻な事件が次々と明るみになっているにもかかわらず、その改善に向けた菅総理の姿勢は全く後ろ向きで、到底信任に値しません。

 夫婦そろっての前代未聞の選挙買収事件が、よりによって法務大臣だった河井氏によって引き起こされました。二人とも議員辞職をしたのは当然ですが、遅きに失し、多額の歳費をいわば持ち逃げしたような状況です。

 更に問題なのは、自民党がこの選挙に一億五千万円という巨額な資金を投入したこと、そして、会計責任者によれば、その資金が買収の原資になっていたということです。幹事長も選対委員長も、一億五千万円の支出に関与していないと言い放ちました。じゃ、誰なんですかね。当時の安倍総裁なんでしょうか。

 カニにメロンに現金にと、よくもこれだけばらまいたものだとあきれ返る醜態をさらした菅原元経済産業大臣は、事件の発覚で大臣を辞任しましたが、自民党は、ほとぼりが冷めたと思ったのか、何と厚生労働委員会の与党筆頭理事という要職に就け、挙げ句の果てに、最後は議員辞職に追い込まれました。

 吉川元農林水産大臣によるアキタフーズ事件は、直接の利害関係者として鶏卵業界が農林水産省に食い込み、事もあろうに大臣室で現金の授受が行われていたという、これもあきれるほかない事件です。吉川氏の議員辞職も当然ですが、農林水産省による第三者調査と称するものも、吉川氏本人や西川元農水大臣、アキタフーズ元代表から聞き取りをしておらず、極めて不十分なものです。

 いずれも、形式的なミスなどとは全く異なる、極めて悪質で大規模な買収、汚職事件です。しかも、直近まで大臣を務めていた自民党議員が別々の案件で三人も議員辞職に追い込まれました。政治と金の問題は、きれいになったどころではありません。限りなく深刻化しています。

 菅総理の総務大臣時代の秘書官でもあった長男が勤める東北新社に加えてNTTグループからも総務省幹部らが多額な接待を繰り返し受けていたことが判明しました。

 総理は、息子は民間人、私人だと主張し、プライバシーを盾に答弁を事実上拒否してきましたが、安倍昭恵氏を私人認定して追及から逃げた安倍前総理と全く一緒です。長男を通じて衛星放送などの事業拡大を狙った東北新社と、忖度して接待に応じれば出世の道も開けると計算したのか、逆に、断ったらそれが塞がれると思ったのか、官僚たちの双方の思惑が癒着につながったと言われても仕方ありません。

 武田大臣とNTTとの会食も報じられ、ようやく認めたと思ったら、誠実さのかけらもない同じ答弁を何度も何度も繰り返し、関係業者と会食で一緒になっても、国民の疑念を招いていないと開き直る始末です。

 国民のために働くといいながら、総理の肝煎りである通信や放送分野で癒着が相次ぎ、国民のためではなく、身内のために働いていることがはっきりしました。

 森友問題では、安倍前総理の国会答弁に端を発し、公文書の改ざんを命じられた財務省近畿財務局職員の赤木さんが自ら命を絶っています。御遺族も含め、どんなに無念だったか、政治に関わる者全てが真摯に受け止めなければなりません。

 安倍政権以来の隠蔽、捏造、改ざん体質は許し難いものですが、せめて赤木さんの残されたファイルを公開し、真相を明らかにすることが、国家としての最低限の責任です。

 官房長官当時、加計学園の愛媛県文書を怪文書だと言ってのけた菅総理です。数々の疑惑に正面から対応しようとしない菅政権の体質は、前政権から引き継がれた本質であると断ぜざるを得ません。菅政権を終わらせ、この隠蔽、捏造、改ざん体質と決別することが、政治への信頼を回復させるための最低限の前提であります。

 新しい政権では、内閣官房に総理直轄の真相究明チームをつくり、森友、加計問題や桜を見る会問題などについて、必要な情報を全て開示して真相を究明します。隠蔽、改ざんなどができないよう、公文書管理制度と情報公開制度を抜本的に強化し、公文書記録管理院の設置を目指してまいります。

 菅総理肝煎りのカジノ導入も、当初の懸念どおり、様々な利権が絡み合う泥沼と化しています。IR担当の内閣府副大臣であったあきもと氏は、業者とずぶずぶの関係であることが明らかになり、事もあろうに保釈後に証人を買収しようとする悪辣ぶりです。

 政府は観光立国や経済成長の目玉と位置づけていますが、市民から金を巻き上げ、外国に送金するシステムと化すことは明らかです。カジノには、ギャンブル依存症の飛躍的な増大など、数々の弊害が指摘されています。政府は、パチンコを始めとする依存症対策にも十分対処できていないばかりか、こうした負の社会的コストについてしっかりとした試算をしていません。

 この意味でも、菅内閣は信任できるものではなく、新しい政権は、カジノ解禁の方針を撤回いたします。

 第五に、菅総理の非民主的で強権的な姿勢は、官僚システムなど、周囲にも大きな悪影響を及ぼし、取り返しのつかない深刻な事態を招いています。この点でも信任することはできません。

 今年三月下旬の時点で、十三府省庁二十三本の政府提出法案に条文や参考資料の誤りが見つかりました。さらには、RCEP附属書の誤り、貿易保険法では不適切事案が見つかって法案提出自体が見送られています。前代未聞の出来事であり、事態は極めて深刻です。

 ただ単に役所の皆さんの責任として矮小化することはできません。無理な日程での法案作成の指示など、菅総理周辺による間違った官邸主導政治の弊害がなかったか、懸念を抱かざるを得ません。

 安倍政権以来、当時の菅官房長官を中心とした官邸首脳に対し、多くの役所の公務員は忖度を余儀なくされてきました。違法行為を強要され、自ら命を絶つところまで追い込まれた赤木さんだけでなく、官邸に、特に菅官房長官、そして今は菅総理ににらまれると左遷されるという恐怖が霞が関を覆っています。

 その結果、日本最高のシンクタンクと言われていた官僚機構の政策能力が大幅に落ちていることを危惧せざるを得ません。相次ぐ条文ミスは、その氷山の一角です。

 私たちもかつて政治主導を唱えました。官僚の皆さんの意見と政治の判断が異なったとき、民主政治である以上、政治が判断し責任を負うのが基本です。しかし、逆らったから左遷するという私的感情に基づく対応は許されるものではなく、そうした印象を与えるだけでも、官僚のモチベーションが下がり、必要な指摘や提言が出てこなくなります。COVID―19対策が十分に機能しないことの背景には、各役所と官僚の皆さんの多くが、余計なことを言って、官邸に、菅官房長官に、菅総理ににらまれることを避けているためだと言われています。

 このような状態が長く続けば、意欲と能力のある若者が官僚を目指さなくなり、日本の行政能力が低下します。いや、既にその兆候は表れています。

 新政権では、内閣人事局による中央省庁の幹部職員人事制度を見直し、官邸による強過ぎる人事介入を抜本的に改め、官僚の皆さんが忖度なく意見具申でき、政治はそれを踏まえながら判断に責任を持つという、本来の適切な政官関係を取り戻してまいります。

 総理は、科学者の代表機関である日本学術会議が推薦した新会員について、百五人の推薦者のうち六人の任命を拒否するという暴挙に出ました。昨年九月十六日の就任早々、九月二十八日の決裁でした。

 内閣総理大臣が勝手に判断することはできない旨を規定した日本学術会議法に明らかに違反しています。一体誰が、どんな権限や基準に基づいて判断し、決裁したのか、任命拒否の理由が全く明らかになっていないにもかかわらず、政府・与党は、日本学術会議の体質に問題があるかのような、論点のすり替えさえ行っている始末です。

 独断で決める、反対者は許さない、説明責任なしという菅総理の政治体質が馬脚を現した象徴的な出来事です。菅内閣はスタートから信任に値しないものであったと言わざるを得ません。

 新しい政権は、発足後直ちに、任命を拒否されてきた六人の方について追加で新会員に任命いたします。

 安倍内閣から菅内閣へと続いてきた経済政策は、供給サイドを重視した従来型の対策に、より強いアクセルを踏み込んだものです。供給サイドの効率性を高めるために、競争を加速することが絶対的な正義とされ、規制を取り払い、低賃金で都合よく働いてくれる労働者が増やされてきました。当面のカンフル剤としての大胆な公共投資や金融緩和も繰り返されました。

 しかし、幾ら虚勢を張っても、安倍政権の八年間、COVID―19による影響が出る前の二〇一九年までを見ても、国内消費は伸びず、長期的な低迷傾向から抜け出すことができなかったのは客観的な事実です。

 この間の政策が、期待された効果をもたらさなかったのは、需要が不足しているのが根本的な原因であるのに、その需要を生み出し、掘り起こすための政策が決定的に欠けているからです。

 私は、安倍政権の時代から、繰り返し、こうした客観的な事実を指摘して、国内消費を喚起することを中心に据えた経済政策への転換を呼びかけてきました。しかし、菅総理は、こうした指摘に耳を傾けることなく、いたずらに時代遅れの安倍政権の路線を継承し、むしろ加速させようという姿勢さえうかがえます。これでは、いずれCOVID―19による影響が小さくなっても、反動増を超えた本格的で安定的な経済の回復は期待できません。

 第六に、経済運営の姿勢、こうした点でも菅内閣を信任することはできません。

 そもそも、人類は、産業革命以来の大きな転換点に立っています。日本も、産業構造が大きく変化し、明治維新以来の、大量生産で量的な生産性を向上させれば人々の暮らしをよくできるという近代化路線そのものが限界に達しています。

 二十世紀末頃から、世界はグローバル化が急激に進み、途上国から安い労働力が飛躍的な量とスピードで世界経済に参入しました。大量生産を可能にするということは、多くの場合、誰にでも生産できる体制に近づけることを意味します。新製品や新技術の研究や開発の段階では先進国に優位性があっても、量産体制に入れば、人件費の安い新興国に優位性が出てきます。最近は、近代化とグローバル化のスピードが速く、コンピューター技術など自動化の生産技術そのものも大幅に向上し、大量生産に限れば、新興国が先進国に追いつくまでのタイムラグが著しく小さくなっています。

 その結果、こうした分野では、供給過剰に陥りやすく、供給過剰は当然に価格の低下をもたらしますから、グローバル化によって、世界経済はデフレに陥りやすい状況が常態化しています。

 日本を含む先進国が、新興国とのコスト引下げ競争に勝ち、大量生産で稼ぐことが構造的に困難になっているのです。従来の路線を無理に進めるなら、この間、安倍、菅政権の下で続いてきたように、国内の労働単価を大幅に引き下げざるを得ず、国民生活の水準は間違いなく悪化していきます。

 感染症危機で明らかになった日本の経済、社会、行政の脆弱さの要因は、そして、この三十年近く、経済が低迷を続け、従来型の経済政策が思うような効果を上げていない根本的な原因は、こうした近代化の限界そのものです。限界に直面しながらも、それをごまかしてやり過ごそうと無理を重ねた結果が、感染症という現実の前で一気に露呈しています。

 今、求められているのは、従来の延長線上で過去の成功体験にすがるのではなく、より大きな視野で、私たちが直面している変化の本質と向き合い、限界を認めた上で、それを乗り越えるための模索と努力です。

 競争だけをあおり、自己責任や自助を強調して、役所や公的なサービスは小さいほどよいとしてきた改革と称するものは、昭和や平成のある時期までなら一定の意味を持っていました。私も、そうした傾向に流された時期があり、今深く反省をしています。しかし、こうした古い改革は、グローバル化による産業構造の変化によって、とっくの昔に時代遅れになっています。

 令和という新しい時代を迎えてはや二年、間もなく初めての政権選択選挙が行われます。今こそ、小さな政府論に代表される、時代遅れになった昭和や平成の古い改革という衣を脱ぎ捨て、令和という新しい時代にふさわしい支え合う社会をつくる。支え合う役割を果たし得る、機能する政治、行政へ転換する。その大きな第一歩を踏み出すべきときであります。

 世界的な産業構造の変化を踏まえれば、日本を含めた先進国では、規格大量生産を中心に置いた従来型の経済政策から、ディマンドサイドを重視した政策、消費を増やすことを柱とした政策へと大胆に転換しなければなりません。

 日本の経済議論では、なぜか消費性向という経済分析の基本が無視されてきました。消費性向は、一般に、所得が少ないほど高く、所得が増えるほど下がっていきます。低所得者の所得が底上げされれば、すぐに消費に回り、通貨の流通スピードが上がって、経済成長につながります。逆に、富裕層を更に豊かにしても消費にはつながりにくく、相対的に経済成長に与える効果は小さくなります。格差が拡大して中間層が減少し、貧困に陥る人が増えれば、消費は減少するのです。

 そこで、新しい政権では、COVID―19による経済危機を乗り越えつつ、次の段階を見据え、まずは、新しい時代に向けた経済改革の第一の柱として、所得税や法人税の抜本改革を中心に、政府による所得再分配機能を高め、分厚い中間層を取り戻します。

 必要な政策減税は残した上で、法人税に累進税率を導入します。所得税の最高税率を引き上げ、超過累進税率を導入します。金融所得の分離課税は、国際標準まで強化します。さらには、社会保険料についての月額上限を見直し、富裕層に相応の負担をお願いします。これらを支え合いの社会をつくる財源に充てるとともに、いわゆる給付つき税額控除、消費税相当額を事前に給付する制度を導入して、消費税の逆進性を抜本的に解消します。

 トリクルダウンは生じないとして所得再分配を重視する方向は、米国でもバイデン政権によって明確に示され、国際的な法人税率の下限が設けられるなど、既に世界の潮流となっています。日本だけが取り残されることは許されません。

 経済を活性化するために次に重要なのは、格差の拡大を防ぎ、その是正を図ることのできる経済構造の構築であり、賃金引下げ競争に終止符を打つことです。

 もっとも、国際競争にさらされている企業は、競争に勝つために、人件費を含むコストの引下げに走らざるを得ません。内需関連産業でも、購買力を高めるには賃金の引上げが必要である一方で、賃金引上げには売上げの増加、つまり消費者の購買力が高まることが前提となり、仮に強引に人件費を引き上げても、それに見合うだけの売上げがすぐに伸びるわけではありません。無理に進めれば、倒産や廃業を余儀なくされる企業が出てきます。

 そこで、新政権では、新しい時代に向けた経済政策の第二の柱として、公的なベーシックサービスに従事する比較的低賃金の皆さんの雇用を安定化し、十分な財政的な裏づけで賃金を引き上げます。

 介護や、放課後児童クラブを含めた保育、医療の多くの部分など、少子高齢社会の中で必要性が高く、COVID―19による危機の中でその脆弱さが明らかになった分野の多くは、低賃金と不安定雇用、慢性的な人手不足という状況にあります。非正規が圧倒的に多いハローワークの職員や消費生活相談員、図書館司書などまで含め、必要な公的サービスの現場を担う皆さんの賃金を底上げし、正規雇用を原則とします。最近は、自治体職員や教員まで無理に非正規化していますが、恒常的業務に就いているなら、原則として正規化します。

 これらの分野は、給与等の財源の大部分が公的支出に依拠しており、政治が資源配分を変えることで、分厚い中間層の復活を直接的に実現していくことができます。その上、老後や子育て、疾病などに対する将来不安を小さくするなど公的サービスの質を高めることができますから、そのことも消費意欲を高めていくことにつなげることができます。

 その上で、純粋な民間分野については、最低賃金制度など労働法制の整備、労働運動への間接的な支援、経済全体のハンドリングの中で、間接的に誘導します。大企業を先行させたり、中小企業、小規模事業者には補助をつけたりして、慎重かつ段階的に進めていきますが、労働法制を強化して正規雇用が原則という社会を再構築し、中長期的な経済の安定と発展を図ってまいります。

 新しい時代に向けた経済改革の第三の柱は、医療や介護、子育てなどの将来不安を小さくすることです。

 比較的豊かで資産のある高齢者の皆さんが積極的に消費しなければ、国内消費を伸ばして、経済の本格的な回復を図ることが不可能です。しかし、高齢者の多くは、相当豊かな方であっても、老後のために蓄えた預貯金を老後になっても使いません。その最大の原因は、介護や医療など将来の不安が大きいことにあります。

 老後の問題も、まずは自助だ、自己責任だとする風潮がありますし、老後の問題を家族の問題に引き戻し、介護は家庭内で何とかせよという自己責任論も聞こえます。

 しかし、自分が何歳まで生きるかを明確に予測することは誰にも不可能です。何年分の資金を用意し、何年で取り崩せばよいのか、誰も計算できません。自己責任を強調すればするほど、みんなができるだけ大きな貯蓄を持とうと消費を抑えます。高齢者どころか、老後が視野に入ってきた中年以上の世代まで含めて、ますます消費が冷え込みます。

 子供を持とうとするかどうかは、あくまでも個人の判断であり、加えて、経済のために子供が生まれてくるわけではないということは、幾ら強調しても強調し過ぎることはない大前提です。同時に、子供を持ちたい人がその希望をかなえることができて、子供の数が増えることは、結果的に、短期的にも中期的にも消費の拡大につながり、経済にプラスの効果をもたらすのも間違いありません。

 子育てや生殖補助医療を自助や自己責任として突き放すのではなく、社会全体で支え合い、その負担や不安を小さくすることは、子供を持つことを希望する個人にとってだけでなく、経済や社会全体に恩恵をもたらします。

 新しい政権では、必要なときに誰もが必要な医療や介護、さらには子育て支援などのサービスが受けられるよう、その供給量と質を確保します。こうした分野を支えるベーシックサービスの正規化と賃金引上げで、その質を高めつつ必要なサービス量を確保するとともに、無償化など誰もが必要なときに必要なサービスを受けられる体制をできるだけ早く整えることで、将来の不安を小さくし、安定的な消費の拡大と経済の成長へとつなげていきます。

 このように、私は、新しい政権で、自助や自己責任を強調する社会を転換し、支え合う社会をつくります。この支え合う社会は、時代の変化を踏まえ、経済の安定的な成長を実現するなど、社会全体に恩恵をもたらすもので、いわゆる弱者保護を強調する社会とは全く異なります。

 大多数の国民が一定の豊かさの拡大を享受できていた時代は去り、今は逆に、大部分の国民が、これまでの豊かさを維持できないかもしれないという不安、老後や子育てなどの将来の不安を抱いています。病気になったり、介護が必要になったり、子育てのサポートが必要になったりすることは、特別な弱者でなくても、誰の人生にも起こり得ることです。そうしたときに誰でも普通に暮らしていける社会にしなければなりません。

 だから、私は、弱者保護を強調する政治ではなく、お互いさまに支え合う政治を目指します。収入や資産の要件を問うことで弱者に限定した政策は、これからも必要でしょう。しかし、その対象となる弱者ができるだけ小さくなるように、弱者だからでなく、必要だからサポートするための政策を充実させてまいります。

 日本には、情けは人のためならずということわざがあります。人に親切にすると、巡り巡って自分にも恩恵があるのだから、親切にしよう。その実感を持てる社会が、私の目指す社会です。

 例えば、年金や介護などの制度で恩恵を受けるのは、高齢者だけではありません。親や祖父母に対する扶養や介護などの負担を軽減される現役世代にこそ、大きな恩恵があります。老後の不安を小さくするための政策を、高齢者のための政策と矮小化するべきでなく、ましてや、高齢者が気の毒だから充実させるものではありません。

 社会は、分かち合いと支え合う中で成り立っています。誰も一人では生きていけないし、一生を通じて自己責任だけで生きていける人など誰もいません。自己責任を強調する社会では、いざ自分が困ったときに支えを受けられず、痛い目に遭うことを、私たちはCOVID―19によって嫌というほど突きつけられました。

 私は、新しい政権の下で、お互いさまに支え合う仕組みを強化し、それによって、誰もが安心できる社会を再構築して、情けは人のためならずということわざの正しい意味を実感できる、そんな社会を実現してまいります。

 不信任の理由は尽きませんが、以上、その主なポイントを指摘し、それに代わる新しい政権の所信の一端を申し述べました。

 今、百年に一度という感染症危機を乗り越え、国民の命と暮らしを守るという政府の背負っている使命は、内閣制度の歴史全体を通じて見ても、日米、日中戦争を終わらせるという使命を背負い、これを成し遂げた鈴木貫太郎内閣に次ぐ、困難かつ重大なものと言っても過言ではありません。加えて、現在は、百五十年ぶりの社会構造の転換にも対応しなければなりません。

 総理がその使命を明確に認識し、危機感と責任感を持って立ち向かわなければ、被害を受けるのは国民の命と暮らしです。政治を志し、ましてやトップリーダーとして立った以上は、どんなに重い課題であっても、国民の命と暮らしを守るために、逃げたりごまかしたりすることは許されません。

 残念ながら、先日の党首討論でも、総理には、政治的なテクニックを駆使して、ごまかそう、逃げようという意思はあっても、国民の命と暮らしを守ることへの危機感と責任感、そして歴史的な使命感は全く示されませんでした。国民の命と暮らしを守るために、そして総理御自身のためにも、背負い切れない重過ぎる使命は一日も早く返上ください。

 私は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故に官房長官として直面し、危機におけるリーダーの重責は誰よりも分かっているつもりです。だからこそ、軽々なつもりで申し上げるつもりはありません。この危機と正面から向き合い、命と暮らしを守るための覚悟と準備はできています。人口が減少し、規格大量生産型の産業構造が通用しなくなった時代に適応していくための、新しい時代のビジョンを持っています。

 七条解散は総理の専権事項ですから、ひとえに総理の判断によりますが、いつ総選挙になろうと受けて立ちます。そして、一日も早く政権を担い、この危機を乗り越え、命と暮らしを守ることのできる、機能する政府をつくるために、あなたのための政治を実現するために、全力を尽くしてまいります。

 お聞きいただいている国民の皆さん、命と暮らしを守る、あなたのための政治を、真っ当な政治を、私とともにつくっていきましょう。そのことを通じて、新しい時代に、誰も取り残すことのない、支え合う社会をつくっていきましょう。私は、その重い責任を背負い、先頭に立つ覚悟であります。

 だから、そのために、今こそあなたの力が必要です。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。柴山昌彦君。

    〔柴山昌彦君登壇〕

柴山昌彦君 自由民主党の柴山昌彦です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました菅内閣不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行います。(拍手)

 討論に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、感染された方々やその御家族、不安の中におられる方々に対しまして心からお見舞いを申し上げます。

 また、日夜ウイルスとの戦いに力を尽くしていただいている多くの皆様に深く感謝を申し上げます。

 未曽有の世界的災害ともいうべき今回の新型コロナ禍において、危機対応をすることの難しさは、あの東日本大震災当時、厳しい批判を浴びた菅内閣の与党議員だった同僚諸兄には、十分御理解をいただけるものと思います。

 菅内閣は、昨年九月に発足して以来、内閣の総力を挙げて、新型コロナの一日も早い収束と、国民の皆さんが安心できる日常を取り戻すことを最優先課題として取り組んでこられました。

 他国に比べて感染者数は桁違いに低く抑えられ、現在も全体としては減少の方向に向かっています。また、総理は、自らのトップ交渉によって国民全員分のワクチンを確保するとともに、直接陣頭指揮に当たって、自衛隊、自治体、企業とを結ぶ総力戦体制を確立されました。

 野党の一部からは、さも政府の対応の遅さによってワクチンの提供が遅れたかのような批判がありますが、そもそも、昨年、予防接種法改正案の審議において、政府に慎重な対応を求めたのは、野党の皆さんだったのではないでしょうか。

 当初、遅れが指摘されたそのワクチン接種も、総理の強い指導力によって、大規模接種センターの稼働や職域接種の準備が行われるとともに、既に全国で二千五百万回に迫る接種が実施され、いよいよ希望する全ての国民の接種も十月から十一月までに完了という道筋が見えてきました。

 また、経済への影響についても、政府は、累次の経済対策や各種の支援を行うことで、新型コロナの感染が拡大している中においても失業率は先進国で最も低い状況を維持しており、生活にお困りの方々への支援や孤独、孤立対策についても、今後更に進めます。

 総理が就任に際して国民に約束した携帯電話料金の値下げは、現在、国民に広く浸透し、かつての携帯料金から半額以上の引下げが現実のものとなり、主要国では二番目の安さとなりました。

 また、不妊治療についても、本年一月から大幅に助成が拡大され、医療の現場から、既に受診者が大幅に増加しているとの報告もいただいております。

 来年四月からは不妊治療への保険適用がスタートするとともに、不妊治療休暇の導入や不育症の治療助成、また、男性育休が積極的に取得できるなどの環境整備も進みます。

 一方、昨年、総理は、全国の小学校について、四十人学級から三十五人学級にするという大きな決断をされました。実に四十年ぶりの全学年の学級人数の引下げに向けたスタートであります。教育現場からの評価の声も大変多く、更にきめの細かい教育へつながるものと期待されております。

 その上で、野党の皆さんに是非お考えいただきたいのは、現在のコロナ禍の先の国家と社会の在り方であります。

 政府・与党が見据えているのは、デジタルとグリーンを中心とした成長戦略です。

 今国会で、国のデジタル政策の司令塔の役割を果たすデジタル庁を設置する法律が成立し、九月一日から発足します。コロナ禍であらわとなった日本のデジタル活用の遅れを菅総理が何としても改善したいとの思いから取り組んでこられたこのデジタル庁の設置は、総理就任から一年もたたずに実現することとなり、今後は、国民全員が、行政手続など、デジタル化の利便性を享受することができ、人に優しいデジタル社会を形成していくことが期待されています。

 グリーンについては、総理が、就任後初となる国会演説において、二〇五〇年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、脱炭素社会の実現を目指すと宣言されました。

 さらに、本年四月の気候変動サミットにおいて、二〇三〇年度までの地球温暖化ガス削減量の目標を、二〇一三年度比で、従来の二六%削減から四六%の削減へと、更なる引上げを表明されました。

 これは、総理の二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた強い決意と、日本が地球温暖化対策で国際社会を主導するという確固たる意思を示すものであります。

 もちろん、従来からの大幅な引上げであり、達成には多くの困難が伴います。産業界や国民の皆さんの理解を得ながら、経済、社会を抜本的に変革していかなければなりません。そこには、当然、菅総理ならではの強いリーダーシップが必要です。

 菅総理の指導力は、外交にも表れています。

 御承知のとおり、米国のバイデン大統領が初めて直接会って会談した外国首脳は菅総理でありました。米国政府も、日本との二国間関係と日本の人々との友情とパートナーシップを重視していることの表れと強調し、日米首脳は共同声明において同盟の強化を確認。とりわけ、台湾に言及したのは、日中国交正常化前の一九六九年、佐藤栄作首相とニクソン大統領との会談以来となりました。

 菅総理は、途上国のワクチンへの公平なアクセスに向けても国際社会をリードしています。今月二日に開催された菅総理主催のワクチンサミットでは、議長として各国首脳たちに呼びかけ、本年の目標確保額を超えました。

 また、週末、総理が出席したG7サミットにおいては、各国首脳が一致して、野党の皆さんが反対されている東京オリンピック・パラリンピックの開催を支持し、日本が万全の対策を講じて新型コロナを克服しながら、五年ぶりとなるこの重要イベントを遂行できることへの信頼と期待を示したのです。

 そのような強い指導力を持った菅総理と内閣に対し、野党の皆さんは、今般、不信任決議案を提出しました。全くもって、どのような意図を持って提出したのか、理解することができません。

 そもそも、このコロナ禍の中、本来各党が国民の命と暮らしを守るために懸命に戦っているときに不信任決議案を出すこと自体、国民の政治に対する信頼を損なわせるという理解はないのでしょうか。

 一部の野党は、選挙に勝利するためには割り切って協力し合い、政権交代を目指すが、その先にある国家観や安全保障などは決定的に考え方が違うと言います。では、その方々は、一体、国民から選挙において何の審判を受けるつもりなんでしょうか。

 思い返せば、昨年のこの時期、野党の皆さんは、危機の真っただ中にいる、政治空白をつくれる状況ではない、国民の命と暮らしを守り抜くことを優先しなければならないと述べ、閉会中審査を毎週行い、十分な議論を行ったと記憶しています。全くもって正論であり、誠実な対応であったと思います。

 翻って、今回の対応を皆さんはどのように説明するのか。

 是非、改めてそのことを思い返していただき、今回提出した内閣不信任決議案がいかに的外れで論外なものかを踏まえて、断固否決していただきますよう、与党以外の皆様にも強くお願い申し上げまして、私の反対討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 原口一博君。

    〔原口一博君登壇〕

原口一博君 立憲民主党の原口一博です。

 私は、立憲民主・無所属を代表し、ただいま議題となりました菅内閣不信任決議案に対し、賛成の立場で討論を行います。(拍手)

 先進国で最低、よく言えますね。アジアで最低じゃないか。私たちの仲間も亡くなっているんだ。ファクターXがあるのに、今の状況について全く甘い認識だと言わざるを得ません。

 討論を始めるに当たり、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった方々、心から哀悼の誠をささげます。そして、感染、闘っておられる方々、お見舞いを申し上げ、救急、医療現場、多くの皆さんに心から感謝をささげます。

 菅内閣不信任の最大の理由、それは、国家最大の危機ともいうべきコロナ禍において、危機管理能力が欠如し、国民の命と健康、暮らしを守ることができないからであります。

 皆様、思い起こしてください。この国会、この通常国会のスタート、何だったですか。特措法の改正でしょう。普通は予算の審議で始まるんですよ。私たち野党は、対立よりも協力を優先しました。この国会の審議が異例の特措法改正から始まったこと、政府・与野党協議会等で力を合わせてきたことをよもや与党の皆さんはお忘れでないと思いますが、いかがですか。

 私も、感染症で死線をさまよいました。私を助けてくださったのは、私が選挙区で戦った相手の方のお姉さんでした。自民党議員、福岡議員のお姉さんでした。党派を超えて危機に当たるのは当たり前であります。

 しかし、私たちの国会の開会延長要求にゼロ回答とは、余りにも不誠実ではありませんか。危機において国会を閉じるべきではない。総理自ら民主党政権のときに議連までおつくりになって運動されていたのは、倒閣のためだったんですか。危機において国会を閉じるのは無責任の極みである、総理自らの十年前のお言葉を、そっくりそのまま、のしをつけてお返しいたします。

 菅政権下では、自宅療養、施設療養といいながら、医療につなげることができずに、お亡くなりになる方々が続出しています。警察庁が調べた範囲だけで百十九人。厚労省は、その人数さえこの頃までまともに答えられない有様でした。

 医療従事者を始め、疲労、疲弊も限界に達して、命の選別をさせられる、そのつらさを先ほどもある方が訴えてこられました。私たちは医療従事者支援を法案を出してまで訴えていますが、総理、聞く耳をお持ちでしょうか。

 このウイルスの特性は、そのステルス性です。発症前から感染する。無症状の人からも感染する。酸素飽和濃度が低くなっていても、時に気づかないで重篤化する。ロングコビッドと言われる後遺症の懸念もある。だからこそ、早期発見、早期治療、早期保護が必要なのに、PCR検査が抑えられ、空港検疫でさえ、最近まで抗原検査でした。明らかな政策の失敗なんです。

 本当にこのまま秋まで国会を閉じるというのですか。総理が全力で支援をするとおっしゃってくださったイベルメクチンを始めとする日本発の医薬品、そういった医薬品も使えるように、有事における緊急使用法案も提出しました。しかし、国会が閉じていては、法律を国民に届けられませんし、変異を続けるウイルスに即応することもかないません。

 国民の命を犠牲にしてまで五輪を行うことはないと答弁されていますが、当然だと思います。

 しかし、先日、政府が民間に依頼した試算では、一日、五輪を行うことで二百人、期間中に一万人を超える感染者が増えるという結果が出ています。これはデルタ株は入っていません。この条件については、皆さん、何を意味するかお分かりだと思います。それだけ、亡くなる方、重篤化する方、そして後遺症に苦しむ方が増えるということではないですか。国民には大規模イベントの自粛を求めつつ、世界最大級の祭典、五輪を強行するのは、筋が通らないではありませんか。

 言うまでもなく、危機管理の要諦は、予測する最悪の事態を極小化するミニマックスが基本です。

 イギリスで報告されたアルファ変異株を水際で止めるべきだと求めたのは、昨年の十二月の初めでした。しかし、実際に措置がなされたのは、その一月半後です。与党の議員も、業を煮やしてお願いに行かれたんじゃないですか。これを素早い措置とは言いません。

 二回目の緊急事態宣言の解除の失敗をただされて、当時は変異株への議論はなかったと答弁されておられますが、開いた口が塞がりません。

 三月五日、私は議運で、関西で変異株が広がっている、緊急事態宣言解除が早過ぎるとただしましたが、答弁は、総理ではなく西村担当大臣でした。子供たちを守ってくださいとお願いをしました。

 今もなお、PCR検査も先進国最低水準、ワクチン接種は先ほど柴山議員が言ったとおりです。しかし、デルタゲノム解析も五%台では、どうして感染を抑え込むことができるでしょうか。インドではデルタ株が一月足らずで圧倒的な優勢になり多数の死者を出しましたが、余りにも危機感のない対応ではないですか。

 しかも、補償なしの自粛要請。粗利補償や、先ほど枝野代表が言った消費税減税をするどころか、家賃補助も持続化給付金も終わらせ、雇用調整助成金特別枠の小出しの延長を決めたのは五月の末じゃないですか。これでは、経営者は経営を続けることはできません。

 誰一人として、自分は、今まで四十年間解雇したことはありません、しかし、このまま経営が続けられないので、今日、この六月十五日に十三人の職人さんに解雇を告げます、私は、どんな不況でも一人たりとも解雇しなかった松下幸之助さんを見習ってここまで来ましたが、それでも諦めることになりましたと涙をこぼされました。

 救えるじゃないですか。潰れなくてよかった会社を救うことができるじゃないですか。解雇されなくてよかった人たちが解雇されています。表面だけの失業率や倒産件数しか見ない内閣には、国民の窮状が理解できておられないのでしょうか。

 日本は、一九九五年に世界のGDPの実に一七%ありました。それが今では、五%を切る衰亡です、衰退です。中国に追いつかれ、追い抜かれ、水を空けられている状態です。緊縮、増税、支援打切り、この路線で格差が広がり、国民の所得伸び率も大きく落ち込んでいます。実質給与は下がり続けているんです。

 そして、雇用の調整弁にされているのが非正規、特に、女性の方々、若年層の女性です。子供の貧困も広がっています。生きていけないと自死を選ぶ方々の声が皆さんには届いているはずです。届いているんだったら一次補正をやりましょうよ。国会を閉じるのはやめましょうよ。

 米国では、三次にわたる特別給付金を始め、これまで約五百六十三兆円にも及ぶコロナ対策予算が組まれています。他の国々も財政規律という言葉を凍結して大胆な救済策を講じています。

 しかし、菅内閣は、世界有数の予算を組んだとおっしゃりながら、多額の執行残を理由に第一次補正予算を組むことを拒否されておられます。執行残は、それだけの額が国民に届けられなかったということであり、反省すべきことなんです。国民の危機に当たり、救命道具の値段を論じて救助を逡巡する愚を犯すべきでは断じてありません。

 イージス・アショアの洋上変更など、フォーリン・ミリタリー・セールスには膨大な国税を投入するのに、国民の危機に対策を講じないなんというのは、あり得ないと思います。IMFなどの経済予測でも、他の先進国がV字回復というべき経済成長が予測されているのに、我が日本はどうですか。皆さん、御覧になっているでしょう。我が日本は最低のところじゃないですか。これでいいんですか。さすがにこれには、与党議員からでさえ、大型の補正予算を求める声が上がっているではないですか。このまま国会を閉じては、助けられる国民を助けられないんです。

 中小企業や地銀の生産性、国民の自己責任ばかりを問う縮み思考、民営化利権で、日本が再生するとでもお思いでしょうか。郵政民営化をすれば年金さえも安心といった、あの分社化ありきの改悪の責任は誰が取るのでしょうか。この中にも、私たちと一緒に、志を一緒にして造反した人たちがいるじゃないですか。あの責任は誰が取りましたか。

 農林水産業も新自由主義、市場原理主義の規制緩和の犠牲となり、米の五十万トン問題を始め、食料安全保障にも大きな危機が訪れています。

 G7において、総理はリードスピーカーとしての役割を果たされたということですが、何をどうリードなさいましたでしょうか。歴代自民党政権さえ触れなかった問題にも触れられました。しかし、外交の継続性、国益と安全保障の議論がどこまでなされたかは不明です。

 我が国固有の北方領土には、今では北海道をカバーする、ロシアがミサイルを配備しています。総理、抗議をなさいましたか。

 尖閣海域には中国公船が侵入を繰り返していますが、国境離島の振興が何よりも大切なときに、なぜ沖縄一括交付金を削減するのですか。アメリカのGAOでさえ懸念を表明している軟弱地盤の辺野古基地移転を強行する道理は、もう既にありません。沖縄県民の思いを踏みにじって、安全保障も何もないのです。自民党沖縄県連幹事長まで務められた翁長知事が離党されてオール沖縄を結成されたのは、県民の命と暮らしを踏みにじるかいらい保守、圧政への危機感だったといいます。

 国民投票法改正案は私も筆頭提出者の一人でした。しかし、菅総理は、どうして、外国人の広告規制を積極的に取り入れようと自民党さんに指示をなさいませんか。皆さん、これでいいんですか。放送事業者の外資規制違反が判明したんですが、それでいいんですか。

 ワクチン担当相と、このワクチン接種についても、総理の認識の違いが露呈し、国民が不安に思う場面が続いています。副反応への説明も不十分です。司令塔不在、屋上屋の強権的、場当たり的指示では、国民は振り回され、官僚機構も疲弊するばかりです。総理は、官邸を組めておられるんでしょうか。チームを組めておられるんでしょうか。

 そもそも、日本国民は、ロックダウンという強制措置を伴わずとも、皆が協力して感染を封じ込める努力をしています。その原理は、総理が言われる自立ではなくて、自分を律するという自律の原理です。協力して社会を守るというきずなの国です。それを憲法のせいにするなど、二重、三重の意味で我が国の国柄への認識の誤りであります。強制でしか物事が動かないと考えておられるわけでは絶対ないと思います。

 日本学術会議任命拒否に始まり、道理や理屈の通らないことが多過ぎませんか。教育の可能性、科学の力を軽んじる姿勢にさえ映ります。菅内閣は、人間の尊厳と自由という普遍的な価値を共有できるんでしょうか。多様性の尊重、異なる価値観への寛容、それが菅内閣に期待できるでしょうか。なぜ選択的夫婦別姓もLGBT差別解消もできないんでしょうか。

 様々な不正や不祥事、総理がリーダーシップでこれを解明してください。私たちも野党合同ヒアリングをやっているけれども、不祥事が多過ぎて追い切れない。多発させる不祥事で逃げるのはやめてほしい。持続化給付金の問題に象徴されるように、特定の事業者に利益が集中しているとの疑念を国民が抱いています。

 総理、国会を閉じてはなりません。第一次補正も秋以降になるなら、救える命が救えません。この一事を取ってしても総辞職に値するものです。政治は、国民のものであり、最高の倫理でなくてはなりません。国会が国民の前で真実を述べる場でなくなれば、国会は機能を停止してしまいます。

 議員各位におかれましては、国家国民を救うために、何とぞ御賛同いただきますようにお願い申し上げます。

 終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 佐藤英道君。

    〔佐藤英道君登壇〕

佐藤英道君 公明党の佐藤英道です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました内閣不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行います。(拍手)

 初めに、一部野党の皆さんに一言申し上げます。

 本来であれば、百年に一度と言われるパンデミックの克服のため、与野党の垣根を越えて、我々国会議員が力を合わせてこの国難に対処すべきときです。にもかかわらず、このタイミングで内閣不信任案を提出したことは大変理解に苦しみます。

 昨年から続く新型コロナウイルスの感染拡大によって、我が国のみならず世界中の人々の貴い命や健康が奪われ、日常生活や経済などにも甚大な影響を与えています。菅内閣の発足より九か月たちましたが、今日まで、菅内閣は、未曽有の危機から国民の命と暮らしを守るために、最大限の努力で立ち向かってきたものと高く評価をしております。

 昨年十二月には、国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策を策定し、令和二年度第三次補正予算と今年度予算を一体で編成いたしました。生活に困窮する方々への最大二百万円の特例貸付けや住居確保給付金、低所得の子育て世帯への給付金など、誰一人取り残さない決意で国民生活の下支えに全力を挙げてこられました。

 事業者に対しては、強力な資金繰り支援と雇用の維持、確保に全力を挙げ、とりわけ、雇用調整助成金の特例措置等がなければ、完全失業率は今より三%程度高かったとの試算も示されているとおり、経済が深刻な打撃を受ける中で、失業者数を抑えることに成功した点は高く評価されます。

 また、飲食、宿泊サービス業を始め、特に深刻な影響を受けている事業者への積極的な財政支援に取り組みながら、地域の実情に応じた効果的な感染拡大防止策に取り組み、新規感染者数の抑え込みを図ってこられました。

 現在も、日々の感染状況をつぶさに分析し、コロナ予備費を活用して機動的な対策を打ち続けております。

 同時に、グリーンとデジタルを日本の新たな成長の原動力と掲げ、ポストコロナの新しい社会の建設に向けた経済復興への道筋を示しました。持続可能な社会経済構造への転換を図りながら、国民生活を豊かにし、本格的な経済好循環の実現を目指す方針は、多くの国民の方々から支持されているものと確信をいたします。

 こうした取組が功を奏し、完全失業率を低水準に抑える中で、雇用者数は八十万人回復し、倒産件数も減少傾向、企業の生産活動や投資は上向き、製造業を中心に日本経済は全体として持ち直しの動きが続いております。

 そのほか、公明党も推進してきました携帯電話の料金の引下げや不妊治療の保険適用など、国民が求める改革を矢継ぎ早に取り組んできました。

 そして何より、新型コロナウイルス感染収束の切り札となるワクチン接種について、希望する全国民への無料接種の道を開いたのは、紛れもなく菅内閣であります。

 国産ワクチンの開発が進まない中で、海外ワクチンを確保すべきとの公明党の提案を受け、政府は予備費の活用を含めて迅速に対応されました。米英製薬メーカー三社と合計三億六千四百万回分の契約を実現し、国内の対象者が二回ずつ接種できる十分な量のワクチン確保にめどがつけられたのであります。

 一方で、一部の野党は、日本人における有効性、安全性を十分に確認しないまま、海外の臨床試験データのみをもって承認を行う特例承認は、今回のワクチン承認にはそぐわないと批判してこられました。そのとおりにしていたら、いまだに国内のワクチン接種はスタートできなかったのではないでしょうか。

 ワクチンの接種の加速化が早期経済回復につながっているということは主要国の例を見ても明らかであり、命にも経済にも無責任な一部野党には、菅内閣を批判する資格はありません。

 特例承認によって国内でもワクチン接種が可能となり、国民の皆さんの希望と安心につながっているのであります。

 引き続き、変異株の動向や厳しい状況に置かれている事業者への支援などに目を配りながら、現政権の下、円滑かつ迅速なワクチン接種を始め、コロナ禍の克服に向けた取組に全力を挙げることが、国民の命と暮らしを守り抜くものであると確信をいたします。

 また、菅内閣の外交における成果を挙げたいと思います。

 新型コロナウイルスの感染拡大や気候変動、経済回復、地域情勢、こうした重要な課題は一国のみで克服することはできません。そのような中、菅内閣は、国際協調と対話の下、積極的な首脳外交を展開され、法の支配、自由、民主主義といった普遍的価値を共有する国と連携を密に図り、課題解決のため、主導的な役割を果たされております。

 本年四月、バイデン米大統領との首脳会談では、日本の外交安全保障の基軸である日米同盟の強化を始め、気候変動や経済連携など、様々な課題について協力の方向性を明確にしてきたことは、大きな成果であります。

 さらに、先日、イギリスで行われたG7に出席された総理は、来年末までに世界中の全ての人が接種を受けられるよう、十億回分のワクチンを途上国に提供することに合意をいたしました。また、G7の前には、日本政府と国際団体がCOVAXワクチンサミットを共催し、途上国へのワクチンの公平な普及に向けて、COVAXファシリティーに対し、これまでの拠出額と合わせて十億ドルを支援することなどを表明いたしました。こうした日本の主導的な取組がほかの先進国に影響を与えていることは間違いがありません。

 以上申し上げてきたとおり、今回の菅内閣に対する不信任決議案に何ら理由は見当たりません。

 引き続き、公明党は、生命、生活、生存を最大に尊重する立場から、どこまでも生活者の目線で政権運営に当たってまいります。とりわけ、地方議員三千名のネットワークを生かして、国民生活のための政策を立案し、現場の声を政府に届け、政策を実現することをお誓いすることも、改めて理不尽な内閣不信任案に断固反対と申し上げまして、私の討論を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、菅内閣不信任決議案への賛成討論を行います。(拍手)

 不信任の第一の理由は、新型コロナ対応に失敗したことであります。

 今年に入って今日まで、東京では、緊急事態宣言は百二十四日間、蔓延防止重点措置を加えると百三十八日間、実に八三%の日々で自粛に次ぐ自粛を求めざるを得なくなっています。これは、やるべきことを怠ってきた政治の責任であり、菅政権による人災と言わなければなりません。

 総理のコロナ対応には、三つの致命的な欠陥があります。

 第一は、科学に基づくコロナ封じ込めの戦略を持っていないことです。

 日本のワクチン接種数は世界百十一位、人口比のPCR検査数は世界百四十位です。ワクチンと検査という封じ込めの科学的基本が、どちらも極めて遅れています。特に、政府が、検査を拡大すると医療崩壊が起こるなどのうその議論を振りまき、検査を怠ってきたことは重大です。このことが、感染をコントロールできず、変異株を把握できず、医療崩壊を招き、多くの命を損なう結果となりました。その責任は極めて重いと言わなければなりません。

 第二は、失敗から謙虚に学び、次の対策に生かすという姿勢がないことです。

 総理のコロナ対応で、誰が見ても失敗だということが明らかになっていることが幾つもあります。

 昨年秋、総理がGoTo事業に固執したことが、年末から年明けの感染拡大の第三波を招いたことは明瞭です。

 三月二十一日、緊急事態宣言を解除したことも、当時、新規感染者数が増加傾向にあり、変異株の危険が重大になる下で、拙速だったことは明瞭です。事実、四月二十五日には三度目の緊急事態宣言の発令を余儀なくされたではありませんか。

 総理が、これらの明瞭な失敗のうち、一つでも失敗と認め、反省を明らかにしたものがありますか。一つもありません。こういう姿勢では、国民が政府の対応を信頼しなくなることは当たり前ではありませんか。

 第三は、コロナ対応にまで自己責任論を持ち込んだことです。

 総理は、中小業者にとっての命綱となっている持続化給付金と家賃支援給付金を一回きりで打ち切りました。三度も緊急事態宣言を発令しているのに支援は一回きりとは、余りに冷酷な政治ではありませんか。総理が医療機関に対する減収補填をいまだに拒否し続けていることも、極めて重大であります。

 コロナ収束のためには、こうした致命的欠陥を根本から正すことが急務であるということを私は訴えたいのであります。

 不信任の第二の理由は、国民に長期間にわたる我慢を強いながら、感染リスクを拡大するオリンピック・パラリンピックの開催を強行しようとしていることです。

 政府分科会の尾身会長は、国会答弁で、仮に競技会場、スタジアムの中での感染が抑えられたとしても、オリンピック開催によって国内で三つの点で人の流れが増えると指摘しています。

 第一は、全国から競技会場に延べ三百十万人とも言われる観客が移動することです。第二は、競技会場の外で行われる様々なイベントに観客が集まることです。第三は、夏の四連休やお盆で、感染を避けようと、都会から地方への人の流れが起こることです。

 尾身会長は、これらの諸点を指摘し、オリンピックを開催すれば今より感染リスクが高くなるのはどう考えても普通だ、開催するというならリスクを最小限にすることが必要だが、ゼロにはできないと述べました。

 リスクをゼロにはできないということは、オリンピック開催で新たな感染拡大の波が起こる危険があるということです。そうなれば、重症者が増え、亡くなる方が増えることも避けられません。私は、六月九日の党首討論で、総理に、国民の命を危険にさらしてまでオリンピックを開催する理由は一体何なのかとただしました。総理からは、全く答弁がありませんでした。

 オリンピックは自然災害ではありません。人間が行うイベントなんです。私は、オリンピックを開催することで新たに亡くなる方が増えるなどということはあってはならない、そういうオリンピックなら開催する意義はないと考えるものであります。

 政府が、オリパラ期間中はテレワーク実施をなどという方針を出したことは、国民の怒りの火に油を注いでいます。国民に対して更なる自粛と我慢を求めながら、感染拡大の巨大なリスクを抱えるオリンピックだけは何が何でも強行する、こんな支離滅裂な政治が許されていい道理はありません。

 オリンピック・パラリンピックは中止し、全ての力をコロナ収束に集中することを重ねて強く求めるものであります。

 不信任の第三の理由は、新型コロナパンデミックから教訓を学び、今後の日本の政治に生かそうという姿勢が全くないことであります。

 新型コロナ危機が明らかにしたことは、本来ゆとりがあるべき医療や公衆衛生が、危機に際して脆弱になってしまっているということでした。

 ところが、総理がこの国会で行ったことは、この弱点を正すどころか、医療を破壊する二つの法律、消費税を財源に病床削減を推進する法律、七十五歳以上の高齢者の医療費を二倍にする法律を強行することでした。

 コロナ危機のさなかに、ベッドを削り、高齢者の医療費を引き上げる、こんな血も涙もない政治を強行しておいて、よくも国民の命と健康を守ると言えたものであります。私は、強い憤りを持って、菅政権の暴挙に抗議するものであります。

 同時に、二つの医療破壊法の実施はこれからであり、総選挙での審判によってその実施を止め、医療に手厚い日本をつくるために力を尽くす決意を表明するものであります。

 不信任の第四の理由は、強権と腐敗の政治を一層ひどくしたことです。

 総理が、沖縄県民の総意を無視し、戦没者の遺骨が眠る南部の土砂を使って辺野古新基地建設を強権的に進めていることは、絶対に許すわけにいきません。日本学術会議への違憲、違法の任命拒否を続けていること、国民を監視し、財産権を侵害する憲法違反の土地規制法案を強行していることも、断じて容認できません。

 その一方で、腐敗が底なしじゃありませんか。

 昨年九月の菅政権発足以来、政治と金の問題で辞職した自民党の国会議員は、吉川貴盛元農水大臣、河井克行元法務大臣、河井案里元参議院議員、菅原一秀元経済産業大臣と、四人に上りました。

 このうち誰一人として、国民への説明を行った者はいません。自民党としての、菅総裁の責任での真相解明も一切行われていないじゃないですか。他山の石、政治と金の問題できれいになっている、信じられないような他人事の発言が続いております。

 強権と腐敗の政治という点でも、菅政権に国政を担う資格はもはやありません。

 来るべき総選挙で、市民と野党の共闘の力で菅政権を倒し、国民が安心して希望を持って暮らせる新しい日本をつくるために全力を挙げる決意を述べて、賛成討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 足立康史君。

    〔足立康史君登壇〕

足立康史君 日本維新の会の足立康史です。

 私は、党を代表し、ただいま議題となりました菅内閣不信任決議案について、反対の立場から討論します。(拍手)

 与党席から歓声をいただきましたが、不信任に反対だからといって、内閣を積極的に信任するわけではありません。少数派である万年野党が内閣不信任決議案を提出し、多数派である万年与党が粛々と否決する、そうした一連のお芝居に何の意味も見出すことができない、だから、そうした茶番、猿芝居に異議を申し立てるという意味で、青票、つまり反対票を投じるものであります。

 私たち日本維新の会が与党と同じ色の札を投じると、万年野党の皆さんは、決まって、維新は与党の補完勢力だとやゆしてきます。しかし、私たちに、共産党と行動を共にするという選択肢は絶対にあり得ません。現在も暴力主義的破壊活動のおそれがあり破防法の監視対象となっている共産党と行動を共にするのか、ワクチン接種の拡大に懸命に取り組んでいる与党と行動を共にするのか……(発言する者あり)

議長(大島理森君) お静かに。

足立康史君(続) 二者択一、どちらかを選べと言われれば、与党に決まっているではありませんか。(発言する者あり)

議長(大島理森君) お静かに。

足立康史君(続) 破防法の調査対象の話をすると、共産党の皆さんは、何てことを言うんだと激高されます。しかし、仮に国の法律の運用に問題があるなら、私たちに対してではなく、政府に言うべきであります。

 それに、共産党の皆さんが首班指名で票を投じた立憲民主党の執行部の皆さんも、二〇〇九年からの三年三か月の間、破防法に基づいて共産党を監視していたのですから、文句があるのなら立憲民主党に言うべきではないでしょうか。当時の監視する側と監視される側が選挙のために手を結んでいる、これこそ究極の選挙ファーストであり、二〇二一年最大の茶番であると断じざるを得ないのであります。

 そもそも、自公政権の真の補完勢力は、私たち日本維新の会ではありません。万年与党の補完勢力は、万年野党であります。当たり前です。万年野党の国対委員長は、与党の国対委員長にまるで恋人のように寄り添い、抱きついて、法律案の採決を認める代わりに見せ場をつくってくれと頼み込んで、手を取り合いながら芝居のシナリオを一緒に書いて演じている。特に、二〇一七年の総選挙で立憲民主党が誕生してからは、新しい五五年体制、新五五年体制と私たちが呼んできた万年体制化が加速し、国民から遊離してしまっている。そんな茶番劇の小道具でしかない不信任決議案に何の意味があるというのでしょうか。

 さて、私たち日本維新の会が今国会最大の仕事の一つと位置づけてきたのが、憲法改正のための国民投票法改正でありました。

 私たち日本維新の会も、改正法案の提出者の一人として、今国会での可決、成立を期してきたところでありますが、先週十一日に成立を見たことは大きな成果と考えています。

 しかしながら、立憲民主党の修正案を与党が丸のみし、立憲民主党に憲法改正原案の審査を拒否する口実を与えたことには、唖然とし、言葉を失いました。

 立憲民主党の修正案は、現在の国会が将来の国会に対し施行後三年という具体的な期限を設けて検討を求める内容になっており、その間は憲法改正に向けた国会の発議権が制限されているとの誤解、誤解ですよ、誤解を招きかねない、そうした観点から、私たち日本維新の会は、立憲民主党が提案した修正案に第二項を追加し、この修正案が日本国憲法の改正案の原案の審査を行うことを妨げるものと解してはならないとする修正案の修正を提案しましたが、実現を見ませんでした。

 もちろん、憲法改正に向けた国会の発議権が制約されているかのような立憲民主党の物言いは、憲法違反の虚妄であります。憲法学が専門で、関西学院大学の井上武史教授が、手続法である国民投票法が障害になって憲法改正が制約されることはあってはならない、改正が必要なのであれば、三年という期限にとらわれず、直ちに審議して、いつ国民投票が行われてもよいように準備しておくのが憲法改正を発議する国会の責務であると喝破されているとおりであります。立憲民主党には、憲法に規定されている国民の憲法制定権力をないがしろにすることのないよう、強くくぎを刺しておきたいと思います。

 いずれにせよ、こうした憲法審査会を舞台とした万年与党と万年野党によるなれ合いの連係プレーを目の当たりにして、やはり自民党の多数は憲法改正に本気で取り組む覚悟がないんだな、単なるジェスチャーなんだなと国民から見透かされていることを自民党は自覚すべきであります。衆院憲法審査会で我が党の馬場伸幸幹事長が国民投票法改正案の採決を求める動議を出しても応じない、立憲民主党の修正案を丸のみにして、国民の憲法制定権力を危険にさらす、そんな新五五年体制、万年体制をぶっ潰すために、私たち日本維新の会は、これからも、政府・与党にも、万年野党に対しても、是々非々の立場から対峙していくことを国民の皆様にお誓いしたいと存じます。

 今国会最大の仕事のもう一つは、デジタル改革関連法でありました。

 日本維新の会は、結党以来、マイナンバーのフル活用を通じた透明で公正公平な経済社会の構築を目指してきたところであり、今般のデジタル改革関連法の提出と可決、成立は、遅きに失した面があるとはいえ、日本の経済社会をアップデートしていくための不可欠の法律であり、私たちもその成立に力を尽くしました。

 ただし、デジタル社会形成基本法案には、極めて本質的な問題が潜んでいました。それは、日本が目指すデジタル社会の基本理念として、国民の利便性向上と行政運営の効率化という二つを挙げるにとどまり、あたかも合理化のみがデジタルの効用であるかのようなたてつけとなっていたことであります。

 そこで、日本維新の会として、国民の所得と資産を捕捉した上で、公平な負担を実現し、手を差し伸べるべき方々にしっかり手を差し伸べる、そうした公正な給付と負担を確保することをデジタル社会の三つ目の基本理念として明記すべしと提案し、与党の皆様の賛同を得て、実現をいたしました。私たちは野党でありますが、日本が目指すデジタル社会の三つの理念のうち、公正な負担と給付という最も本質的な理念は、まさに私たち日本維新の会が打ち立てたのであるとここに宣言をしておきたいと存じます。

 私たち日本維新の会は、昨年一月二十三日、どの政党よりも早く、党の新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、昨年二月三日の第一弾提言を皮切りに、今月三日に至るまで、八次にわたるコロナ対策提言を公にし、家賃支援給付金の創設、緊急時給付の迅速化、医療機関への勧告権創設等を実現してきました。今後は、ワクチン接種と併せ、本格的な有事法制の検討を急ぐべきであります。喉元過ぎれば熱さ忘れるを二度と繰り返すことのないよう、日本維新の会として取り組んでいくことをお誓いいたします。

 四十日後に開幕する東京オリンピック・パラリンピックについても、漫然と開催し、国民を二分するのではなく、コロナ感染予防と経済活動との両立に向けたモデル、いわば菅モデルを確立するくらいの明確な目標を政治が責任を持って設定し、オリンピック・パラリンピックを、アスリートにとっての挑戦の舞台であるとともに、国民にとっても、コロナ感染予防と経済活動とを両立できるということを証明する挑戦の舞台にしていくべきと考えます。

 最後に、日本維新の会は、身を切る改革を始めとした政治改革、地方分権を始めとする統治機構改革に取り組んできましたが、今国会からは、尖閣防衛を始めとする外交防衛政策、経済成長と格差解消のための日本大改革プランの策定に取り組んできました。これをもって、政治改革、行政改革、政策改革という政党としてのフルスペックをそろえることができました。来る総選挙では、まさに全国政党として、包括政党として、全国に改革の旗を高らかに掲げ前進していくことを全ての国民にお誓いし、討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 玉木雄一郎君。

    〔玉木雄一郎君登壇〕

玉木雄一郎君 国民民主党代表の玉木雄一郎です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、菅内閣不信任決議案に賛成の立場で討論いたします。(拍手)

 冒頭、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げます。

 特に、自宅待機中や入院調整中に、病床が足りず、必要な医療を受けることができないまま亡くなられた方々に対し、国会に身を置く者の一人として、お悔やみと同時に、おわびを申し上げなくてはなりません。

 菅内閣不信任の理由は三つあります。

 不信任の第一の理由は、病床確保の法改正が必要であるにもかかわらず、国会を閉じて問題を先送りしようとしていることです。

 日本の人口千人当たりの病床数は十三床とOECDで最多ですが、一病院当たりの医師数は、米国やドイツに比べて三分の一以下です。米国や英国では医師一人がほぼ一床を見るのに対して、日本は医師一人で五つの病床を受け持つなど、医療従事者や医療機器が分散し、先進国では異例の低密度となっています。これは、施設当たりの医療従事者の人数を増やす改革を怠ってきたツケと言わざるを得ません。

 ただ、平時に分散していたとしても、国や知事による病院間の機能に応じた役割分担と総合調整がうまくいけば対応できたはずです。しかし、コロナ治療後も転院先が見つからずに、新たな重症患者を受け入れられない結果、自宅療養中や高齢者施設での待機中に多くの貴い命が失われました。このことは、現行制度の問題点を私たち政治家に厳しく突きつけています。

 総理自身も、四月二十三日の記者会見で、緊急事態には、民間病院に対しても国や知事が患者受入れの指示や命令を出せるよう、法律を改正しなければならないと痛切に感じていると明言されました。であれば、なぜ、法改正をせず、国会を閉じるんでしょうか。このまま国会を閉じることは、政治の不作為であり、無責任です。国会を延長し、病床を確保する法改正を共に成し遂げようではありませんか。

 不信任の第二の理由は、水際対策の法改正も必要であるにもかかわらず、国会を閉じて問題を先送りしようとしていることです。

 国民民主党は、昨年来、入国者の十四日間の施設隔離や、位置情報を確認できるスマホアプリのインストールの義務づけを提案してきましたが、緩い水際対策は今なお変わらないままです。その結果、英国やインド由来の変異株の国内侵入を許してしまいました。さらに、五輪関係の入国者には、十四日間待機も免除。ワクチン接種の義務づけもせずに、国際的に約束した安全、安心な五輪は本当に可能なんでしょうか。

 こうした制度の不備を放置したまま、国会を閉じ、五輪を開催しようとするのは、政治の不作為であり、無責任です。国会を延長し、水際対策を強化する検疫法や出入国管理法などの改正を成し遂げようではありませんか。

 不信任の第三の理由、そして菅内閣を信任できない最大の理由は、積極財政を否定する経済政策です。

 ワクチン接種が進む中、世界経済は急速に回復の兆しを見せていますが、日本だけが取り残されています。先月、OECDが発表した今年の経済成長率の予測では、日本はG7の中だけでなくG20の中でも最下位、OECD三十八か国の中でも下から二番目です。相対的に感染者や死亡者数が少ないのに、この回復の鈍さは、ワクチン接種の遅さだけでなく、経済政策の方向が間違っているからにほかなりません。

 菅総理、そして議場の同僚議員に私は訴えたい。今、世界の財政政策の潮流が大きく変わりつつあります。一九八〇年代以降の小さな政府、構造改革路線から転換し、大規模、長期、計画的な積極財政策が採用されつつあります。特に、米国バイデン政権では、イエレン財務長官が主導して、GDPの約三割に当たる総額六兆ドルの積極財政政策を発表しています。戦後最大の水準です。何もワクチンだけで高い経済成長を実現しているわけではないのです。

 イエレン長官は、FRBの議長時代の二〇一六年に、経済ショックで需要が低迷した状態が長く続くことが、供給側にも恒久的な悪影響を与え、長期的な経済低迷につながる、いわゆる負の履歴効果を提唱し、それを払拭するためには、総供給を大幅に上回る総需要をつくり出して高い潜在成長率と賃金上昇を実現する、いわゆる高圧経済、ハイプレッシャーエコノミーが必要だと主張してきました。

 その言葉どおり、米国では、ワクチン接種率が二〇%だった今年の三月上旬のタイミングで、千四百ドルの追加現金給付を含む約二兆ドルのアメリカ救済プランを成立させました。今から三か月前のことです。

 日本の現時点、六月十三日のワクチン接種率は約一四%、アメリカの四か月前と同じです。日本でもワクチン接種が進み始めた今こそ、積極財政によってコロナで傷ついた経済の回復を確実なものにしなければなりません。

 にもかかわらず、骨太方針案では、二〇二五年のプライマリーバランスの堅持、すなわち緊縮財政が掲げられており、世界の経済政策の潮流とは全く逆です。少し景気がよくなればすぐ経済対策の手を緩めてしまい、また経済低迷に逆戻りするというこれまでと同じ失敗を繰り返そうとしている菅内閣を私たちは信任することはできません。

 私は、さきの党首討論で、国会を延長し、速やかに三十兆円規模の補正予算の編成を提案しましたが、菅総理は、昨年度の補正予算などの繰越しが約三十兆円あるので必要ないと答えました。

 しかし、これは基本的認識が間違っています。三十兆円もの予算が余っているとすれば、本来支援すべきところに必要なお金が回っていない証拠です。速やかに執行すべきであって、国会で総理が胸を張って言うべきことではありません。

 例えば、三月に決めた低所得の二人親世帯への特別給付金は、三か月たった今日、まだ一円も払われていません。総理、余りにも遅過ぎませんか。

 また、月二十万円を最大九か月、無担保無利子で貸し付ける総合支援資金について、あと三か月分延長してほしいという声が多いのに、菅内閣はこれを拒否しています。しかし、総合支援資金の予算は、六月五日時点で四千五百億円も余っており、三か月分の再貸付けに必要な千四百億円は十分賄えるんです。

 加えて、緊急事態宣言を出しておきながら、飲食店に対する協力金がいまだに支払われていない地域もあります。総理、倒産してからお金が来ても遅いんです。

 菅総理、バッハ会長を始め、国際オリンピック委員会、IOCの幹部の特別待遇に大金を払う前に、これまで苦しい中、自粛に協力してくれた個人や事業者にこそ速やかにお金を払おうではありませんか。三十兆もの予算が余っていることを理由に必要な補正予算の編成を拒否するのは、やるべき宿題をしていないことを理由に次の宿題ができませんと言い訳しているようなものです。国会を延長し、大規模な補正予算を編成することを強く求めます。

 私たち国民民主党は、昨年から、現役世代への十万円の追加現金給付や期間を限定した五%への消費税減税を含む緊急経済対策を提案し続けています。あわせて、中期国家戦略として、デジタル、環境、老朽インフラへの投資や、教育の無償化を始めとした人への投資の拡充も訴えています。短期的な財政均衡にとらわれて未来への過少投資に陥ることは、我が国の国力そのものを弱体化させます。少子化という我が国が直面する最大の問題に対処するためにも、経済政策を大規模、長期、計画的な積極財政に今こそ転換すべきです。

 とにかく、世界の経済政策の新潮流に乗り遅れる菅内閣では、国民生活の安定と国際競争力の向上を実現することはできません。間違った経済政策を転換するためには、菅内閣を替えるしかありません。今は積極財政で国民の安心を取り戻すことが最優先です。安心なくして成長なし、この信念を改めて申し上げ、私の賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

 ただいまから十分後に記名投票をもって採決いたしますので、しばらくお待ちください。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 菅内閣不信任決議案について採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。

 なお、今回の投票につきましては、順次間隔を空けて登壇していただくため、通常より時間をかけて氏名点呼を行わせます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百五十六

  可とする者(白票)       百三十四

  否とする者(青票)      三百二十二

議長(大島理森君) 右の結果、菅内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

安住淳君外四名提出菅内閣不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   阿久津 幸彦君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君

青山  大人君   荒井   聰君   伊藤  俊輔君   池田  真紀君

石川  香織君   泉   健太君   稲富  修二君   今井  雅人君

生方  幸夫君   江田  憲司君   枝野  幸男君   小川  淳也君

小熊  慎司君   小沢  一郎君   尾辻 かな子君   大串  博志君

大島   敦君   大西  健介君   逢坂  誠二君   岡島  一正君

岡田  克也君   岡本 あき子君   岡本  充功君   奥野 総一郎君

落合  貴之君   海江田 万里君   柿沢  未途君   金子  恵美君

神谷   裕君   亀井 亜紀子君   川内  博史君   菅   直人君

吉良  州司君   城井   崇君   菊田 真紀子君   黒岩  宇洋君

玄葉 光一郎君   源馬 謙太郎君   小宮山 泰子君   後藤  祐一君

近藤  和也君   近藤  昭一君   佐々木 隆博君   佐藤  公治君

斉木  武志君   櫻井   周君   重徳  和彦君   階    猛君

篠原   豪君   篠原   孝君   下条  みつ君   白石  洋一君

末松  義規君   関  健一郎君   田嶋   要君   高木 錬太郎君

武内  則男君   津村  啓介君   辻元  清美君   手塚  仁雄君

寺田   学君   中川  正春君   中島  克仁君   中谷  一馬君

中村 喜四郎君   長尾  秀樹君   長妻   昭君   西村 智奈美君

野田  佳彦君   長谷川 嘉一君   原口  一博君   日吉  雄太君

平野  博文君   広田   一君   福田  昭夫君   古本 伸一郎君

堀越  啓仁君   本多  平直君   馬淵  澄夫君   牧   義夫君

松尾  明弘君   松木けんこう君   松田   功君   松平  浩一君

松原   仁君   道下  大樹君   緑川  貴士君   宮川   伸君

村上  史好君   森田  俊和君   森山  浩行君   矢上  雅義君

谷田川  元君   屋良  朝博君   山内  康一君   山岡  達丸君

山川 百合子君   山崎   誠君   山井  和則君   山花  郁夫君

山本 和嘉子君   柚木  道義君   横光  克彦君   吉川   元君

吉田  統彦君   笠   浩史君   早稲田 夕季君   渡辺   周君

赤嶺  政賢君   笠井   亮君   穀田  恵二君   志位  和夫君

清水  忠史君   塩川  鉄也君   田村  貴昭君   高橋 千鶴子君

畑野  君枝君   藤野  保史君   宮本   徹君   本村  伸子君

浅野   哲君   井上  一徳君   岸本  周平君   高井  崇志君

玉木 雄一郎君   西岡  秀子君   古川  元久君   前原  誠司君

山尾 志桜里君   赤松  広隆君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あべ  俊子君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君

青山  周平君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   秋本  真利君

麻生  太郎君   畦元  将吾君   穴見  陽一君   甘利   明君

安藤  高夫君   安藤   裕君   井出  庸生君   井野  俊郎君

井上  信治君   井上  貴博君   井林  辰憲君   伊東  良孝君

伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   伊吹  文明君

池田  道孝君   池田  佳隆君   石川  昭政君   石田  真敏君

石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君   泉田  裕彦君

稲田  朋美君   今枝 宗一郎君   今村  雅弘君   岩田  和親君

岩屋   毅君   うえの賢一郎君   上杉 謙太郎君   上野  宏史君

江崎  鐵磨君   江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君

遠藤  利明君   小倉  將信君   小此木 八郎君   小里  泰弘君

小田原  潔君   小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  朝子君

越智  隆雄君   大岡  敏孝君   大串  正樹君   大隈  和英君

大塚   拓君   大西  英男君   大西  宏幸君   大野 敬太郎君

岡下  昌平君   奥野  信亮君   鬼木   誠君   加藤  鮎子君

加藤  勝信君   加藤  寛治君   梶山  弘志君   勝俣  孝明君

門   博文君   門山  宏哲君   金子  俊平君   金子 万寿夫君

金子  恭之君   金田  勝年君   上川  陽子君   神谷   昇君

神山  佐市君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君

河村  建夫君   神田  憲次君   神田   裕君   菅家  一郎君

木原  誠二君   木原   稔君   木村  次郎君   木村  哲也君

木村  弥生君   城内   実君   黄川田 仁志君   岸   信夫君

岸田  文雄君   北村  誠吾君   工藤  彰三君   国光 あやの君

熊田  裕通君   小泉 進次郎君   小泉  龍司君   小島  敏文君

小寺  裕雄君   小林  茂樹君   小林  鷹之君   小林  史明君

古賀   篤君   後藤  茂之君   後藤田 正純君   河野  太郎君

高村  正大君   國場 幸之助君   左藤   章君   佐々木  紀君

佐藤   勉君   佐藤 ゆかり君   齋藤   健君   斎藤  洋明君

坂井   学君   坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君

塩崎  恭久君   塩谷   立君   繁本   護君   柴山  昌彦君

下村  博文君   新谷  正義君   新藤  義孝君   菅   義偉君

杉田  水脈君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君   鈴木  淳司君

鈴木  貴子君   鈴木  憲和君   鈴木  隼人君   関   芳弘君

薗浦 健太郎君   田所  嘉徳君   田中  和徳君   田中  英之君

田中  良生君   田畑  裕明君   田村  憲久君   平   将明君

高市  早苗君   高木   啓君   高木   毅君   高鳥  修一君

高橋 ひなこ君   竹本  直一君   武井  俊輔君   武田  良太君

武部   新君   武村  展英君   橘  慶一郎君   棚橋  泰文君

谷   公一君   谷川  とむ君   谷川  弥一君   津島   淳君

辻   清人君   土屋  品子君   出畑   実君   寺田   稔君

とかしきなおみ君   冨樫  博之君   渡海 紀三朗君   土井   亨君

冨岡   勉君   中曽根 康隆君   中谷   元君   中谷  真一君

中根  一幸君   中村  裕之君   中山  展宏君   中山  泰秀君

永岡  桂子君   長尾   敬君   長坂  康正君   長島  昭久君

二階  俊博君   丹羽  秀樹君   西田  昭二君   西村  明宏君

西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君   根本   匠君

根本  幸典君   野田  聖子君   野田   毅君   野中   厚君

葉梨  康弘君   萩生田 光一君   橋本   岳君   馳    浩君

鳩山  二郎君   浜田  靖一君   林   幹雄君   原田  憲治君

原田  義昭君   百武  公親君   平井  卓也君   平口   洋君

平沢  勝栄君   深澤  陽一君   福井   照君   福田  達夫君

福山   守君   藤井 比早之君   藤丸   敏君   藤原   崇君

船田   元君   船橋  利実君   古川   康君   古川  禎久君

古田  圭一君   古屋  圭司君   穂坂   泰君   星野  剛士君

細田  健一君   細田  博之君   細野  豪志君   堀井   学君

堀内  詔子君   本田  太郎君   牧島 かれん君   牧原  秀樹君

松島 みどり君   松野  博一君   松本  剛明君   松本  文明君

松本  洋平君   三谷  英弘君   三ッ林 裕巳君   三ッ矢 憲生君

三原  朝彦君   御法川 信英君   宮内  秀樹君   宮腰  光寛君

宮崎  政久君   宮澤  博行君   宮路  拓馬君   宮下  一郎君

武藤  容治君   務台  俊介君   宗清  皇一君   村井  英樹君

村上 誠一郎君   茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君

森山   裕君   八木  哲也君   簗   和生君   山際 大志郎君

山口  俊一君   山口  泰明君   山口   壯君   山下  貴司君

山田  賢司君   山田  美樹君   山本  幸三君   山本   拓君

山本ともひろ君   山本  有二君   吉川   赳君   吉野  正芳君

義家  弘介君   和田  義明君   若宮  健嗣君   鷲尾 英一郎君

渡辺  孝一君   渡辺  博道君   赤羽  一嘉君   井上  義久君

伊佐  進一君   伊藤   渉君   石井  啓一君   石田  祝稔君

稲津   久君   浮島  智子君   江田  康幸君   大口  善徳君

太田  昭宏君   太田  昌孝君   岡本  三成君   北側  一雄君

國重   徹君   佐藤  茂樹君   佐藤  英道君   斉藤  鉄夫君

高木 美智代君   高木  陽介君   竹内   譲君   富田  茂之君

中野  洋昌君   浜地  雅一君   濱村   進君   古屋  範子君

桝屋  敬悟君   吉田  宣弘君   鰐淵  洋子君   足立  康史君

青山  雅幸君   井上  英孝君   浦野  靖人君   遠藤   敬君

串田  誠一君   杉本  和巳君   馬場  伸幸君   藤田  文武君

美延  映夫君   森   夏枝君   あきもと 司君   石崎   徹君

大塚  高司君   下地  幹郎君   白須賀 貴樹君   田野瀬 太道君

松本   純君   丸山  穂高君

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣 菅  義偉君

       財務大臣   麻生 太郎君

       総務大臣   武田 良太君

       法務大臣   上川 陽子君

       外務大臣   茂木 敏充君

       文部科学大臣 萩生田光一君

       厚生労働大臣 田村 憲久君

       農林水産大臣 野上浩太郎君

       経済産業大臣 梶山 弘志君

       国土交通大臣 赤羽 一嘉君

       環境大臣   小泉進次郎君

       防衛大臣   岸  信夫君

       国務大臣   井上 信治君

       国務大臣   小此木八郎君

       国務大臣   加藤 勝信君

       国務大臣   河野 太郎君

       国務大臣   坂本 哲志君

       国務大臣   西村 康稔君

       国務大臣   平井 卓也君

       国務大臣   平沢 勝栄君

       国務大臣   丸川 珠代君

     ――――◇―――――

 昨十四日は、会議を開くに至らなかった。


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