衆議院

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第3号 令和4年1月20日(木曜日)

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令和四年一月二十日(木曜日)

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 議事日程 第三号

  令和四年一月二十日

    午後二時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)


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    午後二時二分開議

議長(細田博之君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

議長(細田博之君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。馬場伸幸君。

    〔馬場伸幸君登壇〕

馬場伸幸君 日本維新の会の馬場伸幸です。

 私は、我が党を代表して質問いたします。(拍手)

 みずのえのとらの令和四年を迎えました。

 みずのえのとらは、冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力にあふれ、華々しく生まれる年になると言い伝えられています。

 中国の武漢を発生源とする新型コロナウイルスの感染者が日本国内で初めて確認されたのは、二年前の一月十五日でした。コロナとの戦いは三年目に入りましたが、国民の皆様とともに戦い抜き、今年こそ、明日への確たる光を見出してまいりたいと存じます。

 コロナとの戦いは、年明けからオミクロン株が急拡大し、いわゆる第六波が到来しています。我が党は、去る十三日、新型コロナ対策の提言第十弾を後藤厚生労働大臣に提出いたしました。

 この二年間のコロナ対策についての検証と総括を行わないまま漫然と同じような対策や措置を継続することは、国民に大きな損失を与えかねないことを私たち国会議員はしっかりと認識すべきであります。

 果たして、飲食店等の営業時間短縮や利用人数制限、都道府県をまたぐ人流の抑制などの対策にどれだけの感染拡大防止効果があったのでしょうか。このままでは、自粛疲れの国民や、場当たり的な施策で影響を受ける事業者などの理解、協力を得ることも難しくなります。

 総理にお尋ねします。

 感染の第五波までに政府が施した様々な対策について、新型コロナ分科会等の専門家による検証と総括を行い、国民に分かりやすく説明すべきと考えますが、いかがですか。

 人流抑制と感染拡大との相関に疑義を呈する見解が相当数の専門家から出てきています。飲食店等に対する営業時間短縮命令に係る違反に罰則まで科される改正後の新型インフル等特措法の下では、科学的なデータ、エビデンスに基づいて対策を講ずることが政府の義務であると私たちは考えています。見解をお示しください。

 政府は、オミクロン株の重症化率の低さから、無症状者、軽症者については、原則、在宅、宿泊療養主体に切り替え、濃厚接触者の宿泊施設等での待機期間も縮小するなど、柔軟な対応を打ち出しました。

 感染症法上、新型コロナ感染症を結核などと同じ二類相当に位置づけたまま医療提供体制を維持しようとすると、どうしてもこうした取組が必要となることは、私たちも理解をしています。

 しかし、新型コロナ感染症を二類相当に位置づけたままでは、瞬く間に保健所の機能がパンクし、家族や周囲への感染を防ぎたい患者が医療機関で医療を受ける権利を阻害する事態になることにも留意が必要です。

 総理に質問します。

 医療を始めとする社会インフラや経済活動を止めない体制を構築するためにも、また患者の医療を受ける権利を保障する観点からも、感染症法上の五類あるいは五類相当に引き下げるべきではないでしょうか。総理の見解を求めます。

 私たちは、コロナを軽視しているわけではありません。保健所による徹底管理や隔離などの公衆衛生中心の戦略から、早期発見、早期治療によって重症者を最少化するために、全ての人がスムーズに医療にアクセスできる医療中心の戦略に移行するためです。

 五歳から十一歳の子供へのワクチン接種が二月にも始まります。コロナワクチンは予防接種法上の臨時接種の特例と定められていますが、この特例によれば、接種対象者は、原則、接種を受ける努力義務の規定が適用されます。

 総理に伺います。

 五歳から十一歳の子供のワクチン接種については、従来の臨時接種の特例を維持しつつも、妊娠中の方々への対応と同様、努力義務規定の適用を除外すべきだと考えますが、いかがですか。また、ワクチン接種を希望しない子供と保護者に対しては、差別など特別扱いされないよう、十分な配慮が必要です。見解をお示しください。

 総理が掲げる新しい資本主義は、なおもかすみに包まれたまま、その姿を現そうとしません。

 言葉遊びはもう結構です。奇をてらったレトリックを弄して、停滞する日本経済をよみがえらせる新機軸であるかのように取り繕う暇があるなら、真に成長の原動力となる規制改革、構造改革に本腰を入れ、経済を成長軌道に乗せるための改革に注力されてはいかがでしょうか。

 総理は、施政方針演説のおよそ四分の一を新しい資本主義と題する章に割きましたが、既存施策のオンパレードにすぎません。その章立ての最後には、何と、「今春、新しい資本主義のグランドデザインと、実行計画を取りまとめます。」と、総理が金看板に据える政策にいまだ全体像さえ存在しないことを自ら吐露されたのです。

 総理に伺います。

 グランドデザインもないまま、新しい資本主義という壮大なテーマを政権の柱に据えたのですか。実行計画は何年ぐらいのスパンの計画となるのでしょうか。既存施策を再構成して作文する以外に、本質的な新施策はあるのですか。あるならば、片りんだけでも御紹介ください。

 総理は、市場に任せれば全てがうまくいくという新自由主義的な考え方が様々な弊害を生んだと指摘されていますが、私たちは、そのような極端な考え方をついぞ聞いたことがありません。どこの誰が、いつ、そうした考え方を表明し、かつ実行してきたのでしょうか。具体的に御紹介ください。

 失われた三十年を乗り越え、格差社会を打破し、経済成長を取り戻さなければ日本の未来はありません。そこで、日本維新の会は、税制、社会保障制度、労働市場を三位一体で改革し、可処分所得の増加を目指す、日本大改革プランを打ち出しました。

 大改革プランの肝は、チャレンジのためのセーフティーネットとして、ベーシックインカム、つまり最低所得保障制度を導入するとともに、高等教育を含めた教育の無償化を実現することにより、人生設計に合わせて挑戦を続けられることにあります。

 総理に質問します。

 政府・与党の新しい資本主義というプランAに対し、私たちの日本大改革プランはプランBです。どちらのプランが成長を生み、その果実として、三十年も横ばいが続く国民の賃金を押し上げ、可処分所得を増やすことができるのか、四つに組んで日本の未来をかけて競い合うと約束してください。来る夏の参議院選挙で、国民の審判を仰ごうではありませんか。

 私たちは、現段階の岸田政権の賃上げ政策はつけ焼き刃だとみなしています。賃上げは、本来、企業同士の市場競争の結果として実現されるものです。賃上げのためには、人材の流動化を阻んでいる規制の見直しに真っ先に取り組むべきですが、岸田政権は、それを放置し、優遇税制や補助金という小手先の手法に終始しています。

 総理に質問します。

 労働市場、労働法制の抜本的な改革をなおざりにしたまま、成長による十分な賃上げを果たせるとお考えでしょうか。デジタルやグリーンといった世界的な大競争を勝ち抜くためには、昭和の時代の規制構造や労働市場の抜本改革に踏み込んだ政策パッケージが必要と考えますが、総理の見解を求めます。

 経済社会の仕組みをデジタル時代に合ったものに再構築していくことは、日本再生の必要条件です。

 日本維新の会は、一昨年六月、自民党、公明党とともに三党で緊急時給付迅速化法案を立案するとともに、昨年春に成立したデジタル社会形成基本法には、与党と調整をし、国と自治体の役割の三本柱の一つとして、公正な給付と負担の確保を追記しました。法律に責任を有するという意味で、日本維新の会は、デジタル分野の与党であるとの自負を持って、その執行を監視するとともに、政府の背中を押してまいりたいと存じます。

 総理に質問をいたします。

 政府は、昨年末に閣議決定したデジタル社会実現に向けた重点計画で、令和七年度までにマイナンバーの用途を広げるとしましたが、今国会でのマイナンバー法改正案の提出を見送った理由は何ですか。国民の利便性向上及び行政の効率化については様々な取組が位置づけられていますが、公正な給付と負担の確保についてはほとんど記載がありません。なぜですか。お答えください。

 日本維新の会は、マイナンバー法を改正して使途を拡大し、マイナンバーをフル活用することを訴えています。マイナンバーと全ての預貯金口座のひもづけを義務化することで、収入と資産を正確に捕捉し、公正な給付と負担の確保と社会保障の抜本改革の基盤とするとともに、戸籍から不動産登記、外国人在留管理までをひもづけし、ワンストップサービスの拡張や有事の際の給付金の速やかな支給など、透明で公正公平、迅速な行政施策の実施に資すると確信しているからです。

 公正な給付と負担を確保していく上で、全預貯金口座とマイナンバーのひもづけ義務化を急ぐべきだと考えますが、見解を求めます。欧米では当然となっているこの義務化が日本では遅々として進まないのはなぜなのか、認識をお示しください。

 世界はエネルギー転換を通じた産業革命の真っただ中にあり、主要国は、膨大なコストと労力を投入して脱炭素戦略を進めています。しかし、岸田政権の対応を見ていると、日本が世界をリードしていくだけの確固たる戦略があるのか、疑問を抱かざるを得ません。

 総理に伺います。

 菅前総理は一昨年暮れにグリーン成長戦略を発表しましたが、岸田政権が策定するというクリーンエネルギー戦略とは、具体的に何がどのように違うのでしょうか。

 自民党政権では、総理が交代するたびに、新しい戦略の検討を指示し、中身が変わらない、看板だけを差し替えた新戦略がまとまったと思ったら、総理が交代し、また振出しに戻るという不思議な作業が繰り返されてきました。

 菅政権下のグリーン成長戦略は生きているのですか。そうであれば、新しくまとめるクリーンエネルギー戦略との関係を国民に分かるように御説明ください。

 現政権の最大の問題点は、脱炭素化へのアプローチの方法がいまだに定まっていないことです。

 総理に質問します。

 カーボンプライシングについて、政府のアプローチ方針が定まらないのはなぜですか。一昨日の有識者懇談会でカーボンプライシングの検討を指示したと報じられていますが、価格アプローチと数量アプローチのいずれを取るのかといった大きな方針さえ示されずに、有識者に丸投げしているのですか。カーボンプライシングに係る政府方針はいつまでに決めるのですか。お答えください。

 温暖化対策をめぐっては、二酸化炭素の封じ込めばかりに力点が置かれていますが、世界では、水素細菌のように、二酸化炭素をたんぱく質や化学品を生み出す資源にしようとするバイオ研究開発も活発になってきています。実用化されれば新たな産業を生み出し、経済成長に資すると考えます。こうした動向も踏まえながら、戦略的なカーボン戦略を立てていくことが大事であると指摘しておきたいと思います。

 世界各国が戦略的物資の確保や重要技術の獲得にしのぎを削る中、日本もようやく経済安全保障法制の整備に着手することになりました。こうした取組が中国を最大の標的としていることは周知の事実ですが、日本政府が中国を名指しすることを避けるため、経済安保の概念や規制ルールが曖昧となることを懸念する声が広がっています。

 総理に質問いたします。

 経済安保を名目に、法律が恣意的に運用され、非効率な産業政策や保護貿易が経済全体をゆがめることは避けなければなりません。安全保障の確保と自由な経済活動の双方をどのようにバランスを取って担保していく考えですか。

 経済安保法制と併せ、日本の弱点とされてきた政府の情報収集、分析、管理の体制をどのように構築、強化していく方針ですか。菅前総理が在任中の昨年二月、必要だと国会で答弁されたスパイ防止法の制定に対する見解もお示しください。

 法案には、安保関連情報に対する官民のアクセスを限定するセキュリティークリアランスや、人権侵害や強制労働が疑われる製品への対応が盛り込まれていないと承知していますが、なぜですか。今後、導入を検討していくお考えはあるでしょうか。

 政府が子供関連政策の司令塔に据えるこども家庭庁の創設に向けた基本方針が打ち出されました。令和五年度に内閣府の外局に設け、専任閣僚を置くとされています。

 しかしながら、縦割り行政の弊害解消が目的だったはずですが、厚生労働省、文部科学省、内閣府の関連部署の完全統合は果たせず、看板だけの中途半端な組織となり、幼保一元化も見送られました。

 総理に伺います。

 子供関連政策については教育省が所管するのが世界の潮流です。

 日本維新の会は、教育政策を担っている文科省に、厚生労働省及び内閣府の子供政策関連部局を統合し、子供省として再編する構想を独自の対案として提出いたします。閣法の国会提出に合わせて日本維新の会として議員立法を提出しますので、正々堂々と論戦に応じていただきたいと思います。総理の受け止めと決意のほどをお聞かせください。

 覇権主義国と化した中国が、力による台湾統一への野心をあらわにしています。もはや台湾有事はいつ起きるのかという次元に移っていると見られています。

 台湾有事は、日本有事、すなわち日米同盟の有事に直結します。

 昨年四月の日米首脳の共同表明に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」と半世紀ぶりに明記され、以後、日米間では、直近の一月七日の2プラス2始め、同盟の抑止力と対処力を強化していく意思が繰り返し共有されてきました。欧州諸国等をも含めた民主主義陣営にとって、台湾有事への対処は焦眉の急です。

 しかし、総理の施政方針演説には、台湾の文字が一切抜け落ちていました。昨年秋の所信表明演説もしかりです。日本の平和と安定への深刻な影響を想起される台湾海峡の危機について語らず、素通りする意図が理解できません。

 総理に伺います。

 国会での総理の政権運営における重要な意見表明の場である施政方針演説で、なぜ台湾に関して直接的に全く言及されないのですか。中国への配慮でしょうか。お答えください。

 さきの日米2プラス2の共同表明では、地域の安定確保のために、自由や民主主義、人権などの価値を共有する全ての主体と協力することが確認されました。無論、中国の動きを念頭に置いたものであります。

 総理に質問します。

 協力し得る全ての主体の対象には、当然、台湾が含まれると解釈してよろしいですか。そうであるならば、台湾とも、対中国で共同対処する道を公式に模索していくべきだと考えますが、見解を求めます。

 過日、中国軍機の西太平洋への進出が活発化していた二〇一九年の二月、台湾当局が中国軍機の飛行情報を即時に交換する体制の構築を日本政府に要請したところ、日本側が拒否したとの報道がありました。台湾当局が日本に公式な防衛協力を要請していたとされる経緯が明らかになるのは初めてですが、事実関係と今後の日台間の防衛協力の在り方について、総理の見解をお示しください。

 台湾有事に備え、約二万五千人とされる台湾在留邦人のほか、沖縄本島、先島諸島などの数十万単位の住民の退避について、政府として具体的に検討を進められていてしかるべきだと考えますが、状況をお答えください。

 中国や北朝鮮、ロシアが極超音速兵器や変則軌道の弾道ミサイルの開発を進めています。実戦配備されれば、日本はミサイル防衛による迎撃だけでは対処ができなくなります。

 そのため、いわゆる敵基地攻撃能力、日本維新の会は領域内阻止能力と表現していますが、その保有は不可欠と考えます。さきの日米2プラス2でも日本側が検討の方針を伝えましたが、領域内阻止能力の保有は、米軍が攻撃の矛、自衛隊が防衛の盾を担ってきた日米の役割分担を見直すことになります。

 中国が昨年八月に実施した極超音速兵器の発射実験において、当初は標的から約四十キロ離れた地点に着弾したとされていましたが、実際には標的に極めて近い地点に着弾したと日米両政府が分析していたことが、我が党が独自に得た情報で分かりました。日米は中国の脅威に対する危機感を一層強めたと聞いています。

 総理に伺います。

 この事実関係について把握をされていますか。これによって中国はアメリカに対してピンポイントで核の脅しを行うことができ、アメリカの核の抑止力の信用性を傷つけかねないと考えますが、どのように認識されていますか。

 中国政府による新疆ウイグル自治区などの苛烈な人権侵害を非難する国会決議の採決が、昨年の通常国会に続き、暮れの臨時国会でも見送られました。

 与党内の調整により、当初から中国の国名が外されていましたが、臨時国会の最中に、人権侵害が人権状況に修正され、非難決議案から非難の二文字も削除されました。対中非難に値しない骨抜きの国会決議案であるのに、自民党の幹部は、タイミングの問題だと意味不明な理由を挙げ、臨時国会での採決を認めなかったようです。

 自公執行部の対応は中国政府におもねるもので、言語道断です。自公幹部は、塗炭の苦しみにあえぎ、命からがら亡命したウイグル人ら弾圧の被害者から直接話を聞いたらどうでしょうか。

 日本の国会が深刻な人権侵害に抗議、非難の声が上げられないとは、恥ずかしい限りです。北朝鮮による日本人拉致問題について、どのような顔で国際社会に協力を求めていくのでしょうか。

 総理に質問いたします。

 与党のお粗末な対応により国会で人権問題をめぐる対中非難決議が採択されない状況を、どのように受け止めていますか。自民党総裁として、一日も早い採決に向けて指導力を発揮するお考えはないでしょうか。人権問題担当の補佐官ポストを設けても、やることをやらなければ意味がありません。明快な答弁を求めます。

 今年は、平成十四年の日朝首脳会談で北朝鮮が日本人を拉致した事実を認め、五人の拉致被害者が帰国してから二十年の節目です。この間、拉致問題は一ミリも前に進まず、昨年暮れには、拉致被害者家族会の前代表だった飯塚繁雄さんが、北朝鮮にとらわれる妹の田口八重子さんとの再会を果たせずに亡くなりました。八十三歳でした。飯塚さんの無念たるや、察するに余りあります。

 総理に伺います。

 工場で物づくりに携わってきた飯塚さんは、政府に、工程表を示すよう訴え続けてきました。どのように被害者を奪還するのか、具体的な道筋を示してほしいということです。亡き飯塚さんの思いに、総理はどのように行動で示すお考えでしょうか。

 横田めぐみさんら拉致被害者とその家族の苦悩の闘いを描いた映画「めぐみへの誓い」が昨年公開され、各地で上映され続けています。平成二十六年から政府主催により全国各地で上演されてきた舞台劇が映画化されたものであります。

 拉致問題に取り組む有志の方々が、世界の人々に拉致事件の実態を知ってもらおうと、この映画の海外上映に力を尽くされ、これまでに韓国で実現しました。現在、アメリカとドイツでの上映を目指し、英語とドイツ語の字幕版を完成させるなど、骨を折られておられます。

 昨年九月、ミュンヘン在住二十年の日本人の方が、多くのドイツ国民に見ていただきたいと、映画イベントでの上映や日本人学校等の施設使用などをめぐって、在ミュンヘン総領事館に協力を要請しました。ところが、総領事館サイドは返事すらせず、全く取り合ってくれなかったそうです。

 助成金等の予算を求めておられるのではありません。政府の名義後援といった後押しが欲しいのです。全国では、大阪府議会、大阪市会を発火点として、拉致問題啓発活動推進の決議を採択する動きが広がっていますが、現在の政府の対応では、最重要課題という言葉がむなしく響きます。

 総理に伺います。

 映画「めぐみへの誓い」を御覧になられましたか。視聴されたなら、率直な感想をお聞かせください。

 拉致問題解決に向けた国際世論を高めていくために、政府はこうした海外在住の民間の方々の活動を支援していくことも重要ではないでしょうか。なぜ、在ミュンヘン総領事館のような冷淡な対応が放置されているのですか。政府として協力できない理由があるのですか。見解を求めます。

 日本国憲法は、今年五月、施行七十五年を迎えますが、今国会は憲法改正に向けた議論が軌道に乗るか否かの重大な試金石になると考えます。衆参両院の憲法審査会を少なくとも毎週定例日に開き、憲法の中身の議論を滞りなく進めていくことが不可欠であります。

 日本維新の会は、平成二十八年に、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所設置の三項目から成る憲法改正原案を取りまとめ、公表しています。しかし、自民党が素案として示している緊急事態条項創設や九条改正についても、これから党内議論を進めてまいります。

 総理にお伺いをいたします。

 昨年の自民党総裁選の際に公言された、総裁任期中に憲法改正を実現するとの約束は、今も揺るぎませんか。安倍元総理が、在任中、二〇二〇年までの施行という期限を示して国民的な憲法論議を促したように、岸田総理も、例えば夏の参議院選挙に合わせて国民投票を実施するといった具体的スケジュールを明示し、憲法審での精力的な議論をリードしていくべきだと考えますが、党総裁としての見解を求めます。

 日本維新の会は、結党以来、身を切る改革を実践してきました。

 その立場から、国会議員に一人月額百万円が支給される文書通信交通滞在費の抜本改革が、昨年末の臨時国会で、自民党と立憲民主党の事実上の談合により先送りされたことは残念でなりません。

 自民党の姿勢も問題ですが、立憲民主党に至っては、さきの臨時国会で歳費法改正案を共同提出した我が党と国民民主党に遅れまいと同趣旨の法案を提出しながら、党内がまとまっていないとして、日本維新の会が実践している領収書の自主的公開には頬かぶりを決め込んでいます。

 自民党総裁たる総理にお尋ねします。

 さきの臨時国会で、総理は、国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていくべきだとし、自身も合意に従い対応すると答弁されましたが、逆に言えば、法改正が実現するまでは領収書を公開することはしないという拒否宣言とも受け取れます。政権党のトップとして、国会議員の範を示す考えはありませんか。国会が決めることなどという逃げ口上でなく、政治家としての真摯な答弁を求めます。

 日本維新の会は、かねて、衆参両院に設置されている特別委員会の統廃合を訴えてきましたが、延々と先送りをされてきました。

 特別委員会の大半は、開催実績が極めて低調で、存在意義が乏しい幽霊委員会なのに、会期中、委員長には、土日も含めて一日六千円の手当が支給され、専用の公用車も割り当てられるという特権を死守することが目的化しています。国民の皆さんにはさんざん痛みを強いながら、自分たちの処遇に関わることは聖域化する。どこまで国民を愚弄すれば気が済むのですか。

 我が党は、十七日、衆参両院の常任委員長、特別委員長の特権の一部である手当支給を廃止するための法案を衆議院に提出しました。

 自民党総裁たる総理に質問をいたします。

 国会の特別委員会の在り方や委員長に対する特権について、どのように認識されていますか。現状にメスを入れるべきだというお考えはありますか。我が党が提出した委員長手当廃止法案に賛同していただけませんか。逃げることなく、真摯にお答えください。

 立憲民主党が、令和二年三月から約半年間にわたり、公共のメディアを標榜するネットメディア、チューズ・ライフ・プロジェクトに対し、番組制作費としておよそ千五百万円もの資金をひそかに提供していたことが発覚しました。

 公党が、特定メディアへの資金提供を通じ、自分たちに有利な世論誘導を企図していたという疑念は拭えず、政治報道に係る、極めて深刻かつ重大な問題です。立憲民主党は、違法性がなく、番組内容に影響を与える意図もなかったと説明していますが、報道の自由をお金で買ったも同然です。

 枝野代表時代に当時の福山幹事長の判断で行った問題だとして、泉健太代表は、我関せずのようです。しかし、福山幹事長時代には、市民運動に従事していた学生団体、SEALDsの元メンバーら活動家の企業に対しても、税金や寄附金を原資とする党の政治資金から億単位の資金が流れていた疑惑も表面化しています。立憲民主党には、詳細な調査の公表を強く求めます。

 総理に伺います。

 今回のような、公党による特定メディアへの資金提供問題について、自民党総裁としてどのように受け止めていますか。見解をお示しください。

 二〇二五年に開催される大阪・関西万博は、世界がコロナ禍を乗り越え、新しい時代を展望するとともに、日本の魅力を世界に発信する絶好の機会です。大阪、関西のみならず、全国各地を訪れる観光客が増え、地域経済を活性化させる起爆剤となり、日本経済の成長に資することを期待しています。

 日本維新の会は、地元自治体や経済界などと手を携え、大阪・関西万博の成功に向けて全力で取り組んでいくことをお誓いし、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

内閣総理大臣(岸田文雄君) 馬場伸幸議員からの御質問にお答えいたします。

 新型コロナ対策についてお尋ねがありました。

 新型コロナへの対応については、これまでも、科学的な知見やエビデンスを重視し、その時点その時点の分科会の意見を踏まえた基本的対処方針に基づき、対策を講じてきたところです。未知のことも多く、全てを見通した上で判断を行えるわけではありませんが、専門家の意見を伺いながら、過度に恐れることなく、最新の知見に基づく対応を冷静に進めてまいります。

 息の長い感染症対応体制の強化策として、次の感染症危機に備えて、これまでの検証をしっかりと行い、本年六月をめどに、危機に迅速的確に対応するための司令塔機能の強化や、感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的な観点から必要な対応を取りまとめてまいります。

 新型コロナの感染症法上の位置づけと子供へのワクチン接種についてお尋ねがありました。

 オミクロン株の感染が急拡大している中、今、このタイミングで感染症法上の位置づけを変更することは現実的ではないと考えていますが、変異を繰り返す新型コロナの特質をしっかり考えた上で、今後の感染状況等も踏まえ、厚生労働省の審議会等において、専門家の意見を伺いながら、議論してまいりたいと思います。

 ワクチン接種については、集団予防の観点から実施されるものであり、原則として接種の努力義務を課すこととしていますが、十二歳未満の子供の接種への努力義務の適用の是非については、専門家による有効性、安全性の確認など、必要な手続を進めていく中で検討してまいりたいと思います。

 また、接種を強制することや接種の有無により不当な差別的扱いが行われることがないように、ワクチン接種の趣旨についてしっかり周知をしてまいります。

 新しい資本主義についてお尋ねがありました。

 岸田政権の掲げる新しい資本主義のグランドデザインの基本は、格差や気候変動といった資本主義経済の弊害がグローバルに顕著になってきた中、これらの問題の解決を市場、競争に全て委ねるのではなく、官と民が協働して、市場の失敗、外部不経済を是正する仕組みを成長戦略と分配戦略の両面から資本主義の中に埋め込むことで、成長を実現するとともに、社会課題を解決し、そして結果として持続可能な経済を実現していこうとするものであります。

 新たな資本主義のモデルを模索する動きは、我が国のみならず、世界各国で始まっています。米国におけるビルド・バック・ベター、欧州の次世代EUといった政策は、こうした問題意識に基づく新たな資本主義モデルの模索の動きの一つであり、私の新しい資本主義もこれらの動きと軌を一にするものであると考えています。

 具体的には、デジタル化、気候変動問題への対応、経済安全保障などの課題をこれからの成長分野にしていくという発想で、予算や規制改革、新たなルール整備などによってマーケットをつくるとともに、民間投資を促すことです。

 第二に、デジタル田園都市国家構想を強力に推進し、地域の課題解決を図るとともに、地方から全国へと、ボトムアップの成長を実現していくということです。

 第三に、所得の向上につなげる賃上げを進めるべく、賃上げ税制の拡充や公的価格の引上げを図るほか、中小企業や下請企業が適正な価格転嫁を行える取引環境の整備を進めるとともに、これからの付加価値を創造する源泉となる人的資本への投資を抜本的に強化いたします。

 まずは、こうした新しい資本主義を起動させるため、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策を策定したところです。

 今後の実行計画のスパンについては、これらの成長、分配戦略の施策の内容を具体化し、毎年度に実行する内容を記述した工程表を具体的に作成することを通じて決定してまいります。

 新しい資本主義における可処分所得の増加を目指す取組についてお尋ねがありました。

 御党が掲げる日本大改革プランは、経済成長と格差解消を目指す所得向上策と理解しています。

 私が掲げる新しい資本主義も、まずは成長だと申し上げています。経済成長を実現しなければ、分配の原資はありません。その際、市場や競争に全てを任せるのではなく、官と民が協働して、成長と分配の好循環を生み出していきます。市場の失敗、外部不経済を是正する仕組みを成長戦略と分配戦略の両面から資本主義の中に埋め込み、そうした課題を解決しながら、成長と分配の好循環を生み出していきたいと考えます。

 例えば、デジタル化であれば、社会課題に直面する地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあるという発想で、インフラ整備、サービスの実装、ルール等の整備を一体的に進め、自動配送、遠隔医療、オンライン教育、スマート農業など、デジタル技術を生かした新たなビジネス投資を促していきます。気候変動への対応については、エネルギーの供給側に加えて、製造業や運輸部門での設備投資、住宅の省エネ化など、需要側の各分野でのエネルギー転換に向けた投資を後押しするための方策を具体化し、気候変動関連のあらゆる分野を成長産業にしていきます。

 成長の果実を広く国民一人一人に分配することで、賃上げを含めた各種施策や人的資本投資強化のための政策パッケージと組み合わせ、消費の拡大による経済活性化と人的投資による生産性向上によって更なる成長につなげていきたいと考えます。

 経済成長や格差是正に向け、御党ともしっかりと国会において議論をさせていただきたいと思っております。

 そして、賃上げと成長戦略についてお尋ねがありました。

 成長と分配の好循環による持続可能な経済を実現する要となるのが、賃上げや人への投資を始めとする分配戦略です。

 賃上げについては、賃上げ税制や補助金の拡充だけではなく、公的価格の引上げに加え、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備や最低賃金の見直しなど、あらゆる施策を総動員して取り組んでまいります。

 また、賃上げだけでなく、人への投資の抜本強化にも取り組むこととしており、三年間で四千億円規模の施策パッケージにより、民間ニーズを反映しつつ、成長分野への労働移動の円滑化、そして人材育成、これらを強力に推進してまいります。

 同時に、予算、規制改革、新たなルール整備など、政策を総動員して民間の投資を促し、成長を実現してまいります。

 マイナンバー法とマイナンバーの利活用についてお尋ねがありました。

 マイナンバーの利用や情報連携については、国民に利便性を感じてもらうことを第一に、徹底的に国民視点に立って行政手続等を精査し、業務や制度の見直しを総合的、包括的に行うこととし、令和五年に、マイナンバー法を含む必要な法案提出を実施することとしたものです。

 御指摘のデジタル社会の実現に向けた重点計画に基づき、引き続き、デジタル社会の基盤となるマイナンバーの利活用を推進してまいります。マイナンバーの利活用を推進していくことが社会保障と税の分野で公正な給付と負担の確保に資することは、従来と何ら変わってはおりません。

 また、預貯金口座への付番を円滑に進めるため、昨年五月に成立した預貯金口座個人番号利用申出法では、新規口座開設時に金融機関がマイナンバーの告知を求めることを義務づけるとともに、本人の同意を前提に、一度に複数の金融機関の預貯金口座への付番が行える仕組み等を設けることとしており、着実な実施を図ってまいります。

 グリーン成長戦略とクリーンエネルギー戦略についてお尋ねがありました。

 二〇二〇年に策定されたグリーン成長戦略は、再エネや原子力など、供給側の成長戦略を中心に取りまとめました。クリーンエネルギー戦略では、グリーン成長戦略やエネルギー基本計画で示した高い目標の実現に向けて、エネルギーの供給側のみならず、需要側も含め、どのような分野で、いつまでに、どういう仕掛けで、どのぐらいの投資を引き出すのか、時間軸を示しつつ、経済社会変革の全体像及び道筋を示していきます。

 クリーンエネルギー戦略の策定に向けて、一昨日、私から経済産業大臣を始めとする関係大臣に対して、送配電インフラ、蓄電池、再エネを始め水素やアンモニアなどの非炭素電源、安定、低廉かつクリーンなエネルギー供給の在り方、需要側の産業構造転換や労働力の円滑な移動、地域における脱炭素化、ライフスタイルの転換など、多くの論点に方向性を見出すよう指示をしたところであり、今後、集中的な検討を深めます。

 カーボンプライシングについては、このクリーンエネルギー戦略の中で早期に方向性を見出してまいります。

 経済安全保障法制の整備、そして政府の情報収集等の体制強化等についてお尋ねがありました。

 経済安全保障は、待ったなしの課題であり、新しい資本主義の重要な柱です。

 経済安全保障を推進するための新たな法律については、現在、有識者会議を立ち上げ、経済界やアカデミアなどの様々な分野の有識者に議論をいただいており、自由な経済活動と両立する形で、予見可能性に配慮した制度設計とするよう、検討を進めているところです。

 また、経済安全保障分野での情報収集機能等の強化は誠に重要であり、関係省庁がお互いに有する情報を共有し合う等によって、より一層この情報収集機能を充実強化するべく取り組んでいきたいと考えます。

 御指摘のセキュリティークリアランスや人権侵害への対応を始めとする様々な課題については、今後、国際情勢等の変化も見据えつつ、省庁横断で必要な取組を進めてまいります。

 なお、いわゆるスパイ防止法の必要性については、様々な議論があると承知をしております。国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要なことであり、必要な取組の充実強化に引き続き努めてまいりたいと考えています。

 日本維新の会の子供省の構想についてお尋ねがありました。

 この構想については、現時点でその具体的内容を承知してはおりませんが、教育については、文部科学省において初等中等教育、高等教育及び社会教育の振興を一貫して担っており、教育行政の一体性を維持して、子供の成長を学びの側面から支えていくため、引き続き、文部科学省が、地方の教育委員会等と連携して、その充実を図ることが適切だと考えます。

 その上で、就学前の全ての子供の育ちの保障を担うこども家庭庁と文部科学省が緊密に連携を図り、幼稚園、保育所、認定こども園における教育、保育内容の基準の整合性を制度的に担保することなどにより、施設類型を問わず、質の高い教育、保育を受けられるようにしてまいります。

 施政方針演説における台湾への言及、台湾との防衛協力の在り方及び台湾有事の際の邦人退避等についてお尋ねがありました。

 今回の施政方針演説においては、台湾海峡をめぐる情勢も念頭に、中国との間で諸懸案を含めて対話をしっかり重ねていく、こうした旨を述べたところであります。

 御指摘の日米2プラス2の共同発表での言及は、まさに、自由、民主主義、人権、法の支配、国際法、多国間主義及び自由で公正な経済秩序の尊重へのコミットメントを共有する全ての主体と協力することについて、日米間で改めて確認したものです。

 また、政府は、従来から、中台の軍事動向について強い関心を持って情報収集に努め、また、様々な相手と情報共有を行ってきておりますが、その具体的な手段、内容、また相手について、事柄の性質上、お答えは控えなければならないと思います。

 その上で、台湾との関係は非政府間の実務関係として維持していくとの日本政府の立場を踏まえ、日台間の協力と交流の更なる深化を図ってまいりたいと思います。

 同時に、在留邦人を含む国民の安全を確保することは政府の最も重要な責務であり、いかなる事態にも対応できるよう、平素から、体制の整備を含め、万全を期してまいります。

 中国による極超音速兵器の発射実験とアメリカの核の抑止力についてお尋ねがありました。

 御指摘の中国による極超音速兵器の試験及びその影響についての報道は承知しておりますが、本件については、我が国の情報収集能力を明らかにするおそれがあることから、お答えは控えなければならないと思います。

 その上で申し上げれば、中国は、ミサイル防衛の突破が可能な打撃力を獲得するため、極超音速滑空兵器の開発を急速に推進していると見られます。

 そして、核抑止は米国の安全保障戦略の根幹に関わる重要なものであり、米国も核抑止を確実なものとし続ける方針であると認識をしております。その上で、先日実施された日米2プラス2においても、日米間で米国の拡大抑止の重要性について改めて確認をしています。

 中国における人権状況と国会決議についてお尋ねがありました。

 私の内閣では、人権を始めとした普遍的価値を守り抜くことを重視しており、初めて任命した専任の補佐官とともに、しっかりと取り組む覚悟です。我が国としては、こうした普遍的な価値が中国においても保障されることが重要であると考えています。

 こうした我が国の立場は、これまでも様々なレベルで中国側に直接働きかけています。私自身も、昨年十月の習近平主席との首脳電話会談で、香港、新疆ウイグルの人権状況について直接提起をいたしました。

 その上で、国会での決議の採択は、これは国会でしかるべく御議論いただくべきものであると考えております。

 拉致問題解決についてお尋ねがありました。

 拉致問題は最重要課題です。改めて、飯塚繁雄さんが御逝去されたことに心より哀悼の意を表するとともに、御家族にお悔やみを申し上げます。拉致問題の解決には一刻の猶予もない、こうしたことを痛感しております。

 全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現する上で各国との連携は重要であり、明日行う日米首脳テレビ会談においても、バイデン大統領との間で、拉致問題の解決に向けて、両国間の緊密な連携を確認する考えです。私自身、金正恩委員長と直接向き合うべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組んでまいります。

 そして、映画「めぐみへの誓い」については、私自身、まだ視聴してはおりませんが、民間主導でこのような活動が進んでいることは大変心強いことだと考えます。

 お尋ねの在ミュンヘン総領事館の対応については、先方との関係で丁寧に対応するよう改めて指示をいたしました。いずれにせよ、政府としては、拉致問題解決に向けた国際世論の喚起のため、北朝鮮人権侵害問題啓発週間の国際シンポジウム等の取組を行ってきており、拉致問題に関する国際世論の理解と支援を得るためにいかなる方途が効果的かという観点から、今後も、不断の検討を行いつつ、積極的に取り組んでまいります。

 憲法改正についてお尋ねがありました。

 私自身、総裁選挙等を通じて、任期中に憲法改正を実現したいということを申し上げてまいりました。今、内閣総理大臣の立場から、憲法改正の議論の進め方、あるいは内容について直接申し上げることは控えなければならないと思いますが、さきの臨時国会において、憲法審査会が開かれ、憲法改正に向けた議論が行われたことを歓迎し、本国会においても更に積極的な議論が行われることを心から期待いたします。

 国の礎である憲法の在り方を決めるのは国民の皆様でありますので、憲法改正に関する国民的議論を喚起していくため、我々国会議員が、国会の内外で議論を積み重ね、発信していくことが重要であり、私自身も誠実に向き合っていく決意です。

 文書通信交通滞在費や国会の特別委員会の在り方等についてお尋ねがありました。

 文書通信交通滞在費については、議員活動の在り方に関わる重要な課題であり、各党各派における真摯な議論を通じて合意を得て、まずは全議員共通のルールを作ることが大事であると考えています。

 また、国会の特別委員会や委員長が支給を受ける議会雑費の在り方についても、これは議会の活動に関わる重要な課題であり、各党会派において幅広い観点から議論をしていただくことが大事であると考えております。

 そして、政党による特定メディアへの資金提供についてお尋ねがありました。

 御指摘の事案は政党の個別の活動に関することであり、私の立場からお答えは差し控えたいと思いますが、特定メディアへの資金提供については、それぞれの政党において、国民の信頼にもとることがないよう、その是非を含め、適切に判断すべきものと考えております。(拍手)

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議長(細田博之君) 石井啓一君。

    〔石井啓一君登壇〕

石井啓一君 公明党の石井啓一です。

 私は、公明党を代表いたしまして、施政方針演説等政府四演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)

 まず、新型コロナ感染症で亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、罹患された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 昨年末から新型コロナの感染が急拡大をし、全国の感染者数は過去最多を更新し、多くの都県で蔓延防止等重点措置が適用されました。重症化は比較的抑えられておりますが、オミクロン株の感染力の猛威に、国民には不安が広がっております。病床逼迫など医療崩壊を起こさないための万全な対策が求められております。

 こうした中にあって、岸田政権は、コロナ禍で傷んだ経済の回復を始め、国民生活の不安の解消や、脱炭素化、デジタル化に向けた社会変革、加速する少子化への対策、相次ぐ自然災害への対応など、待ったなしの課題に立ち向かわなければなりません。

 公明党は、こうした難題のかじ取りに挑む岸田政権をしっかりと支え、コロナ禍を克服し、力強い日本の再生を目指し、総力を挙げてまいります。

 以下、諸課題について具体的に質問いたします。

 初めに、新型コロナ対策について伺います。

 新型コロナウイルスとの戦いが三年目に突入いたしました。この間、公明党は、ワクチンの確保と接種の促進、治療薬の普及などを実現し、コロナ対策を大きく前進させました。

 一方、昨年末より、感染力が非常に強いオミクロン株による感染が各地で急増しております。こうした新たな不安を払拭するため、公明党は、本年も引き続き、新型コロナ対策に全力で取り組んでまいります。

 まずは、オミクロン株による感染拡大の第六波への対応が急務であります。

 オミクロン株の感染力は強い一方で、重症化率は低い可能性が高いこと、また、潜伏期間が短いなどの指摘がされております。こうした分析を速やかに行い、丁寧な情報提供を行う必要があります。

 あわせて、オミクロン株の特性を踏まえた対応の見直しを早急に検討いただきたい。特に、濃厚接触者の待機期間の短縮措置について、エッセンシャルワーカーに加えて、事業継続の観点から、テレワークや代替要員の確保が困難な中小・小規模事業者にも適用することを検討していただきたい。

 一方で、医療提供体制の逼迫は何としても避けなければなりません。コロナ対策の全体像に基づき、都道府県が策定した病床や宿泊療養施設などの確保計画や、自宅療養者の健康観察、往診体制などについて、感染拡大のスピードに後れを取ることがないよう、確実に進めなければなりません。まさに今、政府の実行力と調整力が問われております。国は、自治体と連携を強化し、万全を期していただきたい。

 あわせて、飲み薬の普及も重要であります。これまでの治療薬は医師による点滴や注射での投与が必要でありましたが、飲み薬は自宅でも服用でき、重症化予防の切り札となるとともに、医療現場の負担軽減にもつながります。ただ、発症後早期に服用しなければ効果が十分に出ないことから、感染が拡大しても速やかに検査、診断できる体制を構築し、飲み薬を必要とする患者に確実に迅速に届けるようにしていただきたい。

 また、ファイザーの飲み薬については、既に二百万回分の確保で基本合意をしていると承知しております。臨床試験では重症化予防に高い効果を示しており、納入時期を含めた最終合意に向けた交渉を急ぐとともに、飲み合わせの問題などを明確にした上で、承認されたならば可及的速やかに普及を図れるよう、入念な準備をお願いしたい。

 以上、オミクロン株への対応や、病床、宿泊療養施設の確保、自宅療養者の健康観察、往診、飲み薬の普及などについて、総理の答弁を求めます。

 公明党は、ワクチンを新型コロナ対策の切り札として位置づけ、必要量の確保と接種の無料化、迅速な接種に取り組んでまいりました。昨年七月末には高齢者の接種がほぼ完了、その後、現役世代への接種も進んだことで、感染者は大きく減少しました。

 しかし、ワクチンの効果、特に感染防止効果は時間の経過とともに大きく低下するため、今後のコロナ対策の課題は、三回目の前倒し接種を迅速に進めることであります。一方で、三回目接種として供給されるワクチンは二回目までと比べてモデルナ製の比率が高く、三回目接種を迅速に進めるためには交互接種への理解が欠かせません。

 また、十二歳未満の子供に対するワクチン接種につきましても、国内における十二歳未満の感染による死亡例がないことや、重症化リスクも低いと指摘されていることから、これまで以上に、ワクチンの効果や副反応について、分かりやすく丁寧な情報発信が求められます。

 交互接種や子供へのワクチン接種に対する国民の不安解消に向けて、国が安全性や有効性に関する情報提供を積極的に行うなど、前面に立って取り組んでいただきたい。

 公明党は、治療までの体制を構築するとともに、後遺症への対策も充実強化すべきと訴えてまいりました。新型コロナの感染者が増え続ける限り、後遺症で苦しむ方々も増えることになります。そのため、後遺症外来や相談窓口の設置を促進するとともに、後遺症対策の要となる後遺症のガイドラインを適時適切に改定していただきたい。また、後遺症に関わる医療データのオープンソース化も重要であります。

 ワクチン三回目接種の迅速な実施と後遺症対策について、総理の答弁を求めます。

 雇用対策や生活困窮者等の支援について伺います。

 コロナ禍で生活が苦しい方々を支援するため、令和三年度補正予算には、住民税非課税世帯に対する臨時特別給付金や学生支援給付金などが計上されております。政府は、こうした支援策について、必要な方に早急かつ確実に行き渡るよう、丁寧に周知をしていただきたい。

 また、緊急小口資金や住居確保給付金の特例措置、最大三十万円の生活困窮者自立支援金については、申請期限が本年三月まで延長されました。雇用調整助成金等についても、特に業況が厳しい企業等に配慮をし、本年三月末まで、業況特例、地域特例の日額上限、助成率が継続をされます。しかし、オミクロン株による感染拡大など、新型コロナの感染状況は依然として予断を許さない状況にあるため、支援策の更なる延長を含めた対応を検討すべきであります。

 雇用対策や生活困窮者等への支援について、総理の答弁を求めます。

 昨年末、政府は景気判断を十七か月ぶりに上方修正しましたが、飲食、宿泊、交通といった観光関連産業や中小企業は依然として厳しい状況です。

 こうした中、今年度は税額が据え置かれている土地の固定資産税が、来年度は評価額の五%を上限に引き上げられ、とりわけ商業地においては約六割が負担増となり、うち約二割の地点で一〇%以上の増税になることが見込まれておりました。

 そこで、公明党は、昨年末の与党税制協議会において、厳しい状況に置かれている事業者を支える観点から、負担軽減策を講ずべきと強く主張し、来年度は商業地の引上げ幅を二・五%に半減する方針を与党として決定いたしました。法改正と着実な実行をお願いしたい。

 その上で、オミクロン株による感染急拡大が事業者に不安を広げております。今年度の補正予算において、三月までの間に売上げが急減した事業者に対する最大二百五十万円の事業復活支援金や、時短要請に応じる飲食店への協力金として五兆円の地方創生臨時交付金を既に確保しております。また、事業再構築補助金については、公明党の訴えで、多くの事業者が対象となるよう、要件を緩和いたしました。さらに、回復・再生応援枠が新設をされ、来年度以降も含め、引き続き業況が厳しい事業者に対しては補助率を引き上げ、手厚く支援することとしております。

 事業者の皆様にこうした制度をしっかりと周知、広報するとともに、申請から支給まで、円滑な執行に努めていただきたい。

 事業者に対する支援について、総理の答弁を求めます。

 文化芸術活動への支援について伺います。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、文化芸術関係者は、早くから公演等の自粛を余儀なくされ、大幅な減収など大きな影響を受けてきました。

 公明党は、文化芸術の灯を断じて消してはならないとの思いで、文化芸術関係者の方々の声を直接伺い、その声を政府に届け、フリーランスを含めた関係者に最大百五十万円を支給するなど支援を実現してまいりました。

 現在は、オミクロン株による感染急拡大の影響が懸念をされ、引き続き、関係者に寄り添った支援が欠かせません。そのため、文化芸術団体等に最大二千五百万円を支援するアーツ・フォー・ザ・フューチャーや、キャンセル料を補助するJ―LODliveなどの活動継続につながる支援や、十八歳以下の子供たちが無料で舞台等を鑑賞できる機会などを充実させるべきであります。

 文化芸術関係者に寄り添った支援の充実について、総理の答弁を求めます。

 次に、経済再生への取組についてお尋ねします。

 最重要の取組の一つがデジタル基盤の強化であります。

 昨年の東京オリンピック・パラリンピックでは大会運営に関わるシステムなどに対する約四億五千万回のサイバー攻撃に耐えた一方で、公立病院で電子カルテが全く使えなくなるというサイバー被害が報道されました。

 国民生活や社会活動の基盤となる医療や金融、行政サービスなどの重要インフラのサイバー被害は、管理を適切に行えば大半が防げると言われております。特に、命を預かる医療施設に対しては、サイバーセキュリティー総点検を行うなど、国と都道府県が協力をして、丁寧に取り組むべきであります。

 また、補助金やデジタル、セキュリティーの支援策などの大事な情報が最前線まで届いていないという声が寄せられております。

 デジタル田園都市構想の実現に向けて、サイバーセキュリティーに対する国や自治体、事業者、ベンダーなどそれぞれの役割の明確化と、情報提供の徹底、相談窓口の周知などの包括的な対応策が急務です。

 また、マイナンバーカードと健康保険証のひもづけがスタートをし、本年は、この機能を活用して、救急車の搬送時に、患者の氏名のほか、手術や薬の服用歴などを確認する実証実験が予定をされております。一日も早く全国展開をし、一人でも多くの命が救われることを期待したい。

 将来的には、医療情報だけでなく、介護や障害福祉の情報などと連携をし、マイナンバーカードのメリットを国民が実感できるようにすべきであります。そのためには、まず、医療機関、薬局に対してマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにするシステムの導入を促進し、どの窓口でも使えるようにすることが必須条件だと考えております。

 セキュリティー対策やマイナンバーカードの活用など、デジタル基盤の強化について、総理の認識を伺います。

 産業構造の転換を図り、脱炭素化を進めることが重要であります。

 先般、岸田総理は、クリーンエネルギー戦略の策定を表明されました。戦略の策定に向けては、二〇三〇年度の再生可能エネルギー比率や温室効果ガス削減目標を実現するための発電設備の導入、電化の促進など、需給両面のグリーン化を一体的に進めることが必要であります。

 他方で、再エネによって発電された電気を融通する送電網や蓄電池等のインフラが十分に整備されていないことに加え、製造過程で化石燃料を扱う鉄鋼業等のエネルギー転換には高額な投資費用が伴うなどの課題があります。

 大規模かつ長期的な投資戦略を策定し、民間の投資を最大限に引き出す大胆な支援策を講じるべきであります。

 グリーン化の促進に向けた取組について、総理の答弁を求めます。

 諸外国では、サプライチェーンの強靱化や機微な技術に関する特許の非公開制度の整備など、経済安全保障への対応が進展する中、我が国としても、国民生活や経済活動のリスクを回避する施策が求められております。

 今国会に提出予定の経済安全保障を推進するための法案には、日本の先端技術の振興や技術流出などを防ぐ狙いがあると理解をしております。その一方で、過大な規制を行えば、自由な経済活動や競争環境が損なわれてしまう懸念もあります。

 貿易大国である我が国の経済活動を阻害しないようにしながら、強靱なサプライチェーンや基幹インフラの確保、技術の協力や保護に取り組むべきであります。

 経済安全保障に向けた取組について、総理の答弁を求めます。

 農林水産物、食品の輸出額は、昨年、年間で初めて一兆円を突破し、二〇三〇年五兆円の目標達成に向けて大きな弾みとなりました。

 今後は、牛肉や日本酒などの重点品目や有機食品も含め、質の高いジャパン・ブランドを更に磨き上げ、旺盛な世界の消費市場を取り込んでいく必要があります。

 また、中長期的には、農林水産業における生産力の向上と持続性の両立は不可欠であり、鍵を握るのはイノベーションであります。

 脱炭素化や環境負荷軽減などのイノベーションを推進するとともに、農林漁業者が意欲的に挑戦できるよう、全力で後押しすべきと考えます。

 輸出拡大に向けた取組とともに、持続可能な農林水産業の構築について、総理の答弁を求めます。

 次に、子育て、教育支援について伺います。

 公明党は、子供の幸せや子育ての安心が確保される社会こそ、国民全てに優しい社会であるとの考え方に立ち、子育てを社会の中心軸に位置づけ、社会全体で支援をするチャイルドファースト社会の構築を目指して取り組んでまいりました。

 二〇〇六年には、党として、少子社会トータルプランを策定し、妊娠、出産への支援や教育費の負担軽減、働き方改革など、同プランに基づく政策を着実に具体化してまいりました。

 近年では、二〇一九年十月から、幼児教育、保育の無償化がスタートいたしました。その翌年、二〇二〇年に、党として、幼児教育、保育の無償化に関する実態調査を実施したところ、今後取り組んでほしい政策として、保育の質の向上との回答が過半数に上りました。

 政府は今国会にこども家庭庁関連法案を提出する予定ですが、幼稚園や保育所など施設類型を問わず、質の高い教育、保育を受けることができるよう、取組を強化すべきであります。

 その一方、日本は一九九四年に子どもの権利条約を批准いたしましたが、総合的に子供の権利を保障する法律がありません。そのため、こども家庭庁の設置とともに、全ての子供政策の基盤として、子供の権利を保障する子ども基本法を制定すべきであります。あわせて、子供政策に関して独立した立場で調査、勧告等を行う機関として子どもコミッショナーを設置し、実効性を担保することも重要であります。

 幼児教育、保育の質の向上や、こども家庭庁関連法に加えて子ども基本法を制定する必要性について、総理の見解を伺います。

 次に、外交政策について伺います。

 北朝鮮による相次ぐ新型弾道ミサイルの発射など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、平和と安定、繁栄を確保するためには、日米同盟の更なる強化が不可欠であります。

 また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、日米が手を携え、リーダーシップを取り、国際社会を主導していかなければなりません。そのためにも、日米首脳間の強固な連携が必要であります。

 総理は、就任翌日の日米首脳電話会談やCOP26の機会での懇談など、バイデン大統領との間で着実に信頼関係を構築されております。明日、一月二十一日にはテレビ会談を行うことも公表されました。

 早期のリアルの会談が望ましいところではありますが、コロナ禍の制約の中でも様々な機会を設け、更なる同盟関係の強化に努めていただきたい。

 今後の日米関係をどのように深化させていくのか、総理の見解を伺います。

 中国に対しては、我が国は、主張すべきはしっかりと主張し、中国側の具体的な行動を強く求めていくことが重要であります。同時に、中国は我が国にとって最大の貿易相手国であり、昨年十月の日中首脳会談では、建設的かつ安定的な関係を構築するとともに、経済交流も進めていくことで一致をいたしました。

 今年は、北京冬季五輪の開催、日中国交正常化五十周年という節目の年であります。まずは首脳間で対話を推進し、相互理解を深める努力が必要と考えます。

 今後の日中関係について、総理の見解を伺います。

 次に、防災・減災対策について伺います。

 昨年は、東日本大震災から十年の大きな節目を迎えました。

 これからも、公明党は、被災者に寄り添いながら、新しい東北の創造を進め、人間の復興を目指し、全力を尽くしてまいります。

 福島を始め東北全体の創造的復興に向けて、公明党が提唱いたしました福島イノベーション・コースト構想の中核となる国際教育研究拠点の新設が期待をされております。

 政府は、昨年の与党提言を踏まえて、新拠点の法人形態を決定し、今国会にその設立法案を提出する予定です。さらに、新拠点の基本構想や研究開発基本計画が順次策定をされます。

 関係省庁はしっかり連携をし、福島県など地元自治体や大学等の意見を尊重しながら、新産業の創出に寄与する魅力的な研究内容の具体化、既存施設や地元産業界との調整、立地や将来のまちづくりも含めて、より効果的に機能が発揮できるよう、着実に検討を進めなければなりません。

 将来的には、福島の被災地に、国内外から一流の人材が集まり、我が国の科学技術と産業の発展に貢献し得る、世界に誇れる新拠点が実現できるよう、総理の強いリーダーシップの下で、政府を挙げた取組をお願いしたい。

 国際教育研究拠点を含め、東日本大震災からの復興について、総理の答弁を求めます。

 我が国は、国土の大部分を山地が占め、プレートが複雑に重なるなどの地理的特性や、年間降水量が世界平均の約二倍となるなど、自然災害のリスクが非常に大きい上に、多発する災害は、人間の生命、生活などを守る、人間の安全保障にも大きな脅威であります。

 こうした観点から、公明党は、二〇一八年の党大会で、防災、減災を政治、社会の主流に押し上げる方針を打ち出しました。

 今後も大規模災害が想定される中で、防災・減災、国土強靱化の五か年加速化対策を進めることは重要でありますが、我が国の防災対策やインフラ老朽化対策などが令和七年度までの五か年間で完了することはありません。五か年加速化対策後も見据えて、命と暮らしを守るための継続的な投資を進めることが極めて重要であります。

 また、予防保全型の投資は、災害が起きるたびに対応するよりも費用負担を抑制いたします。

 そこで、令和八年度以降の中期計画の展望を示すとともに、防災・減災、国土強靱化基本法を改正し、例えば五か年ごとに対策を推進するための予算措置の仕組みを創設するなど、継続的、安定的に対策を進めるべきであります。

 五か年加速化対策後の防災・減災対策について、総理の答弁を伺います。

 次に、バリアフリー化の推進について伺います。

 政府は、現在、一部の事業者に限られています公共交通機関における障害者用ICカードの導入や精神障害者割引など、新たな四つのバリアフリー政策の実現に向けた取組を着実に進めております。これらは、障害者の方々の声を受け公明党が強く要望してきたものであり、高く評価をいたします。

 さらに、政府は、令和七年度末までの新たなバリアフリー整備目標を策定するとともに、昨年十二月には、鉄道駅のバリアフリー化は高齢者や障害者だけではなく利用者全体の利益につながるものとして、都市部において利用者に薄く広く御負担いただく新たな料金制度を発表いたしました。

 これにより鉄道駅のホームドア等の整備の加速が期待をされますが、料金制度については国民の理解を丁寧に進めるとともに、引き続き、国の予算はしっかりと確保し、利用者目線に立ったバリアフリー化の加速をお願いしたい。

 新たなバリアフリーの取組や鉄道駅のバリアフリー化について、国土交通大臣に答弁を求めます。

 最後に、高齢者等への移動支援について伺います。

 これまでも、政府は、自治体や交通事業者等と連携し、コミュニティーバスやデマンドタクシーの導入、公共交通機関の利用割引など、地域の実情に応じた支援策の充実に努めてまいりました。

 しかしながら、人口減少等に加え、コロナ禍の影響も重なり、地域公共交通を取り巻く環境は一層厳しさを増し、高齢者や障害者など交通弱者に対する移動、外出の手段を確保することは喫緊の課題であります。

 改めて、交通弱者の視点に立った移動ニーズ、全国の市町村や交通事業者等による移動支援の実態や好事例、今後の交通福祉の在り方などについて、関係省庁が連携し、調査、検証を行う必要があります。

 その上で、地域公共交通の維持、確保とともに、我が国の交通弱者に対する移動支援策を抜本的に強化するため、自動運転やMaaS、モビリティー・アズ・ア・サービス等を活用した移動サービスの社会実装等の加速を含め、新たに、交通弱者のための移動支援パッケージの策定を提案したい。国土交通大臣の答弁を求めます。

 結びに、一言申し上げます。

 在職僅か一日で全額支給される文書通信交通滞在費の問題などで国民の間に高まった政治への不信感を解消する努力が求められております。

 日割り支給と使途の公開、そして使い切れなかった場合の国庫への返納について、使途の範囲の明確化、公開方法も含めて、与野党が協議をし、今国会中に合意を図るべきであります。

 公明党は、本年、「大衆とともに」の立党の原点誕生から六十年を迎えます。今再び、襟を正して原点に立ち返るとの決意の下、年頭より全国で、子育て、高齢者、中小企業の三テーマについてアンケート調査を行っております。小さな声から現場の課題をつかみ、政策立案へつなげるという公明党の持ち味を発揮し、国民の皆様に安心していただける政治の実現を目指し、全力で闘うことをお誓いし、代表質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

内閣総理大臣(岸田文雄君) 石井啓一議員の御質問にお答えいたします。

 オミクロン株の特性を踏まえた対応や経口薬の確保についてお尋ねがありました。

 濃厚接触者の待機期間については、オミクロン株に関する科学的知見に基づき原則十日とした上で、地域における社会機能の維持のために必要な場合に、基本的対処方針の定める、事業の継続が求められる事業者を参考として、自治体が適当と認める事業に従事される方については、検査で陰性を確認の上、待機期間を短縮することを可能といたしました。

 感染を抑えるためだけでなく、社会活動維持のために、テレワークを積極的に活用していただくようお願いするとともに、引き続き、科学的知見の集約を急ぎ、実効性のある対応を検討してまいります。

 政府としては、自治体と密接な連携の下、拡充してきた医療体制を機能させるとともに、予防、発見、そして経口治療薬へのアクセス確保等による早期治療の流れを強化し、オミクロン株の特性を踏まえた、めり張りのある対応に当たっていきたいと思います。

 そして、ファイザー社の経口薬についても、月内に二百万人分の購入に最終合意し、来月中できるだけ早く実用化を目指してまいります。

 ワクチンの情報発信と新型コロナの後遺症についてお尋ねがありました。

 高齢者への三回目接種の前倒しをペースアップするためには、モデルナワクチンの活用が不可欠です。交互接種の有効性、安全性については英国の研究でも確認されており、こうした情報を国民お一人お一人に丁寧にお知らせしてまいります。

 十二歳未満の子供については、薬事など必要な手続を経て、希望者に対してできるだけ早くワクチン接種を開始いたします。その際にも、国民の皆様に丁寧に情報提供を行ってまいります。

 新型コロナの後遺症については、これまでに得られた科学的知見に基づき、かかりつけ医等の診療の手引を取りまとめています。今後も、必要に応じた改定を行い、後遺症に悩む方が必要な医療を受けていただけるように努めてまいります。また、後遺症に関する研究結果について、広く国民に還元してまいります。

 雇用や生活への支援についてお尋ねがありました。

 住民税非課税世帯等に対する給付金については、迅速な支給のため、引き続き、事業実施主体である自治体と連携しつつ、丁寧に周知してまいります。学生支援緊急給付金については、学生等に情報が行き渡るよう努めており、引き続き、大学等と連携して周知してまいります。

 また、先般の経済対策で今年三月末まで延長した雇用調整助成金の特例措置や緊急小口資金等の特例貸付けなどの今後の対応については、新型コロナの感染状況や経済の動向を見極めながら、適切に検討してまいります。

 観光関連産業や中小企業への支援についてお尋ねがありました。

 固定資産税については、令和四年度の税制改正で、地価が上昇した商業地の税額の上昇幅を評価額の二・五%分に半減させる特別な措置を講ずることとしております。今国会に法案を提出することとしており、着実な実施に努めてまいります。

 御指摘の各種支援制度については、既に、周知、広報を実施しております。

 事業復活支援金については、一昨日、制度概要を公表し、一月三十一日の週にも申請の受付を開始する予定です。さらに、類似の支援金では給付件数の約半数が申請から二週間以内に給付されていることも踏まえ、できる限り早い給付に努めてまいります。

 地方創生臨時交付金については、蔓延防止等重点措置の措置区域において、休業要請等の要請に応じた飲食店の協力金に活用していただけます。今般、都道府県知事の要請に基づき、認証店が非認証店と同水準の二十時までの時短要請に応じることとした場合、非認証店に対する支給水準と同額の最大十万円を支給できることといたしました。こうした制度により、新型コロナの影響を受ける事業者を支援してまいります。

 事業再構築補助金については、本日、五回目の公募を行います。さらに、令和三年度補正予算を活用する次回の公募からは、売上高減少要件の緩和や業況が厳しい事業者向けの補助率引上げ等を行うこととしており、今後、速やかに公募を開始していきます。

 今後、これらの支援制度を円滑に執行するとともにフル活用し、事業者支援に努めてまいります。

 文化芸術活動への支援の充実についてお尋ねがありました。

 国難と呼ぶべき現状において、人々の心を癒やし勇気づける文化や芸術の力が必要であり、そのともしびは絶対に絶やしてはならないと考えています。

 このため、令和三年度補正予算においても、コロナ禍の影響を受ける文化芸術団体による公演等の実施やキャンセル費用の支援、子供に無料で鑑賞機会を提供する舞台公演の支援を充実して計上しており、繰越予算も活用しつつ、来年度も文化芸術関係者に寄り添った支援の充実に取り組んでまいります。

 サイバーセキュリティーへの対応策と、マイナンバーカードの活用、普及についてお尋ねがありました。

 今般の病院のサイバー被害を受け、全国の病院に対する実態調査等を行うとともに、国や自治体、事業者等の責務等の明確化の観点を含め、重要インフラ行動計画の取組を推進するなど、サイバー攻撃等への対処体制を整備してまいります。

 また、マイナンバーカードはデジタル社会の安全、安心のためのパスポートであり、救急搬送を含めた医療現場や介護、福祉分野での活用を進めてまいります。

 そして、マイナンバーカードの健康保険証としての利用を進め、おおむね全ての医療機関や薬局での導入に向け働きかけを強化するなど、国民が利便性を実感できるよう、全力で取り組んでまいります。

 クリーンエネルギー戦略とグリーン化の促進についてお尋ねがありました。

 二〇三〇年度四六%削減、二〇五〇年カーボンニュートラルの目標実現に向けて全力で取り組む中で、官民が炭素中立型の経済社会に向けた変革の全体像を共有し、この分野への投資を早急に少なくとも倍増させ、新しい時代の成長を生み出すエンジンとしていくことが重要です。

 特に、御指摘のとおり、将来の技術革新なども見据えた送配電インフラ、蓄電池、再エネを始め水素やアンモニアなどの非炭素電源、需要側の鉄鋼業等の産業構造転換などに投資を促してまいります。

 そうした観点を含め、クリーンエネルギー戦略において、カーボンニュートラルの実現に向けて、どのような分野で、いつまでに、どういう仕掛けで、どのぐらいの投資を引き出すのか、時間軸を示しつつ、経済社会変革の全体像及び道筋をお示ししていきます。また、二兆円のグリーンイノベーション基金などを活用して、水素還元製鉄や革新蓄電池などの将来技術の研究開発を進めてまいります。

 経済安全保障に向けた取組についてお尋ねがありました。

 経済安全保障は、待ったなしの課題であり、新しい資本主義の重要な柱です。

 経済安全保障の取組を進めるに当たっては、民間の経済活動を阻害しない形で、経済構造の自律性の向上、そして、日本の技術の優位性、ひいては不可欠性の確保、基本価値やルールに基づく国際秩序の維持強化を目指すと同時に、こうした分野に民間投資を呼び込み、経済成長を実現してまいります。

 こうした方針の下で、新たな法律により、一つは、国民生活や経済活動への影響が大きい物資のサプライチェーンの強靱化への支援、二つ目として、AI、量子といった分野の官民の研究開発、三つ目として、通信や電力など基幹インフラの安全性や信頼性の確保、そして四つ目として、安全保障上機微な発明の特許非公開制度の整備、これらを後押ししてまいります。

 農林水産物、食品の輸出促進と持続可能な農林水産業の構築についてお尋ねがありました。

 昨年の農林水産物、食品の輸出額は、初めて年間一兆円を突破しました。次の目標である二〇二五年二兆円突破に向け、年末に改定した輸出拡大実行戦略に基づき、輸出品目別のオール・ジャパンでの輸出促進体制の整備を進め、成長する海外市場を取り込み、農林水産業の成長産業化を推進してまいります。

 同時に、持続可能な農林水産業の構築に向けて、昨年策定したみどりの食料システム戦略に基づき、イノベーションを後押しするとともに、地域ぐるみの脱炭素化や化学農薬、肥料の低減に取り組む農林漁業者の支援を進めてまいります。

 輸出促進法改正案など、これからの改革を強力に進めていくために必要な法案を今国会に提出してまいります。

 そして、幼児教育、保育の質の向上や子ども基本法等についてお尋ねがありました。

 議員の御指摘のとおり、幼稚園や保育所など施設類型を問わず、質の高い教育、保育を受けられることは、子供にとって重要であると認識をしております。

 こども家庭庁は、就学前の全ての子供の育ちの保障を担い、保育の質の確保を含め、政府の子供政策を主導することとしております。また、幼稚園、保育所、認定こども園における教育、保育内容の基準の整合性を制度的に担保し、施設類型を問わず、文部科学省と密に連携して、質の高い教育、保育が受けられるようにします。

 子ども基本法や子どもコミッショナーについては、現在、与党において議論が行われているものと承知をしております。子供政策を我が国社会のど真ん中に据えた取組が強力に推進されるよう、議論を深めていただくことを期待しております。

 今後の日米関係についてお尋ねがありました。

 日本と米国は、私の内閣が重視する自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値や原則を共有しています。我が国の外交、安全保障の基軸である日米同盟の抑止力、対処力を一層強化し、地域の平和と繁栄、そして、より広く国際社会に貢献する同盟へと導いていきます。

 明日予定されているバイデン大統領との首脳テレビ会談では、率直な議論を行い、バイデン大統領との信頼関係を深めるとともに、日米同盟の更なる強化、自由で開かれたインド太平洋の実現や、核兵器のない世界に向けた取組を含む地球規模の課題への対応に向け、連携を深めていくことを確認いたします。また、日米同盟の揺るぎないきずなを世界に示すとともに、日米同盟を更なる高みに押し上げる機会としたいと考えております。

 今後の日中関係についてお尋ねがありました。

 日中両国間には、隣国であるがゆえに、様々な問題があります。尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試み、我が国周辺における軍事活動の拡大、活発化は、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念です。

 中国は、経済においても安全保障においても、アジアのみならず、世界の中で大きな存在です。日中関係は、日中双方にとってのみならず、地域及び国際社会の平和と繁栄にとってますます重要になっています。

 中国には、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めていきます。同時に、諸懸案も含めて、対話をしっかり重ね、共通の課題については協力をし、本年が日中国交正常化五十周年であることも念頭に、建設的かつ安定的な関係の構築を目指してまいります。

 そのために、首脳間の対話は極めて重要であり、習近平主席とは、総理就任直後に電話会談を行い、率直な意見交換を行いました。こうした姿勢は今後とも大事にしていきたいと考えております。

 東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。

 発災から十年が経過する中、復興は着実に進展している一方、福島の本格的な復興再生には今後も中長期的な対応が必要です。

 こうした中で、御指摘の国際研究教育拠点は、創造的復興の中核拠点として、福島を始め東北の復興に向けた夢や希望となるものです。この実現に向けて、私から関係大臣に対して国内外に誇れる研究内容の具体化などを指示しており、地元の期待に沿えるよう、政府一丸となって取り組んでまいります。

 引き続き、被災地の皆様の声をしっかりと受け止め、東北の復興なくして日本の再生なしとの強い決意の下で、被災地の復興に向けて全力を尽くしてまいります。

 防災・減災、国土強靱化の推進についてお尋ねがありました。

 防災・減災、国土強靱化は、議員御指摘のとおり、中長期的かつ明確な見通しの下、計画的に進めることが必要であり、五か年加速化対策後も継続的、安定的に取組を進めていくことが重要であると考えています。

 その際、予防保全型の投資が中長期的に費用負担を抑制する効果も踏まえ、効果的、効率的な防災・減災対策の在り方について検討してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕

国務大臣(斉藤鉄夫君) 石井啓一議員から、新たなバリアフリーの取組や鉄道駅のバリアフリー化の推進についてお尋ねがありました。

 共生社会の実現に向けて、障害の有無や特性にかかわらず、誰もが安心して社会に参加し活躍することができる社会を構築することが必要です。このため、国土交通省では、バリアフリー法に基づき、整備目標を定め、ハード、ソフト両面からのバリアフリーの取組を推進しているところです。

 さらに、新たな取組として、障害者用ICカードの導入に向けて、令和三年度補正予算を通じた支援を新たに行うとともに、精神障害者割引の導入について、事業者に対する要請や実務的な検討を行うなど、当事者の利便や負担軽減に資する施策について、着実に進めております。

 また、御指摘のように、第二次交通政策基本計画において示された方向性を踏まえ、利用者の皆様の薄く広い負担により鉄道駅のバリアフリー化を進める枠組みとして、新たな料金制度を昨年十二月に創設したところです。

 国土交通省としては、都市部においては本料金制度を活用するとともに、地方部においては、引き続き鉄道駅のバリアフリー推進のための予算確保に努め、支援措置を重点化することにより、全国の鉄道駅のバリアフリー化を加速してまいりたいと考えております。

 これらの取組について、障害者等の当事者の方々の御意見を丁寧に伺いながら、当事者目線に立ったバリアフリー施策を全力で推進してまいります。

 高齢者の、いわゆる交通弱者の方々への移動支援についてお尋ねがありました。

 バスなどの地域の公共交通については、人口減少、少子高齢化の進展に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響等により、経営環境は厳しい状況が続いております。

 一方で、公共交通は自ら運転のできない高齢者等の交通弱者の方々の移動を支えるという重要な機能を担っており、その事業の継続性をしっかり確保していくことが重要です。

 これまで、バス等の生活交通の維持、確保、バリアフリー化、新技術を活用した自動運転やMaaSなどの新しいサービスへの支援などを講じるとともに、交通弱者に対する移動支援の優良事例について関係者間の共有や表彰などを行ってきております。

 今後とも、地域の実情を踏まえつつ、交通弱者の方々の移動が確保されるよう、厚生労働省など関係省庁と十分な連携を取りながら、様々な施策を効果的に実施してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(海江田万里君) 玉木雄一郎君。

    〔玉木雄一郎君登壇〕

玉木雄一郎君 国民民主党代表の玉木雄一郎です。(拍手)

 総選挙で約束した公約を一つでも多く実現するため、この国会でも、改革中道政党として、対決より解決を実践いたします。特に、公約の柱である給料が上がる経済を実現するため、全力を傾けてまいります。

 さて、岸田総理は聞く力を売りにしておられますが、私も、ツイッターとユーチューブで総理にぶつける質問を募ったところ、三日で一万人弱の方からコメントをいただきました。聞く力では総理に負けていない自負があります。声を寄せていただいた皆様に、この場で御礼申し上げたい。また、岸田総理におかれては、私の質問も国民の声として聞いていただきたいと思います。

 ツイッターなどでは、特に、十万円給付の所得制限をやめてほしいという声が多数寄せられました。根っこの児童手当の所得制限もやめてほしいという声も多数あります。所得制限は出産制限というハッシュタグもできたほどです。

 子育て世帯はみんな頑張っています。地方創生臨時交付金を活用し、独自に所得制限をなくして給付する地方自治体も出てきておりますけれども、例えば、東京都二十三区の中には、半数以上の世帯が給付対象外で、所得制限をなくそうにも臨時交付金が足りず、できないところも多数あります。住む地域によって、もらえる子供ともらえない子供が分かれるのはおかしい。

 総理、所得制限があることで出産や子育てにマイナスになっているなら、所得制限を撤廃すべきです。子育て、若者世代の所得を引き上げる、中間層を維持するというなら、国として、所得制限なく、全ての子供に給付をすべきではないでしょうか。

 クーポン五万円ですが、実際にクーポンを配ったのは、約千七百自治体のうち、たった七つと聞いています。クーポン給付に係る事務費用九百六十七億円は、どれだけ使われ、どれだけ余っているんでしょうか。余っているなら、今申し上げた所得制限撤廃のための財源に回してください。

 そもそも、子育て支援であれば、今回の一回の給付だけではなく、中学卒業までとなっている児童手当を高校卒業まで拡充すべきです。国民民主党は、選挙公約の五本柱の一つ、人づくりこそ国づくりの具体策として提案しています。

 総理、子育て、若者世代の所得を引き上げる、中間層を維持というのであれば、児童手当を高校卒業まで延長しませんか。さらに、今回の十万円給付だけでなく、児童手当、幼児教育無償化、私立高校無償化などの所得制限も撤廃しませんか。できないなら、せめて年少扶養控除を復活させてください。

 総理、再びガソリン価格が上昇しています。移動を車に依存せざるを得ない地方からも、何とかしてほしいとの声がたくさん届いています。

 ガソリン価格に上乗せされているリッター二十五円十銭の税金を軽減するトリガー条項の凍結解除を、今こそやるべきです。国民民主党が日本維新の会と共同提出した法案に賛成いただければ、来月、二月一日からガソリン価格をリッター二十五円十銭下げることができます。

 給料が上がらない中、生活必需品の価格が続々上がっている今だからこそ、ガソリン価格を引き下げるべきです。総理の決断を求めます。

 コロナ対策について伺います。

 岸田政権のコロナ対策のゴールは何でしょうか。病床の逼迫を回避し、死亡者や重症者を減らすことを最優先にするなら、病床確保に関する国や知事の権限を強化する感染症法の改正こそ、この国会でやるべきです。なぜ、最も大切な法改正を先送りするんでしょうか。必要な立法措置も講じず、効果について疑問も出ている飲食店の時短要請や人流抑制をお願いするだけでは、国民の理解は到底得られません。そもそも、蔓延防止等重点措置の飲食店への時短要請は、オミクロン株対策として効果があるのですか。総理の見解を求めます。

 国民民主党は、年明け早々、一月七日に緊急提言を取りまとめ、先週、後藤厚労大臣、そして堀内ワクチン担当大臣に対して、感染は止めるが社会は止めないための対策を強く要請しました。ワクチンの三回目接種、飲み薬、毎日検査の三つが鍵だと思います。この三つがあれば、蔓延防止等重点措置は避けられたはずですが、間に合わず、残念です。しかし、今からでもこの三つの対策を急ぐべきです。

 まず第一に、発症予防効果、重症化予防効果のある三回目のワクチン接種です。

 英国の保健当局の報告によれば、二回目接種から五か月ほど、二十週から二十四週で発症予防効果が一〇%未満に低下します。二回目接種からの間隔を原則五か月に短縮し、そのために必要なワクチンの確保に全力を傾けるべきではないですか。なぜこれができていないのですか。

 第二に、死亡、入院リスクを下げる飲み薬も重要です。

 経口治療薬を医療現場に三万人分届けたと総理は演説の中でおっしゃいましたが、百六十万人分の一・八八%にすぎません。経口薬へのアクセス確保を徹底しますというものの、遅過ぎます。この百六十万人分の残りと、また、月内に合意するとされる二百万人分が全て現場に届くのはいつになりますか。スケジュールを明示してください。

 第三に、自分がコロナの陰性であることを日々確認できる毎日検査です。

 イギリスでは、PCR検査や抗原検査による毎日検査で陰性であれば、濃厚接触者でも自宅待機しなくていいルールになっています。我が国でも、医療従事者については、毎日検査を条件に、濃厚接触者であっても勤務できるようになりました。であれば、総理、今のルールのままだと、感染者が増えるたびに経済社会活動が止まってしまいます。イギリスと同じように、我が国でも、毎日検査を条件に、濃厚接触者であっても仕事や活動をできるようにしてはいかがでしょうか。

 蔓延防止等重点措置が出るのに、事業者や個人に対する支援策が今余りにも不十分です。

 月次支援金は昨年十月分で打ち切られています。岸田総理の看板政策、事業復活支援金は、いまだに申請すらできません。

 住民税非課税世帯への十万円給付も、来月あるいは再来月から申請開始の自治体が多いと聞いています。これも遅過ぎます。必要な人に必要な支援はいつ届くのでしょうか。

 また、生活再建までの生活費を月二十万円まで貸し付ける総合支援資金についても、岸田総理は、自民党総裁選挙の間に、三か月分延長して十二か月分に拡充するとおっしゃっていましたが、今こそ実行すべきではないですか。これができなくても、せめて昨年末で締め切られている再貸付けの申請期限を今年の三月末まで延長してもらえないでしょうか。

 演劇や音楽コンサートなど、日本のエンターテインメント産業は、コロナで今瀕死の状態に陥っています。収入の九割減が二年も続いているところもあります。一方、韓国のエンターテインメント産業は、海外に進出し、大きく成長しています。今のままでは日本のエンタメ産業が消滅してしまいます。この危機を乗り越えるため、官民挙げて、エンターテインメント産業に対する支援を更に強化すべきではありませんか。

 地方のバス、鉄道事業なども瀕死の状態です。こうした公共交通機関の利用そのものが感染拡大につながったという科学的な証拠はあるんでしょうか。今のままでは地域のバス路線などはもちません。政府としてどのような対応を考えているのか、総理の見解を伺います。

 民間にリモートワークを促しているのに、この国会の本会議場は、御覧のとおり、相変わらず密の状態です。

 国民民主党は、オンライン国会を可能とするため、議院運営委員会にて、「議場にいない議員は、表決に加わることができない。」としている衆議院規則の改正を提案しました。オミクロン株が拡大する中、自民党にも是非この規則の改正に協力いただきたいと思います。また、憲法五十六条の「総議員の三分の一以上の出席」がオンライン国会の制約となるのか、この憲法解釈についても、憲法審査会で議論し、明らかにしていきたいと思います。

 アメリカでもヨーロッパでも韓国でも給料が上がっている中、日本だけが四半世紀にわたって給料が上がりません。

 私たち国民民主党は、この賃金デフレこそが日本経済最大の課題と考えます。そこで、私たちが選挙公約として掲げたのが、給料が上がる経済の実現です。岸田総理とこの議場にいらっしゃる与野党の議員の皆さんに、私から提案があります。この国会を、賃金、給料を上げることに与野党を超えて知恵を絞る賃上げ国会、給料を上げる国会にしていこうではありませんか。

 私たち国民民主党は、四%の名目賃金上昇率、四%の経済成長率、そして四万円台の日経平均株価の、三つの四を政策目標に掲げ、給料が上がる経済を提案していきたいと思います。四%成長が十八年続けば、給料は倍になります。所得倍増は、夢物語ではありませんし、夢物語にしてはならないと思います。自民党総裁選挙で掲げた令和版所得倍増を諦めることなく、岸田総理として、例えば二十年間で日本の賃金水準を倍にするという中長期のビジョンを示してはいかがですか。

 昨年の企業物価指数は四・八%で、過去最大の伸びでした。アメリカがインフレ抑制のために金利を上げれば、更に日本の物価は上がります。総理には、物価が上がるのに給料が上がらないという国民の悲鳴は聞こえていますか。物価は上がるのに経済は低迷する、いわゆるスタグフレーションの懸念が高まっているのではありませんか。総理の認識を伺います。

 物価目標二%は、安倍政権発足後間もない二〇一三年の一月に発表された、政府と日銀による共同声明に盛り込まれています。岸田内閣は、この共同声明を引き継いでいますか。そして、二%を達成したら金融緩和を縮小するつもりなのか、併せてお答えください。

 円安による原材料価格の上昇に起因する物価上昇は、必ずしも経済回復を反映した物価上昇ではありません。国民民主党は、給料が上がる経済の金融政策として、名目賃金上昇率が一定水準に達するまで金融緩和を継続すべきと選挙公約で提案をいたしました。つまり、賃金デフレ脱却を金融政策の目標にすべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 コロナ禍からの回復局面での財政健全化、プライマリーバランスの黒字化にこだわり過ぎて、景気回復の腰を折るようなことがあってはなりません。国民民主党は、給料が上がる経済の財政政策として、政策目標をプライマリーバランスの黒字化ではなくて、ここでも名目賃金上昇率とすることを選挙公約で提案しました。つまり、賃金デフレ脱却を財政政策の目標にもすべきだと考えますが、総理の見解を伺います。

 賃上げの大前提は、積極財政による脱デフレだと思います。国民民主党は、名目賃金上昇率が一定水準を上回るまで消費税を五%に減税する法案を国会に提出しています。家計負担の上昇を防ぎ、消費減退を防ぐためにも、賃金デフレ脱却が確実になるまで消費税を減税すべきではありませんか。

 介護従事者の待遇改善が急がれます。しかし、今回の賃上げは介護職に限定されていて、機能訓練指導員、生活相談員、管理者など、介護職以外の介護従事者は対象になっていません。これら介護従事者全体を賃上げの対象とすべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 また、今後、都市部での介護従事者の確保は極めて困難になると予想されています。そこで、東京都では、介護職への家賃補助制度の導入を検討しているようですが、むしろこれは全国レベルで導入すべきではないでしょうか。総理の見解を伺います。

 岸田総理の掲げる新しい資本主義の成功の鍵は、人への投資だと考えます。岸田総理は、国民民主党が従来から提案しているように、人への投資を倍増すると施政方針演説で述べられました。これ自体は評価します。しかし、令和四年度当初予算案で、文教科学振興費は微減、マイナス〇・〇%となっており、言っていることとやっていることが矛盾していると思います。倍増というなら、なぜ文教予算を減らしたのか、いつまでに何を倍増させるのか、明確にお答えください。

 国民民主党は、選挙公約の柱として、積極財政への転換、人づくりは国づくりを掲げ、教育国債の発行などを財源に、児童手当の高校卒業までの延長、給食費、教材費を含む完全無償化を所得制限なく実現することを提案しました。過去二回の代表質問でも、財政法改正による教育国債の創設を総理に提案しました。

 総理は、「安定財源の確保あるいは財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要がある」と。木で鼻をくくったような答弁をいただきましたけれども、また今回もそうかもしれませんが、高齢化に伴う年金や医療などの自然増が増える中で、教育国債の発行もせずに、一体どのようにこの倍増の財源を確保するのか、具体的に示してください。

 デジタル田園都市国家構想について伺います。

 田園の安らぎと都市の快適さを融合するという、大平正芳元総理が一九八〇年に打ち出したコンセプトには私も大賛成です。しかし、施政方針演説を聞いていても、個別政策は列記されていますが、この構想で目指すべき国家像が見えません。岸田総理がデジタル田園都市国家構想で目指す国家像はどのようなものなのか、答弁を求めます。

 岸田内閣が進める経済安全保障の重要性については否定しません。しかし、エネルギー安全保障や食料安全保障の観点が相対的に弱いと言わざるを得ません。今必要なのは、これも大平正芳元総理が提唱した総合安全保障ではありませんか。国民民主党は、政府案に足りないエネルギー安全保障、食料安全保障、そして人材の安全保障も含めた総合安全保障確立法案を提出する予定です。是非、参考にしてもらいたいし、成立に協力していただきたいと思います。

 特に、給料が上がる経済の実現のためには、エネルギーの安定供給は不可欠な要素です。折しも、EUの欧州委員会は、原発をグリーンな投資先として認める方針を打ち出しました。二〇五〇年カーボンニュートラルを達成するための現実的な対応だと私たちは考えます。日本としても、特に、小型モジュール炉、SMRや高速炉の実証研究には積極的に取り組むべきだと考えますが、岸田総理の見解を伺います。

 人権侵害非難決議について伺います。

 与党の慎重な姿勢で、昨年の通常国会、臨時国会で見送りとなりました。国民民主党はいつでも対応できます。今国会で人権侵害非難決議を行うつもりはあるのか、自民党総裁としての見解を伺います。

 また、政府・与党は、今国会でも人権侵害制裁法や人権デューデリジェンス法案を出さないんですか。

 また、中国がTPPへの加盟申請をしましたけれども、TPPには強制労働を排除する規定があります。日本は、TPP交渉を通じて、中国の人権状況の改善を求める戦略的なアプローチを取ってはどうかと考えますが、総理の見解を伺います。

 北朝鮮などが迎撃が困難な極超音速ミサイルなどの開発を進めている中で、政府の検討する敵基地攻撃能力の保有の検討は必要だと思います。あくまで自衛のための反撃能力を高める趣旨だと理解していますが、そもそも、総理の考える敵基地攻撃能力保有の意義、具体的な装備体系、そして実現可能性について伺います。国民に分かりやすく説明してください。

 憲法改正について伺います。

 私は、前回の憲法審査会で、コロナ禍で顕在した憲法上の課題として、衆議院議員、参議院議員の任期満了時に大規模感染症や大規模災害等が発生した場合、特例で議員の任期を延長できる規定が憲法上必要だと提案しましたが、総理の見解を伺います。

 また、自民党の緊急事態条項の条文イメージ案では、非常事態として感染症が想定されていません。自民党の四項目の原案にこだわらずに柔軟に議論すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 熊本市の慈恵病院は、十代の女性が身元を明かさず出産する内密出産を行ったと発表しました。国内で初の事例です。

 私は、午前中、蓮田院長に直接お会いして話を伺いました。慈恵病院は、二〇一九年から、赤ちゃんの遺棄を防ぎ母子の命を守る方策として独自に導入したんですが、病院が母親の名前を記載せずに熊本市に出生届を出した場合には、刑法の公正証書原本不実記載罪に問われる可能性があるということです。

 ドイツでは、子供を守る、子供の知る権利にも配慮した法制化が二〇一四年に行われました。

 総理、母子の命と体を守る取組であるこの内密出産は違法なんでしょうか。仮に違法性の疑義があるなら、違法とならない条件を通達するか、法改正すべきではないでしょうか。蓮田院長は、物事を前に進めるためには、自分が捕まった方がいいのかなとさえおっしゃっていました。総理の見解を伺います。

 岸田総理、総理が施政方針演説で述べた賃上げや人への投資に国民民主党は賛成です。だからこそ、この通常国会を、どうすれば賃金、給料が上がるのか、与野党を超えて知恵を出し合う賃上げ国会、給料が上がる国会にしようではありませんか。

 私たち国民民主党は、二十年間で国民所得を倍増するための、税制を含む総合的な経済政策を示していきます。国民の皆さんに、特に若い人に希望を与える論戦を展開していこうではありませんか。このことを呼びかけて、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

内閣総理大臣(岸田文雄君) 玉木雄一郎議員からの御質問にお答えいたします。

 子育て世帯への給付についてお尋ねがありました。

 子育て世帯への給付については、迅速に支給するため、児童手当の仕組みを活用しており、所得制限を設けた場合でも、給付を行う必要の高い子育て世帯に対して幅広く支援を行うことができるものと考えて、こうした施策を進めています。本給付金の対象とならない方に関しては、自治体に対し、地域の実情に応じて、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による給付金の支給を検討することをお願いしております。

 そして、クーポン給付を含めた子育て世帯への給付について、自治体が事業を実施している途上にあるわけですが、今現時点において、予算の執行残高について予断を持ってお答えすることは難しいと考えております。

 そして、児童手当の支給期間の延長と各種制度における所得制限等についてお尋ねがありました。

 児童手当については、従来から、多子世帯や子供の年齢に応じた拡充、重点化が必要であるとの指摘があり、昨年の改正法の検討規定に沿って幅広く検討してまいりたいと思います。

 また、子育てや教育に関する各制度において所得制限を設けるかどうかは、個々の制度の目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断されるものと承知をしております。

 なお、年少扶養控除の廃止以降、幼児教育、保育の無償化あるいは待機児童対策など、子育て世帯への支援の拡充を図ってきたところであり、年少扶養控除を復活することは現時点では考えてはおりません。

 そして、トリガー条項の凍結解除についてお尋ねがありました。

 トリガー条項については、発動された場合、ガソリン、軽油の買い控えや、その反動による流通の混乱、また国、地方の財政への多大な影響等の問題があることから、凍結解除は適当でないと考えております。

 政府としては、国民の皆さんが春先まで見通せるように、農業や漁業等に対する業種別の対策をきめ細かく実行してまいります。加えて、ガソリン、灯油の急激な値上がりに対する備えとして、激変緩和事業を行う体制を構築いたしました。また、灯油購入費の助成など、地方公共団体が行う原油価格高騰対策に要する経費に対し、特別交付税措置を講ずることとしております。こうした対策を行うことによって、国民の皆様に、スピーディーに、かつ混乱なく効果が行き渡るものであると考えております。

 新型コロナ対策についてお尋ねがありました。

 全国で感染が拡大していますが、こうした状況も想定し、拡充した医療体制を機能させるとともに、予防、発見から早期治療の流れを強化し、各都道府県との密接な連携の下、高い警戒感を持って対応に当たってまいります。

 オミクロン株について、専門家から、社会経済活動の広範な制約ではなく、マスクをつけずに大声で会話をするリスクの高い場面での人数制限などが諸外国の例を見ても有効であるとの指摘がありました。

 大人数、長時間の会食や酒を伴う飲食など感染リスクが高まる行動をできる限り避けるといった観点から、飲食店の時短要請等、オミクロン株の特性を踏まえた、めり張りの利いた対策を講じることとしております。

 感染症法の在り方については、息の長い感染症対応体制の強化策として、本年六月をめどに、危機に迅速的確に対応するための司令塔機能の強化、あるいは保健医療体制の確保、そして中長期的な観点から必要な対応を取りまとめていきたいと存じます。現下の危機に対応しつつ、これまでの対応を客観的に検証し、広く関係者との協力の上で検討するためには、一定の期間が必要であると考えております。

 ワクチンの三回目接種、経口治療薬及び濃厚接触者についてお尋ねがありました。

 ワクチンの三回目接種については、必要なワクチンの確保に努めつつ、高齢者への接種を加速化するとともに、高齢者以外の一般の方五千五百万人についても一か月前倒しし、余力がある自治体については、順次、できるだけ早く、更に前倒しを行ってまいります。

 その際、六か月以上の間隔でできるという薬事承認が行われていることを踏まえて、接種間隔は最短でも二回目接種から六か月となります。

 メルク社の経口薬については、合計で百六十万人分を確保し、昨年末に二十万人分が国内で利用可能となっており、年度内に更に四十万人分が、そして来年度には百万人分が届く予定になっています。外来で処方する場合には、登録された薬局に医療機関から処方箋を送付し、薬局から自宅に配送することで、患者の薬局への来訪を不要といたします。

 一月十九日の時点で、既に全国二万七千の医療機関、薬局が登録し、医療現場に四万人分をお届けしているだけでなく、薬剤の配送を行う地域の卸業者にも十一万人分の薬剤が到着しています。これにより、医療機関、薬局から発注があれば、原則、翌日に配送する仕組みとしております。さらに、ファイザー社の経口薬についても、月内に二百万人分の購入に最終合意し、来月中できるだけ早く実用化を目指してまいります。

 医療従事者である濃厚接触者については、誰もが必要な医療を受けられるようにするための緊急的な対応として、毎日の検査等を要件に、待機期間中の医療への従事を認めています。さらに、科学的知見を踏まえ、オミクロン株の濃厚接触者の待機期間を原則十日とするなど、必要な対策を講じてきました。引き続き、社会活動維持のため、科学的知見の集約を急ぎ、実効性のある対応を検討してまいりたいと考えます。

 住民税非課税世帯に対する給付金や総合支援資金についてお尋ねがありました。

 住民税非課税世帯等に対する給付金については、九割超の市区町村が、二月末までに給付対象者に確認書の送付を開始し、三月末までに給付金の振り込みを開始する予定と聞いております。迅速な支給のため、引き続き、自治体と連携しながら、必要なサポートを行ってまいります。

 また、総合支援資金の更なる貸付けについては、債務が過大となることが自立を阻害するおそれもあることを踏まえて検討を行いました。そして、その結果、昨年末に策定した経済対策において、総合支援資金の再貸付けに代えて、総合支援資金の初回貸付けを借り終えた一定の困窮世帯にも生活困窮者自立支援金を支給するとともに、生活困窮者自立支援金の再給付による最大六十万円の給付を行うこととした次第であります。

 そして、エンターテインメント産業への支援強化についてお尋ねがありました。

 我が国のエンターテインメント産業は、世界の人々に我が国の魅力を伝えるソフトパワーの源泉であると認識をいたします。御指摘のとおり、足下では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うイベントの中止や人数制限により、業界全体として非常に厳しい状況に置かれていると認識をしております。

 そのため、政府としては、徹底した感染防止対策を前提としたイベントの開催支援、イベントを中止した場合のキャンセル料に対する補助などを実施してきており、引き続き、支援措置を講じてまいります。

 さらに、外国語への翻訳や展示会への出展支援などを通じて、エンターテインメントを含む我が国の優れたコンテンツの海外展開も積極的に後押しすることにより、我が国のエンターテインメント産業をしっかり支えてまいりたいと考えます。

 そして、公共交通機関への対応についてお尋ねがありました。

 適切な感染対策がなされていない場合には、公共交通機関の利用も含め、集団感染が起こり得ると承知をしています。こうした観点から、各業界の業種別ガイドラインを遵守していただくことが重要であると考えます。その上で、テレワークの推進や時差出勤等をお願いするとともに、公共交通機関でのマスク着用や車内換気の励行などを奨励しています。

 また、公共交通の機能を維持するため、これまで、公共交通機関の感染症防止対策や運行維持に対する支援、資金繰り支援、さらには雇用調整助成金の支給などを行ってまいりました。さらに、昨年末に取りまとめた経済対策において、事業復活支援金の創設等により支援を強化しております。

 オンライン国会を可能とするための衆議院規則の改正についてお尋ねがありました。

 両議院の議事の在り方については、議員の御指摘の点も含めて、これは各党各派においてしっかり議論していただければと思います。私の立場から議事の在り方について申し上げることは控えねばならないと考えます。

 そして、令和版所得倍増及び経済情勢についてお尋ねがありました。

 総裁選で掲げた令和版所得倍増は、まずはしっかりと成長を実現した上で、その成長の果実を広く国民お一人お一人に分配することで豊かさを実感することができる、新しい資本主義を実現していくという方針を示したものです。

 その際、我々が重点を置くのは、成長と分配の好循環の流れを大きく加速していくための鍵である、日本の未来を担う若者世代、子育て家庭です。ここにターゲットを置き、賃上げも含めた大きな意味での人への投資を集中させ、非正規雇用者の正規化や男女の賃金格差の是正を含め、世帯所得の大幅な引上げを目指した政策を推進していきたいと考えています。

 なお、原材料価格等の高騰による物価上昇が家計や企業に与える影響については、引き続き注視をしてまいります。物価が上昇するからこそ、賃上げに向けてしっかりと取り組んでいかなければならないと考えておりますし、そのためにこそ、中小企業の価格転嫁円滑化のための施策パッケージを進めることが重要であると考えております。

 そして、政府、日銀の共同声明と金融政策の目標についてお尋ねがありました。

 平成二十五年の政府、日銀の共同声明については、昨年、鈴木大臣、山際大臣、そして黒田総裁の三者の間で再確認が行われ、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向け、今後とも緊密に取り組んでいくこととしております。

 二%の物価安定目標は日銀が自ら決定したものですが、こうした金融政策の目標や金融緩和の出口の考え方を含め、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきだと考えております。日銀におかれては、共同声明の考え方に沿って、引き続き、二%の物価安定目標の実現に向けて努力されることを期待しております。

 そして、財政政策の在り方と消費税減税についてお尋ねがありました。

 私の経済財政運営の基本は、経済あっての財政です。経済を立て直し、そして財政健全化に向けて取り組んでいきたいと考えます。

 その経済の立て直しのために成長と分配の好循環が必要であり、その分配戦略の第一の柱が御指摘の賃上げであると位置づけています。まずは国が先導して公的価格の引上げを行うとともに、賃上げ税制の拡充、価格転嫁の円滑化などを通じた民間の賃上げに向けた環境整備を行うことにより、広く国民お一人お一人の所得の引上げに取り組んでまいります。

 なお、消費税についてですが、社会保障に係る費用をあらゆる世代で広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられております。そうした消費税については、当面、触れることは考えていないということであります。

 そして、介護従事者全体の賃上げ等についてお尋ねがありました。

 今般の処遇改善については、介護職員の給与が他の職種に比べて低い状況にあり、その人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要があることから、これまでの取組と同様、介護職員を対象としています。

 その上で、今回の措置は、各事業者において他の職種にも一定の処遇改善を行うことができるよう、柔軟な運用を認めることとしております。

 御指摘の都市部を含む介護人材の確保のため、今般の介護職員の処遇改善を始め、介護職員用の宿舎整備への補助のほか、職場環境の改善による離職防止、そして介護の魅力発信、こうした取組も推進していきたいと考えております。

 そして、人への投資などについてお尋ねがありました。

 私が施政方針演説で人への投資を倍増すると述べたのは、日本企業の人的投資、具体的には、オフJTの研修費用が低くとどまり、かつ、近年更に低下傾向にあるため、これを早期に少なくとも倍増させ、更にその上を目指していくというものであります。

 今般、三年間で四千億円の施策パッケージを創設し、民間ニーズを反映しつつ、成長分野への労働移動の円滑化や人材育成を強力に推進していくこととしており、このパッケージの実施を通じて、官と民が協働し、人への投資を抜本的に強化していきます。

 御指摘の文教及び科学振興費については、いわゆる十六か月予算の考え方に基づき、令和三年度補正予算二・七兆円と令和四年度当初予算五・四兆円を一体として、GIGAスクール構想、小学校の三十五人学級、高学年における教科担任制、十兆円の大学ファンドの年度内実現など、成長と分配の好循環に貢献する政策を推進してまいります。

 一方で、教育国債について御質問がありましたが、これにつきましては、従来申し上げておりますように、安定財源の確保や財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要があると考えているところであります。

 そして、デジタル田園都市国家構想についてお尋ねがありました。

 デジタル田園都市国家構想は、高齢化や過疎化などの社会課題に直面する地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあることに鑑み、デジタル技術の活用について、地域の個性を生かしながら、地方を活性化し、持続可能な経済社会を実現する、こうしたものであります。

 そのために、時代を先取るデジタル基盤の整備や、地方における先導的なデジタルサービスの実装に取り組むことにより、地域が抱える人口減少、高齢化、産業空洞化などの課題をデジタルの力を活用することによって解決し、地方から全国へと、ボトムアップの成長を実現してまいりたいと考えています。

 そして、安全保障に関する総合的な取組についてお尋ねがありました。

 大平内閣における総合安全保障について御指摘がありましたが、私の内閣においても、安全保障政策について、外交、防衛を超えて、経済、エネルギー、食料を含めた総合的な観点からの取組を進めていきたいと考えております。

 御指摘の法案については、提出された後、その具体的な内容を是非見させていただきたいと思っております。

 また、エネルギーの安定供給に関し、原子力については、将来の選択肢の一つとして、御指摘の小型モジュール炉や高速炉を始め、日米間の協力が様々な形で進んでいることも含め、更なる安全性の向上につながる技術の開発などの取組を着実に進めてまいりたいと思います。

 そして、人権侵害非難決議、人権関連法整備などについてお尋ねがありました。

 私の内閣では、人権を始めとした普遍的価値を守り抜くことを重視しており、初めて任命した専任の補佐官とともに、しっかりと取り組む覚悟です。我が国としては、こうした普遍的価値が中国においても保障されることが重要であると考えています。

 こうした我が国の立場は、これまでも様々なレベルで中国側に直接働きかけております。私自身も、昨年十月の習近平国家主席との首脳電話会談で、香港、新疆ウイグルの人権状況について直接提起をいたしました。

 その上で、国会での決議の扱いでありますが、国会での決議の採択は、国会でしかるべく議論をいただくものであると考えているところであります。

 また、御指摘の二つの法整備については、幅広い理解が重要との観点から、超党派の議論をよく見守るとともに、これまでの日本の人権外交や企業を取り巻く状況等を踏まえ、引き続き検討してまいりたいと思います。

 さらに、中国によるTPP11への加入申請については、中国の貿易慣行に関して様々な意見があると理解をしており、TPP11の高いレベルを完全に満たす用意ができているのか、これをまず見極める必要があると考えます。我が国としては、戦略的な観点や国民の理解も踏まえて対応していく考えです。

 そして、敵基地攻撃能力についてお尋ねがありました。

 極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、そして進化しています。

 こうした中で、ミサイル防衛体制を始め、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題意識の下に、憲法及び国際法の範囲内でしっかり議論を行いたいと思いますし、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的にこれから検討を進めてまいりたいと考えております。

 そして、憲法改正についてお尋ねがありました。

 内閣総理大臣の立場からは、憲法改正についての議論の進め方あるいは内容について直接申し上げることは控えなければならないと思いますが、緊急事態において国会の権能をいかに維持するのか、これは重要な論点であると考えます。

 現行憲法について、今の時代にふさわしいものであり続けているかどうか、御指摘の点も含め、与野党の枠を超えた積極的な議論が行われることを心から期待しております。

 そして、最後に、内密出産についてお尋ねがありました。

 内密出産については、一般論として、子供の出自を知る権利をどう考えるか、未成年が内密出産を希望する場合の支援の在り方などの課題があると考えています。

 政府としては、引き続き、妊娠に悩む女性が安心して相談できる窓口の整備や、子供を育てられない場合に利用できる特別養子縁組等の制度の周知等、予期せぬ妊娠をした妊産婦等への支援の充実に努めております。

 なお、内密出産の違法性について御質問がありました。内密出産の違法性については、児童福祉法や医師法など厚生労働省の所管法令には直ちに違反と考えられる点はないと考えております。しかし、その他、刑法上の犯罪に当たるかどうかについては、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄であると考えております。(拍手)

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副議長(海江田万里君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、岸田総理に質問します。(拍手)

 新型コロナのオミクロン株から国民の命を守ることは最優先の課題です。総理は、スピード感を持って対応してきたと言いますが、実際は、対応が後手後手になっています。私は、緊急に正すべき四つの問題点を提起するものです。

 第一は、ワクチン三回目接種の遅れであります。

 総理は、昨年十二月六日、二回目接種後八か月を待たずに、できる限り前倒しをすると表明しました。しかし、現時点で三回目接種を終えたのは全国民の僅かに一・三%。前倒しどころか、八か月にも追いついていません。OECD加盟の三十六か国で、日本の三回目接種は断トツ最下位です。

 総理、なぜこんなに遅れてしまっているのですか。政府が、昨年十一月十二日に、何の根拠もなく八か月以上を原則とする方針を決め、それを今年一月七日まで続けてきた結果ではありませんか。追加接種が遅れた原因を明らかにし、最大限の迅速接種のために政府の責任を果たすことを強く求めるものであります。

 第二は、PCR検査体制の遅れであります。

 急速な感染拡大による医療と介護の崩壊を防ぐ上でも、高齢者施設や医療機関などを頻回の定期検査によって守ることが急務となっています。ところが、政府の対応は、一斉、定期検査の事務連絡を出しただけで、実施の判断は自治体任せとなっています。

 総理、自治体任せの姿勢を根本から改めるとともに、国が主導して、いつでも誰でも無料で受けられるPCR検査体制を確立し、検査キットなど資材の調達、陽性者の保護に責任を持つべきではありませんか。答弁を求めます。

 第三は、医療と保健所体制の問題です。

 昨年夏の第五波のときのような、自宅放置で亡くなる方を二度と出してはなりません。

 総理、地域の医療体制強化が急務であるにもかかわらず、発熱外来への補助金や診療報酬の加算を昨年中で打ち切ってしまったのはどういう理由からですか。補助金の復活、診療報酬の引上げなど、医療機関への支援を抜本的に強化すべきではありませんか。

 来年度予算案には、保健所の恒常的な人員増に向けた新たな施策が盛り込まれていません。東京都の墨田区保健所は、昨年夏の第五波に際し、定数の十倍以上に当たる百十人の感染症対策の体制をつくり、重症、死亡事例を数か月にわたってゼロに抑えています。

 総理、こうした取組を全ての地域でできるよう保健所体制の抜本的強化を図ることは、本来、国の責任ではありませんか。答弁を求めます。

 第四は、沖縄を始めとする米軍基地が水際対策の大穴になっていることです。

 昨年十二月、沖縄県玉城デニー知事が、総理宛ての要請書で、米軍の入国停止、基地からの外出禁止を米側に求めるよう要求していたにもかかわらず、対応を怠ってきた責任は極めて重大であります。厳しい反省に立ち、知事の要請に応えるべきではありませんか。

 この問題の根本には、米軍に治外法権的な特権を保障している日米地位協定があります。ドイツでもオーストラリアでも韓国でも、受入れ国側が検疫を行う権限が保障されています。ところが、日本だけは、検疫は米軍任せで、日本政府は何らの関与もできません。

 総理、これで独立国と言えますか。日米地位協定の抜本改正に踏み切るべきではありませんか。答弁を求めます。

 総理は、施政方針で、新しい資本主義の実現を唱え、新自由主義的な考え方が生んだ様々な弊害を乗り越えると述べました。

 そこで、聞きます。

 そもそも、総理は、新自由主義の自由とは誰にとっての自由だと認識していますか。私は、それは国民にとっての自由ではなく、大企業のもうけの自由だと考えます。そのために邪魔になるものは全て取り払う、国民には自己責任を押しつけ弱肉強食を強いる、ここに新自由主義の本質があると考えますが、総理はどのように認識していますか。まず、お答えいただきたい。

 更に聞きます。

 総理は、新自由主義的な考え方が様々な弊害を生んだと述べましたが、新自由主義的な考え方がこの日本にもたらした弊害をどのように認識しているのですか。

 一九八〇年代に始まり九〇年代に本格化した新自由主義は、日本社会を人々に自己責任を押しつける冷たい社会にしてしまっただけではありません。強い経済をつくるといううたい文句とは反対に、日本経済をもろく弱い経済にしてしまったのではないでしょうか。

 まず、賃金が上がらない国になってしまいました。一人当たりの実質賃金は、ピークだった一九九七年から二〇二〇年までに、何と六十四万円も減りました。OECD加盟で比較可能な二十二か国のうち、この三十年間の日本の賃金の伸びは世界最低になっています。

 また、成長できない国になってしまいました。OECDによると、この七年間、二〇一三年から二〇年で見て、名目GDPの伸びは、アメリカは二五%、ユーロ圏は一四%に対して、日本は僅か六%です。日本は世界で最も成長できない国になってしまっているのであります。

 さらに、競争力の弱い国になってしまいました。スイスのシンクタンク、IMDが発表している各国の競争力ランキングで、日本は、九〇年代初めの世界一位から、直近では三十一位まで落ち込んでいます。

 総理に伺います。新自由主義が日本経済をもろく弱い経済にしてしまったという事実をお認めになりますか。端的にお答えください。

 更に聞きます。

 日本経済をここまでもろく弱い経済にしてしまった責任はどこにあるのか。私は、大企業の利益を最大にするために、財界の要求に応えて、人件費を限りなく削減していくことを応援してきた歴代自民党政権に重大な責任があると考えますが、総理にその自覚はありますか。

 人件費削減を目的に、九〇年代後半から労働法制の規制緩和が行われ、派遣労働を始め非正規雇用が自由化され、派遣、パートなどの割合は二〇%から四〇%に上昇し、使い捨て労働が蔓延しました。

 企業の社会保険料負担、人件費の抑制、削減を求める財界の要求に応えて、自公政権が二十年間にわたって推進してきた社会保障費の自然増削減路線は、医療、介護、年金など、あらゆる分野で国民に激痛を押しつけています。

 人件費だけでなく税負担の軽減を求める財界の要求に応えて、大企業と富裕層への減税と一体に、消費税の連続大増税が行われました。

 総理、労働法制の規制緩和、社会保障削減、消費税連続増税、この三本柱で、実質賃金が減り、負担が増え、将来不安が社会を覆い、GDPの五割から六割を占める家計消費を冷え込ませた結果、日本は成長できない国になってしまったのではありませんか。

 総理は、文芸春秋で、「労働力をコストと捉え、人件費の抑制によってわずかな収益を確保するという経営は、新しい資本主義における企業の理想像ではありません。」と指摘しておられます。しかし、まさに、人件費の抑制によって僅かな収益を確保するという経営を応援してきたのが歴代自民党政権ではありませんか。総理にその自覚と反省はありますか。そして、こうした財界応援政治と決別し、転換する意思はありますか。しかとお答えいただきたい。

 日本共産党は、新自由主義を転換し、優しく強い経済への大改革を行うために、次の五つの提案を行います。

 第一は、政治の責任で、賃金が上がる国にすることです。

 人間らしい雇用のルールを作り、非正規雇用の正規化、サービス残業の根絶、中小企業支援と一体に最低賃金の千五百円への引上げ、この三つを行うだけで平均賃金を九七年のピークに戻すことができるという民間シンクタンクの試算があります。これらの政策を実行する意思はありますか。

 第二は、社会保障を削減から拡充に転換することです。

 消費税を財源にした二十万床の急性期病床の削減計画はきっぱり撤回すべきであります。七十五歳以上の医療費二倍化を中止し、国庫負担を引き上げるべきです。値上げラッシュの下での年金削減は中止し、減らない年金にする改革を行うべきではありませんか。

 第三は、富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税を五%に減税することであります。

 世界六十二か国で実施、計画されている消費税減税こそ、コロナから暮らしを守り、経済を立て直す決定打であります。小規模事業者やフリーランスに大打撃をもたらすインボイス制度は中止すべきではありませんか。

 第四は、気候危機打開の本気の取組です。

 日本自動車工業会は、このまま火力発電への偏重が是正されない場合、製造時に二酸化炭素排出の多い日本生産の車の輸出ができなくなり、約百万人の雇用が失われ、経済損失は二十六兆円に及ぶと訴えています。総理は、この警告をどう受け止めますか。石炭火力ゼロ、原発ゼロ、大規模な省エネ、再生エネ普及こそ、経済を強くする道ともなるのではありませんか。

 第五は、ジェンダー平等の視点を貫くことです。

 十二年連続でジェンダー平等世界一のアイスランドの首相は、男女の賃金格差をなくすため、企業に同一賃金の証明を義務づけ、違反があれば罰金を科す取組を行う中で、経済を強くするという副産物が生まれたと述べています。総理、日本も学ぶべきではありませんか。年収で二百四十万円もの男女の賃金格差解消に向けて、企業に実態を公表することを義務づけるべきではありませんか。

 以上、我が党の提案に対する総理の見解を求めるものです。

 米中対立が様々な分野で強まる下、日本の進路が問われています。

 中国による東シナ海や南シナ海での覇権主義の行動に対しては、国連憲章と国際法に基づいた冷静な外交的批判が何よりも大切です。

 軍事に対して軍事で構えるならば、軍拡競争の悪循環に陥り、衝突や戦争という破局的な事態を招きかねません。この点で、総理が米国に追随して敵基地攻撃能力保有に踏み出していることは、極めて重大です。

 敵基地攻撃に関わって、安倍元首相は、昨年十一月の講演で、敵基地だけに限定せず、抑止力として、相手をせん滅するような打撃力を持たなければ日米同盟は成り立たないという趣旨の発言をしています。いざというときには相手国をせん滅する全面戦争を行う、それができる軍事力を持てというのであります。このような議論は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、戦争放棄をうたった日本国憲法とは絶対に相入れない議論であります。

 総理は、安倍元首相が主張する打撃力という議論をきっぱり拒否できますか。総理が検討するという敵基地攻撃能力とは、結局、ここに行き着くのではないですか。明確な答弁を求めます。

 日本共産党は、日本を戦争をする国につくり変える動きに断固反対を貫くことを表明するものであります。

 それでは、どうやって東アジアを平和と協力の地域にしていくか。国連憲章と国際法に基づいて、あらゆる紛争を平和的な話合いで解決し、平和的に共存していく道を追求する外交努力に徹することが今求められているのではないでしょうか。

 こうした道を一貫して追求してきたのが、ASEAN、東南アジア諸国連合であります。ASEANは、紛争を平和的な話合いで解決することを義務づけた東南アジア友好協力条約を締結し、徹底した粘り強い対話を積み重ねることで、この地域を分断と敵対から平和と協力の地域へと大きく変えてきました。

 日本にとって重要なのは、ASEAN十か国プラス日米中を含む八か国で構成される東アジア・サミットが、毎年首脳会議を開催し、この地域の平和の枠組みとして発展していることです。二〇一九年のASEAN首脳会議では、ASEANインド太平洋構想が採択され、東アジア地域の全体を対抗でなく対話と協力の地域にし、行く行くは東アジア規模の友好協力条約を目指すことが提唱されています。

 総理、今、日本政府がやるべきは、ASEAN諸国と手を携えて、東アジア・サミットという既につくられている平和の枠組みを活用、発展させて、東アジアを平和と協力の地域にしていくための、憲法九条を生かした平和外交ではないでしょうか。答弁を求めます。

 最後に、本土復帰五十年を迎える沖縄の基地問題について質問します。

 日米両政府が一九九六年に普天間基地の全面返還に合意してから二十五年以上が経過しました。総理は、いまだに返還が実現しない根本的な原因がどこにあると認識していますか。

 元々、九六年の日米合意は、その前の年の米兵による少女暴行事件に対する島ぐるみの怒りが沸騰する下で、それに押されて交わしたものでした。しかし、この日米合意には重大な問題点がありました。普天間返還の代わりに新基地を県内に造ることが条件とされていたのであります。

 総理、少女の人権を奪っておいて、普天間を返してほしければ新しい基地を造ってよこせ、こんな理不尽な要求を沖縄県民が受け入れるはずはないではありませんか。

 国際法に違反して強奪した土地の上に造った普天間基地は、無条件返還を求めて米国と交渉すべきであります。軟弱地盤の存在など破綻が明瞭になった辺野古新基地建設はきっぱり中止することを強く求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

内閣総理大臣(岸田文雄君) 志位和夫議員の御質問にお答えいたします。

 ワクチンの三回目接種についてお尋ねがありました。

 二回目の接種完了から三回目の接種までの接種間隔については、ワクチンの予防効果に加え、自治体の準備期間やワクチンの供給力など、厚生労働省の審議会での委員の意見を総合的に勘案した上で、原則八か月以上としていたところです。

 また、ワクチン接種の開始が我が国より早かった諸外国では三回目接種のタイミングも早く、我が国では今後本格化していくこととなります。

 そうした中で、必要なワクチンの更なる確保に努めつつ、一月、二月に山場を迎える高齢者など三千百万人を対象とする前倒しの加速化を図るとともに、高齢者以外の一般の方五千五百万人についても一か月前倒しをし、余力がある自治体においては、順次、できるだけ多く、更に前倒しを行ってまいります。

 新型コロナの検査体制についてお尋ねがありました。

 オミクロン株の感染が拡大する中で、感染不安がある方が無料で検査を受けられる体制を全国で確保しています。より多くの方が検査を容易に受けられるよう、政府としては、都道府県や関係団体と連携しながら、検査拠点の増加に取り組んでおります。

 この無料検査を含め、必要な検査が着実に実施できるよう、抗原定性検査キットについて、メーカーに対して生産能力を最大まで引き上げるよう要請するなど、必要な資材の安定供給に努めてまいります。

 医療機関への支援と保健所体制の強化についてお尋ねがありました。

 医療機関に対する支援については、医療体制の整備状況や強化すべき取組等に応じて随時見直しを行ってきたところであり、財政支援として、これまで総額約六・八兆円の予算を確保するとともに、昨年秋以降は、自宅、宿泊療養者への往診等の診療報酬上の特例措置を講じています。また、令和四年度診療報酬改定において、全体としてプラス〇・四三%の改定率とするなど、医療提供体制の確保に万全を期していきます。

 そして、保健所体制については、全国の自治体において、昨年夏の感染拡大を踏まえて、保健所の人員体制強化を図るための計画を策定していただくとともに、国において、保健師の増員に係る地方財政措置等を講ずることにより、引き続き、保健所の体制強化に努めてまいります。

 在日米軍における新型コロナ感染事案と日米地位協定の見直しについてお尋ねがありました。

 在日米軍施設・区域内及びその周辺自治体で感染拡大が起こっていることを踏まえ、私の指示で、米側に対して強く申入れを行いました。その結果、米側は、必要不可欠な場合以外の外出を認めない、夜間の外出を禁止するなど、在日米軍の感染拡大防止措置を発表しました。

 日米地位協定と米国が他国と締結している地位協定との比較については、実際の運用や安全保障環境等の背景等も含めた全体像の中で検討する必要があり、単純に比較することは適当ではないと考えます。

 その上で申し上げれば、米軍関係者に対する入国時の検疫に関しては、例えば英国や韓国においても、我が国と同様、米軍基地から入国する場合については米側が検疫を行うこととなっていると承知をしており、我が国が他国と比べて米軍に特別な扱いをしているという指摘は当たらないと考えます。

 日米地位協定の見直しは考えておりませんが、在日米軍駐留に関わる保健衛生上の課題に関し、日米地位協定に基づく日米合同委員会において、感染拡大の防止及び沖縄県を含む地元の方々の不安解消に向けて、日米間で連携をより一層強化していきます。

 そして、新自由主義についてお尋ねがありました。

 新自由主義は、資本主義の進化の過程で生まれた、市場や競争に任せれば全てうまくいくという考え方であり、一九八〇年代以降、世界の主流となった考え方と承知をしています。

 そして、新自由主義による弊害についてお尋ねがありました。

 新自由主義は、世界経済の成長の原動力となった反面、格差や貧困の拡大、中長期的投資の不足、気候変動問題など多くの弊害も生んだと承知をしています。

 我が国では、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレにより、停滞の時代を経験いたしました。企業は投資や賃金を抑制し、消費者も将来への不安などから消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷し、デフレが加速をし、競争力も低下するという悪循環であったと承知をしています。

 そうした状況を乗り越えた上で、岸田政権においては、市場や競争任せにせず、市場の失敗がもたらす外部不経済を是正する仕組みを成長戦略と分配戦略両面から資本主義の中に埋め込みます。その中で、デジタル化や気候変動問題への対応などの社会課題を投資分野として、官と民が協働し、成長を実現するとともに、社会課題を解決していくことで、持続可能な経済社会を実現してまいります。

 新しい資本主義へ転換する意思についてお尋ねがありました。

 自民党は、責任政党として、国民の支持をいただき、長年、政権を担い、国民生活の発展に尽くしてきました。志位議員のおっしゃる財界応援政治との指摘、これは全く当たらないと考えています。

 私は、歴代自民党政権の成果の上に、成長と分配の好循環による新しい資本主義を実現し、国民一人一人が豊かで生き生きと暮らせる、持続可能な経済社会を実現してまいります。

 労働政策についてお尋ねがありました。

 非正規雇用の方の正規化については、キャリアアップ助成金等による支援に加え、今般、人への投資を抜本的に強化するため、三年間で四千億円規模の施策パッケージを創設し、非正規雇用の方を含め、再就職や正社員化に向けた学び直しや職業訓練の支援を強力に進めてまいります。

 残業代の支払い等については、労働基準監督署において監督指導を実施しており、違反事案には厳正に是正措置を講じてまいります。さらに、悪質な事業者に対しては、捜査の上、書類送検を行うなど厳しく対応してまいります。

 また、賃上げ税制の拡充や下請政策の強化等により、中小企業、小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備しつつ、できる限り早期に全国加重平均千円以上となるよう、最低賃金の見直しにも取り組んでまいります。

 社会保障についてお尋ねがありました。

 医療については、質の高い効率的な提供体制を確保するため、地域医療構想を進める必要があり、病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の事情を十分に踏まえつつ、地方自治体等と連携して検討を進めてまいります。

 後期高齢者の窓口負担の見直しは、現役世代の負担上昇をできるだけ抑える観点から行うものであり、必要な経過措置を含め、本年十月一日から施行することとしております。

 公的年金制度については、将来世代の負担が過重となることを避けつつ、長期的な給付と負担のバランスを確保する仕組みとしており、この仕組みの下で年金を支給してまいります。

 人生百年時代を見据え、子供から子育て世代、お年寄りまで、誰もが安心できる持続的な全世代型社会保障の構築に向けて取組を進めてまいります。

 消費税率の引下げについてお尋ねがありました。

 税制については、これまでも、所得再分配機能の強化を含め様々な改正を行っており、今後も、成長と分配の好循環の実現に向け、総合的に検討してまいります。

 消費税については、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられており、当面、消費税について触れることは考えておりません。

 なお、インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から、軽減税率の実施から十分な経過措置を設けるとともに、令和三年度補正予算においても、会計ソフト等のITツールに加え、パソコン等のハードウェアの導入も含めて補助するなど、事業者への必要な支援を行っていきます。

 引き続き、インボイス制度の円滑な移行に向けて、周知、広報も含めて必要な取組を丁寧に進めてまいります。

 自動車産業とエネルギー政策についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、諸外国が製造プロセスの脱炭素化の状況によって国境調整措置を講ずる可能性が否定できない状況にあり、自動車産業を始めとする産業界の危機感を共有しております。例えば、海外の大手電機メーカーが、二〇三〇年までに製造プロセスにおいて一〇〇%脱炭素電源で製造された製品だけを仕入れるとサプライヤーに要求し、我が国の企業が、再生可能エネルギーを始めとする脱炭素電源が調達できる環境でなければ事業を発展させることができない、こうしたおそれもあります。

 我が国自動車産業は、雇用の約一割、輸出の約二割を占める基幹産業であり、日本の経済の牽引役です。このため、利用する電力がどれだけグリーンであるかによって国際競争力を失うということは、日本経済にとって大きな損失であり、何としても避けなければならないと考えています。

 したがって、我が国としても、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、再エネ最優先の考え方の下、供給側及び産業界など需要側の各分野でのエネルギー転換に向けた投資を後押しいたします。エネルギー構造の大転換に果敢に取り組むことによって、我が国の基幹産業が国際競争力を失うことのないようにしてまいります。

 男女平等及び賃金格差についてお尋ねがありました。

 男女平等は、日本政府の重要かつ確固たる方針であるとともに、国際社会で共有されている規範です。

 特に、人生や家族の在り方が多様化する中、女性の経済的自立に取り組む必要があります。その中で、御指摘の男女の賃金格差については、その是正に向けて、有価証券報告書の開示項目にするなど、企業の開示ルールの在り方を具体的に検討していきます。

 敵基地攻撃能力についてお尋ねがありました。

 極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、進化しています。

 こうした中で、ミサイル防衛体制を始め、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題認識の下、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討してまいります。

 その検討は、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めていくものであり、御指摘の、いざというときは相手国をせん滅する全面戦争を行う、それができる軍事力を持てとの考えで検討するものではありません。

 なお、安倍元総理の発言については、政府としてコメントすることは差し控えます。

 東アジアでの平和外交についてお尋ねがありました。

 御指摘の東アジア首脳会議、EASについては、首脳間で地域共通の課題について率直な対話を行うことができる重要な会議であると考えており、今後ともしっかりと活用してまいります。

 米国、豪州、インド、ASEAN、欧州などの同盟国、同志国とも連携し、日米豪印の取組等も活用しながら、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を戦略的に推進していくことで、地域の平和と繁栄に貢献していきたいと思っております。

 そして、普天間飛行場の返還及び辺野古移設についてお尋ねがありました。

 戦後七十五年以上たった今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担を背負っていただいています。到底是認できるものではありません。この事実を重く受け止め、国を挙げて、基地負担の軽減に一つ一つ結果を出していかなければなりません。

 普天間飛行場は、一九七二年の沖縄の本土復帰以降、米国が我が国から適法に提供を受け、使用しているものですが、沖縄の米軍施設・区域の形成過程について様々な議論があるということは承知をしております。

 世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思っています。

 米国とは、閣僚間を含め様々なレベルにおいて、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針について、累次にわたり確認をしてきています。

 この方針に基づき着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。

 なお、御指摘の地盤改良工事については、有識者の助言を得つつ検討を行った結果、十分に安定した護岸等の施工が可能であることが確認されていると承知をしております。(拍手)

副議長(海江田万里君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(海江田万里君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  岸田 文雄君

       総務大臣    金子 恭之君

       法務大臣    古川 禎久君

       外務大臣    林  芳正君

       財務大臣    鈴木 俊一君

       文部科学大臣  末松 信介君

       厚生労働大臣  後藤 茂之君

       農林水産大臣  金子原二郎君

       経済産業大臣  萩生田光一君

       国土交通大臣  斉藤 鉄夫君

       環境大臣    山口  壯君

       防衛大臣    岸  信夫君

       国務大臣    小林 鷹之君

       国務大臣    二之湯 智君

       国務大臣    西銘恒三郎君

       国務大臣    野田 聖子君

       国務大臣    堀内 詔子君

       国務大臣    牧島かれん君

       国務大臣    松野 博一君

       国務大臣    山際大志郎君

       国務大臣    若宮 健嗣君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官 木原 誠二君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官 近藤 正春君


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