衆議院

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第8号 令和4年3月3日(木曜日)

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令和四年三月三日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第五号

  令和四年三月三日

    午後一時開議

 第一 警察法の一部を改正する法律案(内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 警察法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(細田博之君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 警察法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第一、警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長上野賢一郎君。

    ―――――――――――――

 警察法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔上野賢一郎君登壇〕

上野賢一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近におけるサイバーセキュリティーに対する脅威の深刻化に鑑み、国家公安委員会及び警察庁の所掌事務に重大サイバー事案に対処するための警察の活動に関する事務等を追加するとともに、関東管区警察局に、全国を管轄区域として、警察庁の所掌事務のうち重大サイバー事案に対処するための警察の活動に関する事務を分掌させるほか、警察庁にサイバー警察局を設置する等の改正を行うものであります。

 本案は、去る二月二十四日本委員会に付託され、翌二十五日二之湯国家公安委員会委員長から趣旨の説明を聴取いたしました。次いで、三月二日に質疑を行い、質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(細田博之君) この際、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣後藤茂之君。

    〔国務大臣後藤茂之君登壇〕

国務大臣(後藤茂之君) ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を説明いたします。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が雇用に大きな影響を与える中、雇用の安定と就業の促進を図ることが重要な課題となっています。また、雇用保険財政の安定運営を図るため、その費用負担について所要の措置を講ずるなどの必要があります。

 こうした状況を踏まえ、失業等給付の特例の継続、求人メディア等のマッチング機能の質の向上、地域のニーズに対応した職業訓練の推進等の措置を講ずるとともに、雇用保険について、保険料率の暫定的な引下げ、機動的な国庫負担の仕組みの導入等を行うため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、雇用保険制度における失業等給付について、雇い止めによる離職者等に係る基本手当の給付日数の特例及び教育訓練支援給付金制度等を継続するほか、離職後に事業を開始した者に係る基本手当の受給期間の特例を創設するとともに、公共職業安定所長が受講を指示する公共職業訓練等の対象に求職者支援制度に基づく訓練を追加することとしています。

 第二に、職業安定法における募集情報等提供事業について、その機能強化と事業運営の適正化を図るため、労働者になろうとする者に関する情報を収集して行う募集情報等提供事業に係る届出制の創設や、募集情報等提供事業を行う者に対する求人等に関する情報の的確な表示等の義務づけを行うとともに、必要な指導監督規定の整備等を行うこととしています。

 第三に、職業能力の開発及び向上の促進のため、地域の実情に応じた取組が適切かつ効果的に実施されるよう、都道府県の区域ごとに関係者による協議会を組織する仕組みの創設等を行うこととしています。

 第四に、雇用保険財政について、令和四年度の保険料率を激変緩和のため引き下げるとともに、雇用情勢や雇用保険財政に応じ、失業等給付に係る国庫負担を機動的に行える仕組みを導入するなどの措置を講ずることとしています。

 加えて、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国庫負担の特例措置を継続するとともに、積立金から雇用安定事業費に充てるために借り入れた金額について、一定の範囲内で返済の猶予を可能とするなどの措置を講ずることとしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和四年四月一日としています。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(細田博之君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。井坂信彦君。

    〔井坂信彦君登壇〕

井坂信彦君 神戸から参りました井坂信彦です。

 立憲民主党・無所属を代表して、雇用保険法等一部改正案について質問及び提案いたします。(拍手)

 冒頭、ウクライナとコロナ対策について、数点伺います。

 一昨日に我が党の泉代表がウクライナ大使と会談した際に、難民の受入れなど支援を求められました。昨晩遅くに総理は難民の受入れを表明されましたが、我々は、昨年、野党共同で、難民保護法と入管法の改正案を提出し、国際法違反と批判を受けている入国管理、難民認定制度の抜本的な見直しを提案しています。

 これまでの難民とは性質、人数共に異なる避難民の受入れについて、基本方針や留意すべき点を伺います。

 また、ウクライナから避難してくる日本人やウクライナ人などを国内に受け入れる際に、心のケアや生活、仕事のケアなどを検討すべきでないか、外務大臣の御見解を伺います。

 台湾がウクライナに医療物資の無償提供を行っています。日本もすぐ医療物資を送るべきだと思いますが、先月末に総理が表明した一億ドルの緊急人道支援の枠内で、すぐに実行できないでしょうか。

 一昨日の国会決議を受けて、政府はウクライナに対する支援を最大限行うよう、強く要望いたします。

 次に、コロナについてですが、蔓延防止の重点措置を解除した沖縄県など、感染者数が再び増加に転じる県が出始めています。第六波が高止まりしたまま次の第七波に突入する危険性について、厚生労働大臣の御見解を伺います。

 それでは、本論の雇用保険法等一部改正案に入ります。

 今回の法改正は、基本手当の特例の継続、地域延長給付の継続、休業支援金の継続、そして雇用調整助成金と休業支援金の費用の一部を一般会計負担とする特例の継続、さらには失業給付に国庫繰入れができる特例の継続などなど、労働者側の代表である連合の主張も数多く盛り込まれ、この点については評価するものです。

 一方で、コロナで著しく悪化した雇用保険の財政に対して、保険料は引き上げるのに、国庫負担は本則の更に十分の一に引き下げたまま据置きというのは、すんなり受け入れるわけにはまいりません。

 国庫負担を引き上げない代わりに、雇用情勢や雇用保険財政の悪化に応じて機動的に国庫からの繰入れが行われる仕組みが新たに設けられます。この機動的繰入れが本当に必要なタイミングで十分に行われるのか、労働者のための仕組みとなるのか、これが本法案の最大の争点であると申し上げて、質問に移ります。

 失業保険は、一九四七年、生活協同組合の元祖と言われる神戸の賀川豊彦なども関わって制度化されました。当初は国庫負担が三分の一でしたが、昭和三十四年に四分の一となり、積立金が約五兆円となった平成十九年には本則の四分の一の更に五五%、平成二十七年には積立金が過去最高の六兆四千億円となって、平成二十九年からは本則四分の一の一〇%、すなわち四十分の一にまで国庫負担が減らされました。

 同様に、労働者と企業の保険料も本則である料率から引き下げられて、積立金は、平成二十七年の六兆四千億円から令和元年には四兆四千億円と四年間で二兆円も減り、今回のコロナで一気に底をついてしまいました。

 まず、国庫負担の水準について質問します。

 今回の法改正では、労働者と企業の保険料だけを本則である〇・八%に引き上げるための経過措置が盛り込まれています。一方、令和二年三月の厚生労働委員会の附帯決議には、雇用保険の国庫負担については早期に本則に戻すこと、国庫負担率の引下げは令和三年度までに厳に限った措置とすることと書き込まれています。

 保険料を本則の〇・八%に戻すのであれば、国庫負担も本則である四分の一に戻すのが当然だと考えますが、見解を伺います。

 そもそも、失業給付の国庫負担を四十分の一とした数字の根拠は何でしょうか。せめて、保険料が〇・二%から〇・八%へ四倍となるのに合わせて、国庫負担も現状の四十分の一から四倍となる十分の一に引き上げるという考えもあり得たと思いますが、国庫負担が四十分の一のままでよいと判断した数字の根拠をお答えください。

 国庫負担の本則は四分の一のまま変えるべきではありませんが、閣法では、失業給付の受給者数が七十万人以上になることが国庫負担を本則である四分の一に戻す条件の一つとされています。七十万人の根拠は、近年の受給者数が三十七万人から八十五万人の間で推移してきたため、その中間値の六十万人とリーマン・ショック時の八十五万人の中間程度の水準として設定をしたとのことであります。

 しかし、リーマン・ショックを除けば、ここ十年は、コロナの年を含めて、失業給付はおおむね五十万人以下で推移をしています。失業給付の受給者数が七十万人以上となって国庫負担が本則の四分の一に戻ることはあり得ないのではないでしょうか。

 コロナ禍においては、失業保険の積立金から雇用調整助成金に多額の貸出しを行ったため、失業給付の受給者数は増えませんでしたが、積立金は激減しました。このように失業給付ではなく雇用調整助成金に積立金を費やした場合は、失業給付の受給者数が七十万人以上に増えなくても、国庫負担を本則の四分の一に戻すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、国の責任について質問します。

 国は、これまで、雇用政策の結果としての失業に責任を持つという趣旨で国庫負担をしてきました。今回の法改正は、失業給付に支障が出そうなときだけ国庫から繰り入れるという仕組みですが、国は、雇用保険制度の維持だけを手伝い、雇用政策には責任を負わないということでしょうか。雇用政策に対する国の責任についてお答えください。

 今回の改正においては、保険料率アップ、国庫負担アップ、そして機動的繰入れの三つを組み合わせ、とにかく給付を減らさないために財源確保をすることが政府の狙いであると思われます。これら三つの財源確保策を十分に行わないまま、失業給付の水準を減らすことはない、教育訓練給付や雇用保険二事業などの縮減もしないと明確に答弁できるか、お伺いいたします。

 先ほど申し上げたとおり、国庫負担アップは、事実上、ほとんど発動しません。一方で、保険料率は本則である〇・八%まで引き上げられます。これで財源不足となったときに、国庫負担を本則に戻さず、機動的繰入れもせず、保険料率だけを更に上げるなどということは絶対にしないと明言していただきたいのですが、いかがでしょうか。

 次に、機動的な国庫繰入れについて質問します。

 労働政策審議会の部会報告では、こういう場合に国庫繰入れをすべしという具体的な四条件が記載されています。しかし、この四条件とそれに続く部会の意見は、法律に明記されず、政令にも明記されない予定と聞いています。

 例えば、四条件の一番目、受給者が七十万人未満でも、弾力倍率が一未満の場合、すなわち来年度の失業給付が支払えない積立金の状況であれば、弾力倍率が一を超えるように国庫繰入れを行うのか、確認をいたします。

 同様に、部会報告四条件の三番目、失業保険の積立金からの貸出しを増加しなければ、先ほどの雇用調整助成金の支払いに支障を生ずるおそれがあり、かつ積立金の残額が不足している場合は国庫繰入れを行うのか、確認いたします。

 現在枯渇している積立金を十分な水準まで戻すためにも、失業保険財政が単年度でも黒字になるように、国の財政措置を適宜講じながら、毎年の剰余を確実に積み立てていくべきと考えますが、見解を伺います。

 機動的な国庫繰入れの詳細については、まだまだ不明確な部分が多いので、引き続き、委員会でも議論をしてまいります。

 雇用保険部会報告には、雇用保険財政の立て直しに向けては、労働政策審議会において総合的に検討を行うべきである、公労使の意見を厚生労働省が最大限尊重することが前提であると書かれています。機動的繰入れを含めた雇用保険の財政運営については、公労使の意見を最大限尊重し、労働政策審議会で検討を行うと、大臣の明確な答弁を求めます。

 次に、育児休業給付について質問します。

 育児休業給付はこれまで雇用保険の枠内で運営されてきましたが、これでは、フリーランスなど、雇用保険料を支払わない働き方には対応できません。雇用保険の枠外の働き方にも育児休業給付を行うためには、全額国庫負担による子育て支援制度としての育児休業給付も検討すべきだと考えますが、大臣の御見解を伺います。

 育児休業給付の増加率が高い水準で移行した場合、令和六年にも雇用保険財政が破綻する可能性があります。育児休業給付の在り方を雇用保険の枠内で検討していては間に合わなくなるおそれがあり、最初から子育て部門と連携して検討を開始すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 最後に、その他の事項について質問します。

 求職者支援制度の収入要件や訓練受講に関する特例措置は、今年度末までとなっています。部会報告にあるように、一年間延長すべきと考えますが、大臣の御決断をお願いします。

 募集情報等提供事業と職業紹介事業の区分が曖昧です。募集情報等提供事業者が利用者の希望する条件に合った情報を推薦する、いわゆるレコメンド機能は、職業紹介事業の許可が必要となる、情報の選別と加工ということに当たるのかどうか、明確な答弁を求めます。

 また、フリーランスに仕事を仲介するサービスにも、今回の雇用仲介サービスに対する規制と同様のルールが必要と考えます。フリーランスの保護をどう考えるのか、大臣の御見解を伺います。

 以上、本法案の不明確な点や懸念される点について質問をいたしました。

 立憲民主党は、常に、働く者の立場に立って法案を審議します。指摘した懸念が杞憂であったと安心できるような明快な答弁を求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣後藤茂之君登壇〕

国務大臣(後藤茂之君) 井坂信彦議員の御質問にお答えいたします。

 新型コロナ感染再拡大の危険性についてお尋ねがありました。

 足下では全国的にオミクロン株の感染拡大のペースが落ち着き始めていますが、新規感染者の絶対数は多く、遅れて重症者数が増加するリスクもあり、警戒を緩める状況にはありません。

 昨日の厚生労働省アドバイザリーボードでは、新規感染者数について、減少は緩慢であり、少なくともしばらくの間、高いレベルで推移していくことが予想される、今のところ兆候は見られないが再度増加に転じる可能性や、年度末を迎えることによる感染状況への影響に注意が必要等と評価、分析されています。

 今後も、自治体、医療関係者、専門家等と密接に意思疎通を図りながら、高い警戒感を持って感染状況を注視しつつ、国民の命と健康を守り抜いてまいります。

 雇用保険の国庫負担水準についてお尋ねがありました。

 雇用保険財政については、コロナ禍の対応により極めて厳しい状況にあることから、令和三年度補正予算において、一般会計からの約二・二兆円の繰入れを実施し、また、今般の法案において、保険料、国庫負担の両面から見直しを行うこととしているところです。

 具体的には、雇用保険料率は、原則千分の八であるところ、令和四年度における激変緩和措置として、年度前半を千分の二、後半を千分の六とし、国庫負担については、雇用情勢や雇用保険の財政状況に応じた仕組みとするため、雇用情勢及び雇用保険財政が悪化したときには四分の一、それ以外のときには四十分の一とした上で、これに加えて、機動的に国庫からの繰入れを可能とする仕組みを常設化することとするものです。

 政府としては、雇用保険制度のセーフティーネット機能を果たすため、このような仕組みにより、雇用保険財政の安定的な運営を確保する必要があると考えております。

 国庫負担の水準の根拠についてお尋ねがありました。

 今般の改正においては、雇用情勢や雇用保険の財政状況に応じた国庫負担割合を設定することとしておりますが、このうち、四十分の一の負担割合については、現行の国庫負担割合を基にしており、雇用情勢等にかかわらず、政府の経済政策、雇用政策の結果としての失業の発生に対する国の責任を継続的に果たすために設定したものです。

 国庫負担の割合の設定に係る受給者実人員の基準についてお尋ねがありました。

 御指摘の受給者実人員七十万人という水準は、雇用情勢が相当程度悪化した状態として、原則の雇用保険料率を設定するに当たっての基本想定としている六十万人と、近年で最も高い水準である八十五万人の中間程度の水準をもって設定しているものです。

 受給者実人員は、今般のコロナ禍においても、雇用調整助成金等の積極的活用などの効果もあって、大きく増加しておりませんが、過去の雇用情勢等を踏まえると、この七十万人という水準は、今後においても十分に想定され得るものであると考えています。

 積立金から貸出しを行った場合の国庫負担割合の設定基準についてお尋ねがありました。

 失業等給付の国庫負担割合を判定するに当たっては、その支出額に直結する失業手当の受給者実人員の動向により雇用情勢の状況を測ることが適当と考えています。

 なお、現在、雇用調整助成金のための積立金からの貸出しなどにより厳しい財政状況に陥っておりますが、こうした状況に対処するため、雇用保険臨時特例法に基づき、令和三年度補正予算において、一般会計からの約二・二兆円の繰入れを実施しました。また、今般の法案においても、こうした一般会計からの繰入れ規定を継続することとしています。

 雇用保険制度における国の雇用政策への責任についてお尋ねがありました。

 失業等給付に係る費用の一部を国庫により負担しているのは、雇用保険の保険事故である失業は、政府の経済政策、雇用政策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきとの考え方によるものです。この考え方については、今回の改正によって変わるものではないと考えています。

 具体的には、今回の国庫負担に係る改正は、新たな国庫繰入規定を創設するなどにより、雇用情勢等に応じて機動的な財政運営ができる枠組みを新たに設けるものです。こうした仕組みを適切に運営するとともに、総合的な雇用政策を効果的に推進してまいりたいと考えています。

 雇用保険制度における今後の給付水準についてお尋ねがありました。

 今般の法案においては、コロナ禍からの回復途上にあることも踏まえて、雇い止めの方の給付拡充などの暫定措置については継続するとともに、その財源確保については、失業等給付の保険料率を本年十月から〇・六%としたところです。また、令和三年度補正予算において、当面の雇用調整助成金の財源確保及び雇用保険制度の安定運営のため、二・二兆円の一般会計からの繰入れを実施したところです。

 今後の雇用保険制度における具体的な給付水準等については、その時々の雇用情勢等を踏まえ、労働政策審議会における議論も経た上で検討する必要があると考えていますが、今般の改正により、雇用保険財政の安定的な運営を確保することを通じて、今後とも、雇用保険制度のセーフティーネット機能が十分に果たされるよう、適切に対応してまいります。

 国庫負担と保険料率の仕組みの運用の在り方についてお尋ねがありました。

 今般の法律において新設する機動的な国庫繰入規定は、失業等給付に係る保険料率が法律上の本則である千分の八である場合に加えて、翌年度にこの保険料率が千分の八となる場合や、雇用情勢や雇用保険財政が急激に悪化した場合も対象となるよう、政令で定める予定です。

 この規定の運用に当たっては、労働政策審議会の報告書において、保険料の本則を超えた引上げが可能である弾力倍率一を下回る場合であって、雇用保険財政の悪化により積立金が不足し、失業等給付の支払いに支障が生ずるおそれがある場合等において、機動的な国庫繰入れにより対応すべきであるとの考え方が示されています。

 厚生労働省としては、こうした議論を踏まえつつ、適切に対応してまいります。

 次に、弾力倍率が一を下回る場合の国庫繰入れについてお尋ねがありました。

 今般の法案において新設する機動的な国庫繰入規定の運用に当たっては、労働政策審議会の報告書において、保険料の本則を超えた引上げが可能である弾力倍率一を下回る場合であって、雇用保険財政の悪化により積立金が不足し、失業等給付の支払いに支障が生ずるおそれがある場合には、機動的な対応として、当面必要な国庫繰入れが行われるべきであるとの考え方が示されています。

 厚生労働省としては、こうした議論を踏まえつつ、適切に対応してまいります。

 次に、雇用調整助成金の支払いに支障が生ずるおそれがある場合の国庫繰入れについてお尋ねがありました。

 機動的な国庫繰入規定の運用に当たっては、労働政策審議会の報告書において、コロナ禍において雇用調整助成金等の支出額が増加し、積立金から二事業への貸出額を増加しなければ雇用調整助成金等の支払いに支障が生ずるおそれがあり、かつ積立金の残高が不足している場合には、機動的な対応として、当面必要な国庫繰入れが行われるべきであるとの考え方が示されています。

 厚生労働省としては、こうした議論を踏まえつつ、適切に対応してまいります。

 次に、財政運営における積立金の水準の確保についてお尋ねがありました。

 雇用保険財政については、保険料及び国庫負担により、将来にわたって安定的な経営を確保し、予期せぬ景気変動に伴う雇用情勢の悪化が生じたとしても十分対応できるものとしておくことが重要であると考えています。

 政府としては、今回の保険料及び国庫負担の見直し等により、雇用保険財政の安定的な運営を確保していきたいと考えています。

 次に、労働政策審議会の意見の尊重についてお尋ねがありました。

 今般の法案について、労働政策審議会にその要綱を諮問した際、公労使一致した意見として、今回新たな国庫負担の仕組みを導入したとしても、雇用保険財政の立て直しに向けてまさにこれから取り組んでいく状況であることから、雇用保険事業における諸給付及びその費用の負担の在り方について、引き続き、労働政策審議会において総合的に検討を行うべきであるとの意見が付された上で、こうした意見を厚生労働省が最大限尊重することを前提に、法案要綱について、おおむね妥当とされたところです。厚生労働省としては、この趣旨をしっかりと受け止め、適切に対応してまいります。

 次に、子育て支援制度としての育児休業給付についてお尋ねがありました。

 子育てに係る経済的負担の軽減策としては、児童手当の支給、三歳から五歳までの幼児教育、保育の無償化、妊婦に対する健康診査、様々な支援を実施しているところです。

 今後とも、こうした様々な支援策を組み合わせることにより、多様化する子育て家庭のニーズに応じた支援を進めてまいります。

 その上で、子供政策を強力に進めるために必要な安定財源の確保について、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め幅広く検討を進め、確保に努めてまいります。

 次に、育児休業給付制度の在り方の検討についてお尋ねがありました。

 改正法案では、御指摘のリスクに備える観点から、失業等給付の積立金からの借入規定を令和六年度まで延長することとした上で、仮に借入れが生じた場合には、返済の在り方について検討する旨の規定を盛り込んでいます。

 その上で、育児休業給付の制度の在り方については、少子化社会対策大綱において、中長期的な観点から、その充実を含め、他の子育て支援制度の在り方も併せた制度の在り方を総合的に検討するとされており、子育て支援施策を担当する関係省庁とも連携して、検討したいと考えております。

 次に、求職者支援制度についてお尋ねがありました。

 求職者支援制度については、コロナ禍で非正規雇用労働者等が利用しやすいように、本人収入要件や世帯収入要件などを緩和する特例措置を今年度末まで設けています。

 これらの特例措置については、本年一月の労働政策審議会で取りまとめられた報告で、令和四年度末まで延長すべきとされたことを踏まえて、現在、関係省令の改正等の手続を進めています。

 次に、募集情報等提供事業のいわゆるリコメンドについてのお尋ねがありました。

 募集情報等提供事業のいわゆるリコメンドは、実態として様々であり、職業紹介に該当するかどうかは個別の事業に応じて判断すべきものと考えております。

 改正法の施行に当たっては、判断基準の明確化にも取り組んでまいります。

 次に、フリーランスの仲介についてお尋ねがありました。

 今回の職業安定法の改正案については、職業紹介や募集情報等提供などの雇用の仲介を前提にしたルールを定めたものですが、雇用以外の仕事を仲介する事業者も参考とすることができるよう、法案の丁寧な周知に努めてまいります。

 また、フリーランスで働く方の保護については、関係省庁と連携し、二〇二一年三月に策定したフリーランスガイドラインの周知を図るとともに、仲介事業者を利用している場合も含め、フリーランスの取引上のトラブルについてワンストップで相談できる窓口を設置しており、引き続き、丁寧な相談対応を行ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣林芳正君登壇〕

国務大臣(林芳正君) ウクライナから避難される方々のケアや受入れについてお尋ねがありました。

 今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みとして、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。

 この国難に直面するウクライナの人々に対し、周辺国に避難される方々への支援を含め、国際機関経由で一億ドルの緊急人道支援を行うことを既に発表しております。

 また、国際社会におけるこのような重要な局面において、ウクライナの人々との連帯を更に示すべく、ウクライナから第三国に避難された方々の我が国への受入れも今後進めてまいります。

 まずは、御親族や知人が日本にいらっしゃる方々について受け入れることを想定しておりますが、それにとどまらず、人道的な観点からも対応してまいります。

 また、避難される方々へのケアについても、関係省庁と連携の上、検討してまいります。

 次に、ウクライナへの人道支援についてお尋ねがありました。

 今回のウクライナ情勢を受けて、国連から、主に保健医療、食料、難民、避難民の保護といった分野で、ウクライナの国内向け及び周辺国向けの支援要請が出されております。

 この国連の支援要請も踏まえ、UNHCR、ユニセフ等の人道関係国際機関と、医療物資も含め、具体的支援内容を調整しておるところでございます。(拍手)

    〔国務大臣古川禎久君登壇〕

国務大臣(古川禎久君) 井坂信彦議員にお答え申し上げます。

 ウクライナからの避難民の受入れに関する基本方針などについてお尋ねがありました。

 我が国では、困難に直面するウクライナの人々のための支援に力を尽くし、我が国への避難民の受入れを進めていきます。

 まずは、我が国に親族や知人がいる方を受け入れることを想定していますが、それにとどまらず、人道的な観点から対応していきます。これについては、関係省庁と連携の上、早急に検討し、積極的かつ適切に対応すべきと考えており、出入国在留管理庁に対して必要な指示をいたしました。

 今後、政府全体での検討を踏まえまして、適切に対応してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 池下卓君。

    〔池下卓君登壇〕

池下卓君 日本維新の会、池下卓でございます。

 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案について、日本維新の会を代表して質問いたします。(拍手)

 まず冒頭に、今般のロシア政府によるウクライナ侵攻に鑑み、ウクライナ市民のみならず、ロシア市民も含めて、戦火にまみれている罪なき市民の皆さんの元に一刻も早く平和で安寧な日々が戻りますことを心より祈念いたします。また、政府には、ロシア政府に対して、国際秩序を踏みにじる侵略行為を即時停止するよう強力に働きかけることを求めます。

 我が国固有の領土である北方四島を不法に占拠し続けているロシア政府です。返還するといっては頬かむりを決め込み、今また返還はあり得ないと強硬に主張するプーチン政権は、信頼に値しません。世界平和のためにも、このような覇権主義を掲げる政府による無謀な侵略行為を許してはなりません。岸田総理には、毅然とした態度で臨むことを強く求めます。

 さて、我々日本維新の会は、日本大改革プランを掲げております。場当たり的な現状維持、微修正に終始するのではなく、真に活力のある明るい未来をもたらす、経済成長と格差解消を実現する大改革を主張しています。端的に言えば、現在の延長線上に解決策はありません。大胆に労働市場や労働環境を改善することで、国民の可処分所得を増やし、失われた三十年の負の遺産である格差社会をリセットする。そのために日本維新の会が提示するキーワードは、フレキシキュリティーです。

 これは、フレキシビリティーとセキュリティーを合わせた造語であり、チャレンジのためのセーフティーネットを備えた自由な労働市場を創造することです。本日は、このフレキシキュリティーの観点から、本案について議論をしたいと思います。

 まず、そもそも論でありますが、本案のように幾つも法案を一括審議するやり方は、聞く耳を持つ岸田政権にしてはちょっと矛盾したやり方なのではないかと感じております。本法案には、雇用保険法、雇用保険臨時特例法、職業安定法、職業能力開発促進法など多くの法律の改正案が含まれまして、相互に関連しないものも含めて、これを一括で審議させようとしております。これでは、一つ一つの改正法案を丁寧に審議するということはちょっと困難なのかなと私は考えております。これでは、法律を作るという唯一の立法機関の職責というのを果たすことができません。一括審議は、国会への不誠実であり、ひいては国民への不誠実にほかならないと感じております。

 また、雇用の問題は、経済成長につながる重要な問題であり、岸田総理が標榜される新しい資本主義関連法案と併せて審議する方が、国民の皆様にも理解しやすいのではないでしょうか。新しい資本主義の下でどのような雇用が実現されるのかということも、しっかりと国民の皆様に示されるべきだと感じております。

 本法案によってもたらされる雇用政策は、新しい資本主義の中でどのような意味を持つことになるのでしょうか。厚生労働大臣の御答弁を求めます。

 次に、本法案の主要論点の一つである失業等給付について、フレキシキュリティーの観点から考えてみると、迅速かつ適切な給付体制の維持は特に重要です。労働市場には、地域格差があります。したがって、地域差をしんしゃくした公正な給付の継続は必要なことであるとは理解しております。しかし、その一方、地域格差を縮小するということも重要であり、いかにして縮小していくのかについては、この法律案では見えてきません。確かに、機動性のある職業能力開発や職業紹介を実施することで、求職者の就労支援は強化されるでしょう。しかし、地域経済がそもそも活性しなければ雇用は増えないため、地域格差はいつまでたっても解消されません。

 地域経済創出という観点から、政府はどのような方策また仕組みを準備しているのでしょうか。厚生労働大臣の答弁を求めます。

 さらに、教育訓練支援給付金などネクストチャレンジにつながる支援制度についても、本法案は、その暫定措置を令和六年度まで延長するとしております。これは、政府の覚えがよろしい教育機関が提供するプログラムを継続することでしかなく、漫然と現状維持するだけの政策としか思えません。本当に、成長市場への適切な労働力の移動を企図した教育訓練プログラムになっているのでしょうか。また、本当に、賃金上昇を企図できるような充実したメニューが用意されているのでしょうか。本当に、成長市場が必要とする知識や経験を提供するプログラムを受講できるのでしょうか。疑問でなりません。

 社会が必要とするスキルは、日々新しいものになっていきます。過去事例を踏襲するだけの教育訓練では、すぐに陳腐化し、ニーズに合わなくなります。雇い止め等により教育訓練を受けられる時間が準備されたのであれば、この時間を本当に有効なものにしなければ、チャレンジ可能な社会にはなりません。その意味でも、教育訓練制度は労働市場のニーズにマッチしたものである必要があります。ニーズにマッチして受講者のネクストステップを成功に導いているのであれば、当然、公的資金を注入するということは理解できます。しかしながら、現場で必要とされていない、またニーズに合わない資格というものを漫然と取らせるだけの教育訓練講座を続けるのは、ちょっと公的支援の在り方としては間違っているのではないかなと感じております。

 延長する教育訓練支援給付金について、その対象となるプログラムと市場ニーズのマッチング、これはどのように確認されているのでしょうか。

 教育訓練講座の受講修了者の給与水準などの調査と評価というものはできているのでしょうか。

 デジタル化の進展やポストコロナで急速に拡大が予想される分野として政府はどのような産業を想定し、どのような教育訓練制度を準備しているのでしょうか。

 また、感染状況が落ち着くとすぐに必要とされる旅行業、外食業などの求人に対する対策などについてはどのようなものを想定されているのでしょうか。

 以上、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 そして次に、求人メディアのマッチング機能について質問をいたします。

 雇用の流動化を進める上で、求人メディアの募集情報というのは最も重要なものであると考えております。しかし、その中身が不実記載であれば、誰もこうしたメディアを使わなくなります。ですから、募集情報の正確性や最新性を保つように監督することは必要なことです。しかしながら、国内の求職者を閲覧対象者としながら、事業者が日本国内にないなどの問題から本法案の執行管轄権が及ばない場合があります。本法案により求人メディア等への指導監督が可能となる権限を付与したとしても、募集情報の信頼性の確保は限定的なものにならざるを得ません。それよりも、情報提供の質を担保する国際標準規格を提案するか、若しくは、少なくとも国内標準規格の認証制度を設ける、こういう方がよっぽどいいのではないかなと考えます。

 利用者がこの認証の有無を確認するスキームの方が業界内での競争と自律的な適正運営が期待できると考えますが、厚生労働大臣の見解をお聞かせください。

 また、そもそも、本法案により整備される求人メディア等が依拠すべきルールや指導監督権限の規定は、海外に拠点を持つような事業者にも適用されるのでしょうか。求人サイトを本当に必死に検索している利用者の皆様の観点に立って、外国事業者に対する指導監督の展望についても見解を併せてお聞かせいただきたいと思います。

 そして次に、地域のニーズに対応した職業訓練の設定についてです。

 地域のニーズを吸い上げるのは都道府県であるという考え方は理解できるんですけれども、何でもかんでも協議会を立ち上げればニーズを酌めるというのは、余りにも安直であると考えています。問題となるのは、この地域のニーズを測っていく方法論であったり、そして、重要業績評価指標、いわゆるKPIを設定して、PDCAサイクルを回すノウハウをいかにして都道府県の現場に示せるか、こういう実務を進める手法であると思います。国の描いたガイドラインに沿った形式的な協議会を開くだけという無駄が繰り返されるだけかもしれません。

 大事なことは、都道府県、いや、地方自治体が地域のニーズを判断できるだけのノウハウを習得できるよう支援体制を国が用意できるかということだと考えておりますが、厚生労働大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

 そして、現状の会社を介した雇用保険制度には限界があります。雇用保険に入れる人とそうでない人を分ける今の仕組みを延命することは、フリーランスなどの多様な働き方をする人が増えている現状では実情に合いません。

 日本維新の会は、国民の皆さん全員がセーフティーネットの内側に入れる社会保障の仕組みをつくることが労働市場の流動化を進める上で重要であると主張しています。ベーシックインカムの要点は、国民全員を支援すること、そして事前給付にあります。この仕組みを取り入れて、安心して新しい魅力のある仕事に就くためにチャレンジすることを可能にする社会にすべきであると考えております。成長産業に労働力を移転させられなかったことが、今現在の成長しない日本の反省点です。日本は新しい労働政策を必要としています。

 厚生労働大臣に質問いたします。

 国民全員に事前給付をすることを基本としたベーシックインカムの導入について、御見解をお聞かせください。

 私たち日本維新の会は、コロナ禍によって疲弊した日本経済の抜本的改革のために、貴重な労働市場の健全な発展を促進するためにはベーシックインカムを含む日本大改革プランの導入が必要であることを改めて主張いたしまして、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣後藤茂之君登壇〕

国務大臣(後藤茂之君) 池下卓議員の御質問にお答えいたします。

 本法案と新しい資本主義との関連についてお尋ねがありました。

 今般の法案は、まず雇用保険財政の安定運営を確保することにより、雇用保険制度のセーフティーネット機能を十分に機能させ、雇用の安定と就業の促進を図るものです。

 また、求人メディアのマッチング機能の質の向上や地域のニーズに対応した職業訓練の推進等を図ることにより、成長分野への円滑な再就職やキャリアアップ等を可能といたします。

 これらを通じて、安定した雇用の下で働く方々の能力発揮を効果的に促し、人への投資の強化等と相まって、新しい資本主義における成長と分配の好循環の実現に資することができるものと考えています。

 地域経済の活性化とそれに伴う雇用の拡大についてお尋ねがありました。

 地域の雇用を拡大していくためには、地域経済の活性化が重要であり、各地域が行う産業政策等と一体的に雇用対策を実施することが効果的であると考えています。

 このため、本法案においても、職業訓練に地域のニーズを適切に反映すること等により、効果的な人材育成につなげるため、関係者による都道府県単位の協議会の仕組みを設ける規定を盛り込んでおります。

 また、産業政策等と連携しながら雇用の創出などに取り組む地方公共団体を支援しており、引き続き、効果的な支援を実施してまいります。

 次に、教育訓練支援給付金等についてお尋ねがありました。

 教育訓練支援給付金については、受給者の受講修了後の給与水準などについて一定の検証を行った上で、労働政策審議会で議論されました。その結果、コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえ、三年間延長すべき、一方、教育訓練給付制度全般について、市場ニーズや労働条件向上の効果等の面から検証を行うべきとの意見がなされたところでありまして、更なる制度改善につなげるべく、適切に対応してまいります。

 また、教育訓練給付の対象講座については、デジタル化の進展などに対応するため、三年間で四千億円の人への投資施策パッケージにおいて、民間の企業や働く皆さんから広くアイデアを踏まえ、訓練内容の充実や受講しやすい環境の整備など、民間のニーズに即した支援を行ってまいります。

 旅行業や外食業においては、経済の回復に応じて再び人手不足感が高まることが見込まれるところでありまして、ハローワークにおいては、この間の労働力需給の構造的変化にも留意しつつ、人材確保を効果的に支援してまいります。

 次に、求人メディアのマッチング機能についてお尋ねがありました。

 海外の事業者であっても、求人企業や求職者が日本国内にいるなど、募集情報等提供が日本国内で行われている場合には、職業安定法の適用があり、募集情報の的確な表示等の義務を果たしていただく必要があります。

 海外事業者への指導監督には一定の限界もありますが、改正法に基づく届出事業者を利用していただくよう、周知に取り組んでまいります。

 また、事業者団体とも連携しながら、優良な事業者を周知する取組について検討してまいります。

 次に、職業訓練に関する協議会についてお尋ねがありました。

 今般法定化する協議会は、労使団体や教育訓練実施機関など関係者の参加の下、デジタル化など、地域のニーズを反映した訓練コースの設定を促進するとともに、訓練効果の把握、検証をしっかりと行い、訓練内容の改善を図るなどの役割を果たしてもらうことを考えております。

 協議会の実施に当たっては、都道府県労働局が中心となって都道府県とも緊密に連携し、地域に求められる人材の育成のため、効果的な職業訓練の実現を図ってまいります。

 最後に、ベーシックインカムの導入についてのお尋ねがありました。

 御提案のベーシックインカムについては、我が国の社会保障制度は、病気等の人生における様々なリスクに対し、本人と事業者が保険料を拠出することで支える、社会保険方式を基本としています。こうした理念に照らせば、国が全ての個人に対し最低限の所得保障を無条件に与えるベーシックインカムについては、慎重な検討が必要であると考えております。

 このため、岸田政権では、より幅広い方々に安心していただけるよう、現実的な対応として、男女が希望どおり働ける社会づくり、多様な働き方に対応したセーフティーネットが確保される勤労者皆保険の実現、みんなが共に支え合う、持続的な社会保障制度の構築による若者世代の負担増の抑制などについて議論を進めております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 角田秀穂君。

    〔角田秀穂君登壇〕

角田秀穂君 公明党の角田秀穂です。

 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案について、公明党を代表して質問をさせていただきます。(拍手)

 雇用保険制度は、失業や経済社会の変動に対して、働く方の生活と雇用を守るセーフティーネットとして極めて重要な役割を果たしております。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、我が国でも休業者数の急増など、雇用にも深刻な影響が及びました。

 公明党は、感染症流行の初期から、現場の声を迅速に届けるため、政府に対する累次の申入れや国会での提案を行う中で、働く方々の暮らしを守るため、雇用保険制度の拡充についても積極的に推進を図ってきました。雇用調整助成金の大幅な拡充や新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の創設、感染症の影響で離職を余儀なくされた方に対する基本手当の給付日数の延長など、危機に対応した施策を講じたことで、諸外国と比較しても失業率の上昇が極めて低い水準に抑えられるなど、制度の拡充が大きな効果を発揮いたしました。経営者や働く方からは、手厚い雇用調整助成金や個人でも申請できる休業支援金のおかげで本当に助かったという声を数多く受け止めております。

 コロナ禍の経験も生かし、雇用保険制度の将来にわたる安定的な運営基盤の確保と、雇用環境の急変に対しても迅速に対応できる仕組みに制度を改善していくことが最も重要です。

 本法案では、雇用保険財政の安定を図るため、失業等給付に係る国庫負担について、雇用をめぐる情勢の急激な変化による財政の悪化に対して機動的に国庫から繰入れを可能とする制度を設けるとしております。

 具体的には、前々年度の雇用情勢や財政状況が悪化している場合以外に、保険料率が本則以上若しくは翌年度に本則以上になる見込み又は積立金の状況や雇用保険財政の状況に照らして必要と認める場合、新たな国庫繰入制度を発動できるとしていますが、これにより感染症の急拡大などに対して制度の趣旨に沿った安定的な運営が担保されるようになるのか、繰入れが可能となる場合の具体的な要件、迅速な対応が求められる繰入制度発動までの手続について、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 雇用保険財政安定化のために、国庫負担と労使が負担する保険料のうち国庫負担については、国の厳しい財政状況から、原則的な負担割合の一〇%水準を維持した上で、失業等給付の保険料率を令和四年十月以降、〇・二%から〇・六%に引き上げるとしております。

 国庫負担については、雇用保険の保険事故である失業が政府の経済政策、雇用政策とも深く関わっていることから、新たな国庫負担の仕組みの実効性確保に努めることを求めたいと思います。

 その上で、令和四年度は年度途中の料率変更になることから、現場で混乱が生じないよう、事前の周知や相談など、年度更新の業務を委託している民間の事業者も含め、丁寧な対応が必要と考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。

 育児休業給付について、性別で見た育児休業を取得した割合は、女性が八割程度で推移している一方、男性の取得率は、近年、上昇傾向が見られるものの、いまだ一割台であり、取得期間も含め、依然として低い水準にとどまっています。

 男性が子育てや家事に十分に関わっていないことが、女性の継続就労を困難にし、少子化の一因ともなっていると言われることに対し、今年十月からは、男性の育児休業取得を促す出生時育児休業がスタートしますが、男性の育児や家事への参加を促進していくためには、仕事と育児を両立しやすい職場環境づくりが進むよう、企業に対する働きかけを積極的に進める必要があると考えます。

 二〇二五年、男性の育休取得率三〇%の目標達成に向け、育児休業が取得しやすい環境整備について、厚生労働大臣の見解を伺います。

 育児休業給付を含め、出産、子育てに対する支援は少子化対策の一環としての意味を持つことから考えて、働き方に左右されない制度が目指されるべきです。

 若くして起業した女性経営者の方から、会社の利益だけではなく社会に貢献したいとの思いで一生懸命働いて税金も納めている、働いていることに変わりはないのに出産や保育など様々な場面で後回しにされているとの訴えをお聞きしました。

 個人事業主やフリーランスなど、雇用保険の対象とならない多様な働き方が増えている状況に対応するために、雇用保険の枠組みから独立した制度も視野に、出産、育児に対する経済的支援策を検討すべきと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。

 厚生労働省の労働経済の分析によると、二〇一〇年から二〇一四年の企業の能力開発費の対GDP比は、アメリカの二%を始め、フランス、ドイツ、イギリスなど一%を超えているのに対して、日本は〇・一%にとどまっております。

 コロナ禍による働き方や市場ニーズの変化に加え、デジタル化など社会経済の大きな変化に柔軟に対応していくためにも、人材育成のための教育訓練の重要性はますます高まると思われます。中長期的なキャリア形成を支援する専門実践教育訓練給付について、弁護士や看護師など業務独占、名称独占資格取得のための講座が指定講座全体の六割以上を占めているのに対して、将来の成長が見込まれるIT、データ分野の講座の割合は三%程度という偏りの是正など、制度の趣旨が十分に生かされるよう改善を進める必要があると考えます。

 教育訓練給付制度の充実に向けた取組について、厚生労働大臣の見解を伺います。

 職業訓練について、グローバル化の進展など社会経済環境の変化に対応して、職業訓練の内容の見直しや機能強化がこれまでも図られてきたところですが、本法案では、地域のニーズを適切に反映することで効率的な人材育成につなげるために、関係者による都道府県単位の協議会の仕組みを設けるとしております。

 地域で求められる人材育成は、地方創生、働き方改革とも密接に関連します。既に各地で設置されている地域働き方会議などとも有機的な連携が図られるべきと考えますが、協議会の構成メンバーはどのように考えているのか、また、協議会が担う役割としてどのようなことを期待しているのか、厚生労働大臣の見解を伺います。

 求職者支援制度について、コロナ禍で、特に、雇用保険の対象とならない非正規の労働者やフリーランスなど、深刻な影響を受けている方々の再就職やスキルアップを強力に後押しすべきとの思いから、公明党は制度の拡充を訴えてきました。

 昨年十二月に収入要件の緩和や対象者の拡大など特例措置が講じられたことにより、必要とする人が訓練を受けやすい環境整備が前進しました。特例措置は今年度末までとされていますが、コロナ禍の深刻な影響がいまだに続いている現状に鑑み、令和四年度以降も継続することを求めます。

 あわせて、ハローワークの窓口等で制度の丁寧な周知に力を入れるとともに、利用者に対するアンケート等により、更に利用しやすい制度へと改善を図っていくことを求めたいと思いますが、厚生労働大臣の見解を伺います。

 誰もが生きがいを持って活躍できる社会を実現するため、公明党は、これからも、国、地方を通じたネットワークを駆使して、庶民目線に立った改革の推進に全力で取り組んでいく決意を申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣後藤茂之君登壇〕

国務大臣(後藤茂之君) 角田秀穂議員の御質問にお答えいたします。

 新たな国庫繰入制度の要件等についてお尋ねがありました。

 今般の法案における新たな国庫繰入れの要件は、失業等給付に係る保険料率が法律上の本則である千分の八である場合に加え、翌年度に保険料率が千分の八となる場合や、雇用情勢や雇用保険財政が急激に悪化した場合も対象となるよう政令で定める予定であり、これにより、失業者の増大等による財政リスクの発生などの際に、より機動的に国庫を投入できる仕組みとなります。

 こうした仕組みを設けることで、雇用保険財政の安定的な運営を図ってまいります。

 次に、保険料率の変更の周知についてお尋ねがありました。

 年度途中での保険料率の変更に当たっては、労働政策審議会においても、使用者代表委員から、丁寧な周知等を求める御意見をいただいており、しっかりと対応する必要があると考えています。

 厚生労働省としては、変更内容のお知らせや説明会の実施などにより、できる限り早期に事業主の皆様への周知が行き届くよう、あらゆる機会を通じた周知の徹底に努めてまいります。

 また、保険料を納付いただく際の事務負担の軽減のため、申告に当たって活用できる計算支援ツールを作成し、ホームページで周知するとともに、都道府県労働局における丁寧な相談対応を行うなど、円滑な手順に向けた取組も進めてまいります。

 次に、男性の育児休業取得促進についてお尋ねがありました。

 男性が育児を行うことは、子供を大切にする社会づくりの観点からも、また女性の就業継続やキャリア形成という点からも重要です。

 男性の育児休業取得促進については、さきの通常国会で成立した改正育児・介護休業法において、子の出生直後の時期に、より柔軟に取得できる産後パパ育休の創設、本人又は配偶者の妊娠、出産等の申出をした労働者に対する休業取得の意向を確認する措置等の事業主への義務づけ等の内容が盛り込まれております。

 本年四月からの同法の段階的な施行を通じて、男性の育児休業取得率に関する目標の達成に向け、仕事と育児を両立しやすい職場環境整備に努めてまいります。

 次に、出産、育児に対する経済的支援策についてお尋ねがありました。

 全ての結婚、子育て世代がどのようなライフスタイルを選択しても将来にわたる展望を描けるよう、環境を整えていくことが重要であると考えています。

 政府としては、出産や子育てに係る経済的負担を軽減するため、児童手当の支給、三歳から五歳までの幼児教育、保育の無償化、妊婦に対する健康診査など、様々な支援を実施しているところです。今後とも、こうした様々な支援策を組み合わせることにより、多様化する子育て家庭のニーズに応じた支援を進めてまいります。

 次に、専門実践教育訓練給付の充実についてお尋ねがありました。

 専門実践教育訓練給付の指定講座については、デジタル関連が少ないなど偏りが見られることから、本年一月に取りまとめられた労働政策審議会の雇用保険部会報告書においても、効果検証の上、指定講座の偏りを含め、しかるべき制度改善につなげるべきとの御指摘をいただいております。

 今後、この検証結果も踏まえ、受講者等のニーズに応じた必要な見直しを図ってまいります。

 次に、職業訓練に関する協議会についてお尋ねがありました。

 今般法定化する協議会は、労使団体、教育訓練実施機関、民間職業紹介事業者、労働局及び都道府県などが参画して、デジタル化など、地域のニーズを反映した訓練コースの設定を促進するとともに、訓練効果の把握、検証を通じて、訓練内容の改善を図るなどの役割を果たしてもらうことを考えております。

 協議会の実施に当たっては、議員御指摘の地域働き方会議など既存の会議体との連携を図り、地域に求められる人材の育成のため効果的な職業訓練の実現に努めてまいります。

 次に、求職者支援制度についてお尋ねがありました。

 求職者支援制度については、コロナ禍で非正規雇用労働者等が利用しやすいように、本人収入要件や世帯収入要件などを緩和する特例措置を今年度末まで設けています。

 これらの特例措置については、本年一月の労働政策審議会で取りまとめられた報告の中で、令和四年度末まで延長すべきとされたことを踏まえて、現在、関係省令の改正等の手続を進めております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 田中健君。

    〔田中健君登壇〕

田中健君 国民民主党の田中健です。

 私は、会派を代表して、雇用保険法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)

 雇用保険制度は労使と国の共同事業であり、雇用保険は、失業者の急増などに対応するため、一定の失業給付の積立金を維持しつつ運営されてきました。積立額は、二〇一五年には約六・四兆円にまで達していましたが、二〇一七年、国庫負担割合を大幅に下げたことで、減少を続けました。さらに、コロナ禍の感染拡大により、雇用調整助成金支給増に伴い枯渇した雇用安定資金へ貸出しを行ったことで、二〇二二年度末の積立金推定額は五百億円と、ほぼゼロに近い状態です。そのような中で、失業等給付の国庫負担割合についての改正案が示されました。

 時限的に減らされていた国庫負担率を、本則の二五%に戻すのではなく、基本二・五%にするという改正法案では、二・五%が事実上の本則となり、運用され続けることが懸念されます。これは、従来の政府による雇用政策に対する責務の性格を変えているのではないかと疑問が生じます。

 失業等給付が支払われないという実態の対策のみをもって雇用政策の責務と考えているのでしょうか。雇用情勢及び雇用保険法の財政状況が悪化している場合は本則と同じ二五%とすると、機動的な対応が可能だといっていますが、その判断基準は基本手当の受給者が七十万人以上というものであり、近年では二〇〇九年度のリーマン・ショック時のみです。

 この間、二〇〇七年の雇用保険部会報告書において、失業は、政府の経済政策、雇用政策と無縁ではなく、政府もその責任の一端を担うべきであると。さらに、二〇一七年、二〇二〇年の衆参の厚労委員会の附帯決議でも、雇用保険の国庫負担については、早期に安定財源を確保し、本則に戻すこととされています。当然のことながら、附帯決議は与党も賛成をされたものです。

 失業等給付に係る国庫負担割合を現時点の二五%のまま維持することで、基盤整備を整えるべきであると考えます。積立金が一定額積み上がっているなど、雇用保険制度の運用に財源的な問題がないときは、負担率を二・五%にしても運営上の問題はありませんが、少なくとも財政が危機的な現状で国庫負担の割合の原則を事実上の二・五%と大幅に引き下げることについては疑問です。

 今回の決定に至った合理的かつ十分な説明とともに、見解を求めます。

 国庫負担が減る一方で労使の負担が増えるのでは、共同事業というにはほど遠いと言わざるを得ません。コロナ禍で厳しい経済状況にある中、雇用保険料の負担増の影響に配慮し、保険料率の抑制を図るべきと考えます。

 今回の労使の保険料率の引上げについての考えを伺います。

 また、改正法案の国庫負担では、枯渇した積立金が十分な額に達することは難しく、雇用保険の給付縮小も懸念をされています。二〇〇〇年、二〇〇三年の法改正では、基本手当の日額、給付日数の水準が引き下げられ、現在も回復に至っていません。

 基本手当の支給水準はどのようにして決められているのか、また、現在の水準が適当と考える説明を求めます。

 改正法案では、失業等給付の国庫負担割合の見直しとともに、新たな国庫繰入れ制度を導入することとしています。しかし、国庫繰入れをするための一定の要件しか規定がないため、機動的、実効性が担保されず、雇用保険制度に支障を来すおそれがあります。

 雇用保険部会で提言されたように、失業等給付や雇用調整助成金の支払いに支障が生ずるときなど、決算確定後の時点を問わずに、労働政策審議会の意見を聞き、必要な対応を可能とする運営体制を規定すべきと考えますが、見解を伺います。

 他方で、育児休業給付金の給付額も増加傾向にあり、二〇二〇年度では、受給者四十万人、支給金額六千四百億円以上に達しています。政府は育児・介護休業法を改正するなどして男女とも育休を取りやすい取組を進めている中、健全な保険財政の維持、確保のためには、国庫負担割合の見直しが必要と考えます。

 現在の一・二五%をまず本則の一二・五%に戻した上で、これまで被保険者でないために給付の対象でなかったフリーランスなどの個人事業主等も給付が受けられるよう、雇用保険によらない方式の育児休業給付制度を検討することで、フリーランスなどで働く者の子ども・子育てを広く支援し、我が国の喫緊の課題である少子化対策を更に強く、強力に進めるべきであると考えます。政府として、フリーランスの法的保護も重要な政策として掲げられていますが、見解を伺いまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣後藤茂之君登壇〕

国務大臣(後藤茂之君) 田中健議員の御質問にお答えいたします。

 国庫負担割合の考え方についてお尋ねがありました。

 雇用保険財政については、雇用情勢が良好に推移してきたこと等から暫定的に雇用保険料及び国庫負担の引下げを行ってきましたが、コロナ禍の対応により、極めて厳しい状況にあります。

 このため、令和三年度補正予算において、一般会計からの約二兆二千億円の繰入れを実施し、また、今般の法案において、保険料、国庫負担の両面から見直しを行ったところです。このうち、国庫負担については、雇用情勢や雇用保険の財政状況に応じた仕組みとするため、雇用情勢及び雇用保険財政が悪化したときには四分の一、それ以外のときには四十分の一とした上で、これに加えて、機動的に国庫からの繰入れを可能とする仕組みを常設化することとするものです。

 政府としては、雇用保険制度のセーフティーネット機能を果たすため、このような仕組みにより、雇用保険財政の安定的な運営を確保する必要があると考えております。

 次に、保険料率の引下げの考え方についてお尋ねがありました。

 雇用保険財政が極めて厳しい状況にある中、令和三年度補正予算において、一般会計からの約二・二兆円の繰入れを実施し、また、今般の法案において、保険料、国庫負担の両面から見直しを行ったところであります。

 このうち、失業等給付の保険料については、原則千分の八であるところ、令和四年度における激変緩和措置として、年度前半は現行の千分の二に据え置き、年度後半の十月から千分の六とするものです。

 次に、基本手当の水準の考え方についてお尋ねがありました。

 基本手当の支給水準については、失業期間中の生活保障と早期再就職の実現を両立させる観点から設定しております。平成十二年の制度改正では、就職支援の緊要度の高い、倒産や解雇等による離職者に対する給付の重点化を行うとともに、平成十五年の制度改正では、高賃金層の支給割合の見直しなどを行ったところです。

 今般の制度改正に当たっては、基本手当受給者の再就職状況等の指標について大きな変化が見られなかったことから、労働政策審議会での議論を踏まえ、現時点では改正を行わないこととするものです。

 次に、新たな国庫繰入制度の運用についてお尋ねがありました。

 今般の法案において新設する機動的な国庫繰入規定の運用に当たっては、労働政策審議会の報告書において、保険料の本則を超えた引上げが可能である弾力倍率一を下回る場合であって、雇用保険財政の悪化により積立金が不足し、失業等給付の支払いに支障が生ずるおそれがある場合等において、機動的な国庫繰入れにより対応すべき、厚生労働省においては、そうした場合には、同審議会に適切な時期に雇用保険財政等の状況を報告し、議論を行い、その意見を踏まえ、必要な対応を取るべきとの考え方が示されています。

 厚生労働省としては、こうした議論を踏まえつつ、適切に対応をしてまいります。

 次に、育児休業給付の国庫負担とフリーランスなどの子ども・子育て支援についてお尋ねがありました。

 今般の改正法案における育児休業給付の国庫負担については、令和六年度までは直ちに財源不足に陥る可能性が低いことを踏まえ、令和六年まで、国庫負担を本来の負担割合の一〇%としている暫定措置を延長する一方、財源不足のリスクに備えるため、失業給付の積立金からの借入れを継続することといたします。

 また、政府としては、出産や子育てに係る経済的負担を軽減するため、児童手当の支給、三歳から五歳までの幼児教育、保育の無償化、妊婦に対する健康診査など、様々な支援を実施しているところであり、今後とも、こうした支援策を組み合わせることにより、多様化する子育て家庭のニーズに応じた支援を進め、誰もが子供を産み育てやすい社会を目指してまいります。

 フリーランスで働く方の保護については、関係省庁と連携し、昨年三月に策定したフリーランスガイドラインの周知を図るとともに、フリーランスの契約上のトラブルなどについてワンストップで相談できる窓口を設置しており、引き続き、丁寧な相談対応を行ってまいります。(拍手)

議長(細田博之君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(細田博之君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣    古川 禎久君

       外務大臣    林  芳正君

       厚生労働大臣  後藤 茂之君

       国務大臣    二之湯 智君

 出席副大臣

       厚生労働副大臣 古賀  篤君


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