衆議院

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第13号 令和4年3月24日(木曜日)

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令和四年三月二十四日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第九号

  令和四年三月二十四日

    午後一時開議

 第一 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 博物館法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 人事官任命につき同意を求めるの件

 原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件

 公益認定等委員会委員任命につき同意を求めるの件

 公正取引委員会委員任命につき同意を求めるの件

 公認会計士・監査審査会委員任命につき同意を求めるの件

 公害等調整委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件

 中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件

 日本銀行政策委員会審議委員任命につき同意を求めるの件

 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件

 中央社会保険医療協議会公益委員任命につき同意を求めるの件

 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件

 原子力規制委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 日程第一 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 博物館法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(細田博之君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 人事官任命につき同意を求めるの件

 原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件

 公益認定等委員会委員任命につき同意を求めるの件

 公正取引委員会委員任命につき同意を求めるの件

 公認会計士・監査審査会委員任命につき同意を求めるの件

 公害等調整委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件

 中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件

 日本銀行政策委員会審議委員任命につき同意を求めるの件

 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件

 中央社会保険医療協議会公益委員任命につき同意を求めるの件

 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件

 原子力規制委員会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件

議長(細田博之君) お諮りいたします。

 内閣から、

 人事官

 原子力委員会委員

 公益認定等委員会委員

 公正取引委員会委員

 公認会計士・監査審査会委員

 公害等調整委員会委員長及び同委員

 日本放送協会経営委員会委員

 中央更生保護審査会委員

 日本銀行政策委員会審議委員

 労働保険審査会委員

 中央社会保険医療協議会公益委員

 社会保険審査会委員

及び

 原子力規制委員会委員長及び同委員に

次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申出があります。

 内閣からの申出中、

 まず、

 人事官に伊藤かつら君を、

 公益認定等委員会委員に生野考司君を、

 公正取引委員会委員に吉田安志君を、

 公認会計士・監査審査会委員に勝尾裕子君を、

 公害等調整委員会委員長に永野厚郎君を、

 同委員に加藤一実君を、

 日本放送協会経営委員会委員に大草透君を、

 中央更生保護審査会委員に岡田幸之君を、

 労働保険審査会委員に菅野淑子君を、

 社会保険審査会委員に遠藤真澄君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 原子力委員会委員に遠藤往子君を、

 公害等調整委員会委員に上家和子君を、

 日本放送協会経営委員会委員に明石伸子君及び堰八義博君を、

 原子力規制委員会委員に杉山智之君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 日本放送協会経営委員会委員に村田晃嗣君を、

 原子力規制委員会委員長に山中伸介君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 日本放送協会経営委員会委員に榊原一夫君を、

 労働保険審査会委員に室井純子君を、

 中央社会保険医療協議会公益委員に永瀬伸子君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 日本銀行政策委員会審議委員に高田創君及び田村直樹君を

任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第一 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第一、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長浜田靖一君。

    ―――――――――――――

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔浜田靖一君登壇〕

浜田靖一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、本案のうち、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律に関する部分は、最近における物価の変動、選挙等の執行状況等を考慮し、選挙等の円滑な執行を図るため、国会議員の選挙等の執行について国が負担する経費で地方公共団体に交付するものの基準を改定するものであります。

 次に、公職選挙法に関する部分は、基幹放送事業者におけるAM放送のFM放送への転換に伴い、FM放送の放送設備により政見放送をすることができることとするものであります。

 本案は、去る三月九日本委員会に付託され、翌十日に金子総務大臣から趣旨の説明を聴取し、十七日に質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第二、保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長薗浦健太郎君。

    ―――――――――――――

 保険業法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔薗浦健太郎君登壇〕

薗浦健太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、保険業を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、保険契約者等の保護を的確に行うため、生命保険会社が破綻した場合に生命保険契約者保護機構が行う資金援助等に関し、政府の補助を可能とする特例措置の期限を令和九年三月末まで五年間延長するものであります。

 本案は、去る三月十日当委員会に付託され、翌十一日鈴木国務大臣から趣旨の説明を聴取し、二十三日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 博物館法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第三、博物館法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長義家弘介君。

    ―――――――――――――

 博物館法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔義家弘介君登壇〕

義家弘介君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、博物館の設置主体の多様化を図りつつその適正な運営を確保するための措置を講ずるものであり、その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、博物館法の目的に、文化芸術基本法の精神に基づくことを追加すること、

 第二に、博物館登録制度を見直し、博物館の設置者を法人類型にかかわらず登録できることとするとともに、登録に当たっては、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究を行う体制等が、都道府県の教育委員会の定める基準に適合すること等を審査すること、また、博物館の設置者は、その運営の状況を定期的に都道府県の教育委員会に報告するとともに、都道府県の教育委員会は、博物館の適正な運営を確保するため必要がある場合等において、博物館の設置者に対して報告徴収及び勧告等を行うことができること、

 第三に、博物館の事業として、博物館資料の電磁的記録の作成等を追加するとともに、博物館は、他の博物館等と相互に連携協力するよう努めるものとすること

などであります。

 本案は、去る三月十五日本委員会に付託され、翌十六日末松文部科学大臣から趣旨の説明を聴取しました。二十三日質疑を行い、同日質疑を終局した後、採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(細田博之君) この際、内閣提出、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部科学大臣末松信介君。

    〔国務大臣末松信介君登壇〕

国務大臣(末松信介君) この度、政府から提出いたしました教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 グローバル化や情報化の進展により、社会の在り方そのものが急速に変化する状況が生じつつあり、教育をめぐる状況の変化も速度を増しております。このような中で、教師自身も高度な専門職として新たな知識、技能の修得に継続的に取り組んでいく必要が高まっています。また、平成二十八年の教育公務員特例法の改正により、文部科学大臣が定める指針を参酌した上で、教育委員会が教師の資質の向上に関する指標を定め、当該指標に基づく教員研修計画を定めることとされており、各地域の課題やニーズに応じた体系的な研修の実施が図られるようになるとともに、教師についてもオンライン化された学びが新型コロナウイルス感染症に対する対応を契機に急速に広まっております。

 このような社会的変化、学びの環境の変化を受け、教師の学びの在り方もまた変化することが必要であり、令和の日本型学校教育を実現する新たな教師の学びの姿として、主体的な学び、個別最適な学び、協働的な学びなどが求められているところです。

 この法律案は、校長及び教員の資質の向上のための施策をより合理的かつ効果的に実施するため、公立の小学校等の校長及び教員の任命権者等による研修等に関する記録の作成並びに資質の向上に関する指導及び助言等に関する規定を整備し、普通免許状及び特別免許状の更新制を発展的に解消する等の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、公立の小学校等の校長及び教員の任命権者は、校長及び教員ごとに研修等に関する記録を作成しなければならないこととするとともに、指導助言者は、校長及び教員に対し資質の向上に関する指導助言等を行うものとしております。また、指導助言等を行う場合、校長及び教員の資質の向上に関する指標及び教員研修計画を踏まえるとともに、当該記録に係る情報を活用するものとしております。

 第二に、普通免許状及び特別免許状を有効期間の定めのないものとし、更新制に関する規定を教育職員免許法から削除することとしております。あわせて、本法律案の施行の際に現に効力を有し、本法律案による改正前の規定により有効期間が定められた普通免許状及び特別免許状には、本法律案の施行日以後は有効期間の定めがないものとする等の経過措置を講じることとしております。

 第三に、普通免許状を有する者が他の学校種の普通免許状の授与を受けようとする場合に必要な最低在職年数について、当該年数に含めることができる勤務経験の対象を拡大するとともに、主として社会人を対象とする教職特別課程について、その修業年限を一年以上に弾力化することとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(細田博之君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。荒井優君。

    〔荒井優君登壇〕

荒井優君 立憲民主党の荒井優です。

 私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 まず冒頭、ウクライナの情勢は日ごとに厳しくなっています。ロシアによる侵略行為は断じて許されず、即時撤退を求めます。

 昨日のゼレンスキー大統領の演説は胸を打ちました。経済の制裁、そして復興に、日本としてもしっかりと尽くしていきたい、そういうふうに思いました。

 また、ウクライナから避難した子供は既に百五十万人を超え、人身売買のリスクにさらされているとの報道もあります。政府においては、ウクライナからの避難民、特に子供たちの受入れを早急に現実にすることを求めます。

 また、三月の十六日、福島県沖を震源とする最大震度六強の強い地震が発生いたしました。亡くなられた方にお悔やみを申し上げ、被害に遭われた方、そして今復旧復興に携わられている方に、お見舞い、そして心強く支援をしていきたい、そういうふうに思っております。

 まさに十一年前の東日本大震災でした、私が教育の可能性、学校の可能性を知ったのは。二〇一二年の十二月に、福島県双葉郡の八名の教育長を中心に双葉郡教育復興に関する協議会が立ち上がり、私自身もその委員に加えていただきました。この取組は、二〇一五年の四月に、福島県立ふたば未来学園高校として、その開校に結びつきます。

 その半年後に、札幌で、一つの私立高校が経営難に陥ります。そこは六十年前に私の祖父が創立した学校でもありましたので、経営再建のために理事長を引き継いだ父から、校長をできないかとの相談がありました。東北の復興も道半ばだったので悩んでいた私の背中を押してくださったのは、福島県大熊町の名物教育長であった武内敏英先生でした。

 潰れかけた、また札幌でも決して評判の高くはない札幌新陽高校の校長に四十歳で着任し、ただ生徒一人一人の存在を認め、本気で挑戦することの大切さを伝え続け、そして、わくわくする学校をつくり続ける五年間をすることで、今では、奇跡の学校として全国紙でも特集されるようになりました。

 そして、今、私は、衆議院、参議院を通じて、与野党を通じて唯一の校長出身の国会議員として、この壇上にて、未来をつくるために質問させていただきます。

 そこで、末松文部科学大臣にお尋ねいたします。

 教員免許更新制、これは、幼小中高の教員免許状に十年の期限を設け、更新するものと法で定めています。三十時間以上の研修が義務づけられ、約三万円の講習費用も受講者本人の自己負担。

 この制度は、学校の現場でも大変問題になってきました。

 私が校長をした学校でも、先生たちの全ての教員免許の発行年月日を確認し、研修受講を促し、受講状況を確認するという作業を毎年毎年しなくてはいけない、先生たちも、日々の業務が忙しい中、何とか時間をやりくりして確保して研修を受けている、そういう状況でした。

 全国、どの教育委員会や私立学校でも同様のことを毎年やってきましたが、それでもうっかり失効が起きてしまいます。五十代の先生が新卒扱いになったり、失職するケースもあったと伺っています。さらには、教員免許は取っても期限があるので永久的な資格の方がよいと、教員免許そのものを目指す大学生が減ることにもつながったと言われています。

 この教員免許更新制度が、本法案により廃止いたします。この制度に十年以上翻弄されてきた学校現場の教員や事務方に対して、末松文科大臣はどのように向き合われますでしょうか。

 続いて、末松大臣と鈴木財務大臣に伺います。

 一九七一年の第三次佐藤内閣において、いわゆる給特法が成立します。公立学校の教員には、時間外勤務手当などを支給しない代わりに、給料月額の四%、これは当時の平均残業時間八時間に相当しますが、それを教職調整額として支払うことが定められました。

 しかし、それから五十年、教員の働く時間は増加の一途をたどり、今では、平成二十八年度の教員勤務実態調査等を踏まえ推計すると、小学校で五十九時間、中学校では八十一時間となります。既に実態と合っていないんです。

 一方で、私立学校は、当初から給特法の適用外。ゆえに、民間企業同様に、労働基準法に基づき、三六協定を結び、時間外手当などを払わなければいけません。しかし、実態は、公立学校に準拠した就業規則がまかり通っていて、長らく公立と変わりませんでした。

 私が校長を務めた高校でも同様です。

 二〇一八年、第四次安倍内閣にて働き方改革関連法案が成立するタイミングに合わせ、半年で状況を整備し、今では、法の趣旨にのっとって時間管理、時間外手当などを払って、しっかりと経営しています。これまで当たり前とされてきた教員の仕事の一つ一つの在り方を先生たちと一緒になって見詰め直すきっかけになったと思います。これこそが働き方改革の真骨頂のはずだと感じています。

 そのときから、なぜ私立学校でできる働き方改革が公立の学校でできないかといえば、それはきちんと時間外手当を支払う予算措置をしていないからじゃないかと感じてきました。令和元年の給特法改正にて、教員の時間管理をしたり変形労働制を導入する、ますます公立学校の現場のマネジメントは複雑になってきていますが、肝腎の予算の措置はされませんでした。

 国は、人づくりが根幹です。ほかの公務員には支払われる時間外手当などがなぜ教育公務員には支給されないのか、今後も支給される考えはないのか、鈴木財務大臣及び末松文科大臣にお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 続いて、末松文科大臣にお尋ねします。

 教育免許更新制は、第一次安倍内閣の肝煎りの政策でした。

 教育再生を最優先の課題とし、二〇〇六年九月に内閣総理大臣に着任した安倍総理は、総理直属の教育再生会議を設置します。教育再生会議は、二〇〇七年一月に、不適格教員に免許を持たせないことを目的の一つとする教員免許更新制の導入を盛り込んだ一次報告書をまとめます。この一文は文科省の中教審では教員の能力向上と置き換わりますが、二〇〇七年六月には法案として成立します。

 実は、この法案が施行されたのは、二〇〇九年の民主党鳩山内閣です。学校の先生たちには、民主党が始めたこととして勘違いされていらっしゃる方が多いと聞きますが、そうではないんです。

 一方、民主党の鳩山内閣においては、二〇一〇年三月に高校無償化法が成立し、翌四月に施行されました。

 これは、政権交代を実現した民主党政権の目玉の法案で、高校の授業料に対し国が支援金を支払う仕組みです。私立高校についても世帯年収に応じて適用され、私が校長を務めた私立高校に通う生徒、ほとんどの子供もこの法律によって通学ができていると言えます。その昔は、私立高校はお金持ちの子供が通う学校でしたが、今では、この法案により、保護者の年収によらず自ら選ぶことができる学校が私立高校になったわけです。その多くの私立学校が、今、日本の学校教育の変革を担っています。

 当時の野党からはばらまきと批判されてきたと聞きますが、しかし、今振り返ってみてはどうなんでしょうか。コンクリートから人へとうたった民主党の政策は、十年たった今でも色あせるどころかさんさんと輝いていると思いますが、いかがでしょうか。

 教員免許更新制度と高校無償化、今から十年ほど前に二つの法案が実現し、それは時の政権を代表する政策でもありましたが、末松文科大臣は、民主党政権が実現し、そして今でも続く高校無償化法をどのように評価なさいますか。

 学力格差が広がり定着し、不登校の児童生徒数が毎年増加しています。八年連続で増加という現実がある。若者が希望を見出せていません。世界九か国の十八歳の意識調査では、自分を大人だと思う日本の若者は三割、国の将来はよくなると思う日本の若者は一割、全ての項目で日本の若者は世界九か国の中で最下位になります。

 我が国の学校や教育には課題がたくさんあるんじゃないでしょうか。

 これは、学校や教育、そして次の世代たちに思いを寄せてこなかった日本の政治に原因があるとは思っていますが、末松文科大臣はこれをどのように解決されていかれますか。

 また、今国会では、子供政策を一元的に扱うこども家庭庁が議論されています。この新しい役所ができると、本当に子供の教育を取り巻く課題が解決されるのでしょうか。御担当の野田こども政策担当大臣、いかがでしょうか。

 校長時代に、北海道のとある地域で学校の説明会をいたしました。終わってから、一番後ろで聞いていた御両親と中学校の制服に身を包んだお嬢さんが前に来られて話をされました。

 そのお父さんがこうおっしゃったんです。一人娘のこの子は、中学校三年生だが、不登校で、ほとんど三年間中学校に通ってこられなかった。高校に進学することはもうすっかり諦めていたけれども、今回、荒井校長先生の話を聞き、高校の話を知って、本人が、初めて、この高校だったら通ってみたい、そういうふうに言ったので、今日は家族で話を聞きに来ました。我が家は農家をしているが、この子が、地域でこの先も育って、この田畑を受け継いでくれるとは今は思えない。それならば、先祖伝来の農地を売ってでも、家族で札幌に行き、娘を高校に通わせ、自分たちは別の仕事を探した方がいいんじゃないか、そういうふうに考えています。そういうふうにおっしゃられました。

 何かがおかしいと思いませんか。私は、日本の教育を立て直す、よりよくするために国会議員になりました。

 日本の教育を復興し再建していくのは、チルドレンファーストをうたう私たち立憲民主党であるとお約束し、私からの質問を終わります。

 どうもありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣末松信介君登壇〕

国務大臣(末松信介君) 荒井議員にお答え申し上げます。

 まず、教員免許更新制についてお尋ねがございました。

 教員免許更新制は、教師の学びの機会の拡大、大学による教師の資質、能力の向上に対する関与の拡大、良質な学習コンテンツの形成など、一定の成果を上げてきたものとは認識しております。

 一方で、十年に一度の講習は、常に最新の知識、技能を学び続けていくことと整合的でないといった課題のほか、教師に時間的、金銭的な負担がある等の声もあったことを承知いたしております。

 今回提出した法案では、グローバル化などの社会変化やオンライン化の進展等による研修環境の変化、教員免許更新制の成果、課題を総合的に踏まえ、個々の学校現場や教師のニーズに即した新たな研修システムによってこれからの時代に必要な教師の学びを実現させることとし、これに伴い、教員免許更新制を発展的に解消することといたしました。

 これによりまして、文部科学省として、教師の資質向上に資する研修環境の整備を進めてまいります。

 次に、給特法についてお尋ねがございました。

 公立学校の教師の処遇を規定している現在の給特法の仕組みでは、教師の職務は、自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きく、どこまで職務であるか切り分け難いという特殊性等を踏まえ、時間外勤務手当を支給しない代わりに、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給しています。

 一方、給特法制定から半世紀が経過し、教師に求められる仕事の内容も変化しております。また、平成二十八年度に実施した調査においても、法制定当時の想定を大きく超える長時間勤務の実態が明らかになっております。これらを踏まえ、令和元年に法改正を行い、教師の勤務時間の上限等を定める指針を策定するなど、学校の働き方改革に取り組んでいるところであります。

 今後、こうした働き方改革の様々な取組と成果等を踏まえつつ、令和四年度に勤務実態調査を実施し、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定です。その結果等を踏まえ、給特法等の法制的な枠組みを含め検討いたしてまいります。

 次に、高校無償化についてお尋ねがございました。

 子供たちの誰もが希望する質の高い教育を受けられる環境を整備することは重要であると認識をしております。このために、教育の機会均等に関わる施策をより一層進めていくことが必要でございます。

 こうした観点から、議員御指摘の高校就学支援金制度は経済的負担の軽減に資するものと考えております。平成二十六年度に所得制限を設けることで捻出した財源を有効活用することで、私立高校等へ通う生徒へ就学支援金の加算拡充、授業料以外の教育費の支援である高校生等奨学給付金の創設等の見直しを行い、低所得者世帯への支援を拡充することで、より機会均等に資する制度となっていると評価をいたしております。

 文部科学省としては、今後とも、恒久的な財源をしっかり確保し、教育費の負担軽減に向けて取り組んでまいります。

 次に、我が国の学校や教育についてのお尋ねが先生からございました。

 子供は国の宝であり、教育は国の礎でございます。宝である子供たちを誰一人残さず、次代を生きるために必要な学力を身につけさせていくこと、きめ細かい教育相談体制の強化や多様な教育機会の確保、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことは極めて重要でございます。

 こうした観点から、文部科学省としては、GIGAスクール構想、小学校における三十五人学級の計画的な整備や高学年の教科担任制の推進等を通じた個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実、スクールカウンセラー等の配置の充実による教育相談体制の強化や教育支援センターの設置促進、社会の形成に主体的に参画する力を育む主権者教育などを推進してきているところでございます。

 もちろん、先生御指摘のとおり、まだまだ解決すべき課題は多くございます。子供たちが希望を持てる社会を実現し、そうした社会へ自信を持って子供たちが羽ばたいていけるように、引き続き教育の更なる充実に全力を尽くしてまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣鈴木俊一君登壇〕

国務大臣(鈴木俊一君) 荒井優議員の御質問にお答えいたします。

 公立学校教員に対する時間外手当についてお尋ねがありました。

 公立学校の教員については、いわゆる給特法において、教員の職務の特殊性等から、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに、教職調整額を支給するものであると理解しております。

 その上で、今後につきましては、現在の勤務実態を追認することなく、教員の働き方改革を進めることが重要であると考えております。

 令和四年度予算においても、教員の事務負担を軽減するための外部人材活用等に係る予算を計上し、教員が授業等に注力できる環境を整備することとしております。

 また、文部科学省においても、行事の精選や業務の役割分担の見直しなど、各教育委員会宛てに改めて働き方改革の徹底に係る通知を発出したと承知しております。

 引き続き、文部科学省において、こうした予算なども適切に活用し、教員の働き方改革を推進されることを期待いたしております。(拍手)

    〔国務大臣野田聖子君登壇〕

国務大臣(野田聖子君) こども家庭庁創設の意義についてお尋ねがありました。

 子供をめぐる課題は、議員御指摘の不登校はもとより、児童虐待、いじめ、貧困、少子化等、複雑化し多岐にわたっており、多くの省庁が関わっております。このため、各省庁より一段高い立場から子供政策を推進する司令塔機能が重要となっており、今国会にこども家庭庁設置法案を提出いたしました。

 こども家庭庁では、子供の権利利益の擁護や児童福祉に関する事務を一元的に所管するとともに、関係省庁に対して、子供の視点に立ち、内閣総理大臣のイニシアチブの下、政府部内の総合調整を行うこととしています。

 子供の教育を取り巻く課題に対応するためには、教育など学びに係る行政と児童福祉などの育ちに係る行政とが密接に連携することを通じて、政府全体としての施策の充実、質の向上を図ることが重要です。

 全ての子供が健やかに成長することができる社会の実現に向けて、子供たちのため、そして社会全体への未来の投資であるとの認識を持って、財源を確保しつつ、取り組んでまいります。(拍手)

議長(細田博之君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(細田博之君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣    金子 恭之君

       法務大臣    古川 禎久君

       財務大臣

       国務大臣    鈴木 俊一君

       文部科学大臣  末松 信介君

       厚生労働大臣  後藤 茂之君

       環境大臣    山口  壯君

       国務大臣    小林 鷹之君

       国務大臣    野田 聖子君

       国務大臣    松野 博一君

       国務大臣    山際大志郎君

       国務大臣    若宮 健嗣君

 出席副大臣

       文部科学副大臣 池田 佳隆君


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