衆議院

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第17号 令和4年4月5日(火曜日)

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令和四年四月五日(火曜日)

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  令和四年四月五日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(細田博之君) これより会議を開きます。

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 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(細田博之君) この際、内閣提出、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣萩生田光一君。

    〔国務大臣萩生田光一君登壇〕

国務大臣(萩生田光一君) 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減目標の実現のためには、我が国のエネルギー構造を需給両面から転換していかなければなりません。まず、需要側においては、徹底した省エネを進めるとともに、非化石エネルギーへの転換や電気の需給状況の変動に応じた電気の需要のシフトを図る必要があります。次に、供給側においては、再エネの更なる導入拡大を進めるとともに、水素等の脱炭素燃料の利用促進や二酸化炭素の回収、貯蔵等の脱炭素技術の社会実装、太陽光や風力発電設備等に不可欠なレアメタル等の権益確保を図る必要があります。加えて、こうしたエネルギー需給構造の転換を進める中でも、安定的なエネルギー供給の確保は大前提であり、十分な供給力、調整力の確保や電力システム柔軟性向上のための制度整備も必要です。こうした状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 まず、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部改正です。

 第一に、エネルギーの使用の合理化の対象に非化石エネルギーを追加し、エネルギー全体の使用の合理化を求める措置を講じます。

 第二に、非化石エネルギーへの転換を促進するため、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対し、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期的な計画の策定等を求めます。

 第三に、電気の需給状況の変動に応じた電気の需要のシフトを図るため、現行の電気の需要の平準化を電気の需要の最適化に見直し、事業者の取組に関する指針を整備する等の措置を講じます。

 次に、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法及び鉱業法の一部改正です。

 第一に、再生可能エネルギーの導入促進のため、機構の業務に、海外の大規模地熱発電等の探査事業に対する出資業務と洋上風力発電のための調査業務を追加します。

 第二に、水素等の脱炭素燃料の利用促進のため、水素等を非化石エネルギー源として位置づけ、一定規模以上のエネルギーを供給する事業者に対して水素等を含むエネルギー源の環境適合的な利用の目標に関する計画の作成等を求めるとともに、機構の業務に、水素等の製造や貯蔵等を行う事業に対する出資業務等を追加します。

 第三に、二酸化炭素を回収、貯蔵する技術の利用促進のため、一定規模以上の電気を供給する事業者に対して当該技術を用いた火力発電の利用を含むエネルギー源の環境適合的な利用の目標に関する計画の策定等を求めるとともに、機構の業務に、二酸化炭素の貯蔵等を行う事業に対する出資業務等を追加します。

 第四に、レアメタル等を安定的に供給するため、機構の業務に、国内におけるレアメタル等の選鉱、製錬事業に対する出資事業等を追加するとともに、レアアースを鉱業権の設定対象に追加します。

 また、これら機構の業務追加を踏まえ、機構の名称を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構に改めます。

 次に、電気事業法の一部改正です。

 第一に、発電所の休廃止が増加する中、電気の安定供給に必要な供給力を確保するため、発電所の休廃止について事後届出制から事前届出制に改めるとともに、経済産業大臣と広域的運営推進機関が連携し、国全体の供給力を管理する体制を強化します。

 第二に、電力システムの柔軟性向上のため、脱炭素化された供給力、調整力として導入が期待される大型蓄電池を発電事業に位置づけるとともに、蓄電池の系統への接続環境を整備します。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

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 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(細田博之君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。石川昭政君。

    〔石川昭政君登壇〕

石川昭政君 自由民主党の石川昭政です。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 まず冒頭、ロシア軍によるウクライナ侵略で戦火の犠牲になられた全ての方々に心より哀悼の意を表します。

 ロシア軍が撤退したキーウ近郊の都市ブチャでは、罪のない民間人が多数犠牲となり、正視に堪えない惨状が明らかとなりました。

 ロシア軍によるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更であり、北方領土を不法占拠されている我が国としても断じて許すことはできません。国際秩序を揺るがす暴挙を止めるために、政府には、関係諸国と一致結束して、ロシアに対し最大限の圧力をかけ続けるよう求めます。

 ロシアのウクライナ侵略は、エネルギー安全保障にも大きな課題を投げかけました。ロシアを中心とした地政学リスクにより、エネルギー市場の安定と世界経済を根底から揺さぶった今回の事態が我が国に突きつけたのは、エネルギーは安定供給こそ最優先であり、脱炭素に向けたトランジションを進めるに当たっても、リアリズムに基づき進めなければならないという教訓です。

 欧州でも、エネルギー安全保障に重点を置いた政策転換が起こっています。我が国においても、脱炭素に向かいながらも、バランスの取れた、現実的で、したたかなエネルギー戦略が何より重要だと考えますが、経済産業大臣の御見解を伺います。

 エネルギーをめぐる世界情勢は混迷を深め、不確実性がますます高まる中、省エネを進めつつ、非化石エネルギーへの転換を図ることでエネルギー面でも強靱性を高めていくことは重要であり、今回の法案の措置の必要性は十分に理解できます。

 今回の法案では、エネルギーの需要側である企業に対して非化石エネルギーへの転換を求めていくこととしていますが、非化石エネルギーへの転換と産業競争力の強化が両立するような制度とすべきです。経済産業大臣の御見解を伺います。

 一方、非化石エネルギーが必ずしも豊富かつ安価に供給されていない現状において、企業等が安心して非化石エネルギーへの転換に取り組んでいくには、政府が前面に立ち、安価で安定的な非化石エネルギーの供給拡大に汗をかく姿勢を示すべきです。経済産業大臣の意気込みを伺います。

 CO2を地下に貯留するCCSは、広く海外でも商業ベースで活用されています。私は、米国テキサス州で実施されているペトラノバCCUSプロジェクトを視察し、その技術や法整備等に注目してきました。

 今回の法案では、CCUSの開発支援を追加することとしていますが、将来の予見可能性を高めるため、国内法整備や優遇措置などを早期に設けるべきだと考えますが、経済産業大臣の見解を伺います。

 資源、燃料価格が高騰し、国民生活にも大きな影響を及ぼしています。政府は、資源外交の再構築を進め、IEAやアジア等の主要消費国と連携して産油国等に対する増産の働きかけを継続するとともに、十分な生産能力を確保するために上流投資の拡大を促すべきです。

 その上で、資源に乏しい我が国が、将来の脱炭素燃料である水素、アンモニアへの投資を強化し、エネルギー源の多角化、分散化を進めていくことが重要であることは論をまちません。EVや蓄電池等に不可欠なレアアースやレアメタルの安定供給にも取り組むべきです。本法案によってこの課題に具体的にどのように対応していくのか、経済産業大臣の答弁を求めます。

 電気は、国民生活や産業活動を支えるものであり、必要なときにいつでも手頃な価格で使えなければなりません。しかし、三月二十二日には史上初となる電力需給逼迫警報が出されるなど、現在の電力供給体制の課題も浮き彫りになりました。いざというときにも大丈夫なように、供給力を抜本的に強化していくことが喫緊の課題と考えます。

 本法案では、電気の安定供給を確保するために、電源の休廃止について、現行の事後届出から事前届出へ変更することとしていますが、そのような措置だけで十分でしょうか。今年の夏と来年の冬も電力需給が逼迫するのではないかと危惧しております。国が責任を持って供給力を確保するための具体的な取組について、経済産業大臣の見解を伺います。

 最後に、今まさに国家存亡の危機に瀕するウクライナの国歌の最初の一節に、ウクライナは滅びず、その栄光も自由さえもという歌詞があります。繰り返し他民族の侵略を受けては果敢にはね返してきたウクライナ国民の自由と独立への強い思いが込められています。今まさに、来日を希望している避難民二十人が、総理特使の林外務大臣とともに、日本に到着したところです。受入れ体制を万全にしてお迎えできるように政府に対応を求め、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣萩生田光一君登壇〕

国務大臣(萩生田光一君) 石川議員からの質問にお答えします。

 ロシアのウクライナ侵略を踏まえた我が国のエネルギー戦略についてお尋ねがありました。

 我が国の国際競争力維持強化と国民生活の向上の観点から、エネルギー政策において、SプラススリーE、すなわち、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合のバランスを取ることが最重要課題です。

 今回のウクライナ情勢を受けて、すぐに使える資源が乏しく、自然エネルギーを活用する条件が諸外国と異なる我が国において、エネルギーの安定供給の確保の重要性を改めて認識しました。

 SプラススリーEの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在しないことや、今後の技術革新などの不確実性を踏まえれば、特定のエネルギー源に頼るのではなく、再エネ、原子力、火力、水素、CCUSなど、あらゆる選択肢を追求することが重要です。

 脱炭素に向けた取組を進める中にあっても、我が国の置かれた状況を冷静に受け止め、現実的でバランスの取れたエネルギー政策を進めてまいります。

 非化石エネルギーへの転換と産業競争力の強化の両立についてお尋ねがありました。

 非化石エネルギーへの転換に当たっては、技術やコスト面での制約や業種ごとのエネルギー使用実態の違いなどを踏まえて、事業者の過度な負担とならない制度を構築することが重要です。

 このため、省エネ法改正案では、全事業者に対して一律の非化石エネルギーの使用目標を課すのではなく、経産大臣が示す判断基準に沿って、事業者ごとに、非化石エネルギーの使用割合向上の定量的な目標を設定していただき、その達成を求めるものとします。

 このように、各事業者の創意工夫を促す制度とすることによって、産業競争力の強化と両立しながら、非化石エネルギーへの転換を進めてまいります。

 非化石エネルギーの供給拡大についてお尋ねがありました。

 二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度四六%削減目標の実現に向けては、SプラススリーEのバランスを取り続けることを大前提に、非化石エネルギーの拡大が重要です。

 そのため、再エネ海域利用法に基づく洋上風力の導入拡大等を通じて、再エネの最大限導入を進めるとともに、安全最優先の原発再稼働に向け、国も前面に立ち、立地自治体など関係者の理解や協力を得られるよう粘り強く取り組み、水素、アンモニアの導入拡大に向け、社会実装に向けた技術開発や国際サプライチェーンの構築を進めるなど、政府も前面に立ち、官民一体となって取組を進めてまいります。

 CCSの利用促進に当たっての国内法整備や優遇措置の検討に関するお尋ねがありました。

 CCSは、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するための鍵となる技術です。その事業化に向けては、コスト低減や適地開発、事業環境整備といった課題があります。

 こうした課題について、本年一月から有識者によるCCS長期ロードマップ検討会を開催し、議論を行っています。

 その中で、多くの有識者から、CCS事業開始のため、地下を掘り二酸化炭素を貯留するという事業リスクを減らすべく、国内法を早期に整備すべき、欧米などCCS先進国での手厚い政府支援の仕組みを検討すべきとの意見をいただいています。

 今後、こうした事業環境整備に関する課題と方向性について、具体的な検討を進め、年内のロードマップ策定に向け、早期に方向性を示していきたいと考えています。

 資源、燃料価格の高騰に対する本法案による対応についてお尋ねがありました。

 今般のウクライナ情勢によるエネルギー危機に対応しながら、脱炭素化を実現していくためには、今後、必要な化石燃料の安定供給に加え、化石燃料の代替となる水素、アンモニアといった脱炭素化燃料の供給支援、再エネ発電や蓄電池の製造に必要なレアメタル、レアアース等の国内製錬の支援に取り組んでいくことが必要です。

 こうした取組を盛り込んだ本法案を通じて、資源、燃料のサプライチェーンの強靱化や供給源の多角化を実現してまいります。

 電源の休廃止の事前届出制についてお尋ねがありました。

 電力自由化の進展や脱炭素化の流れを背景に、火力発電の休廃止が増加しています。電力需給の安定のためには、規制、支援の両面で、電源の過度な退出を防ぐことが必要です。

 今回の法改正では、発電所の休廃止届出について、事後から事前に変更します。

 これにより、時間的余裕を持って、追加供給力の公募など、必要な対策を併せて講じることが可能となります。

 こうした取組に加え、容量市場の適切な運用や、送配電網を計画的に整備するためのマスタープランの策定などにも取り組みます。今後も、あらゆる対策を組み合わせて、電力の安定供給をしっかり確保してまいります。(拍手)

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議長(細田博之君) 山崎誠君。

    〔山崎誠君登壇〕

山崎誠君 立憲民主党、山崎誠です。

 会派を代表いたしまして、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 ロシアによるウクライナ侵略が続いています。ロシア軍による虐殺行為、また、地雷が設置されたとの報道もありました。ウクライナ国民の命を奪う、そして長きにわたり命を危険にさらすロシアの卑劣な軍事行動に対し厳しく非難するとともに、一刻も早い軍事行動の停止と、ウクライナ国民の平和と安全確保を強く強く求めます。

 本題に入ります。

 気候危機への対応、化石燃料の高騰、ロシアによるウクライナ侵略、福島県沖地震に端を発する電力需給逼迫など、エネルギー政策の抜本的な見直しを迫る事態が発生しています。

 三月十六日に発生した福島県沖地震により六基の火力発電所が停止、悪天候により太陽光発電の発電量が減少、気温低下に伴う電力需要の増加などが重なり、三月二十一日に電力需給逼迫警報が初めて発出されました。

 また、国民の生活や産業への影響の大きい資源価格、電力料金の高騰は、長期化、恒常化することが懸念されるところであります。

 エネルギー政策には、データに基づく科学的分析が不可欠です。今般の電力需給逼迫の原因の検証とその結果の公表、また、資源価格、電力料金の高騰に係る情報の公開が必要と考えますが、経産大臣に対応についてお伺いいたします。

 エネルギーをめぐる諸課題に対して、短期的には、国を挙げての省エネ、節電の取組の強化、加速化、需要家を取り込んだ需給調整の推進を実現すべきと考えます。あわせて、自家発電など全ての発電設備を加味したバックアップ体制の整備、揚水発電の更なる有効活用、地域間の電力融通ルールの見直し、余裕を持って節電要請を発出できる体制の整備などに取り組む必要があります。

 問題は、中長期的な取組です。

 気候変動対策として、また、エネルギーコスト、エネルギー安全保障の観点から、目指すべきは省エネルギーの推進と再生可能エネルギーへのシフト、このことに異論はないと思います。

 世界では、コロナ禍からの経済再生を、環境への投資、すなわち再生可能エネルギーの導入や省エネへの投資で実現しようというグリーンリカバリーが進んでいます。再生可能エネルギーへのエネルギー転換は、世界の投資が集中する成長分野であります。この分野にシフトすることが、真っ当な経済政策であり、産業政策ではないでしょうか。

 一方、日本の再生可能エネルギー導入は頭打ちとなっています。太陽光パネルや風力発電設備などの分野で競争力のあった日本企業は、今や世界市場からその姿を消しています。

 明確なエネルギー転換のビジョンを示すことなく、化石燃料や原子力への依存を続けようとする政府のどっちつかずの間違った方針が原因ではないでしょうか。今こそ、政治の意思として、再生可能エネルギーへのシフトの実現に向けて、再エネ導入の高い目標を示し、国を挙げてその実現に取り組むべきときです。この点、経済産業大臣にお考えをお伺いいたします。

 省エネについては、建物の断熱性能向上や産業における省エネ設備への転換など、できること、やるべきことはたくさんあります。省エネは、エネルギーコストの低減、日本の産業界の課題である生産性向上に直結します。省エネ分野への投資を応援する施策こそ、最優先で実施すべきと考えます。

 立憲民主党は、エネルギー転換戦略として、省エネの深掘りについて、二〇一三年比、二〇三〇年で三〇%減、二〇五〇年には六〇%減の目標を掲げ、ロードマップを作成しています。建物の断熱性能のアップ、設備更新時の高効率機器への切替えなど省エネ効果の高い施策を優先順位をつけて実施することで目標の達成が可能であることは検証済みです。

 省エネの現状とポテンシャルについて、環境大臣にお尋ねをいたします。

 また、特に遅れている建物の断熱化についてどのように進めていくのか、国交大臣にお伺いをいたします。

 今後、省エネ全般についてどのように推進をしていくのか、経産大臣にもお尋ねをさせていただきます。

 再生可能エネルギーは、その安全性、経済性、CO2を排出しないなど、次世代を支える理想的なエネルギーです。コストが高い、不安定であるといった点は、既に問題ではなくなっております。化石燃料の高騰が続く今、最も安く、安定したエネルギーが再生可能エネルギーであることは明らかであります。

 太陽光発電の発電量が天候の事情で減少したことを捉えて、再生可能エネルギーは頼りにならないなどといった主張がなされることがあります。これは誤りです。再生可能エネルギーは、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電など様々なエネルギーを組み合わせてバランスよく導入することで、全体として安定した電源となります。問題は、日本の場合、太陽光発電に偏って、風力発電などが伸びていないことにあると考えるべきです。

 この太陽光発電偏重の現状をどのようにお考えでしょうか。経産大臣にお尋ねをいたします。

 再生可能エネルギーをバランスよく導入し、あわせて、劇的な技術革新があり、コストも低下をしている蓄電池の導入を併せて進めれば、再生可能エネルギーの比率を八〇%、九〇%に高めていくことは可能です。これは、世界が目標としているエネルギー転換の姿と言えます。

 政府が掲げる再生可能エネルギー導入目標の妥当性について、経産大臣にお伺いいたします。

 再生可能エネルギーの導入は、地域分散ネットワーク型の新しいエネルギー社会につながります。再生可能エネルギーの導入を地域主導で進めることで、地域でお金が回る、新しい地産地消の経済を実現することができます。疲弊する地方を元気にすることができるのであります。まさにこうした点に着目して、環境省には再生可能エネルギー導入を応援していただいています。

 環境省の再生可能エネルギーに対する考え方、再生可能エネルギー導入支援の取組を御紹介ください。環境大臣、お願いいたします。

 立憲民主党は、エネルギー転換戦略として、電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を二〇三〇年には五〇%以上、二〇五〇年には再生可能エネルギー一〇〇%でのカーボンニュートラルを目指すロードマップを作成して、その実現に必要な政策パッケージを提案してまいります。省エネと組み合わせて、二〇三〇年には二〇一三年比でCO2の五五%以上の削減を目指します。

 電力が足りない、化石燃料が高騰している、だから原発再稼働が必要だといった声が上がっています。

 いかなる事情があっても原子力発電については安全を最優先するという東京電力福島第一原発事故の教訓から逸脱することがあってはなりません。あの原発事故から十一年、事故はまだ終わっておりません。多くの避難者の皆さんは、いまだに被災の中にいるのであります。

 そもそも、原子力発電は、火力発電と同様、地震に遭遇すれば停止を余儀なくされ、大地震であれば過酷事故のリスクのある、災害に対して脆弱なシステムです。この点、経済産業大臣の御認識をお伺いいたします。

 ロシアのウクライナ侵略に際しては、原子力発電設備が武力攻撃の目標となるなど、原子力発電所の存在自体が安全保障上の大きなリスクであることが明確となりました。

 原子力規制上、武力攻撃は想定されておらず、万が一、武力攻撃を受けることになれば、大規模な放射能汚染を免れることはできません。この点、原子力規制委員会の更田委員長も認めておられます。ミサイル防衛システムが完全でないことは、防衛省の皆さんも認めている。

 原発を動かす前提として、少なくとも、今般顕在化した武力攻撃に対する対策を規制基準に追加する必要があると考えます。原子力規制委員会に武力攻撃に対する規制基準の策定を要請いただけますでしょうか。経産大臣にお伺いいたします。

 武力攻撃から原発を守ることは不可能です。国家安全保障上、原発を安全な状態にするために廃炉を進める必要があると考えますが、経済産業大臣にお伺いいたします。

 最終エネルギー消費の約四割は熱エネルギーとして使われています。この分野の省エネ、脱炭素化をどう進めるか、もっと工夫や仕組みが必要です。

 特に、熱は運ぶことができないため、地産地消の仕組みが必要です。例えば、現在、A重油が高騰しておりまして、農業用のハウスの暖房コストがアップ、農業経営を圧迫しています。地域の木材を活用したバイオマスボイラーによる熱供給などは、農業における脱化石燃料、脱炭素化の大変有望な技術になります。また、産業における廃熱の有効利用についても、余地がまだまだあると考えております。

 今回の法改正に熱利用に関する提案が含まれていないのはなぜでしょうか。熱利用に関してどのように進めていくのか、経産大臣にお伺いをいたします。

 政府は、水素、アンモニアの利用を進めようとしています。化石燃料由来の水素、アンモニアまでも非化石エネルギーと称して海外から輸入してまで利用する施策には合理性がなく、賛成できません。化石燃料由来の水素やアンモニアでは、ライフサイクルで見るならば、CO2の排出量は化石燃料をそのまま利用するのと変わりがありません。

 そもそも、水素、アンモニアの用途については、その特性が生きる分野に限定すべきです。電気への置き換えが難しいセメントや製鉄など産業分野、大型船舶などの用途に限定して再生可能エネルギー由来で作られた水素を活用していくことが、水素、アンモニアの活用のあるべき姿です。化石燃料利用の延命のためだけの水素、アンモニア利用については見直すべきです。

 水素、アンモニアの活用の意義、方向性について、改めて経済産業大臣にお伺いいたします。

 エネルギー転換は、技術の問題であるとともに、雇用の問題です。社会の構造変革の問題であります。産業革命に匹敵するような脱炭素社会への大転換に伴い、多くの働く皆様がこれまでの仕事から新しい仕事への転換を迫られることになります。

 いわゆる雇用の公正な移行の実現が政治に課された課題であると認識しております。脱炭素社会の実現が国民一人一人にとってチャンスであるようにしなければなりません。経済産業大臣の見解を求めます。

 化石燃料の過剰な利用が気候変動を激化させ、その影響が未来世代の生存を脅かすこととなっています。原子力発電では、東京電力福島第一原発事故により、この先四十年、五十年、それ以上の長きにわたる放射能汚染との闘いを未来世代に強いることとなりました。使用済み核燃料については、最終処分のめども立たないまま、十万年にも及ぶ管理を未来の世代に委ねることになります。

 これまでの私たちのエネルギー利用は正しかったのか、未来世代の目線で改めて見直すときではないでしょうか。持続可能で環境調和のエネルギー社会を実現することは、未来世代に対する私たちに課せられた責任です。今こそ、エネルギーシフトを政治の意思として決断すべきときです。

 未来世代への責任をどのように果たすのか、経済産業大臣にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣萩生田光一君登壇〕

国務大臣(萩生田光一君) 山崎議員の質問にお答えいたします。

 電力需給逼迫及び資源価格、電気料金の情報の取扱いについてお尋ねがありました。

 先日の電力需給逼迫の対応については、現在、審議会において検証を行っています。透明性を確保しながらデータに基づく分析を進め、検証結果を公表します。

 資源価格については、国際的な市場取引を通じて、基本的には需要と供給のバランスによって決まるものですが、引き続きその動向を注視します。

 電気料金については、従前より、急激な価格高騰に備えた仕組みが導入され、毎月、その料金水準が公表されているところであり、引き続きしっかりと情報公開に努めてまいります。

 再生可能エネルギーへのシフトについてお尋ねがありました。

 再エネについては、エネルギー基本計画で掲げたSプラススリーE、すなわち、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合を大前提に、主力電源化を徹底し、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促し、二〇三〇年度三六%から三八%という野心的な目標の実現に向け、強力に推進します。

 このため、関係法令遵守など事業規律の確保を前提に、公共施設などへの最大限導入や、系統の利用ルール見直しなどを促進します。

 一方、SプラススリーEの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在しないことを踏まえれば、再エネだけで全てのエネルギーを賄うことは難しく、原子力、火力、水素、CCUSなど、あらゆる選択肢を追求してまいります。

 省エネの推進についてお尋ねがありました。

 エネルギー基本計画では、二〇三〇年度に、オイルショック後の二十年間で達成した三五%を上回る、四〇%程度の効率改善に相当する省エネを目標としています。

 このため、今回、省エネ法を改正し、業種ごとに目指すべき省エネ目標であるベンチマーク基準を法律上に位置づけ、エネルギー多消費産業を中心に、取組を更に促していきます。

 また、トップランナー基準などの取組強化や、省エネ技術の開発、省エネ型設備の更新支援、電気自動車等の導入支援などに取り組みます。さらに、住宅、建築物のゼロエネルギー化に向けた支援など、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

 太陽光への偏重の現状についてお尋ねがありました。

 二〇三〇年三六から三八%という野心的な導入目標の実現には、二〇三〇年まで十年弱という時間軸を考えると、運転開始までの期間が短い太陽光発電の導入拡大は不可欠です。実際、再エネ特措法に基づく支援により、この十年間で、太陽光は、中国、米国に次ぐ水準にまで導入量が拡大しました。

 他方で、地域におけるトラブルや出力の変動といった課題があることも事実であり、こうした課題に対処し、地域の理解が得られるよう、適地での導入を進めます。

 加えて、野心的な導入目標の実現のため、洋上風力や地熱等、他の再生可能エネルギーについても導入に向けた取組を進めます。

 再エネ目標の妥当性についてお尋ねがありました。

 二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年四六%削減の実現に向けて、再エネ最大限導入に取り組むのが基本方針です。

 しかし、この目標実現には、太陽光発電や風力発電の出力変動への対応、山がちな我が国でいかに適地を確保していくかといった様々な課題が存在しており、その達成は容易ではありません。

 こうした課題を克服すべく、蓄電池の低コスト化や導入拡大によって調整力を確保するとともに、地域と調和可能な平地での太陽光や陸上風力に加え、洋上風力の拡大も併せて進めるなど、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

 災害に対する原子力発電の脆弱性についてお尋ねがありました。

 原子力発電所については、原子力規制委員会による設置許可に基づき、一定以上の地震動を察知した際に、速やかに原子炉の運転を停止するものと承知しています。

 加えて、新規制基準では、地震を含め自然災害の想定と対策が大幅に引き上げられるとともに、万一重大事故が発生した場合に備え、その進展を食い止める対策も求められています。

 このように、原子力規制委員会により新規制基準に適合していると認められ、再稼働した原子力発電所については、地震などの自然災害に対して安全性確保に必要な備えを有していると承知しております。

 原子力発電所に対する武力攻撃への対策についてお尋ねがありました。

 原子力発電所の安全の確保は、原子力規制委員会が規制する発電所の設備上の対応だけでなく、事態対処法や国民保護法の枠組みでの措置など、警察、自衛隊を始め関係省庁、関係機関が連携して対応することとしています。

 その上で、関係省庁、機関が連携し、対応を不断に検証し、改めるべき点は改善していくことで、安全の確保に万全を期す必要があります。

 なお、原子力の安全規制については、高い独立性を有する原子力規制委員会が一元的に所掌することとされており、経済産業省が意見を申し上げることは適切ではないと考えています。

 原子力発電所の安全についてお尋ねがありました。

 原子力発電所の安全の確保は、原子力規制委員会が規制する発電所の設備上の対応だけでなく、事態対処法や国民保護法の枠組みでの措置など、警察、自衛隊を始め関係省庁、関係機関が連携して対応することとしています。

 SプラススリーEの全てを満たす単一の完璧なエネルギー源が存在せず、今後の技術革新などの不確実性を踏まえれば、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求することが重要です。原子力は、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持でき、かつ実用段階にある脱炭素のベースロード電源であり、安定供給の観点からも活用していく必要があります。

 法改正案における熱利用の位置づけについてお尋ねがありました。

 熱は最終エネルギー消費の多くを占めており、現行省エネ法においても、廃熱の回収利用を事業者が実施すべき省エネ取組として既に法律上位置づけ、取組を促しています。

 加えて、改正法案では、一定規模以上の事業者に対し、化石燃料起源の熱からバイオマス等の非化石燃料起源の熱への転換などを含む中長期計画の作成義務などの措置を講ずることとしております。

 また、高効率バイオマスボイラーや、廃熱を有効利用するための設備投資への補助、未利用熱活用に関する技術開発などを進めてまいります。

 水素、アンモニアの意義、方向性についてお尋ねがありました。

 水素、アンモニアは、ゼロエミッション火力への転換の鍵となるものです。加えて、幅広い分野で脱炭素化を可能とする、カーボンニュートラルに不可欠なエネルギーです。

 そのため、水素、アンモニアの大規模な製造、運搬、利用技術の確立やサプライチェーンの構築を一体的に進めます。

 その際、まずは、水素の由来を問わずに活用を進め、確たる需要をつくり上げることが重要と考えておりますが、CO2を処理していない水素を永続的に使い続ける考えはありません。インフラ整備やコスト低減等の進展状況を見つつ、速やかに水素、アンモニア全体のクリーン化を目指してまいります。

 脱炭素に伴う新たな仕事への転換についてお尋ねがございました。

 脱炭素化による今後の産業構造転換に当たり、新たなニーズに対応した人材育成を進め、円滑な労働移動を図っていくことが重要です。

 足下では、リスキル講座の認定等を通じ、自動運転分野など脱炭素化に係る新たな成長分野へのリカレント教育を支援しています。

 関係業界とも対話を重ねながら、脱炭素化により生まれる新たなニーズを捉えた人材育成や労働移動について、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

 未来世代への責任についてお尋ねがありました。

 エネルギーは、全ての社会経済活動を支える土台です。すぐに使える資源が乏しく、自然エネルギーを活用する条件も諸外国と異なる我が国では、将来世代への責任を果たすためにも、国際競争力の維持強化と国民生活の向上を図るため、安定的で安価なエネルギー供給の確保が重要です。

 その上で、人類共通の喫緊の課題である気候変動問題に対応するため、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度四六%削減の実現に取り組みます。

 我が国の置かれた状況を冷静に受け止め、安全の確保や様々なリスクへの備えを大前提として、エネルギー政策を進めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣山口壯君登壇〕

国務大臣(山口壯君) 山崎誠議員から、省エネルギーの現状とポテンシャルについてお尋ねがありました。

 昨年閣議決定されたエネルギー基本計画においては、産業部門、業務部門、家庭部門、運輸部門において、技術的にも可能で現実的な省エネルギー対策として考えられ得る限りのものをそれぞれ積み上げ、最終エネルギー消費で二〇三〇年度において六千二百万キロリットル程度の省エネルギーを見込んでおります。

 現状としては、二〇一九年度の省エネルギーの実績値が千六百五十五万キロリットルであり、そこから六千二百万キロリットルという目標実現に向けて、政府一丸となって取組を進めてまいります。

 現下の情勢を踏まえれば、省エネルギーと再生可能エネルギーの重要性はますます高まっていると認識しており、より一層力を入れて取り組んでまいります。

 次に、再生可能エネルギーに対する考え方及び導入支援の取組についてお尋ねがありました。

 環境省としては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、徹底した省エネルギーに加え、再生可能エネルギーの最大限の導入が必要であると考えています。また、再生可能エネルギーの導入により、地域経済の活性化や災害に強い地域づくりなど、地域の課題解決につながることも重要であると考えています。

 このため、環境省では、例えば、脱炭素事業に意欲的に取り組む地方公共団体を複数年度にわたり継続的かつ包括的に支援するため、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を令和四年度予算に盛り込ませていただいたところです。

 加えて、民間企業等による意欲的な脱炭素事業への新たな出資制度の創設を盛り込んだ地球温暖化対策推進法の改正案を今国会に提出させていただいております。

 環境省としては、こうした支援措置も活用しつつ、関係省庁とも連携しながら、地域と共生し、地域に貢献する再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕

国務大臣(斉藤鉄夫君) 山崎誠議員から、建物の断熱化についてお尋ねがありました。

 建物の断熱化については、エネルギー消費量の削減の観点から推進する必要があり、特に、諸外国に比べ遅れているとされる住宅の断熱化を推進することは重要な課題と認識しております。

 例えば、ドイツなどの欧米諸国では、我が国の省エネ基準を上回るZEH水準におおむね相当する断熱性能を基準上求めているものと承知しております。

 我が国では、昨年十月に閣議決定されたエネルギー基本計画等において、二〇三〇年度以降新築される住宅に関し、このZEH水準に相当する省エネ性能の確保を目指すこととされております。

 当該目標の実現に向け、公的住宅について、令和四年度以降は新築時に原則としてZEH水準の省エネ性能を確保するとともに、民間住宅についても、ローン減税等の税制上の特例措置や補助制度による支援などを通じた当該性能の確保などに取り組んでまいります。(拍手)

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議長(細田博之君) 小野泰輔君。

    〔小野泰輔君登壇〕

小野泰輔君 日本維新の会の小野泰輔です。(拍手)

 質疑に先立ち、ウクライナにおいて多くの子供たちを含めた無辜の市民を殺害する蛮行を続けているロシアを激しく非難するとともに、直ちに軍をウクライナ全土から撤退させ、即時停戦を行うことを強く求めます。

 それでは、会派を代表しまして、ただいま議題となりました法律案に対する質疑を行います。

 今回提出されているいわゆる省エネ法改正案に掲げられている需要サイドの非化石エネルギーへの転換は、脱炭素社会を実現するためには不可欠です。しかし、そのためには徹底した電化を行うことも必要となります。

 政府は、第六次エネルギー基本計画において、カーボンニュートラル実現に向けて、二〇三〇年度の総発電電力量を九千三百四十億キロワットアワーと見込んでいますが、これは二〇一九年度の一兆六百五十億キロワットアワーよりも少ない水準です。

 徹底した省エネを進めるという努力はもちろん行うべきですが、二〇三〇年代には、販売される新車を電気自動車にしていくことを各国政府や自動車メーカーが宣言しており、ガソリンや軽油で走っていた車の多くが電化することになりますが、このような総発電電力量の見積りで問題ないのでしょうか。経済産業大臣に伺います。

 また、従来の省エネ法では、使用の合理化、いわゆる省エネの対象として非化石エネルギーは含まれていませんでした。しかしながら、再生可能エネルギーのうち、太陽光発電などはかつてのような勢いでの拡大を期待できず、また、水素やアンモニアといった燃料資源も国内で十分に調達することが難しいため、非化石エネルギーの使用の合理化、つまり、非化石エネルギーを含めた省エネを今回の改正案で定めることとなっております。

 脱化石エネルギーは進めなくてはなりませんが、エネルギーの自給という観点からは大きな課題が残っているのではないでしょうか。非化石エネルギーにシフトする中で、現在のエネルギー自給率は僅か一二%と危機的な状況です。カーボンニュートラルの目標を意欲的に設定したのとは対照的に、中長期的なエネルギー自給率の向上の目標がおろそかになっているのではないでしょうか。

 どのように自給率改善を図っていくのか、具体的な目標数値も含め、経済産業大臣に伺います。

 カーボンニュートラル推進に向けて、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の改正案では、JOGMECが新たに水素等の製造、貯蔵に係る資金の出資及び債務保証ができるようになります。

 水素やアンモニアは、燃焼させて燃料として使うときにはCO2を排出しないものの、石炭等の化石燃料から製造する場合にはCO2を排出してしまうため、再生可能エネルギーによる電気分解等、CO2を排出しない方法によって作られなければ、脱炭素エネルギーとはなりません。国内で水素、アンモニアを製造するだけの膨大なグリーン電力はないことから、海外の再生可能エネルギーが豊富な国において水素、アンモニアを製造し、液化した後にタンカーで輸送することが必要になると考えます。

 今後のエネルギー安定供給を考えれば、ロシアなどの権威主義国家でなく、自由や民主主義、法の支配など、価値観を共有できる国とパートナーシップを結んで、技術開発や投資を行っていかなくてはなりません。

 経済産業大臣に伺います。水素、アンモニアの確保に向けた国際的開発プロジェクトを、例えばオーストラリアなど、資源が豊富で国土も広く、価値観も共有できる国々と進める必要があると考えますが、現在どのような構想を描いているのか、連携の相手、時間軸も含め、お示しください。

 JOGMECの業務に関する法改正として、今回、新たに洋上風力の利用に必要な風況及び地質構造の調査が追加されています。

 これまで、洋上風力発電の事業者が各々別個に建設候補地の海域で調査を実施しており、調査が重複し、非効率になっていました。今後は、日本版セントラル方式として、政府主導で共通の調査を一括して行うことが提案されていますが、民間事業者がその調査結果を利用する場合の費用負担についてどのように考えるのかが問題となります。

 洋上風力発電の規模の大きさや操業期間の長さから考えれば、落札した事業者に多くの負担を求めるのが妥当ではないかと考えますが、現時点での費用負担の在り方についての方向性について、経済産業大臣に伺います。

 今回の省エネ法改正案の主な改正点として、電気需要の平準化から電気需要の最適化への転換があります。

 従来は、電気使用量が集中する昼間の時間帯における電力需要を抑制する誘導策が主に行われてきましたが、太陽光発電を始め変動型再生可能エネルギーの普及拡大により、地域によっては、昼間に快晴となった場合に発電量が需要量を上回る状況が発生し、再生可能エネルギーの出力制御を行うという非効率が生じていました。そこで、再生可能エネルギーを最大限活用するため、その発電量の増加に応じて電力需要を増加させることを促す電気需要最適化の指針を策定することとなっています。

 しかし、需要の最適化には、需要の平準化よりも難しいオペレーションが求められることが予想されます。当日の気象条件により増減する再生可能エネルギーの供給量にリアルタイムで需要を変化させるには、電気換算係数の設定を変更するだけでは不十分だと考えられます。

 工場などの設備においてIoTを導入するとともに、電力供給のリアルタイムデータとの連携が必要と考えますが、実際に需要家が適時適切に使用量を増減させることができるような仕組みの整備をどう進めるのか、経済産業大臣に伺います。

 今回提案されている鉱業法改正案では、我が国の排他的経済水域内で確認されたレアアースを鉱業法上での鉱物として定め、資源の適正管理と国内生産の円滑化を図ることとしています。

 レアメタルが世界的に偏在し、特に権威主義の国々に多く埋蔵されていることから、経済安全保障の観点から、今後、我が国の海域内などでどのような資源をどのように開発していくのか、経済産業大臣に伺います。

 また、レアメタル等の確保に関しては、JOGMECが国内の選鉱、製錬事業へ出資、債務保証の支援を行えるよう、業務内容を追加する法改正を行うこととなっています。

 使用済み製品等に含まれる有用資源のリサイクルを推進し、国内製造業への金属材料の安定供給を実現することにより、海外からの資源供給リスクの低減を図るものですが、問題はコストです。国内で廃棄機器などからレアメタルを抽出してリサイクルする場合、コストが高く、事業の採算が合わないことも予想されますが、そのような場合にどこまで国が腹をくくって支援するのか、経済産業大臣に伺います。

 今回の法改正の主目的はカーボンニュートラル実現に向けたものですが、この内容だけでは十分とは言えません。資源の乏しい我が国がエネルギー安定供給を図るためには、あらゆる政策を動員しなければなりません。

 最も喫緊の課題は原子力発電所の再稼働です。二〇五〇年カーボンニュートラル達成目標と整合する野心的な目標として、二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度から四六%削減するという政府方針において、原子力の電源構成比率を二〇%から二二%にすると定めています。ところが、二〇二〇年における原子力発電による電力比率は四%に満たない状況です。二〇三〇年まで、あと八年しかありません。現在、許可済みだが未稼働のものや、審査中の原子力発電所をいかに早期に稼働させるかが非常に重要となります。

 早期の再稼働のために何をする必要があるのか、ボトルネックは何なのか、経済産業大臣にお伺いします。

 また、新規制基準に適合した本体施設等の安全対策工事が難航して完成が遅れたため、特定重大事故等対処施設、略して特重施設が本体施設等の工事計画認可から五年以内という設置期限内に完成しなかったために、再稼働できないでいるプラントが複数存在しています。本体施設等の工事期間の現実を受け止め、現状の工事計画認可から五年以内に特重施設を完成させなければ運転を停止させる現行の制度を改めるべきと考えます。

 そもそも、特重の設置期限に関する経過措置は、当初、新規制基準施行日の二〇一三年七月八日から起算して五年後に当たる二〇一八年七月七日までと一律に定められていました。当時は、特重施設等の審査に先行して行われる本体施設等についての新規制基準への適合性審査が半年から一年程度の期間で終わると見込まれており、五年からその審査期間を除いた残りの期間で特重施設まで完成させることを想定していました。

 しかし、本体施設等の適合性審査が長期化し、当初から事情が変わっていることを踏まえ、二〇一五年に特重施設等の経過措置規定が改正されました。経過措置の起算点を本体施設等の工事計画認可日とし、特重の設置期限はその日から一律に五年後となりました。

 原子力規制委員会は、本体施設等の安全対策工事が新規制基準に適合しているか否かの審査期間が当初の見込みよりも大分時間がかかる現実を直視し、経過措置規定を見直したものと考えられます。本体施設等の工事計画の認可に想定以上の時間がかかっているという現実を認めるのならば、同様に、その工事にもかなりの時間がかかるということにも思いを致し、特重の設置期限を工事計画認可から一律に五年とする現在の硬直的な規定を改めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。原子力規制委員長に伺います。

 また、発電用原子炉の運転可能期間は、原子炉等規制法により、運転開始から四十年とされ、その期間満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、一回に限り、二十年を超えない期間延長することができると定められています。

 我が国においては、現行制度では原子炉は最大六十年までしか動かせないということになっていますが、アメリカでは、安全性が証明された原子炉は二十年を超えない範囲で延長することが可能であり、その回数にも制限は設けられていません。近年、アメリカでは、六十年運転の先を見越して、八十年運転を目指した動きが活発化しています。フランス、イギリス、韓国においては、運転期間の上限に関する規定は存在せず、十年ごとに安全レビューを受けることで運転延長が可能になっています。

 我が国が二〇三〇年に目標とする原子力発電の電源構成比率二〇%から二二%を達成するためには、全ての既存の完成している原子力発電所の二十年延長を一回行わなければなりません。そして、二〇四五年を過ぎる頃から、現行制度のまま運転期間六十年でとどまると、原子力発電による電力量は急落していきます。エネルギー安定供給を将来にわたって確保するためには、二十年の延長が一回限りという我が国独特の制度を改める必要があります。

 三月九日の衆議院経済産業委員会において、私は、原子力規制委員会の更田委員長に対して、原子力発電所の運転期間の延長が一回限りになっていることに科学的根拠があるのかについて質問いたしました。答弁は、この規定は法律で定められたものであって、国会において、科学的、技術的な観点だけではなく、様々な政策上の判断によって定められたものであるという答弁でございました。

 私は、二〇三〇年代や二〇四〇年代からこの問題を議論していては間に合わないのではないかと考えています。科学的、技術的な観点を押さえることはもちろんのこと、我が国の中長期的なエネルギーの安定供給を見据えて、今から運転延長の回数の問題について政策的な検討を行うべきと考えます。

 先日、萩生田大臣は、経済産業委員会での私の質問に対し、現時点において、政府において規定の見直しを検討している事実はないが、審議会など様々な場において問題提起がされており、今後、産業界も含め、幅広い関係者と検討を行っていくべきとの認識を示されました。

 今後、原子力発電所の運転期間延長の回数の見直しについても政府が主体的に臨んでいく必要があると考えますが、改めて経済産業大臣のお考えを伺います。

 エネルギーは、水、食料と並んで、人間社会になくてはならない最重要物資です。資源に乏しい我が国が、いかに知恵を絞り、他国からの影響をできる限り排して、エネルギーを安定的、持続的に確保することができるのかは政治の責務です。日本維新の会は、常に国益と国民の暮らしを見据え、タブーなく議論し、国民が安心できるエネルギー政策を提案、実現してまいります。

 最後までの御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣萩生田光一君登壇〕

国務大臣(萩生田光一君) 小野議員からの質問にお答えします。

 電動車の普及を踏まえた総発電電力量の見積りについてお尋ねがありました。

 昨年十月に閣議決定した第六次エネルギー基本計画においては、経済成長や電動車の普及などにより電力需要の増加が見込まれる一方で、これまでの目標を約二割深掘りした徹底した省エネを推進することで、現在と比較して発電電力量が減少することを見込んでおります。

 電力の安定供給確保は、社会経済活動の根幹です。いかなる状況にあっても安定供給がしっかりと確保されるよう、全力を尽くしてまいります。

 エネルギー自給率についてお尋ねがありました。

 すぐに使える資源が乏しく、自然エネルギーを活用する条件が諸外国と異なる我が国においては、エネルギーの安定供給を確保するため、エネルギー自給率の向上は極めて重要です。

 このため、エネルギー基本計画においては、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入、安全最優先の原発再稼働に取り組むことで、二〇三〇年のエネルギー自給率を現在の約三倍に相当する三〇%に高めることを目標としています。

 今回のロシアによるウクライナ侵略によって、エネルギー自給率を向上させることの重要性を改めて認識したところであり、引き続き、エネルギー基本計画に基づき、エネルギー自給率向上に向けた取組をしっかりと進めてまいります。

 水素、アンモニアの国際的なプロジェクト開発における他国との連携についてお尋ねがありました。

 水素、アンモニアの国際サプライチェーンを構築するためには、御指摘のような視点も踏まえながら、様々な国と連携する必要があると認識しております。

 このため、例えば、これまでも、世界初の液化水素などの海上輸送を実現させるべく、豪州やブルネイなどと密に連携しながら、技術実証などを行ってきたところです。

 また、アンモニアについても、豪州やUAEにおいて、既に複数の日本企業がCO2を処理した燃料アンモニアのサプライチェーンの事業性調査を進めております。

 引き続き、こうした取組を通じて、様々な資源国と水素、アンモニアに関する国際連携を進めてまいります。

 洋上風力発電に関して、政府主導で行った調査結果を事業者が利用するに当たっての費用負担の在り方についてお尋ねがありました。

 案件形成の加速化や、民間事業者による調査等の重複を排除する観点から、開発の初期段階から政府が関与し、より迅速かつ効率的に風況等の調査などを行う、いわゆる日本版セントラル方式の早期の確立を目指して、現在、検討を進めているところです。

 今回の法案では、こうした調査をJOGMECに行わせることとしておりますが、原則として、国の予算を活用して独立行政法人が実施した調査事業の結果はその独立行政法人に帰属するものと承知しております。

 他方、御指摘のとおり、発電事業を実施する民間事業者からその費用を回収する手法も考えられると認識しており、引き続き、国民負担の軽減の観点や欧州での事例も考慮しつつ、検討を行ってまいります。

 今回の省エネ法改正案における電気の需要の最適化の仕組みの整備についてお尋ねがありました。

 今回の法案では、需要家における電気の需要の最適化を促すため、需要家が再エネの出力制御時に需要をシフトした場合には、省エネを行ったものとして評価する仕組みを導入する予定です。

 これに加え、電気事業者に対しては、需要家に対する再エネの出力制御に関する情報提供や、スマートメーター等の機器の整備、需要の最適化に資する電気料金等の整備に関する計画の作成を求めるなど、供給側への措置も講じております。

 こうした仕組みを通じて、需要家における電気の需要の最適化を促してまいります。

 日本近海におけるレアメタル等の鉱物資源に係る今後の開発方針についてお尋ねがありました。

 鉱物資源のほぼ全量を海外に依存する我が国にとって、我が国の排他的経済水域に存在する国産海洋鉱物資源の開発を進めていくことは、経済安全保障の観点からも非常に重要です。

 実際、我が国周辺の海域には、銅、鉛、亜鉛といったベースメタルを含む海底熱水鉱床や、コバルトやニッケルなどのレアメタルを含むコバルトリッチクラストやレアアース泥などが存在することが確認されておりますが、これらは深海に存在するため、その開発には、正確な資源量の把握、生産技術の確立、開発コストの低減など、様々な課題が存在しています。

 このため、エネルギー基本計画及び海洋基本計画に基づき、こうした課題を解決していきながら、国産海洋鉱物資源の開発、利用の実現にしっかりと取り組んでまいります。

 レアメタルのリサイクル事業に対する支援についてお尋ねがありました。

 レアメタルは、電動車の蓄電池や高性能モーター等の生産に不可欠な資源として、脱炭素化の流れの中で獲得競争が激化すると見込まれております。

 今回の法改正では、JOGMECによるリサイクルを含む国内選鉱、製錬事業への出資、債務保証業務を追加し、レアメタルの安定的な供給体制を構築します。また、コストの低いリサイクル技術の開発にも、官民一体でしっかりと進めてまいります。

 原子力発電所の再稼働についてお尋ねがありました。

 二〇三〇年度のエネルギーミックスにおける原子力比率の実現に向けては、安全性の確保を大前提に、地元の御理解を得ながら、原子力発電所の再稼働を着実に進めていくことが政府の方針です。

 これに向けては、まずは、事業者が原子力規制委員会の安全審査に適切に対応することが重要です。このため、経済産業省としては、産業界に対して、事業者間での知見の共有や人材の相互活用など、事業者が連携して審査に対応する体制づくりを働きかけてまいります。

 その上で、国も前面に立ち、エネルギーをめぐる状況や原子力を取り巻く課題等について丁寧な説明を尽くし、立地自治体など関係者の御理解と御協力が得られるよう、粘り強く取り組んでまいります。

 原子力発電所の運転期間についてお尋ねがありました。

 御指摘の原子力発電所の運転期間については、原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法において規定されているものと承知しております。

 現時点では、政府においてこの規定の見直しを検討している事実はないと承知しておりますが、御指摘の点は審議会など様々な場においても提起されていることから、今後、産業界も含め、幅広い関係者と検討を行っていくべき課題であると考えております。(拍手)

    〔政府特別補佐人更田豊志君登壇〕

政府特別補佐人(更田豊志君) 小野泰輔議員から、特定重大事故等対処施設の設置期限についてお尋ねがありました。

 東京電力福島第一原子力発電所事故の最も重要な反省の一つは、継続的な改善が欠けていたということであります。

 新規制基準に適合している原子力発電所については、特定重大事故等対処施設がないことが直ちに危険に結びつくとは考えておりません。

 しかし、特定重大事故等対処施設は、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対処の信頼性を向上させるための重要な改善であることから、経過措置期間を設けた上で、整備することを要求したものです。

 約束した改善が果たせないような事態は避けるべきであると考えています。(拍手)

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議長(細田博之君) 鈴木義弘君。

    〔鈴木義弘君登壇〕

鈴木義弘君 国民民主党・無所属クラブの鈴木義弘です。

 ただいま議題となりました法律案に対して、会派を代表して質問いたします。(拍手)

 国は、二〇二一年十月に第六次エネルギー基本計画を閣議決定いたしました。二〇五〇年カーボンニュートラル宣言や二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減目標を掲げ、日本のエネルギー需給構造の転換を後押しし、同時に、安定的なエネルギー供給を確保するための制度整備が必要とのことで、法律案が上程されました。

 しかし、二〇三〇年まであと八年、二〇五〇年までにはあと二十八年しかありません。

 そもそも、カーボンニュートラルという言葉を国民に認知されているのでしょうか。二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指す主要大手企業の四百社のうち、半数が排出実質ゼロを宣言していないということが報道されています。政府の不断の努力が必要ではないでしょうか。

 二酸化炭素削減を強力に進めるためには、省エネルギー及びエネルギー効率の向上が必要であり、国民や事業者にインセンティブを与える施策が必要であると考えます。

 非電力部門では、高熱利用や燃料利用など、脱炭素化が技術的に難しい場合や高コストになる場合があり、電化へ向けた、より具体的な道筋を示す必要があると考えます。

 幾ら政府が旗を振っても、国民の理解がなく、企業に対してインセンティブがなければ、実現は難しいと思います。本気でこの目標を達成する強い気概があるのか、経済産業大臣にお尋ねいたします。

 次に、コストです。

 今回の法案には、コストについて全く提案がなされていません。エネルギーの合理化や利用促進はうたっていますが、日本は、地理的、気候的条件が他国に比較して不利な条件が多く、安価な再エネ資源に乏しいと言われています。

 発電コストの高い再生可能エネルギーを主電源として利用拡大し、二〇年―三〇年代に二酸化炭素の大幅な削減を実現しようとすると、電気料金が上がってしまうことが予想されます。さらに、再エネ発電を増やそうとすれば、ベースロード電源との競合が考えられ、系統接続が大変重要になると考えますが、併せて経済産業大臣にお尋ねいたします。

 そして、一番大切な産業競争力についてです。

 日本は加工貿易をメインにしており、その主たるものは製造業であります。中でも一番の稼ぎ頭が自動車産業と言われています。既に低コストの海外に生産拠点が移っている中で、電力料金の高騰により、更なる海外流出と国内生産拠点の縮小が加速されることが危惧されています。

 二〇三〇年、二〇五〇年へ向けて、社会や産業構造の変化していく中で、製造業がどのような影響を受けるのか、国が国民に全体像を示すことが必要でありますし、その上で、産業競争力について、どの分野、どの業種に力を入れていこうとするのか、明確な方向性を出すべきだと考えますが、経済産業大臣に所見を伺います。

 さらに、原子力発電についてです。

 現在のエネルギー基本計画では、原発依存をできる限り低減することが基本方針となっています。原発の再稼働、再建設、新設も、国の責任で判断を示すときが迫っていると考えます。

 政府は、判断基準について、国際基準の高い規制レベルにのっとって許可を下しているとの答弁ばかりされているように聞こえます。東日本大震災からはや十一年。事故を契機としてこれまでに規制の基準について何をどう強化したのかについて、国は、国民の不安を払拭する努力を重ねることが必要です。しかし、国の姿勢は、事業者、規制委員会任せにしか見えません。国が前面に立って、国民に問いかけ、説得する努力をしなければならないと考えます。

 さらに、原発の稼働率を上げれば、核廃棄物が当然に増加します。核廃棄物の処理を電力事業者に任せるのではなく、国が責任を持って最終処分場を確保しなければならないと考えますが、経済産業大臣の所見を伺います。

 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣萩生田光一君登壇〕

国務大臣(萩生田光一君) 鈴木議員からの質問にお答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度四六%削減目標の達成への意気込みについてお尋ねがありました。

 これらの目標の実現は、極めて挑戦的な課題です。他方で、世界的な脱炭素化の流れの中、我が国の成長戦略として、脱炭素に向けた投資を活発化させ、新たな技術や市場を獲得することが必要不可欠です。

 このため、今後、クリーンエネルギー戦略の中で、二〇三〇年や二〇五〇年の野心的な目標に向けて、どのような分野で、いつまでに、どういう仕掛けで、どのくらいの投資を引き出すのか、時間軸を示しつつ、経済社会変革の全体像及び道筋をお示しします。経済産業省の取りまとめの下、政府一丸で検討を進め、国民の理解を得ながら、官民一体となって、強い気概を持って実行に移してまいります。

 再エネ導入に伴う電気料金の上昇や系統接続についてお尋ねがありました。

 国際競争力を維持し、国民生活への影響を最小化する観点から、電気料金の抑制は重要な課題です。二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す中で、再エネ電源については、入札制の活用や研究開発への支援等を通じ、コストの低減を図ってまいります。

 また、系統接続については、SプラススリーEを大前提として、再エネが優先的に系統を利用できるよう、ルールを見直しているところです。加えて、全国大の送電ネットワークの将来的な絵姿を示すマスタープランを通じた計画的な系統増強により、再エネ導入拡大を進めてまいります。

 カーボンニュートラルの実現について、力を入れるべき分野や業種についてお尋ねがありました。

 製造業は、高い生産性と国際競争力で我が国経済や雇用を支える重要分野ですが、温室効果ガス排出量は全体の約三割を占め、その脱炭素化への対応は急務です。

 政府としては、既に、カーボンニュートラルへの対応として、二兆円のグリーンイノベーション基金の活用による、次世代蓄電池や水素航空機向けコア技術の開発、水素還元製鉄による生産プロセスの脱炭素化など、製造業の脱炭素化に取り組んでいます。

 加えて、今後、クリーンエネルギー戦略において、二〇三〇年や二〇五〇年の野心的目標に向けて、製造業を含め、どの産業分野について、いつまでに、どういう仕掛けで、どのくらいの投資を引き出すか、時間軸を示しつつ、社会経済変革の全体像及び道筋をお示しします。

 経済産業省としては、カーボンニュートラルの実現に向けて、官民の投資を結集し、成長のエンジンへと転換することで、産業競争力強化につなげてまいります。

 原子力発電所の規制基準を含めた国民への説明と最終処分場についてお尋ねがありました。

 原子力発電所については、福島第一原発事故の教訓を踏まえ、独立した原子力規制委員会において、世界で最も厳しい水準の新規制基準が策定されています。こうした新規制基準の内容を含め、原子力政策について、国が前面に立ち、引き続き、地元や国民の皆様に丁寧に説明してまいります。

 また、高レベル放射性廃棄物の最終処分は、日本社会全体で必ず解決しなければならない重要な課題です。これまで全国での対話活動に取り組んできた結果、二〇二〇年十一月から、北海道寿都町と神恵内村において、文献調査を実施中です。住民の皆様には、処分事業等に関する様々な情報提供を行っています。

 今後、全国のできるだけ多くの地域で文献調査を実施していただけるよう、引き続き、国が前面に立って対話活動に取り組みます。(拍手)

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議長(細田博之君) 笠井亮君。

    〔笠井亮君登壇〕

笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、エネルギー使用合理化法等改正案について質問します。(拍手)

 本法案は、二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減、石炭火力の脱炭素化を図るといいますが、その主な内容は、水素、アンモニアを非化石エネルギーと定義して、利用を促進しようというものです。

 しかし、現状では、アンモニアもほとんど化石燃料由来で、製造過程で大量のCO2を大気中に放出するグレーアンモニアであり、経産省自身、最新鋭の設備でも一トンの製造に一・六トンのCO2を排出すると説明してきたものではありませんか。

 昨年十一月のCOP26グラスゴー気候合意のどこにも、水素、アンモニアが排出削減措置に当たるなどという記述はありません。日本政府独自の解釈は、国際的に成り立たず、パリ協定に基づく二〇三〇年目標とも整合性がないではありませんか。日本国民と世界を欺くものと言わざるを得ません。答弁を求めます。

 しかも、政府は、現状ではアンモニアの国内利用百万トンのうち輸入二十万トンで賄っているものを、二〇五〇年には、国内利用三千万トン、その大部分を輸入すると想定しています。海外へのエネルギー依存を深め、我が国のエネルギー安全保障を一層危うくするものにほかなりません。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略など、現下の国際情勢を目の当たりにして、政府には危機感がないのですか。

 気候危機打開に向けて、先進国には二〇三〇年までの石炭火力発電の廃止が求められ、G7の中で全廃の期限を表明していないのは日本だけです。第六次エネルギー基本計画で、二〇三〇年度の電源構成目標を一九%とする石炭火力の延命を図る本法案は、世界の流れへの逆行ではありませんか。明確な答弁を求めます。

 本法案によって、水素、アンモニア製造や、CO2回収、貯蔵技術、CCS促進のために、JOGMECを通じて巨額の税金を投入しようとしていることは重大です。

 政府自身が、水素、アンモニア発電の実現は二〇五〇年頃の目標と言い、CCSについても貯留に適した地層を掘り当てられるか分からないと説明するほど、実用化のめどは立っていません。一件当たり数千億円規模ともされる高リスクの設備投資に対して国費を投入することに国民の理解など得られますか。

 本法案に先立って資源エネルギー庁が設立した燃料アンモニア導入官民協議会は、利害関係者ばかりが名を連ねています。会議の開催も資料もほとんど非公開で、議事要旨には項目だけの記載しかありません。巨大な利権を生む政策を不透明なプロセスで推進すれば、新たな癒着の温床になりかねないではありませんか。

 本法案が発電所の休廃止の事前届出を義務づけるとしていることも看過できません。

 休廃止を国が事前に把握、管理することで、結果として、供給力不足を口実にした石炭火力の延命策になるのではありませんか。答弁を求めます。

 本法案には、エネルギー浪費構造にメスを入れる対策は何ら盛り込まれていません。

 昨日公表されたIPCCの報告書は、遅くとも二〇二五年までにCO2排出を減少に転じさせる必要があるとし、そのために、将来のイノベーションに頼るのでなく、まず現状ででき得る対策の総動員を促しました。世界の気温上昇を一・五度に抑える対策に、もう一刻の猶予もありません。

 石炭火力は全廃し、日本のCO2排出量の六割を占める発電所と産業界を始めとした省エネルギーを強力に進めると同時に、速やかに再生可能エネルギーに転換し、エネルギー自給に大きく足を踏み出すべきではありませんか。

 最後にこのことを強く求め、質問とします。(拍手)

    〔国務大臣萩生田光一君登壇〕

国務大臣(萩生田光一君) 笠井議員からの質問にお答えします。

 水素、アンモニアの利用促進に伴う二〇三〇年目標との整合性についてお尋ねがありました。

 二〇三〇年度温室効果ガス排出削減目標や二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、水素、アンモニアの大量供給、大量利用が不可欠であり、複数の国も同様にその社会実装を目指しています。

 このため、水素、アンモニアの供給量拡大、価格低下などにつながる需要創出がその社会実装の第一歩として必要であり、まずは由来を問わずに活用を進めていく方針です。

 他方、永続的にCO2を処理していない水素、アンモニアを使い続ける考えはなく、インフラ整備や技術開発、コスト低減などの進展状況を見つつ、速やかに水素、アンモニア全体のクリーン化を進めます。

 アンモニアの利用拡大に伴うエネルギー安全保障についてお尋ねがありました。

 エネルギーの安定供給の確保に向け、あらゆる選択肢を活用できる状態にして、エネルギー源を多様化することが重要です。

 アンモニアは、化石燃料を使用しない脱炭素型火力への転換の鍵を握っており、安価なアンモニアを安定的に確保していくことが極めて重要です。一方で、太陽光、風力などの再エネ資源に恵まれない我が国では、国産のアンモニアだけで国内需要を満たすことは困難です。

 したがって、当面は化石燃料由来の輸入アンモニアに頼らざるを得ませんが、技術開発支援などを通じて、将来的には、よりクリーンな国産のアンモニアの確保にも取り組みます。

 石炭火力発電についてお尋ねがありました。

 すぐに使える資源が乏しく、周囲を海で囲まれた我が国で、SプラススリーEを満たす単一の完璧なエネルギー源がない現状では、多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要です。

 必要な供給力が必ずしも十分に確保されていない段階で、直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じることになれば、電力の安定供給に支障を及ぼしかねません。

 こうした中、石炭火力については、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、安定供給を大前提に、いたずらに延命させず、できる限り発電比率を引き下げていく方針であり、二〇三〇年に向けて、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めてまいります。

 JOGMEC法改正を通じた、リスクの高い案件への支援についてお尋ねがありました。

 JOGMECによるリスクマネー供給の支援の目的は、資源の安定供給確保に向けて、投資規模の大きさや地下リスクなどを背景に民間企業のみで資金調達などが困難な場合にリスクを補完することです。

 今回追加する水素やCCSへの出資や債務保証は、まさにこうした目的に資するものです。

 他方、国費を適切に管理する観点から、JOGMEC内で厳格に審査を行うとともに、経済産業省としても適切に監督を進めます。

 燃料アンモニア導入官民協議会についてお尋ねがありました。

 燃料アンモニア導入官民協議会は、燃料アンモニアに関するサプライチェーン拡大に向けて、関係者間で議論を行うために構築しました。

 協議会に提出された資料については、個社の機微な内容が含まれるため、基本的には非公開としています。一方で、政府の提出資料及び協議会での議論を踏まえた中間取りまとめについては公表しています。

 また、その内容については、政府の審議会である総合エネルギー調査会資源・燃料分科会などに報告し、その中で、透明性を確保しながら、燃料アンモニア政策について審議いただいております。引き続き、透明性のある政策立案に努めます。

 発電所休廃止の事前届出義務化についてお尋ねがありました。

 電力自由化の進展や脱炭素化の流れを背景に、火力発電所の休廃止が増加し、安定供給に必要な供給力確保への懸念が生じています。

 今回の法改正では、発電所の休廃止届出について、事後から事前に変更します。

 これにより、時間的余裕を持って、追加供給力の公募など、必要な対策を併せて講じることが可能となります。

 電源の種類を問わず、発電所を休廃止する場合にあらかじめ届出を求めるものであり、石炭火力の延命策ではありません。

 石炭火力の全廃や、省エネの強力な推進と再エネへの転換についてお尋ねがありました。

 すぐに使える資源が乏しく、周囲を海で囲まれた我が国において、SプラススリーE、すなわち、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合を満たす単一の完璧なエネルギー源がない現状では、石炭火力を含む多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要です。

 エネルギー自給率の向上と、人類共通の喫緊の課題である気候変動問題への対応として、徹底した省エネの推進、再エネの最大限導入、安全最優先の原発再稼働に取り組んでまいります。(拍手)

議長(細田博之君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(細田博之君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       経済産業大臣      萩生田光一君

       国土交通大臣      斉藤 鉄夫君

       環境大臣        山口  壯君

 出席副大臣

       経済産業副大臣     細田 健一君

 出席政府特別補佐人

       原子力規制委員会委員長 更田 豊志君


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